石木ダム工事差し止め訴訟 最高裁、上告棄却

石木ダムの工事差し止めを求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(三浦守裁判長)は9月16日、住民や私たちの上告を退ける決定を下しました。

2022.9.20 NCC長崎文化放送 https://news.yahoo.co.jp/articles/72a04a414445c1f2f4b5f7cba31db95bcafc4ad0

2022.9.20 NBC長崎放送 https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/158681?display=1

2022.9.21長崎新聞
https://nordot.app/945121908775501824

 

2022.9.16 最高裁決定書

主文
1 本件上告を棄却する。
2 本件を上告審として受理しない。
3 上告費用及び申立費用は上告人兼申立人の負担とする。

上告審として受理しない。まさに門前払いの決定です。たいへん残念ですが、驚きはありません。2年前にも経験済みなので。

いわゆる最高裁の「三行決定」と言われるものです。

ウィキペディア(Wikipedia)によると、

三行決定(さんぎょうけってい、みくだりけってい)とは、最高裁判所が毎年大量に出す例文棄却決定のこと。主文部分が3行の定型文なのでこの別名がある。・・・最高裁判所裁判官の定員はわずか15名と極端に少ないため、上告に必要な要件は著しく限定されており、最高裁判所は一部の例外を除き上告事件のほとんどを「上告理由に当たらない」と見なして、三行決定という略式書面の形で棄却するものである。ということです。

憲法で保障された基本的人権が侵されていると訴えても、取り合ってもらえない、それがこの国の現実のようです。イジメを受けた生徒が先生に助けを求めても、イジメた生徒が「イジメではない。冗談を言っただけ、ふざけていただけ」と言えば、それで済まされてしまう。そんな現実とどこか似ています。

生活に困窮してオレオレ詐欺などをやってしまった犯罪者は当然罰せられますが、宗教法人だからということで法外な献金を巻き上げていても、それは見逃されてきました。そんな現実とも似ています。

しかし、こうばるの皆さんも私たちも気落ちしてはいません。この不条理に対する怒りはありますが、その怒りを今後の運動の糧にしたいと思っています。

現地では今まで通り元気に抗議行動を続けています。私たちも今まで通り、石木ダムがどんなに必要性のないダムであるかという事実を、一人でも多くの県民の皆さんに伝えていきたいと思っています。

石木ダムは県と佐世保市の事業です。石木ダムの是非を決めるのは裁判所ではありません。私たち県民・市民です。

大石賢吾知事は「長崎県の主張が認められた。早期完成に向けて尽力したい」と述べながらも、「これ(上告棄却)で何かが変わるわけではない。(住民との)話し合いを最優先に継続したい」と話していました。

最高裁のお墨付きを得たからと対話を閉ざすのではなく、今後も話し合いを重ねていくという大石知事の姿勢は立派です。それが建前ではなく、本音であってほしい。ダムありきではなく、まずは住民の考えや想いをしっかり聴いて理解したい、その気持ちがなければ、真の対話にはいたらないでしょう。

こうばるの皆さんは、その機会を50年間も奪われたままだったのですから。

 

 

(取材考記)外れた需要予測

(取材考記)外れた需要予測 利水ダム、治水活用柔軟に 

(朝日新聞2022年9月15日 16時30分) https://digital.asahi.com/articles/DA3S15417453.html?pn=2&unlock=1#continuehere

放流する温井(ぬくい)ダム。2002年の運用開始後、事業に参加した広島市は一度も水を使っていない=01年、広島県安芸太田町 

水道水などに使う利水目的のダム開発をめぐり、国の事業に自治体が参加したものの、一度も水を利用していないケースがあると聞き、取材した。

大半の自治体は「人口が増えると想定していた。予定通りではないが、渇水などの時に備えている」と説明した。ただ、何人かの担当者からは「何か良いアイデアはないですかね」とも聞かれた。

昨秋の時点で、ダム事業に参加した広島市など11の水道事業者が、10年以上水を使っていなかった。建設費の負担は計576億円、維持管理費は毎年計2億円かかる。小さな自治体にとってはそれなりの金額だ。

ダムが着工されたのは1970~80年代。当時は日本経済は拡大し続けると思われていた。各自治体も企業進出などで工場ができ、雇用も増え、水が必要になると見込んでいたという。だが90年代にバブル経済が崩壊すると、日本経済は曲がり角にさしかかる。少子化が進み、2011年からは人口減少が続く。

