付替道路工事再開246日目

付替え道路工事の現場から見る風景は、随分と秋が感じられるようになってきました。現場内には山野草がたくさん咲いています。
9時25分、県職員と業者がやって来ました。今日の応援は本庁と県北振興局から7人が来ています。重機の周りに座り込む私たちに手を焼いた県は、また警察に通報。川棚署から7人の刑事?がやって来ましたが強制的に排除することはなく、座り込んでいる仲間を粘り強く説得し帰って行きました。県は、警察が帰るとすぐさま重機を動かし、重機のそばに座り込んだ地権者を4人がかりで押さえつけました。攻防は17時近くまで続きましたが、工事自体はほとんど進んでいません。

ダムマニアに遭遇!

今日はパタゴニア福岡ストアでお手伝い!
と言っても販売ではありません。

署名活動です!

パタゴニアさんは今週はセール期間中。お客様がいつもより多いので、この機会に署名コーナーを設けてアピールしようという作戦。でも、いつもよりお客様が多いということは、スタッフの皆さんもいつもより忙しいということ。署名コーナーに張り付いているわけにはいきません。そこで私にヘルプの声がかかり…いつもお世話になっているので少しは恩返しができるかも…とやってきました。

でもね、これが思ったより難しく…いつもの街頭署名活動のようなわけにはいきません。

まず第一に、お声をかけるタイミングが難しいのです。レジを済ませて帰ろうとする方にお声をかけるのですが、スタスタと歩いて行かれる方はお急ぎなのかもしれないし、あちこち視線を巡らしている方はまだ買いたいものがあるのかもしれないし、声かけすることによって不快な思い(私は買い物に来たのよ、なんでこんなところで署名をしなきゃいけないの?などと…)を抱かせてはたいへんです。こちらのコーナーに視線を向けている人や、たまたま目と目があった人に…なんて的を絞っていると、チャンスはあまり多くはありません。

第二に、やっと目と目があった人が近づいて来てくれたので、「すみません。お急ぎでなかったら少しよろしいですか?いま石木ダムに関する署名活動をやっているのですが…」と話し始めたら、「アア、ノー」と言って立ち去ってしまいました。

ああ、まただ…。そう、日本人ではないのです。いまとても韓国人のお客様が多いそうです。(パタゴニア福岡ストアで買い物するために、わざわざ韓国からやってくる方もいるのだとか)スタッフの方は大体見分けがつくようですが、私には韓国人も中国人も日本人も区別がつきません。

また、レジ担当のスタッフが、会計を済ませたお客様に「お急ぎでなかったら、あちらのコーナーに…」と案内し、それに応じて近づいてくれる方もいるのですが、署名というと「住所も書かなきゃいけないんですよね?それじゃちょっと…すみません」と言って去って行かれる方もけっこういました。仕事のできるサラリーマン風の方に多いように感じました。

そして、堂々と反論される方もいました。その方は自分から近づいて来られたのですが、いきなり、

なんでダムに反対なんですか?

いえ、反対ではなくて、必要性に疑問があるとか説明が不十分と思っている県民が多いので、公開の場で県民にわかるような議論を県に求めようとしているんです。

ダムは必要じゃないですか。温暖化で異常気象が当たり前のようになってきて、洪水被害も年々深刻になってきてるでしょ?一方で日照りが続いて水不足になってるところもあるし。

ん?もしや国交省の回し者?と疑いたくなるような主張をぶつけてきた方は、すらりとしたキャリアウーマン風の女性でした。

その異常気象を招いているのは、もとはと言えば人間による自然破壊が原因じゃないでしょうか。最近の水害がひどいのも流木が影響しているようですが、あれも自然の山を壊して人工林にしてしまった結果で…

もちろん、行き過ぎた自然破壊は良くないと思うけど、ダムはそうではないでしょう?私はダムが好きで暇ができるとよくダム巡りをするんだけど、いいですよー。木々に囲まれたダム湖の景色…

えー?ダム巡り?もしかしてダムマニアですか?

そう!私はダムマニアよ。ダムが大好き!

