不思議な貯水率のお話

佐世保市水道局は1月5日に記者会見を開き、南部水系『下の原ダム』の貯水率が急速に低下しているとして、渇水対策本部を設置したと発表。このままでは2月上旬には給水制限が懸念されるので、南部の皆様、自主的節水を!と呼びかけました。

https://www.city.sasebo.lg.jp/suidokyoku/suisou/documents/tiras3i.pdf
この時点での南部貯水率=55.7%

その後51.4%まで低下しましたが、1月13日~15日にかけて58mmの雨が降り、20日時点では57.3%まで回復しました。

しかし、その日、水道局長は再び会見を開き、このままでは2月23日に南部の貯水率は30%を下回る可能性がある。また、北部の小佐々地区も2月27日には30%を切ると予測。長崎新聞によると「市中心部では渇水の心配はないという」とのことでした。


同じ水道料金を支払いながら、ある地域住民には不安を与え、節水を求め、別の地域住民には安心してよいと言い・・・なんとも釈然としません。

もしかしたら、そんな市民の声があちこちから上がったのか?
水道局は1月23日に市議会で南部格差と渇水についての説明を行いました。
その資料がこちらです。
資料1.南北格差対策について

https://www.city.sasebo.lg.jp/suidokyoku/suisou/documents/nannboku.pdf


資料2.渇水状況について
https://www.city.sasebo.lg.jp/suidokyoku/suisou/documents/kassui.pdf

これらの資料は水道局のホームページにも公開されていて、市民への情報提供と丁寧な説明に対しては職員の方に感謝しますが、しかし、不明なことも多いし、読めば読むほど不思議な話です。

1.この南北格差は26日時点で32.5%ですが、1月15日時点では38%にも達していました。このような極端な格差は今年が初めてのことなのか、これまでも時々おきていたことなのか、知りたいですね。

2.これまでも時々みられていた現象であれば、格差是正対策として実施されてきた4つの対策(南北融通施設、小森川の取水堰、川棚川暫定豊水水利権、下の原ダム嵩上げ)だけでは不十分だったということです。なぜ別の対策を講じようとはしなかったのでしょう?(石木ダムが完成すれば解決するから?しかし、これまで9度も工期延長になった事業です。いつ完成するかわからないものを待ち続け、できるはずの対策が検討されていなかったのではないか?という疑念が生じます)


3.資料1の8pによれば、4つの対策実施の結果南北格差の「解消は図られた」「今年は南北融通を通年フル稼働しているので、南部の方が一人当たりの水源が多くなっている」と書かれていますが、そんな馬鹿な・・。それが事実なら、南部市民はよほど水をたくさん使っている?無駄遣いしている?ということになります。

考えられるのは、ここに積み上げられた川棚川の暫定豊水分が取水できていなかったのではないか?南部の給水人口は近年急増していますが、その実績値は反映されているのでしょうか?(最近市民の1人が、南部の人口と世帯数の推移を求めたところ、「人口、世帯数の集計は、南部と北部を分けていないため不明です」との回答でした。矛盾していますね)

4.水道局は格差の原因をあくまでも「地域間の降水量の格差によるもの」と主張していますが、果たしてそうでしょうか?
今月になってからの降水量を比較すると、北部115.0mmに対して南部62.5mm。確かに大差ありです。でも佐世保市の1月の平均降水量(過去30年間の平均値)は、63.4mmです。北部が多かったのは事実ですが、南部は例年並みだったと言えます。

もしかして、一番新しい下の原ダムの底に穴が開いていたりして・・?
なんて・・もちろん冗談ですが、そんなブラックジョークも浮かぶほど、不思議な不思議なダムの貯水率のお話です。

水がピンチです?!

新年早々、水道局のホームページには不安を煽る言葉が躍っていました。



以下、2023年1月5日付の「緊急情報」をそのまま転載します。

 

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水がピンチです!【水道局渇水対策本部の設置について】

本年は、本市の11月の降水量が少なく、12月に入ってもまとまった降雨がないなど、市内各地のダムの貯水率等の回復は低下している状況にあり、川を流れる水の量も大きな回復は見せておらず、特に、南部水系(下の原ダム)のダムの貯水率は急速に低下している状況にあります。

1月4日現在、中部水系(市内5ダム平均)の貯水率83.2%と80%を上回っている状況にあるものの、南部水系(下の原ダム)の貯水率は55.7%と60%を下回っている状況にあり、今後もしばらくは、まとまった降雨が見込まれない予報となっているなど、早期の貯水率の回復は見込めない状況です。

このような状況から、令和5年1月4日付で、南部水系の渇水レベルを「4:節水対策」に、北部水系小佐々地区の渇水レベルを「3:重点警戒」に引き上げるとともに、水道局内に「佐世保市水道局渇水対策本部」を設置し、必要に応じた渇水対策を講じることといたしました。

南部水系の地域にお住まいの皆様におかれましては、うがい、手洗いなどの感染症予防に留意いただきながら、まずは蛇口の開け閉めをこまめにするなど、普段の生活や業務に支障のない範囲で節水にご協力いただきますようお願いいたします。

なお、今後、本格的に節水のお願いをする場合など、随意お知らせをしてまいりますので、ご理解、ご協力の程よろしくお願いいたします。

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さて、ここに出てくるレベル3とかレベル4というのは、「佐世保市渇水対策マニュアル」の改定版(先月の企業経済委員会で案として紹介されたばかり)に記されているものです。

レベル4のところには、このように書かれています。

 

◆レベル4(自主節水)

≪状態≫ 長期予測において渇水の兆候が顕在化し、かつ、短期予測においても季別毎の貯水率指標値を 満足しない状態が継続し改善の見通しがない渇水の初期の状態。

なお、南部水系においては、下の原ダムの貯水率が季別毎の指標値を下回り、かつ、継続的な 安定給水が確保できない状態。

≪主な行動≫水道局長を本部長とした、水道局渇水対策本部を設置し、節水広報大口需要者への節水依頼等による自主節水により配水量を抑え、渇水の進行を遅らせる対策をとり、その効果を的確に把握し、次に必要な渇水対策の検討を行う。また、河川管理者と、井戸・溜池放流等の取水、特別取水、新規緊急水源等の協議・実施準備を行う

 

早めに手を打つことは重要ですが、市民や企業に節水を呼び掛ける前に、水道局はやるべきことをやったのでしょうか?

