工事差止訴訟 第12回口頭弁論~尋問

いよいよ大詰め!
この日は丸一日かけて本人尋問が行われました。
本人尋問とは、原告本人に対する尋問で、当事者尋問ともいいます。

午前中は、ダム問題に詳しい嶋津暉之氏(水源開発問題全国連絡会共同代表)への尋問。2時間かけて治水面に関する問題点が指摘されました。

嶋津暉之氏(報告集会での写真)
その骨子はこちらです。
http://suigenren.jp/wp-content/uploads/2019/07/6aa2ace98148ef838cb0d3a3c97c9d96-1.pdf

簡単にまとめると、

1. 石木ダムができても、その効果が及ぶのは、川棚川流域のわずか8.8%に過ぎない。

2. 最も危険な最下流域は港湾管理者の管理区間で、整備計画もなく放置されている。

3. 川棚町市街地の下水道計画では、10年に1度(1/10)の大雨にしか対応できないので、石木ダム計画で採用している100年に1度(1/100)の大雨が降れば、当然内水氾濫が起きてしまう。

4. 川棚川の下流域(石木川との合流地点より下流)の治水計画の規模を、1/100にしたのは間違いであり、恣意的。
5. その理由の第1は、氾濫計算を行うための項目の1つである河道状況が、現在のデータではなく、原始河道(昭和50年当時)が使われていること。現況で計算すれば1/50となり、石木ダムは不要となる。

6. 理由の第2は、その原始河道のデータも川幅を実際よりもかなり小さくしていた。(当時の航空写真から算出すると実際の川幅は、1.5倍~2倍もあった)

7. 治水目標流量の計算に使われた過去の雨量データも間違っている。当時、川棚川流域に雨量観測所がなかったので佐世保観測所のデータの0.94倍で算出されているが、実際にはもっと小さかった。昭和23年洪水の正しい推定値は0.57倍であった。

8. 県が算出した1/100の雨が降っても、川棚川が溢れるわけではない。石木ダムを造って余裕高を確保しようとしているだけ。

9. 石木ダムの費用便益比は1.25と県は言うが、治水目的である川棚川の便益比はわずか0.12しかない。石木ダムが洪水対策というのは全く理由にならない。

10.  便益の大半は不特定利水の便益であるが、その値はダム完成前から計上するという有り得ない手法が取られている。まともにダム完成後の便益で計算すれば、石木ダムの便益比は0.66にしかならず、不要という結論になる。

スライドを見せながら、石木ダム計画の問題点を次々に暴いていく嶋津氏の説明に、多くの傍聴者が「目から鱗」だったのではないでしょうか?裁判官たちもそうであったと思いたいのですが…。

続いて県側代理人による反対尋問です。
どんな尋問が飛び出すかと興味津々で聴き耳を立てていたのですが…

1人目の弁護士は、長崎地裁の判決(事業認定取消訴訟第一審)で示された「県の主張は不合理とは言えない」という判断を示すことによって反論しようとしましたが、嶋津氏はその結果についてことごとく「知りません」とかわしました。

バトンタッチしたもう1人の弁護士は、「あなたの主張はあくまでもシミュレーションであり、予測ですね」と言い、嶋津氏だけでなく誰もがあきれたのでしょう。傍聴席がざわついてしまいました。

嶋津氏:私の資料は県のデータに基づき計算したものであり、予測などといういい加減なものではありません!
県側弁護士:でも、ダムができてみないと、どのくらいの効果があるのかわからないでしょう?だから予測だと言っているんですが。
傍聴席:でたらめな)予測でダムを造ろうとしてるのは県じゃないか!
裁判長:尋問中です。静かにしてください。

その後も2~3意地悪な質問が出ましたが、嶋津氏は毅然として答え、午前の尋問が終わりました。

昼休みをはさんで、午後1時半からは住民ら6人への尋問が始まりました。
地権者、地権者家族、佐世保市民の順でおこなわれました。
主尋問に沿って語られた証言で印象的だった部分と、反対尋問を記します。

岩本宏さん(地権者)
(報告集会での写真)
結核を患って働けなかった父に代わって、私は子どものころから母を助けて、田畑を耕し牛の世話をして農作業で生計を立てていた。子どものころの遊びといっても、山や川でただ遊ぶのではなく、木の実を採ったり、小鳥やウナギを捕まえたり、食材確保を兼ねていた。
中学卒業後は弟妹の教育費を稼ぐために定時制高校で働きながら学び、卒業後は町役場に就職して、休日には農業に精を出していた。
結婚後は妻と3人の子どもと両親の7人家族の大黒柱としてさらに頑張り、家も新築した。その家を奪ってまで造ろうとしている石木ダムの必要性に納得がいかない。
石木ダムを多目的ダムとしたのは、「国から補助金をもらうために治水目的を付け足した」という県の説明を、私は昭和46年の説明会ではっきり聞いている。
また、水没予定地となったために町からの補助が得られず、道路の拡幅工事も、水田の区画整備も全て自分たちのお金と労力を費やしてやってきた。
どんなにお金を積まれても、ここを出ていく気はない。

反対尋問(県):県が何度も説明会を行ったのは知っているか?平成26年に知事や佐世保市長がこうばるに説明に来たのは知っているか?
岩本:知っている。
反対尋問(市):石木ダムに反対する最大の理由は何か?認める余地はないのか?
岩本:最後まで頑張ります!

石丸勇(地権者)
(報告集会での写真)
こうばるは自然が豊かなだけでなく、暮らし(近所付き合い)も豊か。老人会や婦人会、サクオレやサナボリなど農作業に関する行事、お寺関係の勉強会など様々な集まりや催しがあり、みんなで協力してやってきた。しかし、ダム反対運動に追われ、だんだん消滅していった。ほたる祭りだけは今でも地域総出でやっているが。
妻も今では反対運動を一生懸命やっているが、以前は、「あなたと結婚したばっかりに、こんな苦労をせんといかん。あなたと結婚してなかったら、違った人生もあったのに」 と時々愚痴を言っていた。今でも「本当にすまなかったなぁ」と思っている。
(最後に言いたいことを聞かれ、)石木ダムは大変な人権侵害である。利水でも治水でも必要性は全くない。これは嘘で固めたダム計画である。

反対尋問は県からも佐世保市からもありませんでした。

岩下すみ子(地権者の家族)
(報告集会での写真)
平成4年に新築した家は夫が設計したもので、使われている木材は全て岩下家の山から伐り出したもの。その木はお義姉さんたちが苗から植えたヒノキであり、そこに住んでいることに安らぎを感じる。
32回目を迎えた今年のほたる祭りにもたくさんのお客さんがきてくれた。数週間前から山菜取りなど食材の準備は始まり、前日も当日もとても大変だが、他所で暮らしている子や孫、支援者の方々と一緒になって作業するひと時は貴重だ。終わった後の達成感や飛び交うホタルの美しさに癒され、また来年も頑張ろうと思う。
もしも石木ダムができたら、この祭りを含むすべての暮らしが奪われる。(涙声)
(家が壊される場面をイメージしたことはあるかと問われ)イメージしたこともないし、考えたくもない、何があってもここに住み続ける。私たち13世帯はこうばるに住むことが一番の幸せ。その幸せを力尽くで奪わないでほしい!

