石木川ミュージアム(連載1)

こんにちは。

こうばるほずみです。

2021年はカレンダー配布後に長くうつ状態に入りあまり活動ができていません。

今年2021年は石木ダムのダム本体部分に40年建っている団結小屋「ダム小屋」を間借りして、

石木川ミュージアムを作る!ということでゆ〜っくり動いていました。

そのことを石木川まもり隊のブログの方で、どれくらいご報告していたのかさっぱりよくわからない状態です。

なので、経過報告を短文連載するカタチで更新させてください。



2021年9月下旬現在、

石木ダム水没予定地では、長崎県が本体工事に着手すると言ってパフォーマンスを見せていますが、

実はわたし、本体部分に40年建っている団結小屋を間借りして、石木川ミュージアムをぼちぼちやっているんです。

団結小屋といえば、地元のおばあちゃんが通っているあの「ダム小屋」です。

ダム小屋に通うおばあちゃんは、今現在、松本マツさん一人になってしまいました。

おばあちゃんは、奥の畳の部屋を使っています。

わたしは、手前の台所、物置のようになっていた部屋を改装してアトリエにして使っています。

まぁ、ぼちぼちですが。

いつ行政代執行されてもおかしくない団結小屋ですが、素敵にDIYしています。




次回へつづく

石木川ミュージアム(連載2) : 石木川まもり隊 https://ishikigawa.jp/%e7%9f%b3%e6%9c%a8%e5%b7%9d%e3%83%9f%e3%83%a5%e3%83%bc%e3%82%b8%e3%82%a2%e3%83%a0/7584/

報告/こうばるほずみ

タブノキの咆哮

これは何?
自分で撮影しておきながら、一瞬、映画ゴジラを連想してしまった。

人間が行った水爆実験の影響で生まれてしまったゴジラは、結局、人間によって滅ぼされた・・・身勝手な人間への断末魔の咆哮を思い出していた。

これはタブノキ。
石木ダム関連工事のために頭や手を、重機でもぎ取られ、引っこ抜かれ、投げ捨てられたタブノキ。

ほんの半月前までは、このように大きく枝を伸ばしていた。
猛暑の頃は、この優しい木陰にどれほど助けられたことだろう。
この木の向こうには手作りの休憩所があって、
真夏や雨の日はそこでお弁当を食べていたので、
誰が名付けたか『森のレストラン』と呼ばれていた。

タブノキは『森のレストラン』の日除け、風除け、雨除け・・まさにガードマンであった。

9月8日、森のレストランのすぐ傍に作業員がやってきて、重機でまわりの草木を伐採し始めた。
この位置から撮った写真では草に覆われて見えないけれど、作業員のいるところは草原ではなく、細い砂利道である。

この道は、赤道(あかみち)と呼ばれる公図上には記されていない里道で、登り切ったところに、こうばる住民の先祖が眠るお墓がある。
住民や支援者は、そのお墓の近くに車を停め、赤道を下って抗議行動の現場に向かう。

翌9月9日、森のレストランの周りの草木は引っこ抜かれてしまった。
そして、あの大きなタブノキが・・・
まるで生きたまま処刑されたかのよう・・・

翌週来てみると、
赤道の途中から両側の草木は削り取られ、
道幅は何倍にも広くなっていた。

そして、あのタブノキは、ついに根こそぎ引っこ抜かれ、横たわっていた。
幹の何倍もの太さで大地に根を張り、あの巨木を抱えていたのか・・
タブノキは古くから樹霊信仰の対象とされていたようで、日本各地に巨木が残っており、「鎮守の森」によく見られるそうだ。

たまたま、友人がこんな絵本を貸してくれた。
村の人たちから敬い慕われてきた大きなタブノキ。
でも、ダム計画のため水の底に沈んでしまうと知った子どもたちが、タブノキを助けて!と村長に手紙を出した。こどもたちの願いが大人を動かし、ダム湖の傍にできる公園に移植することになり…難しい移植も皆の努力で成功し、翌年の春には新しい葉っぱが…。

そんな心温まる話。こうばるのタブノキとは大違いのハッピーな運命。子どもの声にもしっかり耳を傾ける村長さんや村議会の大人たちの優しさが大樹の命を救ったのか…

と思っていたら、思わぬどんでん返し。
幸せな?タブノキは数ヶ月後、台風がやって来て、根こそぎ倒れてしまった。根を切り詰められたため、踏ん張ることができなかった、と書かれていた。

