2回目の通行妨害禁止

今日、長崎地方裁判所佐世保支部は、石木ダム反対地権者らに対し、座り込みなどの通行妨害をしてはならないという決定を出しました。
(2017年09月29日夕方 NHKニュース )http://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/5034386931.html
県が仮処分の申し立てをおこなったのは昨年10月でした。
石木ダムの建設にともなう付け替え道路工事を妨害しているとして、ダム建設に反対する地権者ら19名について妨害禁止命令を長崎地裁佐世保支部に求めたのです。
                                  11ヶ月を経て出された決定は、19名のうちの10名は妨害行為があったとして仮処分が下され、残り9名は明白な妨害行為が認めがたく却下となりました。
前回は、2014年8月に通行妨害禁止の仮処分が申し立てられ、2015年3月に、債務者23名中16名に処分が下され、7名が却下でした。これで合計26名が処分を受けたことになります。
                                  決定の理由は前回同様、工事現場は県の占有権が認められた土地であり、その通行を妨害してはならないこと、工事が中断遅延するとその分費用が増加して損害が生じること等が挙げられていました。
                                  決定を受けて県は自分たちの主張が認められたので、できるだけ早く工事を進めたい(現在は予定の2割ほどしか進んでいない、今年度中に付け替え道路の完成を目指す)と述べていました。
                                  しかし、この決定が出ても、地権者の皆さんの意思は何一つ変わりません。 これまで通り抗議を続けるだけです。妨害行為と言われても、違法行為と言われても、そうしないと田畑も家も奪われてしまうからです。無駄なダムのために財産権や生活権が奪われてしまうからです。
私たちは、この工事そのものが違法だ、必要のないダムだと訴えています。でも、その勝訴判決が出る前に工事が進んでしまってダムができてしまったら、もう「後の祭り」なのです。ダムの是非についての話し合いには応じようとしない県に対抗するには、こうするしかないからです。
                                  刑事事件には正当防衛が認められています。
石木ダム地権者による座り込み抗議行動も、まさに正当防衛だと思います。
                                  自分たちの土地を理不尽に奪おうとする権力者への抵抗―それを正当防衛とは呼べないのでしょうか?

工事差止訴訟第2回口頭弁論 佐世保の予測は「水増しの水増し」

今日は石木ダム工事差止本訴の第2回口頭弁論。
前回同様、地元地権者の参加は2名のみでした。
他の皆さんは、裁判当日も工事車両の前に座り込んでの抗議を続けざるを得ないからです。

そんな地権者の皆さんに代わって、今日は多くの佐世保市民が裁判を傍聴しました。



川棚町や長崎市、西海市からも…だけじゃなく、福岡市や神奈川県からも!

そんな熱心な原告のためにも、少しでも裁判をわかりやすくしたい!と、石木ダム対策弁護団の先生方は毎回、法廷で陳述を行います。それは膨大な準備書面の内容を短くわかりやすくまとめた「要旨」を読み上げることです。

民事訴訟においては、「口頭弁論」といっても、ほとんどは書面のやりとりで終始します。
確かに石木ダム裁判でも、被告側(国であったり、長崎県や佐世保市であったり)の陳述は「書面の通りです」などというものばかりで、その書面を裁判当日までに見る機会のない傍聴者には、相手がなんと主張しているのか知る由もありません。

そこで当方弁護団は裁判所に提出した書面の要旨を作成し、傍聴者が理解できるよう、それを法廷で読み上げてくれます。おかげで私たちは何とか裁判の流れや双方の主張のポイントが見えてきます。

今日は、この2つの要旨が読み上げられました。

差止本訴・第1準備書面の要旨

第2・第3準備書面の要旨

要旨のさらに要点を言うならば、次の3つでしょうか。

➀佐世保の水需要予測は、石木ダム建設のための数字合わせに過ぎないでたらめなもので、特にSSKの予測は「水増しの水増し」であり、「このような違法なダム建設を止めることは裁判所の責務」である。