レベル4に至る前の前、レベル2のところには、こう書かれています。

 

◆レベル2A(長期警戒)

≪状態≫長期的な予測に基づき渇水の兆候が捉えられた初期の状態。

≪主な行動≫水道局内に渇水対策準備会議を設置し、渇水情報の共有化を図りつつ、今後の渇水の進行に備え、佐世保地区(中部水系/南部水系)の南北格差の解消に努める。併せて、継続的な安定給水に向けて、河川管理者との情報共有を実施する。

 

改定前のマニュアルでは、レベル1の段階で、「南北格差の緩和に努める(南北融通施設の稼働開始)」と書かれています。この施設は、平成6年の大渇水後に建設されたもので、平成9年に完成しています。

しかし、この施設が活用されているとは、どうしても思えません。

先の緊急情報の中で示されていたように、「1月4日現在、中部水系の貯水率は83.2%で、南部水系の貯水率は55.7%で、その差は27.5にも上ります。

格差解消のために造った施設を、なぜ使わないのでしょう?

これを使って格差が是正されれば、全体で70%代となり、渇水対策本部の設置とはならないでしょう。

市は、広報に「2年に1度は渇水の危機」なんて書いたけど、平成30年度以降はその危機が無かったので、今年度はどうしても危機を創出したかった?なんて穿った見方もでてきます。

心外!と怒りの声も聞こえてきそうですが、それなら何故せっかく建設した南北融通施設を稼働させないのでしょう?

いくら施設を建設しても使わないなら宝の持ち腐れです。

もしも、使っているのに効果が出ないのなら(融通できる量が少な過ぎるとか?)、原因を調べ、対策を講じるべきです。(送水管を大きくするとか?)

そのような検証や対策も行わずして、「渇水だから節水を!」と呼びかけ、危機感を煽り、「だから石木ダム!」と喧伝するのは止めていただきたい。

 

今は電気も水も融通し合う時代です。

東京電力がひっ迫しているときは、東北電力や北陸電力から送電してもらっているように水道水も、そうすべきです。

実際、福岡県には「北部福岡緊急連絡管」という広域水道管があり、大都市圏である福岡市と北九州市が緊急時に水道水を融通し合える体制になっています。

 

同じ佐世保市内でありながら、北部と南部の貯水量の格差を放置しているのは解せないし、その結果、南部の貯水率を著しく低下させ、市民に不安を与えているのは水道行政の怠慢と言われても仕方ないのではないでしょうか。

佐世保市水道局の真摯な対応を求めます。

 

 

 

 

 

広報反論リーフレット 市内4割の世帯にポスティング

今年もあと1日と少しで終わり。

年々時の流れは加速する、ように感じる。と同時に、記憶もすぐに右から左へと流れ去ってしまう。このブログも、体力、知力の衰えと共に、書き漏らしが増えている。

3日前の反省会に出席し、その漏れに気付いたので、遅ればせながら報告させていただきます。

その反省会の正式名称は、「反論リーフレット ポスティング反省会」。

何への反論かというと、広報させぼ9月号の特集記事「水を大切にする日2022~渇水の歴史と石木ダム」https://www.city.sasebo.lg.jp/soumu/hishok/kohosasebo/documents/2022090205.pdf への反論です。

そこには、

  • 佐世保は2年に1度渇水の危機に瀕している渇水都市だ。
  • 石木ダムで得ようとしているのは4万トンで、それは必要最小限の水量だ。
  • 水源確保の方法は石木ダムしかない。
  • いま使用中の老朽ダムを改修するためにも石木ダムが必要。
と書かれていましたが、いずれも、その根拠に首を傾げたくなるものばかりでした。

そこで、私たちは、その4つのテーマごとに具体的なデータや資料を提示して反論するリーフレットを作成しました。

広報させぼへの疑問_



仲間の1人が、
これを各家庭に届けたいね。市は私たちの税金を使って、市の主張を市内10万世帯に届けている。私たちは、新聞折込しようにも、意見広告として断られてしまう。郵便物として届けるにはお金がかかり過ぎる。やはり、自分達の足と手で、1軒1軒配るしかないのではないか?

と言い出し、

他のメンバーも、やろう!と賛同し、反論リーフレットのポスティング作戦開始!

終わってみれば、当初計画をはるかに上回る数の家庭に届けることができました。

反省会での集計結果をお伝えすると・・

リーフレット総数=40,180部(発注数40,000+予備180)

ポスティング数=37,274部

その他=2490部

在庫=416部

ポスティング件数の37274世帯は旧佐世保市の世帯数93952世帯の39.7%にあたります。(合併した宇久島や飛び地の小佐々などには行くのが難しかったので、旧佐世保市を対象に配布しました)

ポスティングに参加したのは佐世保市民の有志24人と、佐賀県伊万里市のFさん、福岡市在住のKさんなど合計26人の個人と、健康友の会佐世保や石木ダム建設に反対する川棚町民の会の方々も進んで協力してくださいました。

その結果として、これだけ多くの世帯に配布できたことが心から有難く、感謝の思いでいっぱいです。

しかし、残念なことに、反応がほとんどありませんでした。

お1人だけ、よく書いてくれた!私もそう思っていた。頑張ってほしい!との激励の電話をいただきましたが、ほかには応援もクレームも何もありません。(実はダム推進派の方からの反論や抗議の電話を期待していたのですが・・)

