妨害禁止の審尋の日、午前3時に資材搬入

長崎県が申し立てた通行妨害仮処分に関する4回目の審尋が昨日(4月24日)行われました。

県側弁護団は、本日で審理を終結してほしいと主張し
たのですが、裁判長は認めませんでした。理由は自分以外の2人の裁判官がこの4月から交代したばかりなので、これまでの記録(提出されている主張書面や証拠など)を検討する時間が必要であるとのことでした。

次回審尋期日は6月19日(月)14時からです。

県にとっては、審尋が延長されただけでなく、次回がかなり先の日程ということで、かなり予定が狂ったことでしょう。
2回目の通行妨害禁止という司法のお墨付きを早く得て、工事を加速したいと期待していたはず…。

実は、審尋がおこなわれた日の午前3時過ぎに、県は工事車両や作業員を投入していたのです。


4月に入って一度も来てなかったのに、何故この日に…県のやり方は理解できません。

この状況に未明から現場は騒然とし、地元の人の多くは抗議活動に参加。裁判所には来られませんでした。

いつもと違った寂しい門前集会になりました。

数日前に発売された週刊金曜日に、「長崎県に消耗戦を強いられる石木ダム予定地13世帯の今」という記事が掲載されていましたが、週刊金曜日2017.4.21

その中で、筆者(ジャーナリストのまさのあつこ氏)は、この通行妨害禁止仮処分についても取り上げ、「13世帯は自然豊かに仲良く暮らしたいだけである。その住民を通行妨害禁止命令で苦しめる長崎県の行いは、SLAPPではないか」と述べています。

近年ではインドネシアやフィリピンでも権力の横暴を抑止する動きが起きていて、SLAPPを防ぐ対策が建てられていると言う。日本の人権意識は後退するばかり…。

なぜ?

東京新聞が再び石木ダムに注目

熊本地震から1年を経た今も、約48,000もの人々が未だに避難生活を強いられています。
避難者の方々が一日も早く住み慣れた我が家で、あるいは新しい家で落ち着いた生活を再開されることを祈ります。
と共に、こうばるの方々が、自然災害ではなく無駄な公共事業の犠牲になってふる里を追われることの無いよう、あらためてこの裁判に勝利したいとの思いを強くしました。

二度目の震度7を記録した4月16日からちょうど1年のこの日、東京新聞「こちら特報部」では石木ダム問題を大きく報じました。

 

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2017041602000145.html

【特報】長崎・石木ダム 広がる反対の輪 著名人ら賛同 計画から半世紀「必要か」

記者は、約半世紀にわたって「石木ダム」建設計画に反対し続けている長崎県川棚町の水没予定地に暮らす13世帯約60人の住民らを支援するアーティストや、環境問題に取り組むアウトドア用品メーカーの「パタゴニア」などの活動を紹介するとともに、住民の率直な想いも伝えています。

「佐世保という都会の水のために田舎は立ち退きなさい、犠牲になりなさいというのは、東京の電力のために犠牲になった福島と構図は同じ。自分たちの闘いを通じ、地方を犠牲にすることについて都会の人たちが少しでも考えるきっかけになればいい」

Sさんのコメントが、佐世保市民の私にはとても堪えますが、だからこそ、私も頑張らねばという気持ちになるのです。

 

執行停止却下に対する声明を発表

3月30日の石木ダム事業認定執行停止申立却下に対し、4月11日、石木ダム対策弁護団と石木ダムに反対する県内5団体が連名で声明を発表しました。

執行停止申立却下に対する声明(H29.4.11)

今回の決定は「緊急性がない」として退けるだけでなく、「申立人らの損害は金銭賠償によって回復可能だから重大な損害に当たらない」とまで述べられていました。あまりにも人間の尊厳を踏みにじる許しがたい判断であり、その点を私たちは厳しく批判しました。

                         長崎新聞 2017.4.12

 

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悪意なきイジメ

つい先日、こうばる住民のお一人から届いたメールを紹介します。

ある婦人がこう言った。「主人が生きている間に石木ダムが出来なかったら…死ぬにも死にきれない」
私がダム水没予定地の住人だと知りながら。
すでに4家の土地(田畑)が強制収用されようとしていることもニュースでやり始めた頃の話だ。

婦人によるとご主人は、当時役場の建設課のお偉いさんだったようで、町長さんにいろいろ言われながら過ごした。それも数年間も。
だから、ダムを造って欲しいのだそうだ。
涙まで流してみせた。それで…?

私は呆気に取られた。
元役場職員ならば、町民にとって何が大事なのか考えること。
今は役職考えずに正しいと思うことが言えるはず…。

それになんで婦人にお願いされなければならないのか?
私はきっぱり「それは残念ですね〜。私たちはずっとこうばるに住み続けるので…。」それだけは伝え、その他のいろんな想いは飲み込んでおいた。

なんのためにダムを造りたいのか…。
呆れてしまった。この問題についてどこまで知っているのか?(内容はさっぱり知らない様子だった)

こうばる住民は50年もの間ずっと付きまとうこの問題に悩まされているのに、たった数年辛かっただけで何を言っているのか?
私たちはいつまで続くかわからない闘いを続けているのに…。
こんな町民がまだまだいるのかと思うと、とても寂しい気持ちがした。

ずっと前に書き留めておいていたものです。
誰かに伝えたかったので…。
送ります。

このメールをくださったこうばる住民のXさんの心には、今も婦人の言葉がトゲのように刺さったままです。でも、婦人はそれを知らない。婦人に悪意はなかったので、きっと忘れていることでしょう。

こういうのを「悪意なきイジメ」というのでしょう。
悪意はないけれど、自分の視点のみで物事を考え、その考えを無邪気に口にする。相手の心情など想像することもなく。

今そんな人が増えているような気がします。
これだけ情報が溢れ、容易に入手できるにもかかわらず、客観的な情報など知ろうともせず、不利益を被る人の想いなど「忖度」しようともせず、自分たちにとって有益ならそれでいいと。

そして、悪意なきイジメが増えていくのを、悪意ある人々は利用します。
それを防ぐために、私たちにできることは何でしょう。
やはり事実を真実を、一人でも多くの人に伝えていくしかないのでしょう。

石木ダムが佐世保市民や川棚町民にとって、どれほど大きな不利益をもたらすかということを。