土地は彼らの人生そのもの

今日の西日本新聞のコラム記事「デスク日記」をご紹介します。

 

記者の眼の温かさと鋭さ、筆の確かさをあらためて感じました。

県の職員もきっと見たことでしょう。

苦々しく思った方もいるかもしれません。

でも、噛み締めてほしい。

 

土地は彼らの人生そのもの。

「本当に必要なダムなのか」

住民たちの問いに、行政が真摯に向き合ってきたとは

到底思えない。

 

今日、その住民の土地を取り上げるための収用委員会が開かれます。

収容委員の方々も、この記事をご覧になっていますように・・

 

分断する罪

「分断する罪」と題するコラムが2月9日の愛媛新聞にありました。

http://www.ehime-np.co.jp/rensai/chijiku/ren018201502093235.html


全国至る所で出会う砂防ダムなど、必要性に疑問符が付く公共工事についてズバリと指摘しています。

公共工事を始めるには建設の必要性や費用対効果の算出、環境への影響調査など綿密な事前手続きが必要で、

そして一番大切なのは、地域住民の理解と同意であるはずなのに、

いずれもなおざりにしての見切り発車となっている、だから大方の理解を得られない。

不要不急な公共工事は、豊かな山を、川を、そして海を痛めつける。

何より、地域住民を分断する罪こそ、深い。

どこまで「負の遺産」を積み上げれば、国はそのことを理解できるのか。

と断罪しています。

全く同感です。

ちょうどその日、私たちは東京からのお客様Nさんを石木ダム建設予定地に案内しました。

現地に着く前に、石木川と川棚川の合流地点で途中下車。

ここは石木川のふる里「虚空蔵山」のビューポイントでもあります。

そして、正面には石木ダム建設のために土地を売って出て行った方々の家。

「ダム御殿」と呼ばれる立派な家々が立ち並び、

そこには、まさにダム計画により分断されてしまった元岩屋・川原住民が住んでいます。

子どもたちが通う学校は同じなので、PTAなどの集まりで顔を合わせることもありますが、

ほとんど言葉は交わさない、自然に避けてしまっていると聞きました。

 

団結小屋でおばあちゃんたちの話を聞いた後、川原を通り過ぎて、石木川上流の木場郷へ。

美味しい虚空蔵の水を飲んでいただきたくて・・

うん、美味しい!柔らかいですね!とNさん。

私たちは、この水汲み場に置かれているミカンや漬物、お茶などを買い込みました。

作物は水が命。

美味しい水で作られた野菜や果物は、やはり美味しいのです。

ここ木場郷は、日向の棚田で有名です。

幾重にも積み上げられた石積みの棚田。

ここに住む人々も昔は川原の人々と同じように石木ダムに反対をしていました。

この写真は2010年6月に撮影したものですが、今でもこのような看板が少しだけ残っています。

でも、石木ダム反対という明確な意思表示をする人々は少数派になってしまいました。

長い年月の間には人々の意思も変化するものです。

変化せざるを得ないような状況を作り出す力を県は持っています。

この素晴らしい石積みの棚田を整備したり、りっぱな公民館を建てたり、

「だんだん祭り」を開催して町興しに一役買ったり・・様々なアメを提供してきました。

その結果、木場郷の中でも石木ダム賛成・反対で分断が生まれ、

多くの人は、そのどちらとも言えず口をつぐむようになっていったのです。

 

石木川沿いを下り、再び川原地区に戻り、川原公民館にやってきました。

歴史がいっぱい詰まった公民館をNさんに見ていただくことと、

雨漏りしている公民館の屋根を見ることが目的でした。

屋根を見るために、建物横の崖を登っているとき、氷柱を発見!

長いものは4〜50cmほどもありました。

晴れた日で、撮影時間は11:42。

隣町でありながら、佐世保では見ることのできない景色にびっくり!

そして、寒さと共に、この地域がこれほど水をたっぷり含んだ貴重な大地であることを実感。

まさに緑のダム! 