でも、ポスティング中には住人の方に直接手渡す機会も有り、いろんな反応がありました。反省会で出てきたものは、「たまに要らないと言う人もいるが、だいたいは受け取ってくれた」「中には、ご苦労様とか頑張ってくださいとか」「たまに若い人がいて渡そうとしたら、大丈夫ですと言われた」

この「大丈夫」発言には皆も「そう、そう。最近の若い人は、要らないとは言わず、大丈夫って言うんだよね~」「何でだろう?」「いつ頃から?」と、大いに盛り上がりました。

とてもたくさんポスティングをしてくれたTさんは、それだけ多くの人と話す機会があったようで、いくつかのエピソードを伝えてくれました。

*小野町のアパートで配り始めようとしたら、たまたま家主さんがいて、「チラシは入れないように」と言った後で、「何のチラシですか」と聞くから、石木ダム反対のチラシですというと、「じゃあ入れてください」ということになりました。

*棚方で既に配ったところに二重配布したくないので、玄関先にいた主婦の方にリーフレットが入っていたかどうか尋ねますと、「入ってました。よく書けてますね」とお褒めの言葉をいただき、「がんばってください」と激励されました。

 

このような嬉しい反応は滅多にありませんが、私たちの多くが感じたことは、「市が水不足だというからそうだと思っていた」「水不足なら石木ダムは必要でしょう?」という思い込み。

そのような方に、あなた自身は水不足で何か困っていますか?と尋ねると「私は別に困っていない。でも、困っている人がいるんでしょ?」という認識。

では、是非このリーフレットを読んでみてください。そう言って渡してきたというケースがけっこうあったようです。

こういうことが大事だと、あらためて思いました。そして、受け取った方が、読んでくださっていますように・・!

皆の共通の感想は他にもありましたよ。

🔶最近のポスト(郵便受け)は、わかりにくい!

マンションでは、どこにあるのかわからない。奥の方だったり、外にあったり。個人宅では、様々な形のポストがあり、どこから入れれば良いのやら不明のものがあったり、二重扉になっていたり、門を開けて敷地内に入らなければポストにたどり着けなかったり・・・郵便屋さんの苦労がよーくわかりました!

🔶空き家が多い!

高台はもちろん、佐世保の中心地にも空き家が多い。ボロボロのアパート。草ぼうぼうのお庭。外観は立派だったので石段を登っていくと門のところに蜘蛛の巣が張っていたり・・

メンバーの1人は言いました。

「30年後、佐世保の人口は19万人になると推定されています。「ダムは必要ない」ということが確信になりました」と。

同感です。

23万7000人の人口の今、私たちは水不足で困ってはいない。

ダムを造って新たな水源を確保しても、人口が19万人になれば、その水は誰が使うのでしょう?不要な水のために、19万人の市民は、無駄なダムの維持管理費を支払い続けなければならないのです。そんな理不尽なツケを未来に託していいのでしょうか?

あなたはどう思いますか?

 

 

 

 

佐々川の水量「現時点では判断できない」

12月5日、県議会一般質問。1人の議員の質問によって、私たちが知りたかったことが明らかになりました。

それは、ひょっとすると、佐世保市民にとって石木ダムの代替案に繋がるかもしれない可能性を秘めた重要な事実です。



堀江議員:報道によると、先月24日、知事は石木ダムに反対する佐世保市民と面会し話を聞いた。その中で、佐々川の活用について市民から提案され(佐々川の水を取水できれば=県が佐世保市に佐々川の水利権を与えれば=石木ダムは不要)、提案の根拠として3つの情報が示されたが、「それについては確認したい」と答えたとある。確認したのか?

 

その情報とは、以下の3点です。

1.平成6~7年の大渇水の時には、佐々川から一日平均1万㌧の水が佐世保に送られていた。

2.東部かんぱい水利権(佐々町に与えられた灌がい用の水利権)の取水実績は、22年間のうち72日のみであった。(8035日間中7963日は取水ゼロ)しかも、与えられた水利権21,900㌧のうち取水したのは最大でも7,000㌧だった。資料5.佐々川の水利権



3.九州電力相浦発電所は3年前に廃止になっているので、その水利権4,800㌧も既に返上されているのではないか?

詳細は、こちらのブログ記事を参照ください。 https://ishikigawa.jp/blog/cat05/8365/

 

奥田土木部長:確認の結果、


1については、佐世保市の水道白書によれば、その通り。

2については、市民団体のご指摘の通り。

3については、確かに2019年5月に九州電力より水利権の廃止届が提出され受理している。

しかしながら、ただちに(佐々川の水が)安定水源として活用できるものではないので、(佐世保の)水問題が解決するものではないと考えている。

水利権については河川の適正な利用、流水の正常な機能を維持することが必要で、過去に実施した調査によれば、新たに利活用できるような水量はなかった。

 

堀江議員:市民の皆さんは石木ダムは必要ないと思っている。その根拠として3つの事実を述べて、佐々川の流量に余裕は有るはず、だから石木ダムを造らなくても佐々川の水を利用すれば良いと言っている。しかし、部長は3つの事実は認めながら、水量は無いという。その根拠は何?流量調査はしたのか?

 

土木部長:先ほどは過去の流量調査を踏まえてお答えした。現在、佐々川の河川整備方針策定に向けて流量観測を実施しているところであり、今後その流量が蓄積される中で、仮に安定的に取水できることが確認できれば、関係者の意見を聞いた上で、利活用の検討は可能になる。

 

堀江議員:過去の調査と言うのは20年以上も前のものではないか。いま流量観測をやっているということが確認できた。そのような調査の結果はしっかり公表してほしい。そこで知事は、佐々川を活用してほしいという市民の提案を聞いて、どう思ったのか?

