工事差止控訴審第2回 福岡の皆さん、ありがとう!


12月10日、石木ダム工事差止訴訟第2回控訴審。福岡高裁前に集まった人の3分の2は福岡県民!地元こうばる住民9名を含む長崎県民はわずか26名でした。
それは、その日も現地では工事現場での座り込みが行われていたからです。県は「地元の方と話し合いがしたい」と言いながら、最近は隙あらば工事を促進しようと前のめりになっているので、現場を空っぽにするわけにはいかなかったのです。


その穴を埋めるように、福岡市民県民の方がたくさん駆けつけてくださいました。(佐賀県からも3名参加)

しかし、今回もコロナ対策で法廷内に入れる人は限られています。マスコミ席や特別傍聴席を除くと一般傍聴席は、34席でした。

14:30定刻に開廷。
まず、提出された書面や証拠説明書などの確認がありました。

2020.12.8 長崎県準備書面1

2020.10.30 佐世保市準備書面1

2020.12.4 準備書面2(権利性) (当方)

2020.12.3 準備書面3(治水) (当方)

その後、こちらからは、2人の弁護士による意見陳述を行いました。

2020.12.10意見陳述(鍋島弁護士)

鍋島弁護士は、こうばる住民が侵害されている権利の実態は、福島地裁や仙台高裁が認めた「平穏生活権」と同様のものであると訴えました。つまり、自ら選択した生活の本拠において平穏な生活を営む権利は、日常的な幸福追求をする上で欠かせないものだということです。
ダムができてしまい、人々の家や田畑、こうばるの自然がダムに沈んでしまったのちに、「やはり石木ダムは要らなかったね」と認められたとしても、失われてしまった人々の生活や、自然や文化は元には戻りません。回復不能な損害なのです。

2020.12.10意見陳述(緒方弁護士)

緒方弁護士は、近年の豪雨災害を検証すれば従来のダム偏重の治水対策では対応できないこと、また、時としてダムが被害を拡大していることを指摘し、総合治水や流域治水への転換を求めました。そして、1つの案として「田んぼダム」の施策を採用した場合、川棚川流域で、石木ダムの洪水調節容量を上回る貯水能力を確保でき、しかも、その費用はわずか1~2億円で済むという驚きの試算を披露。
<このように、今やダムによる治水は、治水手段として既に不合理なものとなっているのです。不当な人権侵害を行うこととなる本件事業による工事を即時に差し止めるべきです。>

裁判長から今後の方針を問われ、

県と佐世保市は、こちらの準備書面2(権利性)について反論したいと述べ、こちらからは、佐佐世保市の準備書面1(水需要予測)について反論したい。また、治水については専門家による主張や証拠を提出したいので時間がかかる旨を伝え、次回期日の延期を求めました。

それについて裁判長が被告側の意見を求めたところ、県・佐世保市ともに受け入れましたが、佐世保市の代理人は「仕方がないが、次回で終わってほしい」(結審してほしい)と苦々しく付け加えました。

そんなこんなで、次回期日は2月を取消、結局、3月25日(木)14:30~と決まり、閉廷となりました。

その後、弁護士会館に移動し、4階大会議室で報告集会。

いつものように平山弁護士からの説明(前回期日から今日までの書面のやりとり、今日の法廷でのやり取り、今後の予定)の後、意見陳述した2人の弁護士から感想や補足説明がありました。

まず、鍋島弁護士。

前回、権利侵害についてもう少し具体的に説明してくださいとの宿題を与えられ、仙台高裁の判例を参考にした。そこには、福島の人々が原発事故によって奪われたもの(電気・水道・交通・病院などの生活インフラ、職場・学校・親戚付き合いなどのコミュニティ、祭りや行事などなど)があげられ、それが認められた。その要素を1つ1つこうばるにも当てはめて、それらが、原発ではなくダム建設によって奪われていくことを説明した。私としては説明し尽くしたと思っているが、裁判官にはわかっていただけただろうか?被告側は反論すると言っているので、それを見て、また反論していきたい。

続いて、緒方弁護士。

治水に関しては田篭先生と私で書いた。

かつては10年か20年に1回程度だった甚大な豪雨災害が、最近は毎年どこかで発生している。石木ダムがあれば、そのような被害が回避できるのか?と問いたい。逆に被害が拡大する恐れさえある。

50年前の計画にいつまでもしがみつくのではなく、新しい対策が必要ということで、田んぼダムについて紹介した。

例えば、三条市では約1000haの田んぼで200万㎥の貯水を可能にしたが、その費用はわずか1億円だった。川棚町と波佐見町の耕地面積は約1100haなので、220万㎥溜められる。石木ダムに匹敵する貯水量だ。185億円かけてダムを造るか、1億円で田んぼダムを広げるか、普通は安い方を選ぶのでは?

