荒瀬ダムと球磨川

荒瀬ダム撤去記念イベント“荒瀬で遊ぼう”当日。

前日に続きいい天気!

土手の上の桜も満開!

人々は何を見ているのでしょう?

河原でもみんな何かを見つめています。

その視線の先にあるものは…

カヌーレース?

いえいえ、河童レースです。

川面に浮かぶ黄色の小さな点々が見えますか?

あれは河童の人形。

これです。

河童レースのチケットを買うと、そこには番号が印字されていて、

この河童ちゃんたちの足の裏にも番号が貼ってあります。

ゴールインした順番にその番号が記録され、午後からの表彰式で発表。

たくさんの賞品が用意されていました。

河原には、こんな河童さんもいて、子どもたちの人気者。

会場の一角に展示された作品もお見事でした。

 

たくさんの河童たちが、ありがとう!と言ってます。

「荒瀬ダム」ではなく「荒瀬無駄」撤去工事が始まるのを歓迎しています。

一体一体、形も表情も違う河童たち…すごい!可愛い!面白い!

式典が終わると、昨夜に続いて、今日もあちこちから美味しそうな匂いが…

 

河童レース終了後、夫と私は車で上流へ向かいました。

初めて見る球磨川をもっと知りたくて…。

やはり、上流の球磨川は青かった!

それにしても大きいなぁ。佐世保の川とは大違い。

運良く、橋を渡るSLにも遭遇!

流域にはたくさんの桜が、春を謳歌するように咲いていました。

この辺は流れが速いな〜と思っていたら、急流下りの船がやってきました。

乗ってみたかったけど時間がなくて・・・残念!

 

急いで会場に戻り、熊本名物の「だご汁」の昼食を食べ、いよいよエコツアーに出発。

「自然観察くまもと」の皆さんのご案内で、瀬戸石ダムから球磨川を下って行きました。

 

これが瀬戸石ダム。

荒瀬ダムの上流7kmほどのところにあるダムで、やはり水力発電用のダムです。

魚がのぼりやすい魚道が整備されていると

「ダム便覧」には書かれていますが、

この魚道が親アユの降下を阻害していると

専門家は指摘しています。

 

 

 

こちらは荒瀬ダム。

ゲートは昨年から全開。水の色が瀬戸石ダムとは全然違います。

 

荒瀬ダムの魚道はこちら。

つづら折りのなんとも長い道のりです。

これらのダムができてから、アユが激減、当然釣り客も激減しました。

ダムができると観光客が増えますよ〜との説明を真に受け、

保証金でりっぱな旅館を建てたけれど、実際は真逆。

旅館業は成り立たず、ただの住居になってしまったというお宅です。

 

しばらく下流に向かうと見えてきたのが「遥拝堰」(ようはいぜき)

歴史のあるりっぱな堰ですが、高橋先生によると、ここの魚道は最悪だそうです。

魚が魚道に辿り着けない無意味な魚道だとか。

漁協の人もそう言ってました。

 

こちらは、さらにその下流にある「球磨川堰」

ここの魚道にはアユがたくさん遡上していました。

 

上段の右側黒い部分はアユの稚魚の群れです。

この稚魚をネットの中に誘導し、掬いあげ…

車に乗せて、球磨川上流へ放流するんだそうです。

詳しい作業の様子と、アユたちのその後については、こちらのサイトをご覧ください。

http://kumagawa-yatusirokai.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/1-1ebc.html

 

そういう努力の結果、なんとか今でも球磨川でアユ釣りができるのでしょうが…

でも、それでいいのでしょうか?

稚アユたちは、苦労せずに(楽しまずに)川の上流に辿り着いていいのでしょうか?

人間によって運ばれたり、孵化させられたり、そうして生きているアユが

「天然アユ」なのです。

 

高橋先生がおっしゃっていた「野生のアユ」の意味がやっと理解できました。

 

かつての美しい流れの中で、生まれ育ち、川と海を自力で行き来する…

そんな日が訪れたら、アユたちはどんなに幸せでしょう。

それはまた、人間の幸せにも繋がると思うのですが…