反対尋問(県):あなたにとって納得のいく説明とは?納得のいく説明があれば石木ダムに賛成するのか?
岩下:議論すれば必要性はなくなります。

松本好央(地権者の家族)
(報告集会での写真)
松本家がこうばるに移り住んだのは昭和51年のこと。ダム建設計画に反対だった祖父が、こうばるの地を守りたいと考えての決断だった。その祖父が建てた家に、今も4世代9人で暮らしている。
自宅の隣には父親が経営する鉄工所があり、母や自分もそこで働き生計を立てている。長男もいずれ後を継ぐべく、今は他県で溶接の修行中である。
小学2年のとき強制測量があり、機動隊員が大勢やって来て怖い思いをしたが、その時から自分の中にも、この土地を守りたいという思いが芽生えたようだ。
今は、こうばるの暮らしを描いた映画の上映会に参加したり、田植えや稲刈り体験会を開催して、多くの方にこうばるの暮らしと石木ダム問題について伝える活動をしている。
裁判官の方にも是非こうばるに来て頂きたい!
今朝もばあちゃんが作ったトマトを食べてきたが、「92歳にもなって、今からどこに行かんばとか?」と言っていた。

反対尋問(県):(見ざる・言わざる・聞かざるの大きな看板の写真を指差して)これはどういう意味なのですか?(あなた方は県が説明不足だと言うけれど、県職員の話には耳を塞いで聞こうとしないではないか、と言いたかったのでしょう)
松本:僕はその頃子どもだったので知りません。

石丸穂澄(地権者の家族)
(報告集会での写真)
高校卒業後、名古屋にある美大進学系の予備校に入学したが、わずか10日で断念。体調を崩してこうばるに戻る。自宅療養を続け快方に向かったので、再度長崎市内で一人暮らしを始めたが、再び悪化し入院。精神科の病気はなかなか周りから理解してもらえないが、環境がものすごく大事で療養するためにはこうばるという場所が不可欠である。
自分にできるのは絵を描くことなので、「ダムのツボ」や「こうばる通信」を発行したり、絵ハガキや缶バッジなどで石木ダム問題を伝える活動をしている。ツイッターやブログなどでも発信している。
(県や佐世保市に言いたいことは?と問われ)、私たちの税金を使ってデマを広報で流さないでほしい。

反対尋問(県):そのデマとはどういうことか?
石丸:嘘を言っているということ。

松本美智恵(佐世保市民)
(報告集会での写真)
2008年に移り住んで初めて石木ダム問題に出会った。佐世保市の水道用水確保のために川棚町のこうばる地区の人々が苦しんでいるのを知って、本当に必要なダムなのか知りたいと思い、7回に及ぶ学習会に参加。その結果、石木ダムは不要と確信。石木川まもり隊を立ち上げ、様々な活動(学習会・ホームページやSNSで情報発信・議会への請願・イベントや現地案内等)に取り組んでいる。
石木ダムが不要と考える主な理由は3つ。
1.水需要予測の誤り。
2.漏水対策こそ最優先課題だから。佐世保市の漏水量は1日平均約1万トンであり、それは佐世保市民5万人分の生活用水である。
3.ダム関連事業費の負担が大きく水道料金のさらなる値上げや漏水対策の遅れに繋がる。
(最も問題だと思うことは?と問われ)行政は現実を直視していない。水需要の減少や水道施設の老朽化を直視すれば、新たなダム建設という選択肢はあり得ない。建設してしまえば、その維持管理費は私たちの子や孫が背負っていかねばならない。目先のことだけ考えて物事を決めればどうなるか、年金問題をみれば明らか。今ならまだ間に合う。佐世保市はダム有りきの政策を止め、市民の声に耳を傾けてほしい。

反対尋問(市):あなたは佐世保市が漏水対策に力を入れていないといいますが、過去44年間に225億円も使っている。この数字はご存知ですね?
松本:知っています。だから私たちは、その費目ごとの内訳を尋ねました。例えば平成30年度予算案で漏水調査費は600万円と書かれていましたが、長崎市の漏水調査費は数千万円で、桁違いです。毎年どのくらいの調査費を使っているか知りたくて。でも、費目ごとの整理はしていないとのことで、何にどのくらい使われているのか、教えてもらえませんでした。

以上で全ての尋問が終わりました。
裁判官からの質問は一切ありませんでした。

次回、11月18日(月)を結審とすることが決まり、閉廷となりました。

その後、いつもの中部地区公民館で報告集会が行われました。


平山弁護士:事業認定取消訴訟でも提出した伊藤先生と富樫先生による意見書を提出したが、証拠調べも証人尋問もしないとして、次回が結審となりました。

続いて、尋問を受けた方々からのコメントです。

嶋津さん:これなら勝てるという意見書をまとめたつもりです。しかし、それをどれだけ裁判官が認めてくれるかはわからない。実は昨日も私が関わっている東京のスーパー堤防の判決が出ました。審理の中では十分勝てる内容だったし、裁判長もいい人だったが、それでも勝てなかった。残念ながら、そういう司法の現状があります。今日の反対尋問は、私に対し「反対派」というレッテル貼りをしようとしたり、私の主張を単なる予測として片付けようとしたり…もう少し質の高いものを期待していたのですが、残念でした。

岩本さん:あの場では言えませんでしたが、治水が付け足しであるという根拠は他にもいろいろありますし、佐世保の慢性的水不足というのも全く出鱈目。県民は騙されていると思います。

石丸勇さん:私の時だけ反対尋問がなかったですねぇ。(笑い)それが何を意味しているのか?ホッとしたような、もっと言いたかったような…。ここで言っても裁判官には伝わらないので終わります。

岩下すみ子さん:陳述が進むにつれて、本当にこうばるという土地が大切だなーと感じて、つい涙が溢れてしまいました。とにかく、13軒が住み続ければ絶対に勝ちます。ガンバロー!