 

大石知事:私も報告を受け事実の確認はしている。しかし、ただちに安定水源として活用できるものではないと認識している。



堀江議員:いま土木部長が流量観測中と言ったではないか。流量の結論は出ていない。出ていないのに活用できないというのはおかしい。それなら、どんな結果が出ても佐々川の水は活用しませんと言ってるのと同じではないか。


大石知事:一般的には流量観測の結果、安定的に取水できることが確認できれば、関係者の意見を聞いた上で、利活用の検討は可能になる。佐々川については未だ観測結果が蓄積されていないので、ただちに安定水源として活用できるものではないという認識である。

 

これはたいへん重要な答弁です。私たちは、この言葉が聞きたかったのです。

今までは何度、県や佐世保市水道局に問い質しても、「佐々川には既に多くの水利権が張り付いていて、新たな水利権を与える余裕は無い」「佐々川の水量に余裕は無い」の一点張りでした。問答無用の門前払いでした。

その答えが今回初めて変わったのです。

佐々川の流量観測中であり、「現時点では水量に余裕が有るか無いかは判断できない」と。

それはつまり、観測結果が判明した時点においては、佐々川から佐世保市へ水道用水利権が与えられる可能性もあるかもしれない、ということです。

それにしても、不思議です。もしも、流量調査の結果、水量の余裕が無いと判断されたなら、では、現状をどう解釈したらいいのでしょう?

日量21,900㌧の水利権を与えられている東部かんぱい水利権者(農家さんたち)が、ここ数年全く取水していないにもかかわらず水量に余裕が無いということは、例えば来年の田植え時期にその農家さんたちが佐々川の水を取水しようとしても、取水できないということになりますよね。

水利権を与えている河川管理者として、どう責任を取るのでしょう???

 

起業者にとっては不都合な真実は認めたくないでしょうが、どんな結果が出ても、ありのままを市民県民に公開してほしいものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここがおかしい!広報させぼ「渇水の歴史と石木ダム」

8月のさせぼ市政だより『キラっ都させぼ』で朝長市長は、今まで以上に石木ダムの必要性を熱く語っていました。https://www.youtube.com/watch?v=s0RshY10Dts

「佐世保水道の歴史は渇水との闘いの歴史!」「2年に1度は渇水の危機が訪れている」「予定通り石木ダムができていれば、平成6年の大渇水以外は全て回避できた」と。

また、『広報させぼ』9月号は「水を大切にする日2022」の特集記事を掲載しましたが、その中身は、過去の大渇水と石木ダムの重要性を強くアピールするものでした。https://www.city.sasebo.lg.jp/soumu/hishok/kohosasebo/documents/2022090205.pdf

さらに広報させぼ動画版『みてみゅー』で、その渇水について3人の方の苦労話を紹介するという念の入れようです。https://www.city.sasebo.lg.jp/soumu/hishok/koho_r0409.html

さすが!行政のやることはすごい!全世帯に配布する広報紙と、テレビやネットを使えば、ほとんどの市民に情報伝達できますね。(その費用は私たち佐世保市民の税金ですが)

写真を多用し、とても見やすく分かりやすい構成になっているので、「ふーん、そうなんだ~」「そういうことなら、やはり石木ダムは必要だねー」とつい納得してしまう市民も多いかもしれません。

でも、よくよく見れば、疑問点や問題点が満載の記事です。どこがおかしいのか、一緒に考えていきましょう!

疑問その1.「2年に1度 渇水危機に直面」ってホント?

「延長となった46年間で既に20回渇水危機に直面」しているとありますが、その20回のほとんどは節水広報等の実施であり、実際の給水制限に至ったのは3回だけ。しかも、その3回の中で時間給水(断水)に至ったのは1回だけ。他の2回は、市民の多くが気づかなかった程度の減圧給水で、市民生活にほとんど支障はありませんでした。つまり、時間給水をしなければならないほどの深刻な渇水は46年間にたった1回だけだったのです。

ちなみに、平成30年の場合は、市内のダムの平均貯水率が79.3%になった時点で、水道局内に渇水対策本部を設置したと記者発表。この記事の「佐世保に渇水対策本部 市水道局、節水呼びかけ」という見出しだけを読んだ人は「また渇水か・・」と不安に思ったでしょうが、きちんと本文を読んだ人は「79%で渇水対策本部?!ちょっと大げさじゃない?」と驚いていました。実際その2日後にまとまった雨が降り、貯水率が一気に回復し、杞憂だったね~と語り合った記憶があります。

 

疑問その2.有収水量の推計値は横ばいなのに、なぜ新たに4万㌧もの水源が必要なの?

Point1のグラフを見ると、各用途別の有収水量の推計値は全て横ばいで、合計の有収水量も横ばいです。20年後も水の使用量は増えないということであれば、石木ダムを造って新たに4万㌧もの水を確保する必要性がわかりません。

20年後に4万㌧不足しているのであれば、今も4万㌧不足しているはずで、近隣市町から水を融通してもらっているのかな?いえいえ、そんなことはありません。いま佐世保市が保有している水源で賄っています。

推計値を出す前に押さえておかなければならない大切なことは、過去の実績です。


実は佐世保の有収水量は過去20年間に14%も減っています。

水需要の減少は日本全国共通の事実です。

国の予測では、50年間に40%も減少するようです。

理由は人口減少と節水機器の普及です。佐世保だけが横ばいというのは、ほぼ有り得ない予測なのです。

 

疑問その3.本当に水源確保の方法は石木ダムしかないの?
Point2で「水源確保の方法は石木ダムしか残っていない」と書かれていますが、果たしてそうでしょうか?

