工事差し止め訴訟、第7回口頭弁論

今回も定員を超す傍聴者が来所し、傍聴券の抽選配布が行われました。

この日の争点は、原告側が提示した立証計画についてです。

原告側は、2名の証人尋問(利水については佐世保市水道局長の谷本薫治氏、治水については水源開発問題全国連絡会(水源連)共同代表の嶋津暉之氏)と21名の原告本人尋問(20名の川原住民と1名の佐世保市民)を申請しましたが、

それに対し被告(長崎県と佐世保市)側は、「その必要は無い。主張すべきことがあれば文書を提出すればよい」と反論しました。

裁判長は双方の主張を聞き、自身も原告側へいくつか質問や確認をした上で、進行協議をおこなうことを提案。双方とも賛同し、日程調整の結果、11月6日(火)13時からと決まりました。

報告集会では立証計画について、弁護団からさらに詳しい説明がありました。


高橋弁護士によると、

7月に判決が出た事業認定取り消し訴訟では、佐世保市の水需要予測に対し、『明らかに不合理であるとは認められない』との判断が示されたけれど、それは、「事業認定庁が、平成25年9月6日時点で、平成24年度予測を問題なしとした」ことに対する判断であり、25年以降についてはいかなる判断も示されていません。

本件については、石木ダム工事により原告らにどのような被害が出るのか、その被害を受忍するほどの公共性があるのか、が問われるのであり、その判断基準時は「現時点」です。
いま現在造られているダムが必要かどうか、それは今日現在の水需要がどうなのかということが問われなければならない。
そこで、平成25年度以降の佐世保市水道の実態を最もよく知る佐世保市水道局長を証人として尋問することにしました。

原告本人尋問として現地住民の方を20人も申請したのは、地権者だけでなく、その子ども世代の若い人の思いも裁判官に伝えるためです。まあ全員が認められることは難しいでしょうが、できるだけ多くの方の声を届けられるようにしたいなと思っています。

また、私たちが尋問にこだわるのは、裁判というのは、裁判官の目の前で原告本人や証人たちが証言することがとても大事だからです。書類には血肉がありません。

例えば、今回の震災被害を新聞の文字で読むのと、テレビの映像で観るのと、実際に現地に行った場合と、理解度は全然違いますよね。

裁判長がこちらにいろいろ質問していたのは、その証人をどういう理由で求めているのか、何が聞きたいのか、尋問に反対している被告側に理解しやすいような説明を求めていたのだと思います。それで、もう少し理解できるよう文書にまとめて提出することにしました。

その後、毛利弁護士や八木弁護士から取り消し訴訟判決に関する分析がありましたが、いずれも怒りを通り越してあきれ顔のお二人でした。

控訴審に関してはまだ日程は決まっていませんが、11月か12月頃になるだろうとのこと。

これからは佐世保と福岡、2ヶ所の法廷で闘うことになります。
福岡にお住いの支援者の皆様、応援よろしくお願いします。

(‘◇’)ゞ

佐世保の水がピンチ!!??

水がピンチ!?

どこの話?

小さな小さな字で「佐世保市水道局渇水対策本部」と書いてあります。

えー!それは大変!断水になったらイヤだなー困るなー

受け取った市民の多くは不安になったことでしょう。

このチラシは、

9月6日の「水を大切にする日」に、アーケード街や五番街で配布されました。

翌日の新聞にも記事が掲載されていました。

水を大切にする日=なぜか石木ダム建設促進をアピールする日なのです。

朝長市長が「大渇水の状況になりつつある」と言ったそうですが…

そこで皆さん、クイズです。

この日の貯水率は何%だったでしょうか?

東京から来ていたお客さんは、「30%?」

いやー、そこまでいってたら、とっくに時間給水になってますよー

他の人が「50%?」

いやいや、それほど深刻ではないです。

「じゃあ、60%?」

うーん、そこまでもいってないんですよねー

「えー!まさか70%?それでピンチ!なんて言わないでしょ?」

そう思うでしょ?ところがどっこい、佐世保では言うんです。

だって、この日の9時時点の貯水率は、81.7%だったんですよ。

それを知ってか知らずか、市長は「大渇水になりつつある」と言うんですから…あまりにもいい加減ですよね。

知ってるはずの水道局が「水がピンチです!!」なんてチラシを配布するんですから…こちらは確信犯ですよね。

節水を呼びかけ、水を大切にしよう~という趣旨なら大賛成ですが、渇水になりそうだと不安を煽って、ダムを造ろう!と呼びかけるのは、あまりにも不誠実だと思います。

こちらのチラシでは、

100年後の子孫のために石木ダムを造りましょうと言っていますが、100年後の佐世保の人口がこのままだとでもお考えなのでしょうか?

50年後には人口は3割減で、水需要は4割減だと政府は予測しています。100年後は今の半分以下でしょう。水は有り余っているはず。

しかも人口が減った分、1人当たりのダム負担金(維持管理費)は大きくなり、安心どころか無駄な出費を押し付けることになります。

まさに負の遺産です。

私たちはそう思うのですが、このチラシを配布した嬉野憲二さんたち石木ダム建設促進佐世保市民の会の皆さんは、そのようには考えられないのですよね。なぜでしょうね。どちらも未来の子どもたちのことを思っているのに。どこでズレが生じるのか…やはり、会って話し合いたいですね。

10月14日(日)14:00~俵町公民館で「佐世保の水と石木ダム」についての勉強会をやりますので、是非ご参加ください。

一緒に考えましょう!

お近くの佐世保市民の方もぜひどうぞ~(‘◇’)ゞ

「ほたるの川のまもりびと」長崎県立大学生の感想

映画「ほたるの川のまもりびと」を観た学生さんたちの感想文をご紹介します。

長崎大学環境科学部の戸田清先生が、県立大学での講義の中で、この映画について取り上げられたのです。

「大学生の感性に満ちた感想文。可能なら石木川まもり隊で公開して下さい!」とのこと。

喜んで!