松本好央さん:私はこうばるに住んでいるだけでなく、そこに鉄工所があって生業としていることを主に話しました。「ほたるの川のまもりびと」の上映会の話をしたのは、いろんな世代が頑張っていることを伝えたかったから。最後にばあちゃんの話もできて、それがよかったと思います。

石丸穂澄さん:だいたい言いたいことは言えたと思います。病気に対する闘い、病気に対する偏見との闘い、そしてダム問題との闘いについて伝えたつもりです。ただ、それを聞いていた裁判官たちが偏見を持っていたら伝わらないと思いますが。

松本美智恵:先ほどすみ子さんは話しているうちに涙が溢れてきたとおっしゃいましたが、私は話しているうちに怒りが湧いてきて…(笑い)でも、私も言いたいことは言えたので良かったです。

高橋弁護士:今日の尋問を聞いていて、皆さんそれぞれの話が非常に良かった。嶋津さんの原始河道の話など新しい発見もあったし、説明がわかりやすかった。住民の皆さんの思いもよく伝わってきたし、佐世保市民にとっても石木ダムは不要だということが確信持てました。確信を持つことが大事です。一緒に頑張っていきましょう。


八木弁護士:岩下すみ子さんの担当をしました。電話で数回、事前の打ち合わせをやったのですが、その度に最後は泣かれました。考えれば考えるほど、思えば思うほど、こうばるへの愛着が湧いてくるのだと感じましたし、これこそが裁判官にイメージしてもらわなければならないことだと思いました。この裁判で問われている人格権、石木ダムができたら失われるものは何か、人と人との関係性であったり、積み上げてきた時間であったり、尋問の準備をする中で、私にもそれがはっきりわかってきました、これからも頑張ります。

鍋島弁護士:私も尋問を担当しましたが、他の方の尋問を聞けてとても良かったです。それぞれの原告の方が全く別の視点からこうばるの素晴らしさを伝えていましたし、石木ダムが要らないんだということがよくわかりました。裁判官がどんな判決を書こうとも、確信をもって「要らないんです!」と、言い続けていこうと思います。

弁護団の話を聞きながら、なぜかふと、あの言葉が思い出されました。

世の中に、正しいことぐらい強いものはありません

そう。戦争放棄について子どもたちに説明した「あたらしい憲法のはなし」です。

これからさき日本には、陸軍も海軍も空軍もないのです。これを戰力の放棄といいます。「放棄」とは「すててしまう」ということです。しかしみなさんは、けっして心ぼそく思うことはありません。日本は正しいことを、ほかの國よりさきに行ったのです。世の中に、正しいことぐらい強いものはありません。

戦争と石木ダムは何の関係もないのですが、なぜかこの一節が浮かんできたのです。
それは、初めてこの本に出会ったとき、「世の中に、正しいことぐらい強いものはありません」という言葉がとても新鮮で、当時の私を支えたからでしょう。

あまりにも理不尽なことが多い昨今では、すっかり忘れていましたが、今日の尋問と、その後の集会の中で、私は私たちの主張の正しさを確信しました。その確信が、記憶の底から、あの一節を呼び寄せたのだと思います。

そして、それはまさに、こうばるに住む皆さんの強さの理由だと気づきました。

石木ダム工事差止訴訟第12回口頭弁論のお知らせ

みなさん、こんにちは。

明日は石木ダムの重要な裁判が開かれます!

証人尋問(嶋津先生)と本人尋問(地権者ら原告6人)が行われます。



石木ダム工事差止訴訟第12回口頭弁論

7月17日(水)10:00~

長崎地裁佐世保支部

傍聴抽選9:30(その後、門前集会)

報告集会 中部地区公民館講座室(光月町体育文化館隣)



尋問の順番と時間は、以下の通り。

1.嶋津暉之氏(水源開発問題全国連絡会 共同代表)
主尋問90分+反対尋問30分

2.岩本宏之さん(こうばる地権者)

3.石丸勇さん(こうばる地権者)

4.岩下すみ子さん(こうばるの主婦)

5.松本好央さん(こうばるの若者)

6.石丸穂澄さん(こうばるの若者)

7.松本美智恵さん(佐世保市民)

2~7については、主尋問20~25分、反対尋問5~10分。

以上の尋問は、10時から、ほぼ一日かけておこなわれます。





昨日は、担当の弁護士の先生とみっちり打ち合わせしました!

きっと大丈夫、ちゃんと喋れるように随所に工夫を凝らしています。

みなさん、楽しみにしていてください。

これから、ほずみは裁判に向けて集中力を高めてまいります。

応援どうぞよろしくおねがいします。

福岡高裁が死んだ日

昨日、7月3日は、事業認定取り消し訴訟控訴審の第3回口頭弁論の日でした。

福岡高裁へ向かう「こうばる発させぼ経由」の貸し切りバスの車中は、笑い声に溢れ、みんな元気いっぱい。
というのも、今回、お二人の学者(法政大学文学部経済地理学教授伊藤達也氏と岐阜大学地域科学部教授富樫幸一氏)により、石木ダム計画の問題点を指摘する意見書が提出されたので、この日の審理の展開に誰もが密かに希望を感じていたからだと思います。

門前集会で合流した弁護団の表情も晴れやかでした。

午後2時、開廷。
提出書面の確認後、通告通り、原告側から、その書面の要旨を陳述しました。

最初に、緒方弁護士から治水に関して述べました。



法廷スケッチ=中島三代治さん

主張したのはただ1つ、「県が算出した費用便益比は正しくない。算定方法が不適切」ということです。

石木ダムの治水目的は川棚川の洪水対策であるのに、①石木川の被害軽減や、②河川流量の維持による利益を重視し、③しかも、その利益は、ダムができる前の昭和50年から計算しているという、とんでもない手法でやられていたのです。
そのような誤魔化しをしなければ、石木ダムは費用に見合う効果が得られないということです。

