石木ダム工事差止 請求棄却

3月24日、「石木ダム工事差止訴訟」判決の日。長崎地裁佐世保支部前。コロナ対策でわずか9席の傍聴席を求めて約60人が集まりました。



その門前集会で、岩下さんは原告を代表して、こう述べました。

「裁判所におかれては、現実を直視し、行政に忖度しないで、正しい判断をされるものと思っている」と。

しかし、その願いは届かず、結果は「棄却=石木ダム工事差止は認めない」でした。



判決直後、岩下さんは、記者団のインタビューに答えて、「  本当にダムが必要なのかと裁判官に訴えてきたが、議論が尽くされたのか疑問に思う。私たちは今後も住み続ける。その思いは全く変わらない」と語りました。

その後、報告集会には、約100人もの人々が集まり、弁護団の報告に耳を傾けました。

 



まず、平山弁護士から判決要旨(佐世保支部判決要旨)に沿って、棄却理由の説明がありました。

その主な理由は、

①住民の生命・身体の安全という権利性は認めるが、ダム建設によって、それが侵害されるおそれがあるとは認められない。
②豊かな自然とその恵みを享受しながら生活を営む権利や人間の尊厳という概念は抽象的で、内容も不明確で、差し止め請求の基礎となる法的権利とはいえない。

ということでした。



弁護団長の馬奈木弁護士は、この判決は、近代市民社会を潰す判決だと指摘しました。

権利の尊重は近代市民社会の根本原理であり、国際社会では、それを侵すものに対しては「即、差し止め」が原則である。もちろん例外はあるが。

ところが、日本では、「まず我慢せよ」が原則。その受忍限度を過ぎたら損害賠償、最後が差し止めである。逆転している。

しかし、4大公害訴訟などの闘いを経て、日本でも徐々に権利が認められるようになってきた。原発事故の裁判では、多くの裁判所が、ふるさとで暮らす権利を認めて損害賠償の判決を出している。

こうばるで生活を営む権利や人間の尊厳が抽象的で権利性が無いなど、とんでもない!

そう言えば、憲法には幸福追求権がありましたね。

第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

何が幸福かは人それぞれ違うのですから、「抽象的」で当たり前です。こうばるの皆さんにとってこうばるで暮らすことが最大の幸福なら、その幸福を追求する権利を県は尊重しなければならないはずです。公共の福祉に反しない限りにおいて。

尊重しなくて良いと言うなら、公共の福祉に反していることを説明しなければならないはずですが、その説明は、判決要旨には何もありませんでした。

私たちは、この裁判において、石木ダムの必要性の無さを利水面でも治水面でも、詳しく丁寧に訴えてきました。要旨の中でそれに何も言及していないのは、必要性の無さを立証できなかったからであり、それはつまり、公共の福祉に反しているとは言えないということです。ということは、県や佐世保市はこうばる住民の幸福を追求する権利を奪うことになるダム建設は、強行してはならないということになるのではないでしょうか。

戦後、日本国憲法ができたときに中学生に配られたという「あたらしい憲法のはなし」には、こんなふうに書かれています。

人間がこの世に生きてゆくからには、じぶんのすきな所に住み、じぶんのすきな所に行き、じぶんの思うことをいい、じぶんのすきな教えにしたがってゆけることなどが必要です。これらのことが人間の自由であって、この自由は、けっして奪われてはなりません。また、國の力でこの自由を取りあげ、やたらに刑罰を加えたりしてはなりません。そこで憲法は、この自由は、けっして侵すことのできないものであることをきめているのです。

こんな自由も、幸福を追求する権利も奪われたら、どんなに住みにくい世の中になるでしょう。そうならないためにも、私たちは、控訴して闘い続けます。

石木ダム工事差し止め訴訟・明日判決



おお〜っと宣伝・告知忘れてた〜!

明日2020年3月24日(火)14時に
石木ダム工事差し止め訴訟の判決が言い渡されます!
傍聴券抽選は13時30分。
判決後、報告集会を中部地区公民館・研修室(光月町体育文化館隣)で行います。
みなさん、どうぞ応援よろしくお願いします!





ちなみに、
2020年2月の佐世保市の平均給水量。
66,196㎥/日。
長崎県と佐世保市が主張する安定水源は
77,000㎥/日。
余裕!



長崎県の県営ダム・石木ダムは佐世保市に建設されるわけではなくて、
お隣の川棚町に建設予定のダムです。

事業認定取消訴訟、最高裁へ上告



福岡高裁の不当判決言い渡しから11目の12月10日、事業認定取消訴訟の原告団102名は、ついに最高裁に上告しました。

長崎地裁や福岡高裁がどんなに不当な判決を出そうとも、「憲法の番人」と言われる最高裁なら、上告人の人権を守ってくれるはず、土地収用法運用の違法性を見抜いてくれるはず…と信じて。

(‘◇’)ゞ

 

二審の判決は一審のコピペ!?

11月29日。事業認定取消訴訟の控訴審判決が言い渡されました。



(久々に中島三代治さんによる法廷スケッチ)

予想通りの不当判決。不当も不当。最大級の不当判決です。

西井和徒裁判長は早口だったので、「主文1.〇〇を棄却する。2.控訴費用は控訴人の負担とする。以上です」しか聞き取れませんでした。しかも、告げ終わるやいなや、そそくさと、まるで逃げるように後ろのドアの中に消えたのです。

よほど居たたまれない思いがあったのでしょうか・・・?