お2人の説明の後、会場からの質問や意見が次々に出されました。

意見:田んぼダムのような先進事例を学ぶべきだ、川棚川のこれまでの水害は内水氾濫が原因で石木ダムを造っても解決しない、ゲンジボタルやオジロサナエ(トンボ)などの貴重な生物への影響は県も認めている、環境の面からも止めるべきだ。

Q:県が準備書面の中で早く裁判を終息させてほしいと言っているが、その根拠は?

A:行政処分について最高裁の判断が既に出されている(石木ダム事業認定は妥当だった)ので、ダムの必要性については既に決着していると言いたいのだろう。

Q:以前出されていた現地視察の件はどうなったのか?

A:これについては裁判所からの回答はまだなく、こちらからも今回は何も述べていない。

Q:治水に関して反論が無いということは、こちらの主張が認められたということにはならないのでしょうか?

A:残念ながらそうはならない。反論する必要もないくらい馬鹿馬鹿しい主張だと、法廷でのやりとりの意味はそういうこと。そして、今さらそういうことを言うなよ、そういうことはもっと早く主張しろという意味もあるだろう。

と回答したのは弁護団長の馬奈木弁護士。続けて・・・


しかし、この裁判で一番大事なのは権利の問題。こうばるの皆さんの生活を守る、権利を守るということは、自分の権利を守ること。自分の生活を守りたければ、こうばるの皆さんの権利を守らなければならない、ということを私は繰り返し申し上げたい。

Q:今日の法廷で被告側の代理人が次回の期日で審理を終わらせよと言っていたが、見通しは?

A:確かに双方の主張は双方出し尽くすかもしれないが、それだけでは不十分だとして、我々は現地視察や証人による証拠調べなどを求めている。裁判所が我々を負けさせようと思えば、認めないだろう。次回でそれは分かる。

最後に控訴人を代表して、岩下さんからの挨拶。

私たちは自分たちの権利を守るために闘っている。このダムは必要性のないダムだと50年前から訴えている。50年前は佐世保では今後17万㌧の水が必要になるから石木ダムを造りたいと言っていた。今は多い時で7万㌧です。当時の予想より10万トンも減っている。それなら要らないじゃないか。それをなぜ裁判所も認めないのか?

私たちはいま毎日寒い中現場で座り込みを続けている。精神的にも限界に来ている。早く裁判に勝ってダムを止めたい。皆さんの力を貸して頂きたい。よろしくお願いします。

その言葉に会場からは一段と大きな拍手が響きました。

社会科見学その後

3日夜遅く、「社会科見学で感じたこと」というタイトルでブログ記事を発信しました。

それは、社会科見学で川原(こうばる)地区を訪れた長崎市立Y小学校のN先生のお話と、子どもたちの感想文を6つほど紹介したものでした。

その感想文は11月28日(土)、N先生の方から持参され、「名前を伏せての公開なら大丈夫です」と言って手渡されました。
自然観察と平和や人権について考える社会科見学をこうばるで実施された同校の試みを、私はたいへん素晴らしいと思っていたし、子どもたちの感想にも興味があったたので、とても有難いと思いました。

きっとここには子どもたちの学びの証が綴られていて、それはN先生にとって誇らしい内容で、多くの人に伝えたいとのお気持ちからではないか・・と想像しました。

読んでみると、子どもたちは予想以上に様々なことを「こうばる」で学んでいました。
そこで、各クラスから2つずつ選び、合計6人の感想文をスキャンして名前は伏せてブログにアップしたのですが・・・

翌日の午後、校長先生からお電話があり、そのブログ記事のページを「閉じて欲しい」と言われました。理由は個人情報だからと。名前を出していなくても、子どもが了解していても、親の了解が取れていないからダメだとのこと。

子どもが学校で書いた作文に親の許可がいるのか内心疑問に思いつつ、「わかりました。いったん閉じます。6人の親御さんに確認して頂いて、了解頂ける方がおられたら、その方のお子さんの作文だけを載せて、あらためて公開させてください」とお願いしましたが、校長先生の了承はいただけませんでした。

何がそんなに問題なのか理解できませんでした。
後で他の方から聞いた話では、この日、校長会があったとか・・
他校の校長から何か言われたのでしょうか?
それとも教育委員会や行政から、何かお達しがあったのでしょうか?