全文はこちらです。高裁J7要旨


続いて、高橋弁護士が利水に関して述べました。



佐世保市が算定した水需要予測と保有水源の問題点について、学術的に客観的に指摘された2人の学者の意見書をもとにわかりやすく論述。

特に、慣行水利権を保有水源として認めようとしない佐世保市に対し、「本来、後発水利権は先発水利権を侵害しない限度でしか認められない」のであるから、ダムよりも先発している慣行水利権を不安定として除外するのは、著しく不合理だと断じました。

全文はこちらです。高裁J8等要旨

そして、意見書を提出した伊藤教授と富樫教授の証人尋問を求めました

それに対し、西井和徒裁判長は、被告側に意見を求め、被告代理人が「その必要は無い」と述べると、言下に「当裁判所も必要ないと認め、採用しない」とあっさり却下。

えっ!?と思っているうちに、裁判官3人は立ち上がって後ろの扉の中へ。
約2分後、裁判官たちは戻ってきて着席。

向こうで何を相談していたのかな~と思っていたら、
これで審理は終結します。判決は11月29日午後1時10分に言い渡します」と。

「えー!」「なんだ?これ!」「何なの?」と傍聴席はザワザワ。
そんな反応にはお構いなく、再び3人の黒衣の人は扉の向こうに去っていきました。



つまり、控訴人が、新たな証拠や意見書を提出しているにもかかわらず、それらには一顧だにもせず、福岡高裁の西井和徒裁判長ら3人の裁判官は、問答無用と一刀両断。私たちを斬り捨てたのです。

民主主義国家の裁判官とは思えない、酷い仕業です。

おそらく、それらの証拠調べをすれば、行政側の不都合な真実が見えてくるから、忖度ではなく、露払いをしたのでしょう。

閉廷後、高裁の建物の隣の弁護士会館で始まった報告集会では、弁護団の中からも次々に怒りのコメントが発せられました。

中でも、弁護団長の馬奈木昭雄弁護士は、「福岡高裁が死んだ日」「裁判所としての使命を放棄した日だ」と吐き捨てました。



しかし、一方で、「初心に帰ろう!」とも言われました。

裁判で勝っても、石木ダムが止まるわけではない。
裁判は水戸黄門の印籠とは違う。
悪代官は水戸黄門にひれ伏すが、国は司法に従わない。
我々が要求を実現する道はただ一つ。頑張り抜くこと。
おかしいことはおかしいと言い続けること。
許せないことは許せないと態度で示すこと。
「あらためて頑張り抜きましょう!」と。

そうですよね!
落ち込んでいる場合ではありません。

こんな理不尽な裁判がまかり通る今の社会は、絶対おかしい!
もっとまともな社会にしたい!

でも、私に何ができる?

まずは、投票に行きましょう!
まもなく参院選。
今日、7月4日に公示されましたね。投票日は21日です。

立候補者の1人、辻村ちひろさん(環境保護NGO職員)は、こんなことを訴えています。
https://www.reiwa-shinsengumi.com/vote/#voteId06


今でも自然破壊は各地で起こっています。

そこでは、いつでも普通に暮らしたいと思っている人々が、その他多くの人たちの利便性向上のためにその暮らしを奪われています。

私たちはいつまで、自分たちの利便性向上のために人を犠牲にし続けるのでしょう?そんな社会を根本的に変えたい。

石木ダム建設のように、自分たちが暮らしている場所がそこに暮らしていない人たちの利便性向上を目的に奪われていくことをもう止めたい。
ただ、普通に暮らしていきたいという願いが叶えられない社会はおかしいと思います。

自然環境を保全することは、ただそこにある自然を守ることではありません。
そこにくらす人たちの暮らしを守ることです。

国政の場で働こうと立ち上がった人の中に、石木ダムについてこんなに真剣に考えている方がいるなんて…驚き、嬉しさ、元気が湧いてきました。

福岡高裁を生き返らせるためにも、ますます頑張りましょう!

「ほたるの川のまもりびと」法廷での上映却下

工事差止訴訟第11回口頭弁論が、6月4日、長崎地裁佐世保支部で開かれました。



(法廷スケッチ=中島三代治さん)

4月から裁判長が変わったので、平井健一郎新裁判長に直接思いを伝えるために、原告側から4人が意見陳述を行いました。

 



トップバッターは、原告代表の岩下和雄さん

「先日、長崎県収用委員会が収用裁決を行い、県より土地家屋を11月18日までに明け渡すようにと一通の命令書が届きましたが、私達は不要なダムの為立ち退くことも土地家屋を明け渡すことも絶対にありえません」と断言し、もしも知事が「行政代執行を行えば、長崎県の恥、後世まで悔いを残すことになるだろう」「裁判官の皆様には、石木ダム工事の差止めを命じることによって、ダム建設にこだわらない、治水・利水の見直しを行うよう長崎県に指導いただければ幸いです」と陳述しました。

 



続いて陳述したのは、利水担当の毛利倫弁護士

佐世保の水需要予測の不可解さを指摘し、だからこそ、「佐世保市水道局の責任者である谷本薫治局長を直接尋問すること」が不可欠であり、「谷本局長の証人尋問を採用されるよう改めて強く要望いたします」と結びました。

 



三番手は治水担当の田篭亮博弁護士

石木ダム計画における治水の問題点、①計画規模、②基本高水、③治水方法、④費用便益比の4つについて、いずれも結論ありきで数字合わせをしていると指摘、特に費用便益については、次回、証人として出廷予定の嶋津暉之氏が明らかにしてくれるだろうと述べました。

 

最後は鍋島典子弁護士



「石木ダム建設工事は、13世帯もの人々の生活とそこで築かれてきた一つの地域社会を消滅させるという点で、人々の人格権の侵害」であると述べ、それは5人の本人尋問であきらかになるだろう、「原告らがなぜこうばるの土地を離れないのか、心からの言葉を真摯に聞いていただきたい」と訴えました。

以上、4名による意見陳述書はこちらです。

工事差止訴訟第11回口頭弁論-意見陳述集

 

その後、提出された書面や書証の確認がありました。

原告側が提出した「ほたるの川のまもりびと」を法廷で上映することに対して、裁判長が被告側の意見を聞くと、県も市も「法廷で上映する必要はない」と述べ、裁判長は「検証を却下」しました。

