佐世保市水道局、石木ダム関連で5億7500万円

3月5日の長崎新聞が報じているように、佐世保市水道事業の2022年度予算で、石木ダム関連事業費として、5億7479万5000円が計上されました。

こちらが、その資料です。これは水道局が自ら提示したのではなく、委員が資料請求して初めて出されたものです。

しかも、委員は「来年度の石木ダム関連事業費」として請求したのですが、タイトルは「長崎県への負担金及び水道施設再構築関連経費」と書き変えられています。

石木ダムにかかる経費をなるべく小さく見せたいのでしょうか?

かつての委員会資料には、このように堂々と「石木ダム関連事業費」と書かれていたのですが。

上の資料は9年前の委員会資料ですが、事業費の総額は、353億5千万円です。ところが、現在の総額は445億5千万円になっていますね。

これも議会で審議され採択されたことではありませんが、いつのまにか承認されたことになっています。


いずれにしても、R4年度=2022年度予算として、石木ダム関連経費として約6億円近くが支出されるということがわかりました。この金額を私たち市民はどう判断すればいいのでしょう?

こちらは資本的収支の予定表です。資本的収入から支出を引くと、その差はマイナス25億円にも及びます。それを留保資金で補填するので、自己資金は年々減少しています。

つまり水道事業会計は決して楽ではないのです。減らせる支出は少しでも減らしたいものです。しかし、石木ダム事業が続く限り支出はどんどん増えていく・・これは間違いのない事実です。

令和1年度再評価の資料を見ると、令和4年度=2022年度の石木ダム事業費は54億円と見込まれていました。しかし、実際の予算額は約10分の1でした。何故か?それは工事が進んでいないからです。

予定通りの進捗状況であれば、本体工事がどんどん進められ、それに合わせて新たな取水施設、導水管の埋設、新たな浄水場建設などなどたくさんの工事をしなければならないから、予算も桁違いの額となっていきます。

そのお金はどこから湧いてくるでしょう?今後収益が増えるでしょうか?

こちらは収益的収支の予定表ですが、営業収益は年々減っており、全体的な収支の差も昨年度比で26.7%も減る見込みです。

それもそのはずで、この表を見れば、有収水量が年々減り続けているので、当然、水道料金収入も減り続けます。

(今回の委員会資料はこちら file00006640 )

そういうことが分かっていて、なぜ石木ダム計画から撤退しようと水道局は考えないのでしょうね~

水道局だけではありません。予算審査する企業経済委員会の委員の中から、石木ダムへのアピールが足りないとの𠮟責の声が上がる一幕も・・

角田副委員長:今年度は佐世保市の水道事業が始まって115周年の節目の年。石木ダムをアピールするいい機会なのに何も予定していないのは何故か?平成6年の渇水の苦労とか、現地の8割の方が犠牲になって出ていかれたのに未だにできていないこととか伝えるべきではないか?

経営管路部長:100周年の時は島瀬公園でアピールし、パンフレット等も配布した。それ以後も毎年「水を大切にする日」にパネル展示などのイベントをやっている。

水道局長:次の120周年に向けてはイベントなど考えていきたい。

角田副委員長:知事も代わったことだし、佐世保が本気であることを示さないと。かつての渇水の苦労が風化しつつある。

水道局長:確かに最近では市職員の中にも、あの大渇水について知らない者もいるようだ。石木ダムへの理解を深めるよう、必要であれば局内でも議論したい。

角田副委員長:「必要であれば」ではない。必要だから言っているのだ。しっかりやってもらいたい。

(-_-; 角田議員とは一度じっくり意見交換したいものですね~)

もう1人、石木ダムの早期実現を願う委員から、熱心な質問が続きました。この方は小佐々町出身の永安議員です。

小佐々町は佐世保市以上に水不足の町です。水道局長の話では、3月4日朝の貯水率は佐世保市の下ノ原ダムでは60.7%でしたが、小佐々町のつづらダムは54.3%だったそうです。(後で水道局のHPで確認すると、北部の貯水率は72.1%でした。南北融通管は存在するのに、市内でも相変わらず南北格差は続いています)

永安委員は、合併後は佐世保市の水が送水され安心だと思っていたのに、16年経っても未だに管が繋がっていないので、相変わらず不安な日々を送っていると訴えておられました。

小佐々町の方には本当にお気の毒だと思います。以前は渇水時には佐々町から日量1000t~1500t送水してもらっていたのに、合併後は日量200tまでしかもらえないのだそうです。2018年の渇水の時は一日に113tだけでした。理由は佐々町自身にも余裕が無くなったとのことですが、本当にそうなのでしょうか・・?ここにも県の思惑が見え隠れします・・

今回の予算審議で、佐世保から小佐々までの送水管の整備計画がやっと示されました。

完成はR11年度=2029年度の予定です。

永安委員:やっと具体的に示されたのは有難いが、ちゃんと水は届くんでしょうね?管は通ったけど、肝心の水の確保ができるのか心配で・・

川野事業部長:送水管の完成はR11年の予定で、石木ダムはR7年度完成予定なので大丈夫です。万一それまでに石木ダムができていなくても、1000t~2000tは供給できるのではないかと考えています。

と、そこで、水道局長から「補足説明」が・・

水道局長:今申したのはあくまでも緊急的な供給であり、石木ダムができていなければ、やはり本格的な供給はできません。

と釘を刺していました。長年佐世保市水道の現場で仕事し、水源対策の責任者となっている川野事業部長が大丈夫と言っているのに、水道局長になってまだ2ヶ月しか経っていない中島氏が供給できないと否定するのはヘンですね~やはり石木ダム必要性の口実の1つを示すためでしょうか。

実は、この送水管整備事業については、午前中も面白いやり取りがありました。

湊委員:佐世保から佐々町を通って小佐々まで送水管を繋ぐ意味は何?

川野事業部長:小佐々地区の水不足の解消のためです。

湊委員:佐世保全体が水不足になったらどうするの?送る水が無かったら?

川野事業部長:ため池や民間の井戸などから水を提供してもらって・・・

湊委員:西海市や有田町など水の豊富なところと繋がることをなぜ考えないのか?渇水の時はそういうところから水を買えばいいではないか?佐々町も売ってくれるはず。また、五島では、天水の活用を進めているが、そういう努力も足りないのではないか。

川野事業部長:まずは市内での水源確保に努めるべき。渇水にいたらないと佐々町から買うことはできない。県からの達しでそうなっている。

(やはり・・・石木ダムを造りたい県が、代替案の邪魔をしているのかな?)

湊委員:石木ダムが要らないと言っているわけではない。石木は石木で進めてもらうが、いつになるかわからない。それまでに渇水がおきたときにどうするか考えておかねばならないと思う。光武市長の時は、海水淡水化などいろいろ考え、工夫されていた。新しい局長の下で変わってほしい。最初から諦めていたら何もできない。
このような危機意識を持ち、石木ダムだけに固執するのではなく、前向きな議論をもっともっと、してほしいものです。

 

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