というわけで、以下に転載させて頂きます。

長崎県立大学佐世保校「環境社会学」経済学部4年 2018年8月24日

川棚町こうばる地区の石木ダム建設問題について住民たちの普通の豊かな生活を守りたいという意志が伝わる映像であった。民主主義のあり方について考えさせられる。政治の利権だけを考え、ダムの必要性について話し合うのではなく強制収用に踏み切ろうとする行政の姿勢は税金(石木ダムのために働く職員さんの労働力や交通費)が無駄使いされているように感じた。住民たちが学び団結しているからこそ、今もなお守られているのだと思った。(女)

石木ダムの必要性について議論が50年間続いているという事実がある。1962年当時の水資源と現在の水資源を比較すると建設の必要性に違いが出るのは当然である。裁判所の判決では建設を容認であるが、公共事業である以上、地域住民以外にも市民や県民の反対は免れない。強行工事ではなく説明と審議が必要である。(男)

○ダムには治水と利水の目的がある。人びとの生活に欠かせないものであるが、建設される土地の環境を壊し、その地で生活を営んでいる人びとの日常を奪うものであることもまた事実である。石木ダムの件のように、行政の都合だけでダムを造るのではなく、人びとの暮らしのことも考えなければならないと思った。男

○豊かな自然を守るために戦う地元住民の姿はすごく正しいものがある。絶対的に必要でもない場所にダムの建設を行うのは、役所も建設を任される業者も何も考えずに行っているのではないかと思うところがある。(男)

○物心ついた時から石木ダムについては知っているが、具体的に知ることができて良かった。高校が川棚高校だった。1962年から始まり、半世紀たつが、私は全く必要性を感じない。県は何をもって建設しようとしているのか、理解できない。行政は本来、人びとの暮らしを良くする存在なのに、どうして人びとの暮らしを奪おうとするのか、理解できない。改めて考え直してほしい。こうばる地区の伝統的な祭りや文化が、ダムの建設とともになくなると思うと、とても悲しく感じる。今の日本で忘れられそうな古き良き自然と共生している暮らしは、決してダム建設で壊されてはいけない。実際にもう一度現地を訪ねたい。(男)

○1962年という前々からこの計画が考えられていることに驚いた。佐世保ではバスや看板などで「実現しよう」というものしか見ていなかったため、反対者の声をニュース以外で初めて見た。様々なところで反対活動をされていることを知り、住人たちの意見を尊重したい気がした。(女)

○ダムにより地域の人びとが築いてきた生活がなくなるということは、生活共同体の崩壊につながると考えた。地域の人びとは長期にわたって抗議運動を行うため疲れ、苦悩し心を休めることができない日々が続くためとてもきついと感じた。そのためダムは作られる前から人びとに対して精神的にも身体的にも経済的にも深刻な影響を与えてしまうと考えた。(男)

○祖父母が同じようなところに住み、自給自足の生活を営んでいました。小さいころよく、稲刈りの手伝いや、山菜を問ったり、木の実で遊んだりしていたので、とてもなつかしく感じました。季節ごとに人びとの生活の営みがよく表れていて、その生活がおびやかされているということに胸がつまりました。(女)

○生まれ育った土地を奪われないように戦う人びとの姿に涙が出そうになりました。人びとの暮らしがあるのに無理やり測量をして、ふるさとを水の底に沈めるのは酷いです。めちゃくちゃな理論をあげてダムを造ろうとする県は、なぜ作るのですか? 住民が反対しているのに無理やり工事を行うのは犯罪になりませんか? ダム反対運動も祭りもみんなが団結しておこなっていて、すてきな町だと思いました。(女)

 

映画が伝える力の大きさと、若者が感じ取る力の大きさを実感しました。

山田監督と戸田先生に感謝!です。

若い方にもっともっと観てほしいですね。

 

あなたも自主上映会やってみませんか。

長崎県内に限り、9月より自主上映が解禁になります。

詳しいことは、こちら「ほたるの川のまもりびと」情報を見て下さいね。

Facebookページはこちらです。https://www.facebook.com/savekobaru/

 

こうばるへ行こう!

素晴らしい夏空の下、子どもたちの歓声が響きます。

8月26日、夏休み最後の日曜日。こうばるで川遊びを楽しみたーい!とやってきたのは佐世保の親子連れ34人!

みんな初めて見る景色にワクワク。

案内する私もワクワクです。同じ佐世保市民として、佐世保の子どもたちに石木川の大切さを知ってほしかったから。言葉ではうまく説明できないので、ここで遊んでもらうのが一番!理屈は要りません。

こうばる公民館に荷物を置いて早速、秘密の避暑地へレッツゴー!

子どもたちは、すぐに水着になって、ものすごい勢いで川にジャブジャブ。
いつもは澄んだ川ですが、あっという間に泥水状態。底の泥がかき混ぜられたんですね。川の住人も驚いたことでしょう。

なーつになれば  わーらしこおよぎ
どじょっこだの  ふなっこだの おにっこきたなと おもうべなー

なんて歌を思い出してしまいました。

ここ中ノ川内川は石木川の支流で、とても浅い川ですが、おっかなびっくり、そろりそろりと進む慎重派?の女の子。それとも水の感触を楽しんでるのかな?

地元の子は慣れたもの。岩と岩の間の流れを滑り台のように滑ってみせます。

今日はこうばるの子どもたちも一緒に楽しみました。

3歳になったばかりのNちゃんを優しくエスコートする子どもたち。

こんな自然の中で遊ぶことが、怖さや勇気や思いやりを育てるのですね。

こちらでは魚やカニを捕まえるのに夢中です。

あっという間に、小さな魚10匹くらいとカニを3匹ゲット!

カニはサワガニでしょうね。魚はメダカ?ハヤの赤ちゃん?恥ずかしながら、私は何も知りません。トホホ。

見ているうちに、大きいカニが小さな魚をパクリ!

あー!殺し屋だ!たいへんだー!
というわけで、カニさんはすぐに川へ戻していました。

こちらには、午後のおやつがプカリプカリ・・・

 

そして、みんながやってくる少し前、地元こうばるのおじさんが、佐世保の子どもたちのために、そうめん流しの準備をしてくれていました。

竹竿をきれいに洗ったり、テーブルを置いてくれたり・・・感謝!です。

そうして、みんなが少しだけ遊び疲れた頃、お母さんたちが公民館で茹でたそうめんを運んできました。大きなざるに2杯!



おつゆのカップとお箸を手に、みんなスタンバイ!