水の使用量が増えなくても、ダム事業は複数の関係者で進めてきただけに、勝手に撤退はできない。その結果、「予備の水源」ということになったようだ。

会計検査院OBの星野昌季弁護士は「10年くらい経過して実績が見込めないならば、見直しに着手するのは当然。(契約内容は社会的事情の変化に応じて変更されるという)事情変更の原則にしたがって、国に維持管理費の減免などの協議を求めるべきだ」と話す。

一方、豪雨などの際に水をためて洪水を防ぐ治水用のダムは、近年の水害の増加によって、容量に余裕がなくなってきている。

これを受け、国は19年に利水用のダムの容量を、治水用にも活用する方針を決めた。全国に稼働中のダムは約1500基あり、容量は計180億立方メートル。うち治水用の容量が54億立方メートルなのに対し、利水用は125億立方メートル。大雨が予想される際、利水用にためていた水を事前に放流すれば、空いた容量を洪水調整に使える。

ただ、多くの利水用のダムでは事前放流できる吐き出し口がなく、改良が必要だ。事前放流したあと水がたまらなかったら渇水に陥るという懸念もある。取り組みはこれからだ。

公共事業はよく「走り出したら止まらない」と言われるが、人口減少社会では当初の想定通りにならないケースが増えてくる。決まった使い方をせずに柔軟性をもたせることが、新しい公共事業の姿だと考える。

(西部報道センター)

座小田英史(ざこだ・えいじ) 他の全国紙をへて、2005年に朝日新聞に入社。経済部や特別報道部などで、財務省や国土交通省などを担当。安倍政権下で配布された布マスクをめぐる問題など、税の無駄遣いに関する取材を続けている。

知事と住民 石木ダムの必要性について2回目の話し合い

9月7日、大石知事と川原住民による2回目の話し合いが行われました。その記事やニュースをお伝えします。

 

石木ダム 必要性で平行線 大石知事4度目の面会 住民側、利水の議論提案

(長崎新聞2022/09/08)https://nordot.app/940421464862310400?c=39546741839462401

知事(右奥)にダム建設への不満を訴える住民=川棚町東部地区コミュニティーセンター

大石賢吾知事は7日、長崎県と佐世保市が石木ダム建設を計画している東彼川棚町を訪れ、水没予定地で暮らす反対住民約20人と意見を交わした。「ダムは必要」とする大石知事と、「必要ない」と主張する住民側の意見は、約2時間半にわたって平行線をたどった。
両者の面会は、初めて対面で話し合った8月10日以来4度目。前回、住民側から出された治水、利水両面での質問に対し、大石知事らが県の主張を繰り返したが、住民側は「ダムありきの回答だ」と反発。知事が県民の安全を守る行政の責務として「ダムは必要だと考えている」と答えると、岩下和雄さん(75)は「本当に必要か、これから話し合うんじゃないのか。最初から必要と言うのなら、すぐにでも行政代執行すればいい」と突き放した。
若い男性参加者は、これまでの強制測量や強制収用を挙げ、知事に「県の解決手法は何十年にわたって強権的で、問題を長引かせてきた。今までと同じような手法では全く解決しない。それを踏まえてこの問題と向き合ってもらいたい」と注文をつけた。
住民側は、資材価格の高騰などで当初の予定から建設費が膨らみ、ダムの目的の一つである佐世保市の水道料金も上がるはずだと主張。次回は利水について議論するよう提案した。
終了後、石丸勇さん(73)は「知事は何も勉強せずに必要と言っている。パフォーマンスとしか思えない」とばっさり。知事は「皆さんの心にひっかかっているものを丁寧に解いて、必要性についての疑問に明確に答えていきたい」と述べた。

 

 石木ダム建設巡り話し合い 住民と知事、またも平行線 

(毎日新聞 2022/9/9) https://mainichi.jp/articles/20220909/ddl/k42/040/387000c

県が川棚町に建設を進める石木ダムを巡り、大石賢吾知事とダム建設に反対する水没予定地に暮らす13世帯の住民の話し合いが7日夜、同町東部地区コミュニティーセンターであった。

治水、利水両面からダムは必要とする基本姿勢を示す大石知事に対し、住民はダム建設を前提とした話し合いに意味はないと反発。やり取りは平行線をたどったが、今後も話し合いの場を持つことでは一致した。