➁治水面においては計画規模や基本高水流量の設定が不自然で不合理で恣意的である。そして、ダムの代替案においては、こちらもコストを「水増し」している。

➂原告らは覚書の当事者(当時の総代)ではないので覚書の効果がないという県の主張は不合理。「総代」というのは地元住民の代表という意味だから。

また、最後に裁判長が被告側へ何か述べていましたが、声が小さくてほとんど聞き取れませんでした。報告集会での平山弁護士の説明によると、

被告(県と佐世保市)は、原告の主張(人格権などが石木ダム工事によって侵害される)に対し、「工事差止の根拠とならない」と主張しているが、そう考える根拠を次回の書面の中で具体的に示してください。

というような趣旨だったそうです。
双方の議論を嚙合わせるために裁判長は、被告の主張の根拠についてより具体性を求めた。具体的な根拠が示されれば、それに対して原告側も反論し、争点がわかりやすくなってくるから。
とのことでした。なるほど~確かにそうですね。

それにしても、三者(裁判長・原告側代理人・被告側代理人)のやり取りが聞こえづらいのはどうにかならないのでしょうかね~ほとんどの傍聴者が不満に思っていることなのですが…
石木ダム裁判は一番大きな法廷でおこなわれるので、裁判長と傍聴者の距離が遠く、どうしても聞き取りにくいのです。
特に被告側代理人は裁判長の方に向かって話すので、かなり大きな声で話してくれないと傍聴席まで届きません。

なぜ法廷ではマイクを使えないのでしょうか?
録音用のマイクを使っているからでしょうか?
どうにか工夫できないものでしょうか?

開かれた裁判にしようと思うなら、形だけの公開では意味がありません。

報告集会では、その点について何人もの方から要望が出されましたが、裁判所のルールなので、石木ダム弁護団がどうこうできるものではないようです。
ただ、聞こえないときは「聞こえません」と言ってもいいそうです。
そうしたら、裁判長も被告側代理人も大きな声で言い直してくれるはずだと。

次回から、聞こえないときは、聞こえないと言いましょう。
ただし、優しく、冷静にね!

♥すみません。聞こえないので、もう少し大きな声でお願いしまーす♥と。

私たちはみんな裁判官や被告代理人を見つめていますよ。
皆さんの声に耳を傾けていますよ。
という意思表示を込めて。

次回は、11月13日(月)14:00~です。😊

付替え道路工事再開255日目

付替え道路工事の現場の中から見える向かいの採石場の山は、昨日の大雨が嘘のように晴れ渡っている。



昨日は激しい雨の中でも重機を動かしたのだから、県は今日も工事を進めようとするに違いない。

私たちは地権者のみなさんと一緒に大型重機の周りに座り込んだ。





重機は広い現場のあちらこちらに置かれていて、それぞれの重機のそばに分散して座り込まなければならない。

私は、山際にある一番大きな重機のそばに座り込んだ。

午前9時20分、本庁や各振興局からの応援を受けた県職員と業者24人が現場にやって来た。



機械のそばにやって来たい県職員とそれを止める私たち。 自分たちが設置した金網の作業ヤードが邪魔になり県職員は中に入ることができない。





午前10時、川棚警察署がまた呼ばれ、業者も県職員も私たちも一旦作業ヤードから出て話し合うようにと言って帰って行った。



警察が帰ると県職員は直ぐに動き出すのではないか…?

そう思っていたら案の定だ。

午後12時20分、円陣を組んだ県職員はすぐさま作業ヤードの中に走り込む。



私たちも重機の下に潜り込んで機械が動かないように必死の抵抗をする。



この後、いつも暴力的な対応をする県職員が、支援者のYさんを作業ヤードの外へ引っ張って行き、そのまま抛り投げた。

幸い怪我はなかったが、余りのことに今度はこちら側が警察を呼んだのだ。

警察は双方から事情聴取をし、抗議は非暴力でやるようにと念を押して帰って行った。


来週からはもっと厳しい抗議活動になることが予想されるが、力を尽くしたいと思う。

裁判長、証人尋問認める!



