第22回有識者会議の中身

国交省の「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」、

名前が長ったらしいので、以前は通称「有識者会議」でしたが、

最近はこの会議に関心を持っている市民の間では「無識者会議」と呼ばれています。

 

京都大学名誉教授の中川座長をはじめ、8名の委員の方々は、

いずれも大学の教授や名誉教授など、まさに「有識者」の代表のような方々なのですが・・・

語られているその中身を聴けば、信じられないような内容で・・

 

もちろん、私は直接聴いていません。

私たち一般市民は聴けません。

なぜか非公開だから。

どんなに関係者がお願いしても、

心ある科学者集団が公開を求めても、

頑なに、ひたすら頑なに、非公開を貫いている会議です。

 

ただ、報道関係者にだけは公開にしています。

そして、それは大手マスコミだけでなくフリージャーナリストにも許可しているのでいいじゃないか、

と多数の委員諸氏はお考えのようで(約1名異論を唱える方もいますが)、

国交大臣は委員会の自主的運営を重んじているので…と言い訳をしています。

 

しかし、そのフリージャーナリストの中に、真のジャーナリストがいて、

私たちの知る権利を補ってくれています。

そのブログがこちら、政策エッセイ「晴れの日は楽しく、雨の日は静かに」です。

そして、このページに、その会議の内容が書かれています。
http://seisaku-essay.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/post-bf85.html

よかったら覗いてみてください。

これじゃあ公開できないのもわかるな〜と、ため息のでるようなものでした。

 

座長によると、

有識者会議の役割は、ダムの是非を問うことではない、

「中間とりまとめ」にそって検討されたかどうかを検証することだという。

 

そこで、石木ダムですが、その「中間とりまとめ」に示された「実現性の見通し」が超いい加減で、

これでは合格点はあげられないと、鈴木委員がまともな意見を言うのですが、

なぜか他の委員さんにはその常識が通用しない。

 

座長にいたっては、今までのケースも「整ったものばかりではなかった」とポロリ。

つまり、これまでも「中間とりまとめ」に則ったとはいえない不完全な検討結果もあったじゃないか

それでも我々はそれを良しとして認めてきたじゃないですか

だから石木ダムの検討結果も問題ありだけど、このくらい目をつぶりましょうよ

という意味のようです。

 

あきれてしまいます。

このようないい加減な会議のために、貴重な税金を使われているのかと思うと、

怒り心頭です。

 

そして、このブログの最後には、こう書かれていました。

本来は公開されるべきであり、
傍聴させて欲しいと訪れたのに
リアルタイムで聴けなかった人々のために
取材メモを公開することにする。
「note_on_120426_mt.doc」をダウンロード

ジャーナリストまさのあつこさんの勇気ある行動に脱帽です。

取材メモには、ブログ以上に生々しい会議の模様が再現されています。

ただし、怒りはさらに増してしまいますので、

高血圧気味の方は要注意です。

 

また、この会議に先立って行われた記者会見の様子がユーチューブにアップされています。

有識者会議「ダム事業の検証の検討結果について」記者会見

 

最後のシーン(8:53くらいから)が印象的でした。

 

有識者会議 石木ダム了承?

 

予想通り・・・とはいえ、たいへん残念な結果となりました。

委員の中には、地域住民の根強い反対を認識し、実現性を疑問視する声もあったのに、

最終的には事業継続を「了承」という結論に座長が導いたようです。

 

昨年の今ごろ行われた長崎県公共事業評価監視委員会での展開と同じです。

委員会の結論は初めから決められていて、そこに持って行くのが座長の仕事なのだと、

傍聴していて痛感しました。

心ある委員がどんなにくいさがっても、結局はせいぜい「意見として付す」程度。

結論に変わりはありません。

 

今回の有識者会議の様子も、目に見えるようです。

が、その様子を実際に見た人は報道関係者以外ありません。

ダム問題の真の有識者である嶋津暉之さんたちも、

地元長崎から駆けつけた3人の地権者も、ついに傍聴は許されませんでした。

全くの門前払いです。

 

こんな非民主的な政治をするのが、民主党のやり方なのでしょうか?

こんな無理をしてまで、国交省はなぜダムを造りたいのでしょうか?

膨大な借金を抱える国や県、

昨年の大震災の復興資金と原発事故処理のための資金がいくらあっても足りない政府、

それでも、石木ダム事業を継続しなければならない理由は何なのでしょう?

