新聞報道で佐世保市議会での朝長市長の発言を知って驚いた。
なんと、「コロナ対策のために水需要が高まる=石木ダムの必要性、緊急性がますます高まっている」という趣旨の発言だったようだ。
それを聞いて「なるほどそうかも・・」と思った議員も多いかもしれない。
市民は尚更だろう。
確かに以前より手洗いをよくするようになったからと。
しかし、よく考えてほしい。
手洗いで増えた水の量がどのくらいになるか?と。
一方、コロナにより営業自粛や営業時間の短縮で飲食店の水使用量は、どのくらい減っただろうか?
ホテルや旅館も同じ。そして、客数減少により、シーツやタオル等の洗濯物も減り、クリーニング業界の水の使用量も減少しているはず。
また、休校期間中は、学校で使われる水も給食センターで使用する水も皆無だったはず。
つまり、コロナの影響で水使用が増えた場面もあれば、減った場面もある。
プラスマイナスでどうだったか?それが大事。
その結果、水需要が大きく伸びているならば、市長の発言も、賛成はできないが理解はできる。
しかし、事実は逆だ。
全国に緊急事態宣言が出された昨年4月~今年2月まで11ヶ月間の、佐世保地区の給水量を見てみると、
前年同月と比較して増えていたのは4ヶ月で、残り7ヶ月は減少していた。
給水量のトータルでみても、前年よりも1.7%のマイナスとなっていた。
朝長市長の発言は、事実や科学的根拠に基づかない「思い込み」もしくは「希望」であって(あるいは市民を騙す確信犯と見る向きもあるだろう)、「石木ダムの必要性はますます減少している」のが現実である。
顧みれば、石木ダムの利水目的はコロコロ変わってきた。
針尾島に計画されていた工業団地のために新たな水源が必要
↓
大渇水を経験して、渇水に備えて新たな水源が必要
↓
佐世保市は慢性的な水不足で余裕ある水源が必要
↓
老朽化したダムの補修改修のために代替ダムが必要
↓
感染症(コロナ)対策に伴う水需要の増加に備えて必要
こんなにも目的を変える、あるいは追加しなければならないようなダムは、必要ではないことの証ではないだろうか。
石木ダムの目的は、石木ダムを造ること、ただそれだけに見えてしまう。
そんな意味のない公共事業は一日も早く止めるべきだ。
そして、目の前の、コロナ禍で苦しんでいる市民を救済することにこそ、貴重な税金を使ってほしい!