いずれにしても、せっかく素晴らしい社会科見学を体験した子どもたちの感想文を読んだ者として、その欠片くらいはお伝えしたいので、個人情報や著作権に触れないよう、65人の感想文の中から印象に残った文章を拾い集めてみました。

自然観察はメチャメチャ楽しかったようです。
バッタやカマキリなどこうばるの虫たちとの触れ合いは新鮮で驚きがいっぱいあって、「バッタのお尻がとても硬かった」とか、「一番嬉しかったのはカマキリに触れたこと」「カマキリがカマで目をこするのがかわいかった」など、ドキドキワクワク感がとても伝わってきました。

戦争遺構については、「防空壕は真っ暗で、長くて、怖かった」とか「それを当時の人は機械ではなく手で掘っていた」「それも日本人ではなく朝鮮の人が掘ったそうだ」とか・・・先生やこうばるのおじさんの説明に、真剣に耳を傾ける姿が目に浮かびました。
中には、「遺跡の壁はいま工事で少しずつ埋められていて、歴史がもみ消されていくようでこわかった」など、歴史の重みをしっかりと感じ取っている子もいて、驚きました。

そして、人権と公共事業という難しい課題には、さらに真剣な眼差しが向けられていました。

私は最初、石木ダムの話を知ったとき、洪水を防げるのに何で土地を明け渡さないのだろうと不思議に思いました」「県の意見は県民の安全ですが、反対派は自分たちの幸せです。どちらも大切ですが、反対派の方々が幸せな生活を送れるようになる日がくるといいです

自分達の住んでいる所を守りたいという熱い思いが伝わってきました」「こうばる地区は自然がとても豊かで、すごくいい場所だなぁと思いました。夏は自由に泳げると聞いたので、来年時間があれば遊びに行きたいです!!

自然環境を守るために闘い続けるということが一番心に残りました

自分の生まれ育った土地をダムなんかに水でうめるのはだれでもいやです」「県の人の気持ちもわかりますが、強引にやることはないです

もっと、住民と県や佐世保市の話し合いの場を広げて、お互いの意見をきちんときいてから、もう一度、県や佐世保市に、ほかの方法はないのか考えてほしいです

なんでそこまでしてダムをつくらなきゃいけないのか、なんでそんなにダムをつくるのが今なのか、知りたいと思いました」「今まで知らなかった長崎の問題を知れて、よかったと思い・・・

耳をすましてみると、何かを壊されているような音がしました。ダムをつくるために、何かを壊されているのかなと思い、こわかったです

こうばるの人たちはとてもやさしかったりおもしろかったりしたので、いつかぼくもこうばるに住んでみたいです

などなどでした。
こうばるの人=ダム反対派=の話だけを聴かせて、偏向教育ではないか?との誤解が生じないよう、裏話も伝えておきましょう。

N先生のお話では、偏った考えにならないよう、事前に長崎県や佐世保市の説明も子どもたちに聞かせたいと思い、両者にお願いをしたそうですが、佐世保市水道局からは即答で断られ、県河川課は検討した結果「訴訟中の案件なので、子どもたちから質問が出ても答えられないから」との理由で、やはり断られたそうです。

子どもたちと裁判に何の関係があるのでしょう?
なぜ子どもたちの質問に答えられないのでしょう?
広報紙やTVの県政チャンネルでは石木ダムの必要性をしっかり説いているのに・・・

不思議です。(^^;

スタンディングと座り込み

今日は2回目の市役所前スタンディング。

「見直す勇気(を持って欲しい)!」それが、私たちの市への願いです。

市役所前の国道に向かって立っている2人が持っている横断幕は、スタンディングのために新調しました~

市役所の正面玄関に向かうアプローチでも「見直す勇気」

市役所前信号(北側)の傍でも「見直す勇気」

市役所と立体駐車場の間の通路では「石木ダムNO!」

市役所の南側入り口?でも「石木ダムNO!」

市役所前信号(南側)では「石木ダムは要らない」

その反対側でも「見直す勇気!」

こちらも国道を走るマイカーやバスに向かって「見直す勇気!」「石木ダムNO!」

皆さん、見えましたか~運転してる人は前を向いてるから見えないだろうな~バスの乗客はスマホを見てるかな~と思いつつも、頑張って掲げ続けます。すると、たまーにバスの窓からこちらをジーっと見てる人が!目と目が合って手を振ると、ワオ!にっこりしてくれました。

