アーサーさん、川原へ

昨日は午後から、素敵なお客様を川原へご案内!

中央の人物、誰だかわかります?

知ってる人はビックリ!ですよね。

そう。詩人でエッセイストで翻訳家のアーサー・ビナードさん

アメリカ人だけれど日本語ペラペラ。というより、日本人以上に日本語に詳しい不思議な人。

その知識と感性と表現力で、文筆活動だけでなく、ラジオ、テレビなどにも・・

最近はこんな素晴らしい番組を放送中。

BS11 「アーサー・ビナード 日本人探訪」

 

そんなアーサーさんが石木ダム問題に関心を持ってくださったのは、とても嬉しい!

埼玉にいる頃は彼の紡ぎ出す言葉に魅せられて、何回か講演会に足を運びましたが、

まさか、こんなところでこんな形で再会できるとは!

アーサーさんを連れてきてくれた坂田さんに感謝!

 

坂田さんは今では「国連生物多様性の10年市民ネットワーク」の代表として大忙しなのに、

埼玉にいるころ出会った「ケンジュウの会」坂田さんのまんま、少しも変わらない。

パワフルで温かい人。遠くからのSOSに答えて行動してくれる頼れる人です。

今回はアーサーさんの他にもお二人(TV番組編集者と坂田さんの仲間)の方が参加、

合計4人で、はるばるやってきてくれました〜

 

今日は朝から抗議行動を視察?ではなく、一緒に抗議。

4人とも皆と同じ法被を着て、横断幕を持っています。

アーサーさんは無理やり突入する県のやり方を嶮しい表情で見つめます。

業者が入り、県職員はダム事務所に引き揚げていき、4人の皆さんは、しばらく現場でインタビュー。

地権者や支援者の話を聞いた後、石木ダム建設事務所を訪ね、古川所長と1時間以上意見交換をおこないました。

 

ダム事務所には先客がいて、しばらく待たされることになったので、

その時間を利用して、近くにある海軍工廠の地下工場跡を見学。

入口は金網で塞がれていますが、奥行きが47mもあるので、声を発すると響く響く・・

話す言葉が全てこだまとなって返ってきました。

このようなトンネルが川原郷にも掘られました。

今はもう塞がれていますが、川原にも戦時中の爪痕が残っています。

ここは軍で使うからと追い出され、平和な時代になって戻ってきてしばらくしたら、

今度はダムを造るから出て行ってくれと言われたら…やりきれないですよね。

 

ダム事務所から戻ってテントでお昼を食べ、午後からは山の方へ。

県は付替え道路を造るために山の木々を伐採しています。

チェーンソーの音が、まるで樹木の悲鳴のように、遠くまで響いてきます。

その悲鳴を打ち消すように、スピーカーから流れているのはお経です。

信仰心の篤い川原の皆さんは、無駄な工事のために命を奪われる樹木をも悼んでいるのでしょうか。

アーサーさんは、その傍らに座り、禿山になっていく森をずっと見つめていました。

 

その背中を見ながら、私は、ダム事務所で語ったアーサーさんの言葉を思い出していました。

 

僕の国アメリカでは、たくさんのダムが造られて、いくつもの川が殺されていった。

もう造る時代は終わって、壊す時代になっている。

市民には、60年前に(ダムの環境への影響について)認識があったら…と、

猛烈な虚しい後悔がある。

 

日本はアメリカの真似をしてやってきたが、まだダムを造ろうとしている。

視野狭窄だ。世界を見ていない。

 

アメリカ人としての後ろめたさを含めて言いたい。

アメリカ人と同じように自殺しないで!

あなた達は崖の上にいるけれど、まだ止められる。

 

さっき、戦争中のトンネル工場を見て来た。

あれを造ろうと決めたのは1944年でしょ?

その頃、降伏を決断していれば、あれを造ることはなかったし、原爆の被害もなかった。

 

石木川をジオパークにしよう。

棚田を世界遺産にしちゃえ。

棚田は日本人の素晴らしい知恵。治水と利水の両方を兼ね備えている。

 

なのに、ダムを造って棚田を潰すの?