(こんなところでダムマニアに遭遇するとは…と思いつつ)
そうですか。でも、石木ダムの場合は、ほら、こんなに小さな川でね、小さな子供が中に入っても大丈夫。こちらは少し大きい子が飛び込みなんかやってますが…こんなふうに子どもたちにとっても貴重な遊び場なんですよ。そしてこの子たちの住んでいる家が13軒もあって、それが全て水の底に沈められてしまう…そういうダムなんです、石木ダムというのは。13世帯約50人の人の生活が破壊されるんです。その方たちはずーっとダムに反対されて、半世紀も闘い続けて…だからダムはまだ全然できていないんです。

半世紀も?!よく頑張るねー。私は仕事柄、あちこちで暮らしてきたから、住むのはどこでもいいと思ってる。こだわる人の気持ちがわからない。わからないけど、でも、いるんだよねーそんな人。

私もそうでしたよ。私もけっこう移動した方だし、どこでも住めば都と思ってました。でも、このこうばるの方々に出会って、大地にしっかり根を張った生き方を知って、ああ、こういう生き方もあるんだな~、こういう人たちの存在が自然を守ってきたんだな~って実感したんですよねー

うん。まあね。守らなきゃいけない自然ってのも確かにあるけどね。

ですよね?だから、ここが守るべき場所なのか、それともここを犠牲にしても作る必要のあるダムなのか、それをもう一度みんなで考えましょう。そのための討論会を開いてください、というお願いなんだから、それには反対ではないでしょう?

うーん。でも、やっぱり今は署名できない。このダムのこと何も知らないしね。でも、帰ってから考えてみますよ。

ありがとうございます!では是非この資料を後で読んでみてください!

とチラシを差し出すと、笑顔で受け取ってくれました。ほんの短い時間でしたが、初めてダムマニアさんとお話しできて、しかもフランクな方で、なんだか楽しかったです。

それにしても、映画ダムネーションを製作し、石木ダムや八ッ場ダムの反対運動を支援しているパタゴニアのお客様がダムマニアとは…意外でした。またお会いしたいな~ (^-^)

 

「99」を見て勉強会に参加!

今日は「佐世保の水と石木ダムを考える勉強会」の4回目。場所は西天神公民館第二集会所でした。

いつものように「佐世保の水のはなし」など3本の動画鑑賞の後、自由に意見交換となりました。

・いま現地はどうなっているの?

・市議会の議員さんたちの中に反対してる人はいるの?

などの、素朴な疑問が出され、現地の実情をよく知る人が説明したり、ちょうど参加なさっていた早稲田矩子市議から議会の話も聞けました。

早稲田市議が市議会には「石木ダム建設促進特別委員会」があるが、そこは「促進委員会」という名前の通り、賛成の議員しか入れない、と説明されると、「エー!?」という声や笑い声があちこちから聞こえてきました。

そして、こんな話も紹介してくださいました。

ダムが必要と言う議員の中には、「水が十分でなければ企業誘致できないから」という人も多いんですよね。でも、工業団地ができて実際にやってきた企業は、「井戸を掘ってくれ」と言うんですよ。企業が求めるのは高い水道水ではなく、安い井戸水(地下水)なんですね。だから「企業誘致のために石木ダム!」というのは、ダムを造る理由にならないと思いますね。

なるほどー!(‘◇’)

皆さんからも様々な意見が出されました。

Aさん:選挙の時、候補者はみんな石木ダムの話はしないので、どう考えているかわかりませんよね。しょうがないから、僕は自分の地域の議員さんに直接聞いてみようと思っています。石木ダムのことどう思ってますか?って。

Bさん:水道管はどんどん古くなっていきますよね。ダムを造っても、管が古いままでは漏れてしまって意味がないと思います。私は水道管の更新の方にお金を使ってほしいです。

Cさん:そうですよね。漏水をなくすのは、ダムを造るようなもんだと僕は思いますよ。

Dさん:今日の資料には、佐世保市の年間漏水量は石木ダムの利水用量よりも多いと書かれています。仮に漏水がゼロになれば、まさに石木ダムを造ったのと同じことになるんですねー

Eさん:私は10年ほど前に東京から佐世保に越してきて、水道料金が高いなーとびっくりしました。また、虚空蔵の水をよく汲みに行くので現地を通るたびに石木ダム反対の看板もよく目にしてきたんですが、正直あまり真剣に考えてはいなかったです。
でも、今回「99」の記事を読んで自分の意識がガラッと変わって…その時たまたま、この勉強会の案内を見て来る気になったんです。今日のお話を聞かせてもらって、とても良かった!周りの人に伝えたいと思います。