道行く人に「おはようございます!」と声をかけると、目礼する人、小さく頭を下げていく人、小声で「おはようございます」と言う人、いろいろです。半分くらいは無表情で通りすぎて行きますが。

たまーに、はっきりと「おはようございます!」と返す人に出会うと、めっちゃ嬉しくなってしまいます。

そして1時間の間には1人か2人くらい、「ご苦労様」と言って下さる方が…そんな時はメチャメチャ元気が湧いてきます。

8時半。市役所始業と同時にスタンディングは終了。幟などを片づけたら車に分乗して「こうばる」へ。

今日も現場には30人ほどの人が座りこんでいました。差し入れのみかんやお芋やコーヒーをいただいたり、本を読んだり、おしゃべりをしたり、穏やかで平和な抗議行動です。


その様子をネットの向こう側で遠巻きに見守る県職員の皆さん。何時間もただ立っているだけ(途中交代はありますが)というのは一番辛いでしょうね。こうばるの女性たちが振舞ってくれる温かいコーヒーを飲みながら、いつも気の毒だな~と思っています。

こんなバカげた仕事止めたーい!と上司に言ってみませんか?でも、言えないですよね。思っていても。

皆さんのボス=知事の考えを変えるのは、やはり県民の仕事ですね。だから私たちは、やっぱり頑張って、座り込みもスタンディングも続けなくっちゃ…と思う今日この頃です。

明渡し期限から1年

2019年9月:写真家村山嘉昭氏によるドローン撮影

緑織りなす絨毯のような里「こうばる」。この田畑や点在する13軒の家など全てがすっぽり水の底に沈んでしまう・・それが石木ダム計画。その計画遂行のため、長崎県は反対住民が所有する全ての土地を昨年9月19日強制収用しました。その直後に撮られた写真です。

石木ダム計画とは、この写真の真ん中を流れている清流石木川の水を堰き止めて巨大な水瓶を造ろうというもの。その川の流れは写真では見えないほど、細いものなのですが…

この写真の右端のその先(写っていないところ)では、付け替え道路建設工事が既に進んでいました。付け替え道路というのは、上の写真の中にも見えている道路(左端から右斜めに伸びているやや太い線)がダム完成後は通れなくなるので、ダム湖の外を通る新たな道路を建設して古いものと付け替える道路のことです。

10年前から始まって未だに完成しない道路。それは住民や県民による抗議行動が続いてきたから。必要のないダム建設のために新たな道路を造るのは、まさに税金の無駄遣いであり、自然破壊であるという根強い抗議です。

2019年10月:石木川まもり隊MM撮影

先ほどの美しい里山の風景の陰では、山を削りローラーで固める道路工事と、それに抗議して工事用道路に座り込む運動が続いていました。この頃は平日の午前中だけでした。

2020年10月:石木ダム川まもり隊MM撮影

先ほどと同じ現場の写真です。反対派が居ない時に土砂が搬入され工事が強行されようとしましたが、駆けつけた住民や支援者の抗議により中断。その後はここでの作業は中断されたまま。土砂がごろごろの現場で、座り込みは平日午前だけでなく、午後も土曜や祭日も行われるようになりました。

今年の11月18日で、強制収用された土地の明け渡し期限からちょうど1年です。1年経っても明け渡すどころか、住民の皆さんの「ふるさとを守る」という意思はますます強く固くなっています。

その不動の住民に共感し応援したいという人の数も増え、県外からも寝袋を担いで座り込みに参加する人がやってくるようになりました。

この先いったいどうなるのか?知事は行政代執行してでも石木ダムを造る気なのか?それとも断念するか?いやいや、それはないだろう。では、住民が諦めて出て行く?いやいや、それもないだろう。では、どうなる?まさに混迷の石木ダム!

