証人尋問に反対する国、そのわけは…

7月31日午後1時半、石木ダム事業認定取消訴訟の第7回口頭弁論を膨張するために集まった人の列。久々に大人数です。それは、いま工事が中断されているから。地権者をはじめ支援者の多くも、今日は安心して傍聴できると、暑い中喜んで駆けつけました。

法廷では今日も当方代理人弁護士2名が意見陳述をおこないました。

利水面については高橋弁護士(下の写真は報告集会での画像)が、

佐世保市がおこなった水需要予測のでたらめさや慣行水利権を排除する不合理さを指摘し、その事実を明らかにするために、佐世保市水道局の水需要予測の担当者(当時)、佐世保市長、SSK社長らの証人尋問を申請したいと述べました。

治水面では田篭弁護士が、

計画規模の不合理性(それまでの1/30から石木ダム計画が持ち上がったら急に1/100に変更)や基本高水流量算出のまやかし(基本高水流量が1400㎥/秒となるのは、100年に1度ではなく、500年~1000年に一度の確率)などを指摘し、それらの点を明らかにするために、川棚川水系河川整備基本方針・整備計画策定の各担当者や事業認定庁の責任者の証人申請を考えていると述べました。

ところが、これらの証人尋問について、被告(国)側は必要性がないと反対しましたが、具体的な根拠は語らなかったので、次回期日1週間前までにこの件に関する意見書を提出するよう裁判長が求め、被告代理人は応じました。

また、被告側からの証人尋問について裁判長から問われると、今のところその予定はないと答えました。

なぜ国は証人尋問に反対するのかな?~なぜ自分たちも証人を立てようとしないのかな?~と思っていましたが、その疑問は報告集会のときに謎が解けました。

馬奈木弁護士によると、


行政訴訟において、教科書では政策の正しさは行政が立証しなければならないとなっているのに、現実の裁判はそうではない。
行政は正しいという推定の下でおこなわれている。(推定無罪)
だから、その間違いは原告の我々が検察官の立場で立証しなければならない。
そうしないと勝てない。だから立証の手段を尽くさなければならない。

ところが立証しようとして証人を求めても、行政側が必要ないと言い、それを裁判所も認め、調べないまま終わってしまい、判決の時になって立証不十分で負ける場合がある。我々が負ける裁判というのはそういう場合である。

刑事事件で被告人が黙秘権を行使するように、国側は今、自ら何も語らない、何も与えない、何も明らかにしようとしない、そいう態度を貫いている。
けしからん!

国会と同じ。資料は何も残っていません。何も記憶にありません。安倍内閣がやっていることを司法の場でもやろうとしている。こんなことは許されない。我々は徹底的に闘う。資料をちゃんと出せと言う。出させなさいと裁判所に迫る。

(‘◇’)ゞ

なるほどー。そういうことだったんですねー。
奥が深い。というか、私たちが何も知らなかっただけかもしれませんが。
これから1つずつ学びながら、弁護団と共に、しっかり闘っていきたいものです。

工事差止訴訟、初弁論

石木ダム工事差止裁判がいよいよ開始。

7月10日午後3時半の門前集会の様子からお伝えします。

弁護団長の馬奈木弁護士から原告団へ:
石木ダムは要らないということは分かっているのに、あえて行政は造ろうとしている。税金を食い物にしている。このような県政は許せない。県民、市民の力を示そう。頑張って勝ち抜こう。