Fさん:前の光武市長が下ノ原ダムの嵩上げ工事をしましたが、あの時、市長は県と国からものすごく叱られたと聞きました。石木ダム計画があるのに、何故そのようなことをするのかと。でも、光武市長はそんな圧力をはねのけ、どうしても必要な工事だと頑張ったそうです。新しくダムを造らなくても、方法はいろいろあると思うんですよねー

Gさん:佐世保にはため池がたくさんありますよね。中にはダム以上に大きいものもある。今は耕作放棄地が増え、あまり使われていないようですが、そのようなため池の水を水道用に活用できるのではないでしょうか。

司会:そういうふうに私たちが水問題や石木ダムに関心を持って、自分自身で考えたり、周りの人と気軽に話し合ったりすることが大事ですよね。最後に、まだ発言頂いていないんですが、若い方の感想も聞きたいのでお願いできますか?

と、指名された若いご夫婦。2人の元気なお子さん連れで参加なさっていましたが、そのお父さんの方が、発言してくれました。(声が小さかったので、正確ではないかもしれませんが)

石木ダムのことが 分からずにいたので、参加しました。
反対されている方の理由を聞きたいと思っていました。
言われていることはよくわかりました。
建設する側の話も聞ければと思いました。

ですよねー!どこの会場でも聞かれる感想です。推進派の方は、どうして参加して頂けないのでしょうか?

かくかくしかじかこういうわけで、どうしても石木ダムは必要なんですよ、と語ってほしいのですが…

私たちは対立のための議論なんて望んでいません。
より良い佐世保の未来のために、どのような選択がいいのか、一緒に語り合い、考えていきたい、ただそれだけなのですが。

(‘_’)

 

話し合い決裂!

今日、知事との話し合いを求める2回目の協議がおこなわれましたが、たいへん残念な結果に終わりました。

協議は決裂です。何故そんな結果になったのでしょう。

地権者が求めていた知事との面談について、県はいくつもの条件を出してきました。

①個別に会う(1世帯2~3人)

②代理人はダメ

③非公開(録画もダメ)

④1時間程度

⑤自宅以外の静穏な場所

⑥日程調整はダム事務所がおこなう

 

②や③も問題ですが、何よりも①については受け入れがたい条件です。

地権者の皆さんにとってダム問題は「こうばる」という1つの大家族の問題です。

バラバラに対応するなどあり得ないことです。

しかし、ここで撥ねつけては交渉の余地がなくなるので、
一度持ち帰って相談したいと提案。

すると、県の岩見洋一土木部長(今年4月国交省から出向)は、
「それはかまいませんが、明日から工事は再開します」と明言。

これにはみんな驚きました。

「工事を再開したら話し合うことができなくなる」

「知事との話し合いが終わるまで工事は再開しないでほしい」
と頼みましたが、岩見部長は「工事と話し合いは別問題」と一蹴しました。

しかし、地権者にとって「工事と話し合いは一体」です。

なぜなら、想像してみてください。

工事を再開すると地権者は抗議行動に出ます。
この炎天下、朝から夕方まで、県職員との攻防が続きます。
夜も休日も交代で24時間体制です。
熱中症で倒れるかもしれない。怪我人が出るかもしれない。
事故が起きるかもしれない。

「それでもやるんです。必死です。私たちは命を懸けているんです」

そんな状態の中で冷静な話し合いなどできるわけがありません。感情的になったり、考える余裕がなくなったり…県が望む「静穏な環境」の話し合いなど不可能です。

そのようなことを何度説明しても岩見部長の答えは変わりませんでした。

部長:工事をしても話し合いはできるはず。日曜日とか夜とか。

地権者:できません。こちらは24時間体制でやってるんですよ。そんなのは現場を知らない者の考えです。一度現場に来らさんですか。朝から夕方まで炎天下におらさんですか。

部長:工事の妨害をしてはいけないと仮処分でが出ているはずです。

地権者:今、その工事について差止訴訟をやっています。その判決が出るまで待つべきじゃないですか。

部長:とにかく工事はやります。

 

そこで地権者の皆さんは最後の確認を求めました。

地権者:あなた方は知事と私たちが話し合うことを拒むのですね?

部長:いえ、拒んでいません。

地権者:私たちは工事を再開するなら話し合いはできないと言っているのに、あなたはそれでも明日から再開すると言う。それは話し合いを拒否していることになります。そう判断していいのですね?

部長:それは論理の飛躍です。

地権者:知事の意向を聞かずに工事を再開するのですね?

