共有地権者、県と佐世保市へ再要請

6月30日、JR長崎線の一部区間で運休や遅延が発生するほどの大雨の中、私たち共有地権者は、再び長崎県と佐世保市の庁舎を訪れ要請行動を行ないました。

そもそも最初の要請は6月6日と7日でした。6日は大石知事へ、7日は宮島市長へ宛てた要請で、内容は同じもの。要請事項は2つだけ。「覚書」の履行と意見交換です。詳細はこちら。石木ダム共有地権者、長崎県と佐世保市に『覚書』履行を要請 : 石木川まもり隊 (ishikigawa.jp)

それに対する回答が双方から届きました。

長崎県からの回答(6月22日付)20230622 長崎県回答
佐世保市からの回答(6月16日付)20230616 佐世保市回答

県=覚書は重要と認識しているので理解を得る努力は今後も続けるが、事業の必要性について議論する段階ではない。いずれの方とも議論に応じることはできない

佐世保市=覚書や石木ダム不要についての話し合いは致しかねる。

回答の内容をかいつまんで言うと上記の通りで、あなた方との意見交換はしませんよとの意思表示。門前払いされました。佐世保市に至っては、覚書についての見解も示さず、地元の方への対応をどう考えているかも触れず、全く中身のない回答でした。

こんな回答では、「そうですか。わかりました」と言うわけにはいかないですよね~ということで、この日、大石知事と宮島市長あての要請書を提出することになりました。

県庁ロビーで、遠藤代表から河川課の陣内課長補佐に手渡しました。その再要請&質問書はこちらです。20230626 長崎県回答への質問

その後、県政記者室にて記者会見。今回の再要請の趣旨と、質問の内容について説明した後、今後の予定として、2019年に出された収用明渡裁決の執行停止を求める申立を再度行なうことが明らかにされました。

再度ということは一度目がありました。それは2019年の8月です。

川原の皆さんが住んでいる家屋や、耕作している農地を、石木ダムのために収用するので明け渡しなさいという長崎県収用委員会の裁決はあまりにも不当なので、その執行を停止してくださいと申し立てました。

なぜ不当かというと、石木ダムは住民の皆さんの同意が得られなければ進めないという覚書を交わしておきながら、県はそれを履行しないまま事業を進め、強制収用までして出て行けというのは住民軽視も甚だしく、さらに多くの県民も石木ダムの必要性には疑問を感じているからです。

しかし、当時の国土交通大臣(赤羽一嘉)は同年9月、「執行停止をしない」との決定を下しました。その主たる理由は「権利取得裁決により回復困難な重大な損害が生ずるとは認められず、執行停止をする必要があるとは認められない」からでした。

あれから4年、現状は大きく変化しています。今年2月に始まった収用地内での迂回道路の工事で、住民の方が使用中の用水路の破壊、農地への土砂搬入と埋立などで、今年の米作りはできず、生活基盤が破壊される事態に至っています。このような非人道的な行為を早急に食い止めるために、再度の執行停止申立をしようということになりました。

 

 

記者会見を終え、次に向かったのは佐世保市水道局。

こちらはなんと廊下での提出となりました!

佐世保市への再要請&質問書はこちらです。20230626 佐世保市回答への質問

これに対する回答は来週中に出しますとのこと。対応されたのは経営企画課の市嶋係長。温厚な人柄の方のようで、また上司の指示に従っての対応なので、ご本人に抗議しても仕方ありませんが、

「なぜ話し合いができないの?」「こんなところで立ち話では来庁者や職員の方に迷惑がかかります。次回からはきちんと部屋をとってくださいね」「理由も示さず、ただ対応できないでは回答になっていません。次回も意見交換を拒否されるなら、少なくともその理由を明記するように」「それらを必ず上司に伝えてください」など苦言を呈し、次の会場に向かいました。

まちなかコミュニティセンターで、報告集会です。

今日の一連の要請行動の報告と意見交換が行なわれました。

参加者の多くが疑問を抱いたのは、回答者の名前です。
こちらは市長宛に要請しているのに、回答者は水道局長の名前と公印が押されていて、さらに、その決裁文書には経営企画課長の名前しかありません。(決裁文書は事前に情報公開請求)

水需要についてなど専門的なことは課長の方が詳しいのでしょうが、覚書についての認識や、地元の方との意見交換などの可否は市長が判断すべきことです。なのに・・決裁書を見る限り、市長は何も見ていない、知らなかったとしか思えません。水道局長も決済書に名前がないということは、課長以下にお任せ。関知しない。する必要も無いということでしょうか?

もう1つ、参加者が心配していたのは、石木ダム建設により佐世保の水道会計が逼迫するのではないかという問題です。

今後、ダム建設費がどれだけ膨れ上がるのか?そのうち水道会計が負担すべき金額はどのくらいになるのか?建設後に、そのダム水を使うための電気代や維持管理費はどのくらい重くのしかかってくるのか?