前述したように、通常は今の水源で足りています。しかし、渇水に備える努力は大切です。雨水や再生水の利活用に努めている自治体もたくさんあります。雨水貯留施設を造ったり、雨水タンクの購入に助成金を出したり、再生水をトイレに流す中水道を整備したり・・

そのような対策こそ「水を大切にする」ことであり、世界中で取り組んでいるSDG’sの理念に沿った対策です。佐世保もぜひ実施してほしいものです。

また、いざ渇水となった時に備える対策としては、佐々川からの水利権を取得していれば安心です。あの大渇水のときでも佐々川から一日約1万㌧の水を取水していました。現在は渇水時に5,000tの水を菰田ダムに補水していますが、これを1万㌧にしておけば安心です。

水利権を管理する長崎県は「佐々川には余分な流量はないので新たな水利権は与えられない」と言っていますが、そんなはずはありません。佐々川には農業用の水利権がかなりありますが、農業人口が減少し、耕作放棄地も増え、今では佐々川の水はほとんど使われていません。

かんがい用取水施設「東部かんぱい」には日量21,900㌧もの水利権が与えられていますが、実際に取水したのは、2000年~2020年の21年間でたった6年だけです。残り15年は取水ゼロ!日数にすると、取水したのは7670日の中の72日だけ、平均取水量は、21,900㌧のうちの3,300㌧ほどでした。

また、数年前に廃止になった相浦発電所の水利権4800㎥/日の余裕も生まれているはずです。

一方、佐々川の近くには佐世保地区以上に水源が乏しい小佐々地区があります。(2006年に佐世保市と合併しましたが、飛び地になっていて、水道は町時代のまま)使われていない水利権を必要としているところに転用するだけで、水不足は一気に解決し、地域の皆さんは安心して暮らせます。

県が水利権の転用を頑なに拒むのは何故でしょう?水不足が解消すれば石木ダムの必要性が失われることに繋がるから?

水不足解消のためにダムを造るのではなく、ダムを造るために水不足の解消を妨げている・・・少なくともそんな疑念を県民に抱かせるような公共事業であってはなりません。

疑念払拭のためには、このように一方的な情報発信をするのではなく、県も市も、意見交換会や公開討論会等々、ぜひ市民と直接対話できる場を設けていただきたいものです。

大石知事のように朝長市長も、石木ダムは要らないと考えている市民と対話してみませんか?そして、佐世保の水問題を解決するために、市と市民が共に考えていけたらいいですね。

 

 

 

 

 

佐世保市水道局、石木ダム関連で5億7500万円

3月5日の長崎新聞が報じているように、佐世保市水道事業の2022年度予算で、石木ダム関連事業費として、5億7479万5000円が計上されました。

こちらが、その資料です。これは水道局が自ら提示したのではなく、委員が資料請求して初めて出されたものです。

しかも、委員は「来年度の石木ダム関連事業費」として請求したのですが、タイトルは「長崎県への負担金及び水道施設再構築関連経費」と書き変えられています。

石木ダムにかかる経費をなるべく小さく見せたいのでしょうか?

かつての委員会資料には、このように堂々と「石木ダム関連事業費」と書かれていたのですが。

上の資料は9年前の委員会資料ですが、事業費の総額は、353億5千万円です。ところが、現在の総額は445億5千万円になっていますね。

これも議会で審議され採択されたことではありませんが、いつのまにか承認されたことになっています。


いずれにしても、R4年度=2022年度予算として、石木ダム関連経費として約6億円近くが支出されるということがわかりました。この金額を私たち市民はどう判断すればいいのでしょう?

こちらは資本的収支の予定表です。資本的収入から支出を引くと、その差はマイナス25億円にも及びます。それを留保資金で補填するので、自己資金は年々減少しています。

つまり水道事業会計は決して楽ではないのです。減らせる支出は少しでも減らしたいものです。しかし、石木ダム事業が続く限り支出はどんどん増えていく・・これは間違いのない事実です。

令和1年度再評価の資料を見ると、令和4年度=2022年度の石木ダム事業費は54億円と見込まれていました。しかし、実際の予算額は約10分の1でした。何故か?それは工事が進んでいないからです。

予定通りの進捗状況であれば、本体工事がどんどん進められ、それに合わせて新たな取水施設、導水管の埋設、新たな浄水場建設などなどたくさんの工事をしなければならないから、予算も桁違いの額となっていきます。

そのお金はどこから湧いてくるでしょう?今後収益が増えるでしょうか?

こちらは収益的収支の予定表ですが、営業収益は年々減っており、全体的な収支の差も昨年度比で26.7%も減る見込みです。

それもそのはずで、この表を見れば、有収水量が年々減り続けているので、当然、水道料金収入も減り続けます。

(今回の委員会資料はこちら file00006640 )

そういうことが分かっていて、なぜ石木ダム計画から撤退しようと水道局は考えないのでしょうね~

水道局だけではありません。予算審査する企業経済委員会の委員の中から、石木ダムへのアピールが足りないとの𠮟責の声が上がる一幕も・・

角田副委員長:今年度は佐世保市の水道事業が始まって115周年の節目の年。石木ダムをアピールするいい機会なのに何も予定していないのは何故か?平成6年の渇水の苦労とか、現地の8割の方が犠牲になって出ていかれたのに未だにできていないこととか伝えるべきではないか?

経営管路部長:100周年の時は島瀬公園でアピールし、パンフレット等も配布した。それ以後も毎年「水を大切にする日」にパネル展示などのイベントをやっている。

水道局長:次の120周年に向けてはイベントなど考えていきたい。

角田副委員長:知事も代わったことだし、佐世保が本気であることを示さないと。かつての渇水の苦労が風化しつつある。

水道局長:確かに最近では市職員の中にも、あの大渇水について知らない者もいるようだ。石木ダムへの理解を深めるよう、必要であれば局内でも議論したい。

角田副委員長:「必要であれば」ではない。必要だから言っているのだ。しっかりやってもらいたい。

(-_-; 角田議員とは一度じっくり意見交換したいものですね~)

もう1人、石木ダムの早期実現を願う委員から、熱心な質問が続きました。この方は小佐々町出身の永安議員です。

小佐々町は佐世保市以上に水不足の町です。水道局長の話では、3月4日朝の貯水率は佐世保市の下ノ原ダムでは60.7%でしたが、小佐々町のつづらダムは54.3%だったそうです。(後で水道局のHPで確認すると、北部の貯水率は72.1%でした。南北融通管は存在するのに、市内でも相変わらず南北格差は続いています)

