今日の新聞は、全紙が石木ダムについて大きく報道。
8月24日、土地の最初の明渡し期限を迎えた地権者の思いと、
同じ日に開かれた県公共事業評価監視委員会の評価結果と、
2つのテーマを伝えていました。
いつも元気な声で、威勢のいい話し方をするサカエさんですが、
「権力って強かね・・・」と言って震えたという。。。
長崎新聞 2015.8.25
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今日の新聞は、全紙が石木ダムについて大きく報道。
8月24日、土地の最初の明渡し期限を迎えた地権者の思いと、
同じ日に開かれた県公共事業評価監視委員会の評価結果と、
2つのテーマを伝えていました。
いつも元気な声で、威勢のいい話し方をするサカエさんですが、
「権力って強かね・・・」と言って震えたという。。。
長崎新聞 2015.8.25
今日、石木ダムに関する3回目の公共事業評価監視委員会が開かれました。
今回も私たちは事前に、委員の皆さんに2つの資料送付し、審議の様子を傍聴席で見守りました。
今日は委員長を含め6人の出席でしたが、質問したのは委員長も含め2人だけ。
最も多くの質問をしたのは前回同様委員長でした。
委員長も、もう1人の委員も、大学院の工学研究科の先生方です。
そのような方々にしか理解できないような専門的な説明を専門外の委員にするのですから、
この種の委員会が形骸化しがちなのは無理もないような気がします。
実際、私自身も企画監の説明がわからず、メモをする手が止まることもしばしば・・・。
メモを見ながら質問のハイライトをまとめると、
今日は西日本、長崎、朝日、読売各紙に記事が掲載されていました。
いずれも私たちの主張と市(西本総務部長)の対応を伝えるものですが、
西日本新聞の記事には、水道局のコメントがありました。
「県の再評価が済んだ段階で、利水事業を所管する厚生労働省と相談したい」と。
なぜ県の再評価が済まなければいけないのでしょう?
県も市も早く工期延長を決めて、工事を進めたいはず。
どちらも併行して再評価をすることによって、全体の結論が早く出せるのに・・。
考えられるケースは1つだけ。
万一県が事業断念という結果になったら、佐世保市だけで石木ダムを建設する財政力は無い。
県が断念なら市も断念せざるを得ないので、そうなると再評価の必要がなくなる。
だから県の再評価が先、という言い訳は理解できます。
しかし、県の再評価が「継続」になれば、佐世保市は利水面での再評価をしなければならない。
なのに「厚生労働省と相談したい」と言う。
何を相談するんだろう?
県の結論が「継続」なので市の再評価は必要ないでしょ?免除して〜とでも泣きつくつもり?
そんなことは許されません。
県の再評価はあくまでも治水に関してと言っているのだから、
利水に関しての再評価は必ず佐世保市が実施する責任があるはず!
しかも、石木ダム本体工事の2.5倍もの関連事業費、253億円。
これを負担するのは佐世保市民ですから。
県には関係ないのですから。
昨今の資材高騰、人件費アップの流れの中で、確実に予算も増額されるはず。
いったいどのくらい増えるのか・・・
そのコストの見直しこそ、市がやらなくて誰がやるでしょう?
国立競技場のようないい加減な計画は二度とごめんです!
今日、私たち「石木川まもり隊」と「水問題を考える市民の会」の2団体は佐世保市を訪れ、工期延長に伴う利水面での再評価をおこなうよう佐世保市に申し入れました。
16時からという遅い時間帯でしたが、NHKの夕方のニュースで早速報道されました。
http://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/5034291641.html
これに対して西本総務部長は、朝長市長と担当部局に伝えると回答しました。
見直しを要望した市民団体「石木川まもり隊」代表の松本美智恵さんは、「利水に関しては私たち佐世保市の問題。市民にもいろんな意見の人がいるので、水道局にはしっかりとした分析をしてもらいたい」と話していました。
補足説明に使ったグラフはこちらです。
黒の折れ線が実績値。赤の折れ線が2012年度再評価の時の予測値。
予測の2年後の2014年度の予測91,717㎥に対して実績は77,099㎥ですから、その差14,000㎥以上。
今後その差は開くばかり。
工期延長で新たな目標年度となる2022年度を見てみると、その差3万㎥以上!
今こそ、この架空予測を見直す絶好のチャンス!