「不当判決」の旗出しの代わりに、皆で「石木ダムNO!」の意思表示。



馬奈木弁護団長が、待ち構えた報道陣に、まずは一言。

今日の判決は裁判所の自殺行為。
国民の声を聞こうともせず、官僚に忖度した。
福岡高裁は国民の信頼を平気で裏切った。
この裏切りを私たちは許すわけにはいかない。

詳細は場所を移して弁護士会館で…



馬奈木弁護団長:極めて不当な判決である。
しかも判決言い渡しにわずか数秒しかかかっていない。
自分の判決に自信があるなら胸を張って国民に説明すべきなのに、用意された判決骨子すら読み上げない。

いま判決文をざっと見たところ、一審の判決に上書きしたようだ。
新たな判断は何もなさそう。つまり彼らは何も仕事をしなかった。
負けさせるという目的だけを達した。

しかし、このようないい加減な判決なら、むしろ最高裁で勝てる可能性は高い。
私はこれまで、高裁で敗れ最高裁で勝った裁判を6つ経験している。
この裁判は7件目になるだろう。
それほど酷い内容だということ。

何故そう言えるのか。
行政には裁量権が認められているが、
 重要な事実誤認があった場合、
 または事実評価に合理性を欠く場合、
 内容が、社会通念に照らし、著しく妥当性に欠く場合、
 それは認められない。否定されるべきものである。(最高裁判例)

佐世保の水需要予測はまさにその例!
需要予測は4回が4回とも外れている。しかも大幅に。
あれが事実誤認ではないなどと、最高裁は恥ずかしくて言えないだろう。
誰が見てもあの需要予測のグラフは信じられない。
妥当だとは言えないということ。

何度も言うが、私たちは私たちの未来を裁判所に委ねているのではない。
私たちの要求は私たちの力で勝ち取っていく。それが民主主義だ。
しかし、こんなデタラメな判決を国民は許さない、ということを最高裁に示していこう。
皆の力を結集しよう。

(拍手)

岩下さん(原告代表)



私たちは50年近く闘ってきた。ダムの必要性について話し合いを求め続けたが、県は補償交渉にしか応じようとしない。
国に事業認定申請をし、認定されたら収用委員会に裁決申請をし、裁決されたら、裁判の結果を待たずに私たちの土地を収用してしまった。
このようなことは決して許されない。
私たちは故郷を離れるつもりは全くない。私たちの力は権力者の前では弱いが、皆さんの力を借りて、これからも闘っていく。ただちに上告するつもりだ。
よろしくお願いします。

(拍手)

長崎新聞:皆さんが提出された識者の意見書は、どの程度テーブルに上がったのか?

高橋弁護士:伊藤教授(法政大学)の意見書については「当裁判所の判断を左右しない」の1行のみ。読んでいないということでしょう。

朝日新聞:具体的に言うと?


高橋弁護士:利水で言えば、慣行水利権を不安定水源として排除している理由について、一審の判決を踏まえた上で私たちは、その論理的矛盾や事実誤認を指摘しているのに、それに対する判断が全く抜け落ちている。
ただ「佐世保市の判断が間違っているとは言えない」として片付けている。
つまり、佐世保市にとって致命的な指摘をすると、それは無視をして「それで左右されるものではない」となる。

馬奈木弁護団長:そもそも、「許可水利権は安定水源で慣行水利権は不安定水源」とする佐世保市の考え方は間違っている。
慣行水利権とは国が許可する許可水利権制度を作る前からあったもので、水が足りないときはまず慣行水利権が優先され、その残りで許可水利権を分け合うのが筋。佐世保市の解釈はそれが逆転しているし、それをこの裁判所でも認めた。
どちらも水利権の歴史を知らない間違った判断である。
これは最高裁では通らない。法律の解釈を根本から間違えている。

長崎新聞:最高裁では違憲訴訟になると思うが、闘い方の変化はあるのか?

馬奈木弁護団長:土地収用法そのものよりも運用の仕方が問題。その違憲性を問いたい。経済的価値を補償すればいいという行政の考えは不動産屋的な発想。生活全体をひっくるめた価値を見るべき。

続いて報告集会に入り、まずは判決骨子について弁護団から解説。



平山弁護士:判決自体は、原判決(長崎地裁の判決)と全く同じ。
つまり、一部の原告(不動産を持っていない原告=地権者の家族等)については却下し、それ以外の原告の請求を棄却している。
内容的にも、原判決をコピーして、そこに下線を引いて二審の意見を挿入しているに過ぎない。下線の無いページがたくさんある。つまり、ほとんど原判決をなぞったものである。

ダムの必要性については、県や佐世保市は積極的に必要と主張しているが、裁判所はそこまでは言えないと思ったのか、「不合理とは言えない」という表現が多い。

また、覚書については、効力があるか無いかさえ言及していない。覚書について認定庁が判断したり審査したりする必要は無いと言っている。



八木弁護士:私は佐世保の水需要予測の生活用水について担当している。生活用水原単位が210ℓになるという予測を原審では認めているが、その理由は相関関係が0.94という高い統計を使っているので予測は妥当だと認めていた。我々はもう1つの統計も同じく0.94という相関関係を持っている(これを使うと水需要は180ℓ後半になる)が、そちらは何故使わなかったのか尋ねたが、それについての合理的説明はない。

高橋弁護士:水需要予測の計算の中で負荷率というものが使われる。過去何年間の最低値を使うか、その時々で勝手に基準を変え、結果的に毎回80.3%という数字を採用している。つまり自分たちの都合のいい数字を使って佐世保市は計算しており、それを裁判所は認めてしまった。

これはとんでもない判決だし、またこれをお墨付きを得たとして佐世保市がより無茶苦茶な水需要予測をたてないよう注視し、運動していかなければならない。

長崎市民:一般社会では覚書は立派な約束事として通用するのに、何故この裁判では無視したり斬り捨てたりできるのか?

馬奈木弁護団長:俗に紳士協定と言うが、紳士協定とは法的拘束力を持たない約束事。その真意は「法律で縛られなくても約束は守る、紳士だから」ということ。日本的に言えば武士だから。武士に二言はない。という意味。
決して約束は守らなくていいという意味ではない。逆に政治的責任は重い。

福岡市民:「力のある正義」を目指すべきだ。
先日の全国集会で地元の松本好央さんが、「生活も気持ちも全然変わっていない。変わったのは仲間が増えたこと」と言われた。
ちょうどいい機会なので、福岡でもやっと「石木ダム・強制収用を許さない福岡の会」が11月27日にできたことを紹介させていただく。
川辺川ダムの場合、高裁判決で勝利したが、東京で川辺川ダムに反対する団体ができたことが大きかったと思う。東京にはいろんな人材がいる。
石木ダムも最高裁への上告を機会に是非いろんな人に呼びかけて、広げていこう。

(拍手)

佐賀県民:裁量の範囲内で不合理とは言えない等、官僚に忖度した判断に終始している。基本的人権を一顧だにしない。こんなことがあっていいのかというのが社会通念だと思う。そういうことに対する裁判官の斟酌が無いように思うがいかがか?

