ここ数日間のマスコミ報道をまとめて貼付します。
5日の県庁行動や7日の収用委員会阻止行動を伝報じるものです。
県に対する地権者の怒りと、訴訟に向かう覚悟が伝えられました。
(オンライン記事は水源連MLからの転載です)
石木ダム地権者 訴訟の構え
(NHK 2015年10月05日 22時06分)http://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/5035389231.html?t=1444065428199
川棚町に計画されている石木ダムをめぐり、県が土地の強制的な収容に踏み切ったことから、建設に反対する地権者などが、5日、県庁を訪れ、知事との協議の場を設けるよう要請しました。
また、地権者側は、事業の取り消しを求める訴訟を検討していることも明らかにしました。
県と佐世保市が川棚町に計画している石木ダムをめぐっては、一部の地権者との用地交渉が難航したことから、県は、法律に基づいて強制的に土地を収用する手続きを進めています。
これを受けて、石木ダムの建設に反対する市民グループらが「石木ダム建設絶対反対」と書かれた横断幕を掲げて県庁を訪れ、河川課の担当者に対し、「地権者の同意も得ないまま土地や家屋を強制的に収用することは断じて許すことはできない」として、知事と地権者が議論する協議の場を設けるよう要請しました。
これに対し、河川課の担当者は、「知事に伝えます」と答えていました。
この後、地権者を支援する弁護士らが記者会見し、▼石木ダムの事業そのものの認定取り消しを求める訴訟や、▼現在行われている工事の差し止めを求める仮処分の申し立てを検討していることを明らかにしました。
市民グループに参加する地権者の男性は「本当にダムが必要なのかこれまでの県の説明では納得できない。故郷を守っていくために、闘っていきたい」と話していました。
9月6日 長崎新聞
朝日新聞
石木ダム、知事説明拒否に怒り 地権者側は訴訟辞さず [長崎県]
(写真)中村法道知事との面談を求めて県の担当者と交渉する石木ダム事業に反対する地権者と弁護団ら
県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダム事業で、反対する地権者らは5日、中村法道知事の直接説明を拒み続ける県の対応を「逃げ回ってばかりいる」と批判。
県側に話し合う姿勢がないとして、国の事業認定取り消しを求める行政訴訟を起こす方針を明らかにした。土地収用法に基づく強制収用手続きを進める県に対し、地権者らの怒りは頂点に達している。
「石木ダムは必要な事業じゃない」「県民にきちんと説明しなさい」。長崎市であった県の担当者との交渉には、反対地権者と弁護団ら約50人が参加。関連工事を中断しない理由の説明などを求めた。
県の担当者は「白紙に戻しての話し合いには応じられない」と繰り返した。
反対地権者の岩下和雄さん(68)は「収用手続きは始まっている。家を取り壊されてもプレハブを作ってでも抵抗する」と憤った。
ほかの男性地権者も「知事の対応は誠意がない。訴訟も命を懸けてやっていく」と語った。
弁護団によると、ダム建設に関連する工事中止を求める仮処分の申し立ても検討するという。
石木ダム 反対地権者ら国提訴へ 事業認定取り消し求める
県と佐世保市が川棚町に計画している石木ダム建設事業で、反対派の地権者らは5日、県庁で記者会見を開き、国に事業認定の取り消しを求める行政訴訟を長崎地裁に起こす方針を発表した。
原告は地権者13世帯約60人を含む関係者約160人の予定。国の事業採択から40年余がたち、ダム建設はついにその是非を巡って法廷で争われることになった。
地権者らは、中村知事あてに事業の白紙撤回を求める要望書を提出していたが、5日、県側から「県民にとって必要な事業。これまでも説明してきた」として要望には応じないとする回答を受けたため、提訴に踏み切ることにしたという。
訴訟を担当する弁護団によると、国土交通相は2013年9月6日、県と佐世保市の申請を受けてダム事業を認定したが、地権者らは「(利水を目的とした)ダム事業は不要で、事業認定は違法だ」と主張する方針。
また、建設事業に伴う付け替え道路の工事についても、県と佐世保市に工事中止を求める仮処分を同地裁佐世保支部に申し立てる。原告規模は地権者ら約200人を見込んでいる。いずれも11月中に行う予定。