永安委員は、合併後は佐世保市の水が送水され安心だと思っていたのに、16年経っても未だに管が繋がっていないので、相変わらず不安な日々を送っていると訴えておられました。

小佐々町の方には本当にお気の毒だと思います。以前は渇水時には佐々町から日量1000t~1500t送水してもらっていたのに、合併後は日量200tまでしかもらえないのだそうです。2018年の渇水の時は一日に113tだけでした。理由は佐々町自身にも余裕が無くなったとのことですが、本当にそうなのでしょうか・・?ここにも県の思惑が見え隠れします・・

今回の予算審議で、佐世保から小佐々までの送水管の整備計画がやっと示されました。

完成はR11年度=2029年度の予定です。

永安委員:やっと具体的に示されたのは有難いが、ちゃんと水は届くんでしょうね?管は通ったけど、肝心の水の確保ができるのか心配で・・

川野事業部長:送水管の完成はR11年の予定で、石木ダムはR7年度完成予定なので大丈夫です。万一それまでに石木ダムができていなくても、1000t~2000tは供給できるのではないかと考えています。

と、そこで、水道局長から「補足説明」が・・

水道局長:今申したのはあくまでも緊急的な供給であり、石木ダムができていなければ、やはり本格的な供給はできません。

と釘を刺していました。長年佐世保市水道の現場で仕事し、水源対策の責任者となっている川野事業部長が大丈夫と言っているのに、水道局長になってまだ2ヶ月しか経っていない中島氏が供給できないと否定するのはヘンですね~やはり石木ダム必要性の口実の1つを示すためでしょうか。

実は、この送水管整備事業については、午前中も面白いやり取りがありました。

湊委員:佐世保から佐々町を通って小佐々まで送水管を繋ぐ意味は何?

川野事業部長:小佐々地区の水不足の解消のためです。

湊委員:佐世保全体が水不足になったらどうするの?送る水が無かったら?

川野事業部長:ため池や民間の井戸などから水を提供してもらって・・・

湊委員:西海市や有田町など水の豊富なところと繋がることをなぜ考えないのか?渇水の時はそういうところから水を買えばいいではないか?佐々町も売ってくれるはず。また、五島では、天水の活用を進めているが、そういう努力も足りないのではないか。

川野事業部長:まずは市内での水源確保に努めるべき。渇水にいたらないと佐々町から買うことはできない。県からの達しでそうなっている。

(やはり・・・石木ダムを造りたい県が、代替案の邪魔をしているのかな?)

湊委員:石木ダムが要らないと言っているわけではない。石木は石木で進めてもらうが、いつになるかわからない。それまでに渇水がおきたときにどうするか考えておかねばならないと思う。光武市長の時は、海水淡水化などいろいろ考え、工夫されていた。新しい局長の下で変わってほしい。最初から諦めていたら何もできない。
このような危機意識を持ち、石木ダムだけに固執するのではなく、前向きな議論をもっともっと、してほしいものです。

 

市長からの返事、超特急できましたが・・

先日(3月2日)もお伝えしましたが、2月27日の長崎新聞の記事のインパクトは大きかったようで、コロナで石木ダムがより必要なのか?という話題があちこちで聞かれました。

そこで、まず、こんなチラシを作ってみました。
出勤してくる市役所や水道局の職員の皆さんにお配りしました。







7時半から8時半の予定でしたが、10分ほど前に500部を配り終えてしまったので、残りの時間、いつものように市役所前スタンディングを行いました。



今日はこれで終わらず、秘書課へ公開質問状の提出に向かいました。突然の訪問にもかかわらず、職員の方は誠実に対応してくださいました。



その質問状は、こちらです。



最後に記したように、施政方針説明の中での発言なので、既に根拠となるものはあるはずで、回答に時間を要するものではないと思いましたが、議会中ということもあり、19日までに回答をお願いしました。

郵送は時間がかかるので、メールでと書いておいたところ・・

なんと!想定外の速さで・・何しろ早いのなんのって!その日のうちに返信が届き、ビックリでした~

しかし、中身を読んで、がっくり!



こちらが提示した5つの質問には何1つお答え頂けませんでした。

そして、「『感染症対策に伴い公衆衛生面で 水需要が高まると予測し 』との発言は行っておらず、記事の内容につきましては、長崎新聞に掲載されたものでありますことから、株式会社長崎新聞社様へお尋ねいただければと存じます。」とのこと。

確かに、コロナで「水需要が高まる」とはおっしゃっていないようですが、

昨今の感染症対策で求められる公衆衛生の役割や・・・の影響を考えると、事業の必要性・緊急性はますます高まってきている」と説明されたのですから、感染症(コロナ)対策が石木ダムの必要性を高めているとお考えなのは間違いないようです。

では、なぜ、コロナが石木ダムの必要性を高めるのか、その根拠が知りたいですね~

また、皆と話し合って、対応したいと思いますが、取り急ぎの経過報告とします。

コロナ対策で石木ダムが必要!?

