石木ダム問題の今

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再評価する方向で始動!

今日の長崎新聞です。



ようやく昨日、県から佐世保市へ、工期の3年延長を正式決定したとの連絡が入ったそうです。

それを受け佐世保市水道局は、局内で調整に入ったとのことで、

具体的には、

本年度内に再評価を始める(とみられる)

●水需要予測のほか、代替案や費用対効果などをあらためて分析する。

だそうです。

12日に私たちが提出した「再評価についての要望書」に対する回答は、期限とした26日を過ぎても届きませんでした。理由は「県からの報告がないので」とのことでしたが、ようやく届いたので、近々お答えを頂けることでしょう。

新聞記事で知る限りでは、私たちの要望のうちの半分は叶えて頂けそうで、期待をしています。

再評価の実施と再評価委員会の設置です。

「本年度内に再評価を始める」ということは、来年3月31日までに始めるということですから、付け焼刃的ではなくじっくりと準備するということであり、再評価のための委員会を設置して頂けるに違いないと期待しています。

どのような委員会に諮問するか、そのメンバー、構成が大事です。

前回のようなデタラメな水需要予測(たった2年間で工場用水が2.8倍になるとか、人口減少は止まらないのに全体の給水量は急増するとか)を認めるような委員会では、諮問しない方がマシです。

今日は、こんな記事もありました。



明日の控訴審でどのような判決が出るか…と。

一審でも二審でも私たち原告側は、ダムの必要性を問い続けてきました。それに対して国側は真っ向勝負することなく、証人を拒否したり、意見書を認めなかったり、どう見ても逃げているとしか思えないような負け戦を演じていたのに、一審判決では私たちの負け。

長崎地裁は県の計画は「合理性を欠くとは言えない」とし、「事業認定した国の判断は適法」と認めたのです。司法の場では裁判官の資質で結果は左右されますが、同様に行政が委ねる第三者委員会も、委員の資質次第で、行政に忖度した、お墨付き委員会になってしまうのです。

佐世保市水道局が、水道事業者としての誇りを持って仕事をするなら、本当に再評価の役に立つ人材を集め、佐世保市民にとって納得のいく再評価をやっていただくよう願いますし、そのような回答が届くことを首を長くして待っています。

 

県、石木ダム完成3年延期、決定



石木ダム完成 県が3年延期決定

川棚町に建設が進められている石木ダムについて、長崎県は県から諮問を受けた「県公共事業評価監視委員会」の意見書を踏まえ、ダムの完成時期を3年延期し、令和7年度に見直す方針を正式に決定しました。

長崎県と佐世保市が川棚町で建設を進めている石木ダムをめぐっては、建設に反対する住民らによる座り込みの影響などで、ダムに水没する県道の付け替え工事に遅れが出ています。

このため、県はダムの完成時期を3年延期し、令和7年度に見直す方針を有識者らによる「県公共事業評価監視委員会」で説明し、治水の面から事業の再評価を行った結果、「継続すべき」とした対応方針案を示しました。

これに対し、委員会は今月13日、この方針案を認める意見書を中村知事に手渡しています。

そして、県は27日、この意見書の内容を踏まえてダムの完成時期を3年延期し、令和7年度に見直す方針を正式に決定しました。

これについて、県河川課は「近年、災害が甚大化している。事業推進を目指すためにも、地元住民の理解を得る努力を続けたい」と話しています。

石木ダムをめぐっては、県の収用委員会がダム建設に必要なすべての用地を強制的に収用できるようにする裁決を下し、すでに明け渡し期限を過ぎていて、県は、強制的な家屋の撤去などを伴う行政代執行の手続きに入れるようになっています。

2019.11.17 石木ダムを断念させる全国集会

11月17日、「石木ダムを断念させる全国集会」を開催した川棚町公会堂は大きな熱気に包まれていました。



来場者は約700名。地元川棚町だけでなく、県内外から、こうばる住民を応援する人々が集まりました。

当日のプログラムです。



前半は、講演が2つも!

