9月24日、午前、石木ダム建設促進特別委員会で私たちが提出した請願(県に裁決申請の撤回を求める)について、1時間を超える審議がおこなわれました。
異例のことです。
やはりそれは地権者の生の声、率直な訴えがあったからだと思います。
はじめに請願者の私から請願の趣旨説明。そして、
同様の趣旨の請願を過去2回提出したが、今は任意の解決を目指しており、
強制収用という仮定の話を前提とした意見書を提出するのは不適当である
として不採択とされた。
しかし、もう仮定の話ではない。収用委員会に裁決申請され、それが受理された。
ここにきてもまだ任意解決の道が残されていると考えるなら、
それは現実を無視した希望でしかない。
そのような可能性が残されているのかどうか、
地権者の方々の真実の声に耳を傾けてほしい。
と訴え、地権者のお二人にバトンタッチ。
地権者のI・Sさん:ダム建設予定地こうばるは、緑とたくさんの種類の生き物に囲まれた素晴らしい所。
それらはお金では買えない。
このすばらしい環境を奪わないでほしい。
このかけがえのない自然を100年先のこどもたちに残したい。
それが私たちの願いだ。
もう一人の地権者のI・Hさん:土地収用法という権力を振りかざし、
行政代執行を行えば大きな衝突がおきるだろう。
13軒もの家を壊しての強行など聞いたことがなく、全国から大きな批判を受けるだろう。
もしそうなったら、私は家の柱に体を鎖でくくりつけて抵抗したい。
家を壊されたら、戻って来て、そこに小屋を建てて住みつく。
その小屋を壊されたら、また新たな小屋を建てて住む。その繰り返しになるだろう。
請願者のM・Yさん(石木川まもり隊):これほどの人権侵害は許されない。
委員の中にも強制収用には反対の方がいるはず。
かつて最悪の事態になったら断固反対すると言った方がここにもいる。
川棚町長も促進町民の会の会長も、強制収用は避けてほしいと発言している
請願者S・Mさん(水問題を考える市民の会):石木ダムは県の事業だがしかし、
出発点は佐世保市議会の決議だった。
40年前母が市議だった時に石木ダム建設の決議がなされた。
いま母はテレビなどで石木ダムの状況を見るにつけ、
あの時賛成したのは間違いだったと後悔している。
もしも代執行に至ったら、今ここにいる委員の皆さんも後悔することになるだろう。
その後、委員からの質問や意見が出されました。
田中委員:皆さんのお気持ちはわかるが、立ち退かれた方も苦渋の決断をしており、
その方々の思いも大事にしなければならない。
佐世保は大渇水を経験しており、あの被害は2度と繰り返してはならない。
100年に1回の大渇水がいつやってくるか、来年来るかもしれない。
あの時もっとお願いしておけばよかったと後悔しないよう、やはりお願いするしかない。
片渕委員:戦後どれだけのダムや道路などの公共工事がなされただろう。
それらが整備されたおかげで今の恵まれた暮らしがある。
その陰で多くの方がその工事を受け入れ家や土地を離れていかれた。
石木ダムもやはりご協力をお願いするしかない。
なぜなら、確かに今は貯水率95%だが、
ひとたび大渇水になったときには暮らしも経済も大変なことになる。
請願者:100年に1回とかの大渇水のために石木ダムが造られるならば、
国からの補助金はもらえない。
そのようなことを理由にすれば日本中に造らなければならなくなり
お金はいくらあっても足りない。
また、県や市の財政も逼迫している。佐世保の水道施設は老朽化している。
これからはそれらの補修などに多額の費用がかかる。
片渕委員:大渇水が石木ダム建設の理由にならないことは私も知っている。
ただ、端的な例として市民の皆さんに理解されるよう申し上げている。
実際には民主国家としていろんな手続きを踏んで事業認定されたと理解している。
請願者:しかし、市長も市議も石木ダムの必要性の話を市民にする時、
二言目には平成6年の渇水を持ち出している。
市民の多くは石木ダムはあの渇水の苦労を避けるために造られるのかと誤解していると思う。
そのような誤解を招かないよう発言に注意してほしい。
地権者:利水のためなら、採石場跡地に貯水池を造る方法もある。
それならダムよりももっと簡単に安く造れるのに、県はまともに検討しようとしない。
湊委員:石木ダムは治水の面でも大事だと思う。
川棚町の方を洪水から守るためにも必要なんじゃないか?
地権者:河川改修工事が完了すれば過去の洪水被害は防ぐことができる。
100年に1回降るか降らないかの雨に備えてと言っているが、
それも降る場所によっては石木ダムでは防げないと思う。
湊委員:広島でも大きな被害がおきたが、最近は100年に一度、200年に一度の被害が各地でおきている。
それに備えて対策を講じる必要はある。その被害がいつ起きるかわからないのだから。
地権者:雨は何処に降るのかわからない。
県内どこでも100年に一度に備えてダムを造らなければならなくなる。
市岡委員:地権者の皆さんに聞きたいが、話し合いの扉は開けておられるのか?
裁決申請されたが、今後も知事と話し合う気はあるのか?
地権者:ダムの必要性についての話し合いには門を開いている。
補償とかの話し合いに応じる気はない。
さて、最後に山下委員はこのような発言をされました。
地権者の方の故郷への思いがダイレクトに伝わってきた。
しかし、いま私は会派の代表としてここにいる。
私自身の1票は議場で行使したい。
これからもいろんな声に耳を傾けていきたい。ありがとうございました。
午前中の委員会はここで終了。昼食を挟んで午後1時再開。
各会派の結論が述べられ、その後裁決。予想通り全会一致で不採択となりました。
しかし、山下委員は、会派として反対するが、私の気持ちは午前中と変わってはいないと発言され、その勇気に心の中で拍手。
他にもいるはずなんだけどな〜
山下委員と同じ思いの方が。
でも、自分に正直になる勇気が出ないのでしょうか?
それとも、あの時おっしゃったことは嘘?話を合わせただけ?
いえいえ、そんなはずはない!
と、信じています。