馬奈木弁護団長:社会通念はどこにあるのか?例えば、原発について世論調査すると反対派が60%とか70%、80%などの結果を示すことがある。しかし、裁判官は屁とも思わない。これは何とかしなければと裁判官に思わせる、見える形を作らなければならない。
先日の全国集会、あんなことが川棚でできるようになった。すごいことだ。ああいう運動を東京で作っていかねばならない。最高裁の裁判官に見えるようにするために。これが今からの課題。

佐世保市民:東京といえば、明日、佐世保の子どもたちが東京で「こうばる」について語る。そのことをお知らせしたい。
環境省や文科相の共催で開催されるGBEコンクール(Green Blue Education Forum実行委員会主催)で、「未来に守り残したい自然環境、創りたい未来」について、子どもたち自らがプレゼンテーションするというもの。
全国の応募者の中からファイナリスト(各部門3チーム)として選ばれた佐世保の小学生姉弟は、未来に残したい場所として「こうばる」の魅力を精一杯アピールし、ここをダムの底に沈めたくない、ここでずっと遊びたい思いを語る予定。

(拍手)

最後に、岩下さんから挨拶。

私たちは今回の判決を気にせず、今後とも力強く闘っていく。毎日の座り込みは寒さに向かっていく中で厳しいものがあるが、ご支援をよろしくお願いしたい。

(拍手)

そして締めは岩本さんの音頭でガンバロー三唱。



いつも穏やかな岩本さんの「ガンバロー!」の声の大きさにびっくり!!!

内に秘めた怒りの叫びのようでした…

工事差止訴訟 結審!



今日は工事差止訴訟の結審日です。
いつもの原告や県内支援者だけでなく、中部地方や関東地方からも7名の方々が傍聴されました。感謝!!

開廷後すぐに原告側から3人が意見陳述を行いました。

●岩下和雄さん(川原住民) 陳述書 (岩下和雄)

●鍋島典子弁護士(原告代理人) 意見陳述(鍋島)

●平山博久弁護士(原告代理人) 意見陳述(平山)

その後、被告側からの陳述はなく、準備書面等の確認の後、結審しました。

判決は、令和2年(2020年)3月24日(火)14:00 です。

 

いつもの中部地区公民館で報告集会。
今日は、まず初めに記者団による質問です。

Q:この裁判の争点は?

A:争点は、今の時点でダムの必要性があるのか、権利侵害があるのかということ。しかし被告側は、既に事業認定取消訴訟の一審で石木ダムの必要性は認められているとして議論しようとしない。事業認定の正当性を争った取消訴訟は、認定した当時(2013年)のダムの必要性を問うものであり、この裁判(工事差止訴訟)では、いま現在の必要性を問わねばならない。基準時が全く違うので、改めて議論すべきである。被告側はそれを逃げている。正面から議論すると勝てないので逃げている。逃げても裁判所は守ってくれると高を括っている。
実際にそういう場面がありましたね。

(それは、結審の直前のこと。裁判長が「被告は本件事業の公共性公益性について原告の主張に対して具体的な反論をしていないが、別件訴訟の一審判決が正しいので原告らの主張は理由として認められない、ということでよろしいですか?」と確認し、被告は「はい」と答えていました。裁判長が被告に代わって説明?!)

Q:もう所有権が行政に移ってしまっているが、原告の方の立場はどういうふうに捉えたらいいのか?今日の昼のニュースでは、「元地権者」と表現していたが。

A:居住者である。我々は地権者として裁判をおこしたわけではない。そこに住んでいる者として、その権利を主張している。この裁判では、13世帯の暮らしが合理的理由もなく奪われるということと、佐世保市民にとっては自分たちの税金が無駄に使われ、市民生活が脅かされるということを問題にしている。

(佐世保市民にとっては税金というより水道料金です。石木ダム負担金のほとんどが水道会計から出て行くので水道料金の値上げに繋がります。一部税金からも支出しますが、税金による負担なら、県税からも支出し、国庫補助も受けるので、長崎県民も日本国民もみんなの税金が使われています。だから、この訴訟の原告は日本中から集まっているのです)

Q:工期延長を受けて佐世保市が新たな水需要予測を出すようだが、裁判に影響するのかしないのか?また、水需要予測について弁護団はどのようにとらえているのか?

A:佐世保市の発言は「いつかはしなければならない」ということであり、「今すぐやる」とは言っていない。判決には間に合わないだろう。佐世保市は29年度にやるべきだったのに口実を作ってやらなかった。が、34年度にはやらなければいけない。工期延長の関係で来年やるかもしれないが、再び過大な予測となるかもしれない。きちんと再評価をするよう我々も望んでいるし、佐世保市民からもそういう声が上がっているようだ。

 (佐世保市は再評価を2回逃げています。1回目は27年度の工期延長のための再評価。県は治水について再評価を行ったが、利水についてやるべきだった佐世保市はそれを怠った。2回目は29年度。5年ごとの通常の再評価をやるべきだったが、24年度の再評価を後付けで特別な再評価と位置づけ、次は34年度で良いことにしてしまった)

Q:長崎地裁では市の予測を行政の裁量権として認めたようだが、佐世保支部ではどのような判断をすると思われるか?

A:そのように言い張る裁判官もいるが、予測が間違っているのは明らか。既に30年度までの実績値が出ているが、予測値との差はますます大きくなっている。

Q:権利の侵害が争点になっているとのことだが、訴訟している間にも収用の手続きは進んでいき、明け渡し期限を迎えてしまった。この状況の変化は、訴訟にどのように影響しているのか。

A:居住している限り、所有権は全く問題にならない。名義が変わったのは観念論である。名字が変わっても人格が変わらないように、所有権が変わっても、そこに住んでいる限り住んでいる者の人格権は変わらない。居住し生活をする権利の侵害を問題とすることに影響はない。

 

フリージャーナリストを含め、記者の皆さんからは次々に質問が出されましたが、時間となり、その後はいつもの報告集会に移りました。

まず初めに、今日意見陳述した3人の方からポイントや感想が述べられました。

平山弁護士これまでの裁判では叶えられなかったが、この裁判では是非とも、原告の人々の怒りや疑問に正面から答えてほしい、その思いを込めて陳述した。

鍋島弁護士どう話したら裁判官は「そうだよねー」と思ってくれるかなと、それをとても考えた。裁判官というのは各地を転々とする職業なので、ふるさとに拘り続ける人々の思いに寄り添うのは難しいかもしれない。だからこそ、前回の居住者による意見陳述の言葉が一番大事だと思い、それぞれの陳述書から引用させていただいた。

 岩下さん:今回原告からの意見陳述は予定されていなかったが、前日の集会で集会宣言が採択されるというので、急遽それを読み上げることになった。言いたいことはいろいろあったが、時間もなかったので前置きとして今の気持ちを短くまとめた。

 

続いて、質疑応答です。

支援者:先ほどの記者の方からの質問に答えて、明け渡し日を過ぎても何も影響はないとおっしゃっていたが、本当にそうだろうか?権利をはく奪されたところに住んでいると不法行為とみなされたりするが、不利益が生じることはないのだろうか?