 

地域を分断し、自然を破壊し、税金の無駄遣いとなるコンクリートのダムは要りませんよね〜

 

 

「不要ダム建設」の1つとして「SPA!」に紹介された石木ダム

週刊「SPA!」12月23日号にこんな記事が掲載されています。

「不要ダム建設」が安倍政権で続々復活中

その例として、八ッ場ダム、平瀬ダム(山口県)、最上小国川ダム(山形県)、

そして、石木ダム(長崎県)について書かれています。

ライターの足立力也さんは、「このグラフはダムがいらないということを表す象徴的な例として入れました。誌面があればもっといろいろ載せたかったのですが…」とおっしゃっていました。

そして「八ッ場(首都圏)も一緒なので…」とも。

いずこも不要なダムを必要と言いくるめるためには、めちゃくちゃ過大な水需要予測を提示する、

それが共通の手法となっているようです。

 

その八ッ場ダムは、石木ダムとはケタ外れの予算。

無意味な事業に6千数百億円ものお金をつぎこもうとしているのですから他人事ではありません。

八ッ場は国営ダムなので、私たち国民の税金を無駄遣いする最たるものの1つですね〜

 

平瀬ダムは石木ダムと同じ県営で、予算も350億円ほどと似通っていましたが、

安倍政権になって、総理のお膝元ということで、現在では740億円に予算が倍増!

治水効果がないので動きのなかったダム計画が急ピッチに動き出したようです。

 

「ダムがない清流」が最上小国川のブランドだった、そこに釣り客が大勢集まり地元経済に貢献してきた。

ダムができれば年間10億円もの損失になると近畿大学の研究チームは算出した。

 

などなど興味深い情報がいっぱいです。

関心のある方は、書店やコンビニで是非お買い求めくださ〜い!

まだ売ってるのかな?こんな表紙です。

あ、SPA!から宣伝を頼まれたわけではありませんよー

ちなみに私はこれまで買ったこともありませ〜ん。

でも、表紙からはイメージできない社会派記事もあちこちに・・・

意外でした。

 

 

5割のダムに土砂が堆積! 洪水防止機能低下

昨日の朝日新聞社会面の記事です。

ダムの大きな目的の1つである洪水対策。

それが実はあまり役に立っていない、または洪水を激化させる恐れさえあることを指摘した記事です。

理由はダム湖の底に土砂がたくさんたまっていて、大雨の時にたくさん水を溜める余裕がなくなっている。

また、その土砂を除去するには多額の費用がかかるので、簡単には実施できないという。

その結果、大雨時のダムからの放水により、下流域で氾濫の可能性が高まり、逆に人命の危険性さえ増えていくおそれもある。

それがダムに依る治水の限界だと今本博健先生は語っています。

 

この記事を私が知ったのは、一人の佐世保市民からの電話でした。

私は朝日新聞をとっていないので、この記事のことは知りませんでした。

その方は、

佐世保市民として、そんなに水に困っているわけでもないのに、

川棚の住民の方に迷惑をかけてまで石木ダムは要らないと思っていた。

でも、ダムの目的は水源対策だけではない。

石木ダムが川棚町の人々の洪水被害をくい止める働きがあるのかどうか素人なのでよくわからないが、

もしそうなら、造るなとは言えない・・

しかし、この記事を読んで、洪水対策としてダムは有効ではないことがわかった。

今本博健という学者の方は、ダムよりも堤防を強化すべきだと指摘している。

このような情報を多くの人に知ってほしい。

石木川まもり隊さんから広めてもらえたら・・そう思って電話しました。

とのこと。

本当に嬉しかった!です。

 

その今本先生は特に石木ダムは造ってはならないダムであるとして、佐世保市には2回も意見書を出されているんですよ。

と言うと、その方はとても驚かれ、石木ダムを止めねばとの思いを強くされたようです。

署名活動の話にも及び「どれだけ集められるかわかりませんが、私も署名を集めてみます!」と約束してくださいました。

 

情報を伝えあうことの大切さを感じるとともに、

私たちがブックレットやニュースを発行したり、チラシやパンフレットを配布したり、ブログやFacebookで発信しても、それはごく一部の人にしか届いていない、

情報を広めることの難しさを痛感しました。

 