新聞報道で佐世保市議会での朝長市長の発言を知って驚いた。


なんと、「コロナ対策のために水需要が高まる=石木ダムの必要性、緊急性がますます高まっている」という趣旨の発言だったようだ。

それを聞いて「なるほどそうかも・・」と思った議員も多いかもしれない。
市民は尚更だろう。
確かに以前より手洗いをよくするようになったからと。

しかし、よく考えてほしい。
手洗いで増えた水の量がどのくらいになるか?と。
一方、コロナにより営業自粛や営業時間の短縮で飲食店の水使用量は、どのくらい減っただろうか?
ホテルや旅館も同じ。そして、客数減少により、シーツやタオル等の洗濯物も減り、クリーニング業界の水の使用量も減少しているはず。
また、休校期間中は、学校で使われる水も給食センターで使用する水も皆無だったはず。

つまり、コロナの影響で水使用が増えた場面もあれば、減った場面もある。
プラスマイナスでどうだったか?それが大事。
その結果、水需要が大きく伸びているならば、市長の発言も、賛成はできないが理解はできる。

しかし、事実は逆だ。

全国に緊急事態宣言が出された昨年4月~今年2月まで11ヶ月間の、佐世保地区の給水量を見てみると、


前年同月と比較して増えていたのは4ヶ月で、残り7ヶ月は減少していた。
給水量のトータルでみても、前年よりも1.7%のマイナスとなっていた。

朝長市長の発言は、事実や科学的根拠に基づかない「思い込み」もしくは「希望」であって(あるいは市民を騙す確信犯と見る向きもあるだろう)、「石木ダムの必要性はますます減少している」のが現実である。

顧みれば、石木ダムの利水目的はコロコロ変わってきた。

針尾島に計画されていた工業団地のために新たな水源が必要

大渇水を経験して、渇水に備えて新たな水源が必要

佐世保市は慢性的な水不足で余裕ある水源が必要

老朽化したダムの補修改修のために代替ダムが必要

感染症(コロナ)対策に伴う水需要の増加に備えて必要

こんなにも目的を変える、あるいは追加しなければならないようなダムは、必要ではないことの証ではないだろうか。

石木ダムの目的は、石木ダムを造ること、ただそれだけに見えてしまう。
そんな意味のない公共事業は一日も早く止めるべきだ。

そして、目の前の、コロナ禍で苦しんでいる市民を救済することにこそ、貴重な税金を使ってほしい!

445億円に膨張した石木ダム事業費



やっとこの数字が公開されました。

石木ダム関連事業費92億円膨張

私たちが石木ダム関連事業費の増額に気づいたのは今年6月です。

6月4日付けの建設通信新聞デジタル版を見て初めて100億円近い増額を知りました。水道局に問い合わせると、令和元年度再評価資料に公開済みだと言います。

https://www.city.sasebo.lg.jp/suidokyoku/suigen/documents/siryouhenn_151-200.pdf

この資料の6ページの表4.1がそれです。



虫メガネで見てもわからないような小さな文字なので拡大してみます。



え?合計で445億円?(この表の数字の単位は千円なので、ここは、44,550,000,000円ということ)
いつの間に?これまでは353億円だったはず…

前回(平成24年度)の再評価資料を見てみると、



やはりそうです。

そこで、この2つをわかりやすく1つの表にまとめてみました。

細かい区分は省いて、各設備費の合計額を算出し、用地補償費・調査費・事務費は合計して諸経費としました。



ダム負担金と水源地整備費は変化無しなので、水道設備関連の事業費が92億円増え、全体として石木ダム関連事業費は353億円から445億円に膨れ上がったということがわかります。

この件について、再評価の委員会審議のときも、議会報告のときも、一切触れられていません。議員の皆さんも何も聞いていないとおっしゃっています。

水道局はそれで問題無いとお考えのようですが…

公共事業の再評価制度の目的は何でしょう?

それは「透明性の確保」です。

人口減少社会における財政難の中で大型公共事業を進めるには、「効率的な実施及びその透明性を一層確保することが重要」と厚生労働省の再評価実施要領にも書かれています。

そして、再評価は定期的なものの他に、大幅な工期延長や事業費の増加があった場合にも行わねばならないとあります。今回の再評価では工期の延長については検討されましたが、事業費の増加について全く触れられなかったのは不思議です。

新聞によると、事業費が増加した理由は、ダム建設に伴い、近隣の老朽施設を統合して整備する方針に改めたためで、市水道局は「別々に整備するよりも大幅なコスト削減になる」とのことです。

そうかもしれません。だとしたら、なぜそのように説明しないのでしょう?いかなる理由にせよ、事業費を増やしたことは確かなのですから、その理由を、再評価や議会の場で説明すべきです。事業費を負担するのは私たち市民なのです。

445億円もの事業費が妥当かどうか議会に諮るべきです。それほどのコストを払っても私たちは石木ダムを必要としているのかどうか、市民にも考える機会を与えるべきです。

例えば・・・
大家族のAさんちでは、ずーっと前から洗濯機がもう1台欲しいと思っていました。いよいよ買おうと思って電器店に見に行くと、10万円の洗濯機の他に、5万円の乾燥機があり、セットで買うと13万円にしてくれるそうです。

「いまお使いの乾燥機もそろそろ買い替えなきゃいけないのでは?セットで買うと2万円もお得ですよ」と店主は勧めます。

でも、Aさんは10万円ほどしか用意してなかったので、あと3万円は何かを削って調達せねばなりません。帰宅して家族と話し合いました。

長男「来年になったら僕は県外就職するので、僕の分の洗濯はなくなるよ」

長女「私も看護学校の寮に入るから、私の分も減るはずよ」

妻「それなら、洗濯機はもう買わなくていいわね。今ある1台で間に合いそう。それより、確かに乾燥機は新しいのが必要かも。今のはかなり古いから、電気代がかかり過ぎてる。買い替えた方が良さそう」

Aさんも「なるほど!」と納得して、結局5万円の乾燥機を買うことにしました。結果、足りないどころか、5万円のおつりがきたので、それは2人の子どもたちの引っ越し費用の足しにすることにしましたとさ。めでたしめでたし。

石木ダムを造るという前提で考えると445億円でも安いとなるのでしょうが、その前提を外せば、445億円もかけてダムが必要なのか?という根底からの見直しができます。

必要なところに必要な金額を!

何が必要で何が不要か、行政も市民も、常に勇気をもって見直したいものです。自分ちの家計簿なら常にやっていること。難しいことではないはずですが…

百聞は一見に如かず!