元東京都水道局員であった遠藤氏は、「まちがいなく水道会計を圧迫するだろう。採算が取れなくなるのではないかと心配している」とまで言及されました。

もっとも採算が取れなくなれば、一般会計から繰入れて、表面上は黒字化することは可能ですが…その繰入金の元は市民の税金ですから、いずれにしても市民が負担することにかわりはありません。

そんな心配は無用だ!佐世保市水道は健全で安泰で、石木ダムの費用などちっぽけなものだ!そんなフェイク情報を流されては困る!

とお怒りでしょうか?水道局管理職の皆様。でも、私たちだけではありません。これは多くの市民が不安に思っていることです。

このような不安や誤解を払拭するためにも、ぜひ私たちとの意見交換をお願いします!

 

追記:7月5日、長崎県と佐世保市へ追加の質問と要請文書を送付しました。
20230705 長崎県の回答への追加質問と要請
20230705 佐世保市の回答への追加質問と要請

市民と対話する水道局になってほしい!

6月13日、『佐世保の水源対策勉強会』が宮島市長に要請書を提出しました。

受け取ったのは稲富泰彦秘書課長です。
その内容は、以下の通り。

要請事項:市水道局の市民への対応が改善されるよう指導していただきたい。

市水道局の対応:市民団体からの質問に対し、対面での説明を頑なに拒否し続けている。

なぜ対面での説明を求めるのか:文書による回答だけでは、水道施設の仕組みなど十分に理解できない。施設見学、あるいは写真や図面を使って対面での説明が必要。

なぜ今なのか:宮島市長は就任会見で「市民との対話を重視した市政をつくりたい」と述べた。その実現を私たち市民は願っている。宮島市政の方針に逸脱している水道局の姿勢を正して欲しい。

佐世保市水道局も昔はこうではありませんでした。
2009年、「水問題を考える市民の会」の要請に応じ、水道局の職員の方が勉強会の場に出向いて説明してくださいました。事前にパワーポイントで資料を作成し、それをスクリーンに映し出して説明されるので本当に分りやすかったです。
また、それでも分らなかったことや新たな疑問について世話役の人がまとめて提出すると、2回目はそれらの疑問にしっかり答えてくださいました。
そのようにして、合計3回も説明に来ていただき、私たちは水道事業の大変さや大切さを大いに認識することができました。

あの当時できていたことが何故いまはできないのでしょう?
できないのではなく、やらないのかな?
それが今の水道局の方針なのかな?
何故???

要請書はこちらです。宮島市長へ水道局の対応改善要請2023.06.13

特に2枚目と3枚目の「水道局とのやり取り」の抜粋部分をご覧ください。市民からの再三のお願いを拒否し続けている当局の、異常なまでの頑なさがご理解いただけるかと思います。

新聞報道はこちらです。

長崎新聞 2023/6/14

 

 

 

 

 

 毎日新聞 2023/6/14

 

 

 

 

 

追伸:新聞には「反対派要請」とか「石木ダム建設に反対する市民らでつくる『佐世保の水源対策勉強会』」などと書かれていますが、同会のメンバーとして補足させていただきます。

石木ダムに賛成か反対かと問われれば、多くのメンバーが反対ですが、
同会の目的はあくまでも「佐世保の水源対策」を考えることです。

石木ダムに賛成の人も反対の人も、どちらでもない人も、
同じ佐世保市民として、佐世保の水源の現状を知り、課題を知り、
将来も安心して暮らしていくために、皆で解決策を考えていきたい。
できれば水道局の方とも一緒になって…と願っている会です。

だから、どうぞ、この勉強会に対して、反対派集団というようなレッテルは貼らないでくださいね。佐世保市民なら誰でも大歓迎です!
よろしくお願いします。(^_^)

石木ダム共有地権者、長崎県と佐世保市に『覚書』履行を要請

あまり知られていないが、石木ダム建設予定地には共有地が2ヶ所存在する。
半世紀にわたりダム建設に反対し、ふるさとを守り続けている川原住民を支えたいと思う人たちが、1つは2009年に、もう1つは2013年に住民の方の山林の一部を共同で所有することにした。

その共有地権者の中の84名が長崎県知事と佐世保市長へ要請書を提出した。代表の遠藤保男氏が横浜から来県し、6月6日に県庁、7日に佐世保市役所を訪れ、担当者に手渡した。その要請書はこちら。
石木ダム事業起業者への要請:長崎県へ
石木ダム事業起業者への要請:佐世保市へ

