川原(こうばる)は、一つの家族

今日は川原へ家庭訪問。

明日の市議会で、川原の皆さんの思いを伝えたい、

生の声をしっかり聴いて届けたいと言う山下市議の依頼で、案内役を務めました。

まずは「ダム小屋」

今日は4人のおばあちゃんが全員集合。

いつもの笑顔で迎えてくれましたが、ダムの話になると真剣な顔つきに・・・

4人のうちの2人は、今回の収用裁決申請の当事者。

強制収用されたらどうする?

 「私はこうやってダムの中に沈むよ」

と、Mさんは胸の前で両手を合わせました。

 「ダムを造るなら、私たちを殺してから造れ!って言いたいよ」

と言うのは、いつもは穏やかなKさん。

 「私たちはここを出たら生きていけんもんね」

 「こんないいところはないよ。お金はなくても生きていける。育てる楽しみがある」

と、野菜作りに丹精込めるSさん。

うんうんと皆頷く。

 「私たちはお金じゃないんだ、お金なんかいらない、お金じゃ幸せにはなれん…」

 

その後、7軒ほどのお宅を訪ね、いろんな話を聞かせてもらいましたが、

皆さんの思いは、ホントに一緒。おばあちゃんたちの思いとピッタリ。

男性たちは、その意思をさらにしっかり語ってくれました。

 「一般的にはお金で動くとでしょうが、ここは違うとです。ここだけは違う」

 「強制収用されて県の所有になっても米を作り続けます。訴えられても作り続けます」

 「家を壊すと言うなら、私は柱に体をきびりつけても抵抗しますよ」

 「家がなくなっても、テントを張って暮らします!」

 「私たちの覚悟はそうですよ。それでも知事はやると言うのか?やりきれるのか?」

 「佐世保市長は、”お願いして造ろう 石木ダム”って言うとるでしょ?

  あれは、間違い。ほんとは”脅迫して造ろう 石木ダム”でしょ?

  今や、”強奪して造ろう 石木ダム”じゃないですか!」

 

女性たちも覚悟は同じ。

 「みんな命がけよ。体張ってるもん。殺すなら殺せーって言いたかさ」

ここで生まれ育ったわけでもないのに、どうしてそこまで思うの?

 「どうしてやろねー、やっぱりここで暮らしているうちにそうなってしもうたね。

  今はもう川原は一つの家族やね。人間関係が財産やね」

そう言って、S子さんはこんな格好をして現れた。

これは交通ボランティアの制服だそうです。

毎朝、川原の子ども3人と木場の子ども5人、計8人の子どもたちを、石木小学校まで送るボランティア活動です。

自分の子や孫でもないのに。

また川原地区の子どもより木場地区の子どもの方が多いのに。

そして、その子たちの親は、ダム推進派なのに。

 「そんなの関係ない。子どもは宝。守りたい…」

 

そんな気持ちが子どもたちにも通じているようです。

毎夏、石木川に遊びに来る子どもたちが、ダムができたら遊べなくなると知って、

なんと、全く自発的に「石木ダム反対グループ」を結成したとか・・

しかも、そのグループには40人もいると聞いてビックリ!

 

清流が育てるものは、お米や野菜だけではない。

人の心も耕し、潤し、豊かな実りをもたらすのですね・・・