苫田ダムから学ぶこと

貴重な記事を見つけました。ダムの是非について考えるときに思い出したい記事です。自身への備忘録として、また、多くの人に読んで頂きたい記事として、ここに貼り付けます。

平成の記憶・岡山

苫田ダム 多くの犠牲の上に建つ
反対運動40年、立ち退き504世帯 /岡山

水道局長の証言は必要無し?!

4月22日(月)10時半、私たちは長崎地裁佐世保支部前に集まりました。

11時から始まる進行協議へのアピールです。進行協議は裁判官と原告・被告双方の代理人が今後の進行予定について話し合うもので、私たちは傍聴できません。

それでも、いつもと同じくらいの原告が集まりました。みんなが手に持っているのは・・・

「水道局長!正々堂々と証言を!」と書かれたプラカードです。

私たちは、これまでの裁判を全て傍聴してきました。
佐世保市の主張が書かれた書面や証拠書類も見ました。
事業認定取消訴訟で証言台に立った元水道事業部長の田中英隆氏の発言も聞きました。
しかし、どうしても、何故いま石木ダムが必要なのか?が理解できません。

現水道局長なら、それが語れるはず。
過去の必要性ではなく現時点での必要性です。
佐世保水道の現状を最も把握している水道局長以上に説得力のある説明ができる人はいません。
だからこそ、私たちは、この裁判の原告として、そして佐世保市民として水道局長の話を聴きたいのです。

この私たちの願いを裁判所に伝えたい!

弁護団が裁判所の建物の中に消えた後、私たちは裁判所に向かって、このプラカードを高く掲げアピールしました。
無言でただ掲げました。

さて、結果はどうだったでしょう?

報告集会では、いつものように、まず平山弁護士から経過報告がありました。

こちらが求めたのは、
①嶋津氏と谷本水道局長の証人尋問
②原告6名の本人尋問

これに対して
①嶋津氏については県が反対し、谷本氏については佐世保市が反対
②については特に意見無し

裁判所の考えは
①嶋津氏は採用するが、谷本氏は採用しない
②本人尋問はおこなう

今後の予定としては、
尋問予定日=7月17日(水)
午前~嶋津氏(主尋問+反対尋問=2時間)
午後~原告6人(主尋問+反対尋問=30分×6=3時間)

これで確定ではないが、ほぼ決まりだとのことでした。
この説明に対し、会場からは質問や意見が次々に出されました。

原告:裁判所が谷本水道局長を採用しない理由は何ですか?

弁護団:裁判所は理由は言いません。必要性が無いと判断したとしか言いません。
推測すれば、「谷本氏の証言を聞かなくても、資料は出揃っているので、それを見れば判断できる」と考えているのでしょう。

原告:では、なぜ嶋津さんは採用されたのでしょうか?

弁護団:嶋津さんの場合は軋轢が無いから。谷本さんは佐世保市の職員なので、無理やり呼ぼうとすれば軋轢が生じる。裁判所としてはそこまでしたくない。で、谷本さんを拒否した分、嶋津さんは応じて、バランスをとろうとしたのでしょう

原告:いくら客観的なデータや資料があると言っても、ダムが必要だと言ってる水道局のトップが法廷で生々しい証言をすることが極めて重要だと思う。説明をしようとしない水道局は市民を軽視している。そういう現状を訴え世論喚起していくことが必要だ。

弁護団:たいへん重要な指摘だ。裁判所でなくてもいいんです。水道局長が市民の皆さんの前で、今もダムが必要だと説明することが大事なのだから、集会や勉強会を開いて、そこに出てくるよう呼びかけ続けることが大事です。

原告:私たちはその呼びかけを何度もやってきたが、その度に「今は裁判中だから」という理由で断られている。裁判中は応じない、の一点張りである。この言い訳を突破する方法があれば教えて頂きたい。

弁護団:向こうは出ていったら負けるとわかっているから出てこない。これからも出てこないかもしれないが、諦めたら終わりなんです。言い続けるしかない。去年よりは今年、今年よりは来年、と少しずつ世論を大きくしていくことが大事なんです。

原告:今までの説明を聞いていても、私にはわかりません。
あのグラフ(水需要予測)を見た時にほとんどの人がおかしいと思うのに、なぜ裁判官はおかしいと思わないのか?
前回、「裁判は社会通念が左右する」と言われたが、ここでは社会通念は影響しないのでしょうか?