その趣旨は「覚書の遵守」、つまり「石木ダムの必要性について川原住民との話し合い」を実行するようにということ。

 
8日の朝日新聞の記事がこの要請の目的をしっかり伝えているので、一部抜粋させていただくと、

覚書は1972年7月、県が石木ダムの予備調査を始める前に住民側と結んだ。「建設の必要性が生じたときは、協議の上、書面による同意を受けた後着手するものとする」と明記。久保勘一知事(当時)と、住民の代表3人が署名押印した。ただ、県は3年後の75年、事業に着手。2021年9月に本体工事を始めた。 

6日に県庁を訪れた共有地権者らが県に指摘したのが、この覚書の「不履行」だった。

「石木ダム建設絶対反対同盟を支援する会」の遠藤保男代表は「同意していないのに収用地での工事が強行されている」と指摘。地権者の松本美智恵さんは「県と地元の対立の原点がこの覚書の反故だ」と語った。 

覚書は、住民らがダム関連工事の差し止めを求めた訴訟で論点の一つになったことがある。21年の二審・福岡高裁判決は、覚書があるにもかかわらず、地元の理解が得られていないと指摘。「今後も理解を得るよう努力することが求められる」と見解を示し、県に合意形成の必要性を説いた。 

事業主体の県はどう考えているのか。県土木部の担当者は取材に対し「覚書は今も有効で、履行している」と述べ、覚書に違反する手続きはとっていないとの認識を示した。長年、説明会の開催や戸別訪問などで事業への理解と協力を得る努力を続けてきたとしている。 

 覚書は今も有効で、履行している?!

なんと不可解な回答だろう。

「覚書を履行している」のが本当なら、住民がダム建設に同意した文書が存在するはずで、それを提示して欲しい。

それが存在しないならダム建設は諦めているはず。しかし、現実は同意文書もなく、ダム建設は進めている。

どうして「履行している」などと言えるのだろう?

一方、「覚書は今も有効」とのこと。よかった!

では、これからも覚書について、私たちはしっかり県に問い続け、履行を求め続けよう。(*’▽’*)

マスコミ各社のオンライン記事はこちら。

NBC長崎放送:石木ダム建設反対の市民団体 知事との話し合いを要請
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/nbc/530101?display=1

KTNテレビ長崎:石木ダム建設は必要ない」市民団体が話し合いの場を要請
https://www.ktn.co.jp/news/detail.php?id=20230607008

朝日新聞:石木ダム「地元の了解なしにつくらない」半世紀前の「覚書」はいま https://digital.asahi.com/articles/ASR6774P6R67TOLB00C.html?iref=pc_photo_gallery_bottom

毎日新聞:「知事と話し合う場を」石木ダム反対、市民団体が要請書 https://mainichi.jp/articles/20230607/ddl/k42/040/379000c

オマケの写真と呟き。ここは水道局庁舎内。要請のための会場確保を待っているところ。

1週間前に代表本人から要請書を提出に行くので会場を確保しておいて欲しいと電話で依頼していたにもかかわらず、会議室はみな埋まっていて確保できなかったとのことで、その会議が終わるまで約1時間も待たされた。

遠来の代表はじめ参加者の多くが70代前後の高齢者ばかり。宮島市長は就任会見で、「対話を重視した市政をつくりたい」と語っていたはずだが???

今 こうばるで何が起きているのか

言い換えれば、県は今こうばるで何をやっているのか、ということ。
この事実を多くの県民に知ってほしい。そして考えてほしい。
これが許されることなのかどうか。

田畑への土砂搬入

田への水路破壊(上:水が流れている 下:石や土で水路を埋めてしまった)

川の破壊

墓石も土砂に埋まりそう

3月22日午後、長崎県は川原(こうばる)住民3世帯の方の田んぼに、重機でいきなり土砂を搬入し、イノシシ除けの防護柵を撤去し、用水路まで破壊しました。「来週は田植えのための田起をしようと思っていた矢先だったのに…」と皆さんは肩を落とし、他の住民の方々と共に、県に抗議しました。

・強制収用した土地だからといって、予告無しに何をやってもいいのか?

・田畑を破壊するのは生活基盤の破壊だ。

・私たちに「耕作するな」と言うのは「生活するな」と言うのと同じだ。

・防護柵はイノシシ除けに私たちが設置したもので私たちの所有物。無断撤去はできないはず。

しかし、県は謝罪するどころか反論しました。

・皆さんには2月の時点で既に「事業用地内での耕作など」しないよう求めた文書を送付済みである。

・我々は県民の安心安全のため石木ダム工事を工程通り進める必要がある。

 

県や佐世保市など起業者(行政)の主張はいつもそうです。

・石木ダムは県民の安心安全のために必要であり、早く完成させねばならない。

・我々は土地収用法などの法に則って手続きを進めている。

 

法に則っていれば全てOKなのでしょうか?

法律の中には古くて時代に合わなくなったものもあるし、時の権力者によって都合良く解釈されたり、改悪された法律もあります。

法律は絶対ではありません。
全ての国民にとって則るべき最高法規は憲法です。
長崎県のやり方は憲法に照らしてどうなのでしょう?