国民の前で説明できる人はいるのでしょうか。  

 

有識者会議「再開」

今日、「第22回 今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」の日程について国交省HPで公表されました。http://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo03_hh_000498.html

       第22回 今後の治水対策のあり方に関する有識者会議の開催について

                                               平成24年4月24日

この度、第22回今後の治水対策のあり方に関する有識者会議を以下のとおり開催することとなりましたのでお知らせいたします。

1.開催日時等

日 時:平成24年4月26日(木)18:00〜20:00

場 所:中央合同庁舎3号館(国土交通省)11階特別会議室

主な議事内容(予定):ダム事業の検証の検討結果について 等

2.委員

別 紙

3.取材等

・報道関係者に限り傍聴が可能ですが、会場準備のため、事前登録制とさせて頂きます。

・傍聴を希望される場合は、4月25日(水)正午までに氏名、所属、連絡先を明記の上、E メールアドレス(chisuinoarikata@mlit.go.jp)までご登録ください。なお、
傍聴は原則1社につき1名とさせていただくとともに、会場の都合上、お席を用意できない場合もございますので、予めご了承ください。
・カメラ撮りは、会議の冒頭のみ可能です。
・会議の資料、議事要旨及び議事録は、後日ホームページで公開する予定です。

全く、今までと変化無し!

報道関係者以外はシャットアウト!

地元の声など聴く耳は持たぬだけでなく、

地権者が審議の過程を知る権利さえ奪ってもいいとお考えのよう・・

しかも会議開催の知らせはわずか2日前!

報道関係者にも、いろいろ予定があるでしょうに・・

よほど、誰にも知られない形でこっそり会議を開きたいのか?

なぜ?

その上、議題さえも公表されない!

主な議事内容(予定)として、「ダム事業の検証の検討結果について 等」と書かれていますが、

それをやるために集まっているのだから、言わずもがなのこと。

どのダムの検討結果について話し合うのか、それを示すべきです。

地権者は飛行機に乗って、はるばる九州から向かうのです。

お金をかけて、時間をかけて…それでも自分たちの運命を左右する会議を聴きたいと願って。

開催日時だけ公表されても、石木ダムが議題に上っているのかどうかわからなければ、

チケットの手配もできません。

その後、確認が取れたので、手配は進められていますが…。

 

このようなやりかたをするのが真の「有識者」なのでしょうか?

有識者とは、「学問があり、見識が高い人」のことだそうですが、

そういう方々の見識は多くの人が聴きたいはずだし、

そういう方々も伝えたいはずだと思うのですが…。

 

でも、この会議の有識者の皆さんは、誰も傍聴者の居ないところでこっそりやりたい…。

ご自分の主張に自身がない?

聞かれたら困るような話をするおつもり?

もしもそうなら、何かの検証結果を審議する役目には向かない方々ではないでしょうか?

 

そうではないと信じたい。

だから、もう一度、石木ダム建設予定地の地権者の声にどうぞ耳を傾けてください。

明後日、数名の地権者が国交省に向かいます。    

 

三春の滝桜

NHKスペシャル「樹齢千年 滝桜」を見ました。
 
以下のような予告のメールをいただいていたからです。
 
 
皆様
お疲れ様です。
初めて発信します。
5月末、川原ほたる祭りが開催予定ですが、
5年前の川原ほたる祭り20周年記念に、福島県三春滝桜の苗を川原13軒に植樹しました。
このたびNHKスペシャル 滝桜に見守られて(仮題)が放送されます。
平成24年4月21日(土) 夜7:30〜 70分間放送されます。
川原の事は、何も出ないと思います。
又植えてもらった桜も少しずつ咲き始めましたが、白色が強くあまり綺麗じゃなかったの
が残念ですけど。
福島 原発で苦しめられてる人達、そしてダム問題で苦しんでる私達、何か共通するもの
を感じられます。
その福島の桜が、ここにある事で心のつながりがあるように思われます。
良かったら、放送を見て下さい。 
 
本当に見事な桜でした。
たくさんの蕾を蓄えた枝が、まさに流れる滝のように見えました。
樹齢1000年を超えるというその樹の高さは12m、根回り11m、幹周り9.5m、
枝張り東西22m・南北18m。根っこは、100mもあるそうです。
 
その姿に東日本大震災の被災者は励まされ、復興への希望の種を自ら蒔き始めました。
被災者だけではありません。
滝桜のこどもたち(苗)がこれまで全国各地に送られているそうで、その数3万本!
各地で見事な花を咲かせ、そして多くの人を励まし、癒し、生きる勇気を与えていました。
 