まだかなぁ
あ、もう流れていっちゃったー

子どもたちのよく食べること!あっという間にそうめん完食!

公民館に移動して、お母さんたち手作りのカレーライスも食べました!

 

その後、子どもたちは栞作りのワークショップ。

おとなは石木川流域の自然の豊かさやダム計画などについて学びました。

 

そして、一休みしたら、もう一度川へ!

そう!スイカ割りです。ジャンケンで順番を決め、やる気満々で挑みます。

右、右! 違う 左、左! もっと前! 後ろ!
助言者が多すぎて、何が何やら・・・

見事命中しても、子どもの力ではなかなか割れません。

やっと割れたスイカは真っ赤でした。甘くて、とても美味しかった!

その後、ラムネ早飲み大会などもやったとか。
(私は片づけもあって、公民館の方へ一足先に戻っていました)

片づけの途中でいいものを見つけました!

ワークショップの作品です。
今日の体験を描いた栞。上手ですねー

みんなすごい!

川の涼しさ、楽しさ、面白さが伝わってきます。

しかもその後ろには感想文や日記のようなものが・・・

そうめん流しは、いっぱいとって食べたので、おなかがパンパンです。

って。そうでしょ、そうでしょ。

石木には自ぜんがいっぱいあったから、つれていってほしいです。

また、連れて行ってねと親にアピールしてるのかな?

お母さんやお父さんたちも、きっとそう思ってるよ。
また連れて行きたいな~って。

だって、この日の計画を立てたのは君たちのお母さんだもの。

1ヶ月も前から考えて、相談して、準備して。。

 

また来てね。

来年も来てね。

再来年も来てね。

中学生になったら友達同士で来てね。

君たちがずーっとここで遊べるように、私たち大人が石木川を守っていかなきゃ・・

と、あらためて思いましたよ。(‘◇’)

8/18(土)はヒューマンライブラリー

みなさん、毎度お世話になっております、石木ダム水没予定地住民のいしまるほずみです。

イベントのお知らせです。

8/18(土)長崎市立図書館多目的ホールにて第10回ヒューマンライブラリーNagasakiが開催されます。

まずは、「ヒューマンライブラリー」について簡単にわかりやすく説明した1分30秒の動画がありますので是非ご覧ください。

こちらにヒューマンライブラリーNagasakiフェイスブックページもあります。

イベントのチラシはこちらです。

日時 2018年8月18日(土)

会場 長崎市立図書館多目的ホール

参加費無料

14:00~15:30 ヒューマンライブラリーガイド(研修会)

①16:00~16:30 ②16:45~17:15 ③17:30~18:00
④18:15~18:45 ⑤19:00~19:30

※最大5人の「本」とお話できます!途中入退場可。

ほずみもブック(本)として参加します!(二回目)

ちょうど、8/17(金)から私たちの映画「ほたるの川のまもりびと」が長崎市のセントラル劇場で一週間公開されますので、この機会に合わせて今回のヒューマンライブラリーにも関心を寄せていただければと思います。

8/17と8/18の一回目の上映にはほずみも駆けつける予定です!

交流会も企画されているようです。

映画を観たあとは交流会にも参加してみませんか?

【作者名】
石木ダム水没予定地住民(イラストレーター)
【本のタイトル】
崖っぷちからの大逆転?元気の出る里山の暮らしYes!運動
【あらすじ】
石木ダム問題は半世紀以上前に計画された県営ダム事業であるにもかかわらず、未だ完成に至っていない公共事業です。
長崎県は事業認定を盾に今後、前代未聞の大掛かりな家屋と農地の強制収用に踏み切る予定ですが、今現在も水没予定地の里山には13世帯54人が大きな一つの家族のように暮らし、皆さんが羨ましがるような自然に寄り添った暮らしを送っています。
現在、そんな石木ダム水没予定地こうばる地区が、様々な支援を受けながら全国区を目指して飛躍中です。
石木ダム水没予定地で一体何が起こっているの!?
前向きな活動にみなさんきっと元気が出ますよ。

今度のヒューマンライブラリーでは、みなさんが前向きな気持ちになれるようなお話にしようと思っています。

数年前までほとんど県外には知られていなかった石木ダム問題がどうやって知られるようになったか、

地元の活動がどのようにして盛り上がってきたのか、

今後の展望などを楽しくお話できたらと思います。

ある小学生の日記

ある小学生の日記です。

 私は今日石木ダム予定地の川原にいってきました。
 どこをみても緑でした。美しかったです。
 そこがダムになったら自然がきえるようなきがします。

子どもの感受性は本当に素晴らしいと思います!

その子のお母さんAさんはもっとこうばるのことや石木ダムのことを知りたいと思い、友人Bさんを誘って7月30日に再びこうばるにやってきました。
Bさんは小学1年生の娘さんのCちゃんと一緒でした。

森の木陰で抗議活動休憩中のお母さんたちとひとしきり語り合い、川原公民館では写真を見ながら、石木ダム反対運動のこれまでの闘いについて簡単に学びました。

この日はとても暑かったので、石木川の支流の秘密の避暑地に案内しました。
その涼しさに、みんな大歓声!

澄んだ流れは木漏れ日を映して黄緑色に見えますが、近くで見ると、もちろん透明です。

Cちゃんは、大はしゃぎ。
それまでは大人しい静かな子に見えたのに、こんなにお茶目な子に大変身!

自然は人の心を解きほぐし、自由な気分にしてくれるんですね。

翌々日、Bさんから頂いたメールには、こう書かれていました。

 Cは絵日記に石木の事を書きました。
 子どもの声は率直で、無視しがたいです。
 これからの世代に、きちんと自然を残して行きたいですね!

