水道局長の尋問、なぜ拒む?

今年はじめての裁判が、1月15日、長崎地裁佐世保支部で開かれました。
石木ダム工事差止訴訟の第9回口頭弁論です。

一般傍聴席25席(全席50のうち、報道席12と特別傍聴席13を除く)に対し、56名が抽選の列に並びました。

定刻に席に着いた裁判長は大きなマスクをしていましたので、いつもよりやや聞き取りにくい場面はありましたが、おおよそは理解できました。

(法廷スケッチ:中島三代治さん)

この日も、原告側が求めている証人尋問を実施するかどうかについてのやりとりが行われましたが、結論はまた出ませんでした。

裁判長:こちらの都合で申し訳ありませんが、7月8月は3人(裁判長・左陪席裁判官・右陪席裁判官)が揃わないので、証人尋問を行うとすればそれ以前かそれ以後になります。
谷本さん(現佐世保市水道局長:谷本薫治氏)は6月は議会があるでしょうから、5月はどうでしょう?

被告(佐世保市)代理人弁護士:議会の予定はこちらではわからない。そもそも、なぜ証人尋問が必要なのか?谷本さんから何を聴きたいのか?数字等が必要なら書面でいいではないか?

原告側代理人(高橋弁護士):谷本さんは現在の水道局長として現在の佐世保の水事情を一番よく把握しておられる方である。我々は平成24年度予測が間違っていると主張したが、今回知りたいのは現状である。現状に照らして24年度の予測はどうだったと思うか?間違っていないと言えるのか?おそらく谷本さんは間違っていなかったとお考えだろう。そして、だから、石木ダムは今でも必要だとおっしゃるだろう。その根拠を我々は確認したいし、それに対して反論したいと思っている。

それに対する佐世保市代理人からの反論はありませんでしたが、その表情は苦虫を噛み潰したよう・・

その後、裁判長は嶋津さん(治水に関する証人:水源連代表の嶋津暉之氏)が佐世保まで来られるのかどうかの可能性を確認したり、原告本人尋問については、人数や時間を制限するかもしれないと告げ、特にこの人の話を聞きたいという要望があるか被告側に確認しましたが、県も佐世保市も「特にない」でした。

また、途中で10分ほどの暫時休憩があり、裁判官と被告側は別室へ。

再開されてからは、次回期日の日程調整があり、3月12日(火)16:00~と決まりました。
ギョ、ギョ!です。

前日の3月11日(月)は、福岡高裁で事業認定取消訴訟控訴審の第2回目の日。
連日の裁判となり、弁護団の先生方はもちろん、地権者の方々も大変だと思います。
また、傍聴に来てくださる皆さんもご苦労様ですが、できる範囲で、よろしくお願いいたします。

4時過ぎに始まった報告集会では、いつものように、


平山弁護士から今日の弁論内容についての説明と、
高橋弁護士からの補足説明があり、


高橋弁護士:谷本さんへの尋問は極めて重要。谷本尋問を抜きにして判決を書くことは許されない。

と、谷本尋問の重要性を強調されました。
その後質疑応答も短時間で終わりましたので、他の弁護士の皆さんからもお一人ずつコメントをいただきました。

緒方弁護士:私は嶋津先生の意見書を担当しています。費用対効果の面で、新たな主張を展開したいと思っています。

毛利弁護士:取消訴訟の一審でも複数の証人を申請しました。利水では、水道局の関係者3人と学者が2人。最終的には治水1人と利水1人だった。今回はそれを踏まえての申請なのでよりハードルが高いが、頑張っていきます。

鍋島弁護士:私は権利関係を担当しています。原告尋問の前に意見書の提出などでまたお世話になると思いますが、よろしくお願いします。

田篭弁護士:私は治水の担当で特に費用便益について取り組んでいます。今日の裁判長の話を聞いて証人尋問はおそらくあると思いました。長崎地裁のときと同じように、多くの方がそれを聴きに来て、応援をしてくださることが重要だと思っているので、その時はよろしくお願いします。

八木弁護士:利水班で生活用水を担当しています。控訴審の方では再評価について注目しています。佐世保市は29年度の再評価を避けてきましたが、34年度には必ずしなければならない。その時どんな結果になるのか、何というのか、学者はどう評価するのか。目の前の裁判については原告尋問の際に、また石木にお邪魔しますのでよろしくお願いします。

魚住弁護士:皆さん、こんばんは。いえ、こんにちは。年末年始ヒマラヤに行っていたので、まだ社会復帰ができていないようで…(会場、爆笑)私は難しいことはできないので、長崎市で情宣活動をやっています。県庁で、少しずつ広がっているようです。よろしくお願いします。

そして、お知らせもありました。

会場から:先日波佐見町で「ほたるの川のまもりびと」の上映会があり、100人もの方々が観に来られました。主催者の坂本さんに拍手をお願いします。(大きな拍手)

事務局から:先月の福岡高裁での1回目の裁判の後、福岡市在住の方からカンパをいただいたり、上映会の企画がもちあがっています。また、3月の2回目の時は、川棚からだけでなく、長崎からもバスを出す予定です。ぜひ多くの方の傍聴をお願いします。

最後に原告団代表の岩下さんからご挨拶。

今日もたくさんの方、お集まりいただき本当にありがとうございました。毎回裁判のたびに出かけてこられるのは大変だと思います。
また、弁護団の皆さんは裁判の時だけでなく、毎日ご苦労されておられます。本当に頭が下がりますが、今後とも石木ダム中止に向けて、よろしくお願いいたします。

今年最初の裁判は、初春に相応しい、なんとなく希望を感じる明るい船出となりました~(‘◇’)ゞ