今日の裁判は11:45開始。こんな時間に始めるということは、あっという間に終わるんだろうな~との予想通り。ほんの数分で終わりました。

でも、実は重要な数分でした。

裁判長がどのような方針を示すのか、私たちは期待と不安に胸ドキドキで耳を澄ませていたのです。なぜなら…

前回、私たちの代理人は意見陳述の中で治水利水に関する主張を述べ、それを立証するために複数の証人尋問を求めました。

それに対し被告は8月28日、当方が求めた全ての証人に対しその必要はないとの意見書を提出しました。理由はこれまでの裁判でお互い論じあって証拠を出し合っているからそれで十分!というもの。

それを受けて、さて、裁判所はどのような答えを出すのでしょう?

裁判長が示した方針は、こうでした。

  • 利水に関して、平成24年度水需要予測の担当者1名。
  • 佐世保市の予測は正しいという意見書を提出した学者1名。
  • 治水に関しては、川棚川河川整備基本方針を定めた責任者か、あるいは改定に関わった責任者のどちらか1名。
以上、計3名への尋問を認めたいということでした。

(一部にしろ、こちら側の要求が受け入れられたのです!)

 

それに対し当方弁護団は、できれば、慣行水利権を保有水源から除外した当時の責任者も認めて頂きたい等の希望を述べつつ、9月末までに意見書として提出することを伝えました。

次回は10月31日15:30です。

 

報告集会では、まず、いつものように事務局の平山弁護士から経過報告と今日の裁判の内容についての説明がありました。



そして、「裁判所がこちらの要求を全て退けるのではなく、数人であれ、呼んで話を聞こうとする姿勢は評価できる。また、その尋問の日は12月5日と11日が予定(仮押さえ)された」と。

 

それを受けて高橋弁護士の補足説明。



国は「両教授とのパイプがないので来ていただけるかどうか打診するのに時間がかかる。連絡を取るのにひと月かかる。佐世保市水道局の担当者ともすぐ連絡が取れるかわからない」などと言ったが裁判長は、「いや、できるはず。なるべく早く連絡を取ってください」と言った。また、裁判所の方から2日の日程を押さえたのは、きちんと聞こうとする意思の表れ。12月の法廷は極めて重要な場となるだろう。

 

続いて田篭弁護士。



治水についての証人は、川棚川の河川整備基本方針を作成した最初の人と改定をした人の両方に話を聞きたいが、どちらか一人となると、改定時に関わった人に聞きたい。

尋問は、1人の証人に対して双方の代理人が問い質すもので、裁判の山場。ぜひ多くの人に見てもらいたい。

 

その後、会場からも意見や疑問が出されました。

Aさん:証人尋問がいかに重要か私は有明訴訟で知った。向こう側の証人が実は一度も有明海を見たことがない人だったので、いろいろ質問されるとしどろもどろになって、その主張の不当性が十分に伝わってきた。石木ダムの証人尋問にも大いに期待している。

Bさん:佐世保市で勉強会をおこなっており、毎回水道局にも案内状を出すが来てもらえない。理由はダムの必要性等について裁判中だからという。また、パタゴニアの署名(石木ダムについての公開討論会を開いて下さい)に関しても、裁判中を理由に協力できないなどと言う人がいる。そういう言い訳は通用するのか?