やはり…小手先の対策では問題は解決しない。
人間の都合で大地を支えている大きな木を切ったりしてはいけないことが、子どもにも伝わってくるだろう。

ましてや、無残に倒され放置されたこうばるのタブノキは、長崎県政の象徴であり、子どもたちには見せたくない光景だ。

でも、知事と佐世保市長には、是非こうばるのタブノキを見に来てもらいたい。

骸となったタブノキがきっと何かを教えてくれるだろう。

コンコルド効果

コンコルド効果

(長崎新聞コラム2021/9/10 11:00 ) https://nordot.app/808879421200924672

〈「いつ始めるか」を決めるのは難しいが、「いつやめるか」の決断はもっと難しい〉-本紙情報面の人気コラム「歳々元気」が2年ほど前、こんな書き出しで「コンコルドの誤謬(ごびゅう)」という経済用語を紹介している

▲英仏の共同プロジェクトで生まれた優美な機体の超音速旅客機は、燃費が悪い、定員が少ない-などいくつか大きな欠点があり、開発途上で採算性の厳しさが指摘された。だが、いったん動きだした計画は止められず、赤字を膨らませながら空を飛び続けた

▲一つの事業で、ある時点までに投資されて回収できない費用のことを経済学ではサンクコスト(埋没費用)と呼ぶ。「コンコルド効果」は、このコストを惜しんで引くに引けない心理的圧迫を言う言葉。いろんな場面で誰にも覚えのある感覚でもある

▲東彼川棚町の石木ダム建設事業で、県が一昨日、ダムの本体工事に着手した。事業採択から46年。半世紀近い時間が経過している

▲事業が長く実現できずにいることと、ダムの必要性とを単純に結び付けて論じるのは乱暴だろう。ただ、過去の投資や時間や経過や労力を惜しむあまり、判断が歪んでいないか-を、繰り返し問い直す姿勢を行政には求めたい

▲冒頭のコラムは〈引き際の決断にこそ、勇気と知性が求められる〉と結ばれていた。(智)

 

「抗議の行動変わらぬ」 石木ダム建設、本体工事開始から一夜

(西日本新聞2021/9/10 11:30 )  https://www.nishinippon.co.jp/item/n/798500/

本体工事の現場を監視する水没予定地の住民と支援者

長崎県と佐世保市が進める石木ダム建設事業で、ダムの本体工事が始まった。着工から一夜明けた9日、川棚町のダム建設予定地では山の掘削や木の伐採が進められたが、反対する住民と支援者はこれまで通り座り込みを続けた。「本体着工で住民の行動が何か変わることなんてなかっさ」。「みんなここに住み続けたいんだ」。事業への抗議の姿勢を崩さなかった。

午後、ダム堤体建設予定地付近に設置されたテントでは、5人が工事の進行を監視した。住民の岩本宏之さん(76)は「ダム堤体そのものの工事の見通しが立たないまま本体着工しても意味がない。県は何がしたいんやろか」と話した。

堤体部分には、建設反対の象徴として住民が築いた「団結小屋」が立つ。事業を進めるため、住民の理解を得るか、小屋の強制収用に踏み切るか。行政側には大きな課題が突き付けられている。県石木ダム建設事務所は「できるところから、安全に配慮して進める」と述べるにとどまっている。

この日は本体着工と同時に再開された県道付け替え工事の現場にも、変わらず座り込みをする住民たちの姿があった。付近では盛り土工事へ向けた木の伐採が行われ、木陰にあった住民たちのトイレやテーブルなどが太陽の光にさらされた。岩下すみ子さん(72)は「私物が置かれたままでは盛り土はできない。嫌がらせやろうか」と反発した。

◇    ◇

石木ダム建設事業の本体着工について中村法道知事は9日、報道陣の取材に応じ、「地域住民の安全安心を確保するために、できるだけ早期に完成させるべきだ。安全性に十分配慮しながら、工事を円滑に進めていきたい」と述べた。 (岩佐遼介、泉修平)

 

工事再開



これが何だか分かりますか?もちろん木です。雷に打たれたわけではありません。見るも無残にへし折られています。

まるで、腕を返せと叫んでいるよう・・

その後ろに見えるのは、私たちが「森のレストラン」と呼んでいる休憩所です。
ブルーシートの屋根と、周りの緑に覆われて、真夏でもひんやり涼しい空間で、昨年の夏は、お昼のお弁当はここで食べていました。