どちらも大好評でした。

 その1. 水源開発問題全国連絡会共同代表の嶋津暉之氏

・石木ダムによる川棚川の治水効果は極めて小さい。なぜなら、川棚川の上流域の洪水は防げないし、下流域の内水氾濫も防げない。

・計画を超える雨が降った場合には、むしろ流域に大きな被害をもたらすことも予想され、堤防の嵩上げなどの河川整備こそ急ぐべきである。

・佐世保市の水需要予測は過大な架空予測であり、実際の給水量は人口減などで減少の一途をたどっている。

・佐世保市民にとって石木ダムは無用の長物であり、市民に大きな負担を強いるだけ。

として「石木ダムは治水利水の両面で不要」と断じ、客席では多くの人が頷いていました。

 

その2.前滋賀県知事で参議院議員の嘉田由紀子氏



知事時代、6つのダムを中止or凍結させた実績をもとに、

・政策実現のためには、職員との対話、科学的データ、県民の共感が大事

・これからはダムに頼るのではなく、命を守る流域治水が重要

・これまでに居住者のいる建物を行政代執行してダムを造った事例は無い

・「できるかできないか」ではなく「やるかやらないか」

つまり、「知事の裁量で見直しをすればダムは止まる」と指摘、参加者はますます聴き入っていました。

 

10分間の休憩をはさんで、後半のトップバッターは、石木ダム対策弁護団の高橋謙一弁護士。現在進行中の2つの裁判について解説。判決がどうであれ、こうばる住民の人権は守られるべきものであると強く訴えました。

 

続いては、超党派の国会議員による『公共事業チェック議員の会』から、3名の方が駆けつけ、連帯あいさつ。いずれも衆議院議員の、初鹿明博さん(立憲民主党)、大河原雅子さん(立憲民主党)、田村貴昭さん(日本共産党)です。

また、予定が重なり参加できなかった福島みずほさん(社民党)松平浩一さん(立憲民主党)からはメッセージが届き、司会者が代読しました。

 

応援しているのは国会議員だけではありません。

続いて登壇したのは、「石木ダムの強制収用を許さない議員連盟」の方々。



代表の城後光さん(東彼波佐見町議)は「これは住民の人権に関わる全国的な問題。さらなる議員の参加者を促し、行政にプレッシャーを掛けていきたい」と述べました。

そして、議員連盟と入れ替わり登壇したのは、全国からやってきたダムに反対する仲間の皆さん。



近くはお隣の熊本県から、遠くは八ッ場ダムの地元群馬県からも。皆さんは自分たちの足元のダム問題にしっかり取り組みながら、他県のことにも注目し、学び、声を上げてくださっているのです。頭が下がります。

それを一番感じていたのは、もちろん、こうばるの皆さんでしょう。

住民を代表して、松本好央さんが今の思いを率直に語りました。



土地も取られ、家も取られてしまった今だからこそ川棚町民、佐世保市民の皆さん、長崎県民の皆さん、そして全国の皆さんに知ってもらえるチャンスだと思っています。

知事の一言で強制代執行ができてしまう今だからこそ、人としての在り方、石木ダムが本当に必要なのか?きちんとした説明はなされているのか?河川課長の発言はどういう事なのか?問うていく時だと思うのです。

今日ここに集まって下さった皆さんと共にこれから先も力を合わせ、こうばるを守り続けることを誓います。

私たちは、明日以降もこれまでと変わらない日常をこうばるで送り続けます!

会場からは、割れんばかりの拍手が起こりました。

 

最後に集会宣言を採択し、17時少し前に閉会。

集会宣言はこちらです。集会宣言

 

3時間半に及ぶ長い集会でしたが、客席の皆さんはステージに釘付け。

真剣な表情で、それぞれの話にしっかり耳を傾けていました。

「地元の方の話に感動した。絶対に石木ダムは止めなければ!と改めて思った」

「反対派議員がこんなにいるとは思わなかった。ようやく議会も変わるかも…期待したい」

などの声を、多くの方から頂きました。

 

そして、「講演を聞いて石木ダムが要らないことがよくわかった。今日参加できなかった友人に資料を渡したい。もう1部買えないだろうか」などの要望も。特に議員さんたちは、これでしっかり勉強したいとのこと。



この報告をご覧いただいている皆さんの中にも、講演資料のご希望があれば、是非こちら(michi30@hyper.ocn.ne.jp)までご連絡ください。当日は資料代として500円頂きましたが、集会後は講演資料のみの場合、300円でご提供いたします。ただし、郵送の場合は、別途送料がかかります。

売り上げは全て、石木ダム訴訟の裁判費用にカンパいたしますので、ご了承下さいますようお願いいたします。

 

