石木ダム問題の今

HOME>石木川まもり隊ブログ>報道

「追い風」発言は、議論や理解が深まるという趣旨?

県内の6団体による抗議を受け、11月5日、浦瀬俊郎県河川課長は、追い風発言を撤回しました。

20191105浦瀬発言抗議文

浦瀬課長は、午後の記者会見で、「県内外で災害が発生し、防災や治水に関心が寄せられていることから、より議論が深まって必要性も理解されるのではないかという趣旨だった」と釈明し、「災害が発生してよかったとは思っていない」と述べたそうです。

当たり前です。誰も「災害が発生してよかった」なんて思うわけがありません。

しかし、「追い風」という言葉には、自分たちにとって有利だというニュアンスがあります。選挙報道などでよく耳にする「逆風」「追い風」は、まさに「不利」「有利」の意味で使われています。

浦瀬課長が本当に、「防災や治水について議論や理解が深まるのでは」という趣旨で発言されたのであれば、ぜひそうしてください。

私たちは2年以上前から公開討論会を求めています。治水についての関心が高まっている今、石木ダムの必要性の是非を議論しましょう。大歓迎です。

昨年の西日本豪雨の時は、愛媛の肱川流域では、野村ダムの放流で5人が亡くなり、鹿野川ダムの放流で4人が亡くなり、「治水とダム」に対する関心は今年以上に高まっていたと思いますが、その時にも「追い風」と思っておられたのでしょうか?であれば、なぜ公開討論会に応じて頂けなかったのでしょうか?

また、一昨年の8月には、石木ダム事業に反対する若者グループ「エヌダブ」が、ダム建設の撤回を求める署名2,548筆を知事宛てに提出した際、対応した吉田慎一土木部次長は「先日も九州北部豪雨が起こり被害が出たが、ああいう災害にダムは有効。行政には住民の命を守る責務がある」と述べました。https://mainichi.jp/articles/20170817/ddl/k42/040/267000c

つまり、この時も、議論するのではなく、ただ最近の災害事例をあげて、「ああいう被害を回避するために石木ダムが必要なのだ」という主張をなさっただけです。治水対策=ダムというご自分たちの結論を押し付けてきただけです。

この時の被害は河川氾濫よりも土砂災害によるものがはるかに甚大でした。石木ダムがあったら土砂災害が防げるのか?大いに疑問だと多くの県民が思っていましたが、それを議論する場もありませんでした。

他所で起こった不幸な災害を他人事とせず、自分たちの身にもいつ降りかかってくるかわからないこととして「議論を深めよう」と、どうぞ、本気で思ってください。

各事例をしっかり分析、検証し、それらを教訓として、川棚川の治水にどう生かすか、石木ダムは果たしてそれらのケースで役に立つのか?愛媛の事例のように、かえって被害を甚大にするのではないか?など、議論しましょう。

止まらない温暖化で、これまでとは全く違ったスケールの集中豪雨や台風が頻発している中、県民の命を守る対策を、根本から見直すべきではないでしょうか?

私たちは、そういう意味で、河川課の皆さんと真剣に議論し、協力し合っていきたいと願っています。

二度も命を取られるわけには

「2度も命を取られるわけには」 緊迫のダム水没予定地

原口晋也 

https://digital.asahi.com/articles/ASMB06JPXMB0TOLB011.html

 

写真・図版水没予定地になっている田で稲刈りする炭谷猛さん。ダム反対の決意を示す壁は、魚雷工場の遺構だ=2019年10月8日、長崎県川棚町、吉本美奈子撮影

 長崎県と佐世保市が、同県川棚町で建設を進める石木ダム。事業着手から44年、水没予定地の川原(こうばる)集落の土地明け渡し期限が18日に迫る。県が家屋などを強制収用する「行政代執行」に踏み切れば、国内のダム事業では初めて。緊迫する現場を歩いた。

災害は追い風!?

「災害は我々にとって追い風である」というとんでもない発言をしたのは、長崎県土木部河川課の浦瀬課長。

洪水対策に心血を注ぐべき立場の方が、豪雨災害で家族や家を失い、未だに失意のどん底にいる被災者のことなど頭の片隅にもない……石木ダムさえできればそれでいい、という本音が透けて見えました。

「災害は我々に追い風」 石木ダム意見交換会で県課長 /長崎

https://mainichi.jp/articles/20191102/ddl/k42/010/274000c  毎日新聞 2019.11.2

県と佐世保市が川棚町に建設を進める石木ダム事業をめぐり、先月30日にダム建設推進派の県議らが開催した意見交換会で、県河川課の浦瀬俊郎課長が「災害は我々にとって追い風」と発言していたことが出席者への取材で分かった。

浦瀬氏は、毎日新聞の取材に発言を認め、「自然災害が多発する中、一日も早く石木ダムを含め整備を進めていく必要があるという趣旨だった」と説明した。

石木ダムを巡っては、水没予定地内で暮らす13世帯約50人の家屋などの明け渡し期限が18日に迫る。中村法道知事は話し合いを通じて事業に理解を求める考えを示している。