住民:私たちの想い(住み続たいという願い+住み続けるという覚悟)は、今日が過ぎても、1ヶ月後、1年後も何ら変わらない。覚悟はできている。

弁護団:弁護団としては、居住している以上、その権利を守るということを主張していきたい。所有権の有無や明け渡し日は問題としない。

住民:29日には高裁の判決が出るが、その後の予定はどうなるのか?

 弁護団:高裁の判決はほぼ予測はついている。上告の手続きも進めているし、2月には最高裁への要請行動も予定している。

弁護団:浦瀬課長の「追い風」発言が話題になっていたが、あれは本音だろう。内心、佐世保市の関係者は「渇水が起きてくれないかな~」県の関係者は「洪水が起きてくれないかな~」と思っているだろうとは思っていた。まさか口に出すとは思わなかったが。そんな、他人の不幸をあてにしないと前に進めないような事業はおかしい。必要性が無くなっていることの証である。裁判がどんな結果になろうとも、私たちの正しさは、ここでも確認された。

佐世保市民:浦瀬氏は二重の間違いを犯したと思う。1つは災害にあった人の不幸を利用したということ。もう1つは、災害の時に石木ダムがあたかも役に立つように述べたこと。昨日の嶋津先生の説明など聞けばそれは明らかだが、マスコミの報道には、そういうことがあまり書かれていないのが残念だ。

 嶋津氏:裁判も頑張っておられるし、我々も頑張っているが、今ここにおられる皆さんにできることがあれば、アドバイスを頂きたい。

弁護団:皆さんがまず確信を持って石木ダムは不要だと広めて頂くこと。昨日、嘉田さんが言われたように、行政代執行してダムを造ったところは無いのだから、13世帯に対して、それはあり得ない。焦ることは無い。焦っているのは向こう。我々は行政代執行などとんでもないという世論を作っていくこと。

住民:毎朝、工事の音で起こされる。昨年から体調が悪く辛いが、それにだんだん慣らされていっていることが怖い気がする。追い風発言とかそういうことに、支援者の方も慣れないでほしい。風船がどんどん膨らんで、いつかパンとはじけるように、石木ダム問題もはじけてほしい。慣れると風船がしぼんでしまう。

福岡市民:議員連盟もできたので、いろんな疑問や提案をあちこちの議会でどんどん出していってもらうよう、働きかけをしていくのがいいと思う。

 

などなど、昨日の余韻か、記者の皆さんも市民県民、他県民まで発言が相次ぎました。

この熱気が萎まぬように、みんなでどんどん膨らませていきましょうー

 

高校生が伝えたかった思いとは

8月28日、石木ダム公開討論会を求める署名提出後、参加者は県政記者室で記者会見を行いました。

署名活動の主体となっていた「いしきをかえよう」実行委員会、映画「ほたるの川のまもりびと」の山田英治監督、署名活動の事務局としてサポートしていたパタゴニア日本支社の辻井隆行社長などに交じって、その中央の席に座っていたのは、佐世保市在住の女子高生荒岡梨乃さんでした。



普段は人前に出ることが苦手だという梨乃さんが、勇気を振り絞ってここに来た、その思いとは何だったのでしょう?

新聞・テレビで伝えられたのは、その映像だけだったり、発言のごく一部です。そばで見ていた者として、多くの長崎県民に、そして、県知事や佐世保市長にこの高校生の思いを知って頂きたいと思いました。梨乃さんの了解を得て、会見原稿をここに公開させて頂きます。

 

私は佐世保の公立高校に通う3年の荒岡梨乃です。この度、このような、意見を発表する場をいただけたことを光栄に思います。

 私が石木ダムの建設事業について知ったのは中学2年の時に見た新聞に掲載されている村山嘉昭さんの写真がきっかけでした。日が暮れ、暗くなった河原にホタルが飛んでいる様子がとても綺麗だったことをよく覚えています。こんな場所がどこにあるのだろうと思い調べてみるとすぐ近くだったことに驚きました。そして、ここがダムに沈められてしまうかもしれないということも。
 しかし、この建設事業について詳しく知る人はあまりいません。自分が住んでいる街のことなのにです。
 私の学校の友人でも、知っている人はあまりいませんでした。話そうとしても関心がなさそうな人も多かったです。そんな実態に悲しくなりました。
 もし、仮にダムが建設されたとして、その負担金を払うのは市民である私達であり、未来の構成員である現在子どもである私達です。それなのに、詳しく石木ダムについて知らず、知る機会もないまま事業は進められています。本当にこのままでよいのでしょうか。
 まずは、石木ダムが本当に必要かを考える機会の場を作ってほしいと望みます。
 一度壊れた自然はもう元に戻すことはできません。未来に残すものの優先度を今一度考えてほしいです。
 行政は本当のことをきちんと伝える義務があります。メリット、デメリットをおさえて真実を伝えるべきです。そして、県民には意思表示をする義務があります。一人一人がこの問題について考えるべきです。

 毎年夏にこうばるに訪れますが、これがここに訪れる最後となるのではないかと不安になります。健やかな自然の中にあるぎょっとするような禍々しい看板の不自然さを、訪れた人はみな感じると思います。
 50年近くこの事業は食い止められていますが、さして問題は起こっていません。食い止められているのは座り込みなどをして必死で守ろうとしている人々がいるからです。その間、こうばるの方々は普通の生活を送れていません。自由もありません。そのことを県民の皆さんに知ってほしいです。

 

梨乃さんは1枚の写真(河原に飛ぶホタル)に出会い、魅せられ、その場所について調べるうちに石木ダム問題にぶつかりました。「その負担金を払うのは市民であり、未来の構成員である私達」だと気づき、考え始めます。しかし、ダムの必要性を考えようと思ってもその判断材料が少ない。よくわからない。だから、公開討論会を開いてほしいと願っています。