と訴えたのですが・・・
市の対応は大変残念なものでした。
19日に市長への申入書も沿えてアポを取ったのに、
市長どころか、2人の副市長の1人も出席せず、その上水道局から誰一人も同席しませんでした。
対応したのは総務部長のみ。
総務部長は何を言っても「伝えます」「私はお答えできません」を繰り返すばかり。
かつてはこのようなことはありませんでした。
市長が出てきたことはありませんが、必ず副市長と水道局長、あるいは副市長と水道局事業部長など、
ある程度お答え頂ける立場の人が同席していました。
佐世保市はいつからこのような市民無視の態勢になってしまったのでしょう?
それともこれは私たち石木ダムに反対している市民にだけの対応なのでしょうか?
その理由は?
考えられる理由は2つしかありません。
その1.議論したら自分たちに勝ち目はないから。
反対派のデータは事実なので、それを元に追及されたら、認めるしかなくなる。
それは絶対にできないから、逃げるしかない。
その2.予測が正しいかどうかなどどうでもいい、議論するだけ時間の無駄。
ダムを造ると決めたら造るしかないのだから、見直しなんてとんでもない。
いろいろ言いたい市民には勝手に言わしておけばいい。相手にしないのが得策。
そんなふうに考えているのでしょうか…
だとしたら、とても悔しいし、悲しい。
以前の水道局はそうではなかった。
立場は違っても、市の方針に異論を唱える者であっても、その声にきちんと耳を傾けてくれたのに…
この対応の変化は水道局長の指示によるものなのか、市長部局の指示なのか・・
いずれにせよ、私たちの申し入れには答えて頂きます。
再評価をするのかしないのか?
しないならば、その理由は何なのか?
文書での回答だけでなく、その理由が納得できるよう私たちに説明をして頂きたい。
その日時や場所はそちらのご都合で決めて頂いていいので、お知らせください。
その説明もしないと言うなら、説明しない理由は何なのか、教えてください。
そのように総務部長さんに伝えました。
少なくとも、その約束だけは守ってください。
[ニッポンの風景]破壊計画がこっそり進んでいるようです。
日刊SPA!提供のアメーバニュースを紹介します。
環境を劣化させながらの経済成長はもはや持続不可能
(アメーバニュース2015年08月15日) http://yukan-news.ameba.jp/20150815-23/
景観・歴史・文化・環境・生態系などの破壊に目をつぶり、ひっそりと進行している開発計画は数多い。それは本当に必要な事業なのか? 地元住民はどれだけ情報を与えられているのか?
全国各地で進められている開発計画の現状に京都大学特任教授・谷口正次氏は警鐘鳴らす
◆「価格のつかないもの」の再認識が「持続可能な経済」への転換のカギ
資源を搾取し続け、環境を劣化させながらの経済成長、消費拡大を前提とする発展は、もはや持続不可能になったといえます。
世界はもうそのことに気づき始めていて、一部の先進的な金融機関は資源や環境に対してプラスの影響を与える企業に積極的に投資を始めています。
そんな時代に、工事による目先の“経済効果”ばかりにとらわれ、環境を破壊し、借金は後の世代に先送り……を続けていれば、将来必ず大きなマイナスとなって返ってくるでしょう。
18世紀、江戸時代の石田梅岩が提唱した「心学」に象徴されるように、日本人はもともと先進的な理念・哲学を持っていました。
目先の利益ばかりを考えず、何代も先の子孫のことを考える。自分だけが儲けようとせず、周りにお金を循環させる。こうした「持続可能な経営」が自然に行われていたのです。その理念や哲学が、グローバル経済のもと薄れてしまいました。
経済成長のマイナス要因といわれる「人口減少」は、日本の強みを発揮して「持続可能な経済」に転換するチャンスでもあります。
そのカギは、我々の祖先が残してくれた景観・歴史・文化・環境・生態系、あるいは人の繋がりといった、これまで「価格のつかないもの」とされてきたものの価値を再認識することにあるのです。
【谷口正次氏】
’38年生まれ。京都大学経済学研究科特任教授。自然を消耗する経済から、自然を経営する経済への転換を説く。著書に『自然資本経営のすすめ』(東洋経済新報社)など
今日の新聞各紙の記事を貼付or転載します。
まず、地元紙の長崎新聞。
続いて毎日新聞です。
次は朝日新聞です。
こちらはインターネット上の記事です。
(朝日新聞長崎版2015年8月11日)http://digital.asahi.com/articles/ASH8B5331H8BTOLB00L.html