憲法29条は「財産権は、これを侵してはならない」と明記した後で、「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる」とも規定しています。

石木ダムの場合がまさにそうだ。川原の方の私有地が石木ダムという公共事業のために必要だ。だから正当な保証金を支払って収用したのだから憲法にも沿っている。と、長崎県や佐世保市は主張しています。

が、その主張が正当なものであるとは、どうしても思えません。

理由その1.
石木ダムは本当に「公共のため」と言えるのか、そこに大きな疑問があるからです。もし現時点において公共性の低いものであれば、当然見直しが必要であり、そこを住民の方は問い続けているのに、行政側はそれに応じません。「司法の判断が出ている」とか「議論する段階は過ぎた」とか、第三者から見ればまるで検証することから逃げているかのです。

その2.
「公共事業は法に叶い、理に叶い、情に叶うものでなければならない」(下筌ダム反対運動の室原知幸氏の言葉)は、今や国交省のお役人が大切にしている言葉のようですが、長崎県のやり方は情を逆撫でしてばかりです。

当初の久保知事は覚書(住民の了解無しにはダム建設は行わない)を無視したまま事業に着手し、次の高田知事は機動隊を導入して強制的に測量し、その次の金子知事は話し合いをするためだと県民を欺き事業認定申請を行いました。

だからこそ石木ダム工事差止控訴審の判決文の中には「地元関係者の理解が得られるよう努力することが求められる」と書かれていました。(2021年10月:福岡高裁)

半世紀前に計画された石木ダムは今や必要性が欠如した賞味期限切れ事業なのですが、仮に石木ダムが本当に公共の役に立つ事業であったとしても、川原住民にとってはかけがえのない故郷、家や田畑、コミュニティを奪われるのですから、犠牲を強いられることへの反発があっても当然です。その認識があれば、起業者(県)は住民の理解が得られるまで何度でも話し合い、真摯に対応し続けるはずです。

しかし、長崎県の対応はそうではない。予告もなく水路を破壊したり田畑へ土砂を投入したり…そんな乱暴なやり方では、理解を得る可能性はますます失われるばかりです。

その3.
本当に法に則っているのか?ここにも疑問があります。
確かに県は川原住民の土地を強制収用し、明け渡し期限から既に3年が過ぎています。住民が明け渡さない場合は行政代執行して工事をすることができます。しかし、その行政代執行法によると、その手続きは次のように規定されています。

第3条第1項「代執行をなすには、相当の履行期限を定め、その期限までに履行がなされないときは、代執行をなすべき旨を、予め文書で戒告しなければならない第2項「義務者が、前項の戒告を受けてもその義務を履行しないときは、当該行政庁は、代執行令書をもつて、代執行をなすべき時期、代執行のために派遣する執行責任者の氏名及び代執行に要する費用の概算による見積額を義務者に通知すると。

今回の場合、そのような戒告文書も代執行令書も何も届けられずに、いきなりでした。代執行法違反の代執行だったのではないでしょうか?

また、行政代執行の実務(金沢河川国道事務所 用地第二課)によると、「戒告がなく,又は戒告が効力を生じていないにも関わらず代執行令書を発行しても,それは無効であり,代執行そのものも無効となる」と書かれています。用水路や田畑、イノシシ防護柵など全て元通りに戻すべきではないでしょうか。

また、『土地収用法の解説と運用Q&A』のQ463に対する回答欄にはたとえ占有者が無権原で収用地の占有を継続しているのであっても、無断で工事施工することはできない」と書かれています。

つまり長崎県は、土地収用法にも行政代執行法にも違反して強引に工事を進めているようです。

このような横暴な県のやり方を許しているのは私たち県民の無関心です。新聞やテレビが報じても、自分には直接関係ないことだからとスルーしてしまいがちですよね。それでいいのでしょうか?

昨日、長与町議の八木さんがツイッターで呟いておられました。

私の石木ダム反対活動に「長与町議は長与のことだけやれ」と言った人がいましたが、県税国税も投入されていて誰にも無関係ではない事業だし、何より長崎県が行っている以上、県内どの市町で同じ強制排除が起きても不思議ではなく、他町だからと許す人は自分の身に起きた時にも文句言えないですよ。

ホントにその通りだと思います。
他者への人権侵害を見て見ぬふりしていたら、いつか自分にもそのようなことが起きるかもしれない。自分だけでなく、家族や友人たちにも。そんなの困る!イヤだ!と思うか、自分の周りでは起こらないさと思うか、そこが要です。後者が多い現状では圧政も許されてしまいます。

もし自分が大切にしているものを権力によっていきなり壊されたり奪われたりしたら?そのとき自分一人で何ができるだろうと考えてみる。そんな想像力の有無が未来のあり方を左右するのではないでしょうか。
だから、私はこの問題に無関心ではいられないのです。