事業認定取消訴訟、106人が控訴

7月23日、事業認定取消訴訟の控訴手続きがようやく完了しました。

控訴人は106名です。

一審の判決で原告の資格さえないと切って捨てられた住民等地権者のご家族の皆さんも、もちろん、今回も原告として名前を連ねています。

よその町から川原にお嫁に来て、夫やその家族を愛し愛され、子を産み育て、誰よりも川原に根を張り、川原を守ろうと闘ってきた肝っ玉母さんたち。

その子どもたちも成人し、結婚し、親となり、ここで子育てをしたいと住み続けている逞しい若者たち。

みんな門前払いされた結果、ますます闘志に火が付いた感じです。

同じ日のコラム「記者の目」です。

六倉記者はこう結んでいます。

司法判断に情を持ち出すのは適切ではないかもしれない。だが、判決がほとんど考慮せず、切り捨てた部分にこそ、反対地権者らが大切にし、守りたいものがあるのも確かだ。

西日本豪雨と石木ダム

7月18日、「石木ダム建設促進川棚町民の会」が県庁を訪れ、

石木ダムの早期完成を求める要望書を知事に手渡したそうです。

反対派の市民団体が訪ねる時は何故かいつも不在なのですが、推進派の団体が行くときは在庁していて、必ず直接受け取るんですよねー

なぜ今要望したかと言うと、死者200人を超える甚大な被害をもたらした今夏の西日本豪雨などを目の当たりにすると川棚川もいつ氾濫するかわからないからということのようで・・・

中村知事も同じ発想のようで、一刻も早くダムを完成させたいと応じたと言う。

お二人は、こんな記事は読まれていないのでしょうか?

ダムからの放流により一気に増水し、逃げる時間もなく亡くなった人たちがいるのをご存知ない?ってことはないでしょうが・・・

治水にはダムはかえってマイナスとまで書かれていますが・・

一方、こんな投稿記事もありました。

ダム建設よりも、河道整備や森林や水田の保全が大事だと言う投稿者の意見に大賛成です。

ダムは計画された貯水容量しか溜められないし、想定外の大雨には無力です。想定外の大雨が降っても、大地の保水力を高めたり、安全な地域にあふれるようにしたりして被害を最小限度にもっていく、そんな治水こそがこれから取るべき対策です。

異常気象が異常でなくなってきた現実を受け止め、自然をねじ伏せようなどという傲慢な発想は改めたいものです。

7.18東京行動レポ

事業認定取消訴訟判決直後の要請行動(長崎県・佐世保市・九地整へ)に続き、原告団と弁護団は7月18日、本省にまで出かけ、担当者に直接訴えました。その後、院内集会も開かれました。この日の一連の行動について、報告します。

主催:公共事業改革市民会議
協力:公共事業チェック議員の会
要請者:石木ダム対策弁護団3名(馬奈木昭雄弁護団長、利水担当高橋弁護士、治水担当緒方弁護士)、原告団等10名(こうばる住民6名、川棚町民1名、佐世保市民1名、長崎市民1名、神奈川県民1名)
議員:公共事業チェック議員の会4名(初鹿明博事務局長、大河原まさこ事務局次長、堀越啓仁、山添拓)

国土交通省 土地収用管理室への要請(13:00~14:05)
対応:課長補佐や係長など4名



住民
あなた方は長崎県や佐世保市の言い分を丸飲みして事業認定をした。
その結果、我々は追い出されようとしている。
しかし我々は出て行かない。なぜなら必要性のないダムだから。

住民
川原に住んでいるのはじいちゃん、ばあちゃんばかりではない。
私は35歳だが、川原には同世代の人が何人もいる。その子どもたちもいる。
皆出て行かないと言っている。
長崎新聞社が今年1月に行ったアンケートによると、佐世保市民の約5割が石木ダムは要らないと答えている。
パタゴニアが行ったアンケートでは県民の5割が分からないと答え、8割が説明不足だと言っている。
そんな中で既に強制収用まで進めている。行政代執行までするのか?

土地収用管理室
事業認定をしたのは九州地方整備局が、強制収用や行政代執行をするかどうかは県の判断。

弁護団
このあり得ない水需要予測を認めて、あなた方は事業認定した。


計算方法が間違ってなければそれでいいと?
結果が非常識であってもそれでいいのか?
これが正しいと判断したのか?

土地収用管理室
土地収用法20条に基づいて、得られる利益と失われる利益を比較考量して得られる利益が大きいと「九州地方整備局」が判断し、認定した。

住民
しかし、それに対する我々の不服審査請求を受け付けているのはあなた方だ。
こちらの意見や疑問を受け止めて精査すべきだ。
また、現地を見てみなければわからないことがたくさんある。
現地に来てほしいと何度も要請したがあなた方は応じない。何故だ?

土地収用管理室
不服審査請求は書面で受け付けており、現地に行くことにはなっていない。

弁護団
現地へ来てはいけないという法律はない。
廃棄物問題でも初めは現地視察を拒んでいたが、結局は見に来た。
その結果まともな判断を示した。
あなた方もやる気を出して見に来てほしい。
4年半も経過しているが、審査請求の結果はいつになるのか?
認定をしたのは九地整であっても審査結果を出すのはあなた方の責任だ。
認定庁と同じように、決められた計算方法でやっていればそれでいい、などという結論はくれぐれも出さないように。

住民
13世帯の行政代執行など前代未聞だと思う。
土地は収用できても住民を収用できると思うか?

土地収用管理室
コメントは差し控えたい

住民
人が住んでいるところを代執行したダム事業の事例がいくつあるのか、そこに何人澄んでいたのか教えてほしい

土地収用管理室
今ここですぐにはわからない。
国会議員を通じて質問なり資料請求して頂きたい。

というところで、タイムリミット(既に5分ほどオーバー)となり、終了。続いては、

国土交通省 治水課への要請(14:05~14:40)
対応:補助ダム担当の2名


住民
100年に1度の大雨が降った時、合流地点より上流はどうなるのか?
県が言っている洪水被害はほとんど内水氾濫であり、石木ダムでは防げない。

治水課
石木ダム事業は長崎県の事業であり、全体の治水計画も県が取り組んでいるものである。
また5年に1回県の方で再評価をやり、その結果を見て、国は補助を付けている。

弁護団
これまでの河道整備により既に1130㎥/秒は流される状態になっている。
それを1320㎥/秒まで流せるようにするためだけに石木ダムを造るなら、費用対効果はわずか0.1とか0.2の話。
ダムによらない治水対策はいろいろ有る。
そういうことをわかっていて補助事業として採用しているのか?