地権者の石丸キム子さんから支援者へ:
今日の裁判に地権者もみんな参加したかったが、来れませんでした。抗議行動が手薄になると、県が何をするかわからないからです。私たちは、朝7時から夕方5時頃まで毎日座り込んで抗議しています。梅雨が明けると暑い夏が始まり、かなり厳しいですが、私たちは頑張ります。石木ダムは要らないと確信しているから。皆さん、今後とも応援して下さい。よろしくお願いします。
                                  法廷では:
定刻に始まり、書面の確認や今後の段取りなどの後、いよいよ意見陳述が始まりました。
                                  トップバッターは原告で地権者の石丸キム子さん
続いて同じく原告で佐世保市民の松本美智恵さん
次は代理人で弁護団副団長の板井優弁護士
次は代理人の鍋島典子弁護士
最後は同じく代理人の魚住昭三弁護士
                                  陳述の後会場から拍手がおこり裁判長から注意される場面もありましたが、それ以外はスムーズに進行、5時少し前に閉廷しました。
                                  5時15分から報告集会。
まずはじめに、平山弁護士より経過報告と今後の予定について説明。
被告県側より1週間ほど前に答弁書が提出された。
そこで述べられているのは、我々原告には工事を差し止める権利が無いとか、権利は有っても侵害されていない、よって差止の根拠にならないなど主張している。それに対して当方は次回期日までに反論書を提出する。
今後の裁判日程としては、次回は9月19日(火)14:00~
                                  続いて、原告陳述者の感想です。
                                石丸さん:地権者が抗議活動で来れなかったのは本当に残念。しかし、私たちは毎日朝から夕方までの座り込みを休むわけにはいかない。支援の輪が広がっているという実感はあるが、このダム問題について県民はあまりにも知らない。県市は広報などで情報を発信しているが、私たちからの情報発信は不十分。そういう面でも皆さんのご協力をお願いしたい。
                                松本さん:佐世保市民として裁判官に伝えたいことがたくさんあり、盛り沢山になってしまったが、なんとか思いを伝えることができ、ホッとしている。
                                  会場からの感想やら疑問やら。
                                Aさん:原告の意見陳述を聞いて感動した。どうしたら一人でも多くの人にこうばるの現実を伝えられるかずっと考えていた。今日の意見陳述書をコピーして周りの人に配りたい。以前市役所前でのビラ配りに参加したが、職員はよく受け取ってくれた。だから、この陳述書を配って伝えたい。
                                Bさん:弁護団の意見陳述を聞いて、昭和26年に土地収用法ができたことを知った。110年ほど前に田中正造が移り住んだ谷中村でも強制収用がおこなわれた。それと今行われていることと変わりがないように感じるが、その頃の土地収用法とどのように違うのか教えてほしい。
                                  Bさんに答えて、馬奈木弁護士から、こんなお話がありました。
戦前の大日本帝国憲法下では私有財産は守られなかった。戦後の新憲法で初めて一人ひとりの私有財産が守られるようになった。しかし、大きな利益のためには個人のそれは守らなくても良いという考えは変わっていない。それを公共の福祉と言っている。その考えが強制収用を可能にしている。
とはいえ、行政代執行をかけてまで事業を進めるのは行政としては恥ずかしいという意識が以前はあった。だからこれまでそのような事例は少ないし、犠牲となったのはせいぜい一人か二人。しかし石木ダムの場合は13世帯54人。そういう意味では戦後の歴史の中でここは特筆すべきこと。
しかし、安倍政権になってから行政の勝手な振る舞いが横行している。
日本は法治国家だ。法治国家とは、国民が法を用いて国家を支配すること。
私たちは今、石木ダム訴訟の中でそれを実践している。
                                  各弁護士の皆さんからも思いを述べて頂きました。
                                鍋島弁護士:石木ダムを止めるには弁護団と皆さんとの協力が必要。工事を進めないことが私たちの力になるし、進められてしまったら私たちが裁判で止めようとするし、なんとか力を合わせて頑張りたい。
                                毛利弁護士:今日の意見陳述を聞いて、改めて負けるわけはないなと感じた。原告のお二人の陳述を裁判長も相当熱心に聞いていた。拍手は立場上制したが、「お気持ちはわかります」と言っていたように、良い内容だったと裁判長も思っていたのではないか。
                                板井弁護士:裁判以外でこのダムを止めるどんな方法があるか。それは2つの受益地が声を上げること。川棚町民が治水の面でダムは要らない、佐世保市民が利水の面でダムは要らないと。川辺川ダムでは4000戸の農家のうち2000戸が立ち上がった。その結果議会や首長も考えを変えた。一部の声では難しい。多くの町民や市民に賛同してもらえるようにするにはどうしたらいいか、知恵を出し合わなければならない。
                                緒方弁護士:原告の2名の方の話が非常に良かった。裁判長には必ず伝わったと確信している。原告の気持ちを我々代理人もしっかり受け止めて今後の訴訟活動を頑張っていきたい。
                                八木弁護士:私も原告お二人の陳述は胸に響いた。法律には感情がなく、法律を基に考えていく裁判官を説得するのはとても難しいが、そうはいっても裁判官も人間、きっとその胸に届いたと思う。こういう陳述は誰の心にもストンと納得させるものが有る。一緒に広げていきましょう。
                                  ですね!
皆さんもここにアップした陳述書を、お時間のあるときにじっくり読んで頂いて、よかったら、プリントアウトして周りの誰かに渡して頂けると幸いです。
あるいは、このページをシェアして頂くだけでも有難いです。
よろしくお願いします。(#^.^#)

