土木部長に「帰れ!」コール

11月7日、いつもの座り込みの現場に、岩見洋一土木部長が現れました。

何をしに来たのかな?例の追い風発言の謝罪に来たのかな?と思っていたら、

これから寒くなりますからね。体に気を付けてくださいね」と笑顔で語り掛け、

それなら工事を止めてください!」と地権者の皆さんは即答。

誰のせいで、暑さ寒さを我慢して日々の用事も後回しにして座り込みを続けているのか!
帰れ!コールも怒りの声もモノともせず、約25分間を要して部長さんが伝えようとしたことは、
・知事からの手紙を見て頂けたか?
・話し合いに応じてください。
この2点だったようです。

相変わらず地権者の胸の内などお構いなく、自分たちの計画に沿って前に進めることだけしか考えていないやり方ですね。

何を言われても耐えて笑顔で応じていれば、いつかは理解してもらえるだろう、応じてもらえるだろう、と本気で考えているのでしょうか?

なぜ、住民の皆さんが、これほど怒っているのか。知事や土木部長、河川課長は、そこをまず、理解しようとすべきです。

そもそもは9月19日、全ての土地の所有権が奪われるその日、こうばる住民の皆さんは県庁まで出かけ、中村知事と面会し、直接、思いのたけを訴えました。

92歳のMさんは「この年になってどこに出て行けと言われるのですか。私は殺されてもよか。ここに住み続けます」と言い、 小学生のSちゃんは「川原にダムをつくらないで下さい。私は川原が大好きです」と泣きじゃくり、30代のJさんは「私は家族とコミュニティを守る!絶対に手を触れさせない」と決意を語りました。

そんな面談を終えてすぐの記者会見で、中村知事は、「事業を進めていく必要があると改めて感じた」と述べたのです。

この言葉には私たちも言葉を失うくらい唖然としましたが、地権者の皆さんの落胆と失望は計り知れないほど大きく、それが時と共に大きな怒りへと変わっていったのです。

その上、追い打ちをかけるように、知事は地権者へ手紙を送り、「県民の安全・安心のため、事業へのご協力をお願いしたいと考えております」として面会希望を伝えてきたのです。そのようなお願いを聞くために、住民の方がどうして会う気になれるでしょう。

そして、10月30日、河川課長は石木ダム推進派議員との非公開の会合の中で、「災害は我々にとって追い風」と発言したのです。6団体の抗議を受け、発言を撤回しましたが、謝罪はなかったそうです。

テレビ朝日の報道によると、
長崎県河川課浦瀬俊郎課長は「その場で思い付きというか、出た言葉で、ついつい出た」と述べ、県土木部は「発言が住民との協議に直接的な影響はない。逆に接点ができたことは良かった
と言っていたようです。https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000168499.html

「ついつい出た」という弁に、やはり誤解ではなく本音だったんだなと感じましたが、失言を反省し謝るどころか、それを「話し合い」するためのきっかけ作りに利用しようという発想には呆れます。
そして、その実現のために、さっそく土木部長がやって来たというわけか…

土木部長と住民の方々のやり取りを、かいつまんで紹介すると、

部長:前回は皆さんからのお話を伺いました。今度はこちらの話も聞いて頂けないでしょうか?

住民:聞いた?何を?面会が終わってすぐ1時間後には「ダム事業を進める」と言ったではないか。それで聞いたと言えるのか?何を聞いたのか?これ以上何を話すと言うのか?

部長: 皆さんの生活のこと、将来のことなども・・

住民; このままでいい!俺たちの生活を破壊しているのは、そっちだ。

部長: 皆さんにはご迷惑をおかけしてますが、この事業は多くの人が必要としています。多くの人が助かるんです。

住民:多くの人って誰?誰が困っているのか?

部長:佐世保の人は水不足で困っています。

佐世保市民:私たちは全然困ってませんよ!水は足りています。漏水の方が心配です。

部長:川棚川下流域の人も洪水被害で困っています。

住民:どんな被害があったと言うのか?河川改修が先ではないか。かつて浸水した地域に県は家を建てさせたじゃないか。被害が出るのを待っているのか?「災害は追い風」という考えだから。

部長:あれは誤解を与える表現だったので撤回しましたが、被害を防ぐために皆で考えていかないと…

住民:ダムを造ったら水害が無くなるのか?

部長:計画規模(の雨量や流量)までは無くなります。それ以上の場合は被害が軽減されます。

住民:最近の災害ではダムがあったために死者が出たりしてるではないか。石木ダムを造って死者が出たらどうする?あんた、責任とれるのか?

部長:出ないように知恵を出し合い、最善を尽くします。

こんなやりとりが続き、途切れたところで聞いてみました。

そんなに話し合いをやりたいのであれば、公開討論会を開いてくださいよ。こういうやりとりを、専門家も交えて、公開の場で。県民の多くがそれを望んでいますよ。

部長:いえ。私たちは住民の皆さんとだけ話し合いたいのです。

ふーん。石木ダム建設事業費を負担する佐世保市民や県民国民は蚊帳の外ってわけですか~

部長は再び笑顔で、
これから寒くなりますから、皆さん、体を大切に。
今日は皆さんに会えてよかった。
また会いましょう!

と言い、やっと帰っていきました。