治水課
・・・・・。石木ダム建設事業というのは川棚川の治水対策と佐世保市の水源不足の解消ということで、この事業は必要不可欠だと聞いている。
今後も県のご意向を聞きながら国交省として対応していきたいと思っている。

住民
この計画ができた当初、40数年前、県の職員は私たちにこう言った。
「このダムの本当の目的は利水だが、補助金を多くもらうために治水を付け足しました」と。
この発言をどう思うか?

治水課
40年前の発言については私はわからないが、現在では必要な事業だと県は言っている。

住民
県の言うことばかり聞かないで私たちの言うことも聞いてほしい。
そして現地を見て、その上で補助を付けるかどうかの判断をしてほしい。
それを言うためにやってきた。

ここで時間切れとなりました。
ここでも担当者は、最後まで現地に来るとは言いませんでした。
あくまでも県の資料と県の言い分だけを参考に補助を付ける考えなのでしょうか?
であるなら、公共事業は公共の福祉のためではなく、行政のためにやるってことになりますね~

厚生労働省 水道課への要請(14:40~15:40)
対応:補助事業担当者2名(課長補佐、上水道係長)


佐世保市民
市からいろんな資料や情報が届いていると思うが、皆さんが知らされていないだろうと思われる現状、市民の生の声を伝えたくてやってきた。

1.佐世保市の水不足は過去のこと。市は慢性的な水不足と言い続けているが、平成6年大渇水以降、水不足による断水は一度もない。その要因は・・・(省略)
2.市の水需要予測はいつも過大だが、平成24年度の予測は酷かった。特に工場用水においては、わずか4年後に3.5倍になるとするあり得ないもので、4年後は増えるどころか減ってしまった。
3.新聞社の調査では市民の約5割が不要と答え、必要は3割ほど。市自身が行ったアンケート調査では「水の安定供給」にたいする満足度はかなり高く、必要な施策は水源確保よりも「水道施設の更新整備」と答えている。
4.佐世保市の水道管の老朽化率は高く、一日平均漏水量は市民5万人分の生活用水! 漏水対策こそ今すぐ真剣に取り組まねばならない深刻な課題。

水道課
確かに漏水を減らすことは大事。水源確保も漏水対策もどちらも大切であり、限られた財源の中でどう優先順位をつけるかだと思う。
水需要予測については、我々はやり方を示している。それに則ってやって頂き、その後予測よりも大きく差が開いてくるようであれば、見直しは当然必要だと思うが、今直ちに必要だという認識ではない。
27年度には予測を上回るような実績があったと聞いている。

佐世保市民
27年度の実績として一日最大給水量が10万tを超えたと聞かれていると思うが、それは使用された水量ではない。大寒波により凍結した管にヒビが入り一日に4万tもの水が漏れてしまった。その時の事故の記録だ。この年度の本当の最大給水量は8万tを切っていた。

水道課
寒波による漏水事故による配水量をそのまま最大給水量として記録することは確かに問題があると思う。我々もデータをしっかりチェックしていく必要がある。そのために事業評価をやって頂いており、その評価とその後の実績との大きな乖離があれば、今のままでいいんでしょうか?という投げかけをして見直しを提案させて頂くことも有り得る。
チェックの仕組みとしては、再評価の時期に今後の水需要予測を出して頂き、我々だけでなく地元の委員会でも検討された上で提出して頂いている。

弁護団
確かに地元の委員会にもかけられている。
事業者も委員会もこの予測を認めた。

だからあなた方も認めると言うのか?
このグラフを見て、あなた自身はおかしいと思わないのか?
急カーブを描いて予測値が増えている。

SSKの需要予測の計算根拠をあなたは確認したのか?確認すればきっと驚くだろう。
また、前回の予測から5年が過ぎている。次の予測は前回時点から10年後と聞いているが、それは本当なのか?

水道課
厚生労働省の再評価の実施要領では、本体着手前の評価を行った場合には10年を要しない。ただ大幅な社会情勢の変化がある場合には必要に応じて行うことになっている。

弁護団
佐世保市は何をもって本体工事等の着手前の再評価だと言っているのか?

水道課
当時の担当者によると、長崎県が本体関連工事(付け替え道路工事)の予算付けをしたことによって着手前だと判断したようだ。

弁護団
仮にそれが着手前に当たるとしても、「社会経済情勢の急激な変化等により事業の見直しの必要性が生じ」た場合は再評価をやるべきはずである。
今日現在、地権者は出て行くことはあり得ないと言っており、県は行政代執行をする判断はしていないという状況下で事業が本当に進められるのか?
進められないまま34年になって石木ダムができてなかったら?
やはり必要なかったねで済むのか?

逆に34年にダムはできていて、しかし水需要の減少でダムの水は使われていなかったとしたら誰が責任を取るのか?
あなた方は誰も責任を取らないし取れない。
だからこそ、今まさに再評価をすべき時ではないか。

補助金適正化法第5条に「…事業を遂行するために必要な土地その他の手段を使用することができない」場合は補助を取り消すことができると書かれている。石木ダムでは残りの土地が取得できる可能性はほとんどないのだから、取り消すしかないのでは?

行政訴訟を起こしたダム事業において、住民側はほとんど負けている。しかし、結果はどうなったか?力づくで異論を排除してダムを造っても水需要が伸びなくて困りきっているところばかり。

今のままのやり方で押し通せば、佐世保水道はいずれやって行けなくなるだろう。
あなた方は水道事業体が健全な運営をしていくにはどうしたらいいんだろうと、真剣に考えてください。

住民
あなた方は補助をつけることによって、佐世保市民を苦しめているし、川棚町民をも苦しめている。地元はもちろん一番苦しめられている、
しかし、あなた方は止めることもできる。期待しています。

(会場、拍手)

気がつくと、院内集会が始まる時間に近づき、会場(衆議院第2議員会館第1会議室)には参加者がぼちぼち集まってきていました。

住民
私は嫁、息子夫婦、3人の孫の7人家族で住んでいます。二十歳の時から45年間ダム反対運動を続けている。当時から佐世保市は過大な水需要予測のもとにダムが必要と言い続けていた。そのおかしさを我々はずっと見てきている。知っている。だからダム反対を続けている。これからますます人口は減り、必要性はますますなくなっていく。私たちは絶対出て行かない!

