九州地方整備局へお願いに行ってきました

石木ダム反対住民 事業認定申請取り下げ勧告を!

 

6月21日、地権者8名を含む16名で、福岡市にある、九州地方整備局を訪ねました。

とても穏やかで誠実そうな感じの事業認定調査官はじめ4名の方が対応して下さいました。

約4時間!

時折感情的になる発言にも、イヤな顔一つせず、真剣そうに耳を傾けて下さいました。

でも、それだけ。

私たちが望んだものはほとんど認めてくれませんでした。

 

1.長崎県が出している石木ダム事業認定申請を取り下げるよう勧告してほしい

    ↓

  勧告する立場にない

 

2.申請してから2年半もたっている。

  当時県が出した資料も古いし、私たちも新しいデータに基づいた意見書を出したい

        ↓

      審査に必要な資料は今後、県などに求めるが、あらたに意見書の提出は求めない

      皆さんの意見は公聴会で聴く

 

3.公聴会で十分な時間を取ってくれるのか?

  意見書を提出した80人全員に意見を述べさせてくれるのか?時間制限せずに

        ↓

       …… (無言)

 

こんな感じ。

答えにくいこと、答えられないことはすべて無言。

2で、県に新たな資料を求めると言ってくれたことは良かったけれど、

その資料を私たちに見せてほしい、それに対して意見を言いたいといくら頼んでも、

できないと言う。

なぜできないか訊くと、無言。

 

でも…

「公平・中立な立場で審査する」これだけはしっかりと大きな声で答えてくれました。

その言葉にすがる思いです。

 

以下に私たちの請願文書を貼付します。

 

 

事業認定手続を再開せず、長崎県及び佐世保市に対し、

当該申請を取り下げるよう勧告することを要請します

 

 国土交通大臣は6月11日、有識者会議の判断を踏まえ、石木ダム事業について「補助金交付を継続」とする対応方針を決定しました。あわせて長崎県に対して「石木ダムに関しては、事業に関して様々な意見があることに鑑み、地域の方々の理解が得られるよう努力することを希望する」旨を通知しました。

2009年9月、政権交代が起き民主党連立政権が誕生しました。前原誠司国土交通大臣(当時)は、全国の143のダム事業について、「できるだけダムにたよらない治水」への政策転換を進めるとの考えに基づき「ダムの再検証」を行うため、同年12月3日、「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」を設置しました。

このような中で、2009年11月9日、長崎県及び佐世保市は事業認定の申請を行いました。「申請書の公告・縦覧」「利害関係人らの意見書提出」「公聴会の請求」などの手続きを終了したところで事業認定の手続きは進行が中断し、2年半が経過しました。

新政権はダムの再検証を行おうとしており、事業認定の申請をする政治情勢ではありませんでした。それにもかかわらず、長崎県は2009年度から8年間でダム事業の完了を目標とする工程案を2008年7月に公表し、準備を進めていたことから、立ち止まることなく申請を強行しました。行き着くところに強制収用があることをひた隠しにし、「話し合いの促進のための事業認定申請」と称した、当初から問題のある事業認定申請でした。

今回の国土交通大臣の対応方針には「地域の方々の理解が得られるよう努力することを希望する」との意見が付されており、それは地元の方々の理解を得ないまま、強権的に事業を推進しないことを求めたものです。この国土交通大臣の付帯意見を踏まえれば、土地収用法の最終目的である強制収用に向けた事業認定の手続きを再開するようなことはあってはなりません。

中断された事業認定手続きを再開することは、別紙理由書に記載する基本的な問題がありますので、その手続きを取りやめるべきです。

事業認定手続きを再開せず、長崎県及び佐世保市に対し、当該申請を取り下げるよう勧告することを要請します。

 

  

(別紙)

理 由 書

 

