二審の判決は一審のコピペ!?

11月29日。事業認定取消訴訟の控訴審判決が言い渡されました。



(久々に中島三代治さんによる法廷スケッチ)

予想通りの不当判決。不当も不当。最大級の不当判決です。

西井和徒裁判長は早口だったので、「主文1.〇〇を棄却する。2.控訴費用は控訴人の負担とする。以上です」しか聞き取れませんでした。しかも、告げ終わるやいなや、そそくさと、まるで逃げるように後ろのドアの中に消えたのです。

よほど居たたまれない思いがあったのでしょうか・・・?



「不当判決」の旗出しの代わりに、皆で「石木ダムNO!」の意思表示。



馬奈木弁護団長が、待ち構えた報道陣に、まずは一言。

今日の判決は裁判所の自殺行為。
国民の声を聞こうともせず、官僚に忖度した。
福岡高裁は国民の信頼を平気で裏切った。
この裏切りを私たちは許すわけにはいかない。

詳細は場所を移して弁護士会館で…



馬奈木弁護団長:極めて不当な判決である。
しかも判決言い渡しにわずか数秒しかかかっていない。
自分の判決に自信があるなら胸を張って国民に説明すべきなのに、用意された判決骨子すら読み上げない。

いま判決文をざっと見たところ、一審の判決に上書きしたようだ。
新たな判断は何もなさそう。つまり彼らは何も仕事をしなかった。
負けさせるという目的だけを達した。

しかし、このようないい加減な判決なら、むしろ最高裁で勝てる可能性は高い。
私はこれまで、高裁で敗れ最高裁で勝った裁判を6つ経験している。
この裁判は7件目になるだろう。
それほど酷い内容だということ。

何故そう言えるのか。
行政には裁量権が認められているが、
 重要な事実誤認があった場合、
 または事実評価に合理性を欠く場合、
 内容が、社会通念に照らし、著しく妥当性に欠く場合、
 それは認められない。否定されるべきものである。(最高裁判例)

佐世保の水需要予測はまさにその例!
需要予測は4回が4回とも外れている。しかも大幅に。
あれが事実誤認ではないなどと、最高裁は恥ずかしくて言えないだろう。
誰が見てもあの需要予測のグラフは信じられない。
妥当だとは言えないということ。

何度も言うが、私たちは私たちの未来を裁判所に委ねているのではない。
私たちの要求は私たちの力で勝ち取っていく。それが民主主義だ。
しかし、こんなデタラメな判決を国民は許さない、ということを最高裁に示していこう。
皆の力を結集しよう。

(拍手)

岩下さん(原告代表)



私たちは50年近く闘ってきた。ダムの必要性について話し合いを求め続けたが、県は補償交渉にしか応じようとしない。
国に事業認定申請をし、認定されたら収用委員会に裁決申請をし、裁決されたら、裁判の結果を待たずに私たちの土地を収用してしまった。
このようなことは決して許されない。
私たちは故郷を離れるつもりは全くない。私たちの力は権力者の前では弱いが、皆さんの力を借りて、これからも闘っていく。ただちに上告するつもりだ。
よろしくお願いします。

(拍手)

長崎新聞:皆さんが提出された識者の意見書は、どの程度テーブルに上がったのか?

高橋弁護士:伊藤教授(法政大学)の意見書については「当裁判所の判断を左右しない」の1行のみ。読んでいないということでしょう。

朝日新聞:具体的に言うと?


高橋弁護士:利水で言えば、慣行水利権を不安定水源として排除している理由について、一審の判決を踏まえた上で私たちは、その論理的矛盾や事実誤認を指摘しているのに、それに対する判断が全く抜け落ちている。
ただ「佐世保市の判断が間違っているとは言えない」として片付けている。
つまり、佐世保市にとって致命的な指摘をすると、それは無視をして「それで左右されるものではない」となる。

馬奈木弁護団長:そもそも、「許可水利権は安定水源で慣行水利権は不安定水源」とする佐世保市の考え方は間違っている。
慣行水利権とは国が許可する許可水利権制度を作る前からあったもので、水が足りないときはまず慣行水利権が優先され、その残りで許可水利権を分け合うのが筋。佐世保市の解釈はそれが逆転しているし、それをこの裁判所でも認めた。
どちらも水利権の歴史を知らない間違った判断である。
これは最高裁では通らない。法律の解釈を根本から間違えている。

長崎新聞:最高裁では違憲訴訟になると思うが、闘い方の変化はあるのか?