高橋弁護士:行政が裁判を理由に断るのはよくある話で、合理性がないとは言えない。裁判中だから対応してはならないというルールはないが、対応できない理由としては最も説得力のある言い訳と言えるだろう。また、公開討論会と裁判は別物。裁判で石木ダムの必要性を争っていても、同じテーマで討論会を開くことは何ら問題ない。

板井弁護士:川辺川ダムの時は、熊本県が主催して国土交通省と住民が討論会を何回もおこなった。最初は4000人くらいだったかな?結果として国が負けたようなものだった。裁判を理由にして断るのはよくあることだが、できないわけではない。また地方自治体の労働組合というのは大体首長さんの言うことをきく。彼らと論争をするのではなく、話し合う機会を作る条件を探っていくことが大事。やり方の問題だと思う。

地権者の炭谷さん:現地では8月18日の工事再開以降、本庁や県北振興局からも職員を動員し、その数は以前の2倍くらいになっている。数の力で座り込んでいる人を徐々に排除するようになった。工事を急ぐことと裁判と何か関係があるのだろうか?

板井弁護士:行政訴訟には事情判決という制度がある。熊本の路木ダムがそうだった。熊本地裁は路木ダムは違法だという判決を下したが、福岡高裁は違法ではないとした。なぜか。実はその時にはダムができていた。つまり、ブツができてしまったら、それは認めるということになっている。それが事情判決。これを県も狙っているのではないか。

路木ダムの場合建設予定地に誰も住んでいなかった。だから反対運動も難しかった。川辺川ダムの場合は住民がどんどん出て行って最後は1人だけになった。石木ダムは13世帯も残っている。これはすごいこと。

大事なことはそこに住んでいる人が体を張って闘う。利水や治水などの受益者と言われる人たちがその問題に向き合って闘う。そのことを抜きにしてダム問題は解決しない。それをしなければ裁判に勝つことはできない。それぞれができることで力を合わせていこう。

(‘◇’)ゞ (”ω”) (^O^)/ !(^^)!

付替道路工事再開248日目

今日は本庁や県北振興局から12名もの応援がきました。
今日もやっぱり大型ユンボの下に潜り込んで、重機が動かないようにしています。
ダンプの下にも座り込んでいますし、抗議のために動いている小型ユンボのそばに駆け寄った人もいます。すぐさま県職員に捕まって工事現場外に出されてしまいましたが。
地権者のみなさんの底力はすごい!
土地は絶対に手放さない。収用委員会で強制収用された土地の代金も受け取らない!
その姿勢に感動します。
石木川沿いの合歓の木には、まだ花が咲いています。

佐世保市役所前で『石木川』第1号、配布

今朝8時頃、佐世保市役所近辺でビラ配り実施。

多くの皆さんが快く受け取って下さいました。

その場で何じゃ、これは?と眺める方も…

ビラ配りと言っても、ペラペラの1枚ものではありません。A4サイズの4ページもので、そのタイトルも『石木川』第1号。石木ダム問題を伝えるニュースレターのようなものです。

こちらが1ページ目で、よかったら、石木川第1号 👈をクリックして全体に目を通して頂ければ幸いです。

そもそもの発端は7月10日の裁判報告集会での参加者の声でした。「今日の意見陳述の内容を多くの人に知らせたい」「チラシのようなものを作って街頭で配布したらどうだろう」「県や佐世保市はこの裁判の当事者なので、そこで働く職員の方には是非知らせたいですね」ということで、意見陳述書を印刷することになったのです。ところが、準備を始めているときに、現場での真夜中の重機搬入や、それに関連して地権者と県による3年ぶりの協議などが立て続けにおきたので、裁判の意見書だけでなく、現状を伝えることも大切!との声が高まり、このような形になりました。

配布しているのは全て一般の佐世保市民。平日の朝ですから、若者はいません。みな60代以上の熟年世代ですが、なんと21人も!集まって下さいました。

参加者が多いと市役所の表玄関だけでなく、裏口や駐車場前でも配布でき、

保健センターや、水道局、県北振興局前でも配布させていただきました。

おかげで、約900部があっという間になくなってしまいました。

配布活動に参加された皆さん、残暑の日差しの厳しい中、お疲れ様でした。

また、出勤時のお急ぎのところ、気持ちよく受け取ってくださった職員の皆様、ありがとうございました。

約900人中何人の方が読んでくださったかな… (‘_’)