拡幅工事は隠れ蓑だった?

今日の現場は県職員や作業員の姿もなく静かでした。

初めて見る現場は、なるほど、写真や動画で目にした通りの風景。鋼板の長い壁が続いていました。

壁に挟まれて、3つのプレハブ棟があります。
これが現場事務所ですね。

入り口にはロープと「立入禁止」の札が何枚も…

少し離れた高台から見下ろすと囲いの向こうにはたくさんの工事車両が並んでいました。

目の前を「川棚町」の車が通り過ぎ、現場事務所の前に停まりました。

なんだろう?と近づいてみると、中から降りてきた3人の男性。1人は町民の方で2人は町の職員。

町民の方は突然現れたこの建造物にたいへん迷惑していると、役場に駆け込まれたようです。

囲いに沿って下って行くと、

囲いが切れたところの左手に石木川が見えてきました。

川沿いの狭い歩道を、いま来た方向に戻る(Uターンする)と、

小さな堰があり、そこから田んぼに水を引いている。その水の管理をやっている町民の方の訴えでした。

今まで使っていたその歩道は、コンクリートでこんなに狭められ、

靴幅もないような細い所を通らねば、堰に辿りつけません。

なぜ、こんな工事をするのか?
しかも事前に何の説明もなく、あんまりではないか?

石木川の管理者は県ではあるけれど、地元利水者の迷惑も考えず、無断でこんな工事をしていたとは…と驚いて聞いていたのですが、もっと驚いたことには、

なんと、この現場事務所設置の話は川棚町も知らなかった!とのこと。

ほんとにビックリ!( ゚Д゚)です。

長崎県はあまりにもやりたい放題、ルール違反ではないですか?

そもそも、ここの道路工事は、この看板が示すように、「県道嬉野川棚線の交通安全のための工事でした。

採石場が2つもあるので大型ダンプが頻繁に行き交っており、通学児童の安全のため、道路の拡幅や、カーブの緩和、歩道の設置などの工事だと聞いていました。

ところが、そのために「マユミ」から買収した土地に、河川課がおこなうダム建設付替え道路工事のための現場事務所が建設され、長い囲いが設置されたため石木川に近づけなくなった。川棚町や地域住民に事前説明も一切無しに。

一般道の拡幅工事はダム用道路工事のための隠れ蓑だったのでしょうか?

県の土地だから、目的が違っても、担当する課が違っても、同じ土木部の工事だ、何とでもなるさと考えたのでしょうか?それとも「知事のご意向」だったとか?

目的のためには手段を選ばず…いつからそんな県政になってしまったのでしょう。
県民として悲しく、悔しく、恥ずかしい。

妨害禁止仮処分、審理終了

6月19日午後1時半、長崎地裁佐世保支部前。

2時からの石木ダム妨害禁止仮処分審尋の門前集会です。

通行妨害で訴えられた19名を代表して、地権者のS子さんが挨拶。

今こうばるでは、ほたる祭りも田植えも終わり、やっと日常が戻ってきましたが、それでも私たちの日常の中には、24時間体制の見張りと抗議行動があります。

だんだん暑くなってきたので午後からは大変ですが、みな頑張っています。

私たちは、自分たちの住む権利を求めて、勝つまで闘います。
皆さん、ご支援よろしくお願いします!

