昨日、7月3日は、事業認定取り消し訴訟控訴審の第3回口頭弁論の日でした。
福岡高裁へ向かう「こうばる発させぼ経由」の貸し切りバスの車中は、笑い声に溢れ、みんな元気いっぱい。
というのも、今回、お二人の学者(法政大学文学部経済地理学教授伊藤達也氏と岐阜大学地域科学部教授富樫幸一氏)により、石木ダム計画の問題点を指摘する意見書が提出されたので、この日の審理の展開に誰もが密かに希望を感じていたからだと思います。
門前集会で合流した弁護団の表情も晴れやかでした。
午後2時、開廷。
提出書面の確認後、通告通り、原告側から、その書面の要旨を陳述しました。
最初に、緒方弁護士から治水に関して述べました。
法廷スケッチ=中島三代治さん
主張したのはただ1つ、「県が算出した費用便益比は正しくない。算定方法が不適切」ということです。
石木ダムの治水目的は川棚川の洪水対策であるのに、①石木川の被害軽減や、②河川流量の維持による利益を重視し、③しかも、その利益は、ダムができる前の昭和50年から計算しているという、とんでもない手法でやられていたのです。
そのような誤魔化しをしなければ、石木ダムは費用に見合う効果が得られないということです。
全文はこちらです。高裁J7要旨
続いて、高橋弁護士が利水に関して述べました。
佐世保市が算定した水需要予測と保有水源の問題点について、学術的に客観的に指摘された2人の学者の意見書をもとにわかりやすく論述。
特に、慣行水利権を保有水源として認めようとしない佐世保市に対し、「本来、後発水利権は先発水利権を侵害しない限度でしか認められない」のであるから、ダムよりも先発している慣行水利権を不安定として除外するのは、著しく不合理だと断じました。
全文はこちらです。高裁J8等要旨
そして、意見書を提出した伊藤教授と富樫教授の証人尋問を求めました。
それに対し、西井和徒裁判長は、被告側に意見を求め、被告代理人が「その必要は無い」と述べると、言下に「当裁判所も必要ないと認め、採用しない」とあっさり却下。
えっ!?と思っているうちに、裁判官3人は立ち上がって後ろの扉の中へ。
約2分後、裁判官たちは戻ってきて着席。
向こうで何を相談していたのかな~と思っていたら、
「これで審理は終結します。判決は11月29日午後1時10分に言い渡します」と。
「えー!」「なんだ?これ!」「何なの?」と傍聴席はザワザワ。
そんな反応にはお構いなく、再び3人の黒衣の人は扉の向こうに去っていきました。
つまり、控訴人が、新たな証拠や意見書を提出しているにもかかわらず、それらには一顧だにもせず、福岡高裁の西井和徒裁判長ら3人の裁判官は、問答無用と一刀両断。私たちを斬り捨てたのです。
民主主義国家の裁判官とは思えない、酷い仕業です。
おそらく、それらの証拠調べをすれば、行政側の不都合な真実が見えてくるから、忖度ではなく、露払いをしたのでしょう。
閉廷後、高裁の建物の隣の弁護士会館で始まった報告集会では、弁護団の中からも次々に怒りのコメントが発せられました。
中でも、弁護団長の馬奈木昭雄弁護士は、「福岡高裁が死んだ日」「裁判所としての使命を放棄した日だ」と吐き捨てました。
しかし、一方で、「初心に帰ろう!」とも言われました。
裁判で勝っても、石木ダムが止まるわけではない。
裁判は水戸黄門の印籠とは違う。
悪代官は水戸黄門にひれ伏すが、国は司法に従わない。
我々が要求を実現する道はただ一つ。頑張り抜くこと。
おかしいことはおかしいと言い続けること。
許せないことは許せないと態度で示すこと。
「あらためて頑張り抜きましょう!」と。
そうですよね!
落ち込んでいる場合ではありません。
こんな理不尽な裁判がまかり通る今の社会は、絶対おかしい!
もっとまともな社会にしたい!
でも、私に何ができる?
まずは、投票に行きましょう!
まもなく参院選。
今日、7月4日に公示されましたね。投票日は21日です。
立候補者の1人、辻村ちひろさん(環境保護NGO職員)は、こんなことを訴えています。
https://www.reiwa-shinsengumi.com/vote/#voteId06
今でも自然破壊は各地で起こっています。
そこでは、いつでも普通に暮らしたいと思っている人々が、その他多くの人たちの利便性向上のためにその暮らしを奪われています。
私たちはいつまで、自分たちの利便性向上のために人を犠牲にし続けるのでしょう?そんな社会を根本的に変えたい。
石木ダム建設のように、自分たちが暮らしている場所がそこに暮らしていない人たちの利便性向上を目的に奪われていくことをもう止めたい。
ただ、普通に暮らしていきたいという願いが叶えられない社会はおかしいと思います。
自然環境を保全することは、ただそこにある自然を守ることではありません。
そこにくらす人たちの暮らしを守ることです。
福岡高裁を生き返らせるためにも、ますます頑張りましょう!
頑張ってください。
頑張ってください。川棚町は妻のふるさとです。親子3世代で応援しています。