それって日本を潰してアメリカを造るみたいだよ。

広い視野で考えて!

 

アーサーさんの言葉を反芻するうちに、別の言葉が浮かんできました。

ダムを造って棚田を潰すの? 安保法案を創って憲法9条を潰すの?

それって日本を潰してアメリカを造るみたいだよ 平和な国を潰して戦争する国を創るみたいだよ。

 

アーサーさんはきっと母国への悲しい後悔があって、

その思いを第二の母国である日本には味わってほしくない

と思っていらっしゃるのではないでしょうか。

ダムも戦争も、そして原発もきっと同じ。。

こどもたちや地球の未来のためにも・・    

地権者、県に申し入れ

今日は「石木ダム建設絶対反対同盟」による県への抗議の申し入れ行動に同行しました。

Sさんが読み上げ手渡した文書を貼付します。

 

 

要点をまとめると、

●住民が望まないもの・住民の同意が得られないものは公共事業ではない

●それを強行するのは、税金の無駄遣い

●県はかつて住民と交わした覚書(調査の結果建設の必要が生じた時は協議の上、書面による同意を受けた後着手する)を無視して工事を強行しようとしている

●これは県民を「だまくらす」行為であり許されない

●知事はただちに付替え道路工事と収用裁決手続きを中止し、話し合いを再開すべき

などです。

 

対応したのは石木ダム建設事務所の古川所長。

地権者の皆さんや私たち支援者も、県の強硬姿勢について抗議しましたが、

所長はあくまでも「石木ダムは必要な事業であり、国からも認定を受けている。

我々は法的手続きに従ってやっている。それを妨害するあなた達こそ違法であり、やめてほしい」

などと述べ、いつものように平行線のまま終わりました。

最後に地権者の皆さんはこの申し入れ(手続きの中断と話し合い再開)に対する知事からの明確な返答を求め、その返事が届くまでは工事を中断するよう要請しましたが、

「知事に必ず伝えます」という約束しか得られませんでした。

そして、「知事こそ13世帯地権者の皆さんとの話し合いを望んでいる。応じて下さい」と逆に頼まれ、

「工事と手続きを中断したら、いつでも会おう」と地権者の皆さんも応じ、申し入れを終えました。

 

外に出ると、ダム事務所の向かい側では、支援者の仲間が、

「止めよう!石木ダム建設」「許さない!強制収用」などと書かれた横断幕や幟、プラカードなどを掲げ、

通行人や車のドライバーにアピールしていました。

 

暑い中、みんな頑張ってます!

古川所長もダム事務所の職員の皆さんも、毎日このメッセージが目に入っているはず。

住民、町民、県民が望まない事業を進めようとするのはキツイものがあるでしょうね。

仕事とはいえ、公僕とはいえ、民から感謝されず恨まれるような役目は辛いでしょうね。

だからこそ、ぜひ、この民の思いを知事に伝えて下さい。

 

長崎新聞の論説で、こう書かれていました。

「県民にこれほど理解されない不幸な県事業をほかに知らない」と。

それは新聞記者として控えめにおっしゃったのかも・・・

本当は「県民にこれほど反対されている不幸な県事業」では?

 

職員の皆さんのためにも、そして知事自身のためにも、

所長の口から、今日の地権者の声を知事にしっかり届けてください

 

 

今日の新聞

今日の新聞各紙は、地域版(佐世保版や長崎版)に、昨日の署名活動に関する記事を掲載。

写真入りでかなり詳しく報じてくれました。

朝日にはダムに賛成反対両者の意見が紹介されていました。

「水不足のイメージは工業振興や観光にマイナス」だからダムが必要・・・。

男性に多い発想ですね。

経済振興、経済的発展が何よりも大事という発想・・。

私も昨日同じような印象を受けました。

 