先月、佐世保で開催されたシンポジウムで斉藤幸平さん(哲学者で『人新世の資本論』)は語っていました「いつも犠牲になるのは少数派の弱者で、それを放置し続けた結果、公害や貧困、人種差別、気候変動等々さまざまな社会問題が山積してしまっている。これをなんとかするには、一人でも多くの人が共事者(当事者にはなれないけれど、関心を持って共に考える人)になることが必要だ」と。

忖度や同調圧力が蔓延し、自分の意見が持てなくなったり声があげにくくなったり…そんな時代だからこそ、少しだけ勇気を出して、佐世保市民にとって身近な公共事業『石木ダム問題』について、それぞれが関心を持ち、考えてみませんか。

そして、考えるためには、現場に足を運ぶことが一番です。
自分の目で見て感じてほしい。
いま川原で何が起こっているのか。
まずはそこから。

 

鯉のぼりと看板「緑のダムで!!治水も利水も 石木川ホタルの光 永遠に」

測量の約束

2月28日から始まった山の上での座り込みが続いていました。

昨日のニュースやブログを見て、数人の方から問い合わせや激励の電話等をいただきました。

朝日デジタル
長崎県の石木ダム、強制収用の土地で工事開始 反対住民は座り込み:朝日新聞デジタル (asahi.com)

テレビ長崎
石木ダム「収用地」で長崎県が初の工事|ニュース|KTNテレビ長崎

毎日新聞
長崎・石木ダム 13世帯住民座り込み 収用地で県が工事着手 | 毎日新聞 (mainichi.jp)

その他全ての新聞、テレビが報じています。それは、①強制収用した土地での初めての工事、②住民と県との久しぶりの衝突という、マスコミにとっては関心度の高いできごとだったからでしょう。

しかし、それだけではない。公共事業の進め方として本当にこれでいいのかという疑問を記者さんたちも持たれたのではないでしょうか?

 

重機の前で座り込む住民。それを見守る支援者。住民は何に抵抗しているのか?支援者は何に共感しているのか?

買受権が発生するかどうかなどではない。住民との約束を平気で破る、行程表通りに工事を進めるためには住民の意向や理解などはどうでもいいというやり方への怒り。その怒りが予想できない県への苛立ち。

今日(3月2日)の新聞記事です。

反対住民の石丸勇さん(73)によると、2月24日、県側に収用地と私有地の境界について疑念があると訴えると、測量をする旨の回答があったという。だが28日朝に測量できないと伝えられ、「約束したことをほごにされた」と憤った。これに対し、県石木ダム建設事務所は「(測量をする旨の)話をしたのは事実」と認めた。ただし、確定した収用地の図面変更はできないことも伝えたという。その後、内部で検討した結果、測量はできないと判断したとしている。

まず第一に、約束は守るべき。
第二に、守れないときは、その理由を説明すべき。
第三に、一度確定したといっても、間違いがあれば正すべき。間違いがあったかなかったかを確かめもせずに、決まったことだからと問答無用とするのは時代錯誤も甚だしい。確定判決がでても再審請求ができるのだから。断固拒否するのは、もしや自分たちの間違いを隠したいから?なんて疑念さえ持たれてしまいますよ。

そんな空気が県にも伝わったのか・・・?今日の午後、本庁から土木部の職員がやってきて、Hさんの土地の測量をやり直すことを告げたそうです。

もしかしたら、対話を重視する知事の指導があったのかな?

これで3日間にわたる緊迫の座り込みは終了しました。明日からはまた平常の静かな抗議行動に戻ります。

住民の皆さん、支援者の皆さん、お疲れ様でした。

それにしても、「約束を守る」という当たり前のことを果たしてもらうのに、これほど体を張った行為に出なければならないということが、そもそもおかしいですよね・・・(^_^;)

工事を止めろ!約束を守れ!

石木ダム収用地で初工事 長崎県、買受権との関連否定 | 長崎新聞 (nordot.app)

「工事を止めろ」一時騒然 石木ダム収用地初着工 反対住民、体張り抵抗 | 長崎新聞 (nordot.app)

ここに報じられているように、住民の皆さんが怒っているのは、県のやり方に対してです。

収用されずに残っている住民の方の土地に先週いきなり重機が入りました。住民の方が抗議した結果、図面に引かれた境界線について県と住民との認識の相違が判明したので、測量のやり直しを求め、それについて改めて話し合う約束になっていたそうです。

ところが、その話し合いがなされないまま、いきなり「これから工事を始めます」と言われても納得できるわけがありません。

「調べてもらえないのは歯がゆい」「地元の同意を得てから建設するという内容で県と交わした1972年の覚書が守られていない」と憤るのは当然です。

県は「収用裁決が済んでいるので新たな測量には応じない」との考えのようですが、このような一方的な公共事業の進め方は半世紀前と全く変わっていないのですね。残念です。

この日はたまたま千葉県から自然観察にやってきていたNPO法人の方々もこの光景を目の当たりにして、衝撃を受けておられました。

その後、周辺を視察中に、伐採された樹木の墓場に遭遇。

引き抜かれ、うち捨てられ、朽ち果て、白骨化した樹木の残骸から

なんと、緑の小枝が・・・!