付替道路工事再開246日目

付替え道路工事の現場から見る風景は、随分と秋が感じられるようになってきました。現場内には山野草がたくさん咲いています。
9時25分、県職員と業者がやって来ました。今日の応援は本庁と県北振興局から7人が来ています。重機の周りに座り込む私たちに手を焼いた県は、また警察に通報。川棚署から7人の刑事?がやって来ましたが強制的に排除することはなく、座り込んでいる仲間を粘り強く説得し帰って行きました。県は、警察が帰るとすぐさま重機を動かし、重機のそばに座り込んだ地権者を4人がかりで押さえつけました。攻防は17時近くまで続きましたが、工事自体はほとんど進んでいません。

ダムマニアに遭遇!

今日はパタゴニア福岡ストアでお手伝い!
と言っても販売ではありません。

署名活動です!

パタゴニアさんは今週はセール期間中。お客様がいつもより多いので、この機会に署名コーナーを設けてアピールしようという作戦。でも、いつもよりお客様が多いということは、スタッフの皆さんもいつもより忙しいということ。署名コーナーに張り付いているわけにはいきません。そこで私にヘルプの声がかかり…いつもお世話になっているので少しは恩返しができるかも…とやってきました。

でもね、これが思ったより難しく…いつもの街頭署名活動のようなわけにはいきません。

まず第一に、お声をかけるタイミングが難しいのです。レジを済ませて帰ろうとする方にお声をかけるのですが、スタスタと歩いて行かれる方はお急ぎなのかもしれないし、あちこち視線を巡らしている方はまだ買いたいものがあるのかもしれないし、声かけすることによって不快な思い(私は買い物に来たのよ、なんでこんなところで署名をしなきゃいけないの?などと…)を抱かせてはたいへんです。こちらのコーナーに視線を向けている人や、たまたま目と目があった人に…なんて的を絞っていると、チャンスはあまり多くはありません。

第二に、やっと目と目があった人が近づいて来てくれたので、「すみません。お急ぎでなかったら少しよろしいですか?いま石木ダムに関する署名活動をやっているのですが…」と話し始めたら、「アア、ノー」と言って立ち去ってしまいました。

ああ、まただ…。そう、日本人ではないのです。いまとても韓国人のお客様が多いそうです。(パタゴニア福岡ストアで買い物するために、わざわざ韓国からやってくる方もいるのだとか)スタッフの方は大体見分けがつくようですが、私には韓国人も中国人も日本人も区別がつきません。

また、レジ担当のスタッフが、会計を済ませたお客様に「お急ぎでなかったら、あちらのコーナーに…」と案内し、それに応じて近づいてくれる方もいるのですが、署名というと「住所も書かなきゃいけないんですよね?それじゃちょっと…すみません」と言って去って行かれる方もけっこういました。仕事のできるサラリーマン風の方に多いように感じました。

そして、堂々と反論される方もいました。その方は自分から近づいて来られたのですが、いきなり、

なんでダムに反対なんですか?

いえ、反対ではなくて、必要性に疑問があるとか説明が不十分と思っている県民が多いので、公開の場で県民にわかるような議論を県に求めようとしているんです。

ダムは必要じゃないですか。温暖化で異常気象が当たり前のようになってきて、洪水被害も年々深刻になってきてるでしょ?一方で日照りが続いて水不足になってるところもあるし。

ん?もしや国交省の回し者?と疑いたくなるような主張をぶつけてきた方は、すらりとしたキャリアウーマン風の女性でした。

その異常気象を招いているのは、もとはと言えば人間による自然破壊が原因じゃないでしょうか。最近の水害がひどいのも流木が影響しているようですが、あれも自然の山を壊して人工林にしてしまった結果で…

もちろん、行き過ぎた自然破壊は良くないと思うけど、ダムはそうではないでしょう?私はダムが好きで暇ができるとよくダム巡りをするんだけど、いいですよー。木々に囲まれたダム湖の景色…

えー?ダム巡り?もしかしてダムマニアですか?