県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダムについて、外部有識者らによる県公共事業評価監視委員会は10日、建設予定地などを見て回り、移転を拒んでいる地権者の要望に応じて現地で意見を聞いた。
現地調査は、委員会の3日の会合で、石木ダムの完成時期を従来の2016年度から22年度に変更する方針を県が示したことから、委員側から「現地調査が必要」との意見が出て実施が決まった。
この日は7人の委員のうち5人が参加した。反対地権者の岩下和雄さんや、支援している石木川まもり隊の松本美智恵さんらは、利水や治水の観点から「ダムは不要」と説明。「住民を追い出して強制収用するような人権侵害をしないよう知事に報告してほしい」と訴えた。
委員長の中村聖三・長崎大大学院教授は「来て話をうかがえたのは意味があった。これを踏まえて詳細審議したい」と話した。(具志堅直)
10時半、公共事業評価監視委員会委員5名と県の職員がバスから降りたち、現地視察が始まりました。
企画監が地図を見せながら説明しています。
地図上の位置と現場の状況を確認した後、委員の皆さんは地権者の皆さんが用意したテント内に移動し、
地権者や支援者の話を聞く時間を作ってくださいました。
約30分の短時間でしたが、治水・利水についての私たちの考えを伝え、
委員の皆さんはしっかり耳を傾けてくださいました。
終了後、委員長は、
「地権者の皆さんの声を聞けたのは良かった。来た甲斐があった」
「皆さんが問題と思われているところについては、それなりに理解できた」
「今日の現地調査を踏まえて、詳細審議を事務局にお願いする」
と記者団のインタビューに応えていました。
私たちは、その詳細審議に期待します!
各委員の理性と良心に希望を託します!
今日のTVニュースより。
◆公共事業監視委 石木ダムを現地調査
(NBC長崎放送 2015年08月10日)
http://www.nbc-nagasaki.co.jp//news/nbcnews.php#3
長崎県と佐世保市が川棚町に建設を計画している石木ダムの建設予定地で、公共事業の妥当性を評価する県の委員会のメンバーが調査を行い、ダム建設に反対する地権者から話を聞きました。
長崎県では、実施が決まってから5年たっても着工されていない公共事業などについて、有識者などが妥当性を評価し事業を継続すべきかどうか知事に提言する「公共事業評価監視委員会」を設けています。
10日はこの委員会のメンバー5人が計画が難航している石木ダムの建設予定地、川棚町岩屋郷を訪れ、県の職員から説明を受けたあと計画に反対の地権者らから意見を聞きました。
この中で地権者側はダム建設の目的としている利水について、県などの水の需要予測は過大で洪水対策についてはダム建設よりもコストが安い方法をとるべきだとして、ダム建設中止と提言するよう求めました。
石木ダムは昭和50年に建設が決まりましたが、一部の地権者の反対で用地買収が難航しているため、県は強制的に土地を収用する手続きを進めています。
監視委員会の中村聖三委員長は、「現地を見られて良かった。引き続き慎重に審議をして結論を出したい」と話していました。
建設に反対する岩下和雄さんは、「人の家を強制収用してまで必要なダムなのか。お話ししたことをふまえて判断してもらいたい」と話していました。
◆石木ダムどうする?第三者委が現地視察
(NIB長崎国際テレビ 2015年8月10日)
http://www.nib.jp/realtime/news/news_3017284.html
川棚町に計画されている石木ダム建設事業について再評価している第三者委員会が10日、現地調査を行った。
第三者委員会の現地調査は県が石木ダムの完成時期を2022年度に延長し、継続する方針案を諮問したことを受け、詳しく審議しようと行われた。
県の担当者の概要説明と同時に反対地権者の意見も聞いた。
13世帯の反対地権者の全ての土地、家屋について県は、明け渡しを求める「裁決」の「手続き」を開始している。
委員は「地権者の切実な思いが伝わってきた」と話していて、慎重な審議を行うとしている。
今日、4年ぶりに長崎県公共事業評価監視委員会で石木ダム事業の再評価がおこなわれました。
私たちが同委員会開催日程を知ったのは約1週間前のこと。
びっくり!そして、大慌てで、意見書作成に取り掛かり、何とか先週末までに各委員のお手元へ。
もちろん6月に出版されたばかりの石木ダム対策弁護団によるブックレット「ホタルの里を押し潰すダムは要らない」も同封して。