この日、ここに集まった全ての人、こうばる住民も、川棚町民も、佐世保市民も、長崎県民、県外の人も、町議・市議・県議・国会議員も、誰もが「こんなに住民を苦しめる事業は、もはや公共事業ではありえない」「こんなムダな事業に我々の貴重な税金を費やしてなるものか」と思いました。

こうばるを守る闘いは、私たちの暮らしと人権を守る闘いであることを、あらためて確信しました。

既に全ての土地と家屋が強制収用され、明け渡し期限が過ぎても、誰一人出て行かない「こうばる」住民の団結は不動です。

もう何も失うものはありません。

これからは、取り戻すのです。

財産と人権を取り戻す闘いの始まりです。

11月17日の集会に集った私たちは、その闘いを全面的に支援します。

みなさん、支援の輪をますます広げていきましょう!!

工事差止訴訟 結審!



今日は工事差止訴訟の結審日です。
いつもの原告や県内支援者だけでなく、中部地方や関東地方からも7名の方々が傍聴されました。感謝!!

開廷後すぐに原告側から3人が意見陳述を行いました。

●岩下和雄さん(川原住民) 陳述書 (岩下和雄)

●鍋島典子弁護士(原告代理人) 意見陳述(鍋島)

●平山博久弁護士(原告代理人) 意見陳述(平山)

その後、被告側からの陳述はなく、準備書面等の確認の後、結審しました。

判決は、令和2年(2020年)3月24日(火)14:00 です。

 

いつもの中部地区公民館で報告集会。
今日は、まず初めに記者団による質問です。

Q:この裁判の争点は?

A:争点は、今の時点でダムの必要性があるのか、権利侵害があるのかということ。しかし被告側は、既に事業認定取消訴訟の一審で石木ダムの必要性は認められているとして議論しようとしない。事業認定の正当性を争った取消訴訟は、認定した当時(2013年)のダムの必要性を問うものであり、この裁判(工事差止訴訟)では、いま現在の必要性を問わねばならない。基準時が全く違うので、改めて議論すべきである。被告側はそれを逃げている。正面から議論すると勝てないので逃げている。逃げても裁判所は守ってくれると高を括っている。
実際にそういう場面がありましたね。

(それは、結審の直前のこと。裁判長が「被告は本件事業の公共性公益性について原告の主張に対して具体的な反論をしていないが、別件訴訟の一審判決が正しいので原告らの主張は理由として認められない、ということでよろしいですか?」と確認し、被告は「はい」と答えていました。裁判長が被告に代わって説明?!)

Q:もう所有権が行政に移ってしまっているが、原告の方の立場はどういうふうに捉えたらいいのか?今日の昼のニュースでは、「元地権者」と表現していたが。

A:居住者である。我々は地権者として裁判をおこしたわけではない。そこに住んでいる者として、その権利を主張している。この裁判では、13世帯の暮らしが合理的理由もなく奪われるということと、佐世保市民にとっては自分たちの税金が無駄に使われ、市民生活が脅かされるということを問題にしている。

(佐世保市民にとっては税金というより水道料金です。石木ダム負担金のほとんどが水道会計から出て行くので水道料金の値上げに繋がります。一部税金からも支出しますが、税金による負担なら、県税からも支出し、国庫補助も受けるので、長崎県民も日本国民もみんなの税金が使われています。だから、この訴訟の原告は日本中から集まっているのです)

Q:工期延長を受けて佐世保市が新たな水需要予測を出すようだが、裁判に影響するのかしないのか?また、水需要予測について弁護団はどのようにとらえているのか?

A:佐世保市の発言は「いつかはしなければならない」ということであり、「今すぐやる」とは言っていない。判決には間に合わないだろう。佐世保市は29年度にやるべきだったのに口実を作ってやらなかった。が、34年度にはやらなければいけない。工期延長の関係で来年やるかもしれないが、再び過大な予測となるかもしれない。きちんと再評価をするよう我々も望んでいるし、佐世保市民からもそういう声が上がっているようだ。

 (佐世保市は再評価を2回逃げています。1回目は27年度の工期延長のための再評価。県は治水について再評価を行ったが、利水についてやるべきだった佐世保市はそれを怠った。2回目は29年度。5年ごとの通常の再評価をやるべきだったが、24年度の再評価を後付けで特別な再評価と位置づけ、次は34年度で良いことにしてしまった)

Q:長崎地裁では市の予測を行政の裁量権として認めたようだが、佐世保支部ではどのような判断をすると思われるか?