それが、今日来てみたら、この有り様。

かろうじて、背後の木々は残っていますが、右も左も前も、木々は全て伐採、草も引っこ抜いてしまったようです。

一昨日まではこのように、緑に覆われ、森のレストランは下からは、ほとんど見えなかったのです。

そして、この道にもご注目ください。大小様々な石がゴロゴロのデコボコ道です。8月中旬の大雨でこうなりました。



降った雨が川のように、いえ、滝のように道を流れ、こんなに大きな石まで押し流してしまったのでしょう。しかし、両脇の土の壁はビクともしていません。草木が根を張っていたからです。

私たちは水流の威力と共に、草木の底力も実感したばかりでした。



それを、こんなに裸んぼにしてしまって・・・

いま大雨が降ったら、この崖はイチコロ。土砂崩れが発生することでしょう。ここには家も田畑も無いからお構いなし?

唯一残っている後ろの木々。そのはるか後方から重機の音が聞こえていました。昨日から始まった「本体工事」の掘削をやっているのでしょう。

小さな林をかき分け音のする方へ進みますが、野バラの棘や立ち入り禁止のネット、その傍に立っている県職員に阻まれ、なかなか現場は見えません。

かなり離れたところから望遠で撮ってみると・・

こんな感じ。この掘削を対岸から見てみると、



てっぺん付近で動いている重機が見えますか?白い雲を背景に空色のユンボが、ほら・・



写真を撮っていたら、傍のダム小屋(団結小屋)から、マツさんが出てきました。これから帰るところだとのこと。



この春、仲良しのサカエさんが亡くなって、一人ぼっちになってしまった団結小屋の主、94歳です。

強制測量の頃、県の動きを監視する見張り小屋として建てられた団結小屋に、マツさん世代の女性はその後もずっと通い続けました。しかし、その仲間たちも、1人、2人となくなっていき、今はマツさんだけ。

団結する相手もいないのに、週に3日、お弁当持参でここに来るのは何故だろう?

きっと、今まで通りの生活を続けることがマツさんにとっての抗議行動であり、ここに来ると、亡くなった仲間の気配を感じるのかもしれない。だから寂しくない。だからマツさんも闘い続けられるのだろう。

「マツさん、ここにいると重機の音が聞こえるでしょう?」

「そうね、聞きたくないね。木が倒されていくのは見たくもないね。

みんな要らんて言よらすとに、なんでここにダム・・なんかね?」

 

石木ダム本体工事着手

石木ダム本体工事着手 反対住民との交渉難航

(長崎新聞2021/9/9 10:00) https://nordot.app/808502961457790976?c=174761113988793844

事業採択から46年を経て、本体着工した石木ダムの建設予定地。重機が掘削を始めた=川棚町

長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、県は8日、ダム本体工事に着手した。当初は2月中旬に着工予定だったが、水没予定地に暮らす反対住民13世帯と中村法道知事の対話実現のための「配慮」として半年間見合わせていた。1975年の事業採択から46年で大きな節目を迎えた。
これまでは、反対住民の抵抗を受け、水没する県道の付け替え工事にとどまっており、本体工事の最初となる掘削の工期を2度延長し、9月末までとしていた。県河川課は、順調に進めば工期内完了も可能として「安全に配慮しながら進捗(しんちょく)を図りたい」としている。
掘削を始めたのは、ダム堤体両端の上部斜面。昨年12月に本体工事としては初の入札を実施し、測量など準備を終えていた。8日は午前10時ごろ、上流から見て左岸を重機で掘り始め、右岸の木を伐採した。住民らが座り込みを続ける付け替え道路工事現場付近でも伐採をした。
今回の工事費は2020年度県予算の繰り越し分。県は21年度予算に左岸の下部斜面を掘削する工事費を盛り込んでいる。
県と住民の対話に向けた交渉は5月以降、文書で条件整理を続けたが、工事中断の在り方を巡って難航した。県は期限を8月末とし「9月以降は着実に事業を進める」と通告。住民側は「県に対話の意思はない」とみなし、中村知事は8月31日の定例会見で「これ以上さまざまな工事の延期は難しい」と述べていた。
県と佐世保市は土地収用法に基づいて全用地を取得し、19年11月に明け渡し期限を迎えたが、反対住民は応じていない。知事権限で家屋を撤去する行政代執行も可能な状況になっている。
石木ダムは、川棚町の治水と同市の利水が目的。同市水道局の谷本薫治局長は「早期完成を願う立場としては、進展につながるのではないかと思っている」と期待を寄せた。