8月10日に面会した際に出た住民の意見、疑問に答えるために開き、約20人が参加した。

県と住民が交わした覚書を守らずに工事を進めている▽ダム検証の審議の場で住民の意見を聞かない――などの住民の意見に対し、大石知事は「(ダム建設に理解を得た水没予定地住民の)8割の方々の思いを受け止める必要がある」「審議の構成は関係自治体である県、佐世保市、川棚町、波佐見町の4者が対象」と回答した。

また「渇水、洪水から県民の安全、安心を確保するのが行政の務め。工事中断はできない」としたことから住民は反発。「ダムありきの回答ばかり」と批判が噴出した。

面会後、大石知事は「住民の心にひっかかっているものをひもときたいが、どこまで解消できるかは難しい」と語った。【綿貫洋】

 

石木ダム 大石知事と反対住民が意見交換

(長崎文化放送2022年09月08日) https://www.ncctv.co.jp/news/105825.html

(映像)

長崎県と佐世保市が東彼・川棚町に計画する石木ダムの建設をめぐり大石知事は7日夜、ダムの水没予定地で暮らす「反対住民」と対面で2度目の話し合いをしました。

大石知事と「反対住民」の面会は3月以降4回目で、対面での話し合いは8月10日以来2度目です。

今回は、前回の話し合いで住民側から出た意見や質問に知事が回答する形で行われましたが、住民側は知事の「ダムありき」の姿勢に反発しました。

反対住民からは「50年以上反対しているんだから我々は引き下がれない」「私たちの意見を聞いて心が動いたらもしかしたらダムを中止にするかもしれませんとか一言くらい言ったらどうですか」「実現可能な解決策があると思うんです。そこを知事の判断で今後この問題を解決に向けて進めてもらいたい」などの意見が出ました。

大石知事は「しっかりダムの必要性について納得なのか、しょうがないかと思っていただけるのか、ぜひ必要だと思っていただけるのか、ダムを完成させるということについてご理解を頂けるのがやはり最後の着地点」と話しました。

知事は「反対住民」との話し合いは継続したいとしています。

 

石木ダム 大石 知事と地元住民2度目の意見交換

(テレビ長崎2022年9月8日 午後0:05)https://www.fnn.jp/articles/-/414345

長崎県川棚町の石木ダム建設をめぐり、大石 知事は7日夜、2度目となる反対住民との意見交換にのぞみました。

7日、川棚町で開かれた石木ダムをめぐる意見交換です。

「ダムの必要性」を前面に出す大石 知事に、出席した地元住民約20人が強く反発しました。

ダム予定地の住民 岩下 和雄 さん 「(行政)代執行も、ダムの必要性もあるとなると話し合いをする必要がなくなる」

住民側は川棚川の改修工事の「治水効果」やダム予算が大幅に膨れ上がる恐れなどを質した一方、根拠が明確ではない過去の説明資料を示しました。

行政への不信感は根強く、知事に「行政代執行」か「話し合いの継続」か選択を迫る場面もありました。

大石 賢吾 知事 「ダムを完成させることを理解してもらうことが最後の着地点だと思う」

大石 知事は話し合いによる解決を目指していますが、住民側との意見の対立は決定的です。

映像)

 

石木ダムをめぐり 大石知事と反対住民が面会

(NHK長崎放送局2022年9月8日)https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20220908/5030015930.html?fbclid=IwAR2o8UCg1eEyCgGB4SP6viEta1zaCIL8h05x3yvOqMRspPBwad0sdCDQrZs

川棚町で建設が進む石木ダムをめぐって、長崎県の大石知事と建設に反対する地元住民が7日、面会しました。

川棚町で建設が進む石木ダムをめぐっては、県は、建設に必要なすべての用地の収用を終え、家屋の撤去などを伴う行政代執行の手続きに入れるようになった一方、地元住民などによる反対運動が続いています。

こうした中、7日、町内のコミュニティセンターで長崎県の大石知事とダム建設に反対する地元住民が4度目の面会を行いました。

はじめに大石知事は、先月の面会の際に住民側から寄せられたダム建設の経緯や、住民に対してのこれまでの県の対応などに関する意見に回答し、この中では石木ダムの必要性や、県としてダムの早期完成を目指す考えを改めて説明しました。

一方、住民側からは再び利水や治水の面からダムの必要性に対して疑問の声が上がったほか「最初から『ダムが必要だ』というのなら話し合いをする必要はないのではないか」とか「話し合いを続けていきたいのなら、知事が第三者の立場にならないといけない」などの意見が相次ぎました。