A:そのように言い張る裁判官もいるが、予測が間違っているのは明らか。既に30年度までの実績値が出ているが、予測値との差はますます大きくなっている。

Q:権利の侵害が争点になっているとのことだが、訴訟している間にも収用の手続きは進んでいき、明け渡し期限を迎えてしまった。この状況の変化は、訴訟にどのように影響しているのか。

A:居住している限り、所有権は全く問題にならない。名義が変わったのは観念論である。名字が変わっても人格が変わらないように、所有権が変わっても、そこに住んでいる限り住んでいる者の人格権は変わらない。居住し生活をする権利の侵害を問題とすることに影響はない。

 

フリージャーナリストを含め、記者の皆さんからは次々に質問が出されましたが、時間となり、その後はいつもの報告集会に移りました。

まず初めに、今日意見陳述した3人の方からポイントや感想が述べられました。

平山弁護士これまでの裁判では叶えられなかったが、この裁判では是非とも、原告の人々の怒りや疑問に正面から答えてほしい、その思いを込めて陳述した。

鍋島弁護士どう話したら裁判官は「そうだよねー」と思ってくれるかなと、それをとても考えた。裁判官というのは各地を転々とする職業なので、ふるさとに拘り続ける人々の思いに寄り添うのは難しいかもしれない。だからこそ、前回の居住者による意見陳述の言葉が一番大事だと思い、それぞれの陳述書から引用させていただいた。

 岩下さん:今回原告からの意見陳述は予定されていなかったが、前日の集会で集会宣言が採択されるというので、急遽それを読み上げることになった。言いたいことはいろいろあったが、時間もなかったので前置きとして今の気持ちを短くまとめた。

 

続いて、質疑応答です。

支援者:先ほどの記者の方からの質問に答えて、明け渡し日を過ぎても何も影響はないとおっしゃっていたが、本当にそうだろうか?権利をはく奪されたところに住んでいると不法行為とみなされたりするが、不利益が生じることはないのだろうか?

住民:私たちの想い(住み続たいという願い+住み続けるという覚悟)は、今日が過ぎても、1ヶ月後、1年後も何ら変わらない。覚悟はできている。

弁護団:弁護団としては、居住している以上、その権利を守るということを主張していきたい。所有権の有無や明け渡し日は問題としない。

住民:29日には高裁の判決が出るが、その後の予定はどうなるのか?

 弁護団:高裁の判決はほぼ予測はついている。上告の手続きも進めているし、2月には最高裁への要請行動も予定している。

弁護団:浦瀬課長の「追い風」発言が話題になっていたが、あれは本音だろう。内心、佐世保市の関係者は「渇水が起きてくれないかな~」県の関係者は「洪水が起きてくれないかな~」と思っているだろうとは思っていた。まさか口に出すとは思わなかったが。そんな、他人の不幸をあてにしないと前に進めないような事業はおかしい。必要性が無くなっていることの証である。裁判がどんな結果になろうとも、私たちの正しさは、ここでも確認された。

佐世保市民:浦瀬氏は二重の間違いを犯したと思う。1つは災害にあった人の不幸を利用したということ。もう1つは、災害の時に石木ダムがあたかも役に立つように述べたこと。昨日の嶋津先生の説明など聞けばそれは明らかだが、マスコミの報道には、そういうことがあまり書かれていないのが残念だ。

 嶋津氏:裁判も頑張っておられるし、我々も頑張っているが、今ここにおられる皆さんにできることがあれば、アドバイスを頂きたい。

弁護団:皆さんがまず確信を持って石木ダムは不要だと広めて頂くこと。昨日、嘉田さんが言われたように、行政代執行してダムを造ったところは無いのだから、13世帯に対して、それはあり得ない。焦ることは無い。焦っているのは向こう。我々は行政代執行などとんでもないという世論を作っていくこと。

住民:毎朝、工事の音で起こされる。昨年から体調が悪く辛いが、それにだんだん慣らされていっていることが怖い気がする。追い風発言とかそういうことに、支援者の方も慣れないでほしい。風船がどんどん膨らんで、いつかパンとはじけるように、石木ダム問題もはじけてほしい。慣れると風船がしぼんでしまう。

福岡市民:議員連盟もできたので、いろんな疑問や提案をあちこちの議会でどんどん出していってもらうよう、働きかけをしていくのがいいと思う。

 

などなど、昨日の余韻か、記者の皆さんも市民県民、他県民まで発言が相次ぎました。

この熱気が萎まぬように、みんなでどんどん膨らませていきましょうー

 

公平公正な再評価委員会を!



