今日の収用委員会は、現地調査も審理も大勢の関係者(地権者&弁護団&支援者)やマスコミでいっぱいでした。
TV各局は夕方のニュースで一斉に報じていました。
例えばKTNでは、このように伝えていましたよ。http://www.ktn.co.jp/news/
東彼・川棚町の石木ダム計画をめぐり、県の収用委員会は、きょう建設予定地を視察し、買収が済んでいない土地の収用について審理しました。
石木ダムの建設予定地を視察したのは、県の収用委員会の委員を務める弁護士や不動産鑑定士などです。 委員は県側から説明を受けながらダム建設のため県が採決申請した土地や周辺の環境状況などを見てまわりました。 視察は5分程度で途中、収用予定地の近くに土地を所有する地権者が説明を加えようとしましたが県側の制止にあいました。 石木ダム建設絶対反対同盟・岩下和雄さんは、「私たちの意見も十分に聞いて、その上で判断してほしい」と話し、地権者の石丸勇さんは、「この農地を維持するためにどれだけの苦労があるのか、たった5分だけ見ただけで一方的な県の説明では分からない」と述べました。
視察後に開かれた審理で、県側は地権者への補償について説明しましたが、地権者側はダム事業に疑問があり、収用に反対していること、先祖代々受け継いだ代えがきかない土地であることを訴えました。 次回の審理は来年2月に開かれます。
ここに報じられているように、現地調査はほんとにあっけないものでした。
起業者である県の職員が収用予定の土地を指して何やら説明していますが、
メディアの記者やカメラが取り囲み、収用委員の全員がきちんと聞き取れてはいなかったはずです。
私のそばにいた方も委員のお一人でしたが、私には説明の声が聞こえませんでしたから。
また、仮に聞き取れたとしても、5分ほどの視察で何が理解できたというのでしょう。
何を調査したと言えるのでしょう?
現地調査とは形式に過ぎないものだと実感しました。
この調子では午後の審理も形だけのものに終わるのでしょうか…
と不安を覚えつつ、お弁当を食べて、会場へ。
審理開始前、1分間だけ撮影許可が与えられ、その後はメディアのカメラも退室。
録音録画は一切許されない状況で審理が始まりました。
まず県側から、手続きの経過や、裁決申請に至った理由などの説明がありました。
・文書や戸別訪問など100回以上にわたって事業への理解をお願いしてきたが、反対が根強く緒さえ見いだせない
・事業認定告示後も反対同盟など6団体からの公開質問状に対し、説明会を開いてきたが理解を得られなかった
・7月25日からの立ち入り調査も激しい阻止行動がおこなわれ、不測の事態を考慮して断念した
・解決の見込みがないと判断し裁決申請に踏み切った
まあ!ずいぶん手前勝手な説明だこと!と呆れていたら、
その後の所有者側からの意見陳述の際、平山弁護士は
・予告なしの戸別訪問や一方的なお願いはパフォーマンスにすぎない
・地権者側の質問に十分に答えていないし、説明会の実施もこのところ拒否されている
などの実態をきっちり伝えて反論し、本論に入っていきました。
・県側が示した補償額は、憲法29条3項に書かれている「正当な補償」に当たらない
・私有財産を収用するための要件「公共の福祉」とは言えない
・必要性なき事業によって地権者は全てを失おうとしている全面的な権利侵害である
続いて高橋弁護士からは、
・県が慣行水利権を不安定水利権と評価しているのは明らかなまちがい
・物には交換価値と使用価値があり、後者には一般的使用価値と主観的使用価値がある。
・所有者が手放したくないと言っている土地を無理やり奪うなら、そこには主観的使用価値を含めるべき
・その土地は所有者にとって、他の土地で交換できるものではない、先祖から受け継いだ代え難い土地である
魚住弁護士からは、石丸家の土地の評価に瑕疵があることが指摘されました。
その石丸さんの意見陳述は素晴らしかった…
収用委員も顔を上げて興味深そうに聞き入っていました。
・私は田んぼを作っている。その土地は先祖から受け継いだ思い入れのある土地で代替地を貰えばいいというものではない。
・お金が欲しくて言うのではないが、公衆用道路としてゼロ査定になっているところがある。
ここは田んぼの一部を道路にしたものだ。その先にお墓があるのでお墓にいくために道路を自分たちで造った。
ここを収用されたらお墓にも行けない。
・いわゆる赤道(あかみち=公図上で地番が記載されていない土地「無籍地」の一つで、 道路であった土地)だ。
戦前、この辺は人間魚雷の工場を造るために収用されてしまった。そのとき前の道がなくなってしまった。
・田んぼを作るには水が要る。周りの人がいなくなって(土地を明け渡し)今は私が一人で管理している。
その用水路がなくなれば、田んぼは作れない。
他にも数人の代理人からの意見陳述があり、それに対する反論はありますか?と訊かれましたが、
県側は、「この事業は土地収用法20条に基づいて認められたものです」と答えたのみでした。
つまり、県はその場で反論することができなかったのです。
そこで、
所有者からの意見書を来年1月16日までに提出、
それを読んで起業者からの回答を1月30日までに提出。
収用委員会から所有者への質問も同じく1月30日までに提出。
ということでまとまりました。
次回の収用委員会は2月です。
これで今日の目的達成です。
目的その1.ちゃんと話をきいてもらおう〜
目的その2.審理を1回で終わらせない!
次回の目的は・・・それはヒ・ミ・ツ。