チラシを渡そうとしたら「ごめんなさい。僕は賛成派だから」と断られました。

受け取りを態度で拒否する人は多いけど「ごめんなさい」なんて言葉は滅多に聞きません。

つい「どうして賛成なんですか?」と聞いてしまいました。

「え?ダムを造るとなると仕事が入るでしょ?」

と、何で当たり前のことを聞くの?みたいな顔をされてしまいました。

「でも、それは一時的なことですよね」

「現場はたいてい一時的です。一時的な仕事をいかにたくさん取って来るかにかかっているんですよ」

と言われ、一瞬言葉に詰まった隙にその男性は「失礼!」と立ち去ってしまいました。

 

経済よりも、お金よりも大事なもの、豊かなものがあることを伝えたい。

川原に来ればそれがわかるのに…

2時間で331筆

連休最終日の今日、午前11時から2時間署名活動をおこないました。

アーケード街での署名活動としては昨年9月以降7回目になります。

今回は署名の数よりもまず、現状を伝えることを第一の目的としました。

石木ダム建設のために住民の土地を無理やり奪おうとしている県の姿勢・方針を伝え、

このままだと佐世保市民のために川棚町民が犠牲にさせられようとしている、

それでいいんですか?

石木ダム問題は佐世保市民自身の問題ですよ、

一緒に考えましょう!

ということを訴えました。

このチラシを受け取って、

その場で歩きながら読んで下さる方々や、

私も反対です!と、署名に応じて下さる方々・・・

若い方やサラリーマン風な方々も・・いろんな層の方々が署名してくださいました。

そして、署名活動に参加したメンバーも30名を超え、過去最高でした。

元県議のSさんも応援に駆けつけて下さいましたし、

長崎市からも4名の仲間がやってきました。

その中の1人が言いました。

「佐世保の雰囲気変わったね。前はチラシを渡してもあまり受け取ってくれなかったのに・・」と。

なるほど、そうかもしれません。

だとしたら嬉しい変化です。

 

終了間際に駆けつけてくれたのは、現地「こうばる」に住んでいる2組の若いご夫婦とその子どもたち。

「僕たちは石木ダムに反対です。要らないダムだと思っています」

「子どもたちのためにもふる里を守ります。絶対に出ていきません」

「こうばるはいいところです。一度見に来てください。遊びに来てください」

 

お二人のアピールに参加者から温かい拍手が…。

 

終わってみれば、331筆の署名が集まっていました。

チラシを受け取って下さった方は710人。

そして、プラスアルファも・・・。

まだ署名活動の真っ最中に携帯が鳴って出てみると、

「いま家内がアーケード街でチラシをもろうたちゅうて持ってきたとですけど」と男性の大きな声。

何か文句を言われるのかと身構えていると、

「強制収用をやるとは何事だ!」とお怒りのご様子。

「水不足なんて嘘だ!平成6年の渇水騒ぎ以来一度も断水になったことはなか!」と。

同じ反対派だとわかり「ですよね。わざわざお電話ありがとうございます」と言うと、

「ありがとうじゃなか!こんなことを許したらいかん!もっと頑張らんば!」とまたまた怒鳴られ…

「一緒に頑張りましょう!」と言ったのですが、それには答えず、

長崎県政の横暴さに話が移り、長くなりそうだったので、

「あの・・まだ署名活動中なので、もう戻らなければいけませんので・・」と言ってやっと切らせて頂きました。

 

こんなふうに、今日配布したチラシが、

どこかの家庭で、どこかの職場で、話題になって広がっていくといいな〜 

 

飲みこまれていいのかな?

