調査が終われば効力は無い?

少し前の記事ですが、とても驚いたので書き留めておきます。

川棚町で2年ぶりに開かれた日曜議会。

その日の一般質問の中で、議員と町長との間でこんなやりとりが交わされていました。

 

この町長の答弁にはちょっとびっくりです。

ここの出て来た覚書とはこちらのこと。

昭和47年に交わされた、確かに古いものですが、

時の県知事と、川棚町の3つの郷の総代が署名押印した正式文書で、

立会人として当時の川棚町長も署名押印しています。

 

で、ここに書かれているのは、以下の4条で、特に第4条が大事なので赤い四角で囲んでみました。

 

「乙(長崎県)が調査の結果、建設の必要が生じたときは、改めて甲(3つの郷)と協議の上、書面による同意を受けた後着手するものとする」と書かれています。

つまり、これは、

まだ建設するって決めたわけじゃないんだよ。

建設する必要があるかどうか判断するために調査するんだよ。

で、調査した結果、建設すべきとなった場合は、ちゃんと皆さんと話し合って、

合意ができたら文書を作成して、きちんと手続きをふむよ。

それをしないで勝手に工事を始めるなんてことはしないから安心してね。

という意味でしょう?

だから、それなら調査してもいいですよ、ということで覚書を交わしたわけですよね?

 

なのに、この約束を反故にして、県は勝手にダム事業に着手した。

それを、この約束の場に立ち会った川棚町長も認めてしまった。

これじゃあ、何のための覚書だったの?

と、第三者でも納得できません。

 

しかし、現町長さんの答えは、

「調査をするために結んだもので、(調査を終えた)現時点で効力はないと考えている」でした。

 

えー!

それじゃあ詐欺同然、だまし討ち同然じゃないですか?

覚書の法的効力など知らない素人の私にはそう思えてしまうのですが、

違います?

 

まあ、私たち日本国民は約束事にはルーズな国民性ですからね〜

「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と憲法で謳っておきながら、

自衛隊の軍事力は世界で常にベストテン入りしています。

(調査機関によって9位とか4位とか評価が分かれているようですが)

一番憲法を守らなきゃいけない大臣や国会議員が平気で憲法を汚し傷つけているし…

 

そんな体質は認識した上で、それでも、やはり納得できない。

まるで、騙される方がバカなんだよ〜と言われてるみたい。

これでは、県民は知事を信用できない。

町民は町長を信用できない。

信頼の無いところに、未来はない。

だから、石木ダム問題も、いつまでたっても解決しないし、

溝は深まるばかりです…     

 

  

 

6回目の請願も全会一致で不採択

先月11日、県は未買収地の残り全て約9万㎡を裁決申請し、

県収用委員会は今月10日それを受理しました。

これで、ダム建設予定地に住んでいる川原13世帯の家々が全て強制収用の対象となりました。

 

1回目の裁決申請は4世帯の農地だけでしたが、

その時と同じように手続きは粛々と進められ、裁決が出て明け渡しを命じられるでしょう。

でも、農地の時と同じように、地権者の皆さんは誰一人として、それには応じないでしょう。

すると、どうなる?

行政代執行ですか?

柱にしがみついて抵抗する住民を引きはがして、ブルドーザーで家を潰してしまうのでしょうか。

それとも、先にコンクリートの堤防を築いて、徐々に水を溜めていき、

まるで生き埋めのように、全てが水の底に沈むのを待つのでしょうか。

そのような前代未聞の蛮行がこの長崎県で行われるのでしょうか?

佐世保市議会は、それを許すのでしょうか?

私たち佐世保市民は、私たちの水源確保のために川棚町民を犠牲にするなんて耐えられません。

この思いを議会に伝えるために、6月10日、請願を提出しました。

そして今日、その請願が委員会審議にかけられ、私たちは思いを込めて趣旨説明をおこないました。

 

請願文書を見て頂ければわかるように、今回は4団体による提出です。

4団体で訴えたことは、

・何が何でもダムを造らなければならないという根拠がわからないし、緊急性も感じない

・ダムよりも漏水対策にお金をかけるべき

・基本的人権と公共の福祉を天秤にかけた時、石木ダムによる公共の福祉が大きいとは思えない

・明け渡し裁決が出ても地権者はそこに住み続け、出ていく人は誰もいない

・石木ダムに関する新聞への投稿記事は、ほぼ100%反対の声ばかり

・議会は行政の代弁者ではなく市民の代弁者であるべき。市民県民の声に耳を傾けてほしい

・新聞の社説も、必要性の説明が不十分な状態で、強制収用という手法を取るのは許されないと断じている

などなど。

 