 

2時からの審尋は、10分ほどで終了。

その後、いつもの報告集会の会場へ。

5回目の審尋。仮処分としては異例の長さでしたが、いよいよこの日で審理は終了。弁護団によると、裁判長は「9月を目途に決定を出す」意向を示したそうです。

審尋だけでなく、審尋後から決定までの期間も長い。ということは、それだけ裁判所が丁寧に判断をしたいということではないだろうか。

高橋弁護士のコメント。
決定がいつになろうが現場の闘いは変わらず続けられるだろう。
皆さんを支えているのは世論。
これをより発展させていけるよう
頑張りましょう。

板井弁護士のコメント。
このような闘いが何十年も続けられていいのか?
チェックをするシステムが必要であり、
裁判所もその機能を果たす努力をすべきではないか?

大型公共事業は行政や企業が決めるのではなく、
そこにいる住民の意思で決められるべき。

そのためのルール作りが必要で、
そのためにも共に頑張っていきましょう。

 

の裁判は、7月10日(月)16:00~、同じ佐世保支部です。

この日は、石木ダム工事差止訴訟の第1回目です。ぜひ多くの方が傍聴に来て頂けますよう、よろしくお願いします。

 

初めての弁論対決

今日は事業認定取消訴訟の第6回口頭弁論の日。
長崎地裁前には真夏のような陽射しの中で、熱く訴える原告の姿がありました。
いつもは参列者へ短めにお礼の言葉を伝える岩下さんですが、今日は怒りを込めて、現地の様子を訴えました。

先週から県は付け替え道路工事を強行しているが、今日はいきなり川の土手を壊そうとした。
私たちは、川を勝手に壊すな!と言ったが、我々は河川管理者だ!と言う。管理者なら何をやってもいいということか?
県側が通報してやってきた警察も、事情を知って、仲裁に入ってくれたので、なんとか今日のところは土手を壊す工事は止まった。

とのことでした。
(詳細は、こちらのブログをごらんください。http://blog.goo.ne.jp/bhdsy27 )

そんなに石木ダムを造りたいのなら、裁判で正々堂々と闘うべき。
裁判で勝利した上で工事をすればいい。
この裁判が確定するまで工事は中止すべきです!
と訴え、賛同の拍手が起こりました。

門前集会の後、いつもの401法廷に移動。今日は現地からは4名しか参加できませんでしたが、傍聴席はいつものように満席。

今年度から裁判長が替わったので、なんと今日は、原告・被告双方の意見陳述がおこなわれました。初の弁論対決?です。

まず、原告側です。

トップバッターは原告の炭谷猛さん。
現「川原」総代で、子や孫の7人家族で暮らしています。
必要性の無いダムのために、十数世代の先祖から受け継いだこの土地をなぜ奪われなければならないのか?「公共の利益とは何ですか?」と裁判長に呼びかけ、たとえ土地収用が済んでしまっても、私たちはホタルの里に住み続けます!と宣言。
炭谷さんの声は力強く、時にゆっくり、その間合いが余韻となって心に響く、素晴らしい陳述でした。

2017.5.22意見陳述(原告:炭谷猛)

終わると同時に傍聴者は思わず拍手!
本当は拍手などしてはいけないのですが、裁判長は何も注意しませんでした。

続いて、八木弁護士が利水に関する主張を
2017.5.22意見陳述(利水:八木弁護士)

平山弁護士が治水に関する主張を述べ、
2017.5.22意見陳述(治水:平山弁護士)

最後に、弁護団長の馬奈木弁護士が、「権力にすり寄った司法であってはならない」と、強い批判と願いを込めて陳述。
新しい裁判長に「国民の信頼に値する訴訟指揮と訴訟遂行」を切望していると訴えました。
2017.5.22意見陳述(馬奈木弁護団長)

