8月1日(火)午前10時。石木ダム建設事務所2階。地権者の皆さんと県職員が久しぶりに話し合いのテーブルに着きました。
でも、話し合いは堂々巡り。
この日決まったことはただ1つ。地権者の要望を県に伝え、できるだけ要望に沿えるよう努力し、その結果を7日(月)に伝える。そのための再協議を10時からおこなう。ただそれだけ。それだけの結論を得るのに3時間半もの時が費やされました。
地権者の要望とは、「知事と直接話し合いたい。それが実現するまで工事は中断してほしい」ということ。
それに対する県の主張は「持ち帰って報告し、相談して判断する。今は何とも答えられない」の一点張り。
県と言っても、所長をはじめ石木ダム建設事務所職員と、本庁からやってきた県職員とでは発言内容が微妙に違います。
所長は、「地権者と会うことは知事も望んでいる。そうなるよう私も願っているが、それが16日までに実現できるかどうか、今は全くわからない。そんな中で実現できるまで中断せよと言われても私には、その権限はない」との趣旨でしたが、
本庁の役人(土木部の吉田次長や河川課の浦瀬企画監など)は、「話し合いと言っても、その中身、内容が重要。かつてのように、ゼロベースでとか白紙に戻して話し合おうと言われても、それは無理。条件次第で知事の判断も変わるだろう」「県としては地域を守るために必要な事業と位置付けているので、工事は進めたい」など、初めから自分たちの考えや立場を主張し、住民の願いに耳を貸そうとはしなかったので、地権者の怒りを買ってしまいました。
「私たちは工事を進める責任がある。この前も日田や朝倉では甚大な被害が起きているし…」と吉田次長が語り出したときは、慌てて河川課の二人が肩をたたいて制止しましたが、それは共謀罪についての国会審議の時よく見た光景を思い出させ、笑いをこらえるのに苦労しました。
本庁のお役人も、自分たちの発言が話し合いにマイナスとなることに気づき、途中からはほとんど自発的な発言はなくなり、地権者もそれぞれの思いを冷静にぶつけていきました。
Aさん:県はそうやって住民の同意無しに、何が何でも進めようとする。だから重機や燃料など夜に搬入しようとして、既に負傷者が出ている。これ以上怪我人を出さないためにはどうしたらいいか知事と話し合いをしようとしているんです。知事も応じたいと言っているのだから、その邪魔をしないでもらいたい。
Bさん:あなたたちは重機を入れたら工事が進むと思っているのですか?私たちは逮捕されてもかまわない。中に入って重機の前に座り込みます。話し合いに応じてもらえないまま17日以降は工事すると言うなら、そうするしかない。
Cさん:私たちはまず知事に現状を伝えたい。知事は政治生命を懸けてダムを造ろうとしているのかもしれないが、私たちは命を懸けてふるさとを守ろうとしている。絶対出ていかない。その思いを直接知事に伝えたい。伝えた上で、知事の考えを聞きたい。(後ろから「そうだ」「そうだ」の声)
Dさん:あなたたちに決定権はない。決定権があるのは知事だけ。(頷く職員たち)だから私たちは知事と会って話したいのです。
地権者の声が出尽くしたところで、有吉所長はこう言いました。
いま現場はたいへん危険な状況だと感じている。このような現状を打開するためには地権者の皆さんと話し合いをすることが必要であるし、また工事の延期も選択肢の1つとすることも含めて知事に伝えたい。約束はできないが、実現できるよう努力します。
所長の「努力する」の言葉を聞いて、みんなやっと納得の表情。
そして、その答えは、7日に説明しますので再びここで話し合いましょうということで合意。散会となりました。
事務所の外へ出ると猛烈な暑さ。
この炎天下で3時間半も待っていたマスコミの皆さんが一斉に地権者に駆け寄り、マイクを向けていました。
仕事とはいえ、本当にご苦労様でした。
その記事の1つを掲載させて頂きます。
長崎県知事さまに、長崎県の財政は、1兆円あまりの負債ですが、これ以上、石木ダム建設や新幹線建設の財源をどういう風に、考えていらっしゃるのか、お尋ねしたい。このままでいけば、必ず、破綻します。新幹線でも約500億円と言われていますが、また、約8千億円とも聞きます。県民の税金がこれ以上増加すれば、社会不安になります。年金生活者は、生活が苦しいのに、何を持って、政治家になったのか、と言いたい。経世済民を持って、政治をして頂きたい。県民いじめは、あなたに、必ず、しっぺ返しが返ってきます。そのことを、十分考えないと、末代、取り返しのつかないことに、なります。