そのこどもたちが川原にもいたなんて…知りませんでした。
母桜のようにこれから1000年も咲き続けてほしい。
そして、ずっと川原の人々を見守り続けてほしい。
 
そこにダムを造ることは、三春滝桜のこどもたちを水の底に沈めることになるのだから、
なおさら許すわけにはいきません。
 
首都圏に住む人々の電気を供給するために原発が造られ、その犠牲になった福島の人々。
佐世保に住む人々の水道用水を供給するためにダムが造られたら、その犠牲になる川原の人々。
 
経済や利便性ばかりを追い求める私たちの社会が、どれほど自然を傷つけ、
そこに住む人々の暮らしを破壊し続けているか・・
 
流れ落ちるような滝桜の細い枝々が、涙のようにも見えてきました。
 
 

佐々町散策

ここは佐世保市のお隣、佐々町の山の中。

素晴らしい遊歩道が続いています。

長い階段を上りきると・・・

佐々町の市街地が一望できます。

真下に流れるのが佐々川、右手が下流で湾曲して海に注いでいます。

中ほどに見える円錐形の山は、佐世保市の愛宕山。

 

正面にカメラを向けると、

小さな棚田や段々畑が見えます。

左手にカメラを向けると、

佐々川上流方面。

これから見学?に行くところです。

 

見晴らし台を降りて、市瀬川沿いに下る途中、素敵なスポットに遭遇!

ここは「ふれあいの森」と呼ばれる真竹谷広場で、今はしだれ桜の真っ盛り。

案内役のMさんに「そろそろ行きましょうか」と遠慮がちに声をかけられ、あわてて車へ。

 

佐々川に出て、神田市瀬橋あたりから南下することにしました。

ここから下流には、私たちが見たかった、頭首工と呼ばれるものが点在するからです。

 

頭首工(とうしゅこう)とは、用水の取水にかかわる一連の施設全般を指す言葉で、

用水路の「頭首」に存在する取水用の堰と用水の取り入れ口、魚道などを総括しています。

こちらは横手頭首工。

近くには「横手竣工記念碑」なるりっぱな石碑が建てられていました。

台座の部分には、この施設の詳細が金文字で刻み込まれています。 

施工主は「長崎県北振興局」で、この横手堰の型式は「ニューラバーダム」、

工費は1億400万円だったとのこと。

こちらは、本田原頭首工。

 

他にも同様の2つの頭首工や、東部かん排と呼ばれる大きな灌漑用水取水施設、

九電の相浦発電所への送水など、いくつもの取水施設が短い距離の中に点在しています。

こんなにたくさんの灌漑用取水施設が必要なのでしょうか?

 

昔と違って、耕作農地が減り、灌漑用水の需要は激減しています。

例えば、「東部かん排」には、23,400m3/日という水利権が与えられていますが、

近年ほとんど取水実績はありません。

渇水年だった平成19年度でも、取水されたのは、わずか11日。

最大でも4,560m3/日でした。

地元の方の話では、佐々町にはたくさんの溜め池があり、よほどの渇水でないかぎり

わざわざ下の佐々川からポンプアップして水をくみ上げる必要はないのでは?とのこと。

 

地図を見てみると、たしかにたくさんの溜め池が表示されています。

親切な地元の方が案内して下さいました。

ここは稗田溜池。けっこう大きいです。

すぐそばのポンプ室には流量計があり、神田、栗林、稗田の3地域に送られているのがわかりました。

こちらは鶏舎。

端から端まで、鶏がラッシュアワーの車内のようにすし詰め状態…

そこを通り過ぎて行くと、

また一つ、少し大きな溜池がありました。

 

このような池をあちこちに造って、先人たちはこの地で農を営んできたのですね。

その農地はだんだん宅地に変わり、あるいは耕作放棄地となり、田畑の面積は減る一方。

取水実績値の示す意味が十分実感できました。

 

案内して下さった地元のWさんと別れ、帰途へ。

途中、佐々町に存在するもう一つの貯水池に立ち寄りました。

ここは九州電力相浦発電所所有の貯水池です。

 

九電にも、佐々川から4800m3/日の水利権が認められていますが、

この自社保有のダムにより、取水量実績は灌漑用と同じようにたいへん少ない値です。

が、3・11以降、水力発電の需要も高まっていると思われ、

23年度がどのような実績だったのか、

またこれからどのような需要が予測されるのか、今後の情報に注目したいと思っています。

 