逞しいいのち。自然界はやはり持続可能な世界ですね。

利水も治水も自然環境を破壊するのではなく、共存する方向に早くシフトしてほしい。県も佐世保市も国も。

川棚町の皆さん、佐世保市の皆さん、長崎県の皆さん、一度こうばるに足を運んでみませんか。

ここで何が行われているのか。それは決して、皆さんに無関係なことではありません。

「早く決断を」知事に迫る佐世保市長

報道によると、朝長則男佐世保市長は27日、大石賢吾知事に、強制収用した石木ダム事業用地での工事に早く着手するよう決断を迫ったという。


朝長市長による、大石知事への、石木ダム建設促進アピールは、今回で3度目で、驚きはない。

最初は9月11日、佐世保市で開催された石木ダム建設促進大会の席で。
2度目は10月11日、市議団や石木ダム建設促進佐世保市民の会など大勢で県庁まで出向き。
今回も市議や県議などと大挙して知事に直談判したようだ。

なぜ朝長市長はこれほど知事を急かすのか。
問題となっているのは「買受権」で、市長と知事の見解にズレがある。

買受権とは、事業認定して10年経っても、その土地が目的の事業のために使われなかった場合、元の地権者が土地を買い戻すことができる権利のことで、石木ダムの場合は来年9月が、その時期にあたる。

市長は「それまでに早く収用地での工事を進めないと大変なことになる」と慌てている(あるいは煽っている)のだが、知事は「石木ダム事業に関する工事は始めているので買受権は発生しない」との見解。

どちらが正しいのか、現時点では誰も確たることは言えないようだ。知事も市長も法の専門家ではないので、共に関わっている弁護士さんたちの見解の相違だろうし、判例が無いので証明するのも難しいようだ。

しかし、市長は自分の主張を何度も知事に押し付け、「必要性について話し合う時期は既に終わった」として、大石知事の話し合い重視の姿勢を批判してきた。

新聞によると、今回は発言中の知事の言葉を遮り、「収用したところに手をつけないと絶対に(裁判に)負ける。そこをしっかり認識し、早めに決断いただかないと」と語気を強めたそうで、少し異様な雰囲気を感じる。

朝長市長は、何故これほどまでに石木ダムに執着するのだろう?
来年4月の市長選には出馬しない、つまり、もう今期で市長を辞めるのに・・

工程表では石木ダムは2025年度完成予定なので、市長をあと1期続けるつもりなら、何が何でも自分の代で完成させ、名を残したいと思うかもしれないが、来年3月で退く人なのに・・

市長を辞めても、石木ダム建設が何か朝長氏の生活に関りがあるのだろうか?
あるいは、市長としての最後の大仕事として、あえて悪役を引き受け、行政代執行を知事に決意させようとしているのだろうか?

いずれにしても、朝長市長の最近の言動に、私たち市民は心を痛めている。
隣人である川棚町民に申し訳なく、その他の県民に対しては恥ずかしさでいっぱいである。

なぜなら、私たちはもちろんだが、石木ダムが必要だと思っている佐世保市民でも、その多くは行政代執行など望んでいない。
大石知事のように、早期完成を目指しながらも、まずは住民に対する説明・話し合いが大事。それが民主主義国家として当たり前のやり方だと多くの県民は思っているし、そこは佐世保市民も同じはず。

しかし、市長や市議が大挙して知事を訪ね、「いつ決断するのか!」と知事に迫るということは、市民もそう願っているからだろう。佐世保市民とは自分達さえよければそれでいいと考える人たちなのか・・・ニュースを見た県民にそう思われたとしたら、とても悲しいし、その可能性は小さくないだろう。

私たちは声を大にして言いたい。
朝長市長と私たちは違う!
市議や県議の発言は市民の多数派ではない!

