昨日(8月22日)、私たち4団体(地権者と、まもり隊、清流の会、水問題の会)は、県庁へ行き、
石木ダム建設事業の継続方針決定に対する抗議と、事業断念を求める申し入れをおこないました。
申し入れた相手は、もちろんこの決定をした中村知事ですが、
知事が出てくるはずもなく、対応したのは河川課長N氏で、私たちの申し入れを、
必ず知事に伝えると約束しました。
地権者の一人のSさんは言いました。
「知事が話を聴きたいと言うから、私たちは一生懸命伝えた。
でも、それに知事は何も応えず、事業継続という結果を出してしまった。
私たちへの答えはどうなってるのか」
知事の誠実な回答を私たちは待っています!
抗議と申し入れの全文を掲載します。
長崎県知事 中村 法道 様
石木川の清流を守り川棚川の治水を考える町民の会
水問題を考える市民の会
石木川まもり隊
貴方は、去る7月26日の記者会見において、石木ダム建設事業について、「県として事業継続の方針を決定したことを国(国交省)へ報告する」旨を表明されました。
今回の「事業継続」方針の表明に際し、私たちは、その方針検討の過程に、大きな欠陥があることをあらためて指摘します。
先ず、「検討の場」での審議です。私たちは、石木ダム建設事業計画を分析して、専門家の助言も得て、「市民による石木ダムの検証結果」を提出しました。
ここには、川棚川の治水にも、佐世保市の利水にも、石木ダム建設は必要でないことを、根拠を示して指摘しています。
「地権者との意見交換の場」で、私たちは、「検証結果」を詳しく説明しました。また、地権者は、ダム計画による様々な苦しみを切々と訴えました。
「検討の場」の審議は、これらの根本的な問題を検討しないままに、「事業継続」の結論を出しました。
次に、「県公共事業評価監視委員会」の審議です。ここにも、私たちの「検証結果」を提出しました。これをふまえて、委員から、新しい資料の要求や問題指摘がありましたが、それを無視して、「事業継続」の結論が強行されました。
貴方は、佐世保市議会が「石木ダム建設促進に関する意見書」を可決したこと、県議会が「石木ダム建設促進に関する決議」を可決したこと、これらを記者会見で強調されました。
しかし、佐世保市議会での「意見書案」の審議で、これを厳しく批判する反対意見が述べられたことをご存知でしょうか。県議会での「決議案」の審議で、これを厳しく批判する反対意見は、お聞きになられたはずです。
私たちは、この反対意見の中にこそ、正義と道理があると確信します。
数の多寡に惑わされず、道理ある正論を見抜くことが、指導者の資質として必要です。
石木ダム建設促進のキャンペーン活動を行なっています。佐世保市長などは、この団体の活動を根拠にして、「石木ダム建設促進は市民の願い」だと主張しています。しかし、この団体の運営資金は、100%が佐世保市からの補助金であることをご存知でしょうか。この団体と佐世保市が共催して平成21年1月27日に開催した「石木ダム建設促進市民決起集会」は、2千人が集まったと宣伝されました。しかし、この集会に、市の職員が勤務時間中にも拘わらず 多数動員されたことをご存知でしょうか。貴方の真実を見る目が、「偽装された世論」のために曇ることがないよう望みます。
以上の理由により、貴方が、石木ダム建設事業について「継続の方針」を決定したことに抗議します。
絶対反対同盟に結集した地権者の意思は強固です。それは自らの居住権、財産権を守るという何人も侵すことのできない基本的人権に基づくものです。
そして、石木ダム自体が不要であるとの確信に裏付けられ、その意思は益々強固です。
ダム建設用地を取得するためには、強制収用の道しかありません。
それに対して、地権者は頑強に抵抗します。それでも強制収用を執行するためには、強権発動が伴います。そうなると流血の事態も想定されます。
そういう事態でも、貴方は、ダム建設を強行する覚悟がありますか。
いまの時代、強権政治は通用しません。世界的にも、強権政治家は国民によって辞任させられています。また、国民から訴追される事例も少なくありません。
貴方は、政策を実現して政治家として名声を挙げたいという願望をお持ち かもしれません。しかし、誤った政策は、一時的には実現したとしても必ず破綻することは歴史の教えるところです。その際、名声は地に墜ちます。
誤りを指摘されながら強行した政策の破綻は、国民に深刻な被害を与えます。いま私たちが体験している原子力発電所事故の被害はその何よりの教訓です。
私たちは、貴方が、国への「事業継続報告」を撤回すること、そして県公共事業評価監視委員会へ、先の審議で求められた資料を提出して、指摘された問題を検討するために審議の見直しを委嘱することなど、石木ダム建設事業から撤退する道を進まれるよう提言します。貴方の熟慮を求めます。
敬具