意見書の提出を終えた嶋津先生(ダム検証のあり方を問う科学者の会)と共に、佐世保市水道施設の見学ツアーに、いざ出発!

といっても、午前中は、嶋津先生のご希望により、相浦川の取水場を外から見て回るだけ。相浦川には3つの取水場があり、1つ(相浦取水場)だけが安定水源で、2つ(四条橋取水場と三本木取水場)は不安定水源と位置付けられているけれど、その違いを実際に見てみたい!ということで・・・

まずやってきたのは、最下流の相浦取水場。安定水源と言うだけあって、たっぷり水はあるようですね。

続いてこちらは、四条橋取水場。四角く囲ったところから取水しているのですが、こちらも下流にザーザー流れているので、十分取水できているはず。

それからしばらく上流に車を走らせ、たどり着いた三本木取水場は、周囲が木立に覆われ、対岸の茂みから垣間見ることしかできませんが、

こちらも取水量はたっぷりあるようです。取水口全体が水で覆われていますから。嶋津先生も、水量は大丈夫そうですね~と。

その後、満水の川谷ダムを道路から確認し、柚木浄水場も遠めに見て、午後からの見学地である、山の田浄水場へ。見学は1時からですが、その前にここでお弁当を食べさせて頂きました。
2015年に完成した山の田浄水場です。

100年の歴史があった旧山の田浄水場と大野浄水場を統合させた新山の田浄水場で、セラミックの膜ろ過方式を採用した最新設備の浄水場。厚労省だけでなく、防衛省の補助金も頂いて建設されたようです。

佐世保市水道局の施設ですが、運営するのは佐世保アクアソリューション(メタウォーター関連会社)だそうで、説明には、水道局職員とアクアソリューションの社員のお2人が!

どちらもとても親切で感じが良く、嶋津先生だけでなく私たちからも次々に質問が飛び出しましたが、どんな質問にも丁寧にわかりやすく説明していただき、たいへん勉強になりました。

これは、以前の山の田浄水場のろ過方式の説明模型です。緩速ろ過と言って、煉瓦や砂利を何層にも重ねて微生物の力でゆっくりろ過する浄水システムです。薬品を多用する急速ろ過と違って美味しそうですが、浄水速度が遅いので、広い敷地が必要です。

一転してこちらは今の山の田浄水場のろ過システム。

ここには800本もの円筒形のものが並んでいますが、この中にセラミック膜でできたろ過装置が詰まっているのです。

この太い管の中には原水が入っており、

こんな水!

その原水をこの装置に通過させます。

中はこのようになっています。この小さな丸い穴(セル)を通った原水はセラミック膜でろ過され、四角い穴から浄水となって吹き出し、浄水池へ送られていきます。

ほら、こんなにきれいに!

浄水は浄水池へ送られ、そこから各地へ配水されていきます。

一方、セルの内部に着いた不純物は逆洗工程によって剥がされ、それを圧縮空気でブローして濃縮槽に送られます。不純物は下に沈むので、上澄水はまた浄水工程に戻されろ過されます。

その結果、原水の99.9%が水道水になるのだそうです!素晴らしい!

そうして集められた0.1%の真っ黒な汚泥。それを天日干しすると、浄水ケーキと呼ばれる土の塊ができ、それは野菜の苗を育てる土として利用されるのだそうです。

99.9%という利用量率=安全率の高さ!これは注目に値しますね。

必要な水源量の算出にあたっては、一日最大給水量を、この安全率で割って計算するのですが、安全率が高ければ高いほど必要な原水量は少なくてすみます。

例えば、一日最大給水量が10万㌧の場合。

安全率が90%なら、10万÷0.9=11万1千㌧ですが、

安全率が99%なら、10万÷0.99=10万1千㌧となり、1万㌧も少なくなります。

佐世保市水道局は水需要予測の計算においては、安全率を90%として計算しています。ここでも実績を無視しているようです。

もちろん、他の浄水場(広田と柚木)は、ここより低い安全率ですが、それでも全体で97%ほどだと聞いています。正しいデータを使って算出してほしいものです。

このようなモニターを見ながら、ここでは常に現状を把握しながらろ過が無駄なく安全におこなわれているようです。

おや?こちらのモニターは何でしょう?

こちらは、いま、この山の田浄水場へどこからどのくらい水が送られてきているかを把握するモニターだそうです。

ん!これは? やっぱり・・・。

三本木取水場からの導水量は、1時間に180㌧ですが、

なんと、四条橋も相浦川取水場も、ゼロ!です。

取水されていないのです。

私たちは先ほど見てきたばかりです。一番水がたっぷりに見えた相浦川からは取水せず、一番少なく見えた三本木からだけ取水してます。

WHY? 質問したところ、お答えはこうでした。

三本木からは自然流下でこちらに入ってきますのでコストがかかりません。相浦川や四条橋はポンプアップの電気代や水質の問題があるので、通常は三本木からの水を使います。足りない時だけ相浦川や四条橋も・・・。

やはり!

佐世保市水道局は、慣行水利権を有する三本木や四条橋は水量が不安定な不安定水源として、保有水源とは認めていません。今回の再評価でも、「慣行水利権22,500㎥/日を保有していますが、いずれも不安定水源であることから、安定的な取水が望めません」と書かれていますが、それはマチガイ?嘘?ですね。

慣行水利権の三本木からは毎日安定的に取水しているではありませんか!

安定水源の相浦の方が取水していないではありませんか!

また、取水していない相浦や四条橋は水量が少なくて取水しなかったのではなく、三本木の水で足りていたから取水しなかっただけのこと。



帰るときに気付きました。1階の床のタイルに貼られた佐世保の地図。そこに印されたダムや浄水場など。

海と山に囲まれた自然豊かな佐世保市。この自然に育まれた川の流れと、昔からそこで取水されていた慣行水利権こそ大事にすべき水源では?この水利権を放棄して、石木ダムから水を持ってこようだなんて・・・将来に禍根を残す愚策です!