そして、被告側の陳述はというと…
2017.5.22被告意見陳述

治水面においても利水面においても、まるで県の主張そのまんまです。
これまで当方弁護団が丁寧に鋭く追及してきた問題点には触れようとせず、行政側の主張を述べるのみ。

「法に則っている」「行政には広範な裁量権がある」云々。

しかも、失われる住民の利益については一切触れない。回避している。
どーゆーこと?
なぜ最大の争点に触れないのか?
原告はそれを一番強く訴えているのに、なぜ無視するのか?
きっと触れたらまずいのでしょうか。
逃げるしかないからでしょうか。

この勝負、客観的に見ても明らかに原告にあり。
主観的に見れば、勝負にもならない。比較にならない。
そんなふうに感じました。

報告集会では、炭谷さんから、最近の現地の状況と、今日の裁判の感想が述べられました。

こっちは一生懸命言っているのに、国は気にも留めずに、金を払えばいいんでしょという。イヤな感じがした。

僕らは、司法というのは的確な判断をしてくれる唯一のところ、頼るところはここしかないと思っているから一生懸命訴える。
でも、前の裁判長も現地まで来て話を聞いてくれたのに、何もわかっていなかった。金銭的賠償により回復できると言われた。

県も公共事業は住民のためにやると表では言いながら、実際にやっていることは真逆。何を信じたらいいんだろう…と。

同感です。
でも、私たちには強力な弁護団がついています。
頭脳明晰、弁が立ち、決して諦めない、最強の弁護団が。
まだまだ闘いはこれから!

妨害禁止の審尋の日、午前3時に資材搬入

長崎県が申し立てた通行妨害仮処分に関する4回目の審尋が昨日(4月24日)行われました。

県側弁護団は、本日で審理を終結してほしいと主張し
たのですが、裁判長は認めませんでした。理由は自分以外の2人の裁判官がこの4月から交代したばかりなので、これまでの記録(提出されている主張書面や証拠など)を検討する時間が必要であるとのことでした。

次回審尋期日は6月19日(月)14時からです。

県にとっては、審尋が延長されただけでなく、次回がかなり先の日程ということで、かなり予定が狂ったことでしょう。
2回目の通行妨害禁止という司法のお墨付きを早く得て、工事を加速したいと期待していたはず…。

実は、審尋がおこなわれた日の午前3時過ぎに、県は工事車両や作業員を投入していたのです。


4月に入って一度も来てなかったのに、何故この日に…県のやり方は理解できません。

この状況に未明から現場は騒然とし、地元の人の多くは抗議活動に参加。裁判所には来られませんでした。

いつもと違った寂しい門前集会になりました。

数日前に発売された週刊金曜日に、「長崎県に消耗戦を強いられる石木ダム予定地13世帯の今」という記事が掲載されていましたが、週刊金曜日2017.4.21

その中で、筆者(ジャーナリストのまさのあつこ氏)は、この通行妨害禁止仮処分についても取り上げ、「13世帯は自然豊かに仲良く暮らしたいだけである。その住民を通行妨害禁止命令で苦しめる長崎県の行いは、SLAPPではないか」と述べています。

近年ではインドネシアやフィリピンでも権力の横暴を抑止する動きが起きていて、SLAPPを防ぐ対策が建てられていると言う。日本の人権意識は後退するばかり…。

なぜ?