一方、反対住民の岩下和雄さん(74)は「いかにもダム建設が進んでいると見せるためのパフォーマンス。私たちが同意しない限りダムはできない」と反発した。 


石木ダム本体工事着手 混迷 一層深まる恐れも

(長崎新聞2021/9/9 09:44) https://nordot.app/808500122857357312?c=62479058578587648

長崎県が石木ダムの本体工事に着手したことで、事業は新たな局面に入った。地元住民や支援者の反対運動が活発化し、一層混迷を深める恐れがある。
県が昨年暮れから模索を続けてきた住民との対話は、先月末に事実上とん挫した。対話当日に限り工事を中断したい県と、即時中断をして対話に臨みたい住民側の思惑は最後まで相いれなかった。
県と佐世保市には「いったん工事を止めると再開させてもらえない」との懸念があったのは事実だが、結果、一昨年9月の対話以降何の進展もなく、本体工事に着手することになった。
住民側には、県がこのまま行政代執行に踏み切り家屋などを強制撤去するのかという不安が高まっている。これに対し中村法道知事は先月末の定例会見で「判断を要する状況になれば」と含みを持たせた。当面撤去せずとも工事を進められるのであれば、代執行までまだ時間があるとも取れるが、いずれは突き当たる問題だ。
その時、知事や佐世保市長が政治的リスクを取り、世論の反発必至で強制撤去するのか。それとも既に土地を明け渡した人や推進派の抗議を承知で事業を断念するのか。ただ、それまで行政と住民が消耗戦を続けても何も生み出さないどころか、対立が一層泥沼化している可能性もある。
確かに司法判断は事業の必要性を一定認めている。だが最近は水需要を巡り新型コロナという「変数」も加わり、状況が変わった側面もある。県と佐世保市は事業の権限を持つ側として、いま一度住民と真摯(しんし)に向き合う懐の深さを示すことができないか。

 

 

「実績づくりの茶番劇」 石木ダム本体工事着手 反対住民、冷ややか

(長崎新聞2021/9/9 10:30)u https://nordot.app/808506477440532480?c=174761113988793844

ダム本体建設予定地にある「団結小屋」から工事の様子を見つめる松本さん=川棚町

石木ダムは8日、事業採択から46年を経て本体工事に至ったが、長崎県東彼川棚町の現場近くで抗議の座り込みを続ける反対住民は「県の実績づくりのための茶番劇」と冷ややかに受け止めた。事業主体の県は、住民と中村法道知事との対話に向けた調整を打ち切り“強硬路線”を鮮明に。「追い詰めるつもりか」と不安を口にする住民もいるが、徹底抗戦の構えは崩していない。

同日午前10時すぎ。いつものように本体建設予定地近くで座り込みをしていた住民らが、続々と現れる県職員や業者に気付いた。石木川を挟んだ対岸の山を重機が登り、掘削を開始。動きを察知したマスコミも集まり、カメラを向けた。住民の岩下和雄さん(74)は「あんなのは本体工事でも何でもなく『ダムはできる』と県民に錯覚させるための宣伝。いちいち付き合う必要はない」と意に介さない様子でたばこを吹かした。「県に踊らされるあんたたちもあんたたち」とマスコミへの不満も口にした。
本体建設予定地に40年近くある通称「団結小屋」では、松本マツさん(94)が窓から重機の動きを見つめていた。「私たちが住んどってもお構いなしに進める。自分が哀れになってくるね」と悲しそうにつぶやいた。10年前にはお年寄り5、6人が連日集まったが、亡くなったり、病気を患ったりし、現在は松本さん1人が週3回通う。「この年になってどこに出て行けというのか。みんなの分まで頑張らんば」と唇を結んだ。
午後から現場を見に来た住民の石丸勇さん(72)は「歴代知事と同じやり口。後戻りできないようにちょっとだけ手を付けて、仕上げることなく次に渡す。中村知事も自分で完成させるつもりはないのでは」と冷静に分析した。
付け替え道路工事現場でも重機が木を倒し、土砂を削った。住民はここでも座り込みを続けており、川原千枝子さん(73)は「まるで嫌がらせ。こうやってじわじわ追い詰めて、私たちを出て行かせるつもりやろうか」とため息をついた。