梨乃さんの言葉を、知事や市長だけでなく、私たち県民も、しっかり受け止め、心に留めましょう。

「行政は本当のことをきちんと伝える義務があります。メリット、デメリットをおさえて真実を伝えるべきです。そして、県民には意思表示をする義務があります。一人一人がこの問題について考えるべきです。」

梨乃さんは「毎年夏にこうばるに訪れますが、これがここに訪れる最後となるのではないかと不安になります」とも記していますが、そう思っているのは、実は梨乃さんだけはありません。

映画「ほたるの川のまもりびと」がきっかけで「こうばる」を訪ね、こうばるが大好きになった佐世保の子どもたちがいます。その子どもたちの中には署名活動に参加した子もいて、28日に一緒に県庁に行き、知事さんにお願いしたいと言ってたのですが、大人の側の配慮で見合わせてもらいました。

その代わり、この子どもたちの想いを記者の皆さんには知ってほしくて、次のようなメモを配布し、山田監督から説明して頂きました。





この子たちが望む未来を、私たち大人が、消し去ろうとしています。

まともに考えもせず、無関心なまま行政に丸投げし、気づいた時は「後の祭り」となるのでしょうか?

「ボーっと生きてんじゃねーよ!」チコちゃんだけでなく、多くの子どもたちからそう言われないよう、今こそ、しっかり考えてみませんか?

9月8日の緊急集会に是非お集まりください!

副知事、要請書受け取り拒否!

7月30日午前10時県庁集合。



「石木ダム建設絶対反対」「強制収用は許さない」「石木ダムNO!」の幟やプラカードを持った人々が県庁ロビーを埋め尽くしました。



こんなにたくさんのメッセージカードも!

「部屋を用意しているのでそちらへどうぞ」と促す河川課職員に対し、地権者の代表は、「私たちは知事に会いに来た。知事へ私たちの土地を強制収用しないよう伝えるためにやってきた」と。しかし、知事は上京していて不在だと言うばかり。

「知事を出せ!」という怒号が飛び交う。

傍にいた職員が私に、「わかってくださいよ。本当に知事は不在なんですから。窓口のTさんには事前に伝えてありましたし、ちゃんと私たちが対応しますから」と言うので「東京のどこに何の用事で行かれているのですか?」と問うと、「それは言えない」と言う。

こりゃ、ダメだ~。これまでさんざん県に騙されてきた人たちに、内容については言えないけど東京出張は信じてください、なんて無理な話です。

県が強行しているダム建設のために、家や土地を奪われようとしている人が会いに来るとわかっていて、それでも行かねばならない大事な公務なら、隠す必要はないでしょう?例えば、「新幹線の件で国交省へ」とか「IRの件で経産省へ」とか。その程度なら言えるはず。それさえも言わないので、在庁しているのではないか?我々に会いたくないので用もないのに東京へ逃げ出したのではないのか?などと勘繰られるのです。

膠着状態に陥ったままお昼に。各自、持参したおにぎりや庁舎内のコンビニで買ったお弁当を食べ、午後に突入。

午後からは、知事がいないなら副知事に要請書を手渡そうということになり、河川課職員と交渉。

しかし、これまた難航。副知事は在庁しているのに、公務のため会えないという。秘書課長も出てこない。なぜなら石木ダムの担当は秘書課ではないから。担当は河川課だから。

この対応に、みんなプッツンしました。それならこっちから出向こう!と。



秘書課に通じる廊下に人の列。「通せ!通せ!」の大合唱。狭くて、熱気で蒸し風呂状態。



私は、この階段の上にいたので、先頭の方の状況は何もわからなかったのですが、後で聞いたら、子どもたちが最前列にいて、「通してください」と何度も何度も頼んだのに、職員はただ無言を通していたそうです。

このままでは、熱中症で倒れてしまう人も出てしまうかも…それを危惧して再びロビーへ移動。

やっと秘書課長が登場。



しかし、「副知事は公務のため、私が受け取ります」と繰り返すばかり。

「我々への対応は公務ではないのか!?ほんの10分でいい!」

そう粘っても、頑として拒否。

そこで、もう諦めました。今日は要請書を渡さずに帰ろうと。

地権者の思いが詰まった「強制収用の取り下げを求める要請書」は、本来知事に直接手渡すために持ってきたのです。届けるだけなら郵送でもできます。対面し、文字にできなかった思いを直接伝えて渡したかったのです。

しかし、不在ならやむを得ない。知事の代行者である副知事に託そうと決断したのに、それさえも受け入れない。

この対応って何ですか!どこまで地権者を傷つければ済むのですか!

これは全て知事の責任です。
「地権者が来ても自分は会わない(会えない?)対応は河川課がするように」とトップが決めたら、部下はそれに従わざるを得ない。矢面に立たされた河川課職員は防波堤になろうと必死でした。その防波堤は突破されたけど、秘書課長がかろうじて守りました。副知事からは、よくやったと褒められるのでしょうか?私たち県民の目には、道理が通じない、人の心を持たないロボットのように見えました。

その頃、秘書課の前では、まだ子どもたちとそのお母さんたちが頑張っていたことを後で知りました。

その場に同行していたMさんに聞きました。

ある男の子は、「どうして知事に会えないのか?どうしてダムがいるのか?わかるように教えてください!」と訴えていたそうです。

こうばるに住んでいる女の子は、「私の家を取らないでください!ダムはいりません!私は死にたくありません!弟や妹も死んだらいやです!」と泣きながら叫んでいたそうです。

それでも県の職員は、表情も変えず道を開けまいと立ちはだかり、まるで心を失ってしまったかのように見えたそうです。

おそらく、そうではなかったでしょう。子どもたちの言葉に職員の皆さんも動揺し、まともに聞いていたら職務を放棄したくなるので、見えない手で耳を塞ぎ、別のことを考えようと必死で頑張っていたのではないかと想像します。

このような辛い仕事を部下にさせて、知事は平気なのですか?


「また出直します。その時は、また皆さんよろしくお願いします」地権者の挨拶を見守る人垣の後ろに居て、ふと天井を見上げると「青いぜ!長崎」のフラッグが…



「その遺産は、過去と未来を見つめている」

たぶん、世界遺産に登録された「潜伏キリシタン関連遺産」のことでしょう。

知事は、どんな遺産を長崎に残そうとしているのでしょう?

