初めての弁論対決

今日は事業認定取消訴訟の第6回口頭弁論の日。
長崎地裁前には真夏のような陽射しの中で、熱く訴える原告の姿がありました。
いつもは参列者へ短めにお礼の言葉を伝える岩下さんですが、今日は怒りを込めて、現地の様子を訴えました。

先週から県は付け替え道路工事を強行しているが、今日はいきなり川の土手を壊そうとした。
私たちは、川を勝手に壊すな!と言ったが、我々は河川管理者だ!と言う。管理者なら何をやってもいいということか?
県側が通報してやってきた警察も、事情を知って、仲裁に入ってくれたので、なんとか今日のところは土手を壊す工事は止まった。

とのことでした。
(詳細は、こちらのブログをごらんください。http://blog.goo.ne.jp/bhdsy27 )

そんなに石木ダムを造りたいのなら、裁判で正々堂々と闘うべき。
裁判で勝利した上で工事をすればいい。
この裁判が確定するまで工事は中止すべきです!
と訴え、賛同の拍手が起こりました。

門前集会の後、いつもの401法廷に移動。今日は現地からは4名しか参加できませんでしたが、傍聴席はいつものように満席。

今年度から裁判長が替わったので、なんと今日は、原告・被告双方の意見陳述がおこなわれました。初の弁論対決?です。

まず、原告側です。

トップバッターは原告の炭谷猛さん。
現「川原」総代で、子や孫の7人家族で暮らしています。
必要性の無いダムのために、十数世代の先祖から受け継いだこの土地をなぜ奪われなければならないのか?「公共の利益とは何ですか?」と裁判長に呼びかけ、たとえ土地収用が済んでしまっても、私たちはホタルの里に住み続けます!と宣言。
炭谷さんの声は力強く、時にゆっくり、その間合いが余韻となって心に響く、素晴らしい陳述でした。

2017.5.22意見陳述(原告:炭谷猛)

終わると同時に傍聴者は思わず拍手!
本当は拍手などしてはいけないのですが、裁判長は何も注意しませんでした。

続いて、八木弁護士が利水に関する主張を
2017.5.22意見陳述(利水:八木弁護士)

平山弁護士が治水に関する主張を述べ、
2017.5.22意見陳述(治水:平山弁護士)

最後に、弁護団長の馬奈木弁護士が、「権力にすり寄った司法であってはならない」と、強い批判と願いを込めて陳述。
新しい裁判長に「国民の信頼に値する訴訟指揮と訴訟遂行」を切望していると訴えました。
2017.5.22意見陳述(馬奈木弁護団長)

そして、被告側の陳述はというと…
2017.5.22被告意見陳述

治水面においても利水面においても、まるで県の主張そのまんまです。
これまで当方弁護団が丁寧に鋭く追及してきた問題点には触れようとせず、行政側の主張を述べるのみ。

「法に則っている」「行政には広範な裁量権がある」云々。

しかも、失われる住民の利益については一切触れない。回避している。
どーゆーこと?
なぜ最大の争点に触れないのか?
原告はそれを一番強く訴えているのに、なぜ無視するのか?
きっと触れたらまずいのでしょうか。
逃げるしかないからでしょうか。

この勝負、客観的に見ても明らかに原告にあり。
主観的に見れば、勝負にもならない。比較にならない。
そんなふうに感じました。

報告集会では、炭谷さんから、最近の現地の状況と、今日の裁判の感想が述べられました。



こっちは一生懸命言っているのに、国は気にも留めずに、金を払えばいいんでしょという。イヤな感じがした。

僕らは、司法というのは的確な判断をしてくれる唯一のところ、頼るところはここしかないと思っているから一生懸命訴える。
でも、前の裁判長も現地まで来て話を聞いてくれたのに、何もわかっていなかった。金銭的賠償により回復できると言われた。

県も公共事業は住民のためにやると表では言いながら、実際にやっていることは真逆。何を信じたらいいんだろう…と。

同感です。
でも、私たちには強力な弁護団がついています。
頭脳明晰、弁が立ち、決して諦めない、最強の弁護団が。
まだまだ闘いはこれから!

取消訴訟 第6回口頭弁論のお知らせ

事業認定取消訴訟の裁判期日のお知らせです。
日程等は次の通りです。
日時:5月22日(月)14:00~
場所:長崎地方裁判所(長崎市万才町)
門前集会:13:30~
報告集会新興善メモリアルホール(長崎市立図書館)
今回は裁判長が替わったことにより、改めて石木ダムの問題点や地権者の思いを伝えたいと、原告側の意見陳述が行なわれます。

昨年4月の第1回口頭弁論では原告2名、代理人弁護士3名による陳述に、法廷中の人々が固唾を飲んで聴き入っていたのを思い出します。

今回は原告1名、弁護士3名の予定ですが、今回もさらに心に残る訴えが聴けることでしょう。
原告ではない人も傍聴できます。

お時間と関心のある方はぜひ、裁判所に足を運んでみませんか?