部長:もう知事の意向は確認しました。

地権者:それは昨日までのこと。今日の話を持ち帰って知事に伝え、明日から工事を再開するかどうか確認しようという気はないんですか?

部長:伝えますが、工事は再開します

地権者:わかりました。私たちもできる限り抗議行動を続けていきます。今後は死を覚悟してやります。

 

本当に残念です。そして、今後のことが懸念されます。
抗議行動はおそらくエスカレートしていくでしょう。
話し合いが決裂したのは、あきらかに土木部長の強硬姿勢です。譲歩するとか妥協するとかいう気はさらさらない方のようです。

実は冒頭、話し合いの本題に入るまでに25分もの時間を浪費していました。

マスコミを入れるかどうか、つまり公開か非公開かで15分間押し問答。
結局、県側が押し切ってマスコミをシャットアウトで話し合い開始。

開始直後、今度は、県側の回答を伝える順番をめぐって対立。

地権者は、まず知事との話し合いについての回答を知りたいと求めたのですが、岩見土木部長は「まず安全上の問題について報告し、その後知事との話し合いについて報告する」と言うのです。

地権者がどんなに望んでも部長は決して譲らず「順を追って」と言うばかり。

そこで地権者の方が譲り、安全面の話は5分ほどでその後本題に移るという約束をしたのですが、この間のやり取りに10分のロス。

しかし、その報告を聞き終わっても、そこまで順番に拘る必要がどこにあったのか、さっぱりわかりませんでした。

要するに自分たちの決めた方針は何が何でも押し通す主義。

決して妥協しない。相手の意向など気にかけない。それでいいと確信なさっているようです。

最近工事の進め方が強引になってきているのは感じていましたが、このような「有能な」官僚の手腕によるものだったのですね。

官邸を守るために「記録がありません」「調べる必要はありません」と答弁し続けて栄転した元理財局長の佐川氏のように、岩見氏も知事を守るために本領発揮されるのでしょうか。

これから長崎県政はどこまで強硬になるのか…

県民としてしっかり注視したいと思います。 (‘_’)

 

 

ライフさせぼ創刊者、石木ダムを語る

これは、ライフ企画が発行する月刊誌「99」(NINETY NINE VIEW) の8月号(8/11発行)の表紙です。

あれー?どこかで見た景色だけど…
もしかして…あそこ?

そう!あそこです。「こうばる」です。

佐世保市にあるライフ企画さんは、週刊誌や月刊誌を発行し、食やショップ、イベント等、佐世保のあらゆる情報を提供してくれる、市民に愛され頼りにされている情報発信基地です。

とはいえ、新聞やテレビ、ラジオとは違って政治に関わるテーマはほとんど掲載されません。そんなタウン情報誌に、なんと石木ダムについて4ページも!書かれていました。もうビックリ!です。

何が起きたの??
と、思いますよね~

佐世保市外の人たちのために、ここに掲載させて頂きます。この情報誌は販売物ではないし、ライフさんは包容力のある会社なので、許してくださるでしょう。

ハハーン、なんとなく読めてきましたゾ。

ライフさんもそう言えば数年前、佐世保市民に石木ダムについて誌上アンケート調査をなさってましたっけ。石木ダムは必要?or不要?と。でも、ほとんど反応がなかったんですよねー

で、今回、パタゴニアさんがおこなった県民アンケートの結果を見て、もう一度佐世保市民に問いかけたくなったのでしょうね。

「石木ダム建設は市民の願い」という標語を市内各所で目にするけれどが、あなたは本当に願っていますか?と。

そして、次のページでは、「ライフさせぼ」創刊者の小川照郷氏とパタゴニア日本支社長の辻井隆行氏の対談。

うーん。聞きごたえ、ではなく読みごたえがありますねー。
世代も、育った環境も、取り組んできた仕事も全く異なるお二人ですが、とても共感し合えているように感じます。おそらく、大切にしていることや目指す未来が似ているのでしょう。

お二人の会話の最後の部分を佐世保市長や市議の皆さんに、ぜひ読んで頂きたい。

小川「僕が山を楽しむのも行政に期待していないからかも。個人の楽しさから豊かさが生まれ、それが家族や地域を豊かにすることだと思っています」

辻井「もし佐世保市が石木ダム建設を見直したら、これも行政代執行と同じく日本のダム史上初になります」

小川「その方が素晴らしいじゃないですか!」

辻井「一回決めたことより、もっといいものがあれば、話し合える自由な空気がある街として、佐世保は魅力的な地方のローカルモデルになるのではないでしょうか」

市民「そうなってほしいな~」(陰の声)

NHK WORLD で石木ダム発信!