ご紹介します。

こちらの画像は、石木ダムには無関係の、遠くに住む学生さん(Mさん)がデザインしたものです。

タイトルは「飲みこまれていいのかな?」

50年程前、長崎県で計画されたダム。
今現状は、人口も水の需要も減っているのに、建設すべきなのかと抗議が起きている。
造られるとなると真ん中の写真にある家、まわりのイラストに描いた動物達の故郷が
水中に沈められちゃうんだよね。

確かに今は人工物が欠かせなくなってるけど、考えさせられるのが
・時代は変わった。見直さないの?
・需要は下がってる。今要るの?
・未来でやっぱり不要になったりしないの?
ってこと。

 

すごい表現力ですね。

こちらは新しい作品です。

  「水ってどこからきているの?」 小さい頃、大人に聞くと
  
「川にあるダムからきてるんだよ」って言われた。

そしてダムって何か調べたし、ダムの良いとこ悪いとこも調べた。

でも、ダムがどう出来たかまでは見ていなかった。

水を溜めてるダム。でもその底には、住民の家や、畑や田んぼが沈めらめてるんだよね。
そこからきたお水を出しっぱなしにしてる私たちってなんだろな。

限りある水。出しっぱなしにしなければ、お水の需要ももっと減っていくんじゃないかな?

 

Mさんは、たまたまパタゴニア日本支社長の辻井さんの講演を東京で聴き、

石木ダムのことがとても気になって、自分なりに勉強したそうです。

県のサイトや石木川まもり隊のブログなどを見て…、その結果、

「美しい棚田と13世帯60人もの人が住む場所に本当にダムが必要だとは思えず」

「何か自分に出来ることをしたい」と考え、行動をおこしました。

 

すごいですね!

才能もですが、行動力がすごい!

これは止めなくちゃ・・と思ったら、きちんと意思表示する。

自分が気づいたことを発信し伝える。

それが今の自分の生活に直接関わりがなくても・・

 

こういう若い人がいる日本は、まだまだ捨てたものではないのかもしれない・・・ 

 

県は強硬姿勢をやめるべき

今日の長崎新聞論説。

中村知事、朝長市長、県河川課職員、佐世保市水道局員、そして全ての県民に読んでほしいと思いました。

長崎新聞がここまで明確に意思表示したことに、敬意を表します。

地方紙として、地方自治と一番深く結びついているはずの新聞社が、県政に異議を唱えることは決して容易なことではないと推察します。

県民にこれほど理解されない不幸な県事業をほかに知らない。

県は強硬手段をとる構えをやめるべきだ。

きっぱりと本質を突きつけています。

ペンの力に感動!

でも、なかなか論説を読む人は少ないんですよね〜、残念なことに。

かく言う私も、いつも読んでるわけではなく・・・

 

「収用裁決申請」の文字があふれた今日の紙面

今日の新聞は、石木ダム収用裁決関連の記事がいっぱいです。

7月8日に4世帯の家屋を含む約3万㎡の土地が収用裁決申請されたこと、

残り9世帯の家屋を含む約9万㎡の土地も裁決申請へ向け手続きを開始すること、

今後の手続き日程、場所を示す地図、地権者の思い等々を伝えています。

 

長崎新聞は、一面、社会面に2つ、計3つの記事が掲載されていました。

西日本新聞も、社会面と佐世保版に。

 

朝日新聞も社会面と佐世保版です。

 

読売新聞も社会面と地域版。

そして、毎日新聞も県内版にしっかりまとめて書かれていました。

これだけ新聞が報じてくれたので、県民の多くが、強制収用に向けた県の動きを知ることになったでしょう。

この事実を知って、県の動きを知って、そこまでやっていいんかい?

と思った県民は決して少なくないはず!

そう信じたい。 

 

 

4軒の家も収用裁決申請!

本日、県は、県収用委員会に新たな土地の収用裁決を申請し、明渡し裁決の申立てを行いました。

そこには4世帯の家族が今現在暮らしている4軒の家屋も含まれています。

申請がされれば、数か月後には裁決されます。

裁決されれば・・・

それでも地権者の皆さんは、

とか、

などとおっしゃっています。

皆さんの決意は揺るぎないものです。

この決意をまだ県は疑っているのか、見くびっているのか、それとも本気で家を潰すつもりなのか・・

 

それだけではありません。

県は同時に、手続きを保留していた残りの用地約9万㎡についても手続き開始の申立てを行いました。
 
手続き開始の告示は7月下旬の見込みだそうです。
 
そこには残る9軒の家が含まれています。
 
 
 