それにしても新聞の力はまだまだ偉大ですね〜

ペンの力で広く伝え、また人を動かす力を持っているのですから。

(この方が私の電話番号をご存知だったのも、以前の新聞記事のおかげ)

私もさっそくバスセンターの売店で朝日新聞を買ってきましたよ〜 

 

もう一つの記事

少し間をおいて、「川のシンポジウム2014」に関する記事がもう一つ掲載されました。

西日本新聞の記事です。

五十嵐先生の「必要性に応じて計画を軌道修正していくべきなのに日本には『やめる』という概念がないことか一番の問題」との発言。

3ダムの報告者たちの「ダムがいかに不合理な理由で造られようとしているかを地道に訴え、世論を盛り上げていこう」という呼びかけ。

パネラーの石丸さん(石木ダム)の「署名運動を広げ建設中止に向け頑張りたい」という決意などが紹介されています。

私たちは3時間の中で、他ダムの問題点と現状を知り、

結局どのダムも不要で止めねばならないが止まらないという共通点を確認し、

止めるには世論を盛り上げるしかないことを再認識したのですが、

振り返ってみれば、その具体策についてはほとんど語り合っていませんでした。

 

またこのような機会があれば、次はそこのところをじっくり聴きたいものだと思います。

 

川のシンポジウムを伝えた2紙

一昨日の「川のシンポジウム」についての報道記事を貼付します。

毎日新聞は、講師の元内閣官房参与五十嵐弁護士の話と、参加した福岡市民の感想を伝えています。

 

長崎新聞は、パネル討論での意見も紹介し、石木ダム地権者石丸さんの「無関心層が多く、選挙に勝つのも大変だ」という本音と、それでも「地道に訴えていく」という決意を伝えています。そして、この写真!

 

五十嵐先生もおっしゃっていましたが、世論を広げるにはメディアの力が必要だと。

もちろんマスメディアの力は大きいけれど、ソーシャルメディアの活用も大事だと。

このブログもソーシャルメディアの1つですが、役に立っているのかな〜

伝えることは難しいし、読者の心を動かすことはもっと難しい。 

そして選挙のことになると、さらにさらに難しい。 

 

”聞きたい” その5

西日本新聞の連載コラム、石木ダム問題についての「聞きたい」の最終回(9月25日付)は、長崎大学の戸田清教授。

ご専門の環境社会学の観点からみて、石木ダムの必要性は疑わしいとバッサリ。

利水に関して言えば、佐世保の水需要予測は現実味を帯びていないし、

治水についても、ダム万能説は捨てた方がいいと。

生態系への悪影響も懸念される。

そのような中で強制収用などすれば、公権力の乱用として歴史に残る。

(もちろん汚点として)

 

「公共事業は一度走り出したら止まらない。その理由は行政のメンツと考えるしかないようだ」ともおっしゃっています。

 

メンツのために家や田畑を奪われるなんて・・・絶対あってはならないことですよね。

 

請願不採択を報じる各紙

昨日の石木ダム建設促進特別委員会の様子が今日の新聞4紙に掲載されていました。

まず長崎新聞。写真入りで掲載。

終了直後の傍聴席からの言葉も、しっかり紹介。

将来に向けて責任とれるのか!民主主義とは何なのか!

河川課ダム班参事のポスト新設?

WHY?

事業推進のため、地元との総合調整を担う?

やはり知事は、やる気満々なのでしょうか。。

朝日は「(意見書への)反対は会派の見解」と言った委員の言葉を、しっかり伝えてくれてますね。

西日本新聞は地権者の思いをしっかり伝えています。

 

ついでに「記者の目」もご紹介!