佐々町は緑も水も豊かな、美しい町でした。

 

24年度予算

4月6日、国交省のHPに24年度当初予算がアップされました。

長崎県の「水管理・国土保全局」のページから石木ダムのところを見てみると、

国庫補助基本額(事業費)の欄に示されていたのは次の通りです。

   (共同費)=3億円

   (公共費)=1億9500万円

 

共同費というのは、石木ダム事業は長崎県と佐世保市の共同事業なのでその全体事業費という意味。

そして、その負担割合は県(治水部分)=65%、市(利水部分)=35%なので、

国交省から補助される事業費=1億9500万円という意味です。

 

県議会では先月、石木ダム建設事業として10億500万円を予算計上したけれど、

国が認めたのは3億円。

3分の1以下です。

 

用地確保もできてない事業に、国もそれほどお金は回せないということでしょう。

県も市も、この現実を真摯に受け止めてほしいものです。

 

しかし、本当はもっと厳しく、ゼロにすべきだと思いますが・・・

 

 

荒瀬ダムと球磨川

荒瀬ダム撤去記念イベント“荒瀬で遊ぼう”当日。

前日に続きいい天気!

土手の上の桜も満開!

人々は何を見ているのでしょう?

河原でもみんな何かを見つめています。

その視線の先にあるものは…

カヌーレース?

いえいえ、河童レースです。

川面に浮かぶ黄色の小さな点々が見えますか?

あれは河童の人形。

これです。

河童レースのチケットを買うと、そこには番号が印字されていて、

この河童ちゃんたちの足の裏にも番号が貼ってあります。

ゴールインした順番にその番号が記録され、午後からの表彰式で発表。

たくさんの賞品が用意されていました。

河原には、こんな河童さんもいて、子どもたちの人気者。

会場の一角に展示された作品もお見事でした。

 

たくさんの河童たちが、ありがとう!と言ってます。

「荒瀬ダム」ではなく「荒瀬無駄」撤去工事が始まるのを歓迎しています。

一体一体、形も表情も違う河童たち…すごい!可愛い!面白い!

式典が終わると、昨夜に続いて、今日もあちこちから美味しそうな匂いが…

 

河童レース終了後、夫と私は車で上流へ向かいました。

初めて見る球磨川をもっと知りたくて…。

やはり、上流の球磨川は青かった!

それにしても大きいなぁ。佐世保の川とは大違い。

運良く、橋を渡るSLにも遭遇!

流域にはたくさんの桜が、春を謳歌するように咲いていました。

この辺は流れが速いな〜と思っていたら、急流下りの船がやってきました。

乗ってみたかったけど時間がなくて・・・残念!

 

急いで会場に戻り、熊本名物の「だご汁」の昼食を食べ、いよいよエコツアーに出発。

「自然観察くまもと」の皆さんのご案内で、瀬戸石ダムから球磨川を下って行きました。

 

これが瀬戸石ダム。

荒瀬ダムの上流7kmほどのところにあるダムで、やはり水力発電用のダムです。

魚がのぼりやすい魚道が整備されていると

「ダム便覧」には書かれていますが、

この魚道が親アユの降下を阻害していると

専門家は指摘しています。

 

 

 

こちらは荒瀬ダム。

ゲートは昨年から全開。水の色が瀬戸石ダムとは全然違います。

 

荒瀬ダムの魚道はこちら。

つづら折りのなんとも長い道のりです。

これらのダムができてから、アユが激減、当然釣り客も激減しました。

ダムができると観光客が増えますよ〜との説明を真に受け、

保証金でりっぱな旅館を建てたけれど、実際は真逆。

旅館業は成り立たず、ただの住居になってしまったというお宅です。

 

しばらく下流に向かうと見えてきたのが「遥拝堰」(ようはいぜき)

歴史のあるりっぱな堰ですが、高橋先生によると、ここの魚道は最悪だそうです。

魚が魚道に辿り着けない無意味な魚道だとか。

漁協の人もそう言ってました。

 

こちらは、さらにその下流にある「球磨川堰」

ここの魚道にはアユがたくさん遡上していました。

 

上段の右側黒い部分はアユの稚魚の群れです。

この稚魚をネットの中に誘導し、掬いあげ…

車に乗せて、球磨川上流へ放流するんだそうです。

詳しい作業の様子と、アユたちのその後については、こちらのサイトをご覧ください。

http://kumagawa-yatusirokai.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/1-1ebc.html

 

そういう努力の結果、なんとか今でも球磨川でアユ釣りができるのでしょうが…

でも、それでいいのでしょうか?