 県議、佐世保市議、川棚町議計33人の意見交換会は冒頭を除き非公開。複数の出席者によると、浦瀬氏の発言は議員らとのやりとりの中であり、その場でもたしなめる声が出たという。

 出席したある議員は「ダムは必要だが、台風19号などで多くの死者が出て、避難生活を強いられている人たちがいる中では軽率だ」と指摘した。

 浦瀬氏は「長崎大水害後にも理解をいただいて、かなりの方に(河川整備のための)移転をしてもらっている。そうした観点から発言した」としている。【浅野翔太郎】

推進派議員ら意見交換

推進派県議でつくる「石木ダム建設推進議員協議会」が10月30日、推進派佐世保市議や推進派川棚町議らと初の意見交換会を開いたそうな。

たぶん、1週間前の強制収用を許さない議員連盟の申し入れに慌てて、県側から、反対派議員の動きばかりが目立っている、賛成派議員もアピールしてもらわねば困る!などというお達しが来たのではないかな?(勝手な想像ですが)

田中会長の「県市町議会で連携し、知事に対して責任を持って推進を訴えていく」という言葉が、そんなことを思わせます。

そして、行政代執行について「(判断を)先延ばしにはできない」との考えを示したそうですが、判断をするのは知事ですよね?ということは、知事へ、早く決断してくださいと言いたいのかな?

何のために?

佐世保市議会の長野議員は、「企業誘致には水源確保が不可欠で、県北地域の浮揚のためにも是非お願いしたい」と語ったそうです。

佐世保市への企業誘致のために川棚町民を行政代執行で追い出す、というなんてこと、佐世保市民は望んでいませんよ!勝手にお願いしないでください。

川棚町議会の田口議員は、「川棚町民の安全のために必要なダムと認識してほしい」とおっしゃったそうですが、その必要性の根拠について、ご本人は認識されているのでしょうか?

以前、川棚での石木ダム学習会で数回お目にかかったことがありますが、参加者から「石木ダムは本当に川棚川の治水にとって必要なのか?具体的に説明してほしい」と問われたら、「県の河川課が必要だと言っているから必要なんだ。川棚川のことを一番知っているのは県の河川課だ。河川課に任せておけばいい」という趣旨の発言をなさっていました。

こういう方々が集まって、「機運醸成」を計り、行政代執行?なんてされては、たまったものじゃありません。長崎県政にとって取り返しのつかない傷と汚点を残します。

そんなことを県民が許すはずはありません!

県保険医協会が声明

小さな記事ですが、大きな意味のある記事です。

長崎県保険医協会とは…県内の医師と歯科医師1930人で構成されている団体だそうです。

お医者さんと石木ダムが、どこでどう繋がっているのかな?と思う方も多いでしょうが、半世紀に亘る行政からの圧力、既に土地の所有権は奪われ、いつかは行政代執行という強権を振るわれるかもしれないという精神的なストレス、そして、目の前で工事が強行され、工事の音も聞こえてくる、そんな日々が続いているのですから、そのような現実が健康を損ねる可能性は十分考えられ、(睡眠障害や体調不良を訴える声もあがっています)、医療のプロとして警告を発してくださったのでしょう。

声明:長崎県は石木ダム建設予定地の行政代執行を急がず、住民との対話を行うべきである

素晴らしいドクターの皆様に、心から敬意を表します。

石木ダム建設促進佐世保市民の会の構成団体の1つである、佐世保市医師会や佐世保市歯科医師会の皆さんは、この声明をみて、どのように感じられたでしょうか?

お尋ねしたいものです。

反対派議連が県に申し入れ

9月14日に結成された「石木ダム強制収用を許さない議員連盟」が、ついに動き始めました。

申し入れ書はこちらです。

20191024議員連盟申し入れ書

行政代執行は、まさに、「民主主義の根幹を揺るがす愚行」であり、「基本的人権を踏みにじる暴挙」です。特に、この石木ダムに関しては!

知事からの面会依頼

9月19日の面談から20日ほど後、今度は知事から住民に面会を求めていました。

記事にもあるように、「ダム建設を前提とした話し合い」には住民の皆さんが応じるわけがありません。

この書簡が届いてまもなく、住民の方から怒りとともに、その書簡が写メールで送られてきました。

言葉は丁寧で長々と並んでいますが、結論は、「事業へのご協力をお願いしたい」「そのための話し合いがしたい」「次の面会が早期に実現できますよう」お願いしたい、というものです。

9月19日の2時間半、あれは何だったのでしょうか?知事の耳にも、脳裏にも、心にも、何も残っていないようですね。これでは話し合いが実現するはずがありません。

知事が本当にもう一度、いえ、何度でも会って話し合いたい、話し合う中で互いに理解し合い、合意点を見出していきたい、と思うなら、ダム計画そのものについてしっかり議論することです。住民側の疑問や意見にまず耳を傾けて、その1つ1つに丁寧に説明する、納得がいくまで説明する、そこが何より求められていることです。

その積み重ねへの努力を怠ったツケが今の事態を招いているということに、早く気づいてほしいものです。

このページの先頭へ