そう!私はダムマニアよ。ダムが大好き!

(こんなところでダムマニアに遭遇するとは…と思いつつ)
そうですか。でも、石木ダムの場合は、ほら、こんなに小さな川でね、小さな子供が中に入っても大丈夫。こちらは少し大きい子が飛び込みなんかやってますが…こんなふうに子どもたちにとっても貴重な遊び場なんですよ。そしてこの子たちの住んでいる家が13軒もあって、それが全て水の底に沈められてしまう…そういうダムなんです、石木ダムというのは。13世帯約50人の人の生活が破壊されるんです。その方たちはずーっとダムに反対されて、半世紀も闘い続けて…だからダムはまだ全然できていないんです。

半世紀も?!よく頑張るねー。私は仕事柄、あちこちで暮らしてきたから、住むのはどこでもいいと思ってる。こだわる人の気持ちがわからない。わからないけど、でも、いるんだよねーそんな人。

私もそうでしたよ。私もけっこう移動した方だし、どこでも住めば都と思ってました。でも、このこうばるの方々に出会って、大地にしっかり根を張った生き方を知って、ああ、こういう生き方もあるんだな~、こういう人たちの存在が自然を守ってきたんだな~って実感したんですよねー

うん。まあね。守らなきゃいけない自然ってのも確かにあるけどね。

ですよね?だから、ここが守るべき場所なのか、それともここを犠牲にしても作る必要のあるダムなのか、それをもう一度みんなで考えましょう。そのための討論会を開いてください、というお願いなんだから、それには反対ではないでしょう?

うーん。でも、やっぱり今は署名できない。このダムのこと何も知らないしね。でも、帰ってから考えてみますよ。

ありがとうございます!では是非この資料を後で読んでみてください!

とチラシを差し出すと、笑顔で受け取ってくれました。ほんの短い時間でしたが、初めてダムマニアさんとお話しできて、しかもフランクな方で、なんだか楽しかったです。

それにしても、映画ダムネーションを製作し、石木ダムや八ッ場ダムの反対運動を支援しているパタゴニアのお客様がダムマニアとは…意外でした。またお会いしたいな~ (^-^)

 

「99」を見て勉強会に参加!

今日は「佐世保の水と石木ダムを考える勉強会」の4回目。場所は西天神公民館第二集会所でした。

いつものように「佐世保の水のはなし」など3本の動画鑑賞の後、自由に意見交換となりました。

・いま現地はどうなっているの?

・市議会の議員さんたちの中に反対してる人はいるの?

などの、素朴な疑問が出され、現地の実情をよく知る人が説明したり、ちょうど参加なさっていた早稲田矩子市議から議会の話も聞けました。

早稲田市議が市議会には「石木ダム建設促進特別委員会」があるが、そこは「促進委員会」という名前の通り、賛成の議員しか入れない、と説明されると、「エー!?」という声や笑い声があちこちから聞こえてきました。

そして、こんな話も紹介してくださいました。

ダムが必要と言う議員の中には、「水が十分でなければ企業誘致できないから」という人も多いんですよね。でも、工業団地ができて実際にやってきた企業は、「井戸を掘ってくれ」と言うんですよ。企業が求めるのは高い水道水ではなく、安い井戸水(地下水)なんですね。だから「企業誘致のために石木ダム!」というのは、ダムを造る理由にならないと思いますね。

なるほどー!(‘◇’)