1.        土地収用法第17条第3項違反の疑い

本条項に、「国土交通大臣は、…事業認定申請書を受理した日から三月以内に、事業の認定に関する処分を行うように努めなければならない。」とあります。

 この規定は、いわゆる「努力規定」と言われるもので、これに違反しても事業認定に関する処分の効力になんらの消長をきたすものではない、とされています。事案によっては3か月で処分を行うのは困難な事情があることを考慮して「努力規定」とされているもので、このことには合理性が認められます。

 一般的に、行政手続に係る申請は、対立当事者は存在せず、申請者と行政庁の関係で処理されます。行政庁に一定の努力義務を課し、処分が遅滞することがないように努め、もって申請者の利益が確保されるようにすることは当然です。

 ところで、事業認定申請の前提には、起業者と土地所有者等との間に抜きがたい対立関係が存在します。法第17条第3項の適用・不適用を考えるに当たっては、一方の地権者の存在を無視し、地権者の利益をまったく考慮しない態度は許されないと考えるべきです。

 石木ダム建設事業は、正式に認可された1972年から既に40年が、その前史をも通算すると実に半世紀を超える時間が経過していますが、今なお本体着工には至っておらず、その見通しもまったくありません。ダム反対の地権者は、石木ダム建設絶対反対同盟のもとに団結し絶対反対を貫いています。

土地収用法にもとづく事業認定申請は、強権の刃を剥き出しにして地権者に襲いかかる不正義かつ反人道的な所為です。このために、以前にも増して、地権者の普通の暮らしに緊張をもたらし、目に見えない苦しみを与え続けています。それがこの2年半という長い時間でした。長崎県及び佐世保市は、そのことを知りながら、それを利用する目的で事業認定の申請を行いました。

行政手続が遅滞なく処理されなければならないのは、何も申請者の利益のためだけにあるのではありません。恫喝にも似た事業認定申請が、法第17条第3項が予定しない事情によって手続きの進行が中断したとしても、その不利益を地権者に継続して与えている状況は同条項の趣旨に照らし、もはや“違法状態”に達していると言えなくもありません。この“違法状態”は直ちに解消される必要があります。手続きの進行を再開することがあってはなりません。

 

2.        大きく変わった事実関係

2009年11月9日、長崎県及び佐世保市は共同して、事業認定庁である九州地

方整備局に土地収用法にもとづく事業認定の申請を行いました。事業認定申請書の必要的添付書類として「事業計画書」があります。この計画書1の(1)のハ)「水道用水計画」の項(17頁)によると、平成18年度現在における実績値をもとに平成29年度の給水人口や一日最大給水量を予測しています。しかし、これらの数値は、平成の大合併により吸収合併された周辺5町を含んだ数値です。石木ダムを考えるとき、合併前の旧佐世保地区で検討されるべきなのに、ここには意図的なごまかしがあります。18頁の「佐世保市の水需要と給水計画」のグラフも曖昧な数値で分かりづらく、平成29年度の過大な水需要予測をもとに石木ダムの必要性を強調するのは単に“必要神話”にすがりついているだけです。

 要するに、旧佐世保地区でみていくと、平成19年度から同23年度の実績値は一日平均配水量も一日最大配水量も減少を続け、今後とも凹凸はあるものの長期的には水需要は確実に減少していくことは今や誰の目にも明らかです。加えて、人口の減少は深刻です。九州経済調査協会が本年1月にまとめた2035年の長崎県の人口は、2010年の国勢調査結果の3割(約39万人)減と推計しています。この5年間の配水量の減少と将来の人口減少を考慮に入れていない「水道用水計画」はこの2年半の経過のなかで完全に破綻してしまいました。このことは、石木ダムは事業の公益性がない、ムダなダムだということです。

公益性がない事業のために土地を強制的に取得することはあってはなりません。この事実を無視あるいは否定して事業の認定がなされると、その処分は違法であるとされ、裁判で取り消される可能性があります。

事業認定手続きは進めるべきではありません。

 

