社会科見学その後

3日夜遅く、「社会科見学で感じたこと」というタイトルでブログ記事を発信しました。

それは、社会科見学で川原(こうばる)地区を訪れた長崎市立Y小学校のN先生のお話と、子どもたちの感想文を6つほど紹介したものでした。

その感想文は11月28日(土)、N先生の方から持参され、「名前を伏せての公開なら大丈夫です」と言って手渡されました。
自然観察と平和や人権について考える社会科見学をこうばるで実施された同校の試みを、私はたいへん素晴らしいと思っていたし、子どもたちの感想にも興味があったたので、とても有難いと思いました。

きっとここには子どもたちの学びの証が綴られていて、それはN先生にとって誇らしい内容で、多くの人に伝えたいとのお気持ちからではないか・・と想像しました。

読んでみると、子どもたちは予想以上に様々なことを「こうばる」で学んでいました。
そこで、各クラスから2つずつ選び、合計6人の感想文をスキャンして名前は伏せてブログにアップしたのですが・・・

翌日の午後、校長先生からお電話があり、そのブログ記事のページを「閉じて欲しい」と言われました。理由は個人情報だからと。名前を出していなくても、子どもが了解していても、親の了解が取れていないからダメだとのこと。

子どもが学校で書いた作文に親の許可がいるのか内心疑問に思いつつ、「わかりました。いったん閉じます。6人の親御さんに確認して頂いて、了解頂ける方がおられたら、その方のお子さんの作文だけを載せて、あらためて公開させてください」とお願いしましたが、校長先生の了承はいただけませんでした。

何がそんなに問題なのか理解できませんでした。
後で他の方から聞いた話では、この日、校長会があったとか・・
他校の校長から何か言われたのでしょうか?
それとも教育委員会や行政から、何かお達しがあったのでしょうか?

いずれにしても、せっかく素晴らしい社会科見学を体験した子どもたちの感想文を読んだ者として、その欠片くらいはお伝えしたいので、個人情報や著作権に触れないよう、65人の感想文の中から印象に残った文章を拾い集めてみました。

自然観察はメチャメチャ楽しかったようです。
バッタやカマキリなどこうばるの虫たちとの触れ合いは新鮮で驚きがいっぱいあって、「バッタのお尻がとても硬かった」とか、「一番嬉しかったのはカマキリに触れたこと」「カマキリがカマで目をこするのがかわいかった」など、ドキドキワクワク感がとても伝わってきました。

戦争遺構については、「防空壕は真っ暗で、長くて、怖かった」とか「それを当時の人は機械ではなく手で掘っていた」「それも日本人ではなく朝鮮の人が掘ったそうだ」とか・・・先生やこうばるのおじさんの説明に、真剣に耳を傾ける姿が目に浮かびました。
中には、「遺跡の壁はいま工事で少しずつ埋められていて、歴史がもみ消されていくようでこわかった」など、歴史の重みをしっかりと感じ取っている子もいて、驚きました。

そして、人権と公共事業という難しい課題には、さらに真剣な眼差しが向けられていました。

私は最初、石木ダムの話を知ったとき、洪水を防げるのに何で土地を明け渡さないのだろうと不思議に思いました」「県の意見は県民の安全ですが、反対派は自分たちの幸せです。どちらも大切ですが、反対派の方々が幸せな生活を送れるようになる日がくるといいです

自分達の住んでいる所を守りたいという熱い思いが伝わってきました」「こうばる地区は自然がとても豊かで、すごくいい場所だなぁと思いました。夏は自由に泳げると聞いたので、来年時間があれば遊びに行きたいです!!

自然環境を守るために闘い続けるということが一番心に残りました

自分の生まれ育った土地をダムなんかに水でうめるのはだれでもいやです」「県の人の気持ちもわかりますが、強引にやることはないです

もっと、住民と県や佐世保市の話し合いの場を広げて、お互いの意見をきちんときいてから、もう一度、県や佐世保市に、ほかの方法はないのか考えてほしいです

なんでそこまでしてダムをつくらなきゃいけないのか、なんでそんなにダムをつくるのが今なのか、知りたいと思いました」「今まで知らなかった長崎の問題を知れて、よかったと思い・・・

耳をすましてみると、何かを壊されているような音がしました。ダムをつくるために、何かを壊されているのかなと思い、こわかったです

こうばるの人たちはとてもやさしかったりおもしろかったりしたので、いつかぼくもこうばるに住んでみたいです

などなどでした。
こうばるの人=ダム反対派=の話だけを聴かせて、偏向教育ではないか?との誤解が生じないよう、裏話も伝えておきましょう。

N先生のお話では、偏った考えにならないよう、事前に長崎県や佐世保市の説明も子どもたちに聞かせたいと思い、両者にお願いをしたそうですが、佐世保市水道局からは即答で断られ、県河川課は検討した結果「訴訟中の案件なので、子どもたちから質問が出ても答えられないから」との理由で、やはり断られたそうです。

子どもたちと裁判に何の関係があるのでしょう?
なぜ子どもたちの質問に答えられないのでしょう?
広報紙やTVの県政チャンネルでは石木ダムの必要性をしっかり説いているのに・・・

不思議です。(^^;