石木ダムを造ったら、まちがいなく禍根を残す『負の遺産』になりますよ。

10時だよ、全員集合!

特に長崎県民の皆さんへ(もちろん他県の方も大歓迎です)

7月30日(火)空いていますか?
空いていたら、ぜひ県庁にお集まりください。
10時に集合です。


川棚町こうばる地区住民の土地が全て奪われようとしています。
石木ダム建設のために。

必要性のない「公共事業」のために、住む家も生業もコミュニティ(13世帯約60人)も奪われようとしています。

その権利侵害の日は9月19日と決まりました。

住民の皆さんはもちろん、私たち県民も看過できません。

私たちは全力で、知事に翻意を訴えます。

平和と民主主義を愛する長崎県民の声を結集し、共に知事へ呼びかけましょう。

7月30日午前10時、長崎県庁にお集まりください!

佐世保市と川棚町からは貸し切りバスが出ます。

乗車ご希望の方はこちらまで、ご連絡ください。

    川棚方面の方→090-4519-2528

佐世保方面の方→090-6171-5810

よろしくお願いします。(‘◇’)ゞ

 

工事差止訴訟 第12回口頭弁論~尋問

いよいよ大詰め!
この日は丸一日かけて本人尋問が行われました。
本人尋問とは、原告本人に対する尋問で、当事者尋問ともいいます。

午前中は、ダム問題に詳しい嶋津暉之氏(水源開発問題全国連絡会共同代表)への尋問。2時間かけて治水面に関する問題点が指摘されました。

嶋津暉之氏(報告集会での写真)
その骨子はこちらです。
http://suigenren.jp/wp-content/uploads/2019/07/6aa2ace98148ef838cb0d3a3c97c9d96-1.pdf

簡単にまとめると、

1. 石木ダムができても、その効果が及ぶのは、川棚川流域のわずか8.8%に過ぎない。

2. 最も危険な最下流域は港湾管理者の管理区間で、整備計画もなく放置されている。

3. 川棚町市街地の下水道計画では、10年に1度(1/10)の大雨にしか対応できないので、石木ダム計画で採用している100年に1度(1/100)の大雨が降れば、当然内水氾濫が起きてしまう。

4. 川棚川の下流域(石木川との合流地点より下流)の治水計画の規模を、1/100にしたのは間違いであり、恣意的。
5. その理由の第1は、氾濫計算を行うための項目の1つである河道状況が、現在のデータではなく、原始河道(昭和50年当時)が使われていること。現況で計算すれば1/50となり、石木ダムは不要となる。

6. 理由の第2は、その原始河道のデータも川幅を実際よりもかなり小さくしていた。(当時の航空写真から算出すると実際の川幅は、1.5倍~2倍もあった)

7. 治水目標流量の計算に使われた過去の雨量データも間違っている。当時、川棚川流域に雨量観測所がなかったので佐世保観測所のデータの0.94倍で算出されているが、実際にはもっと小さかった。昭和23年洪水の正しい推定値は0.57倍であった。

8. 県が算出した1/100の雨が降っても、川棚川が溢れるわけではない。石木ダムを造って余裕高を確保しようとしているだけ。

9. 石木ダムの費用便益比は1.25と県は言うが、治水目的である川棚川の便益比はわずか0.12しかない。石木ダムが洪水対策というのは全く理由にならない。

10.  便益の大半は不特定利水の便益であるが、その値はダム完成前から計上するという有り得ない手法が取られている。まともにダム完成後の便益で計算すれば、石木ダムの便益比は0.66にしかならず、不要という結論になる。

スライドを見せながら、石木ダム計画の問題点を次々に暴いていく嶋津氏の説明に、多くの傍聴者が「目から鱗」だったのではないでしょうか?裁判官たちもそうであったと思いたいのですが…。

続いて県側代理人による反対尋問です。
どんな尋問が飛び出すかと興味津々で聴き耳を立てていたのですが…

1人目の弁護士は、長崎地裁の判決(事業認定取消訴訟第一審)で示された「県の主張は不合理とは言えない」という判断を示すことによって反論しようとしましたが、嶋津氏はその結果についてことごとく「知りません」とかわしました。

バトンタッチしたもう1人の弁護士は、「あなたの主張はあくまでもシミュレーションであり、予測ですね」と言い、嶋津氏だけでなく誰もがあきれたのでしょう。傍聴席がざわついてしまいました。

嶋津氏:私の資料は県のデータに基づき計算したものであり、予測などといういい加減なものではありません!
県側弁護士:でも、ダムができてみないと、どのくらいの効果があるのかわからないでしょう?だから予測だと言っているんですが。
傍聴席:でたらめな)予測でダムを造ろうとしてるのは県じゃないか!
裁判長:尋問中です。静かにしてください。

その後も2~3意地悪な質問が出ましたが、嶋津氏は毅然として答え、午前の尋問が終わりました。

昼休みをはさんで、午後1時半からは住民ら6人への尋問が始まりました。
地権者、地権者家族、佐世保市民の順でおこなわれました。
主尋問に沿って語られた証言で印象的だった部分と、反対尋問を記します。

岩本宏さん(地権者)
(報告集会での写真)
結核を患って働けなかった父に代わって、私は子どものころから母を助けて、田畑を耕し牛の世話をして農作業で生計を立てていた。子どものころの遊びといっても、山や川でただ遊ぶのではなく、木の実を採ったり、小鳥やウナギを捕まえたり、食材確保を兼ねていた。
中学卒業後は弟妹の教育費を稼ぐために定時制高校で働きながら学び、卒業後は町役場に就職して、休日には農業に精を出していた。
結婚後は妻と3人の子どもと両親の7人家族の大黒柱としてさらに頑張り、家も新築した。その家を奪ってまで造ろうとしている石木ダムの必要性に納得がいかない。
石木ダムを多目的ダムとしたのは、「国から補助金をもらうために治水目的を付け足した」という県の説明を、私は昭和46年の説明会ではっきり聞いている。
また、水没予定地となったために町からの補助が得られず、道路の拡幅工事も、水田の区画整備も全て自分たちのお金と労力を費やしてやってきた。
どんなにお金を積まれても、ここを出ていく気はない。

反対尋問(県):県が何度も説明会を行ったのは知っているか?平成26年に知事や佐世保市長がこうばるに説明に来たのは知っているか?
岩本:知っている。
反対尋問(市):石木ダムに反対する最大の理由は何か?認める余地はないのか?
岩本:最後まで頑張ります!