弁護団:裁判官にも変な考えの人はいっぱいいます。政治家もそう。変な政治家に投票する市民もいっぱいいるでしょ?それと同じ。それを前提に、ではどうすればいいのか、それを考えていかなければならない。地権者の皆さんが、そういう知事を相手に何十年も闘ってこられたように。

他の弁護士からこんな回答も。
「これは私個人の意見ですが、裁判所が谷本さんを採用しないのは、谷本さんが出てくると裁判所が困るからですよ」(会場から笑い声)

最後に地権者の岩下さんからご挨拶。
この裁判が始まってもう10回を超えました。その間、工事は少しずつですが進んでいます。一日も早く工事を止めてほしいというのが私たちの願いです。
今まで「寒い、寒い」と言いながら座り込んでいましたが、最近では「暑い、暑い」と言い始めています。暑くなるとホコリ(土埃)もひどいんです。いろいろ苦労もありますが、これからも頑張っていきますので、皆さんのご支援をよろしくお願いいたします!

次回は、第11回口頭弁論です。
6月4日(火)14:00~
よろしくお願いいたします。

川棚町議選で、地権者トップ当選!

ビッグニュースです!

昨日投開票だった川棚町議会議員選挙で、石木ダム建設予定地の地権者、炭谷猛さんがトップで当選されました。

炭谷さんが訴えたのは、「自然あふれる川棚町に石木ダムは要らない!!」この1点です。

洪水対策ならダム以外にある。ダムができたら川棚町民は汚いダムの水を原水とする水道水を飲まねばならなくなる。川棚の山、川、海を守ろう!石木ダムは造らせない!

スーパーエレナの前で演説していると、前を通る車の中から多くの人が手を振っていかれました。立ち止まって耳を傾ける方もいました。

その後、この選挙カーに同乗して町内を回りましたが、縁側から、また玄関に出てきて手を振る人もたくさんいました。驚いたのは子どもたちの声援です。車を追いかけて走ってくる子たちもいて「危ないから、もう来ないで~」と言いたくなったくらいです。

「この子どもたちに川棚の美しい自然を残しましょう!ダムではなく、この子たちの子育てに税金を使いましょう!」炭谷さんの娘さんの明るい声が子どもたちにも通じているかのようでした。

午後から選挙カーに乗ったのは「こうばる」の若者たちです。僕たちのふるさとをダムの底には沈めない!皆さんの清き1票をお願いします!との思いを訴え続けたことでしょう。

そんな訴えが川棚町民にしっかり届きました。トップ当選!この意味を川棚町も長崎県もしっかり受け止めてほしい!そして、共同事業者である佐世保市も!です。

その佐世保市の選挙結果はどうだったかと言うと…。

まず、市長選挙は予想通り現職の朝長則男さんの圧勝ですが、それでも、告示日直前に手を挙げた田中隆治さんが2割以上も票を集めるとは意外でした。(朝長さん78,3131票 田中さん21,877票)出口調査では、カジノ反対の声が多かったそうなので、そのような政策に対する批判票が田中さんへいったのでしょう。石木ダムに関しては、反対より賛成の方が多かったとのことで、これは残念でした。

さて、私たちがアンケート調査をおこなった市議選の結果はこちらです。

市議選2019当選者

名前欄が黄色の方々が当選者です。やはり現役は強いですね。石木ダム反対を公約に掲げていた2人のうち1人(共産党候補者)は当選ですが、もう1人の方は残念でした。でも、「佐世保の水と石木ダムを考える市民の会」の仲間からも当選者が出たのはたいへん嬉しいことです。今後の活躍に期待しています!

 

 

佐世保市議選立候補者に聞きました!

佐世保市民の皆さん、明後日は市長と市議選の投票日ですね。あなたの1票を託す方は決まっていますか?

あなたは市政に何を期待しますか?
IR?人口減少対策?基地問題?気になることはいろいろありますね。

私たちは石木ダムと佐世保市水道の問題について、各候補者がそれぞれどのような考えを持っているのか知りたいのですが、テレビや新聞等からも情報はほとんど伝わってきません。(市長選に関しては現職の朝長さんは石木ダム絶対推進で、新人の田中さんは今は他にやるべきことがあると言い、その違いは報道されているが、市議選候補者についてはほとんど不明)

そこで、私たち自身の手で、市議選立候補者の皆さんにアンケート調査をさせて頂きましたので、その結果をここに公開します。

1.いつ、どのような方法で行ったのか?
4月3日に、切手を貼った返信用封筒を同封し郵送しました。

2.何人に送ったか?
告示前だったので正確な情報が掴めず、44名中41名に送りました。

3.どのような質問をしたのか?
各候補者へ送ったアンケート用紙はこちらです。
市議立候補者へのアンケート2019-4

4.回答率はどのくらいか?
41名中回答者は9名=回答率22%
(現職の場合、24名中回答したのはわずか4名のみ!)