どこかに解決の糸口は無いのか?との思いで企画されたようです。長崎新聞の5日間連続のインタビュー記事を紹介します。

【混迷の石木ダム】核心インタビュー

➀長崎県知事 中村法道氏:代替案なく不退転の決意
https://this.kiji.is/701995600895968353

➁『石木ダム建設絶対反対同盟』岩下和雄さん:「話し合い」今が機会
https://this.kiji.is/702358070994617441

➂佐世保市長 朝長則男氏:渇水の苦しみ二度と
https://this.kiji.is/702714763617387617

➃『石木川まもり隊』松本美智恵さん:市民生活困っていない
https://this.kiji.is/703048208706372705

⑤川棚町長 山口文夫氏:状況打開難しい
https://this.kiji.is/703472377812485217

それぞれの方の考えを知り、想いを受け止めた上で、皆さんご自身はどう思われますか?石木ダムに直接関係ある人も無い人も、一度ゆっくり考えてみていただけませんか?

教育現場で石木ダム問題

10月以降、他県からの支援者(座り込み参加者)が増えています。
新聞・TV等様々なメディアの情報発信のおかげです。

また、新たな傾向としては、高校生や大学生が石木ダム問題に関心を寄せ、現地を訪れるケースも増えています。

その要因は、もしかしたらorたぶんESDかもしれません。

ESDとはEducation for Sustainable Development の略で、『持続可能な開発のための教育』と訳されています。

今、世界には環境、貧困、人権、平和、開発といった様々な問題があります。ESDとは、これらの現代社会の課題を自らの問題として捉え、身近なところから取り組む(think globally, act locally)ことにより、それらの課題の解決につながる新たな価値観や行動を生み出すこと、そしてそれによって持続可能な社会を創造していくことを目指す学習や活動です。

素晴らしいですね!
学校で学ぶのは、教科書に書かれていることだけではない。
現代社会の様々な課題にも目を向け、しかも身近なところにある課題に取り組もうとしている!?

私が学生の頃は暗記中心の授業で、公害問題など社会の課題を学んでも、どこでどんな公害が発生したか、その原因は何か、どれだけの被害者が出たか、その後どうなったか等々を覚えるだけ。知識としての詰め込み教育でした。

それが、今では、その課題解決に繋がる新たな価値観や行動を生み出すことを目指している!教育の現場から持続可能な社会を創ろうとしている!
もしかしたら子どもたちこそが、未来への道標かもしれません。

11月11日に、長崎市から小学生82人が「こうばる」にやってきました!

ダム建設に反対し現在も水没予定地に暮らす住民に話を聞いたり、現地に残る戦時遺構を調べたりして、人権や平和について考えたそうです。
https://this.kiji.is/699439206653674593

子どもたちの心にはどんな言葉や景色が残ったでしょう?
今回の社会科見学を計画してくださった先生や、その計画を実現してくださった校長先生や6学年の先生方の勇気に心から拍手を送りたいと思います。
県内の他の小学校も、是非ご検討を!

先週は長崎大学の学生さんが座り込み現場に訪れて、住民の皆さんの想いをしっかり聞き取りメモしていましたが、その質問の質の高さに驚きました。
これまでの経緯や石木ダム問題の本質を既にしっかり学んでいることが推察でき、今後の研究に密かに期待しています。

また先月は、隣の佐賀県の高校で6人の講師を招いての講演会が開催されましたが、その1人長崎大学の戸田清教授は「石木ダム問題をはじめとする地域の課題、公害・環境・開発問題〜SDGs(持続可能な発展目標)、ESD(持続可能な発展のための教育)を考えるために〜」と題して講演されました。

戸田教授を招いた高校教師は、その意図をメールで教えてくださいました。

常日頃、これだけ情報化やテクノロジーが進んだ世の中に、貧困、格差、差別、多くの問題に歯がゆさを感じておりました。
しかし、社会はSDGsやsociety 5.0に向けた取り組みを始めております。
その中の社会問題として防災、地域格差、の観点から隣県の石木ダム問題に注目していました。SDGs、society 5.0やESDに共感するのは「誰一人取り残さない」という思想です。
マイノリティの村人に寄り添いたいという気持ちと、なんとか水に関わる問題を考えたい気持ちと両方です。

このような先生方の存在に希望を感じます。

そして、未来を担う子どもたちが様々な社会問題に気づき、学び、考え、行動することは、私たち大人にも気づきや反省や勇気を与えます。

子どもたちの新鮮で純粋な想いは、知事や市長、官僚の皆さんのガチガチに固まった頭を和らげ、持続可能な社会への一歩を踏み出す勇気を与えてくれるかもしれません。 (^_-)-☆