第30回こうばるほたる祭りのご案内

石木川にたくさんのほたるが乱舞している様子です。




第30回「こうばるほたる祭り」のチラシが完成しました!

今年のこうばるほたる祭りは2017年5月27日(土)18:00より、こうばる広場で開催です!(雨天決行)

所在地は、長崎県石木ダム水没予定地川原(こうばる)地区。(長崎県東彼杵郡川棚町岩屋郷)

全部地元の人たちの手作り!😳手羽先、ニュー麺、ゼンマイの煮しめ、ホタルだんご、フツ餅…などなど盛りだくさんの食べ物が😳売り切れ必須のお値段😅100~200円!?

生ビール、生ビール!生ビール!!金魚すくい。

ほたるカゴ作り無料体験コーナーもあります。

5月の最終土曜日は、ぜひ長崎県石木ダム水没予定地こうばる地区へホタル鑑賞とアットホームなお祭りを楽しみに来てください!

ほたるの見頃は、5月下旬から6月中旬くらいです。

【チラシのダウンロード】
https://drive.google.com/drive/folders/0B0SBsC7DTMBSblduTVItSE0tVUU

電子署名「長崎県知事: 不要なダム建設から子ども達の故郷を守ろう!」にも賛同をお願いします!


お祭り会場までのアクセス&トイレマップ

スイスでも報じられた!石木ダム問題

4月30日、スイスの一流紙NZZが、ついに石木ダム問題を報じました!


 

同紙の日本特派員パトリック・ゾルさんと同行したドイツ人フリージャーナリストのソニア・ブラシュケさんの熱意の賜物です。

二人は2015年春、 外国特派員協会での記者会見に参加、石木ダム問題に関心を持ち、6月現地まで取材にやってきました。









スイスから見れば、遠いアジアの島国の小さなダム問題など掲載すべき記事の対象にはならなかったことでしょう。

でも、お二人は諦めず、2年後にやっと記事化できたと報告してくださいました。

ただ1つ残念なことには…
私たちにはドイツ語が理解できません。(>_<)
とりあえず写真や動画の部分などを見て、書かれてあることを想像してみてくださいね。
日本語訳が入手できたらお知らせします~

 

 

妨害禁止の審尋の日、午前3時に資材搬入

長崎県が申し立てた通行妨害仮処分に関する4回目の審尋が昨日(4月24日)行われました。

県側弁護団は、本日で審理を終結してほしいと主張し
たのですが、裁判長は認めませんでした。理由は自分以外の2人の裁判官がこの4月から交代したばかりなので、これまでの記録(提出されている主張書面や証拠など)を検討する時間が必要であるとのことでした。

次回審尋期日は6月19日(月)14時からです。

県にとっては、審尋が延長されただけでなく、次回がかなり先の日程ということで、かなり予定が狂ったことでしょう。
2回目の通行妨害禁止という司法のお墨付きを早く得て、工事を加速したいと期待していたはず…。

実は、審尋がおこなわれた日の午前3時過ぎに、県は工事車両や作業員を投入していたのです。


4月に入って一度も来てなかったのに、何故この日に…県のやり方は理解できません。

この状況に未明から現場は騒然とし、地元の人の多くは抗議活動に参加。裁判所には来られませんでした。

いつもと違った寂しい門前集会になりました。

数日前に発売された週刊金曜日に、「長崎県に消耗戦を強いられる石木ダム予定地13世帯の今」という記事が掲載されていましたが、週刊金曜日2017.4.21

その中で、筆者(ジャーナリストのまさのあつこ氏)は、この通行妨害禁止仮処分についても取り上げ、「13世帯は自然豊かに仲良く暮らしたいだけである。その住民を通行妨害禁止命令で苦しめる長崎県の行いは、SLAPPではないか」と述べています。

近年ではインドネシアやフィリピンでも権力の横暴を抑止する動きが起きていて、SLAPPを防ぐ対策が建てられていると言う。日本の人権意識は後退するばかり…。

なぜ?