(西日本新聞2021/9/9 6:00 ) https://www.nishinippon.co.jp/item/n/797983/

国の事業採択から46年。石木ダム建設に反対する住民側と、「喫緊に必要不可欠」と事業を推し進めようとする長崎県など行政側との溝は8日の本体着工で一層深まった。40年以上も平行線が続く事態の先行きは見通せないままだ。

「契約分を工期内に完成させたい」。県河川課の担当者は、着手したダム本体の堤体両端にある上部斜面を掘削する工事を9月末までに終える意向を明言した。その後、周辺工事を進め、ダム堤体そのものの建設に本格着工する工程だ。

ただ、堤体建設を始めるには、住民側が建設反対の象徴として築いた「団結小屋」の撤去が不可欠となる。県は土地収用法の手続きを進め、2019年に13世帯の家屋を強制収用する行政代執行が可能になっている。

中村法道知事は団結小屋などを撤去する行政代執行を「選択肢の一つ」に挙げる。「最後の手段。他に方法がない状況において総合的に判断する」としているものの、13世帯の家屋を収用するほどの規模の代執行は前例がない。県職員の一人は「ハードルは限りなく高い」と明かす。

一方、話し合いがないまま開始された本体工事に、住民側の不信は深まった。予定地で毎日座り込んでいる住民と支援者は8日朝、報道陣の姿で本体着工があることを知った。午前10時すぎ、重機が山肌を削り始めると、水没予定地に住む岩下和雄さん(74)は「立ち退かない住民に圧力をかけたいのだろうが、反対の意思は変わらない。本体工事に着手したという実績が欲しいだけのパフォーマンスだ」と憤った。

県が住民側への「配慮」を理由に控えていたダム本体以外の一部工事もこの日、2カ月半ぶりに再開された。「何十年も反対運動をしてきた。死ぬまで踏ん張ってやるけんね」。岩下さんの妻すみ子さん(72)は反発を強めた。

住民の理解を得ないまま工事を進めるのか。それとも「最後の手段」に踏み切るのか。県とともに事業を進める同県佐世保市の職員は懸念する。「地元理解を得られないまま40年以上が経過した。本体着工の重要局面でも、理解を得るという最も重要な問題が先送りされてしまった」

(岩佐遼介)

 

石木ダム本体工事着手 住民反対続く中 長崎県の行政代執行が焦点に

(西日本新聞2021/9/9 6:00 ) https://www.nishinippon.co.jp/item/n/797981/拡大

石木ダムの本体工事現場で土砂を掘削する重機=8日午後2時半、長崎県川棚町(撮影・才木希)

石木ダムの本体工事現場で土砂を掘削する重機=8日午後2時半、長崎県川棚町(撮影・才木希)

住民の反対運動が40年以上続く長崎県川棚町の石木ダム建設事業で、県や同県佐世保市は8日、先送りしていたダム本体の工事に着手した。国の事業採択から46年になるが、水没予定地13世帯の住民の理解は得られていない。今後は県が予定地の土地や建物を強制収用できる行政代執行に踏み切るかどうかが焦点となる。

県は2025年度のダム完成を目指している。着工したのはダム本体の堤体両端にある上部斜面を掘削する工事。午前10時ごろから重機で作業を進めた。工期は9月末に迫っており、県河川課は「衝突を避けるため事前に告知はしなかった。9日以降も工事を進める」としている。

本体工事は20年度に初めて予算化。県は中村法道知事と住民との対話を目指して着工を見送ってきたが、条件面で折り合わず、県が対話の期限とした8月末を過ぎていた。中村知事は8月末の定例記者会見で「反対運動が高まる可能性はあるが、安全を確保しながら進めていきたい」と本体着工の意向を示していた。 (泉修平、岩佐遼介)

