県担当者を証人尋問

12月5日、石木ダム事業認定取消訴訟第10回口頭弁論。
いよいよ山場の証人尋問がスタートしました。
門前集会に集まった人々の数が関心の高さを示しています。
(いつもの倍くらい?)



この日は、治水面に関する尋問です。
証人は、川棚川(石木川は川棚川の支川の1つ)水系の河川整備基本方針策定時の担当者で、現在は河川課企画監を務める県の職員・浦瀬俊郎氏です。

まず宣誓書を証人が読み上げ(テレビドラマなどでよく見るシーン ^^ )
その後、被告(国)側代理人による主尋問が始まりました。

・証人の経歴、特にダムや川棚川にどれほど関わってきたか
・同河川整備基本方針策定においてどのような分野を担当していたのか
・その方針策定の経緯や根拠、計画規模の決め方、手引きとしたもの
等々について、丁寧に時間をかけて尋問。

証人は、いつものように、立て板に水といった感じで淀みなく答え、「川棚川の治水計画は、国交省河川砂防技術基準や中小河川計画の手引きに則ってやっており、正当である」ことを強調していました。

10分の休憩を挟んで、いよいよ原告側代理人による反対尋問です。
最初に尋問に立ったのは、田篭弁護士。

問題にしたのは計画規模について。
もしも川棚川の計画規模が1/50(50年に1回の大雨に耐えられるような治水計画)だったら、石木ダムは要らないはず。なぜ1/100の規模にしたのか?規模を決める際の指標に使ったデータは何か?

ところが証人は、素直には答えません。
簡単な答え(イエスorノー)を求められているのに、的外れな自論を長々と展開したり、弁護士が資料を読み上げて「ここには…と書かれていますが」と言って質問に入ろうとすると、「いえ、違います」と、書かれている内容そのものを否定するような発言があり、質問以前の段階で時間を取られてしまうことがしばしばありました。(今思えば作戦だったのかもしれません)

驚いたのは、指標として算出した氾濫区域の
⓵面積
➁宅地面積
➂人口
➃資産額
⓹工業出荷額
などは、みな直近のデータが使われていたのに、その氾濫区域を想定する際に基本となる河道データは昭和50年のものだったという事実。

田篭:基本方針策定時の河道ベースで考えるべきではないですか?
証人:いや。石木ダム事業計画ができたのは昭和50年だから、それを基準としています。
田篭:では、他の指標も昭和50年時点で見るべきではないですか?
証人:被害額については現状及び将来のことも踏まえて評価すべきなので直近のデータをベースにします。

と、指標データの年代が違っても何の問題があるの?と言わんばかり。
ビックリ!(@_@) それが行政の常識なのでしょうか?

河道整備は年々進んでいますので、昭和50年当時と平成17年頃では全く状況が違います。
他の指標データと同じように直近の河道データで算出すれば、氾濫区域はぐっと小さくなるはずです。
氾濫区域が小さくなれば、そこの面積も人口も資産も全て小さくなるはずで、被害は減少します。
被害の度合いを大きくし、計画規模を大きくするための卑怯な裏技です。

続いて、尋問に立ったのは、緒方弁護士。



(報告集会での両弁護士。左が田篭弁護士、右が緒方弁護士)

緒方弁護士:こちらの質問に対してごまかそうとすることは予測していましたが、全然違うことを言うとは予測していなかったので、内心どーしよーと思ってしまいました。(正直!)

緒方弁護士の尋問は、かなり高度な内容で、私たち一般人にはなかなか分かりにくいのですが、洪水到達時間については、証人の主張にますます「???」でした。

昭和42年洪水の場合のシミュレーショングラフを提示して、
緒方:降雨ピークの時間帯は12時~1時で、基準点(山道橋)でのピーク流量の時間帯は午後1時となっていますね。つまり洪水到達時間は1時間ほどですよね?
証人:いや、県としては到達時間は3時間で検討しています。

その根拠は何なのか?なぜそう言えるのか?その説明はないまま、ただ、「県の考えや手法はこうだ」と主張するのみ。理屈や他者の理解など不要だと言わんばかりに聞こえました。

緒方:ところで、石木ダム合流地点より上流は1/30の計画ですが、100年に1度の大雨が降った時、上流域は堤防の外側(陸地側)に溢れ出ていくので、基準点に流れ着く流量は減るのではないですか?
証人:いえ。流域の地形上、いったん外に溢れても、また川棚川にほとんど戻ってくるはずです。
(なんと都合のいい解釈!思わず吹き出しそうになりました)

最後は平山弁護士でした。
平山:基準地点で1320㎥/秒の流量があったとして、石木ダムがなくても堤防のかさ上げや河道掘削工事をすれば流せるのではありませんか?
証人:堤防の嵩上げは破堤のリスクが高まるので、計画洪水で安全に流すべきだと考えています。
(嵩上げの高さや距離など具体的に検討もせず、ハナから眼中にない。あるのは石木ダムのみという感じ)

平山:仮に石木ダムができたとして、想定降雨があった場合、内水氾濫・支流氾濫が発生しないと断言できますか?
証人:絶対とは言えないが。99,9%おきないと思います。
平山:しかし、川棚町は1/10の計画規模で内水氾濫の対策を行っていますよ。知っていましたか?1/100の雨が降れば、当然内水氾濫はおきるのではありませんか?
証人:・・・・・

もう一度、被告側代理人から尋問があり(証人が言い足りなかった部分、あるいはうまく言えなかった部分を補足するためのようでした)、その後裁判官からも質問があり、終了したのは、予定時間を大幅に過ぎて、5時17分!

急いで報告集会会場(アマランス)へ移動です。



弁護団からの説明の後、いろんな質問や感想、意見が飛び交いました。

傍聴者からは、こんな発言もありました。

Aさん:治水は本当に難しくて、これまで勉強してきた私たちにもなかなか難しかった。裁判長は弁護団と証人のやりとりを本当に理解されたのでしょうか?次回の裁判では裁判官により届くような尋問をやってほしい。

Bさん:証人の証言には全く合理性がなかった。行政の都合に合わせて、あちらにしたりこちらにしたりという感じ。シミュレーションもしていない。する必要がないと言う。しかし、事業認定は強制収用を可能にするもの。いい加減な対応で申請すべきではない。証言を聞いていて腹が立ちました。

最後に地権者を代表して岩下さんから一言。



今日は寒い中たくさんの方にお集まりいただき、ありがとうございました。
現地の状況は・・・です。これからもご協力よろしくお願い致します!

さて、次回は12月25日(月)10:20~。
利水についての証人尋問です。
午前中はお昼まで被告側の主尋問。
原告側の尋問は午後1:20~。

治水よりは利水の方が絶対分かりやすいです。
面白いと思います。

お時間の都合のつく方は、ぜひまた、長崎地裁でお会いしましょうー!

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