これに対して大石知事は「話し合いは継続させてもらいたいが、いただいた意見をしっかり踏まえてどういった形で話し合いができるか相談させてほしい」と述べ、今後も住民との面会を継続していく考えを示しました。

(映像)

 

石木ダム建設で話し合い 反対住民から知事に厳しい声

(NIB長崎国際テレビニュース2022/9/8(木)12:14) https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/nib/region/nib-news106id8jl0q5xlyir3sg-html

川棚町で進められる石木ダム建設について大石知事と反対住民との2回目の話し合いが7日行われた。
話し合いでは、先月の1回目で出た反対住民からの意見や質問に大石知事が回答。これに対し、住民側は「知事の回答は建設を前提としている」と反発し、「ダムの必要性を議論しないのであれば、話し合いは続けられない」という厳しい声が上がった。

大石知事は「行政の立場として必要ということを言っている何とか話し合いを継続していきながら形を作っていくことがまずは必要」と説明した。

話し合いは今後も続く見込みで、住民側は、次回は利水について議論するよう提案している。

 

石木ダムは必要?市民団体が公開討論会を求め申し入れ

(テレビ長崎2022年9月7日 水曜 午後6:27)  https://www.fnn.jp/articles/-/414145

(映像)

長崎県と佐世保市が建設を進める東彼・川棚町の石木ダムについて、建設に反対する市民団体が、ダムの必要性を問う公開討論会の開催などを大石 知事に申し入れました。

申し入れしたのは、石木ダムの建設に反対する住民の支援や、石木川周辺の環境保全などに取り組む市民団体です。

県と佐世保市が進める東彼・川棚町の石木ダムは、川棚川の洪水対策や佐世保市の水源確保などを目的としています。

大石 知事は8月、建設に反対する住民と面会し意見を交わしていますが、ダムの早期完成を目指す方針は変わっていません。

一方、市民団体は2021年と2020年、長崎市内でのべ千人あまりにアンケート調査を行っていて、その結果9割以上の人が「ダムは不要」と答えたということです。

市民団体は7日、大石 知事と県民などが改めてダムの必要性について意見を交わす場を設けることなどを求めました。

石木川の清流とホタルを守る市民の会 西中 須盈 代表世話人 「人口も減って水の需要もずっと減っている。そういうことを考えると、どうしても納得いかない。なぜここまで強引に県が進めるのか」

大石 知事は、これまでに建設反対の住民からも公開討論会開催の提案を受けていますが、実施については明言を避けています。

知事は、7日夜も川棚町で住民と面会する予定です。

ここがおかしい!広報させぼ「渇水の歴史と石木ダム」

8月のさせぼ市政だより『キラっ都させぼ』で朝長市長は、今まで以上に石木ダムの必要性を熱く語っていました。https://www.youtube.com/watch?v=s0RshY10Dts

「佐世保水道の歴史は渇水との闘いの歴史!」「2年に1度は渇水の危機が訪れている」「予定通り石木ダムができていれば、平成6年の大渇水以外は全て回避できた」と。

また、『広報させぼ』9月号は「水を大切にする日2022」の特集記事を掲載しましたが、その中身は、過去の大渇水と石木ダムの重要性を強くアピールするものでした。https://www.city.sasebo.lg.jp/soumu/hishok/kohosasebo/documents/2022090205.pdf

さらに広報させぼ動画版『みてみゅー』で、その渇水について3人の方の苦労話を紹介するという念の入れようです。https://www.city.sasebo.lg.jp/soumu/hishok/koho_r0409.html

さすが!行政のやることはすごい!全世帯に配布する広報紙と、テレビやネットを使えば、ほとんどの市民に情報伝達できますね。(その費用は私たち佐世保市民の税金ですが)

写真を多用し、とても見やすく分かりやすい構成になっているので、「ふーん、そうなんだ~」「そういうことなら、やはり石木ダムは必要だねー」とつい納得してしまう市民も多いかもしれません。

でも、よくよく見れば、疑問点や問題点が満載の記事です。どこがおかしいのか、一緒に考えていきましょう!

疑問その1.「2年に1度 渇水危機に直面」ってホント?