こうばる満月ふるさと祭り


10月31日、十五夜お月様の下、川棚町の川原(こうばる)地区では「こうばる満月ふるさと祭り」がおこなわれていました。

元は田んぼだったけれど、今は草ぼうぼうの野原になってしまったところに、草を刈り地面を均し、大きなテントを張って、数日前から準備が進められていました。

主催者は地元の方ではありません。
発起人は長崎市と諫早市の2人の音楽関係者です。

マスコミ報道によると、川原の全ての土地が強制収用されて1年が過ぎた今、「ダムの是非ではなく、若い世代が川原地区に残る山や川など自然を体感するきっかけになれば」との思いで企画されたようです。

私たちが着いた時には、大きなインディアンテントの中で、三味線の演奏が行われていました。

その後もギターや、名前も知らない珍しい楽器が演奏され、

人びとはそのリズムに合わせて体を揺らしたり、聴き入ったり、お酒を飲みながら談笑したり、みんな思い思いに楽しんでいました。

ライブは9時で終わりですが、テントを張って泊まり込む人たちはきっと夜遅くまで焚火を囲んで飲み、語り合い、満月の夜を満喫されたことでしょう。

そして、いま居るこの場所がどんな場所なのか、そのことも感じてくださったでしょう。

ダムができたら、ここは水の底。
隣の田んぼも水の底。
田んぼに住んでいる虫やイモリも水の底。
美味しい川原米はもう食べれない。
美しい石木川の清流が失われるから。
お向かいのあの家も水の底。
あの家に住んでいる家族はどこにいくのだろう?
どこで暮らすのだろう?
もしも、あの家に住んでいるのが私の家族なら…

などと、思い巡らせてくださったなら嬉しいです。

佐世保アーケード街でチラシ配り

今日から霜月。とはいえ午後の昼下がり、佐世保のアーケード街は予想以上に温かく、少し汗をかきながらのチラシ配りとなりました。

そのチラシとはこちらです。

チラシ「佐世保市民の生の声が聞きたい」

実は2回目です。
1回目は10月26日早朝、市役所前で配布しました。
その時は参加者が21人もいたので、1時間で約1000人の方に手渡すことができました!

今日はその半分の11人です。
さあ、どのくらいの方が受け取ってくれるでしょうか。。

久しぶりのチラシ配り。以前よりも受け取る人の確率は下がったような気もしますが、それでも、受け取ってすぐ、チラシに目を通して下さる人も…

こちらも、

あちらも、

若い女性も、

年配の男性も…

用意したチラシ600枚は、1時間半ほどで無くなりました。

受け取った人の10人に1人でもいい。
じっくり読んで、考えて頂けたら…

100人に1人でもいい。
佐世保市民として生の声を行政に届けて頂けたら…

今日そこで私が聴けた生の声は、
・もう今さらダムは要らない。
・もっと大事なことにお金を使ってほしい。
・ダムが必要だとしても、それなら佐世保で造るべき。
などなどでした。

        (‘◇’)ゞ

10月26日以降は…?

ここに書かれていることを要約すると、

1.当該物件(机、椅子、炉、物置、旗その他)の所有者、占有者は、10月26日までに石木ダム建設事務所職員に申し出てください。

2.これらの物件は工事の支障となっているので、速やかに撤去してください。

ということです。
今日の長崎新聞には、期限が明日に迫っているためか、この件を伝える記事が1面に掲載されていました。

小見出しに「私物申告、撤去あす期限」と書かれていますが、明日までなのは所有者が名乗り出る期限であって、撤去の期限ではないと思います。(看板の文面を見る限り)

しかし、そもそも最初の撤去期限は6月19日でした。何回期限を設けても、何回看板を立てようが、自主撤去はされないでしょう。

では、県はどうするのか?
記事によると、
道路区域内の不法占拠物については、

「相手方がわからない、危険度が大きい、違法放置にあたるの要件を満たすと、道路法で撤去できる」そうです。

しかし、相手方はわかっています。個人名を断定できないというだけです。

「所有者がいる場合は口頭や書面による行政指導などを経た後、行政代執行法の手続きを踏むのが一般的」だそうです。

既に口頭や書面(看板)による指導は経ているので、代執行法の手続きに入るのでしょうか?