【ワードボックス】石木ダム事業

長崎県と同県佐世保市が治水と市の水源確保を目的に、同県川棚町の石木川流域に計画。1975年度に国が事業採択し79年度に完成予定だったが、水没予定地の住民と支援者が反対運動を展開。県は82年、土地の強制測量に県警機動隊を動員し、座り込む住民らを排除して対立が深まった。住民らが事業認定取り消しを求めた訴訟は最高裁で住民側敗訴が確定。別の工事差し止め請求訴訟は一審で敗訴したが、福岡高裁で係争中。

 

石木ダム 本体工事着手 速報

石木ダム、長崎県が本体工事に着手 反対派住民「茶番劇だ」

(朝日新聞2021年9月8日 20時03分)https://digital.asahi.com/articles/ASP986KSSP98TIPE017.html

石木ダム本体工事が着工された現場=2021年9月8日、長崎県川棚町、住民提供

長崎県は8日、同県川棚町で進めている石木ダム建設事業の本体工事に着手した。現場周辺では立ち退きを拒む住民が抗議の座り込みを続けており、県は中村法道知事と住民との直接対話に向けて協議をしていたが、不調に終わったとして踏み切った。

ダムを巡っては、水没予定地の川原(こうばる)地区の13世帯が立ち退きを拒んでいる。県は昨年度、本体工事の予算を計上したものの、着工には至っていなかった。県河川課によると、この日は左岸側の掘削工事と、右岸側の樹木伐採などの作業に手を付けた。同課は「準備が整ったため再開した。安全に配慮しながら工事を進めていく」と話した。この日、反対住民との衝突はなかったという。

県は今年5月、事態打開のため住民側に中村知事との対話を持ちかけ、書面のやりとりによる協議が続いたこの間は周辺の関連工事のみにとどめていた。一方、住民側は対話の前提として関連工事の即時中断を主張。結局、県の設けた8月末の期限までに折り合えず、中村知事は「これ以上、本体着工を延期するのは難しい」と、9月以降に着手する考えを示していた。

住民の石丸勇さん(72)は「誠意をもって話し合いをやる気など最初からなかったと思う。一方的に『期限が切れた』と宣伝し、本体着工するなんて茶番劇だ」と怒りをあらわにした。県が今後どんな出方をするか、警戒を強めていく構えだ。(安斎耕一、原口晋也)

 

 住民が抗議活動続ける中 県が石木ダムの本体工事 着工

(NHK2021年09月08日 17時06分)https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20210908/5030012688.html

川棚町で建設が進られている石木ダムについて、建設に反対する地元住民らが座り込みなどの抗議活動を続ける中、長崎県は8日、本体工事に着工しました。
長崎県は8日午前10時ごろ、川棚町で建設を進めている石木ダムの本体工事に着工し、現場では、重機を使って山の斜面を掘削する作業の様子が確認できました。
長崎県は9日以降も、引き続き本体工事を進めたいとしています。
一方、建設に反対する地元住民らは、8日も座り込みなどの抗議活動を続けました。
住民の岩永正さんは「これまで県が話し合いを持つ姿勢を示していたのは、次に何かやるためだと思っていた。諦めは絶対になく、徹底抗戦したい。工事を止めるためには、現場に座り込みに行くしかない」と話していました。
また、抗議活動を続ける松口秀之さんは「県は話し合いをすると口では言っているのに、実際はこうして工事を進めている。ただ、工事がどういう進捗なのか県の真意がまだ分からない」と話していました。
石木ダムをめぐって、長崎県は、中村知事と建設に反対する地元住民との直接の話し合いを模索していたことから、すでに必要な測量などは終えていたものの、昨年度予定していた本体工事への着工をこれまで見送ってきました。
一方、住民側が求める工事の即時中断などの条件は受け入れられないとして、期間として設定していた先月末までに話し合いは実現しませんでした。
長崎県は、すでに建設に必要なすべての用地の収用を終え、家屋の撤去などを伴う行政代執行の手続きにも入れるようになっています。
地元住民らが反発する中、今後は、目標としてきた4年後・令和7年度の完成に向けて、長崎県が行政代執行に踏み切るかどうかが焦点になります。

 

 「重機の下に座り込んで止めるしかない」住民が悲痛な訴え 石木ダムめぐり長崎県が本体工事に着手

(テレビ長崎2021/9/8(水) 18:55) https://news.yahoo.co.jp/articles/766a56543857b72e69afa01a8eb208f793cdf631