執行停止却下に対する声明を発表

3月30日の石木ダム事業認定執行停止申立却下に対し、4月11日、石木ダム対策弁護団と石木ダムに反対する県内5団体が連名で声明を発表しました。

執行停止申立却下に対する声明(H29.4.11)

今回の決定は「緊急性がない」として退けるだけでなく、「申立人らの損害は金銭賠償によって回復可能だから重大な損害に当たらない」とまで述べられていました。あまりにも人間の尊厳を踏みにじる許しがたい判断であり、その点を私たちは厳しく批判しました。

                         長崎新聞 2017.4.12

 

事業認定執行停止、却下

2015年11月、地権者110人は石木ダムの事業認定取消を求めて提訴し、直後の12月、同認定の効力の執行停止を求める申し立てをおこなっていました。

これは、この事業認定が取り消すべきものかどうか、つまり、石木ダム事業の必要性について争われている最中に、石木ダム事業の手続きや工事がどんどん進んでいけば、仮に取り消すべきとの判決が出ても、時すでに遅し、ダムは出来上がりました、なんてことになりかねません。
ということで、判決がでるまでは、工事や手続きが進まないよう、その認定効力の執行停止を裁判所に求めたのでした。

昨日、2017年3月30日、その決定が出されました。主文は「却下」です。

決定書はこちらです。石木ダム H29.3.30 決定書(執行停止申立事件)

長崎地裁の判断は、ごく平たく言えばこういうことでしょうか。

★事業認定そのものが皆さんの生活を奪うものではありません。
収用裁決が出され、明渡し期限がきて、行政代執行されるまでは、そこに住めるのだから、いま認定の執行停止を求める緊急性はありません。

★ふるさとの自然やコミュニティが破壊され、住み慣れた土地を強制的に追われ新たな場所での生活を強いられることによる精神的肉体的損害については、金銭的な賠償により解決できるので、執行停止するほどの重大な損害にはあたりません。

「緊急性」の概念が、裁判所と私たち一般市民では大きく異なっているようです。

つい最近まで、警察は事件が起きてからでないと動かない、と言われていましたが、ストーカー被害の続出で、事件前にもある程度対応してくれるようになりましたね。

しかし、裁判所は危機が直前に迫らないと「停止」はしないようです。
急ブレーキが間に合わない可能性については考えないのでしょうか・・・

また、損害は何でもお金で解決できるという考え方のようですが、
精神的肉体的苦痛はお金では解消できません。
また、失われた自然や文化もお金では贖えません。

608名、石木ダム工事差し止め提訴!

3月6日、今日は石木ダム工事差し止め提訴の日です。

訴えるのは長崎地裁佐世保支部。

でも、その前にまずは長崎地裁へ。

11時開始の事業認定取消訴訟第5回口頭弁論を傍聴するために。

門前集会の後、私たちはいつもの401号法廷で、原告側(私たち)弁護士の意見陳述に耳を傾けました。

利水に関しては高橋弁護士が第6準備書面の要旨を読み上げ、

治水については田篭弁護士が第7準備書面の要旨を読み上げました。

ぜひ、この青字の部分をクリックしてアクセスしてみてください。利水面でも治水面でも、石木ダムの必要性がどんなに虚構に満ちたものであるかということが、本当にわかりやすく述べられています。

次回は被告(国)側の反論ですが、いつも書面の提出のみで終わっています。たまには代理人弁護士の口から語ってもらいたいものです。せっかく多くの傍聴者が集まるのですから。なぜ堂々と反論しないのでしょう。不思議ですね〜

 

さて、長崎地裁での裁判が終わり次第、私たちはマイクロバスに乗り込み佐世保へ。

途中食事休憩をとり、3時前に地裁佐世保支部に到着。

こちらでは長崎地裁前以上に大勢の支援者が集まり、3つの横断幕を持っても、まだまだ列は続いていました。

15:00門前集会、続いて提訴。

15:30妨害禁止仮処分の第3回審尋。

16:00中部地区公民館で報告集会。

ここでもたくさんの人が、高橋弁護士や毛利弁護士、田篭弁護士の説明に耳を傾けました。

利水についての今回のキモは、次の2点。

①慣行水利権について
被告は、佐世保市が慣行水利権を不安定水源と名付け使い物にならないと言う理由として、渇水年(平成19年)度の水量が不安定で70%くらいしか取水できなかったからと説明するが、佐世保市の言う「安定水源」からもこのとき約70%だった。どちらも不安定な度合いは変わらない。では、なぜ慣行水利権だけ保有水源から外したいのか?外さなければ石木ダムが造れないから。