昨日、佐世保市民6人で、水道局へ要望書を提出してきました。提出したのは、「石木川まもり隊」と「佐世保の水と石木ダムを考える市民の会」の2団体です。



長崎新聞は写真入りで大きく伝えていました。

読売新聞や西日本新聞も記事を掲載していましたが、両新聞の見出しを見て、びっくり!





早期の再評価要望」「再評価早期に」と書かれていますが、これは誤解です!

要望書をごらんください。2019.11.12 石木ダム事業再評価についての要望書

最後に4つの要望事項を掲げています。その1と2を確認してください。

1.長崎県から工期を3年延長するという正式な報告が届いたら、佐世保市は利水面での再評価を行うという決定を速やかにおこなうこと

2.再評価のための委員会は新たに設置し、人選に際しては、石木ダム推進派の意見も反対派の意見も聞けるよう、偏りのない構成を目指すこと。例えば、水問題に詳しい識者を選ぶ場合は、石木ダム賛成反対双方の立場の人を選ぶこと。

(提出した要望書は全て黒字。説明をわかりやすくするため、ここでは赤字で表示)

私たちが求めているのは「再評価をするという決断は早くしてほしい」が、「再評価の準備は時間をかけてじっくりおこなってほしい」ということです。

新たな委員会を設置するには時間がかかるのですが、何故それを望むのか説明します。

佐世保市は過去何回も石木ダム事業の再評価をおこなっていますが、私が知っているものだけでも4回あります。1999年度、2004年度、2007年度、2012年度の4回です。

1999、2004、2007年度の3回は、全て再評価のための第三者委員会を設置してそこで議論されましたので、結果は「事業継続」となっても、議論の過程では様々な疑問や異論も出てきました。

2007年度の意見書には「…場合によっては、(ダム以外の)別の道を探る必要があるとの意見も一部委員にあるので、重要な意見として特に付記する」と書かれていました。

2004年度の議事録には、提示される資料について、「資料自体は事業者側からすべて出て、それで判断しろということになっている。異論を唱えようとすれば、出された資料を否定するような資料を自分で作らなければならない。だから、(事務局の原案に沿った)結論にしかならない。このような再評価委員会のあり方というのはどうなのか。いろいろなデータは公開し伝えてほしい」との委員長の発言が記録されていました。

これらは重要な意見であり指摘です。このような委員の方々の意見を取り入れて、より充実した再評価を目指すべきだと思うのですが…

直近、つまり前回、2012年度の再評価は、再評価のための委員会は設置せず、常設の『佐世保市上下水道事業経営検討委員会』に諮問したので、答申書の中身は、いつも水道局長が議会で述べていることとほとんど同じ内容でした。

考えてみれば、それは当然の結果です。『佐世保市上下水道事業経営検討委員会』というのは、水道局の経営のあり方について検討したり、上下水道ビジョンの策定に関わったりするのが任務なので、予算時、決算時、その他において度々当局と意見を交わし佐世保市水道事業に関わっているのですから、身内とまではいかなくても、かなり近い関係にあります。

しかし、この再評価を義務付けている厚生労働省の実施要領によると、評価にあたっては、「学識経験者等の第三者から意見を聴取する」とあります。また、その学識経験者とは、「評価対象事業の特性や社会経済等について高い見識や実践的知識等を有する」識者ということです。

『佐世保市上下水道事業経営検討委員会』には、社会経済についての高い見識をお持ちの方はおられるかもしれませんが、ダム事業についての見識や実践的知識をお持ちの方は名簿からはお見受けできません。

そういう観点からも、石木ダム事業についてしっかりとした見識を持っている専門家に加わって頂きたいし、また、その専門家が賛成反対のどちらかの方だけでなく、両方の参加が必要です。

ということになれば、再評価委員会の委員探しも簡単ではないでしょう。多くの時間を要するかもしれませんが、それはやむを得ないことです。

公平公正な再評価委員会設置のためには、委員の選定や資料作成には十分な時間をかけて準備していただきたい。それが私たちの要望です。

そして、その準備に時間がかかることがわかっているからこそ、再評価をするという決断は、なるべく早く示してほしいということが言いたかったのです。要望書が分かりにくかったのか、記者会見での私たちの説明が下手だったのかもしれませんが、この誤解は解いておきたくて、ここに記しました。

なぜ、この誤解に拘るのかというと、水道局がこの報道のように「市民は早期の再評価を望んでいる」と受け止め、「早くするには常設の委員会に諮問するしかない」と結論付けられては困るからです。

ご理解頂けたでしょうか・・・(+_+)

石木ダム全国集会@川棚町公会堂へ行かんばよー

大事なお知らせを忘れていました!