一方、尋問については、前回の進行協議や原告側の上申書の通り行うことが決定されました。その順番と時間は、以下の通り。

1.嶋津暉之氏(水源開発問題全国連絡会 共同代表)
主尋問90分+反対尋問30分

2.岩本宏之さん(こうばる地権者)

3.石丸勇さん(こうばる地権者)

4.岩下すみ子さん(こうばるの主婦)

5.松本好央さん(こうばるの若者)

6.石丸穂澄さん(こうばるの若者)

7.松本美智恵さん(佐世保市民)

2~7については、主尋問20~25分、反対尋問5~10分。

 

以上の尋問は、次回7月17日(水)の10時から、ほぼ一日かけておこなわれます。

次々回の期日は、9月18日(水)の予定です。

 

報告集会では、これらの内容について平山弁護士から報告があり、その後いつものように、質疑や意見交換となりましたが、参加者の関心は、前日に届いたばかりの収用裁決書についてです。

こうばるの地権者以外にも、共有地権者が200名以上もいます。書類が届いた人の多くが怒りだけでなく、戸惑いも感じているはずです。いま自分は何をすべきか、何ができるのかと。

報告集会には、地権者の皆さん、弁護団、共有地権者、支援者などそれぞれの立場の人たちが揃っているので、ちょうどいい機会です。意見を出し合い、大方の方針が決まりました。

まずは、30日以内という期限に間に合うよう、不服審査請求をみんなでまとめて提出する、ということです。これを急がねばなりません。

さらに具体的なことが決まったら、関係者の皆さんにはお知らせしますので、今しばらくお待ちくださいね。

その他のことでは、

〇法廷で「ほたるの川のまもりびと」を上映し検証することはできなくなったが、証拠として扱われるのなら、裁判官や被告はちゃんと見るのか?との質問に、弁護団は「被告側が観るかどうかはわからないが、裁判官は観るでしょうね。まともな裁判官なら」と答えました。

〇毛利弁護士の意見陳述も空しく、谷本水道局長は、やはり証人を却下されました。(水道局長が尋問されると、よほどマズイことがあるのかな?と勘繰りたくなりますね~)

〇共有地権者だけでなく、立木トラスト運動に参加し、地権者の敷地の立木を買い取って所有している人たちがいる。この人たちの所有権はどうなっているのか?との質問があり、これについては所有者リストと状況など把握して弁護団で検討することになりました。

〇9月19日の強制収用の前に、強制収用させない運動、世論づくりが重要、という点で全会一致。具体的な行動案は7団体による連絡会議で話し合うことになりました。

 

いま、こうばるはまさに「ほたるの里」です。ほたる祭りが終わっても、ホタルを見に来る人がたくさんいるそうです。

先日、友人(佐世保市民で若いお母さん)も子どもと一緒に見に行ったのですが、そのとき小学1年生の息子さんが「 市長さんも見に来たら、意見が変わるかな」と言ったそうです。

きっとN君は闇に舞うホタルの光に圧倒され「すごい!」と思ったのでしょう。ここがダムになったら、もうこのホタルは見られない。市長さんはきっと、ここのホタルを知らないんだ。見たことないんだ。見たら考えが変わるかもしれない。きっと!

と、思ったのかな~
私も同じことを思いましたよ~

裁判官の皆さん!こうばるのホタルを見に来ませんか?

忙しくてその時間が無い?
それなら、せめて、あのDVDを見てほしい!

ほたるの川のまもりびと

それを観れば、こうばるの人々のありのままの暮らしが伝わってきます。

どの家庭も、ホタルのように、優しく、温かく、懐かしい光を放っていることに、きっと気づいてくれるはず…。

それが、本当にかけがえのないものであることに。

気付いてほしい! (‘◇’)

こうばるほたる祭り2019 共鳴する人と蛍

今年も大盛況のこうばるほたる祭り‼



この幻想的な風景と、美味しいものがいっぱいの「こうばるほたる祭り」をまだ体験していない皆さんのために、その様子を、精いっぱいレポートさせて頂きます!

祭りは夕方6時に始まりますが、ホタルの乱舞が見られる8時頃までは、テントの中は「大食堂」状態。こうばるのお母さんたちの手料理を求めてお客さんが殺到!


コロッケや手羽先の揚げ物、おでん、焼きそば、ぜんざい等々。


山菜おこわに山菜の煮物、ヨモギ餅、ほたる団子、猪肉のスペアリブなどを求めて長蛇の列ができます。


こちらでは、こどもたちが金魚すくいを楽しんでいますが、そのお世話をしてるお兄ちゃんは、こうばるの中学生。ほんの数年前までは、祭りを楽しむ方でしたが、今はすっかり裏方に徹して頑張っています。


こちらは、ホタルかごの講習会?こうばるで生まれ育ち嫁いでいった女性が、おばあちゃんになってもこうばるに帰ってきて、ホタルかごの作り方を伝えています。

ほたる祭りを歌で盛り上げてくれるのは、「うたごえ長崎」の皆さんたち。

こーこーは こーおばるー ほーたるーのさとー
しーぜんーをまーもーるー ひーとがーすむー

歌声につられて、踊り出す子どもも!

その歌とは…こちらです。


テントの中の喧騒をよそに、看板の前でのんびり食事を楽しむご家族。いいですね~


石木川まもり隊のブースにも、たくさんの方々が立ち寄ってくださいました。

石木ダム問題や裁判に関する資料に目を通す人、絵ハガキや缶バッチなどこうばるグッズを楽しそうに選ぶ人、写真集を買っていく人、「滴」の購読申し込みをしていく人などいろいろですが、最も多かったのは、水槽コーナーです。


「こうばるの魚ハカセ」が今年は不在なので、彼に代わって、私たちが石木川に棲む生きものを展示しました。

左の水槽にいるのは、ドンコ、カワムツ、ムギツク、ヨシノボリなど。水槽の壁にペタッと貼りついているのはカワニナ。ホタルの幼虫が餌としている貝です。


右側の水槽には、サワガニ、ヤゴ、ツチガエルなど。


こちらには、メダカとサンショウウオの赤ちゃんがいます。


そして、こちらは絶滅危惧種のヤマトシマドジョウ。


こちらは、子どもたちの一番人気のアカハライモリ。

祭り当日、こうばるの子どもたちが田んぼで捕まえてきたイモリです。あっというまに数十匹も!