②水需要が増える?理由について
被告は、佐世保の主張「観光客が増えれば水需要が増える」を認めているが実績として相関関係は認められないし、「米軍や自衛隊の万一の場合に備えて過去最大水量を確保しなければならない」とか「SSKの1年に1度あるかないかの水使用量に備えて毎日その水量を確保しなければならない」と言うが、そのようなレアケースのために地権者を犠牲にするのはおかしい。

治水については、次の3点。

①計画規模(どのくらいの大雨に備えるべきか)について
長崎県はダム計画がもちあがると計画規模をレベルアップする。川棚川もそれまでは30年に1度の大雨に耐え得る規模だったのに、石木ダムが計画された昭和50年には急に100年に一度の大雨に変わってしまった。

②水量(どのくらいの水が流れるのか)について
100年に一度の大雨と言うが、その降り方は9パターンの中の1つ(1時間に集中して降る)であり、そのようなケースは500年に1度以上の稀なケースであり、しかも仮にそのような雨が降ったとしても、上流部分で溢れてしまい、下流には算出した水量は流れないはず。なぜなら上流域は未だに30年に1回の計画規模だから。

③余裕について
仮に県が想定した水量が流れてきたとしても流せる。流せるけれど余裕が欲しいと県は言っている。万が一の余裕を持たせるために地権者の暮らしを破壊するのか?

 

続いて平山弁護士から、事業認定取消訴訟関連の「執行停止」についての説明がありました。
国が言っている3つの点と、それについての反論です。

①お金によって補償できるのだから重大な損害ではない。→人格権や歴史や自然などお金では得られないものであり、一度失ったら戻らない。故に重大な損害である。

②原告の言う損害は事業認定によって生ずるのではなく土地の収用によって生ずる。→事業認定があって土地の収用がある。両者は繋がっており、親亀子亀みたいなもの。一連の手続きである。

③緊急性が無い。
既に強制収用は始まっている。家屋等の収用に向けた手続きも進められている。今止めなければいつ止めるのか?緊急性は明らか。

執行停止に関する審尋は今日で終了。後は決定を待つだけ。その決定がいつになるかはまだわからないとのことでした。

 

取消訴訟の次回期日は5月22日(月)14:00〜で、

妨害禁止の仮処分に関しては、4月24日(月)14:30〜です。

やはり、1日2ヶ所は厳しいのでホッ!ですね。

 

さて、いよいよ本日のメインイベント、工事差し止め本訴についてです。

訴えた内容は昨年の工事差し止め仮処分とほぼ同じ。つまり、この工事によって私たちの権利が侵害される。そんな工事は許されない。だから工事を差し止めてくださいというもの。なぜ同じ内容の訴訟をおこすのか。その理由は3つ。

①工事差し止めを求める人が増えていること。昨年は505名だったが、今回は608名。100名以上増えている。

②仮処分では緊急性を第一義とするので、それで争うよりも、侵害される権利の重大さ、これを中心にじっくり争っていきたい。

③仮処分は非公開なので当事者しか法廷に入れない。本裁判は公開なので、いろんな人が傍聴できる。オープンな場で闘っていきたい。

以上の理由から本裁判の提訴をおこない、受理された。明日、福岡高裁へ申し立てた抗告審は取り下げる。

とのことでした。

 

さあ、今日から新たな裁判のスタート。少し長くなるかもしれないけれど、どっしり構えてじっくり向き合いしっかり追求しよう。私たちの権利を。それぞれの権利を。

そこに住み、そこで暮らす権利。

そこで耕し、収穫し、その喜びを生きがいとする権利。

自然の恵みを受け、未来へ手渡す権利。

消費者として水道料金の有効な使い方を求める権利。

納税者として無駄遣いをチェックする権利。

要らないものは要らないと言う権利。

県であっても国であっても、恐れることはない。

主権者は私たち。

私たちの権利を守るのは私たち。

力まず焦らず、軽やかに行動しよう。

石木川の流れのように。