ちょうど時間となり、拍手と共に終了。
これで今回の国への要請行動は全て終わりました。
短い時間の中で、伝えられたことはほんのわずかですし、伝わったかどうかも定かではありませんが、でも、長崎からはるばる9人もの県民がやってきたという事実そのものに大きな意味があったと思います。

裁判に負けようが、事業認定が認められようが、地権者の意思は変わらず、住民が自ら出て行く可能性は全くない。その意思表示を目の前で生の声で伝えることができました。
長崎県や佐世保市からの報告書では住民の本気度など伝わるはずありませんから。

そして、厚労省に対しては、市民自らが「水は足りています」と証言することに意義があったと思います。

院内集会(16:00~18:00)

予想以上の参加者で、会場はほぼ満席でした!

開会の挨拶は公共事業改革市民会議代表の橋本良仁さんが述べられましたが、内容の半分は映画「ほたるの川のまもりびと」の大絶賛でした。(会場にいた鎌仲監督から「ありがとうー!」の声あり)

続いて、地元住民が前に出て自己紹介とそれぞれ今の思いを伝えました。

岩下さん:地元では今日もこの暑さの中、抗議の座り込みを続けている。国は石木ダムが必要という県の主張をそのまま受け入れ自分たちで検証しようとしない。今後は皆さんの力を借りて国を動かしていきたい。

ほーちゃん:地元には私世代の若い人が何人も暮らしているし子どもたちもいる。先ほど国交省の人につい怒ってしまったが、炎天下の中で頑張っている人たちのことを思うと怒ってもよかったかなと思う。

炭谷さん:川棚町で学習会を15回やってきたが、地元でありながら無関心な人が多い。しかし、「ほたるの川のまもりびと」の上映会や、加藤登紀子さんや嘉田由紀子さんを招いての集会には多くの人が集まってくれた。これからも、この問題を全国の皆さんに知ってもらえるよう広げていきたい。

石丸さん:先日、事業認定取消訴訟の第一審で負けてしまった。行政訴訟で勝ったことはないと聞いていたが、かなりショックを受けている。今日は皆さんの元気をもらって帰りたい。

岩本さん:「ほたるの川のまもりびと」の映画を観た方はご存知だと思うが、私はマムシ捕りをやっている。(会場爆笑)今年すでに25~6匹捕まえているのでマムシ焼酎にしたい。私は自然が大好きで、川ではウナギ、海では魚、山ではイノシシを捕って暮らしている。一審の判決が出たことによって県は勢いづいて強制収用にむかうかもしれないが、私たちはどこに行く気もない。ここで骨を埋めるつもり。もし県が代執行しても柱に体を鎖で縛りつけて抵抗する覚悟だ。皆さんのお力添えをお願いしたい。

岩永さん:30年ほど前、強制測量をやられたが、それ以上のことを今やられている。昨年夏頃から重機の下に座って抵抗していたが、県職員は両足を引っ張って引きずり出した。今では工事を止めきれず少しずつ進んでいるが私たちは最後まで闘い抜く。

山口さん:必要のないダムを認めた裁判所の判決はおかしいと思う。これからも反対していきたい。応援よろしくお願いします。

続いて、本日の国への要請行動の報告(主催者)や、石木ダム事業認定取消訴訟判決についての説明(馬奈木弁護団長)がありました。
馬奈木弁護士のお話はこれまでの弁護活動の貴重な事例や体験が随所に出てくるので、参加者はしっかり耳を傾けペンを走らせていました。

今回の判決で我々は負けた。しかし勝っていたとしても国がその判決にひれ伏すことはない。私は弁護士生活50年になるが、水俣病事件から諫早湾開門をめぐる事件まで、国は裁判所の判決に従ったことは一度もない。判決に幻想を持ってはいけない。

「行政判断と司法判断は違う」という言葉を官僚はよく使う。
かつて三木武夫環境庁長官に水俣病未認定患者の救済を訴えた時、「わかった。取り組む」と言ったが、三木さんが退室するや担当課長がやってきて、「あれは環境庁長官三木武夫の発言ではない。政治家三木武夫の発言です。なぜなら環境庁にそういう方針は無いから」と言った。

官僚は被害者を黙らせることで物事が解決すると思っている。
私たちは絶対に黙らない。声をあげていく。
被害は徹底的に明らかにする。
私たちが守ろうとしているものは何なのか?
私たちの闘いは国民主権の闘いである。
力を結集しよう。

その後、国会議員の皆さんとの意見交換をおこないました。

初鹿明博議員
ダム建設計画のあるところの水需要予測はどこでも右肩上がりで、実績との乖離がある。佐世保も同じ。水が足りていることがわかればB/Cも変わってくる。
加えて佐世保の場合は漏水が多い。攻めどころはまだまだ多い。
また、今回の西日本豪雨災害をみて、多目的ダムの危険性をより強く感じたので、次の裁判ではそのあたりも追及してほしい。
私も国会でこの点は問題にしていきたいと思うので、力を合わせていきましょう。

山添拓議員
不当判決何するものぞ。
今の河川行政は命を大事にする政策を取っていない。
週末に岡山の被災地に行ってきたが氾濫した川の上流にはいくつもダムがあった。ダムを過信し河道整備が遅れていた。
氾濫をおこした小田川は堤防に立っても川が見えない。河川敷がジャングルのようになっていた。
治水についての抜本的な見直しをしなければならない大事な時に、国土交通大臣は今、カジノ解禁の先頭に立って頑張っている状況である。
政治そのものを変えなければならない。

堀越啓仁議員
1時から国交省や厚労省とのやりとりを聞いていたが、石木ダムは百害あって一利無しだと実感した。利益を得るのは大手ゼネコンと腐った政治家だけ。
このままでは子どもたちに自然環境は残せない、借金ばかり残すことになる。石木ダムを止めることは、こういう政治を変えるその象徴となるのではないか。
石木ダムがいかに無駄であるかを多くの人に知って頂くことが必要だと思い、TwitterやFacebookなどでもフォローしているが、どのくらい広がっていると地元では受け止めているのか教えてほしい。

ほーちゃん
最近では「#石木ダム」で多くの人が発信している。
ほとんどが不要という意見ばかりで、中には反対してることを批判する人もいるが、それに対して反論していったら彼らは何一つ言い返せなかった。
県内では石木ダムは古いテーマだったが、全国的に認知度がぐんぐん上がっている。
関東の方からこの話題が返ってきて、新たに気づく人も出始めている。

