まるで壊れたテープレコーダー



(9月18日朝日新聞)

17日におこなわれた「公共事業チェック議員の会」による石木ダムについての国交省と厚労省へのヒアリングの記事。

ここに書かれているように、国交省も厚労省も、石木ダム事業に多額の補助金を出しているにもかかわらず、事業者は長崎県や佐世保市なので我々は「答える立場にない」というのが基本的な姿勢です。

今回は、長崎県と佐世保市にも参加要請をしたと(チェック議員の会から)聞いていたので、私もわざわざ上京したのですが、ふたを開けてみると「議会中のため対応できる職員がいない」とのことで欠席でした。「対応できない」のではなく「説明できない」から「逃げた」のかな?残念至極!その思いを嘉田由紀子参院議員が代弁してくれました。

嘉田議員:ダム建設において、利水の場合の財政負担は、その大半を水道料金におんぶしている。佐世保市水道局の経営計画を知りたかったが今日は欠席とのことで聞けなくて残念。経営計画を出すよう、国として指導できないか?

厚労省水道課:経営計画の策定そのものは佐世保市水道局が決めるものであり、国が関与すべきではない。

初鹿衆院議員:石木ダムには国庫補助が入っている。国民の税金を使っているのだから、国にも一定の責任があるではないか。

厚労省:国としても持続可能な水道事業のために、事業体が基盤強化を果たしていくよう指導はしている。

嘉田議員:佐世保市は老朽化が進んでいて漏水率が高い。ケアするための費用もかかる。ダムと漏水と、トータルで水道料金がどのくらい上がるのか、それがわからないとダムに賛成とか反対とか市民は言えない。市民にしっかりとデータを出すよう指導してほしい。

厚労省:収支の見通しの作成は努力義務化されている。その作成に当たって水需要の予測とそれに対応するための計画はオープンにするよう指導している。

大河原議員:佐世保市は何度も水需要予測を出しているが、それについて国はどのようにチェックしてきたのか?

初鹿議員:みなさん、こちらの資料をご覧いただきたい。



過去の予測はいずれも右肩上がりで、その後の実績値は横ばいか減少で、予測は大きく外れている。直近のものがこちら。



特に2014年度から2015年度は大きく跳ね上がっている。このような予測は不自然だと思わないか?思わないなら、その根拠を示してほしい。

厚労省:水需要予測は、水の安定確保のために、その能力規模の策定を行うもので、予測値は渇水や事故などの非常時への対応も含めて算出されている。渇水や事故が起きなかった場合は実績値が予測値を下回るのは当然であり、両者に差があることで予測がおかしいとは言えない。

初鹿議員:僕が聞きたいのは、ここ。この3年間でポーンと跳ね上がっている。特に2013年度から2014年度のところ。1年間に1日の給水量が10,000㎥以上増えている。そのわけを知りたいと言っている。それに答えてほしい。

厚労省:繰り返しになりますが、渇水だの事故だのがあったとしても安定して水を供給するというのが・・・差があるからといって直ちに見直す必要があるとは言えない。

嘉田議員:もちろんリスクを見込んでの対策は必要です。しかし、佐世保のような急激な右肩上がりの予測を出している事業体が全国にどれくらいあるのか示してほしい。それとも佐世保だけがハイリスクなのか?だとしたら、それは何故?その説明が無ければ、国民は納得できません。

厚労省:繰り返しになりますが、需要予測は渇水だったり事故だったり・・・

もう聞き飽きた!あなたたちは壊れたテープレコーダーか?「渇水だったり事故だったり・・・」それを繰り返すばかり。それしか言えないの?エリート中のエリートであるはずのあなた方なのに!我慢できなくなって挙手をして発言させて頂きました。

佐世保市民:私たち市民もこの予測が示されたときは驚きました。佐世保だけ急激に人口が増えるはずもないし、大型工業団地ができるとか明確な根拠があるわけではなかったので。ただ石木ダム供用開始予定年度に合わせて予測値が急激に増えていたので、私たちはダム有りきの数字合わせだと思っていました。実際、その後の水需要は増えるどころか減っています。直近(9月13日)の給水量は、68,840㎥でした。残暑が厳しいこの時期でも7万㎥を切っています。一方、保有水源は実際のところ10万㎥あります。(市は安定水源としては77,000㎥しかないと言っていますが、市が不安定と位置付ける水源からも毎日取水しているし、渇水時にも取水しています。安定水源と何ら変わりありません)十分足りています。もちろん水源にたっぷり余裕があることは良いことでしょうが、だからといって、隣の自治体の住民の生活を破壊してまで水が欲しいとは私たちは決して思ってはいません。そのことを伝えるために佐世保からやってきました。

水源連共同代表嶋津氏:ダム計画のある水道事業体は需要予測を過大に出すんですよ。そして、ダムが完成したら予測を減らす。当別ダムに参画した札幌市。宮ケ瀬ダムに参画した川崎市、横浜市、横須賀市、みなそうですよ。ご存知なければ、よく調べてください。

嶋津さんの発言にやっと壊れたテープレコーダーも静かになりましたが、今度は国交省のお役人が「繰り返しになりますけど」の言葉を連発。

初鹿議員:利水も治水もこんなに疑問だらけの石木ダムのために、住民の土地が強制収用されようとしている。強行させていいのか?住民や県民の理解を得るために公開討論会を開くよう国交省は助言できないのか?

国交省:それは県が決めることであり・・・

初鹿議員:そうは言っても、国交省から長崎県に何人出向しているのか?副知事も土木部長も主要なポストは国交省が占めているのではないか?反対派を説得できるような議論を、堂々と公開の場でやるよう、県の河川課に指導できる立場にいるではないか。

国交省:繰り返しになりますが、それは事業主体である県がお決めになることで・・・

 

私にとって石木ダム関係省庁へのヒアリングへの参加は3回目ですが、お役人の対応は今回が最悪でした。何を聞いても返ってくる言葉は同じ。判を押したように。壊れたテープレコーダーのように。
対話にならない。一方通行。

こうやって切り抜けていく方が出世していくのでしょうか。
それに負けない議員の皆さんはさすがです!
これからも、公共事業チェック議員の会の皆さんの活躍に期待します。

オンライン署名にぜひご協力ください!

石木ダム建設は説明不足。長崎県は一度立ち止まり、
公開討論会を開いてください。(Change.org)

ほかにも、こうばるを守るためやっていただけることがあります。

→あなたにできること

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