ところで、これまで紹介してきた写真は、実はみんな私が撮ったものではありません。今年のお祭りは例年よりも忙しく、カメラを手にする余裕がありませんでした。

写真を提供して下さったのは、西海市の渕康裕さん、長崎市の太田愛美さん、そして、神奈川県にお住いの小林宏行さんです。

小林さんは、こちらの記事(5/27毎日新聞)に紹介されている方です。



小林さんご一家は、昨年、地元の映画館で「ほたるの川のまもりびと」を鑑賞。
長男のY君は、ちょうど学校で水やダムについて学んでいたこともあり、石木ダム問題に興味を持ち、いろいろ調べたことを授業の中で発表し、みんなに伝えました。
Y君の想いに共感したクラスメイトたちは、3学期末、クラスがバラバラになる直前、「4年2組有志一同」として、石木川まもり隊に応援メッセージを送ってくれたのです!

そんなY君のために「こうばるほたる祭り」を見せてあげたい、体験させてあげたい、と思われたのでしょう。小林さんは2泊3日の予定でこうばるへの旅を企画し、親子4人でほたる祭りに参加されました。

前日はこうばるを散策。付け替え道路の工事現場や、木場地区の石積みの棚田などにも足を運び、様々な思いを感じられたようです。

当日は、朝から公民館でお手伝い。


ほたる団子のアンコを丸めたり、できた料理を冷ますために団扇で扇いだり、パック詰めされたものを輪ゴムで留めて、それを箱詰めしたり…いろいろ頑張ってくれました。


この日、とても暑かったので、石木川で一休み。
弟のS君です。澄んだ流れと小石の感触が気持ち良さそう!


祭り会場で、Y君からのお手紙にお返事を書いたNちゃんとも出会えて、良かったねー!


こちらは地元のお姉さん。あの映画のナレーターのお姉さんだよ!
良かったねーきっと内心ドキドキだったかな?


小林さん一家は写真展会場にも足を運び、



展示された写真の数々を観て、Y君はこんな感想を残していきました。



さて、


こちらは、ホタルかご。
編み目から小さな黄色の光がこぼれています。
若い友人がホタルを逃がす前に見せてくれました。

その友人から昨日こんなメールが届きました。

せっかくのほたる祭りに水を差すように、直前に土地の強制収用の裁決が下りたことに、怒り悲しみの心境での参加でしたが、悲壮感を感じさせない、力強く明るい空気が、お祭り全体にただよっていました。

それに、ほたるを眺めているときに、今年はいつもより多い!という声もあちこちから聞こえてきました。人も自然も共鳴しあって、こうばるの地を守ろうとひとつになって明るく光っていたのでしょうね。

私もブースを撤去した後、やっと河原まで見に行きましたが、時間が遅かったので、その数はかなり少なくなっていました。
でも、その光は、いつもよりも大きく力強く感じられて不思議でしたが…



そうか、そうなんですね…。

こうばるの地を守りたいと思う人々と、こうばるの地で生きる生きものが共鳴し合っていたんですね。

Y君の感想が再びポッと、ホタルの光のように、脳裏に浮かびました。
ほたるをこんなにみたのは初めてでした。
ぼくもできることがあれば、てつだえるとうれしいです‼
 (‘◇’)ゞ

第32回こうばるほたる祭り



今年も恒例のこうばるほたる祭りが開催されます。
今日は地元川棚町内の新聞折込にもチラシが入っていました。
「毎年5月の最終土曜日に開催」が定着しています。
今年は今のところ天気にも恵まれそう。
みなさん今年も遊びに来てね。



第32回こうばるほたる祭り

日時 2019年5月25日(土)

雨天決行!

時間 18時よりぼちぼち始まります

場所 こうばる広場

住所 長崎県東彼杵郡(ひがしそのぎぐん)川棚町岩屋郷



こうばる地区のホタル鑑賞期間は5月下旬から6月中旬ごろまでです。

こうばる探検隊 春の巻

5月6日、史上初の10連休!最終日、ようやく「こうばる探検隊 春の巻」の開催です。
春というにはチト遅い気もしますが、暑からず寒からず、ピーカンでもなく…野原や河原で遊ぶには最高の日和でした。

午前10時、こうばる広場には、佐世保や川棚、東彼杵からやってきた親子とスタッフ46名、そして、こうばるの子どもたちやお父さんなど7名が集まりました。

まず初めに、こうばるのお母さん代表のすみ子さんから歓迎の挨拶をいただきました。

続いて、スタッフのKさんとNさんから今日の探検コースの説明。

そして、昆虫博士の西澤先生から大切なお話が…。


ここには野原がある。川がある。ここの川は深過ぎない。子どもが遊べるいいところです。

でも、川があって、野原があって、田んぼがある。こういうところにはマムシがいます。危ないよ。勝手に先に進まない。あいつら弱虫なんだ。弱虫だから驚いて噛みつく。脅かしちゃダメだ。必ず大人の後についていくこと。いいな!
大人は子どもを守ってください。
一人が噛まれたら、今日の遊びは終わり。誰かが怪我したら遊びは終わり。
だからいいか、自分の身は自分で守る!危ないことはしない!

とたんに子どもの顔つきが変わる。真剣な表情。しかも怖がってはいない。
大人も変わる。私語がピタリと止み、背筋も空気もピンとなる。

さあ、出発です。

生い茂った草むらをかき分けて進みます。


お馴染みのテントウムシカタツムリさん、こんにちは!


西澤先生の合図で皆まぁるくなって、少しずつ前へ。

草の中に隠れている虫たちを追い込んでいきます。
そうして飛び出してきた虫たちを捕虫網で捕まえて透明のケースへ入れてじっくり観察。


見るだけでなく、手に載せて感触を得ることも大事。

触りたい人?ハイ!と元気な子どもたち。
先生の手から子どもたちの手へ次々と。

観察が終わったら野原に放します。


さあ、みんなも自分で捕まえてごらん!と言われ、大人も子どもも目を皿にして虫探し。

何が捕れたのかな?

分からない時は、自然観察指導員の方に尋ねたり、昆虫図鑑で調べたり。

そうやって捕獲した虫たちを子どもたちは得意げに先生の元へ。


ヒラタアブ、キリギリス、トノサマバッタ、オオカマキリ、ハムシ、ジョウカイボン、コメツキムシ等々たくさんの虫たちがいたようです。
(トイレ係の私、子どもたちを公民館へ案内していたので、写真が撮れなかった!残念!)

