「実績は単なる数字、見直しの必要性はない」石特委員会

「国が事業の必要性を認め補助金継続を判断した」「第三者機関がこれでよしと評価した」

だから水需要の実績値が予測値と乖離していても、予測が間違っていたとは言えない。

「議会は石木ダム建設促進決議をあげている」「本委員会は石木ダム促進のための委員会だ」

だから需要予測の見直しに賛同すれば矛盾が生じる、整合性がない。

そのような理由で、私たちの請願(水需要予測の見直しを議会から当局に求めてほしい)は、

石木ダム建設促進特別委員会において不採択となりました。

 

本当に情けない気持ちでいっぱいです。

国が認めたものは間違っていない、第三者機関の判断は常に正しい、議会がそれをとやかく言う必要はない、

と本気でお思いなら、市議会議員なんてお辞めになれば?

議会の決議は絶対で、それが間違いであったと気づいても永遠に見直しできないというのなら、

佐世保市議になれるのは神様しかいませんね。

市議は市民の代弁者であり、市議会は行政のチェック機関であるはずなのに、

行政のチェックを求める市民の声には耳を貸さず、市当局の代弁者になってしまってる。

そんな議員など、はっきり言って要りません。

みなさん、来月の市議選には、市民の声に耳を傾け、それを議会に反映させてくれる人を選びましょう〜

 

準備した資料も、化石のような頭の石特委員には役に立たなかったけれど、

せっかくなので、ここにアップして、少しでも多くの皆さんに見ていただくことにします。

関心のある方、よかったら、お付き合いくださいませ〜 

 

まず、このグラフをごらんください。

青い線が一日最大給水量の実績値で、赤い線がその予測値。

平成24年度の石木ダム事業の再評価の時に出された予測です。

2年後の平成26年度の予測と実績を比べてみると、その開きはこんなにも大きいのです。

予測では前年度より大幅に増加して91,717㎥になるとのことでしたが、

実際には77,210㎥と、前年より減っています。

その差、約14,500㎥!

まだ26年度は終わっていませんので、77,210という数値は確定ではありませんが、ほぼ確定です。

かつて3月に一日最大給水量を記録した年はありませんから。

それにしても、この乖離は今後ますます大きくなるでしょう。

石木ダム完成予定年度の29年度には約10万3千㎥に達するとの予測です・・

 

どこから、こんな数字がでてくるのでしょうね〜

日本中どこでも水需要は減っているのに。

これが、そのグラフです。

日本中の上水道と簡易水道の一日最大給水量の実績値をグラフ化したもの。

1994年以降、ずーっと右肩下がりです。

それもそのはず。人口が減っているのですから。

使う人が減れば、水使用量が減るのは当たり前。

人口がいまだに増加し続けている東京都でも水需要は減っているのだから、

人口減少が激しい佐世保市の水需要が増えるわけはない!

これは転入者に比べて転出者が多い、つまり人口流出傾向の高い市町村のランク。

なんと、1718市町村の中で、長崎市が第5位、佐世保市が第6位という県内2大都市がトップ10入り!

そこで、長崎市はこの人口減少の厳しい現実を2年前にきっちり受け止めました。

平成24年度の再評価のとき、水需要予測を次のように見直したのです。

 

〇〇〇と続く線をご覧ください。

予測も実績値のように右肩下がりに修正しました。

その結果、前回まで必要としていた新たな水源7,500㎥の必要量はゼロと判断し、本明川ダムから撤退。

諫早市も必要量を半減、長与町・時津町も賛同し、今年3月末に県南部水道企業団は解散されます。

それが決まったときの同企業団長の諌早市長の弁はこうでした。

「見通しが甘かったと言われるだろうが、今の時点で中止する方が将来の負担が軽くなると判断した」

 

一方こちらは、決断できなかった札幌市。

どこかと同じように、予測が過大だと何度も批判されたのですが、将来は20万㎥も増えると言い張って…。

とうとう2012年10月に当別ダム完成。

すると、2014年3月には新たな需要予測を発表し、なんと予測値を25万トンも下方修正!

以前の予測は当別ダムを造るためのデッチアゲだったことがミエミエ・・・

2013年度以降、小樽市、石狩市、当別町の3市町は当別ダムから給水していますが、札幌市はしてません。

それでも、すでに当別ダム建設のために札幌市は106億円を出資していますし、

さらに給水を始めたら毎年約20億円を支払わねばならないそうです。

 

こんなことにならないよう、造る前に、その必要性をしっかり吟味しなければならない。

行政の示す根拠をしっかりチェックするのが議会の役目ですよね?