記者の目には、県が地権者の同意を得るための努力を尽くしたようには見えない。

ただ法頼みでは「強制収用について県民の理解は得られない」ときっぱり。

 

”聞きたい” その4

シリーズ4回目の今日登場したのは、石木ダム対策弁護団副団長の板井優氏。

川辺川ダムを止めた弁護団団長として知る人ぞ知る板井弁護士。

私も聞きたいと思っていました。

その通り!と、読みながら頷くことばかり。

★ この国の政策は「はじめにダム有りき」

★ ダムを造りたければスパンを長くすればいい

★ しかし、想定外の大雨が降ればダムもあふれる→ソフト面の対策こそ重要

★ 過去の大渇水を石木ダムで防げるというデータも根拠もない

★ ダムを造らないということを法律で決める時代に来ているのではないか

 

この記事を読んで、目から鱗の読者もけっこういたのでは?

板井弁護士の鋭い視点を、わかりやすくまとめた記者さんに拍手! 

 

”聞きたい” 石木ダム問題

ついに強制収用の手続きに踏み出した長崎県。

もはや地権者だけの問題ではない。

川棚町民や佐世保市民だけの問題であってはいけない。

県の事業なのだから、県民の多額の税金が投入される事業なのだから、

県民自信が関心を持って考えるべきこと。

でも、多くの県民は「よくわからな〜い」というのが実情。

で、少しでもわかるために、まずは話を聞いてみましょう。様々な立場の人に。

 

そういう意図なのかどうかはわかりませんが、石木ダム問題について、

西日本新聞が連載を始めました。とても読み応えがあります。

何回まで続くのか不明ですが、とりあえず、18日〜20日までの3回分をまとめて転載します。

 

今年度から県土木部長に就任された浅野氏の話には、正直がっかりです。

いつも柔らかな言動で、これまでの官僚的、上から目線の部長さんとは違う、話し合える方のように感じていました。

というのも、昨年から何度か公開質問状を出しましたが、今年3月までは企画監が対応するだけ。
しかも、質問に答える必要はないというのが彼の答えでした。

それは企画監の答えというより、それは河川課長の答えであり、土木部長の答えだったはず。

ところが、5月以降、話し合いがもたれるようになり、そこには必ず新土木部長の姿がありました。

だから、私たちは、浅野部長は地権者の理解を得るためには、ちゃんと話し合いをしなければならないことを理解している人なのだと思っていました。
地権者の疑念を払拭するための説明責任を自覚している人だと感じていました。

しかし、このインタビューに答えている浅野部長はまるで違います。
これが部長の本音だったのでしょうか。

「ダムの必要性については、われわれは前から説明して来ている」
「理解が得られていないのは、見解の相違と言わざるを得ない」

その見解の相違を解決するべく、私たちは「県の主張のここが納得できない。県がそう判断する根拠を示してください」と具体的に質問するのですが、県はその根拠を示す具体的な資料やデータは示さず、同じ説明を繰り返すばかりです。

それでは見解の相違が縮まるはずはありません。

その努力をせずして「ご協力いただくしかない」と結んでいるのは、これから話し合いを続けても、それは形だけのものですよということなのでしょうか。

結局、県自身は石木ダム計画を精査する意思はさらさらなく、ただ「理解せよ、協力せよ」と押し付けるだけ。浅野部長も、その方針に沿って仕事する官僚に過ぎないということなのでしょう。残念です。

 

川原で暮らす地権者の思いを実にしっかりまとめてあります。

石丸さんが日頃おっしゃっていることが、そのまま文字化されている。

石木ダムのことを何も知らない読者でも、3回ほど読んでくださったら、きっと、その本質が伝わってくると思う・・・そんな記事でした。

 

推進派の会長さんの話は、私には初耳でした。

予備調査を始めたころの長老たちの条件闘争、強制測量を県に促しておきながら「知らなかった」とコメントした当時の川棚町長の嘘などバラしています。
反対同盟13世帯との昔の思い出や記念写真を大切に持っていることを語るなど・・・
フェアないい人!と思いながら読み進みました。

ところが、ところが、最後に来て、「十分な損失補償金が出るうちに、理解してほしい」「建設できなければ・・・町も大損する」ときた。

うーん、残念!

こりゃダメだ。

ここの違いなんですよね。13世帯はお金ではない。お金を求めてはいない。お金では動かない。本当の豊かさを求めているのだけれど、それが、この方には理解できていないようです。

 

明日は誰が登場するのか、識者とはどなた?

楽しみです。