期待半分、諦め半分で・・・。
第三者委員会とか、再評価委員会なるものに、私たちは何度期待したことだろう。
せっせと資料を送り、思いを伝える手紙を添えて。
でも、そのたびに期待は裏切られ・・
第三者と言いつつ、その委員を選出した行政と一体化していたり、
評価委員会と言いつつ、ただ行政の提出した案の追認をするだけだったり、
それが常識のようになってしまっている。。。
しかし、昨日の委員会は少し違っていました。
土木部長の挨拶に続き、河川課企画監が説明を始めてすぐ傍聴席から声が噴出、
委員長が何度も皆を制し、傍聴者はルールを守るように!でなければ退出願わねばならなくなる、
と言ったのですが、声は止まらず約30分も紛糾、異例の事態となりました。
それは、企画監が説明の冒頭、「今回の評価は工期の変更に伴う再評価で…」と言ったからです。
「再評価というのは事業そのものの再評価であるべき!」
「工期の変更を認めるための会議ではないはず!」
「県は訂正してください!」
企画監は言い直しをしましたが、「今回は社会情勢の変化、工期の変更に伴う事業評価」との表現に、
傍聴席はまだ納得できませんでした。
なぜなら「工期の変更に伴う事業評価」ということは、石木ダム建設工事をすることが前提になっている、つまり石木ダム有りきの再評価に聞こえるからです。
石木ダムの必要性の議論抜きに真の再評価は有り得ないからです。
「あくまでも事業の再評価です。少なくとも私としては、石木ダム有りきとは思っていない」
との委員長の言葉に、やっと皆は納得し、説明が再開されました。
資料は膨大だったので、少しずつ区切って県からの説明、その後委員から質問、それに対する県の回答、といった形で丁寧に進められていきました。
記憶に残っている質問や意見としては、
☆事前に県の資料も反対派の資料も目を通したが、どこまでいっても平行線に思える。公益性の判断は既に国から出されているのに、我々がそれに対して評価すべき立場にあるのだろうか?
☆私たちの意見がどれだけの効力があるのかはわからないが、これだけの資料が用意されているので、これについて議論はすべきだと思う。
☆佐世保市による24年度再評価の後のこれまでの実績と予測の数値がほしい。
(企画監より、24,25,26各年度の値が口頭で示された)
☆佐世保市の生活用水が少ないのは事実だが、それを他都市並みにと考えるのはどうなのか?そもそも水を使わないのはいいことだと思うが。
(会場から、そうだ、そうだの声)
☆工場用水が26年度から27年度にかけて急激に跳ね上がっているのは何故か?
(大口需要者の経営方針の変更で水をたくさん使う日が出てくることがわかったからとの説明あり)
☆それはピーク時の値であって、それが平均有収水量のところに入っているということですね?
(声は聞こえなかったが、頷くかなにかして県は認めたのだろう)
☆川棚町の過去の水害被害状況が示されているが、これは川棚川下流域の浸水戸数なのか?
(そうではなく、川棚町全体の数字だとの回答)
☆代替案について費用の面での比較だけがなされているが、全体像がわからない。それぞれのメリット、デメリットが知りたい
(前回のダム検証で詳しく示したが、後ほど提出すると回答)
☆様々な計算結果や検証結果が示されているが、そのやり方を示すマニュアルを提供してほしい
(お示しすると回答)
等々、委員の皆さんの、きちんと理解した上で「評価」したいとの思いが窺える質問が多々ありました。
ただ、肝心の工期延長に関する質問はほとんどなかったように思います。
私たちは、用地取得がなぜ平成29年度中に終わることになっているのか?それが気になりました。
これまで示された工程表には、付替え道路や本体工事、試験湛水などの項目はありましたが、
用地取得時期が示されたことはなかったと思います。
29年度中に強制収用してしまうという県の意思表示とも、脅しとも取れるものです。
それにしても、委員会は、継続審議となっただけでなく、
さらに、より理解するために現地視察が必要との意見が出され、8月10日の実施が決まりました!
公共事業評価監視委員会・・・その名に相応しい委員会も存在するのかもしれない。
土木部長の冒頭挨拶「石木ダムについては十分ご審議頂きたい。忌憚のない客観的なご意見を…」に応えるべく、委員の皆さんは今後もしっかり考え、議論し、評価してくださることでしょう。
私たちは、委員会の現地調査と次回委員会に注目しています。
今日の新聞各紙の記事を貼付します。
昨日は午後から、素敵なお客様を川原へご案内!
中央の人物、誰だかわかります?