 
つまり県は、来年7月末までにすべての土地の収用裁決申請を済ませ、何が何でもダムを造る決意のようです。
 
私たちには狂気の沙汰に思えます。。
 
 
 
今日は午後から開かれた佐世保市議会本会議を傍聴するために出かけたのですが、
 
その前に緊急の石木ダム建設促進特別委員会が開かれ、この件についての説明があったことを知りました。
 
 
 
本会議では私たちの請願について、社民党と共産党の2議員が賛成討論を行って下さいましたが、
 
いつも通り、4名の議員(社民党と共産党)以外は反対で、よって不採択となりました。  
 
 
 
佐世保市議会よ、長崎県議会よ、思い出してほしい。
 
1982年の強制測量の時のことを。
 
権力の力で強制的に住民を排除して行った測量が、どれほど県民の反発を招いたか!
 
今回それをやれば、その何十倍、いや何百倍もの非難の声が全国から届くだろう。
 
 
 
議員たちよ、想像力を高めてほしい。
 
行政代執行を実施して13軒の家を取り壊すシーンを。
 
それはおそらく、戦後日本で最大規模となる、公共事業のための権力による人権侵害。
 
長崎=平和のイメージは一夜にして地に落ちるだろう。
 
 
 
私たち長崎県民は、命を貴び、平和を愛する県民ではなかったのか?
 
 

強制収用中止を求める請願不採択についての新聞報道

昨日の請願不採択について、新聞全紙が今日の紙面で報じています。

地域面ではなく社会面で報じている新聞もありました。

佐世保支局の記者の皆さんの関心の高さに感謝します。

 

毎日新聞

 

西日本新聞

 

長崎新聞

 

読売新聞

朝日新聞
      

 

 

佐世保市議会 “ 強制収用中止 ” 求める請願不採択

今回で6回目となる「強制収用中止を求める請願」は、またも不採択となりました。

佐世保市議会 “ 強制収用中止 ” 求める請願不採択

 

請願文書は以下の通りです。

                                        平成27年6月18日 

佐世保市議会議長 市岡 博道 様 

                         (請願者)石木川まもり隊 代表 松本美智恵

                              水問題を考える市民の会 代表  篠正人

                         (紹介議員) 早稲田矩子

                                 山下千秋

 

    石木ダム建設について強制収用手続き中止と地権者等との協議を求める請願

 

(請願の趣旨)

 県営石木ダム建設計画の一部である付替え県道工事について、長崎県当局が、地元住民の永年にわたる強い反対意見を踏み躙って6月12日に着手しました。

これは石木ダム建設の突破口だとして、地元住民等は身を挺した抗議行動を続けています。

 石木ダム建設計画に対して、地元住民はふる里に住み続けたい、美しい自然を壊してはならないと強く反対しました。現在も13世帯約60人の住民が半世紀に亘って反対し、 ダム用地としての提供を拒んでいます。

 県当局は、石木ダムの目的を佐世保市の利水と川棚町の 治水としていますが、その内容は度々変遷しています。利水並びに治水の専門家は、既に無用なものだと指摘しています。しかし県当局は、専門家の批判には耳を傾けず、計画に固執し、土地収用法を援用して反対地権者所有地等の 強制収用を行おうとしています。

 石木ダム建設計画を提起したときの県知事は、住民の理解が得られなければダムは造らないと約束しています。しかし、その後の知事は、ダム建設ありきの強行姿勢です。

 しかも、反対地権者等が建設計画の問題点を指摘して、その解明のための話合いを求めても、中村県知事は一度のみ応じましたが、それも建設ありきの主張を述べるにとどまり、問題解決の姿勢がありません。民主社会ではありえない態度です。

 このまま県当局が建設を強行すれば、不測の事態を招く ことが心配されます。

 利水については、佐世保市当局も共同事業者です。石木ダムが建設された場合を想定して、専門家は、市水道局が発表した資料に基づいて、建設費とその後の維持費をあわせると1173億円にものぼると試算しています。