「延長となった46年間で既に20回渇水危機に直面」しているとありますが、その20回のほとんどは節水広報等の実施であり、実際の給水制限に至ったのは3回だけ。しかも、その3回の中で時間給水(断水)に至ったのは1回だけ。他の2回は、市民の多くが気づかなかった程度の減圧給水で、市民生活にほとんど支障はありませんでした。つまり、時間給水をしなければならないほどの深刻な渇水は46年間にたった1回だけだったのです。

ちなみに、平成30年の場合は、市内のダムの平均貯水率が79.3%になった時点で、水道局内に渇水対策本部を設置したと記者発表。この記事の「佐世保に渇水対策本部 市水道局、節水呼びかけ」という見出しだけを読んだ人は「また渇水か・・」と不安に思ったでしょうが、きちんと本文を読んだ人は「79%で渇水対策本部?!ちょっと大げさじゃない?」と驚いていました。実際その2日後にまとまった雨が降り、貯水率が一気に回復し、杞憂だったね~と語り合った記憶があります。

 

疑問その2.有収水量の推計値は横ばいなのに、なぜ新たに4万㌧もの水源が必要なの?

Point1のグラフを見ると、各用途別の有収水量の推計値は全て横ばいで、合計の有収水量も横ばいです。20年後も水の使用量は増えないということであれば、石木ダムを造って新たに4万㌧もの水を確保する必要性がわかりません。

20年後に4万㌧不足しているのであれば、今も4万㌧不足しているはずで、近隣市町から水を融通してもらっているのかな?いえいえ、そんなことはありません。いま佐世保市が保有している水源で賄っています。

推計値を出す前に押さえておかなければならない大切なことは、過去の実績です。


実は佐世保の有収水量は過去20年間に14%も減っています。

水需要の減少は日本全国共通の事実です。

国の予測では、50年間に40%も減少するようです。

理由は人口減少と節水機器の普及です。佐世保だけが横ばいというのは、ほぼ有り得ない予測なのです。

 

疑問その3.本当に水源確保の方法は石木ダムしかないの?
Point2で「水源確保の方法は石木ダムしか残っていない」と書かれていますが、果たしてそうでしょうか?

前述したように、通常は今の水源で足りています。しかし、渇水に備える努力は大切です。雨水や再生水の利活用に努めている自治体もたくさんあります。雨水貯留施設を造ったり、雨水タンクの購入に助成金を出したり、再生水をトイレに流す中水道を整備したり・・

そのような対策こそ「水を大切にする」ことであり、世界中で取り組んでいるSDG’sの理念に沿った対策です。佐世保もぜひ実施してほしいものです。

また、いざ渇水となった時に備える対策としては、佐々川からの水利権を取得していれば安心です。あの大渇水のときでも佐々川から一日約1万㌧の水を取水していました。現在は渇水時に5,000tの水を菰田ダムに補水していますが、これを1万㌧にしておけば安心です。

水利権を管理する長崎県は「佐々川には余分な流量はないので新たな水利権は与えられない」と言っていますが、そんなはずはありません。佐々川には農業用の水利権がかなりありますが、農業人口が減少し、耕作放棄地も増え、今では佐々川の水はほとんど使われていません。

かんがい用取水施設「東部かんぱい」には日量21,900㌧もの水利権が与えられていますが、実際に取水したのは、2000年~2020年の21年間でたった6年だけです。残り15年は取水ゼロ!日数にすると、取水したのは7670日の中の72日だけ、平均取水量は、21,900㌧のうちの3,300㌧ほどでした。

また、数年前に廃止になった相浦発電所の水利権4800㎥/日の余裕も生まれているはずです。

一方、佐々川の近くには佐世保地区以上に水源が乏しい小佐々地区があります。(2006年に佐世保市と合併しましたが、飛び地になっていて、水道は町時代のまま)使われていない水利権を必要としているところに転用するだけで、水不足は一気に解決し、地域の皆さんは安心して暮らせます。

県が水利権の転用を頑なに拒むのは何故でしょう?水不足が解消すれば石木ダムの必要性が失われることに繋がるから?

水不足解消のためにダムを造るのではなく、ダムを造るために水不足の解消を妨げている・・・少なくともそんな疑念を県民に抱かせるような公共事業であってはなりません。

疑念払拭のためには、このように一方的な情報発信をするのではなく、県も市も、意見交換会や公開討論会等々、ぜひ市民と直接対話できる場を設けていただきたいものです。

大石知事のように朝長市長も、石木ダムは要らないと考えている市民と対話してみませんか?そして、佐世保の水問題を解決するために、市と市民が共に考えていけたらいいですね。