そこで、先ほどの一日最大給水量の急激な増加の根拠の1つ、工場用水の需要予測をみてみましょう〜

これまた、急に激増するという予測です。

わずか4年で直近の実績値の3.5倍にも工場用水が増えるなんて・・・

佐世保市は急に工業都市に変貌するとでもいうのでしょうか?

よほど水を使う業種の大企業がやってくるのでしょうか?

いえいえ、その理由は、SSK(佐世保重工業)にありました。

工場用水の大口需要者であるSSK。

その経営方針の転換により、2015年度(平成27年度)から同社の水需要が急増するというのです。

その方針とは、以下の記事の赤い線のところ、

造船部門を縮小して、修繕船部門を拡大するというもの。

修繕船部門では船を洗うための水を大量に使うので、

修繕船の売上が伸びる=修繕船の受注が増える=水需要が伸びるという論理で、

その売上高を全体の13%から25%に拡大と聞いて、売上も2倍になると水道局は考えました。

しかし「全体の」です。

割合が2倍になっても、全体の売上高が落ちていれば、売上そのものが2倍になるわけではありません。

当時SSK自身の予測では、2014年度の売上高は2011年度の60%との見込みでしたので、

修繕船の売上高は2倍ではなく、1.2倍にも満たないと考えねばならなかったのですが・・・

なんと水道局は、2倍どころか、修繕船部門での水需要は13倍にもなり

その結果、SSK全体では5倍になるという。

水増しどころではない、デッチ上げの予測。

こんな予測、見直すべきですよね?

現に、つい一週間前の企業経済委員会で、

水道局自身が示した27年度予算のための工場用水の需要見込みは、1,848㎥でした。

2年前のデッチ上げ予測では、6,604㎥でしたので、自ら3分の1以下に縮小しています。

この予測の誤りは一日平均給水量や一日最大給水量の予測を押し上げ、

その結果、4万㎥の水源不足、それを解決するためには石木ダムしかないとの結論に導き、

そのための大きな財源確保を市民に押し付けるのですから、

それでいいのか、いまこそ見直しを議会から水道局へ求めてください、とお願いしたのですが…

 

私たち2団体から30分ほど説明した後、委員長が「これより質疑に入ります」と言ったものの、

委員からは誰ひとり質問無し!

請願者のSさんが「私たちの請願に賛同していただけるのならいいのですが、採択の前に反対意見を言われても、その場ではもう私たちに発言の機会は与えられませんので反論ができません。私たちの説明に納得して頂けないなら、今ここで質問してください」とお願いしましたが、それでも皆さん、ダンマリです。

傍聴者からも、議会は何をするところですか?沈黙をするところですか?何か言わんですか!と促す発言がありましたが、

それでも質問はなく、休憩に入り、30分後に再開となりました。

再開後は、それぞれの会派の意見をまとめたものを発表しましたが、 

内容は、冒頭お伝えしたように、

国が認めた予測だから間違いはない、

我々は石木ダム推進の立場だから、水は必要と思っている、見直すなんて自己矛盾でできない、

そういう理由で賛同できない。

よって、全会一致で不採択。

 

この結果にも落胆ですが、それだけではありません。

石木ダムの特別委員会委員でありながら、石木ダムについて何もわかってない委員がほとんど。

「今は水は足りていても、想定外の渇水対策のために石木ダムが必要

「この予測は第三者委員会がおこなったもので水道局がおこなったものではない

なんて、誤解も甚だしい。

 

挙句の果てには、こんな発言まで。

「請願者は実績に重きを置きすぎている

「実績は単なる数字

「実績主義では発展が生まれない

「水が豊かであれば企業誘致もできたかもしれない

などなど。

 

委員の皆さんはバラ色の夢を描くのがお好きなよう。

実績に基づかない、希望だけで組み立てられた予測でもって、佐世保市を発展させようとお考えみたい。

夢を持つのはいいことですけどね〜

根拠のない夢は失敗の可能性が大。

失敗した時の責任は誰がとるの〜?

石特委員の皆さんがとってくださいます〜?

今後235億円ほど負担する予定ですよ〜

 

    「平成25年度までに約115億円の支出をしているので、

     あと残り235億円の財政支出をする形になろうかと思う」

    (平成26年9月5日 企業経済委員会 水道事業課主幹・川野氏の答弁より)