鎌仲監督
「ほたるの川のまもりびと」が渋谷のユーロスペースで公開中がだ、毎回ゲストもお呼びして、一般の人に急速に広まっている。
長崎県内では44ヶ所で試写会を行い、4700人が観たが、1つの県内でこれほど観られたドキュメンタリーはない。そのせいで長崎県内の劇場での公開が難しかったが、やっと8月17日からセントラル劇場での公開が決まって、今日は山田監督が現地で記者会見をおこなっている。ぜひ多くの県民に観てほしいし、これは他の公共事業に苦しんできた人たちにも共有できるものがあると思うので、日本中の人に観てほしい。

初鹿議員
国の主張の問題点はいろいろあると思うが、もっとも問題にすべきことは何か

住民
石木ダムに限ったことではないが、ダムでは想定内の大雨にしか対応できない。ダムがあればそれで安心して他の対策を取らない。その結果想定外の雨が降れば放流し、被害がよけい大きくなる。日頃の河川整備が大事。

山添議員
まさに今回、愛媛の肘川ではダムからの放流によって人命が奪われた。しかもその経過を検証する前に大臣がすぐにあの操作は適切だったと発表したことに怒りを覚える。
それでもなお、治水のためにダムは必要だという声もある。石木ダムの場合、下流域の皆さんはどのようにお考えなのか知りたい。

住民
川棚町は近隣の町よりも経済活動が活発でなく、公共事業に期待する人たちは確かに居る。が、石木ダムが洪水被害を止めると思っている人はほとんどいないのではないかと思っている。

弁護団
ダムは住民の命や財産を守るために造られるわけだが、実際にはダムを守るために放流した。その結果人命が犠牲になった。
石木ダムの場合はどうなるのか?川棚川流域の皆さんともしっかり議論して、川辺川のような住民合意を作り上げなければならない。そのための正確なデータやしっかりした資料作成を、専門家のご協力を得て準備したいと考えている。

会場から
今回の議論を聞いていて欠けている視点が1つあるので指摘したい。京都の鴨川に計画されたダムを止めたのは、あの梅原猛だった。彼はダム反対運動ではなく文化運動をおこした。オオサンショウウオの命を守りたいという流域住民と共に立ち上がり、結果としてダムを止めた。そういう視点も必要だと思う。

最後に集会宣言案文をこうばる郷総代の炭谷猛さんが読み上げ、大きな拍手で採択されました。


その勢いに乗って団結頑張ろう!を三唱し、5時間の長丁場を終えました。

喉がカラッカラだったので、懇親会のビールの美味しかったこと!
溜池山王駅そばの中華料理店で、主催者の皆さんやパタゴニアの皆さん、新たな応援団も加わって大いに盛り上がりました。
お腹はビールと美味しい料理でギューギュー詰め、胸のあたりは元気、勇気、希望など沢山の「き」を詰め込んでパンパン!

一晩寝たらお腹もへこみ、胸のあたりも軽くなりましたが、私たちはみんな、往路よりも明らかに元気な足取りで帰途に就きました。

(‘◇’)ゞ

負けてますます意気軒昂!?

前日の県庁行動に続いて10日は、佐世保市役所と九州地方整備局へ出かけました。

まず佐世保市役所です。
前日と同じ声明文を、ここでは原告代表の岩下さんが読み上げ、佐世保市水道局長の谷本薫治氏に手渡しました。

その後およそ1時間半にわたって意見交換することができました。
と言っても、双方のスタンスは明らかにほぼ平行線を辿っており、交わることはほとんどありませんでしたが。

水道局長:
この裁判についての被告は国であり、私どもはそのやり取りの全てを把握しているわけではない。
また、差し止め訴訟はまだ続いており、そちらにおいては、私たちは被告の立場であり皆様は原告である。よって司法に判断を委ねるべきであり、議論をするつもりはない。

弁護団:
局長のお考えはある程度理解しているつもりである。
しかし判決には、水需要の予測についても、慣行水利権についても「佐世保市の判断が不合理であるとは言えない」と書いてあり、石木ダムが絶対必要だとは書かれていない。
一方、現地居住者はこの判決を受けても住み続けるという意思は何ら変わらない。
そういう状況の中で、佐世保市はこれからも本当にこの事業を遂行するのか?考え直す余地はないか?それを聞きたくてやってきた。

水道局長:
「不合理であるとは言えない」というような表現は裁判の中では一般的なものだと思う。
石木ダムの必要性に関して、司法の一定理解は得られたと受け止めている。

弁護団:
普通だと言われたが、不合理でなければ何をしてもいいのか?
13世帯の生活を奪うには、石木ダムがどうしても必要だという合理性が無ければならない。
あくまでも強制収用するつもりか?

水道局長:
土地の取得の仕方については、当初から佐世保市は県に委託をしているので、強制収用について私が言及するのは相応しくない。

弁護団:
それは無責任では?
受益者である佐世保市が13世帯を犠牲にしてでも不可欠と考えるのか、それほど利水の必要性があるのか、という判断は佐世保市がすべきことではないのか?

支援者:
2009年に県と佐世保市は、事業認定申請しましたよね?
あの当時、13世帯をどかしてでも石木ダムを造って水源開発をしなければダメなんだという水道局の判断がなければ、市長や知事が認定申請をするはずがないでしょう?

弁護団:
少なくとも当時は追い出す意思はあったということでしょう。
あれから数年たっています。佐世保の水事情も変わっています。市民の意識も変わっている。
そして住民の意志の強さも示された。
その中で市は、今もその意思は変わらないのかということを知りたいのだ。

地権者:
50年前に佐世保市は何と言ったか知ってますか?
佐世保市には10万5千tの水が有るが、10年後には16万5千t必要になる。6万tも足りない。だから石木ダムが必要だと言っていた。
今は11万7千t必要になると言っている。必要量が5万tも減った!
もう必要ないということだ。

また、2045年までに佐世保市の人口は21%減ると言われている。
水道の使用量も比例して減っていく。
すると市民の負担が大きくなる。
その上、耐用年数を過ぎている水道管がたくさんある。その更新にお金がかかる。
ダムを造るだんじゃない。
その費用がどのくらかかるのか、市民に知らせているのか?