馬奈木弁護団長:土地収用法そのものよりも運用の仕方が問題。その違憲性を問いたい。経済的価値を補償すればいいという行政の考えは不動産屋的な発想。生活全体をひっくるめた価値を見るべき。

続いて報告集会に入り、まずは判決骨子について弁護団から解説。



平山弁護士:判決自体は、原判決(長崎地裁の判決)と全く同じ。
つまり、一部の原告(不動産を持っていない原告=地権者の家族等)については却下し、それ以外の原告の請求を棄却している。
内容的にも、原判決をコピーして、そこに下線を引いて二審の意見を挿入しているに過ぎない。下線の無いページがたくさんある。つまり、ほとんど原判決をなぞったものである。

ダムの必要性については、県や佐世保市は積極的に必要と主張しているが、裁判所はそこまでは言えないと思ったのか、「不合理とは言えない」という表現が多い。

また、覚書については、効力があるか無いかさえ言及していない。覚書について認定庁が判断したり審査したりする必要は無いと言っている。



八木弁護士:私は佐世保の水需要予測の生活用水について担当している。生活用水原単位が210ℓになるという予測を原審では認めているが、その理由は相関関係が0.94という高い統計を使っているので予測は妥当だと認めていた。我々はもう1つの統計も同じく0.94という相関関係を持っている(これを使うと水需要は180ℓ後半になる)が、そちらは何故使わなかったのか尋ねたが、それについての合理的説明はない。

高橋弁護士:水需要予測の計算の中で負荷率というものが使われる。過去何年間の最低値を使うか、その時々で勝手に基準を変え、結果的に毎回80.3%という数字を採用している。つまり自分たちの都合のいい数字を使って佐世保市は計算しており、それを裁判所は認めてしまった。

これはとんでもない判決だし、またこれをお墨付きを得たとして佐世保市がより無茶苦茶な水需要予測をたてないよう注視し、運動していかなければならない。

長崎市民:一般社会では覚書は立派な約束事として通用するのに、何故この裁判では無視したり斬り捨てたりできるのか?

馬奈木弁護団長:俗に紳士協定と言うが、紳士協定とは法的拘束力を持たない約束事。その真意は「法律で縛られなくても約束は守る、紳士だから」ということ。日本的に言えば武士だから。武士に二言はない。という意味。
決して約束は守らなくていいという意味ではない。逆に政治的責任は重い。

福岡市民:「力のある正義」を目指すべきだ。
先日の全国集会で地元の松本好央さんが、「生活も気持ちも全然変わっていない。変わったのは仲間が増えたこと」と言われた。
ちょうどいい機会なので、福岡でもやっと「石木ダム・強制収用を許さない福岡の会」が11月27日にできたことを紹介させていただく。
川辺川ダムの場合、高裁判決で勝利したが、東京で川辺川ダムに反対する団体ができたことが大きかったと思う。東京にはいろんな人材がいる。
石木ダムも最高裁への上告を機会に是非いろんな人に呼びかけて、広げていこう。

(拍手)

佐賀県民:裁量の範囲内で不合理とは言えない等、官僚に忖度した判断に終始している。基本的人権を一顧だにしない。こんなことがあっていいのかというのが社会通念だと思う。そういうことに対する裁判官の斟酌が無いように思うがいかがか?

馬奈木弁護団長:社会通念はどこにあるのか?例えば、原発について世論調査すると反対派が60%とか70%、80%などの結果を示すことがある。しかし、裁判官は屁とも思わない。これは何とかしなければと裁判官に思わせる、見える形を作らなければならない。
先日の全国集会、あんなことが川棚でできるようになった。すごいことだ。ああいう運動を東京で作っていかねばならない。最高裁の裁判官に見えるようにするために。これが今からの課題。

佐世保市民:東京といえば、明日、佐世保の子どもたちが東京で「こうばる」について語る。そのことをお知らせしたい。
環境省や文科相の共催で開催されるGBEコンクール(Green Blue Education Forum実行委員会主催)で、「未来に守り残したい自然環境、創りたい未来」について、子どもたち自らがプレゼンテーションするというもの。
全国の応募者の中からファイナリスト(各部門3チーム)として選ばれた佐世保の小学生姉弟は、未来に残したい場所として「こうばる」の魅力を精一杯アピールし、ここをダムの底に沈めたくない、ここでずっと遊びたい思いを語る予定。

(拍手)

最後に、岩下さんから挨拶。

私たちは今回の判決を気にせず、今後とも力強く闘っていく。毎日の座り込みは寒さに向かっていく中で厳しいものがあるが、ご支援をよろしくお願いしたい。

(拍手)

そして締めは岩本さんの音頭でガンバロー三唱。



いつも穏やかな岩本さんの「ガンバロー!」の声の大きさにびっくり!!!

内に秘めた怒りの叫びのようでした…

オンライン署名にぜひご協力ください!

石木ダム建設は説明不足。長崎県は一度立ち止まり、
公開討論会を開いてください。(Change.org)

ほかにも、こうばるを守るためやっていただけることがあります。

→あなたにできること

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