テレビ長崎

東彼杵郡・川棚町で建設が進む石木ダムをめぐり、長崎県は8日、見送っていた本体工事に着手しました。 東彼・川棚町の石木ダム建設予定地です。

本体工事の現場では、8日午前10時ごろから重機を入れて、山の頂上部分から斜面の掘削を始めました。

石木ダムをめぐって、長崎県は中村 知事と反対住民との話し合いの場を模索していました。

しかし、住民との調整に難航したことなどから、長崎県は2021年に入り、2度本体工事の工期を延長していましたが、話し合いは実現せず、中村 知事は「9月以降着実に事業を進める」としていました。

建設に反対する住民や支援者は、8日も朝から抗議の座り込みを行っていて、8日の着工を受けて憤りをあらわにしました。

ダム建設予定地の住民 岩永 正 さん 「9月になって、今週から月曜日と火曜日はなかったから安心してたけど、きょう(8日)になって始めたからついに来たかと。重機の下に座り込んで止めるしかない、私たちは」 長崎県は2025年度のダムの完成に向けて、9月中には山頂部分の掘削を終えたいとしています。

 

【長崎】石木ダム 県が本体工事に着手 住民反発

(長崎文化放送2021/9/8(水) 18:51)https://news.yahoo.co.jp/articles/3f8f0ebc0ba13f75efdf2cb9617dc29a0c187b7e

NCCスーパーJチャンネル長崎

長崎県は8日朝、石木ダムの本体工事に着手しました。住民たちは反発を強めています。

長崎県と佐世保市が東彼・川棚町に建設を進める石木ダムをめぐっては県と13世帯約50人の反対地権者が話し合いをめぐる条件面の協議を文書で続けていました。

しかし県側が期限とした先月末までに話し合いは実現せず、知事は先月31日の会見で今後、本体工事の着工手続きを進めると表明しました。

ダムの本体工事は8日朝から住民たちが座り込みを続ける団結小屋の近くで作業員がショベルカーで木を切り倒すなどの作業を始めました。

県によるとダムの頂上付近に当たる部分の掘削作業だということです。残り半年の任期内に行政代執行を強行するかについて中村知事は、「判断を要する状況になれば工事の進捗や訴訟の状況などを鑑み、総合的に判断する必要がある」としています。

 

県からの最後通牒

9月2日、長崎県土木部から川原住民に届いた6回目の文書はこちら。


意訳すると、こんな感じ。

8月6日に5回目の文書を送ったのに、そっちは返事もよこさない。
これまでのやり取りで、条件が整う見込みなどないことがよくわかった。
もう待てない!こっちは工事を再開する。
今後は本体工事への着工や、新たな工事の発注なども進める。
ただし、生活再建等の相談にはのるから、遠慮なく言ってきな。
だって、家が無くなるんだから不安だろ?

県から届いた5回目の文書とはこちら。
2021.8.6 土木部から住民へ5

これまでの経緯(言い訳)が長々と記され、
とにかく9月以降は工事を再開したいので、早く話し合いをやろうよ。ただし、司会進行はこっちでやるよ、また、13世帯以外の参加は認めないよ」という内容でした。

ダムの必要性について、しっかり話し合いたい。科学的根拠や客観的データなどに基づき、納得のいく議論がしたい。そのためには第三者(専門家等)の参加も求め、公開の場で行うのが望ましいと思っていた川原の皆さんにとっては、呆れた内容でした。

県の言う話し合いとは、やはり、これまで通り中身のない、たんなる手続きの一つ、帳面消しであり、話し合いをやったよというパフォーマンスでしかない。

そう痛感した皆さんは、もう返信する気力も失ってしまったのです。
そこへ、追い打ちをかけるように、この最後通牒が届いたのです。

しかも、最後の一文に県の本音が明示されています。

「家屋がなくなることへのご不安など・・・おありであろうと思っておりますので・・・今後とも皆様との話し合いの機会をいただき、生活再建等に誠意をもって取り組んでまいりたい・・・」

つまり、「話し合いをしても、ダム建設は遂行する。その方針は変えない。だから皆さんには出て行ってもらう。新しい住まいなど生活再建の話し合いなら、いつでも応じますよ」ということ。彼らの本音と「話し合い」の正体はこれでした。

受け取ったこうばる住民のお一人は、こう呟きました。

行政代執行をするかどうかも決まっていないのに、なぜ「家屋がなくなる」と言えるのか。まるで脅迫状だ。