皆さんからも様々な意見が出されました。

Aさん:選挙の時、候補者はみんな石木ダムの話はしないので、どう考えているかわかりませんよね。しょうがないから、僕は自分の地域の議員さんに直接聞いてみようと思っています。石木ダムのことどう思ってますか?って。

Bさん:水道管はどんどん古くなっていきますよね。ダムを造っても、管が古いままでは漏れてしまって意味がないと思います。私は水道管の更新の方にお金を使ってほしいです。

Cさん:そうですよね。漏水をなくすのは、ダムを造るようなもんだと僕は思いますよ。

Dさん:今日の資料には、佐世保市の年間漏水量は石木ダムの利水用量よりも多いと書かれています。仮に漏水がゼロになれば、まさに石木ダムを造ったのと同じことになるんですねー

Eさん:私は10年ほど前に東京から佐世保に越してきて、水道料金が高いなーとびっくりしました。また、虚空蔵の水をよく汲みに行くので現地を通るたびに石木ダム反対の看板もよく目にしてきたんですが、正直あまり真剣に考えてはいなかったです。
でも、今回「99」の記事を読んで自分の意識がガラッと変わって…その時たまたま、この勉強会の案内を見て来る気になったんです。今日のお話を聞かせてもらって、とても良かった!周りの人に伝えたいと思います。

Fさん:前の光武市長が下ノ原ダムの嵩上げ工事をしましたが、あの時、市長は県と国からものすごく叱られたと聞きました。石木ダム計画があるのに、何故そのようなことをするのかと。でも、光武市長はそんな圧力をはねのけ、どうしても必要な工事だと頑張ったそうです。新しくダムを造らなくても、方法はいろいろあると思うんですよねー

Gさん:佐世保にはため池がたくさんありますよね。中にはダム以上に大きいものもある。今は耕作放棄地が増え、あまり使われていないようですが、そのようなため池の水を水道用に活用できるのではないでしょうか。

司会:そういうふうに私たちが水問題や石木ダムに関心を持って、自分自身で考えたり、周りの人と気軽に話し合ったりすることが大事ですよね。最後に、まだ発言頂いていないんですが、若い方の感想も聞きたいのでお願いできますか?

と、指名された若いご夫婦。2人の元気なお子さん連れで参加なさっていましたが、そのお父さんの方が、発言してくれました。(声が小さかったので、正確ではないかもしれませんが)

石木ダムのことが 分からずにいたので、参加しました。
反対されている方の理由を聞きたいと思っていました。
言われていることはよくわかりました。
建設する側の話も聞ければと思いました。

ですよねー!どこの会場でも聞かれる感想です。推進派の方は、どうして参加して頂けないのでしょうか?

かくかくしかじかこういうわけで、どうしても石木ダムは必要なんですよ、と語ってほしいのですが…

私たちは対立のための議論なんて望んでいません。
より良い佐世保の未来のために、どのような選択がいいのか、一緒に語り合い、考えていきたい、ただそれだけなのですが。

(‘_’)

 

話し合い決裂!

今日、知事との話し合いを求める2回目の協議がおこなわれましたが、たいへん残念な結果に終わりました。



協議は決裂です。何故そんな結果になったのでしょう。

地権者が求めていた知事との面談について、県はいくつもの条件を出してきました。

①個別に会う(1世帯2~3人)

②代理人はダメ

③非公開(録画もダメ)

④1時間程度

⑤自宅以外の静穏な場所

⑥日程調整はダム事務所がおこなう

 