みなさん、NHK WORLD ってご存知ですか?

NHK国際放送局が世界と日本を繋ぐニュースの窓口です。https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/

をクリックしてみてください。アジアや欧米はじめ世界中のラジオやテレビやビデオが視聴でき、また、日本のニュースもNHK NEWSLINE で見ることができます。(もちろん英語で)

8月10日の朝8時のニュースで、なんと石木ダムの現状がここで放送されたのです。


世界に向けて、日本政府や地方自治体は、ダム建設のために13世帯の家を水の底に沈め、暮らしを破壊しようとしていることが発信されたのです。

このニュースを見た世界の人は驚くでしょうね~

日本って、そんな国だったのー!?と。

映像だけでも大体理解できますが、英語のヒアリングOKの方は特に見てみてください。そして、ご感想など頂けたら嬉しいです。

証人尋問に反対する国、そのわけは…

7月31日午後1時半、石木ダム事業認定取消訴訟の第7回口頭弁論を膨張するために集まった人の列。久々に大人数です。それは、いま工事が中断されているから。地権者をはじめ支援者の多くも、今日は安心して傍聴できると、暑い中喜んで駆けつけました。

法廷では今日も当方代理人弁護士2名が意見陳述をおこないました。

利水面については高橋弁護士(下の写真は報告集会での画像)が、

佐世保市がおこなった水需要予測のでたらめさや慣行水利権を排除する不合理さを指摘し、その事実を明らかにするために、佐世保市水道局の水需要予測の担当者(当時)、佐世保市長、SSK社長らの証人尋問を申請したいと述べました。

治水面では田篭弁護士が、

計画規模の不合理性(それまでの1/30から石木ダム計画が持ち上がったら急に1/100に変更)や基本高水流量算出のまやかし(基本高水流量が1400㎥/秒となるのは、100年に1度ではなく、500年~1000年に一度の確率)などを指摘し、それらの点を明らかにするために、川棚川水系河川整備基本方針・整備計画策定の各担当者や事業認定庁の責任者の証人申請を考えていると述べました。

ところが、これらの証人尋問について、被告(国)側は必要性がないと反対しましたが、具体的な根拠は語らなかったので、次回期日1週間前までにこの件に関する意見書を提出するよう裁判長が求め、被告代理人は応じました。

また、被告側からの証人尋問について裁判長から問われると、今のところその予定はないと答えました。

なぜ国は証人尋問に反対するのかな?~なぜ自分たちも証人を立てようとしないのかな?~と思っていましたが、その疑問は報告集会のときに謎が解けました。

馬奈木弁護士によると、


行政訴訟において、教科書では政策の正しさは行政が立証しなければならないとなっているのに、現実の裁判はそうではない。
行政は正しいという推定の下でおこなわれている。(推定無罪)
だから、その間違いは原告の我々が検察官の立場で立証しなければならない。
そうしないと勝てない。だから立証の手段を尽くさなければならない。

ところが立証しようとして証人を求めても、行政側が必要ないと言い、それを裁判所も認め、調べないまま終わってしまい、判決の時になって立証不十分で負ける場合がある。我々が負ける裁判というのはそういう場合である。

刑事事件で被告人が黙秘権を行使するように、国側は今、自ら何も語らない、何も与えない、何も明らかにしようとしない、そいう態度を貫いている。
けしからん!

国会と同じ。資料は何も残っていません。何も記憶にありません。安倍内閣がやっていることを司法の場でもやろうとしている。こんなことは許されない。我々は徹底的に闘う。資料をちゃんと出せと言う。出させなさいと裁判所に迫る。

(‘◇’)ゞ

なるほどー。そういうことだったんですねー。
奥が深い。というか、私たちが何も知らなかっただけかもしれませんが。
これから1つずつ学びながら、弁護団と共に、しっかり闘っていきたいものです。

知事と話したい!

