なぜ遅れているのか?再評価委員会

8月28日、私たち「石木川まもり隊」と「水問題を考える市民の会」は、

まもなく開催される「水を大切にする日」に「石木ダム建設促進パレード」をするのは止めてほしい、

趣旨に合わないし、「水を大切にする」ためにやるべきことは他にある、

と水道局に申し入れに行きました。 

それについては、8月29日の長崎新聞が伝えています。

http://www.nagasaki-np.co.jp/news/ishiki/2012/08/29090515.shtml

 

この記事の最後の方で、再評価委員会についても触れ、次のように書かれています。 

 

 また、同市の水道施設整備事業を再評価するため、厚生労働省が本年度の

開催を義務付けている第三者委員会(再評価委)について、同局は「開催時期

や委員選考はまだ検討中」と説明。市民団体のメンバーは取材に「再評価委で

水の需要予測と実際使用量のずれが明らかになるはず。市は石木ダム計画の

前提が崩れることを恐れ、開催を先延ばしにしている」と指摘した。

 

再評価?第三者委員会?初めて目にした方は何のこっちゃ?と思われますよね。

これについて少し説明します。

 

石木ダム建設事業は長崎県と佐世保市の共同事業ですから、佐世保市も事業費を負担しています。

その巨額の負担費を軽減するために国の補助を受けています。

佐世保市の場合、水道用水確保のために石木ダム事業に参画するのですから、

水道を管轄する国の機関である厚生労働省(厚労省)に補助金をお願いすることになります。

 

厚労省は、補助する事業が本当に必要な事業なのかどうかチェックする必要がありますから、

第三者による5年ごとの再評価をやってもらうよう、事業者に義務付けています。

これが再評価委員会です。

 

石木ダム事業の場合、佐世保市は平成19年度に再評価を実施しましたので、

今年度が再評価の年度です。

 

過去の事例を見ますと、そろそろ第1回目の委員会が始まってもいい頃なのに、

公募委員の募集のお知らせもありません。

で、どうなっているのかお尋ねしたところ・・・

 

  まだすべて検討中で、お答えできる段階ではありません。

なぜそんなに遅れているのですか?

  国交省のダム検証があって・・

それは、もう昨年の7月に国へ報告し終わってますよね?あれから1年以上経ってますよ。

  でも、国からの回答が遅れていたので・・

その国の回答も6月11日に届いたじゃないですか。2ヶ月半、何をなさっていたのですか?

それに、国交省のダム検証と厚労省の再評価は全く別のものでしょう?

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

あのー、本当に今年度中に再評価を実施するんですよねぇ?

  そこを・・いや、それも含めて再評価自体について検討しているところで・・

 

なんと!今年度実施するかどうかも含めて未だ検討中とのことでした!

なぜ実施するかどうか迷ってるのでしょう?

実施しないと補助金はもらえないのに…

 

 

やはり、この現実を評価されるのが怖いのでしょうか?

5年前に出した予測がこんなに外れてしまった・・

実績値(青線)推計値(赤線)のあまりにも大きな乖離。

29年度の推計値をどうやって信じろと言えるでしょう?

この数値がデタラメだとわかれば、石木ダムの必要性は崩れてしまうのですから。

 

皆さんの苦しいお立場はお察しします。

でも、現実は現実。きちんと認めてください。

事実は事実。正しい情報を提示してください。

そして正々堂々と第三者の評価を受けてください。

 

さあ、時間がありませんよ。急いでくださいね〜

 

荒瀬ダム撤去開始!

現地の皆さんが待ちに待った荒瀬ダムの撤去が、いよいよ始まりました。

住民の方々はきっとワクワク、ドキドキでしょう。

なにしろ、日本発のダム撤去ですから。

嬉しい半面、何が起こるかわからない…そんな不安もあるでしょう。

でも、とにかく清流球磨川の復活を期待して、皆さん、万歳三唱なさったそうです。

 

毎日新聞の記事を貼り付けます。

http://mainichi.jp/select/news/20120901k0000e040167000c.html

 

荒瀬ダム:熊本で撤去工事始まる

毎日新聞 2012年09月01日 10時55分(最終更新 09月01日 12時01分)

 河川法で定義されたダム(高さ15メートル以上)では全国初となる熊本県営荒瀬ダム(同県八代市)の撤去工事が1日始まった。18年3月まで6年かけて撤去する。事業費は約88億円で、うち19億円の国負担を見込む。県はダムがある球磨川の清流復活を目指し、上下流9地点を中心に環境モニタリング調査も行う。

 撤去は、ダム湖にヘドロがたまり、悪臭などの環境が悪化したため地元が要請した。作業は1日午前8時、地域の生活道路でもあったダム管理橋の封鎖で始まった。施工業者の現場責任者の合図で、作業員が鉄パイプの柵を管理橋の両端に並べた。当面は資材置き場の整備など本格着工に備えた準備工事が続く。

 現場には清流復活を求め、長年ダム撤去を要望してきた地元住民らも訪れた。02年、合併前の旧坂本村議会に地元の請願を提出した元村議、元村順宣(よしのぶ)さん(75)は管理橋の欄干に酒をかけて別れを告げた。「発電用ダムとして県の発展に寄与してくれたのも事実。ありがとうと伝えた。工事が無事終わって昔の美しい川が戻ったらうれしい」と話した。【取違剛】

 

1954年に完成した荒瀬ダム。

総工事費は26.5億円。(http://kawabegawa.jp/tr/arase/gakusyuukai-arasekeii1.pdf

発電用として建設され、当時は経済成長に必要なダムだったのでしょう。

が、自然破壊のデメリットはあまりにも大きく、年々住民を苦しめるようになったようです。

水質悪化で、アユなどの魚がとれなくなり、観光客は激減、

大雨が降ると、以前よりも水害はひどくなり、

近年はダム湖に堆積したヘドロの悪臭に悩まされ…

村も村民も県に撤去を求め、

10年前に当時の瀬谷義子知事が撤去を決めたのでした。

蒲島知事になって様々な紆余曲折がありましたが、ようやく実現。

 

それにしても…

建設に要したのは26.5億円で撤去には88億円もかかるという意外な事実。

 

長崎県も他人事ではありません。よくよく考えて欲しい。

石木ダムも建設するときの事業費は、

県負担分の半分を国交省から、佐世保市負担分の3分の1を厚労省から補助してもらえるでしょうが、

撤去の時は国はアテにできないようですよ。

荒瀬ダムのように、造るときの3倍以上の費用がかかるとすると、

285億円の3倍以上だから…約900億円!?

そんなお金を国に頼らず、県や佐世保市だけで用意できるのでしょうか?

まあ、知事も市長もその頃はもうご存命ではないでしょうから、知ったこっちゃないとお思いでしょうが、

50年後100年後に、その処理をさせられる知事や県民のことを考えてください。

私たち県民市民も、ツケを未来に残すやり方は、そろそろ考え直しましょう。

そんな政治家に1票を投じるのは、そろそろ止めましょう。