でも、それは通用しない。
市長を選んだのも、市議を選んだのも、私たちだから。
私たちが自分の意思で選んだ人たちだ。
だから、私たちは今、恥ずかしさでいっぱいなのです。
川原の皆さんに申し訳ない気持ちでいっぱいなのです。

このいっぱい いっぱいの気持ちを、大切にしたい。
恥ずかしいことは恥ずかしいと伝えよう。
一蹴されるとしても、伝える努力をしたい。
声に出さなければ、思っているだけでは伝わらないから。

あと数時間で新しい年の始まりです。
来年こそは伝えたい。

佐々川の水量「現時点では判断できない」

12月5日、県議会一般質問。1人の議員の質問によって、私たちが知りたかったことが明らかになりました。

それは、ひょっとすると、佐世保市民にとって石木ダムの代替案に繋がるかもしれない可能性を秘めた重要な事実です。

堀江議員:報道によると、先月24日、知事は石木ダムに反対する佐世保市民と面会し話を聞いた。その中で、佐々川の活用について市民から提案され(佐々川の水を取水できれば=県が佐世保市に佐々川の水利権を与えれば=石木ダムは不要)、提案の根拠として3つの情報が示されたが、「それについては確認したい」と答えたとある。確認したのか?

 

その情報とは、以下の3点です。

1.平成6~7年の大渇水の時には、佐々川から一日平均1万㌧の水が佐世保に送られていた。

2.東部かんぱい水利権(佐々町に与えられた灌がい用の水利権)の取水実績は、22年間のうち72日のみであった。(8035日間中7963日は取水ゼロ)しかも、与えられた水利権21,900㌧のうち取水したのは最大でも7,000㌧だった。資料5.佐々川の水利権

3.九州電力相浦発電所は3年前に廃止になっているので、その水利権4,800㌧も既に返上されているのではないか?

詳細は、こちらのブログ記事を参照ください。 https://ishikigawa.jp/blog/cat05/8365/

 

奥田土木部長:確認の結果、

1については、佐世保市の水道白書によれば、その通り。

2については、市民団体のご指摘の通り。

3については、確かに2019年5月に九州電力より水利権の廃止届が提出され受理している。

しかしながら、ただちに(佐々川の水が)安定水源として活用できるものではないので、(佐世保の)水問題が解決するものではないと考えている。

水利権については河川の適正な利用、流水の正常な機能を維持することが必要で、過去に実施した調査によれば、新たに利活用できるような水量はなかった。

 

堀江議員:市民の皆さんは石木ダムは必要ないと思っている。その根拠として3つの事実を述べて、佐々川の流量に余裕は有るはず、だから石木ダムを造らなくても佐々川の水を利用すれば良いと言っている。しかし、部長は3つの事実は認めながら、水量は無いという。その根拠は何?流量調査はしたのか?

 

土木部長:先ほどは過去の流量調査を踏まえてお答えした。現在、佐々川の河川整備方針策定に向けて流量観測を実施しているところであり、今後その流量が蓄積される中で、仮に安定的に取水できることが確認できれば、関係者の意見を聞いた上で、利活用の検討は可能になる。

 

堀江議員:過去の調査と言うのは20年以上も前のものではないか。いま流量観測をやっているということが確認できた。そのような調査の結果はしっかり公表してほしい。そこで知事は、佐々川を活用してほしいという市民の提案を聞いて、どう思ったのか?

 

大石知事:私も報告を受け事実の確認はしている。しかし、ただちに安定水源として活用できるものではないと認識している。

堀江議員:いま土木部長が流量観測中と言ったではないか。流量の結論は出ていない。出ていないのに活用できないというのはおかしい。それなら、どんな結果が出ても佐々川の水は活用しませんと言ってるのと同じではないか。


大石知事:一般的には流量観測の結果、安定的に取水できることが確認できれば、関係者の意見を聞いた上で、利活用の検討は可能になる。佐々川については未だ観測結果が蓄積されていないので、ただちに安定水源として活用できるものではないという認識である。

 

これはたいへん重要な答弁です。私たちは、この言葉が聞きたかったのです。

今までは何度、県や佐世保市水道局に問い質しても、「佐々川には既に多くの水利権が張り付いていて、新たな水利権を与える余裕は無い」「佐々川の水量に余裕は無い」の一点張りでした。問答無用の門前払いでした。

その答えが今回初めて変わったのです。

佐々川の流量観測中であり、「現時点では水量に余裕が有るか無いかは判断できない」と。

それはつまり、観測結果が判明した時点においては、佐々川から佐世保市へ水道用水利権が与えられる可能性もあるかもしれない、ということです。

それにしても、不思議です。もしも、流量調査の結果、水量の余裕が無いと判断されたなら、では、現状をどう解釈したらいいのでしょう?

日量21,900㌧の水利権を与えられている東部かんぱい水利権者(農家さんたち)が、ここ数年全く取水していないにもかかわらず水量に余裕が無いということは、例えば来年の田植え時期にその農家さんたちが佐々川の水を取水しようとしても、取水できないということになりますよね。

水利権を与えている河川管理者として、どう責任を取るのでしょう???

