国土交通省九州地方整備局へ3回目の申し入れ

       

昨日、7月23日、福岡市博多区にある国土交通省九州地方整備局へ、

石木ダムの事業認定拒否を求め、申し入れに行きました。

参加者は、地権者の「ばあちゃんたち」を含む『石木ダム建設絶対反対同盟』をはじめ、

『石木川まもり隊』など6つの市民団体から集まった27名です。

 

昨年6月11日、国交大臣が石木ダム建設事業の継続を認め(付帯意見付き)て以来、

今日で3回目の申し入れでした。

 

1回目は、その直後の6月21日。

事業認定手続きを再開しないよう求めるもので、

事業認定庁である県政部が対応してくれましたが、それが最初で最後。

認定庁は中立であらねばならないとのことで、以後は会って頂けません。

 

2回目は、今年3月12日。

ついに手続きが動き出し、公聴会開催が決まった時、

地権者17人の公述応募に対し、3人だけしか認められないのはあまりに少ないと、

ふる里を奪われようとしている地権者の声にもっと耳を傾けてほしいと訴えに行きました。

その時対応したのは、石木ダムについて何も知らない総務部の方々でした。

 

そして、今回対応したのは、河川部地域河川課長を含めた7名の方でした。

地域河川課というのは二級河川など九州各県の河川やダムを担当しているとのことで、

それなら長崎県の二級河川である川棚川のことも、そこに計画されている石木ダムに関しても、

よくご存知だろう、それなら訴え甲斐があるのでは?と期待して出かけました。

 

地権者の皆さんは、今度こそはちゃんと聞いてもらえるかもしれないとの思いで、

お年寄りや、繁忙期の仕事を抱えた男性たちも仕事を休んで参加し、

マイクロバスをチャーターしてまで、駆けつけました。

 

しかし・・・

私たちは皆さんのお話は聞かせていただきますが、

コメントしたり、

皆さんの質問に答えたり、

そういうことは一切できない。

また、事業認定庁は中立な立場を守るべきなので、

我々にも一切の情報は流さない。

我々からも認定庁に伝えることはできない。

ただし、申し入れ書は宛名(九州地方整備局長)のところには渡します

とのことでした。

 

つまり、いわば、聞き置くだけなのでしょうか…

 

みな内心がっかりでしたが、解散する時に

いっつも、こがんことの繰り返したい。

でも、うったちゃ負けんよ〜

こがんことをエネルギーにして、どんどん強くなるばっかりよ〜

と、地元のS子さんの言葉に、みんな笑いと元気をもらいました。 

 

 

以下に、申入書を貼付します。

 

                                          2013年7月23日

 

国土交通省

九州地方整備局長 吉崎  収 様

 

石木ダム建設絶対反対同盟

ダムからふるさとを守る会

石木川の清流を守り川棚川の

治水を考える町民の会

石木川まもり隊

水問題を考える市民の会

石木川の清流とホタルを守る

市民の会

 

長崎県石木ダム建設事業に係る事業認定拒否を求める申入れ

 

(1)御庁は、標記の事業認定申請に関して、本年3月22日及び23日に公聴会を開催されました。

この公聴会で、関係地権者および専門家、市民など11組の公述人が、石木ダム建設に反対する意見を述べました。

関係地権者が述べた用地提供を拒否する理由、専門家や市民が述べた 川棚町の治水にも佐世保市の利水にも石木ダムは不要である理由は、 事実に基づき、説得的であり、且つ心にひびくものでした。

一方、起業者を含む9組の公述人が、ダム建設を推進する意見を述べましたが、ダム建設を不要とする公述にかみあった、科学的な論拠は聞かれませんでした。

 

(2)佐世保市当局は、石木ダム建設事業に係る水道設備整備事業について、

本年1月22日、2月21日及び3月14日の3回に亘って再評価を行い、「事業継続」の方針を決定して、所管の厚生労働省へ報告しました。

しかし、この再評価について、①再評価の審議をした委員会は、専門性、中立性が担保されていない。②市当局は、この再評価において従来の  計画を総括せず、放棄した。③市当局が策定した新たな水需要計画は、合理的な根拠がなく願望に基づくものである。④市当局は、水道水源を77,000㎥/日しかないと説明しているが、従来から利用し今後も利用できる水源を排除している。⑤石木ダム建設によって、佐世保市民と国民は、354億円余のムダな負担を強いられる。⑥石木ダム建設は水没  予定地域住民の居住権、財産権など基本的人権を侵害する。

・・・などの問題があり、私たち市民団体は、所管の厚生労働省へ、の旨意見書を提出しました。【資料1.厚生労働省への意見書・写】

 

(3)本年3月、長崎市が、同市の水需給計画を見直し、それに基づき本明川ダムの利水事業から撤退する方針を発表しました。

ダム検証のあり方を問う科学者の会は、長崎市の水需給計画を分析して、これを妥当な手法と認定し、その手法によって、佐世保市が1月に発表した水需給計画を分析しました。

その結果、同会は、佐世保市の水需給計画が、あまりにも非科学的で  あり、抜本的な見直しが必要であると結論しました。

同会は、去る7月8日、佐世保市当局へ、「あまりにも非科学的な水需給計画を見直し、石木ダム計画から撤退すべきである」と申入れを行い  ました。【資料2.科学者の会の意見書(その2)・写し】

 

(4)佐世保市当局は、1月に発表した水需要予測で、工業用水の大幅な増加を見込んでいます。その根拠は、地元造船会社の経営計画です。

ところが、その経営計画に基づいて策定した工業用水需要予測の資料に基本的な錯誤がありました。更にその造船会社は、その後、経営規模を縮小する新たな経営計画を今年5月に発表しました。

従って、工業用水の大幅増加を見込んでいる水需要予測の根拠に疑問が生じています。

私たち市民団体は、その疑問を質すために、当局へ7月8日に公開質問を行いました。【資料3.公開質問状・写し】

 

(5)上述のとおり、佐世保市水道の利水のために石木ダムが必要だとする当局の主張に科学的な根拠が無いことが明らかにされています。

また、川棚町の治水のためにも不要であることは明らかにされています。

不必要なダム建設のために、現に住民が生活し、生業を営んでいる地域を強権で取り上げること即ち強制収用は生存権侵害であり、あってはならないことです。【参照:土地収用法第20条。同法逐条解説】

従って、強制収用の条件づくりである事業認定は不要であり、御庁が石木ダム建設事業起業者が申請した事業認定を拒否されるよう求めるものであります。

                                                                     (以上)