8月1日(火)午前10時。石木ダム建設事務所2階。地権者の皆さんと県職員が久しぶりに話し合いのテーブルに着きました。

でも、話し合いは堂々巡り。

この日決まったことはただ1つ。地権者の要望を県に伝え、できるだけ要望に沿えるよう努力し、その結果を7日(月)に伝える。そのための再協議を10時からおこなう。ただそれだけ。それだけの結論を得るのに3時間半もの時が費やされました。

地権者の要望とは、「知事と直接話し合いたい。それが実現するまで工事は中断してほしい」ということ。

それに対する県の主張は「持ち帰って報告し、相談して判断する。今は何とも答えられない」の一点張り。

県と言っても、所長をはじめ石木ダム建設事務所職員と、本庁からやってきた県職員とでは発言内容が微妙に違います。

所長は、「地権者と会うことは知事も望んでいる。そうなるよう私も願っているが、それが16日までに実現できるかどうか、今は全くわからない。そんな中で実現できるまで中断せよと言われても私には、その権限はない」との趣旨でしたが、

本庁の役人(土木部の吉田次長や河川課の浦瀬企画監など)は、「話し合いと言っても、その中身、内容が重要。かつてのように、ゼロベースでとか白紙に戻して話し合おうと言われても、それは無理。条件次第で知事の判断も変わるだろう」「県としては地域を守るために必要な事業と位置付けているので、工事は進めたい」など、初めから自分たちの考えや立場を主張し、住民の願いに耳を貸そうとはしなかったので、地権者の怒りを買ってしまいました。

「私たちは工事を進める責任がある。この前も日田や朝倉では甚大な被害が起きているし…」と吉田次長が語り出したときは、慌てて河川課の二人が肩をたたいて制止しましたが、それは共謀罪についての国会審議の時よく見た光景を思い出させ、笑いをこらえるのに苦労しました。

本庁のお役人も、自分たちの発言が話し合いにマイナスとなることに気づき、途中からはほとんど自発的な発言はなくなり、地権者もそれぞれの思いを冷静にぶつけていきました。

Aさん:県はそうやって住民の同意無しに、何が何でも進めようとする。だから重機や燃料など夜に搬入しようとして、既に負傷者が出ている。これ以上怪我人を出さないためにはどうしたらいいか知事と話し合いをしようとしているんです。知事も応じたいと言っているのだから、その邪魔をしないでもらいたい。

Bさん:あなたたちは重機を入れたら工事が進むと思っているのですか?私たちは逮捕されてもかまわない。中に入って重機の前に座り込みます。話し合いに応じてもらえないまま17日以降は工事すると言うなら、そうするしかない。

Cさん:私たちはまず知事に現状を伝えたい。知事は政治生命を懸けてダムを造ろうとしているのかもしれないが、私たちは命を懸けてふるさとを守ろうとしている。絶対出ていかない。その思いを直接知事に伝えたい。伝えた上で、知事の考えを聞きたい。(後ろから「そうだ」「そうだ」の声)

Dさん:あなたたちに決定権はない。決定権があるのは知事だけ。(頷く職員たち)だから私たちは知事と会って話したいのです。

地権者の声が出尽くしたところで、有吉所長はこう言いました。


いま現場はたいへん危険な状況だと感じている。このような現状を打開するためには地権者の皆さんと話し合いをすることが必要であるし、また工事の延期も選択肢の1つとすることも含めて知事に伝えたい。約束はできないが、実現できるよう努力します。

所長の「努力する」の言葉を聞いて、みんなやっと納得の表情。
そして、その答えは、7日に説明しますので再びここで話し合いましょうということで合意。散会となりました。

事務所の外へ出ると猛烈な暑さ。
この炎天下で3時間半も待っていたマスコミの皆さんが一斉に地権者に駆け寄り、マイクを向けていました。

仕事とはいえ、本当にご苦労様でした。

その記事の1つを掲載させて頂きます。

 

 

 

 

深夜0時に重機搬入!

7月28日、日付が変わったばかりの午前0時20分、県は大型重機を現場に入れ込みました。

地権者・支援者が搬入口と考えていた正面ゲートではなく、護岸を壊しかけていた河川敷から入れたのです。

0時26分に連絡を受け、〇村夫婦と一緒に現地へ駆けつけましたがすでに重機は入ったあと、みなさんと一緒に入れ込んだ重機を持ち帰るよう抗議を続けましたが、所長はOKしません。

5時間に亘る抗議の結果、今日から来月16日まで作業は中断する。その間重機の搬出も含めて話し合いを持つということで話が付きました。

しかし、壊された河川敷・護岸、大型重機で進むであろう工事を考えると怒りでいっぱいです。

ダム事務所職員だけでなく、本庁や県北振興局からも応援部隊を呼び、夜中に重機を入れなければならない公共事業とは何なのか!こんなことをやっていいのか!長崎県は恥を知るべきです。