 石木ダム建設は、佐世保市民も自らの問題として真剣に考える必要があります。佐世保市民を代弁する立場にある市議会としても、真摯に検討されるよう要望します。

 

(請願事項)

1.長崎県知事ならびに佐世保市長へ、強制収用手続きは中止することを求めてください。

2.長崎県知事ならびに佐世保市長へ、石木ダム建設計画について地元地権者等が提出している公開質問書等に基づく検討を行い、当該地権者等と真摯に協議することを 求めてください。

 

以上、請願いたします。

 

追加趣旨説明として、次の文書を読み上げました。

 

石木川まもり隊の松本です。補足説明致します。

私たちは強制収用だけは止めて下さいという趣旨の請願を、過去5回やってきました。いずれも委員会では全会一致で不採択でした。

理由は、<まだ強制収用すると決まったわけではない。県は話し合いによる任意の解決を目指して努力しているところである。「任意での解決ができない場合に」という仮定のことを採択はできない>というものでした。

しかし、そう言い続けたこの3年の間に強制収用の手続きは粛々と進められてしまいました。

先月22日、ついに4世帯の農地約5,500㎡について収用裁決が出され、明渡し期限も通告されました。畑の場合は8月24日まで、水田の場合は10月30日までです。

川原のおばあちゃんたちは畑仕事が生きがいです。歳はとっても畑に出て安心安全の美味しい野菜を作り、家族に喜んでもらう、その野菜で美味しい漬物を作り遠くで暮らす子や孫にも送って喜んでもらう、それが生きがいで、元気に過ごしておられます。その生きがいがまもなく奪われようとしています。

また、新たな土地約3万㎡の収用裁決申請がまもなく出されようとしています。そこには4世帯の宅地が入っています。4軒の家があり、4つの家族が今そこで幸せに暮らしています。その家も数か月後には裁決されるでしょう。そして、そのまた数か月後には明渡し期限が来て出て行けと言われるでしょう。県はそのための手続きを進めています。させぼ市議会はそれを認めるのですか?

 

昨年9月議会で請願した時に、川原の地権者のお一人がここにきて意見陳述されました。

その方は「もしも私の家が取り壊されそうになったら、私は家の柱に自分の体を鎖でくくりつけて抵抗したい。家を壊されたら、戻って来て、そこに小屋を建てて住みつく。その小屋を壊されたら、また新たな小屋を建てて住む。その繰り返しになるだろう」とおっしゃいました。そんな犠牲を強いてまで水が欲しいと、佐世保市民は思っているでしょうか?

石木川まもり隊は過去5回ほどアンケート調査をやってきましたが、強制収用だけはしてほしくないと答える人がほとんどです。中には「そんなことまでして造ったダムの水は飲めませんよ」と言う人もいました。

 行政は一度決めた事業はなかなか見直そうとしませんが、議会はそうではないはずです。市議さんは私たち市民の代表で、私たちの声を議会に届け、行政をチェックするのがお役目のはずです。最近は新聞の声の欄などを見ていると強制収用に反対する意見ばかりです。

 このような現状に危機感を感じている方々がいます。先日(6/29)県議会環境生活委員会の審議の様子をインターネット中継で見ていたのですが、その委員会の委員のほとんどが「最近は反対派の声ばかり聞こえてくる。推進派ももっと声をあげてもらわねば。どうなっているんだ」と河川課長に苦言を呈していました。ほんとにおかしなことを言う方々だと思いました。県民の声を届けるのではなく、県の方針を県民に押し付けようとするなんて、県議としての資質を疑いたくなりました。佐世保市議の皆さんはそのようなことはないと思っています。 