行政代執行法による手続きとは、その第三条に、次のように定められています。

前条の規定による処分(代執行)をなすには、相当の履行期限を定め、その期限までに履行がなされないときは、代執行をなすべき旨を、予め文書で戒告しなければならない。
2 義務者が、前項の戒告を受けて、指定の期限までにその義務を履行しないときは、当該行政庁は、代執行令書をもつて、代執行をなすべき時期、代執行のために派遣する執行責任者の氏名及び代執行に要する費用の概算による見積額を義務者に通知する。
3 非常の場合又は危険切迫の場合において、当該行為の急速な実施について緊急の必要があり、前二項に規定する手続をとる暇がないときは、その手続を経ないで代執行をすることができる。

つまり、こういうことでしょうか?

1.「〇月△日までに撤去してください。撤去されなかった場合は石木ダム建設事務所の方で撤去します」と告知する。
2.期限までに撤去されなかった場合は、代執行令書(いつ、誰が撤去するか、その費用はどのくらいかかるか書かれたもの)を作成し通知する。
3.非常の場合や危険が迫った場合は、2の手続きを省略できる。

3のケースは考えられないので、1と2の手続きは必須でしょう。
6月には1の手続きまではやったのに、2には進めなかった。
それは、代執行を行う時を通知せねばならないから。通知すると大勢の支援者が結集して大事になるから・・・だったのではないでしょうか?

県も苦しいところですよね。
強制測量の時の苦い経験があるので警察権力は使えないし、この区間の工事が進まないと道路が繋がらないし・・・

1つだけ解決方法があります。

今すぐ工事を中断して、話し合いをすることです。
住民の方が求めている話し合いのテーブルに着くことです。
住民の方に、なぜ石木ダムが必要なのか、なぜここでなければならないのか説明し、質問には真摯に答え、誠意を尽くすことです。

それは起業者として当然のことです。
急がば回れと言いますが、県はその手間を省き、力で推し進めようとした結果、こんなに長引いてしまっているのです。
長引いた結果、ダムの必要性はすっかり色あせてしまいましたね~

身ぐるみ剥がされ、護るもの無い


10月16日午後、こうばる公民館で会議をしていた私たちは住民の方からの通報に、気もそぞろになってしまった。座り込みの現場に重機が入っているとのこと。

会議が終わると同時に皆、現場に向かった。
いつもの場所に土砂が運び込まれ、重機で平らに均していた。

皆、写真を撮ったり、抗議したり…

この時の様子を朝日新聞の記者が詳しく伝えている。

県の職員は言う。
ここは県が管理する工事現場であり、あなた達の土地ではない。
勝手に入ってきて、工事を止める資格は無いと。

しかし、この工事は石木ダムのための付け替え道路の工事だ。
この工事を終えると本体工事に入る。
ダムができれば、こうばる住民はふるさとを追われる。
それが分かっていて見過ごせるわけがない。

まず工事を中断して、話し合いをしてほしいと、住民は訴え続けている。
石木ダムが必要なダムかどうか、根本的な話し合いをしようと言い続けている。
それには耳を貸さず、とにかく工事を進めたい。
だからどいてくれ、邪魔しないでくれ、というのは、あまりにも一方的ではないか。

「土地・家屋の所有権を奪われ、身ぐるみはがされた住民には、護るものも何一つない」そう語ったIさんは、


一人離れた場所から、工事を見つめ続けていた。

その全身から憤りが伝わってくるようだった。

議論を尽くせ

10月15日、長崎新聞は「論説」で石木ダムに関し、県に釘を刺した。

司法の判断を盾に取り、住民を生活の地から追い出すようなことがあってはならない」と。

最高裁が住民の上告を棄却したからといって、強権的な手法を用いてはならない。かつての強制測量のような失政を繰り返すな、と忠告している。

そして、最後に、「開かれた場で反対住民らと向き合い、説明と議論を尽くすことが重要だ」と助言する。

全くその通りです。これはダム賛成反対にかかわらず、多くの県民が賛同するでしょう。

他にもメディア関係者の方からも、「今こそ議論を!」との声が上がっています。

「本当にダムしかないのか。豪雨災害が頻発する今だからこそ、冷静・科学的な議論が求められている

こうばる住民の方も、県民も、メディア関係者も皆それを望んでいます。

知事、佐世保市長、もう逃げずに、きちんと向かい合ってくださいませんか?