3.        もともと無理筋の事業認定申請

長崎県及び佐世保市は、2009年9月の政権交代後、国が「できるだけダムにたよらない治水へ」の政策転換を打ち出したこと、及び補助ダムについて国としても必要性の検証を加えていこうとしていることを十分知りながら、同年11月9日、事業認定の申請を強行したという経緯があります。このときは、申請を思い止まり、国が行うダムの再検証の結果を待つべきでした。申請後、「公告・縦覧」「利害関係人の意見書提出」「公聴会の請求」と所定の手続きが進められる一方で、12月3日、第1回有識者会議が開催され、翌年秋を目標とした検討が開始されたことから、貴局は、事業認定の手続きを中断したのでした。この時点で申請者に対し、申請の撤回(取り下げ)を促しておれば、今日この問題はありませんでした。貴局の対応に問題があったと言わざるを得ません。

  今からでも遅くはありません。長崎県及び佐世保市に対し、無理筋だった事業認定申請の速やかな撤回(取り下げ)を勧告すべきです。

 

4.        付帯意見の意味するもの

6月11日、国土交通省は、石木ダムに関し、「継続」とする対応方針を決定したが、あわせて長崎県に対し「石木ダムに関しては、事業に関して様々な意見があることに鑑み、地域の方々の理解が得られるよう努力することを希望する」旨の付帯意見を付けました。付帯意見の意味するものは、「強制収用は許されませんよ」であり、「地域の方々の理解を得る」ために「とことん話し合いなさい」ということです。

 長崎県及び佐世保市がとってきたこれまでのやり方、すなわち事業認定申請→強制収用という土地収用法の究極の強権を振りかざして脅しながら、口では「話し合いによる理解と協力を得ていく」という欺瞞的な説明、このような手法が否定されたのだと受け止めるべきです。

長崎県及び佐世保市は、現に継続中の事業認定申請をいったん取り下げた上で、「地域の方々の理解が得られるように」誠実な話し合いをしていく以外にありません。それでもなお、高い公益性があるというのならば、再度、新たな事業認定の申請をすることはできるのですから。

ひとえに貴局の賢明なる指導如何にかかっています。

 

5.        再評価委員会

平成19年度から5年目に当たる本年度は、佐世保市水道水源整備事業(石木ダム建設事業)に関する事業の「再評価」が、厚生労働省健康局長通達「水道整備事業の評価の実施について」に基づき実施されます。

 前回の平成19年度再評価委員会は、平成19年12月25日、「事業着手以来30年が経過しており、今後、進捗のないまま年を重ねるにも限度があり、どこかの時点で実現の可能性を判断し、場合によっては別の道を探る必要がある」との意見を付記した答申を行いました。この答申を受けて朝長佐世保市長は、平成20年2月21日、「これを重要な意見と捉え、今後の進捗状況を見ながら、十分な検討を行う」の文言が入った再評価の結果報告を厚生労働大臣に行いました。

であったにもかかわらず、金子長崎県知事(当時)が、平成20年7月23日、平成21年度から同28年度末まで8年間でのダム事業完了を目標とする工程案を公表していたことから、金子知事及び朝長市長はともに、石木ダム建設にのめり込んで行くようになりました。

 今年度に実施される再評価委員会の主要な論点は、水需要予測の正否に尽きます。平成19年度再評価委員会は、平成18年度までの実績値に基づいて平成29年度の水需要を予測し、ダムの必要性ありとして「事業継続」を了承しました。しかし、その後、平成19年度から同23年度までの一日平均給水量、一日最大給水量のいずれも確実に減少傾向を示しています。さらに人口減少が確実に予測されており、これらの事実をも踏まえた再評価が行われると、石木ダム建設の必要性が否定され、石木ダム建設事業の「中止」が決定される可能性は高いと考えられます。

 

以上のことを踏まえれば、貴局がとるべき道は、凍結中の事業認定手続きを前へ進めることではなく、長崎県及び佐世保市に対し、事業認定申請を取り下げるよう勧告することです。

(以上)

オンライン署名にぜひご協力ください!

石木ダム建設は説明不足。長崎県は一度立ち止まり、
公開討論会を開いてください。(Change.org)

ほかにも、こうばるを守るためやっていただけることがあります。

→あなたにできること

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