実はみんなが集まる前に、既に広場の隣の家のそばで見つけた虫もいましたよ。


ナナフシです。

この野原に、ポツンと1本の桜の木。


この木の幹の肌には髭のようなもじゃもじゃがたくさん…

近づいてよく見ると、ミミズのようでもあり…

これはミノムシの仲間でガの幼虫だそうです。
と言われても一般的なミノムシとは似ても似つかないですよねー。
先生の説明を聞きそびれたので、帰宅後ネットで調べた限りでは、ヒモミノガの幼虫のようです。
http://mushi-akashi.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/post-2d3f.html

でも、このヒモだかヒゲだかミミズだかわからない細長いものが蛾になって飛んでいくなんて信じられない…昆虫はまさに変化する生きものですねー

さて、そろそろお腹の虫も泣き始めたので、お昼にしましょう~
向かった先は…



川原公民館!

みんなお腹が空いていたんだね~食べるのに夢中で急に静かになりましたよ。手作りのお弁当が美味しそう!



食事が終わるとすぐにまた賑やかに!
お絵描きタイムです。
午前中観てきた虫たちを、思い出しながら、あるいは撮った写真を見ながら、または図鑑を参考にしながら張り切って描いています。


クワハムシ!上手ですねー
ハナムグリ!表と裏と両方を描いてくれました!
よく観察してる!
子どもたち、すごいなー


マツムシもいたんですね!
トノサマバッタ!横顔だけなのに、雰囲気でてますねー


一番人気はテントウムシでした。
描きやすいからかな?
絵画的なものあり、図鑑的なものあり、アニメっぽいものあり、楽しい~

お絵描きを終えると、朝と同じこうばる広場へ。
そこには、歌のお兄さんならぬ、歌のオジサンとオバサンがいて…

「さんぽ」や「小さな世界」「手のひらを太陽に」などなど、みんなで楽しく歌いました。

さて、いよいよ午後からの探検に出発でーす!


着いたのはここ。

石木川の河原です。まさに石がごろごろ。自然のままの河原です。

いつものように全員集合!

西澤先生から、どんなところに魚がいるか、虫がいるか、どうやって見つけるか、見つけたら捕まえてバケツに入れておいて、後でここに持ちよることなどが伝えられ、話が終わると同時にみんなバシャバシャ川の中へ。




おおー、捕れてる捕れてる。


再び全員集合。
集まったバケツの中身を白いバケットに入れて観察です。


大きいのはドンコで、小さいのはカワムツだそうです。


サワガニもいますね。

こちらは、カエルと水生昆虫の仲間。


「白い筋があるので、これはたぶんヌマガエル
左上の細いヤツはトンボの幼虫、ヤゴです。
イトトンボハグロトンボミヤマトンボか…?」

「それから、このクモみたいなヤツ、これもヤゴです。オオヤマトンボコヤマトンボかもしれません」


「これはオニヤンマの幼虫です」
「それから、すごいのを捕まえた人がいます。コオリヤンマの幼虫です」

(正直、この写真はどっちだったか覚えていません。トホホ)


これらはほとんどカゲロウで、
丸くて平べったいのは、ヒラタドロムシだそうです。

他にもトビケラだとか、ミヤマトンボサナエトンボなどなど・・・昆虫の幼虫がこんなにたくさん水の中で暮らしていたとは、全く知りませんでした。

みんなが協力したらこんなに捕れたね。
こんなにいろんな種類の生きものが川にはいます。
僕らが飲んでおいしい水のところには、生きものもたくさんいるんです。
ここの川の水はすごくきれいだってことです。
ここを残してほしいと僕は思う。


どうしたらいいんだ?
どうしてここにダムを造ろうとしているんだ?
水をみんなが欲しがるからだよ。
欲しくないってみんなが言えばいいんだ。
みんな水をいっぱい使い過ぎる!
ここをダムの底に沈めたくなかったら、水の無駄遣いをやめよう!
いっぱい石鹸を付けて、いっぱい水を流して洗うな。
自分に何ができるか、それを考えることが大事。
ひとに頼るな。大人に頼るな。
ここを残したかったら自分で行動するんだ。

「さあ、魚も少し弱ってきたね。そおーっと川に返そう!」




最後に、こうばるに住んでいるSさん(子どもと自然が大好きなお父さん)からご挨拶。


どんな話をされたのか、私はかなり離れたところで撮っていたので、聞こえませんでしたが、皆さんの背中から何となく伝わってくるものがありました。

こうばる探検隊は、まだまだ続きます。
こうばるの自然の本当の豊かさを、私たちはまだまだ知りません。
もっともっと知りたいです。
さぁて次回は、いつ、どんなことをやろうかな~
乞う、ご期待!

苫田ダムから学ぶこと

貴重な記事を見つけました。ダムの是非について考えるときに思い出したい記事です。自身への備忘録として、また、多くの人に読んで頂きたい記事として、ここに貼り付けます。

平成の記憶・岡山

苫田ダム 多くの犠牲の上に建つ
反対運動40年、立ち退き504世帯 /岡山

水道局長の証言は必要無し?!



4月22日(月)10時半、私たちは長崎地裁佐世保支部前に集まりました。

11時から始まる進行協議へのアピールです。進行協議は裁判官と原告・被告双方の代理人が今後の進行予定について話し合うもので、私たちは傍聴できません。



それでも、いつもと同じくらいの原告が集まりました。みんなが手に持っているのは・・・



「水道局長!正々堂々と証言を!」と書かれたプラカードです。

私たちは、これまでの裁判を全て傍聴してきました。
佐世保市の主張が書かれた書面や証拠書類も見ました。
事業認定取消訴訟で証言台に立った元水道事業部長の田中英隆氏の発言も聞きました。
しかし、どうしても、何故いま石木ダムが必要なのか?が理解できません。

現水道局長なら、それが語れるはず。
過去の必要性ではなく現時点での必要性です。
佐世保水道の現状を最も把握している水道局長以上に説得力のある説明ができる人はいません。
だからこそ、私たちは、この裁判の原告として、そして佐世保市民として水道局長の話を聴きたいのです。

この私たちの願いを裁判所に伝えたい!

弁護団が裁判所の建物の中に消えた後、私たちは裁判所に向かって、このプラカードを高く掲げアピールしました。
無言でただ掲げました。

さて、結果はどうだったでしょう?

