坂本龍一さん「ホタルの季節に帰ってきたい」 



昨日、夕方のNBCニュースで、石木ダムの特集がありました。3月25日の坂本龍一さんのトークイベントを中心に、「ほたるの川のまもりびと」試写会や、地元の近況など盛り沢山の内容でした。

まもり隊でも、25日の坂本龍一さんの来訪には多大な感謝と感心を持って密着していましたので、遅ればせながらレポートさせて頂きます。


右から辻井氏、津田氏、こうばる総代Sさん、住民S子さん、坂本氏。

こうばる広場に車から降り立った坂本さんらは、SさんとS子さんの案内で、すぐにガードレールのところに歩み寄りました。皆さんが見ていたものは、



春の小川の石木川。



橋に結びつけられた色あせたリボンのメッセージを読む坂本さん。2016年秋のWTK(こうばる田んぼで野外コンサート)のとき、来場者が残していった応援メッセージです。


坂本さんは何を指さしていたのでしょう。

周辺を散策した後、一行は川原公民館へ。



36年前の強制測量時の写真を見せながら説明するS子さん。
「この時はこんなふうにおばあちゃんたちも一緒に座り込んでですね。…もう私たちが、その歳になりました…」

椅子に乗って壁にサインをする坂本さん。その椅子を押さえる辻井さん。
あ、発見!坂本さんって左利きなんですねー



こちらがそのサイン。上が坂本さん、下が津田大介さん。

「川原のうた」の看板に足を止める坂本さん。

その後、長崎へ移動。
14:10、長崎市平和会館ホールにて、いよいよ今日のメインイベント「スペシャルトークセッション」の始まりです。



いしきをかえよう実行委員会のサポーターであるパタゴニア日本支社長の辻井隆行さんから、まずご挨拶があり、スペシャルゲストのお二人をご紹介。



進行は金髪のジャーナリストでお馴染みの津田大介さん。広い知識と鋭い問題意識で、トークをぐいぐい牽引。

津田さんに投げかけられたテーマについて、常に自然体でフランクに答えていた坂本さん。飾り気のない誠実なお人柄を感じました。



三人のトークで特に印象に残った内容は、

坂本さん:石木川を見て驚いた。非常に小さい。せせらぎに近い。あんなところにダムを造る必要があるの?

辻井さん:計画から50年も経っている。人口も水需要も節水機器の普及も変化しているのに、その部分が話し合われているのか・・・

坂本さん:50年前は必要性があったかもしれない。よくあることだが、官僚とか国とか役人とかは一度決めたことは絶対変えないという悪い習慣がある。それの典型例ではないのだろうか?

必要性をきちんと考えることは大事で、そのためには三権分立や情報公開がとても重要であるという点で三人は一致。

坂本さん:アメリカは裁判官がしっかりしている。決してリベラルではないが、憲法が一番大事で、たとえトランプに睨まれても法に従う。当たり前のことだけど、それは徹底している。どんなに都合の悪いものでも公文書は全て50年間保管している。広島、長崎の原爆による放射能被害などもそれによって明らかにされた。

津田さん:原発や巨大防潮堤もそうだが、必要性の薄いものに対して、忖度や、ムリな理屈をつけて、権力に頼って作業を進めていく。そういうやり方でいいのか、意識を変えないといけない。

辻井さん:ところが、なんとなく政治の話はしてはいけない雰囲気がある。でも、坂本さんの本に民主主義の社会では「ワーワー言うことが大事」と書かれていて、そうだなと共感した。

坂本さん:ワーワー言うのは面倒くさいけど、義務だと思うから。

津田さん:いつ頃からそう思うようになったのか?

坂本さん:一番下の子が生まれたとき。彼が二十歳になった時どういう世界になっているのだろうと思うと怖くなった。僕らが享受している自然とか水とかそういうものを、後の世代に残さないと大人として恥ずかしい。環境資源は有限だから、使えばなくなる、僕らは100年前、200年前に比べるとずいぶん豊かな生活をしている。その豊かな生活のために未来の資源を奪っている。残していく使い方を考えねば。

辻井さん:僕たちもそれは実感している。30年前に登れた氷河が今はないとか、感じることができる。自然が自然の力で回復できるスピードをはるかに超えて、僕たちは資源を使っている。僕たちのビジネスは死んだ地球では成り立たない。

大事なものは何かという話の中で文化予算についての話が出てきました。

津田さん:国の道路予算は1.5兆円。高速道路に2.5兆円使っている。一方、文化予算はわずか1000億円。これはフランスの5分の1で、韓国の半分。国家予算に占める文化予算の割合でみると日本は韓国の20分の1。

これにはショック!ですね。

他にもたくさん興味深い話が聞けました。が、いずれも、もっとじっくり聞きたかったなー。

最後に会場からの質問です。
狭くて濃い地域社会に対して、ノスタルジー以外でどういった意義を感じるか?

坂本さん:15年以上前、環境問題を扱ったマンガの表紙に一瞬違和感を覚えた。それは何十年後かの日本を描いたもの。小川があってトンボが飛んでいて、風車が回っていて・・・え?50年後がこれ?と思った。僕が子どもの頃の風景に似ている。未来社会というと、自動車が空を飛んでいたり、スターウォーズの世界を思い描きがちだけど、そうじゃないんだと気づいた。ぼくたちは沢山いろんなものを壊したりゴミを残したりしてきたけれど、それらをクリーンにして、暮らしやすい環境を創るのがいい未来ではないかと思った。ノスタルジーというと失ったものを振り返るのだけれど、そうではなく、未来にそれを投射する、こっちの方がいいと選んでいく。ほたるあふれる石木川を未来に残していこう、目指していこう、と僕らの意識をかえていくことが大事だと思う。

最後の坂本さんの挨拶も素敵でした。

今日は早起きして、途中かなり眠たかったけど、現地に行けて本当によかった。また、ホタルの季節に帰ってきたい。

最後は恒例の写真タイム。



あらら・・

「まもりびと」が「まもびりと」になってますよー (;^ω^)


ま、いいか~

はい、イシキーーーーー!

オンライン署名にぜひご協力ください!

石木ダム建設は説明不足。長崎県は一度立ち止まり、
公開討論会を開いてください。(Change.org)

ほかにも、こうばるを守るためやっていただけることがあります。

→あなたにできること

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