11月17日、今度の日曜日です!
午後1時開場、1時半開会です。

川棚町公会堂に、石木ダム計画を止めよう!こうばるの闘いを応援しよう!と思っている人々が全国から集まってきます!

それぞれの地域でダム反対運動を闘っている人々がやってきます。

国会議員も駆けつけます。「公共事業チェック議員の会」の方々。無駄な公共事業をチェックし、税金の無駄遣いを減らそうと頑張ってくださっている超党派の国民の味方です。

議員と言えば、9月に誕生したばかりの「石木ダム強制収用を許さない議員連盟」の方も、もちろん参加されます。

それから、講師もお2人お招きしています。

お1人は、水源開発問題連絡会の嶋津暉之氏。「石木ダムは治水利水の両面で全く不要!」と、バッサリ斬ってくださいます。

もうお1人は、参議院議員の嘉田由紀子氏。元滋賀県知事としての経験から、「知事の裁量で見直しすればダムは止まる」と自信を持って語ってくださいます。

どちらも聞き逃してほしくない、貴重な講演です。

石木ダム推進派の方にも聞きに来てほしい!
石木ダム建設促進佐世保市民の会の方、いかがですか?
石木ダム建設促進川棚町民の会の方、いかがですか?
石木ダム建設促進の県議さん、佐世保市議さん、川棚町議さん、いかがですか?

中村知事も、朝長市長も、ぜひ来て頂きたいナー

資料代500円、とありますが、1000円の価値ある資料ですよー
聞くだけでは忘れてしまう大事な情報がカラー刷りでしっかり保存できます。

さあ、らっしゃい!らっしゃい!

11月17日(日)は、川棚へみんなで  Let’s go!



すみません。折れ目のついたチラシの写真で。

実は手元にチラシが何も残っていなくて・・
そうそう!宛先不明で返送されてきた封筒があったっけ!
ということで、取り出し、スキャンしたら、この通り、白いスジが入ってしまいました。トホホ・・

 

土木部長に「帰れ!」コール

11月7日、いつもの座り込みの現場に、岩見洋一土木部長が現れました。

何をしに来たのかな?例の追い風発言の謝罪に来たのかな?と思っていたら、



これから寒くなりますからね。体に気を付けてくださいね」と笑顔で語り掛け、

それなら工事を止めてください!」と地権者の皆さんは即答。

誰のせいで、暑さ寒さを我慢して日々の用事も後回しにして座り込みを続けているのか!
帰れ!コールも怒りの声もモノともせず、約25分間を要して部長さんが伝えようとしたことは、
・知事からの手紙を見て頂けたか?
・話し合いに応じてください。
この2点だったようです。

相変わらず地権者の胸の内などお構いなく、自分たちの計画に沿って前に進めることだけしか考えていないやり方ですね。

何を言われても耐えて笑顔で応じていれば、いつかは理解してもらえるだろう、応じてもらえるだろう、と本気で考えているのでしょうか?

なぜ、住民の皆さんが、これほど怒っているのか。知事や土木部長、河川課長は、そこをまず、理解しようとすべきです。

そもそもは9月19日、全ての土地の所有権が奪われるその日、こうばる住民の皆さんは県庁まで出かけ、中村知事と面会し、直接、思いのたけを訴えました。

92歳のMさんは「この年になってどこに出て行けと言われるのですか。私は殺されてもよか。ここに住み続けます」と言い、 小学生のSちゃんは「川原にダムをつくらないで下さい。私は川原が大好きです」と泣きじゃくり、30代のJさんは「私は家族とコミュニティを守る!絶対に手を触れさせない」と決意を語りました。

そんな面談を終えてすぐの記者会見で、中村知事は、「事業を進めていく必要があると改めて感じた」と述べたのです。

この言葉には私たちも言葉を失うくらい唖然としましたが、地権者の皆さんの落胆と失望は計り知れないほど大きく、それが時と共に大きな怒りへと変わっていったのです。

その上、追い打ちをかけるように、知事は地権者へ手紙を送り、「県民の安全・安心のため、事業へのご協力をお願いしたいと考えております」として面会希望を伝えてきたのです。そのようなお願いを聞くために、住民の方がどうして会う気になれるでしょう。