稚アユたちは、苦労せずに(楽しまずに)川の上流に辿り着いていいのでしょうか?

人間によって運ばれたり、孵化させられたり、そうして生きているアユが

「天然アユ」なのです。

 

高橋先生がおっしゃっていた「野生のアユ」の意味がやっと理解できました。

 

かつての美しい流れの中で、生まれ育ち、川と海を自力で行き来する…

そんな日が訪れたら、アユたちはどんなに幸せでしょう。

それはまた、人間の幸せにも繋がると思うのですが…

 

荒瀬ダム撤去〜前夜祭〜

荒瀬ダムは、発電目的で熊本県八代市(旧坂本村)に造られたダムです。

1953年着工1955年竣工。
1年半ほどで完成したのに、撤去にはなんと6年もかかるそうです!

また総工費は26億円だったのに、撤去費は90億円だとか!?

それほどの費用をかけてもダム撤去が決まったのは、

水質汚濁、アユなど漁獲量の激減、悪臭、甚大な水害などなど、住民にとって耐えられない邪魔な存在になってしまったからです。

ダム撤去が決まった昨年からゲートは全開。

いまではこんなにきれいな水が流れていますが、以前は臭くて淀んだ水だったそうです。

 

さて、この日本初のダム撤去を記念して、3月31日と4月1日の2日間にわたってイベントが開催されたので参加してきました。

 

まず参加したのは、講演会「球磨川とアユの再生を考える」

河川生物調査事務所代表の高橋勇夫先生は、高知県奈半利川における天然アユ再生の事例を紹介しながら球磨川の場合の可能性や問題点について、わかりやすく話して下さったはずですが、球磨川についても、魚や釣りについて何の知識もない私には理解できないことも多々あり…。

それでも唯一分かったのは、ダムがいかにアユの生育を阻害しているか、でした。

ダムができたことによって、直後から半分は減少します。

川が分断され、水の流れが減少するからです。

その後、ダムの影響で河床が劣化したり水温が変化したりすることによって、さらに減少します。

魚道の問題も大きいようです。

 

参加者からは多くの質問が出され、真剣さや熱意が伝わってきました。

清流球磨川の恵みを受けて、漁業や釣り客相手の仕事を生業として生活してきた住民にとっては当然のことでしょう。

なんとかアユを球磨川にとりもどしたいという思いがひしひしと感じられました。

この強い思いが知事や国を動かしたのですね…

 

さて、夕方からは、「道の駅 坂本」横の河原で前夜祭です。

撤去を勝ち取った人々の顔には笑顔があふれていました。

こちらは元坂本村の村長さん。

村長さんも村議会も全会一致で荒瀬ダム撤去を可決し、住民と共に力を合わせてこられたんですね。

話を聴きながら女性たちが作っているのは今夜のご馳走。

シシ汁に、里芋・トーフ・こんにゃくの田楽、鹿の刺し身、などなどごちそうがいっぱい。

もちろんこれ、アユの塩焼きも!

かつては「石を投げるとアユに当たる」と言われたほどアユが捕れていたって?!

しかし今は激減、参加者全員に行きわたるほどはありません。

でも、私たち遠くからの参加者には優先的に権利が与えられ、有り難く頂きました。

とても美味しかったです。

 

地元の方のお話の中で心に残ったのは水害の話。

「昔は水害なんてなかった。洪水はあったが、水が引いて乾けば床の上にザラザラと砂が残っているので、それを掃き出して終わり。無精者はたまに掃除がでけて良かことじゃ言うとった」

「ところが荒瀬ダムができてからは、全く違う。押し寄せる速さが違う。畳を上げる間もない」

「水が引いてもヘドロがいっぱい残って、臭くてやりきれん。二度と水につからんように嵩上げしたり、他の土地に越して行ったもんも多い」

 

また、蛍の話も…

昔は蛍が乱舞していた。

時期になると蛍を見に来る特別列車も走った。

「今は?」と訊くと、「今はほとんどいなくなった。エサになるカワニナが激減したから」という。

「どうして?」と訊くと、「たぶん護岸工事のせいだろう」と。

 

いなくなってからでは遅いのですね。

石木川にはまだまだたくさんの蛍がいます。

まだ間に合う。

今気付けば間に合うはず…