石丸勇(地権者)
(報告集会での写真)
こうばるは自然が豊かなだけでなく、暮らし(近所付き合い)も豊か。老人会や婦人会、サクオレやサナボリなど農作業に関する行事、お寺関係の勉強会など様々な集まりや催しがあり、みんなで協力してやってきた。しかし、ダム反対運動に追われ、だんだん消滅していった。ほたる祭りだけは今でも地域総出でやっているが。
妻も今では反対運動を一生懸命やっているが、以前は、「あなたと結婚したばっかりに、こんな苦労をせんといかん。あなたと結婚してなかったら、違った人生もあったのに」 と時々愚痴を言っていた。今でも「本当にすまなかったなぁ」と思っている。
(最後に言いたいことを聞かれ、)石木ダムは大変な人権侵害である。利水でも治水でも必要性は全くない。これは嘘で固めたダム計画である。

反対尋問は県からも佐世保市からもありませんでした。

岩下すみ子(地権者の家族)
(報告集会での写真)
平成4年に新築した家は夫が設計したもので、使われている木材は全て岩下家の山から伐り出したもの。その木はお義姉さんたちが苗から植えたヒノキであり、そこに住んでいることに安らぎを感じる。
32回目を迎えた今年のほたる祭りにもたくさんのお客さんがきてくれた。数週間前から山菜取りなど食材の準備は始まり、前日も当日もとても大変だが、他所で暮らしている子や孫、支援者の方々と一緒になって作業するひと時は貴重だ。終わった後の達成感や飛び交うホタルの美しさに癒され、また来年も頑張ろうと思う。
もしも石木ダムができたら、この祭りを含むすべての暮らしが奪われる。(涙声)
(家が壊される場面をイメージしたことはあるかと問われ)イメージしたこともないし、考えたくもない、何があってもここに住み続ける。私たち13世帯はこうばるに住むことが一番の幸せ。その幸せを力尽くで奪わないでほしい!

反対尋問(県):あなたにとって納得のいく説明とは?納得のいく説明があれば石木ダムに賛成するのか?
岩下:議論すれば必要性はなくなります。

松本好央(地権者の家族)
(報告集会での写真)
松本家がこうばるに移り住んだのは昭和51年のこと。ダム建設計画に反対だった祖父が、こうばるの地を守りたいと考えての決断だった。その祖父が建てた家に、今も4世代9人で暮らしている。
自宅の隣には父親が経営する鉄工所があり、母や自分もそこで働き生計を立てている。長男もいずれ後を継ぐべく、今は他県で溶接の修行中である。
小学2年のとき強制測量があり、機動隊員が大勢やって来て怖い思いをしたが、その時から自分の中にも、この土地を守りたいという思いが芽生えたようだ。
今は、こうばるの暮らしを描いた映画の上映会に参加したり、田植えや稲刈り体験会を開催して、多くの方にこうばるの暮らしと石木ダム問題について伝える活動をしている。
裁判官の方にも是非こうばるに来て頂きたい!
今朝もばあちゃんが作ったトマトを食べてきたが、「92歳にもなって、今からどこに行かんばとか?」と言っていた。

反対尋問(県):(見ざる・言わざる・聞かざるの大きな看板の写真を指差して)これはどういう意味なのですか?(あなた方は県が説明不足だと言うけれど、県職員の話には耳を塞いで聞こうとしないではないか、と言いたかったのでしょう)
松本:僕はその頃子どもだったので知りません。

石丸穂澄(地権者の家族)
(報告集会での写真)
高校卒業後、名古屋にある美大進学系の予備校に入学したが、わずか10日で断念。体調を崩してこうばるに戻る。自宅療養を続け快方に向かったので、再度長崎市内で一人暮らしを始めたが、再び悪化し入院。精神科の病気はなかなか周りから理解してもらえないが、環境がものすごく大事で療養するためにはこうばるという場所が不可欠である。
自分にできるのは絵を描くことなので、「ダムのツボ」や「こうばる通信」を発行したり、絵ハガキや缶バッジなどで石木ダム問題を伝える活動をしている。ツイッターやブログなどでも発信している。
(県や佐世保市に言いたいことは?と問われ)、私たちの税金を使ってデマを広報で流さないでほしい。

反対尋問(県):そのデマとはどういうことか?
石丸:嘘を言っているということ。

松本美智恵(佐世保市民)
(報告集会での写真)
2008年に移り住んで初めて石木ダム問題に出会った。佐世保市の水道用水確保のために川棚町のこうばる地区の人々が苦しんでいるのを知って、本当に必要なダムなのか知りたいと思い、7回に及ぶ学習会に参加。その結果、石木ダムは不要と確信。石木川まもり隊を立ち上げ、様々な活動(学習会・ホームページやSNSで情報発信・議会への請願・イベントや現地案内等)に取り組んでいる。
石木ダムが不要と考える主な理由は3つ。
1.水需要予測の誤り。
2.漏水対策こそ最優先課題だから。佐世保市の漏水量は1日平均約1万トンであり、それは佐世保市民5万人分の生活用水である。
3.ダム関連事業費の負担が大きく水道料金のさらなる値上げや漏水対策の遅れに繋がる。
(最も問題だと思うことは?と問われ)行政は現実を直視していない。水需要の減少や水道施設の老朽化を直視すれば、新たなダム建設という選択肢はあり得ない。建設してしまえば、その維持管理費は私たちの子や孫が背負っていかねばならない。目先のことだけ考えて物事を決めればどうなるか、年金問題をみれば明らか。今ならまだ間に合う。佐世保市はダム有りきの政策を止め、市民の声に耳を傾けてほしい。

反対尋問(市):あなたは佐世保市が漏水対策に力を入れていないといいますが、過去44年間に225億円も使っている。この数字はご存知ですね?
松本:知っています。だから私たちは、その費目ごとの内訳を尋ねました。例えば平成30年度予算案で漏水調査費は600万円と書かれていましたが、長崎市の漏水調査費は数千万円で、桁違いです。毎年どのくらいの調査費を使っているか知りたくて。でも、費目ごとの整理はしていないとのことで、何にどのくらい使われているのか、教えてもらえませんでした。