そして、10月30日、河川課長は石木ダム推進派議員との非公開の会合の中で、「災害は我々にとって追い風」と発言したのです。6団体の抗議を受け、発言を撤回しましたが、謝罪はなかったそうです。

テレビ朝日の報道によると、
長崎県河川課浦瀬俊郎課長は「その場で思い付きというか、出た言葉で、ついつい出た」と述べ、県土木部は「発言が住民との協議に直接的な影響はない。逆に接点ができたことは良かった
と言っていたようです。https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000168499.html

「ついつい出た」という弁に、やはり誤解ではなく本音だったんだなと感じましたが、失言を反省し謝るどころか、それを「話し合い」するためのきっかけ作りに利用しようという発想には呆れます。
そして、その実現のために、さっそく土木部長がやって来たというわけか…

土木部長と住民の方々のやり取りを、かいつまんで紹介すると、

部長:前回は皆さんからのお話を伺いました。今度はこちらの話も聞いて頂けないでしょうか?

住民:聞いた?何を?面会が終わってすぐ1時間後には「ダム事業を進める」と言ったではないか。それで聞いたと言えるのか?何を聞いたのか?これ以上何を話すと言うのか?

部長: 皆さんの生活のこと、将来のことなども・・

住民; このままでいい!俺たちの生活を破壊しているのは、そっちだ。

部長: 皆さんにはご迷惑をおかけしてますが、この事業は多くの人が必要としています。多くの人が助かるんです。

住民:多くの人って誰?誰が困っているのか?

部長:佐世保の人は水不足で困っています。

佐世保市民:私たちは全然困ってませんよ!水は足りています。漏水の方が心配です。

部長:川棚川下流域の人も洪水被害で困っています。

住民:どんな被害があったと言うのか?河川改修が先ではないか。かつて浸水した地域に県は家を建てさせたじゃないか。被害が出るのを待っているのか?「災害は追い風」という考えだから。

部長:あれは誤解を与える表現だったので撤回しましたが、被害を防ぐために皆で考えていかないと…

住民:ダムを造ったら水害が無くなるのか?

部長:計画規模(の雨量や流量)までは無くなります。それ以上の場合は被害が軽減されます。

住民:最近の災害ではダムがあったために死者が出たりしてるではないか。石木ダムを造って死者が出たらどうする?あんた、責任とれるのか?

部長:出ないように知恵を出し合い、最善を尽くします。

こんなやりとりが続き、途切れたところで聞いてみました。

そんなに話し合いをやりたいのであれば、公開討論会を開いてくださいよ。こういうやりとりを、専門家も交えて、公開の場で。県民の多くがそれを望んでいますよ。

部長:いえ。私たちは住民の皆さんとだけ話し合いたいのです。

ふーん。石木ダム建設事業費を負担する佐世保市民や県民国民は蚊帳の外ってわけですか~

部長は再び笑顔で、
これから寒くなりますから、皆さん、体を大切に。
今日は皆さんに会えてよかった。
また会いましょう!

と言い、やっと帰っていきました。

「追い風」発言は、議論や理解が深まるという趣旨?

県内の6団体による抗議を受け、11月5日、浦瀬俊郎県河川課長は、追い風発言を撤回しました。



20191105浦瀬発言抗議文

浦瀬課長は、午後の記者会見で、「県内外で災害が発生し、防災や治水に関心が寄せられていることから、より議論が深まって必要性も理解されるのではないかという趣旨だった」と釈明し、「災害が発生してよかったとは思っていない」と述べたそうです。

当たり前です。誰も「災害が発生してよかった」なんて思うわけがありません。

しかし、「追い風」という言葉には、自分たちにとって有利だというニュアンスがあります。選挙報道などでよく耳にする「逆風」「追い風」は、まさに「不利」「有利」の意味で使われています。

浦瀬課長が本当に、「防災や治水について議論や理解が深まるのでは」という趣旨で発言されたのであれば、ぜひそうしてください。

私たちは2年以上前から公開討論会を求めています。治水についての関心が高まっている今、石木ダムの必要性の是非を議論しましょう。大歓迎です。

昨年の西日本豪雨の時は、愛媛の肱川流域では、野村ダムの放流で5人が亡くなり、鹿野川ダムの放流で4人が亡くなり、「治水とダム」に対する関心は今年以上に高まっていたと思いますが、その時にも「追い風」と思っておられたのでしょうか?であれば、なぜ公開討論会に応じて頂けなかったのでしょうか?