そして、平成19年の地質調査で、石木ダムの予定地には深さ50m幅20mにわたって透水性のある軟弱な地盤があり、対策が必要だとの結果が出ている。
しかし、その対策費は未だに盛り込まれていない。
石木ダム建設のコストは大きく増えるはず。
それを計算して水道料金がどのくらい上がるのか、市民に知らせるべきではないか?

本明川ダムは石木ダムと同じ規模だが、500億かかる。
石木ダムが285億で済むはずがない。

佐世保市民:
私たち佐世保市民の多くは石木ダムを望んではいません。
先ほど局長は市民の代表は市議だと言われたが、市議会と市民の意識には乖離がある。
2年前の佐世保市によるアンケート調査で、市民が水道局に求めるのは水源開発よりも老朽化対策だということが明らかになった。
なんと63%もの人が最も重要なのは老朽化対策だと答えた。
古い施設を抱えた水道局の皆さんが漏水を減らすために苦労されていることは私たちも知っている。皆さんのおかげで今私たちは水に不自由しない暮らしができている。
この生活を維持するために、限られた財源をどう使っていくか、水道局と市民が対立するのではなく、一緒に考えていきたいと願っている。

地権者:
ダムには大きなお金がかかるので歴代の市長はあまり前向きではなかった。
ダムに代わる対策を模索していたが、やろうとすると県から止められた。そういうことをしたら石木ダムができなくなると。
しかし、今の市長は本気で造りたがっている。なぜだろう?

佐世保市民:
先日の講演会で講師が示した数字では、石木ダム建設と関連事業費で339億円、そしてダム建設後50年間にかかる維持管理・施設更新費は294億円、合計633億円にのぼり、1世帯当たりの負担額は約60万円になるとのことだった。この数字は間違っているのか?

水道局長:
昨日、知事や市長も言っていたが、石木ダムは必要なダムである。そして厚労省等でも認められている。それ以上のことは私どもからは言えない。

地権者:
佐世保市の関連事業はいつ着工するのか?

水道局長:
具体的なロードマップはここで示せないが、既に取りかかっているものもある。
これまでに125億円も投資しながら取水場や新しい浄水場の用地確保などにお金をかけてきた。

支援者:
石木ダムができなければ、他ダムの浚渫ができないと広報にあるが、水道局長は本当にそう思っているのか?
「市長、それはちょっと言い過ぎですよ」と、市長を諫めるのが現場の責任ではないのか。

弁護団:
いろんな話が出たが、大事なのは今後のこと。
これからどうするのが一番いいのか、佐世保市民と地権者と有識者などを含めて意見交換しませんか。
それは佐世保市にとっても有意義なことだと思う。
そういう申し入れをしますので、ご検討いただきたいと市長に伝えてください。

水道局長:
伝えますが、もう1つの裁判が進行中なので、被告と原告という立場上、土俵の外で何かやるのは難しいと思う。

まだまだたくさんの質問や意見が出たし、水道局長は、それに対し答えられるものはできるだけ答えようとしていました。そのことには率直に有難いと思いました。

判決後に協議を行いたいという私たちの要請に対し、当初は「対応は難しい」と文書で回答してこられました。
その水道局が、180度方針を変え、水道局長自らが対応してくださったのは、やはり「勝った」という安心感と余裕だったのでしょう。

 

私たちは裁判(一審)には負けたけれど、みんな何故か明るく元気!
貸し切りバスの車内はお菓子があちこちから回ってきて、なんだか旅行気分で、次の目的地「国土交通省 九州地方整備局」(略して九地整)へ向かいました。

九地整でも部屋を用意して対応してくれましたが、しかし、こちらは酷かった・・・
担当者(事業認定調査官の渡辺氏)は不在とのことで、本件について全く無関係の総務の職員が3名「居た」だけでした。
この方が発した言葉は「30分だけ」と「伝えます」

まずは、これまで通り、声明の読み上げ。
ここでは総代の炭谷さんが朗読し、手渡しました。

弁護団:
判決は「認定庁の判断が不合理だったとは言えない」というもの。
その判断とはあの時点でのこと。今現在はどうなのか?
国として今どのようにお考えか知りたくてやってきた。

九地整:
私が今この場で言うことは何もない。
皆様のご意見を録音させて頂き、声明文と共に上司に伝える。

地権者:
私たちは認定される前も、ここに来ていろいろ意見を述べたが、その時も担当者ではなく総務の方が対応した。伝えると言ったけれど、伝わったかどうかもわからないままだった。

県や佐世保市が提出した資料には間違いがあったので、正しい資料を私たちは送ったが、その時は、もう認定の方針が決まっていた。

特に事業費については大きな問題がある。
その数字は平成16年に出された数字で、その後19年に長崎県が委託した地質調査会社から地盤の問題性が指摘されたにも関わらず、その対策費が加算されていない。
国は県の資料を鵜呑みにしないで、事業費の算出をやり直させるべき。
あるいは、認定庁自身が調査をしてほしい。
認定前も現地に足を運んでほしいと何度もお願いしたが、来なかった。

などなど、何を言っても「伝えます」の返事しか返ってこない。

「担当者を呼んでほしい」「いつなら担当者と話せるのか、それを聞いてほしい」「今ここで電話して確認してほしい」
何をお願いしてもダンマリ。

しびれを切らした地権者と支援者の2人が、渡辺さんを探しに部屋を出ていきましたが、結局、渡辺さん以外の認定調査官にも会うことはできず、私たちは帰途に就きました。

国の対応とはこういうものなのですね。

たとえ、そちらには意味のない(認定庁が出した判断は違法ではなかったと司法も認めたのだからこれで決着。今さらこの件で原告らと話し合う意味はない)ことであっても、その認定によって家を、生活を奪われようとしている人たちの声に耳を傾けようとする、血の通った役人はいないのでしょうか。

まさに問答無用。
下々の者は下がれ居れ!という感じ。

でもね、こうばるの皆さんも私たちも、そんなことで意気消沈したりはしませんぞ!
18日には国交省本庁に乗り込みます。
もちろん厚労省にもね。

負けてますます戦意高揚!
雑草の底力を甘く見ちゃダメよ。 (‘◇’)