地権者の岩下和雄さんは「県の強制的なやり方には納得できない。ふるさとを守る方法の一つとして、裁判で闘い抜きたい」と語った。
県河川課の川内俊英課長は「現在の段階では、コメントはできない。実際に裁判になった場合は訴状を精査し、対応を検討する」と話した。(南佳子)
石木ダム 収用委は審理開けず
(NHK 2015年10月07日 18時41分)http://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/5035256781.html?t=1444256943749
川棚町で進められている石木ダムの建設をめぐり、県の収用委員会は7日、本体工事に必要となる土地の補償額などを決めるため現地で視察と審理を行うことにしていましたが、地権者らの強固な反対にあい、中止になりました
。
石木ダムの建設をめぐり、長崎県の収用委員会は県が強制的な収用に向けて手続きを申請した本体工事などに必要となる2万1千平方メートルあまりの土地と住宅について7日、川棚町で視察と審理を行うことにしていました。
しかし、県が説明会場にしていた公民館の廊下にはダム建設に反対する地権者などおよそ30人が立ちふさがって、「収用委員会は中立の組織ではない」、「私たちの生活を壊すな」などと抗議しながら強固に阻止しようとしたため、収用委員会は7日の予定をすべて中止しました。
地権者の岩下秀男さん(68歳)は「土地を売るつもりは全くない。
土地収用の是非以前にダムが不要だという私たちの主張を、県にはきちんと聞いてほしい」と話していました。
土地収用法では補償額や明け渡しの時期などについての審理を原則、公開の場で行うことを定めており、今後日時を改めて審理が設定されることになります。
しかし計画に反対する地権者たちはこれまでに別の土地の収用を認める裁決を出している収用委員会に反発を強めていて、円滑な審理の開催には困難も予想されています。
10月8日 長崎新聞
長崎)県収用委、石木ダムの審理見送り 地権者の抗議で
県と佐世保市が計画する石木ダム事業をめぐり、弁護士や不動産鑑定士らでつくる県収用委員会は7日、未買収の土地の収用に向けた現地調査と審理を建設予定地の川棚町でしようとしたが、明け渡しを拒む地権者らの抗議を受け、見送った。9日にも調査と審理が予定されている。
審理は、県と地権者の双方から意見を聞く手続き。7日は、県が7月に裁決申請した家屋を含む4世帯の約3万平方メートルのうち、2世帯の約2万1千平方メートルが対象だった。
県収用委はすでに、別の農地約5500平方メートルについて収用を認める裁決を出し、8月に強制的に収用された。このため、この日は反対地権者や支援団体のメンバーが横断幕などを掲げて審理の開催を拒否。会場の町中央公民館で県側と押し問答となった。
地権者の一人は「人間味のある審理を期待して我々の気持ちを前回訴えたが、結局、土地を取り上げられた。収用委員会はもっと大局的に判断すべきではないか」と憤った。県収用委の戸田久嗣会長は「我々の権限は限られており、事業認定を判断する裁量はない」と話した。
県によると、県収用委はこの日中止した審理をやり直すため、日程を調整する。9日は予定通り行うとしている。
石木ダム建設現地調査中止 収用委、阻止受け
県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダム建設事業で、県収用委員会(戸田久嗣会長、7人)は7日、県と市が裁決申請した土地の審理と現地調査を実施しようとしたが、ダム建設に反対する地権者らの阻止行動を受けて中止した。収用委は改めて審理の日程を決める方針。
対象となっているのは、ダム本体工事の予定地で、反対地権者4世帯の家屋4棟を含む土地約3万平方メートル。県と市が7月、土地収用法に基づいて収用委に裁決申請したのを受け、収用委はこの日、うち2世帯の土地と家屋について審理と現地調査を行う予定だった。
しかし、委員らが審理会場の川棚町中央公民館に入ろうとした際、地権者らが立ちふさがり、「ダムは必要ない」「土地を奪うのか」などと抗議したことから中止を決めた。
同法では、裁決申請があった場合、収用委が原則、公開の場で審理することが定められている。残りの2世帯の土地と家屋についても、9日に審理と現地調査を予定している。
自宅の土地や建物が審理対象になっている岩下秀男さん(68)は「家を明け渡すつもりはない。自分たちの意見が通らないなら阻止するしかない」と話した。