 一昨日4日(土)私たちはアルカスSASEBOで石木ダム問題の集会を開きました。生憎の雨天でしたが、イベントホールがほぼ満席となりました。

講師のお一人の板井弁護士がおっしゃっていたのは、大型公共事業の必要性を決めるのは地域の住民であるということでした。なぜなら、その事業には莫大な費用が必要で、それだけのお金を負担しても必要かどうか判断できるのはその地域の人だからです。石木ダムで言えば、莫大な税金と水道料金の負担に変えてもダムの水が欲しいと佐世保市民が判断するかどうかということです。4日の参加者の多くは、ダムを造るお金があれば老朽管の更新に取り組むべきだとアンケートの感想の中でのべていましたが、とにかくこれ以上無駄な公共事業はしてほしくないという趣旨のものばかりでした。

 長崎市や諫早市は水需要予測を見直した結果、本明川ダムから撤退しました。諫早市長は「予測が甘かったが、今の時点で中止する方が将来の負担が軽くなる」と語っていました。佐世保市も是非見直す勇気を持ってほしいです。

 皆さんは石木ダム建設促進を目的とした委員会だから、見直しはできないと言われるでしょうが、少なくとも強制収用まで目的にはなっていないはずです。

地権者の意思は絶対変わりません。登記簿上強制収用されても、皆さんは絶対にふる里を出て行かれません。そうすると、強権発動しかありません。警察を使って強制排除し、ブルドーザーを使って13軒の家を壊すしかありません。そのような野蛮な人権侵害を、今の日本で実際にできると思われているのでしょうか? 

 4月の市議選の直前に40人の候補者の方に石木ダムに関するアンケートをお送りしましたが、回答が帰ってきたのは6人の方だけでした。あとの方は有権者を無視しているのか、石木ダムに関するものは答えたくないのか、わかりませんが、たいへん残念でした。

 強制収用に関する質問では6人中4人が「反対する」で、1人が「わからない」、もう1人はどれも選択せず「熟慮が必要と思われるが、個人としては、強制的な収用については疑問を持っている」と書かれていました。つまり「強制収用に反対しない」に丸を付けた人は1人もいませんでした。その回答者6人の中のお2人はこの委員会のメンバーです。 

 どうか、この強制収用についてだけは、皆様の良識と良心に従って中止を求めていただけますようによろしくお願い致します。

 

しかし、この訴えも、何の効果もありませんでした。それぞれの会派を代表して述べられた意見は、

 

・小野寺委員(民主市民クラブ)

13世帯の郷土への思いは理解できるが、出て行かれた54世帯の思いも受け止めねばならない。

本市は過去にも渇水で辛い経験がある。近年の異常気象を考えるとダムは不可欠。

この事業は公平公正な機関で認められたもの。今後も県と一体となって粛々と手続きを進めてほしい。

 

・橋之口委員(市政クラブ)

憲法25条の2項には、国は国民の生存権保障義務があり、公衆衛生の向上及び増進に努めなければならないとしている。

本市の水資源不足は深刻な状況であり、生存権を守っていくためにダムは必要だと思われる。

40年かけてもまだできていないということは、それだけ慎重に対応しているということでもある。

 

・萩原委員(自民党市民会議)

平成6年の渇水のとき私は酪農を営んでいた。水不足の辛さ、もらうことの難しさを経験している。

石木の皆さんには心からお願いしたい。

 

林委員(緑政クラブ)

協議を求めることは大事であるが、そのスタンスの隔たりが広がっている。

知事の態度が民主的でないとされるのは残念。精一杯の努力が行われていると思う。

 

森田(公明党)

双方とも話し合いを望んでいる。強制収用に反対するのは今の段階ではない。

 

以上のような意見表明の後、裁決に入り、賛成者無し。

よって今回も全会一致で不採択となりました。

 

それにしても、残念です。

この8人の委員の中には、ダム有りきではない、建設的な意見交換ができるに違いないと勝手に思い込んでいた方々が数名います。

しかし、この委員会の委員になられたということは、委員会の設置目的が「石木ダム建設の促進」とされていますから、推進派になられたということですね。

8人中2人はかつて「強制収用には反対」とおっしゃっていたのに・・・

どこで思いが変わられたのでしょうか?

なぜ変わられたのでしょうか?

切に、知りたい!と思いました。