工期延長のための再評価

今日は長崎県公共事業評価監視委員会を傍聴してきました。
テーマは石木ダム事業の再評価です。

今回の再評価は通常(5年ごと)のものではなく、「工期延長」がテーマの再評価です。

工期変更の理由は、付替道路工事の遅れで、それが本体工事の遅れに繋がり、令和4年=2022年の完成は難しい、令和7年=2025年に延期したいとのこと。
それ以外の説明、ダムの目的や概要、代替案についての説明は、ほぼ前回と同じでした。

そうなのです。反対意見は出ませんでした。
質問は出たのですが、それに対する答えの後が続きません。

例えば、

Q:100年に1回の降雨量はどのように計算するのですか?
A:過去〇〇年間の資料を基に算出したら、3時間雨量が〇〇mm、24時間雨量が〇〇mmになり…

と結果の説明だけで終わり、それについての再質問はありません。

また、複数の委員が、想定外の雨が降った場合のことを質問しましたが…

Q:100年に1回の雨よりもひどい豪雨が起きた場合大丈夫なのか?
Q:昨年の豪雨で愛媛の肱川ではダムからの放流で大きな被害があった。愛媛のダムと石木ダムはどう違うのか?

それに対する答えは、

A:石木ダムは野村ダムと違ってゲートがついていない。計画以上の雨が降っても、溢れるのは降った雨の量だけ。流入量以上の水は流さないので大丈夫。
A:また、ダムから溢れそうな場合は、分かった時点ですぐ町に連絡し、サイレンその他で周知するので、避難の時間が確保でき、被害が軽減できる。

など楽観的なお話ばかり。

しかし、それらの回答に反論するには、やはりダムの構造や防災に詳しい方でないと難しいでしょう。弁護士さんや保育士さん、環境化学の専門家の方々では・・・。

委員の中には経済の専門家もいて、費用対効果について、こんな質問がありました。

Q:「流水の正常な機能の維持に対する便益」とは?どうやって算出するのか?

(お!いいところ突いてくださった!と思ったのですが)

A:国が出しているマニュアルに沿って算出している。そこには、これまでに「流水の正常な機能の維持」のために投資した金額を便益として出すように書かれているから、それに従って計算した。

との答えを聞いて、それで終わってしまいました。
その投資について、いつ、どんなことをしたのか知りたいとは思われなかったのでしょうか・・・

そんなこんなで、わずか1時間半ほどで審議終了。
対応方針は原案通り「事業継続」となりました。
あ~あ。出るのはため息ばかり・・・ではありません!

1つだけ、嬉しい、重要なやり取りがありました!

委員長:利水についての再評価は、事業主体の佐世保市でやるんですよね?いつ頃予定されているんですか?

河川課:いつ頃されるか我々の方では把握していません。

委員長:やることはやるんですよね?

河川課:当然、適切に、今後実施されると思います。

さあ、いよいよ舞台は佐世保市に移ります。佐世保市は前回(2015年)の工期延長の際、あれこれ言い訳を並べて再評価を拒み、実施しませんでした。今回はもうその手は使えません。

今度こそ、正々堂々と再評価を行ってください。私たち市民の前で。