知ってる人はビックリ!ですよね。
そう。詩人でエッセイストで翻訳家のアーサー・ビナードさん
アメリカ人だけれど日本語ペラペラ。というより、日本人以上に日本語に詳しい不思議な人。
その知識と感性と表現力で、文筆活動だけでなく、ラジオ、テレビなどにも・・
最近はこんな素晴らしい番組を放送中。
BS11 「アーサー・ビナード 日本人探訪」
そんなアーサーさんが石木ダム問題に関心を持ってくださったのは、とても嬉しい!
埼玉にいる頃は彼の紡ぎ出す言葉に魅せられて、何回か講演会に足を運びましたが、
まさか、こんなところでこんな形で再会できるとは!
アーサーさんを連れてきてくれた坂田さんに感謝!
坂田さんは今では「国連生物多様性の10年市民ネットワーク」の代表として大忙しなのに、
埼玉にいるころ出会った「ケンジュウの会」坂田さんのまんま、少しも変わらない。
パワフルで温かい人。遠くからのSOSに答えて行動してくれる頼れる人です。
今回はアーサーさんの他にもお二人(TV番組編集者と坂田さんの仲間)の方が参加、
合計4人で、はるばるやってきてくれました〜
今日は朝から抗議行動を視察?ではなく、一緒に抗議。
4人とも皆と同じ法被を着て、横断幕を持っています。
アーサーさんは無理やり突入する県のやり方を嶮しい表情で見つめます。
業者が入り、県職員はダム事務所に引き揚げていき、4人の皆さんは、しばらく現場でインタビュー。
地権者や支援者の話を聞いた後、石木ダム建設事務所を訪ね、古川所長と1時間以上意見交換をおこないました。
ダム事務所には先客がいて、しばらく待たされることになったので、
その時間を利用して、近くにある海軍工廠の地下工場跡を見学。
入口は金網で塞がれていますが、奥行きが47mもあるので、声を発すると響く響く・・
話す言葉が全てこだまとなって返ってきました。
このようなトンネルが川原郷にも掘られました。
今はもう塞がれていますが、川原にも戦時中の爪痕が残っています。
ここは軍で使うからと追い出され、平和な時代になって戻ってきてしばらくしたら、
今度はダムを造るから出て行ってくれと言われたら…やりきれないですよね。
ダム事務所から戻ってテントでお昼を食べ、午後からは山の方へ。
県は付替え道路を造るために山の木々を伐採しています。
チェーンソーの音が、まるで樹木の悲鳴のように、遠くまで響いてきます。
その悲鳴を打ち消すように、スピーカーから流れているのはお経です。
信仰心の篤い川原の皆さんは、無駄な工事のために命を奪われる樹木をも悼んでいるのでしょうか。
アーサーさんは、その傍らに座り、禿山になっていく森をずっと見つめていました。
その背中を見ながら、私は、ダム事務所で語ったアーサーさんの言葉を思い出していました。
僕の国アメリカでは、たくさんのダムが造られて、いくつもの川が殺されていった。
もう造る時代は終わって、壊す時代になっている。
市民には、60年前に(ダムの環境への影響について)認識があったら…と、
猛烈な虚しい後悔がある。
日本はアメリカの真似をしてやってきたが、まだダムを造ろうとしている。
視野狭窄だ。世界を見ていない。
アメリカ人としての後ろめたさを含めて言いたい。
アメリカ人と同じように自殺しないで!
あなた達は崖の上にいるけれど、まだ止められる。
さっき、戦争中のトンネル工場を見て来た。
あれを造ろうと決めたのは1944年でしょ?
その頃、降伏を決断していれば、あれを造ることはなかったし、原爆の被害もなかった。
石木川をジオパークにしよう。
棚田を世界遺産にしちゃえ。
棚田は日本人の素晴らしい知恵。治水と利水の両方を兼ね備えている。
なのに、ダムを造って棚田を潰すの?
それって日本を潰してアメリカを造るみたいだよ。
広い視野で考えて!
アーサーさんの言葉を反芻するうちに、別の言葉が浮かんできました。
ダムを造って棚田を潰すの? 安保法案を創って憲法9条を潰すの?
それって日本を潰してアメリカを造るみたいだよ 平和な国を潰して戦争する国を創るみたいだよ。
アーサーさんはきっと母国への悲しい後悔があって、
その思いを第二の母国である日本には味わってほしくない
と思っていらっしゃるのではないでしょうか。
ダムも戦争も、そして原発もきっと同じ。。
こどもたちや地球の未来のためにも・・