また、一昨年の8月には、石木ダム事業に反対する若者グループ「エヌダブ」が、ダム建設の撤回を求める署名2,548筆を知事宛てに提出した際、対応した吉田慎一土木部次長は「先日も九州北部豪雨が起こり被害が出たが、ああいう災害にダムは有効。行政には住民の命を守る責務がある」と述べました。https://mainichi.jp/articles/20170817/ddl/k42/040/267000c

つまり、この時も、議論するのではなく、ただ最近の災害事例をあげて、「ああいう被害を回避するために石木ダムが必要なのだ」という主張をなさっただけです。治水対策=ダムというご自分たちの結論を押し付けてきただけです。

この時の被害は河川氾濫よりも土砂災害によるものがはるかに甚大でした。石木ダムがあったら土砂災害が防げるのか?大いに疑問だと多くの県民が思っていましたが、それを議論する場もありませんでした。

他所で起こった不幸な災害を他人事とせず、自分たちの身にもいつ降りかかってくるかわからないこととして「議論を深めよう」と、どうぞ、本気で思ってください。

各事例をしっかり分析、検証し、それらを教訓として、川棚川の治水にどう生かすか、石木ダムは果たしてそれらのケースで役に立つのか?愛媛の事例のように、かえって被害を甚大にするのではないか?など、議論しましょう。

止まらない温暖化で、これまでとは全く違ったスケールの集中豪雨や台風が頻発している中、県民の命を守る対策を、根本から見直すべきではないでしょうか?

私たちは、そういう意味で、河川課の皆さんと真剣に議論し、協力し合っていきたいと願っています。

二度も命を取られるわけには

「2度も命を取られるわけには」 緊迫のダム水没予定地

原口晋也 

https://digital.asahi.com/articles/ASMB06JPXMB0TOLB011.html

 

写真・図版水没予定地になっている田で稲刈りする炭谷猛さん。ダム反対の決意を示す壁は、魚雷工場の遺構だ=2019年10月8日、長崎県川棚町、吉本美奈子撮影

 長崎県と佐世保市が、同県川棚町で建設を進める石木ダム。事業着手から44年、水没予定地の川原(こうばる)集落の土地明け渡し期限が18日に迫る。県が家屋などを強制収用する「行政代執行」に踏み切れば、国内のダム事業では初めて。緊迫する現場を歩いた。


災害は追い風!?

「災害は我々にとって追い風である」というとんでもない発言をしたのは、長崎県土木部河川課の浦瀬課長。

洪水対策に心血を注ぐべき立場の方が、豪雨災害で家族や家を失い、未だに失意のどん底にいる被災者のことなど頭の片隅にもない……石木ダムさえできればそれでいい、という本音が透けて見えました。

「災害は我々に追い風」 石木ダム意見交換会で県課長 /長崎

https://mainichi.jp/articles/20191102/ddl/k42/010/274000c  毎日新聞 2019.11.2

県と佐世保市が川棚町に建設を進める石木ダム事業をめぐり、先月30日にダム建設推進派の県議らが開催した意見交換会で、県河川課の浦瀬俊郎課長が「災害は我々にとって追い風」と発言していたことが出席者への取材で分かった。

浦瀬氏は、毎日新聞の取材に発言を認め、「自然災害が多発する中、一日も早く石木ダムを含め整備を進めていく必要があるという趣旨だった」と説明した。

石木ダムを巡っては、水没予定地内で暮らす13世帯約50人の家屋などの明け渡し期限が18日に迫る。中村法道知事は話し合いを通じて事業に理解を求める考えを示している。

 県議、佐世保市議、川棚町議計33人の意見交換会は冒頭を除き非公開。複数の出席者によると、浦瀬氏の発言は議員らとのやりとりの中であり、その場でもたしなめる声が出たという。

 出席したある議員は「ダムは必要だが、台風19号などで多くの死者が出て、避難生活を強いられている人たちがいる中では軽率だ」と指摘した。

 浦瀬氏は「長崎大水害後にも理解をいただいて、かなりの方に(河川整備のための)移転をしてもらっている。そうした観点から発言した」としている。【浅野翔太郎】

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