中村法道知事、法の道と言う名前が泣きますよ。みなさん、長崎県に抗議のメール・FAXをお願いします。

石木ダム建設事務所(0956-82-5109 FAX0956-83-2944)

ここは沖縄と同じだ

「しなやかに、したたかに、時に毅然として」

山城博治さんの言葉です。

沖縄の基地撤去運動のリーダー。昨年10月、威力業務妨害はじめ様々な罪状を被せられ逮捕された山城さん。3月に保釈されたが、辺野古や高江の現場には近づけない。今は仲間と一緒に座り込むことはできない。その代り、沖縄の現状を多くの人々に伝えようと、いま全国各地を飛び回っている。

7月7日は佐賀、8日は福岡、9日は長崎と3日連続で北部九州を移動。私は福岡で生の講演を初めて聴きましたが、客席に居ても、その温かい人柄が伝わってきました。

会場中が「ひろじさん」の保釈と再会に歓喜。熱気に溢れ、フィナーレは講演会というよりも、まるでお祭り。

先月、ジュネーブの国連本部で演説した博治さんは、こう声をかけられたそうです。「あなたは刑事被告人かもしれませんが、人権の擁護者です。頑張って下さい」と。

その言葉に勇気づけられた博治さん。
「世界は僕たちを見ている」「必ず潮目が変わる時が来る」「心折れないで頑張ろう」と呼びかけました。

この言葉を是非「こうばる」の皆さんにも直接伝えてほしい…

実は福岡のTさんのご尽力で、翌日午後からの長崎講演の前に「こうばる」を訪ねてくださることになっていました♪
が、この日はなんと大雨の予報!

翌日、博治さんとTさんは福岡を6時半に出発。川棚には9時頃着の予定でしたが、豪雨に見舞われ、乗り換えの列車が運休!次の列車に乗って頂いたものの何時に着けるかは駅員の方も明言せず。駅で待つ私たちはハラハラドキドキでしたが、1時間10分遅れで無事に到着!

結局こうばるでの滞在時間は正味40分となってしまいましたが、価値ある40分でした。

川棚駅から川原公民館に向かう車中で、抗議活動の現場や、ダム小屋、緑の中に点在する看板「石木ダム建設絶対反対」などの風景を目にして、「おんなじだ…」と呟いていた博治さん。公民館に着くなりすぐに語り始めました。

ここは沖縄と同じです。
我々は平和でいたい、暮らしを守りたい、その一心でゲート前に座り込んでいます。皆さんも、ただこの地を守りたい、暮らしを守りたい、その思いで抵抗を続けてこられたのだと思います。
そんな私たちを国は、公共工事を理解しない悪者に仕立て上げようとしています。
でも、希望を持ちましょう。声を上げ続ければ仲間が増えていきます。心を結び合って頑張りましょう!

地権者の方から現状の説明があり、博治さんは「このあと長崎市で講演をさせてもらいますが、この問題も伝えて、地元を孤立させないよう訴えます」と応えてくれました。

その後、機動隊がやって来た時の話や、発信し続けることの大切さなどを語り、博治さんは「座り込め」の歌も披露。みんな手拍子をしながら聞いているうちに、少し畏まっていた皆さんの心が緩んでいくようでした。

話題が裁判に移ると、博治さんは真剣な顔でこう語りました。
次回は私に対する尋問があります。実はそれを私は心待ちにしてきました。1000人もの機動隊を配置して暴力的に排除した国の行為が正しいのか、それに抵抗して威力業務妨害や傷害罪で訴えられた私が間違っているのか、年寄りや子供まで暴力的に排除した国は間違っていないのか、私はそれを問いたいと。

沖縄の運動は今や基地問題ではない。人権問題だ。人間の尊厳をかけた人権問題だ。国に屈してしまうのか、人間として生きる権利を奪われてよいのか。私たちは、ただそれを守ろうとしているだけだ。

その言葉に深く頷くこうばるの皆さんでした。

まだまだ聞きたい、話したい…でも、もうタイムリミット。講演時間に遅れたら大変。川棚駅にはお迎えの人が来てるはずなのでと、無理矢理切り上げてもらいました。

博治さん、是非また来てくださいね。今度はゆっくり。
こうばるの皆さんは楽しみに待っていますよ。