②や③も問題ですが、何よりも①については受け入れがたい条件です。

地権者の皆さんにとってダム問題は「こうばる」という1つの大家族の問題です。

バラバラに対応するなどあり得ないことです。

しかし、ここで撥ねつけては交渉の余地がなくなるので、
一度持ち帰って相談したいと提案。

すると、県の岩見洋一土木部長(今年4月国交省から出向)は、
「それはかまいませんが、明日から工事は再開します」と明言。

これにはみんな驚きました。

「工事を再開したら話し合うことができなくなる」

「知事との話し合いが終わるまで工事は再開しないでほしい」
と頼みましたが、岩見部長は「工事と話し合いは別問題」と一蹴しました。

しかし、地権者にとって「工事と話し合いは一体」です。

なぜなら、想像してみてください。

工事を再開すると地権者は抗議行動に出ます。
この炎天下、朝から夕方まで、県職員との攻防が続きます。
夜も休日も交代で24時間体制です。
熱中症で倒れるかもしれない。怪我人が出るかもしれない。
事故が起きるかもしれない。

「それでもやるんです。必死です。私たちは命を懸けているんです」

そんな状態の中で冷静な話し合いなどできるわけがありません。感情的になったり、考える余裕がなくなったり…県が望む「静穏な環境」の話し合いなど不可能です。

そのようなことを何度説明しても岩見部長の答えは変わりませんでした。

部長:工事をしても話し合いはできるはず。日曜日とか夜とか。

地権者:できません。こちらは24時間体制でやってるんですよ。そんなのは現場を知らない者の考えです。一度現場に来らさんですか。朝から夕方まで炎天下におらさんですか。

部長:工事の妨害をしてはいけないと仮処分でが出ているはずです。

地権者:今、その工事について差止訴訟をやっています。その判決が出るまで待つべきじゃないですか。

部長:とにかく工事はやります。

 

そこで地権者の皆さんは最後の確認を求めました。

地権者:あなた方は知事と私たちが話し合うことを拒むのですね?

部長:いえ、拒んでいません。

地権者:私たちは工事を再開するなら話し合いはできないと言っているのに、あなたはそれでも明日から再開すると言う。それは話し合いを拒否していることになります。そう判断していいのですね?

部長:それは論理の飛躍です。

地権者:知事の意向を聞かずに工事を再開するのですね?

部長:もう知事の意向は確認しました。

地権者:それは昨日までのこと。今日の話を持ち帰って知事に伝え、明日から工事を再開するかどうか確認しようという気はないんですか?

部長:伝えますが、工事は再開します

地権者:わかりました。私たちもできる限り抗議行動を続けていきます。今後は死を覚悟してやります。

 

本当に残念です。そして、今後のことが懸念されます。
抗議行動はおそらくエスカレートしていくでしょう。
話し合いが決裂したのは、あきらかに土木部長の強硬姿勢です。譲歩するとか妥協するとかいう気はさらさらない方のようです。

実は冒頭、話し合いの本題に入るまでに25分もの時間を浪費していました。

マスコミを入れるかどうか、つまり公開か非公開かで15分間押し問答。
結局、県側が押し切ってマスコミをシャットアウトで話し合い開始。

開始直後、今度は、県側の回答を伝える順番をめぐって対立。

地権者は、まず知事との話し合いについての回答を知りたいと求めたのですが、岩見土木部長は「まず安全上の問題について報告し、その後知事との話し合いについて報告する」と言うのです。

地権者がどんなに望んでも部長は決して譲らず「順を追って」と言うばかり。

そこで地権者の方が譲り、安全面の話は5分ほどでその後本題に移るという約束をしたのですが、この間のやり取りに10分のロス。

しかし、その報告を聞き終わっても、そこまで順番に拘る必要がどこにあったのか、さっぱりわかりませんでした。

要するに自分たちの決めた方針は何が何でも押し通す主義。

決して妥協しない。相手の意向など気にかけない。それでいいと確信なさっているようです。

最近工事の進め方が強引になってきているのは感じていましたが、このような「有能な」官僚の手腕によるものだったのですね。

官邸を守るために「記録がありません」「調べる必要はありません」と答弁し続けて栄転した元理財局長の佐川氏のように、岩見氏も知事を守るために本領発揮されるのでしょうか。

これから長崎県政はどこまで強硬になるのか…

県民としてしっかり注視したいと思います。 (‘_’)