集計表はこちらです。市議選2019アンケート集計表

・名前の欄が黄色の方が回答された方です。
・番号欄が赤=現職、緑=元職、青=新人です。
・42番~44番の方は情報が得られず送れませんでした。

問題別にまとめてみます。

問1)1972年の予備調査から今日までの石木ダム建設問題の経過と現状について
「よく知っている」と答えたのは、現職1と新人1の2人のみ。

問2)2012年度に佐世保市は、石木ダム事業の再評価を実施しましたが、そこに示された水需要予測は、その後の実績値と大きく乖離しています。いまここで立ち止まり、建設の是非を問うことについて
6人が「立ち止まり議論が必要」と答え、「不必要」と答えた3人は全員現職でした。

問3)石木ダム建設計画により水没予定地とされている川棚町岩屋鄕川原(こうばる)に行ったことがありますか。
ない」と答えたのは元職の1人だけでした。

問4)2017年度、佐世保市では年間353万㎥(山の田ダム6個分)の水道水が漏れていました。佐世保市は漏水対策をしていますが、漏水はなかなか減らず漏水率は毎年11%を超えています。抜本的対策の必要性について
全員が「必要」でした!

問5)ダムや水道管の老朽化が問題になっていますが、老朽化対策について具体的に考えをお持ちですか。
「持っていない」と答えたのは新人の1人だけ。

問6)人口減少時代に突入し、水需要の減少とそれに伴う料金収入の減少は避けられず、水道料金の値上げや民営化などが取り沙汰されています。安全安心な水道を持続させるための具体的な考えをお持ちですか。
「持っていない」は現職も含め3人。

問7)佐世保市は、水源確保のために石木ダムは必要だとして計画を推進してきました。そのための佐世保市民の負担は353億円ですが、これは2007年時点の予算です。その後の人件費や資材の高騰で完成までには相当の増額が予想され、水道事業会計を圧迫するのは必至です。それでも石木ダムは必要だと思われますか。
「思う」「思わない」「わからない」が3:3:3の同数。
「思う」と答えたのは全員現職でした。

問8)水没予定地では既に一部の農地が強制収用されていますが、地元の方々は以前と変わりなくそこで米や野菜を作って暮らし、家屋を強制収用されても住み続けると断言しています。ダム建設を強行するには行政代執行しかありません。13家族の家や暮らしそのものを破壊しても、ダムのためなら仕方無いと思われますか?
「思う」=現職の2人  「思わない」=5人  「迷っている」=2人

※各候補者がどのように答えているかは、集計表で確認してください。

また、質問は全て2択~4択で答えるものでしたが、5人の方が文章を添えておられましたので、ご紹介します。

湊浩二郎さん=代替案を検討すべきと思う。→水は必要なので。(生活の多様化により)

市岡博道さん=2択、3択からの解答方式なので答えに困りましたが、一定解答させていただきました。解答に至るまでいろいろな思いがある事を付言させていただきます。

松尾俊哉さん=必要、不必要の是非は市民、住民が決めることだと考えます。

浦川栄一さん=問5に対して「海軍?石綿管?」、問6に対して「人口増の方策は?」、問7に対して「再評価が必要」、問8に対して「ダムのため?市民のため?13家族?」

武雄智穂さん=アンケートを送っていただき、ありがとうございました。現地にも行って参りました。よろしくお願いいたします。

以上です。
最後に感想を2つだけ記しておきます。

★現職の方と新人の方で傾向が分かれるようです。
現職の方の多くが、水需要予測が現実離れしていても、事業費の負担が大きくても石木ダムは必要で、強制収用もやむを得ないと考え、新人の方の多くは、その逆のようです。
それは何故なのでしょう?

★結果的に32名の方が無回答でした
返信用封筒を同封しただけでなく、郵送した数日後、各候補者の事務所やご自宅に電話を入れ、アンケート用紙が届いたかどうかの確認と10日までの返送依頼を実施しました。留守のところも多かったので何度も電話したりしました。また、知り合いの議員さんを通じて回答を頼んでもらったりもしました。それでもナシの礫の現職候補者が20名もいたことに憤りを覚えます。
しかし、そのような人を選んできたのは私たち佐世保市民です。
私たちの政治に対する無関心と怠慢が招いた結果です。

反省と共に、回答をお寄せいただいた9人の候補者の方のご健闘を祈ります。