身ぐるみ剥がされ、護るもの無い


10月16日午後、こうばる公民館で会議をしていた私たちは住民の方からの通報に、気もそぞろになってしまった。座り込みの現場に重機が入っているとのこと。

会議が終わると同時に皆、現場に向かった。
いつもの場所に土砂が運び込まれ、重機で平らに均していた。

皆、写真を撮ったり、抗議したり…

この時の様子を朝日新聞の記者が詳しく伝えている。

県の職員は言う。
ここは県が管理する工事現場であり、あなた達の土地ではない。
勝手に入ってきて、工事を止める資格は無いと。

しかし、この工事は石木ダムのための付け替え道路の工事だ。
この工事を終えると本体工事に入る。
ダムができれば、こうばる住民はふるさとを追われる。
それが分かっていて見過ごせるわけがない。

まず工事を中断して、話し合いをしてほしいと、住民は訴え続けている。
石木ダムが必要なダムかどうか、根本的な話し合いをしようと言い続けている。
それには耳を貸さず、とにかく工事を進めたい。
だからどいてくれ、邪魔しないでくれ、というのは、あまりにも一方的ではないか。

「土地・家屋の所有権を奪われ、身ぐるみはがされた住民には、護るものも何一つない」そう語ったIさんは、


一人離れた場所から、工事を見つめ続けていた。

その全身から憤りが伝わってくるようだった。

議論を尽くせ

10月15日、長崎新聞は「論説」で石木ダムに関し、県に釘を刺した。

司法の判断を盾に取り、住民を生活の地から追い出すようなことがあってはならない」と。

最高裁が住民の上告を棄却したからといって、強権的な手法を用いてはならない。かつての強制測量のような失政を繰り返すな、と忠告している。

そして、最後に、「開かれた場で反対住民らと向き合い、説明と議論を尽くすことが重要だ」と助言する。

全くその通りです。これはダム賛成反対にかかわらず、多くの県民が賛同するでしょう。

他にもメディア関係者の方からも、「今こそ議論を!」との声が上がっています。

「本当にダムしかないのか。豪雨災害が頻発する今だからこそ、冷静・科学的な議論が求められている

こうばる住民の方も、県民も、メディア関係者も皆それを望んでいます。

知事、佐世保市長、もう逃げずに、きちんと向かい合ってくださいませんか?