私たちの陳述が終わり、質疑の時間になりましたが、委員は誰一人手が上がりません。

仕方なく?(予定通り?)委員長は「暫時休憩し、11時から再開し結論を出す」と告げました。

 

そして再開。

各会派から反対討論が述べられ、予想通り、またも全会一致で不採択となりました。

 

これまでの反対理由はこうでした。

2012年(事業認定される前)〜事業認定申請したのは地権者との話し合いが目的である。現段階で強制収用について論ずべきではない。

2013年(事業認定されると)〜認定はされたが、県が裁決申請するかどうかはまだわからない。仮定の話には応じられない。

2014年(裁決申請に踏み切ると)〜事業認定は法に則って公正に行われたものであり、認定された以上手続きを前に進めるしかない。しかし話し合いの余地は十分残されている。

 

さて今回はどんな理由で私たちの請願に反対したのでしょう?

各会派から出された意見をまとめると、こういうものでした。

〇裁決後も任意交渉は続いている。これまでも任意交渉の中で合意を得てきたので、今後もそれに期待する。

断腸の思いで移転された54世帯の方々のことも考えなければならない。

〇県は生活再建や集団移転の斡旋など最大限の措置を予定しており、地権者の相談に応じると言っているので、地権者の方が路頭に迷うことはない。

石木ダムに代わる抜本的な水源対策がない中では、手続きを進めることはやむを得ない。

〇ダムの必要性に関する当局の説明は十分合理的である。

などというものでした。

 

やっぱり…委員の皆さんは行政の代弁者ですね。

任意交渉で合意できる人たちは既に土地を売って出て行かれました。残っているのはどうしても合意できない、今後も絶対に応じない人たち。だから期待してもダメ。

◎決断の際に苦渋の思いをされた方はふる里を愛していたから。そのふる里が残るなら、それは嬉しいはず。もしも可能なら、今の家を売ってまた戻ってくればいい。川原の皆さんはきっと歓迎してくれますよ!

◎県が話し合いたいのはいつもそれ。補償金や生活再建や移転先の話。その前に話すべきことがあるでしょ?なぜここにダムを造らなければならないかという原点の話。それを抜きにして補償金の話などしようとするから地権者との溝が深まるばかりってこと、わからないかな〜

◎石木ダムに代わる抜本的な水源対策など要りません。水は足りているのだから。もっと欲しいと思う人もいるかもしれないけど、欲を出せばキリがない。足るを知る生き方がこれからは大事なんじゃないかな〜

◎ダムの必要性に関する当局の説明は十分合理的である?!へぇー!!あの水需要予測が合理的だと思えるなんて、ずいぶん奇特な方もいるのですね〜失礼!当委員会の皆様は奇特な方々ばかりでしたよね。私たちのような凡人には理解できませんが・・・

 

そんなことを思いながら拝聴させて頂きました。

 

傍聴に来て下さった市民の皆様、佐世保市外からも駆けつけて下さった皆様、

お疲れ様でした。そして、

 

これからも諦めず、しつこく、しぶとく、請願を続けます。

一緒に頑張っていきましょう〜 

 

 

追記:翌日の新聞記事を添付しておきます。(長崎・朝日・西日本)

 

当たり前の暮らしを求めているだけ…

今日の長崎新聞「声」の欄にこんな投稿記事がありました。

 

学生さんの正直な実感が伝わってきます。

石木ダム問題について少しは知っていた。

それはテレビニュースで何度か見ていたから。

その印象として残っていたのは、

鉢巻をして座り込む姿、必死の形相、怖い人たちかも?

でも、実際会ってみたら、

優しい笑顔、私たちと変わらない当たり前の生活を送っている人たちだった。

そして学生さんは思いました。

その当たり前の生活を守るため、ある時は心を鬼にして闘っているのだ

学生さんは石木ダムの是非については一言も触れていませんが、

「より多くの人にそのことを知ってほしい」と結んでいます。

 

この思いは、演劇「濁る水」の中でも感じました。

そして、いま、撮影が進んでいる映画「ほたるの川のまもりびと」の中にもしっかり流れています。

予告編を是非ご覧ください!