東京新聞が再び石木ダムに注目

熊本地震から1年を経た今も、約48,000もの人々が未だに避難生活を強いられています。
避難者の方々が一日も早く住み慣れた我が家で、あるいは新しい家で落ち着いた生活を再開されることを祈ります。
と共に、こうばるの方々が、自然災害ではなく無駄な公共事業の犠牲になってふる里を追われることの無いよう、あらためてこの裁判に勝利したいとの思いを強くしました。

二度目の震度7を記録した4月16日からちょうど1年のこの日、東京新聞「こちら特報部」では石木ダム問題を大きく報じました。



 

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2017041602000145.html

【特報】長崎・石木ダム 広がる反対の輪 著名人ら賛同 計画から半世紀「必要か」

記者は、約半世紀にわたって「石木ダム」建設計画に反対し続けている長崎県川棚町の水没予定地に暮らす13世帯約60人の住民らを支援するアーティストや、環境問題に取り組むアウトドア用品メーカーの「パタゴニア」などの活動を紹介するとともに、住民の率直な想いも伝えています。

「佐世保という都会の水のために田舎は立ち退きなさい、犠牲になりなさいというのは、東京の電力のために犠牲になった福島と構図は同じ。自分たちの闘いを通じ、地方を犠牲にすることについて都会の人たちが少しでも考えるきっかけになればいい」

Sさんのコメントが、佐世保市民の私にはとても堪えますが、だからこそ、私も頑張らねばという気持ちになるのです。

 

執行停止却下に対する声明を発表

3月30日の石木ダム事業認定執行停止申立却下に対し、4月11日、石木ダム対策弁護団と石木ダムに反対する県内5団体が連名で声明を発表しました。

執行停止申立却下に対する声明(H29.4.11)

今回の決定は「緊急性がない」として退けるだけでなく、「申立人らの損害は金銭賠償によって回復可能だから重大な損害に当たらない」とまで述べられていました。あまりにも人間の尊厳を踏みにじる許しがたい判断であり、その点を私たちは厳しく批判しました。

                         長崎新聞 2017.4.12

 

田んぼのオーナー募集中!

今年も募集が始まりましたよ~田んぼのオーナー!

昨年初めて取り組んだところ、大好評!
田植えや稲刈り体験の楽しさに加えて、こうばる米の美味しさに誰もが感動!
お礼のお便りが続々でした。

ということで、今年は作付け面積を1.5倍に増やして、オーナーさんを大募集しています。

農業体験は希望者だけ。美味しいお米を食べたい方はソールドアウトにならないうちに、お早目のお申し込みを~



田んぼのオーナーになりませんか

 

 

悪意なきイジメ

つい先日、こうばる住民のお一人から届いたメールを紹介します。

ある婦人がこう言った。「主人が生きている間に石木ダムが出来なかったら…死ぬにも死にきれない」
私がダム水没予定地の住人だと知りながら。
すでに4家の土地(田畑)が強制収用されようとしていることもニュースでやり始めた頃の話だ。

婦人によるとご主人は、当時役場の建設課のお偉いさんだったようで、町長さんにいろいろ言われながら過ごした。それも数年間も。
だから、ダムを造って欲しいのだそうだ。
涙まで流してみせた。それで…?

私は呆気に取られた。
元役場職員ならば、町民にとって何が大事なのか考えること。
今は役職考えずに正しいと思うことが言えるはず…。

それになんで婦人にお願いされなければならないのか?
私はきっぱり「それは残念ですね〜。私たちはずっとこうばるに住み続けるので…。」それだけは伝え、その他のいろんな想いは飲み込んでおいた。

なんのためにダムを造りたいのか…。
呆れてしまった。この問題についてどこまで知っているのか?(内容はさっぱり知らない様子だった)

こうばる住民は50年もの間ずっと付きまとうこの問題に悩まされているのに、たった数年辛かっただけで何を言っているのか?
私たちはいつまで続くかわからない闘いを続けているのに…。
こんな町民がまだまだいるのかと思うと、とても寂しい気持ちがした。

ずっと前に書き留めておいていたものです。
誰かに伝えたかったので…。
送ります。

このメールをくださったこうばる住民のXさんの心には、今も婦人の言葉がトゲのように刺さったままです。でも、婦人はそれを知らない。婦人に悪意はなかったので、きっと忘れていることでしょう。

こういうのを「悪意なきイジメ」というのでしょう。
悪意はないけれど、自分の視点のみで物事を考え、その考えを無邪気に口にする。相手の心情など想像することもなく。

今そんな人が増えているような気がします。
これだけ情報が溢れ、容易に入手できるにもかかわらず、客観的な情報など知ろうともせず、不利益を被る人の想いなど「忖度」しようともせず、自分たちにとって有益ならそれでいいと。

そして、悪意なきイジメが増えていくのを、悪意ある人々は利用します。
それを防ぐために、私たちにできることは何でしょう。
やはり事実を真実を、一人でも多くの人に伝えていくしかないのでしょう。

石木ダムが佐世保市民や川棚町民にとって、どれほど大きな不利益をもたらすかということを。