以上で全ての尋問が終わりました。
裁判官からの質問は一切ありませんでした。

次回、11月18日(月)を結審とすることが決まり、閉廷となりました。

その後、いつもの中部地区公民館で報告集会が行われました。


平山弁護士:事業認定取消訴訟でも提出した伊藤先生と富樫先生による意見書を提出したが、証拠調べも証人尋問もしないとして、次回が結審となりました。

続いて、尋問を受けた方々からのコメントです。

嶋津さん:これなら勝てるという意見書をまとめたつもりです。しかし、それをどれだけ裁判官が認めてくれるかはわからない。実は昨日も私が関わっている東京のスーパー堤防の判決が出ました。審理の中では十分勝てる内容だったし、裁判長もいい人だったが、それでも勝てなかった。残念ながら、そういう司法の現状があります。今日の反対尋問は、私に対し「反対派」というレッテル貼りをしようとしたり、私の主張を単なる予測として片付けようとしたり…もう少し質の高いものを期待していたのですが、残念でした。

岩本さん:あの場では言えませんでしたが、治水が付け足しであるという根拠は他にもいろいろありますし、佐世保の慢性的水不足というのも全く出鱈目。県民は騙されていると思います。

石丸勇さん:私の時だけ反対尋問がなかったですねぇ。(笑い)それが何を意味しているのか?ホッとしたような、もっと言いたかったような…。ここで言っても裁判官には伝わらないので終わります。

岩下すみ子さん:陳述が進むにつれて、本当にこうばるという土地が大切だなーと感じて、つい涙が溢れてしまいました。とにかく、13軒が住み続ければ絶対に勝ちます。ガンバロー!

松本好央さん:私はこうばるに住んでいるだけでなく、そこに鉄工所があって生業としていることを主に話しました。「ほたるの川のまもりびと」の上映会の話をしたのは、いろんな世代が頑張っていることを伝えたかったから。最後にばあちゃんの話もできて、それがよかったと思います。

石丸穂澄さん:だいたい言いたいことは言えたと思います。病気に対する闘い、病気に対する偏見との闘い、そしてダム問題との闘いについて伝えたつもりです。ただ、それを聞いていた裁判官たちが偏見を持っていたら伝わらないと思いますが。

松本美智恵:先ほどすみ子さんは話しているうちに涙が溢れてきたとおっしゃいましたが、私は話しているうちに怒りが湧いてきて…(笑い)でも、私も言いたいことは言えたので良かったです。

高橋弁護士:今日の尋問を聞いていて、皆さんそれぞれの話が非常に良かった。嶋津さんの原始河道の話など新しい発見もあったし、説明がわかりやすかった。住民の皆さんの思いもよく伝わってきたし、佐世保市民にとっても石木ダムは不要だということが確信持てました。確信を持つことが大事です。一緒に頑張っていきましょう。


八木弁護士:岩下すみ子さんの担当をしました。電話で数回、事前の打ち合わせをやったのですが、その度に最後は泣かれました。考えれば考えるほど、思えば思うほど、こうばるへの愛着が湧いてくるのだと感じましたし、これこそが裁判官にイメージしてもらわなければならないことだと思いました。この裁判で問われている人格権、石木ダムができたら失われるものは何か、人と人との関係性であったり、積み上げてきた時間であったり、尋問の準備をする中で、私にもそれがはっきりわかってきました、これからも頑張ります。

鍋島弁護士:私も尋問を担当しましたが、他の方の尋問を聞けてとても良かったです。それぞれの原告の方が全く別の視点からこうばるの素晴らしさを伝えていましたし、石木ダムが要らないんだということがよくわかりました。裁判官がどんな判決を書こうとも、確信をもって「要らないんです!」と、言い続けていこうと思います。

弁護団の話を聞きながら、なぜかふと、あの言葉が思い出されました。

世の中に、正しいことぐらい強いものはありません

そう。戦争放棄について子どもたちに説明した「あたらしい憲法のはなし」です。

これからさき日本には、陸軍も海軍も空軍もないのです。これを戰力の放棄といいます。「放棄」とは「すててしまう」ということです。しかしみなさんは、けっして心ぼそく思うことはありません。日本は正しいことを、ほかの國よりさきに行ったのです。世の中に、正しいことぐらい強いものはありません。

戦争と石木ダムは何の関係もないのですが、なぜかこの一節が浮かんできたのです。
それは、初めてこの本に出会ったとき、「世の中に、正しいことぐらい強いものはありません」という言葉がとても新鮮で、当時の私を支えたからでしょう。

あまりにも理不尽なことが多い昨今では、すっかり忘れていましたが、今日の尋問と、その後の集会の中で、私は私たちの主張の正しさを確信しました。その確信が、記憶の底から、あの一節を呼び寄せたのだと思います。

そして、それはまさに、こうばるに住む皆さんの強さの理由だと気づきました。

石木ダム工事差止訴訟第12回口頭弁論のお知らせ

みなさん、こんにちは。

明日は石木ダムの重要な裁判が開かれます!

証人尋問(嶋津先生)と本人尋問(地権者ら原告6人)が行われます。



石木ダム工事差止訴訟第12回口頭弁論

7月17日(水)10:00~

長崎地裁佐世保支部

傍聴抽選9:30(その後、門前集会)

報告集会 中部地区公民館講座室(光月町体育文化館隣)



尋問の順番と時間は、以下の通り。

1.嶋津暉之氏(水源開発問題全国連絡会 共同代表)
主尋問90分+反対尋問30分

2.岩本宏之さん(こうばる地権者)

3.石丸勇さん(こうばる地権者)

4.岩下すみ子さん(こうばるの主婦)

5.松本好央さん(こうばるの若者)

6.石丸穂澄さん(こうばるの若者)

7.松本美智恵さん(佐世保市民)

2~7については、主尋問20~25分、反対尋問5~10分。

以上の尋問は、10時から、ほぼ一日かけておこなわれます。





昨日は、担当の弁護士の先生とみっちり打ち合わせしました!

きっと大丈夫、ちゃんと喋れるように随所に工夫を凝らしています。

みなさん、楽しみにしていてください。

これから、ほずみは裁判に向けて集中力を高めてまいります。

応援どうぞよろしくおねがいします。