報告集会では、いつものように、まず平山弁護士から経過報告がありました。

こちらが求めたのは、
①嶋津氏と谷本水道局長の証人尋問
②原告6名の本人尋問

これに対して
①嶋津氏については県が反対し、谷本氏については佐世保市が反対
②については特に意見無し

裁判所の考えは
①嶋津氏は採用するが、谷本氏は採用しない
②本人尋問はおこなう

今後の予定としては、
尋問予定日=7月17日(水)
午前~嶋津氏(主尋問+反対尋問=2時間)
午後~原告6人(主尋問+反対尋問=30分×6=3時間)

これで確定ではないが、ほぼ決まりだとのことでした。
この説明に対し、会場からは質問や意見が次々に出されました。

原告:裁判所が谷本水道局長を採用しない理由は何ですか?

弁護団:裁判所は理由は言いません。必要性が無いと判断したとしか言いません。
推測すれば、「谷本氏の証言を聞かなくても、資料は出揃っているので、それを見れば判断できる」と考えているのでしょう。

原告:では、なぜ嶋津さんは採用されたのでしょうか?

弁護団:嶋津さんの場合は軋轢が無いから。谷本さんは佐世保市の職員なので、無理やり呼ぼうとすれば軋轢が生じる。裁判所としてはそこまでしたくない。で、谷本さんを拒否した分、嶋津さんは応じて、バランスをとろうとしたのでしょう

原告:いくら客観的なデータや資料があると言っても、ダムが必要だと言ってる水道局のトップが法廷で生々しい証言をすることが極めて重要だと思う。説明をしようとしない水道局は市民を軽視している。そういう現状を訴え世論喚起していくことが必要だ。

弁護団:たいへん重要な指摘だ。裁判所でなくてもいいんです。水道局長が市民の皆さんの前で、今もダムが必要だと説明することが大事なのだから、集会や勉強会を開いて、そこに出てくるよう呼びかけ続けることが大事です。

原告:私たちはその呼びかけを何度もやってきたが、その度に「今は裁判中だから」という理由で断られている。裁判中は応じない、の一点張りである。この言い訳を突破する方法があれば教えて頂きたい。

弁護団:向こうは出ていったら負けるとわかっているから出てこない。これからも出てこないかもしれないが、諦めたら終わりなんです。言い続けるしかない。去年よりは今年、今年よりは来年、と少しずつ世論を大きくしていくことが大事なんです。

原告:今までの説明を聞いていても、私にはわかりません。
あのグラフ(水需要予測)を見た時にほとんどの人がおかしいと思うのに、なぜ裁判官はおかしいと思わないのか?
前回、「裁判は社会通念が左右する」と言われたが、ここでは社会通念は影響しないのでしょうか?

弁護団:裁判官にも変な考えの人はいっぱいいます。政治家もそう。変な政治家に投票する市民もいっぱいいるでしょ?それと同じ。それを前提に、ではどうすればいいのか、それを考えていかなければならない。地権者の皆さんが、そういう知事を相手に何十年も闘ってこられたように。

他の弁護士からこんな回答も。
「これは私個人の意見ですが、裁判所が谷本さんを採用しないのは、谷本さんが出てくると裁判所が困るからですよ」(会場から笑い声)

最後に地権者の岩下さんからご挨拶。
この裁判が始まってもう10回を超えました。その間、工事は少しずつですが進んでいます。一日も早く工事を止めてほしいというのが私たちの願いです。
今まで「寒い、寒い」と言いながら座り込んでいましたが、最近では「暑い、暑い」と言い始めています。暑くなるとホコリ(土埃)もひどいんです。いろいろ苦労もありますが、これからも頑張っていきますので、皆さんのご支援をよろしくお願いいたします!

次回は、第11回口頭弁論です。
6月4日(火)14:00~
よろしくお願いいたします。

川棚町議選で、地権者トップ当選!

ビッグニュースです!

昨日投開票だった川棚町議会議員選挙で、石木ダム建設予定地の地権者、炭谷猛さんがトップで当選されました。



炭谷さんが訴えたのは、「自然あふれる川棚町に石木ダムは要らない!!」この1点です。

洪水対策ならダム以外にある。ダムができたら川棚町民は汚いダムの水を原水とする水道水を飲まねばならなくなる。川棚の山、川、海を守ろう!石木ダムは造らせない!



スーパーエレナの前で演説していると、前を通る車の中から多くの人が手を振っていかれました。立ち止まって耳を傾ける方もいました。

その後、この選挙カーに同乗して町内を回りましたが、縁側から、また玄関に出てきて手を振る人もたくさんいました。驚いたのは子どもたちの声援です。車を追いかけて走ってくる子たちもいて「危ないから、もう来ないで~」と言いたくなったくらいです。

「この子どもたちに川棚の美しい自然を残しましょう!ダムではなく、この子たちの子育てに税金を使いましょう!」炭谷さんの娘さんの明るい声が子どもたちにも通じているかのようでした。

午後から選挙カーに乗ったのは「こうばる」の若者たちです。僕たちのふるさとをダムの底には沈めない!皆さんの清き1票をお願いします!との思いを訴え続けたことでしょう。

そんな訴えが川棚町民にしっかり届きました。トップ当選!この意味を川棚町も長崎県もしっかり受け止めてほしい!そして、共同事業者である佐世保市も!です。

その佐世保市の選挙結果はどうだったかと言うと…。

まず、市長選挙は予想通り現職の朝長則男さんの圧勝ですが、それでも、告示日直前に手を挙げた田中隆治さんが2割以上も票を集めるとは意外でした。(朝長さん78,3131票 田中さん21,877票)出口調査では、カジノ反対の声が多かったそうなので、そのような政策に対する批判票が田中さんへいったのでしょう。石木ダムに関しては、反対より賛成の方が多かったとのことで、これは残念でした。

さて、私たちがアンケート調査をおこなった市議選の結果はこちらです。

市議選2019当選者

名前欄が黄色の方々が当選者です。やはり現役は強いですね。石木ダム反対を公約に掲げていた2人のうち1人(共産党候補者)は当選ですが、もう1人の方は残念でした。でも、「佐世保の水と石木ダムを考える市民の会」の仲間からも当選者が出たのはたいへん嬉しいことです。今後の活躍に期待しています!