 

起業者にとっては不都合な真実は認めたくないでしょうが、どんな結果が出ても、ありのままを市民県民に公開してほしいものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

石木ダム不要、市民から知事へ 初めての直訴

11月24日、ついに知事との面談が実現しました。

石木ダムの早期完成を公約に掲げて当選した知事が、石木ダムに反対の佐世保市民との面談に応じることになったのです。どうせパフォーマンスでしょ?反対派の声も聞きましたというアリバイ作りに過ぎない!と見る向きもあるでしょう。

しかし、仮にそうであったとしても、会うことに意味がある、互いの目を見て直接伝えることが何より大切だと思いました。石木ダムが必要だと思い込んでいる知事に、石木ダムは不要だとなぜ私たちが思うのか、その根拠を示したい、その思いを伝えたい、客観的な事実を知らせたい、そう思いました。事実を知れば認識が変わり、考えも変わる可能性があります。その可能性がどれほど小さくても、伝えなければ可能性はゼロです。

だから、時間制限や人数制限、非公開、そして質疑はしない、知事はただ「皆さんの話を聞かせていただくだけ」等の条件も全て受け入れ、面談の実現を求めました。

その結果、県側からは4人が参加。左から土木部河川課小川企画監、奥田土木部長、大石知事、松園石木ダム建設事務所長です。

市民側の参加者は26名。石木ダムに反対している佐世保市内4団体のメンバーです。冒頭の挨拶で知事はこう言いました。佐世保は慢性的な水不足で、過去には264日間の給水制限が続いただけでなく、その後もほぼ2年に1度の渇水危機に見舞われていると聞いています。石木ダムは必要不可欠で、早期完成を目指しています。

ここにご参加の皆様も大渇水を経験しておられるのではないでしょうか?その上で石木ダムには反対だと聞いております。その思いも含めたご意見を聞かせていただければと思っております。

いきなり、そうきましたか~
必要不可欠、早期完成、そして2年に1度の渇水危機!朝長市長の口癖が頭にこびりついてしまったかのよう・・

いやはや、むしろやりがいを感じますねー
各団体から選ばれた4人は、ますます心を込めて、精いっぱい知事に語りかけました。その話の内容をここに開示します。是非ごらんください。

トップバッターは、「#ダムより花を」の森田さんです。発言原稿 森田敦子:#ダムより花を

森田さんは、ダム花がこれまで行ってきた市民アンケートだけでなく、新聞社やタウン誌が行った結果も紹介しながら、


市民の意見は分かれていますが、このように石木ダムはいらないとか分からないという意見が多数派です」という結果を示し、

子どもたちには50年も前に計画されたダムではなく、こうばるのような多様な生き物がいる自然や持続可能な里山の暮らしを残したい

こうばるの人たちを苦しめて追い出してまで作ったダムの水は欲しくない

など様々な市民の声を紹介。

知事も席を立って近づき、アンケート結果を確認していました。

 

続いて発言したのは、「佐世保の水と石木ダムを考える市民の会」の牛島さん。

発言原稿 牛島万紀子:佐世保の水と石木ダムを考える市民の会

同会が11回にわたって各町内で行ってきた勉強会で誰もがおかしいと感じたこと、「水需要は減り続けているのに、市はなぜ増えると予測するのか?」「佐世保の水源は10万トン以上あるのになぜ7万7千トンしかないと主張するのか?」について、実績値のグラフや水源一覧表を示しながら説明。

そして、「公共の福祉を理由として人権を侵害しても必要がある公共事業は、子どもでも理解できる説明でなくてはなりません」としっかり指摘。

三番手は、「水問題を考える市民の会」の宮野さん。

発言原稿 宮野由美子:水問題を考える市民の会

宮野さんは、一日平均給水量の実績値を示しながら、平均給水量
近年は6万5千トン前後であり、市が主張する7万7千トンの水源でもおつりがくる」と説明。

さらに、佐世保には大きなため池がたくさんあり、ため池

渇水時にはこれらの池の水を活用できる分水協定を結ぶことを提案。分水協定
多額の税金を投入して必要性の乏しいダムを作るより、協定を結ぶだけで水の心配がなくなるため池の活用をぜひ進めていただきたい

 

最後は「石木川まもり隊」から松本が発言させていただきました。

発言原稿 松本美智恵:石木川まもり隊

・このように必要性が疑われる石木ダムに、佐世保市民は357億円も負担しなければならない。資料1.佐世保市民が負担する石木ダム事業費

・その多くは水道会計から支払われ、市民はダムよりも老朽化した水道施設の更新整備に水道料金を使ってほしいと願っている資料2.佐世保市まちづくり市民意識アンケート調査 H30

・石木ダム事業費はまだまだ増えそう。それはダム建設予定地の地質に問題があるから。透水性が高く、その対策工事に今後かなりの費用を要するだろう。資料3.石木ダムの問題点について :建設コンサルタント応用理学技術士 資料4.採石跡地問題

新たな水源確保対策としては水利権の転用を提案する。佐々川の遊休水利権を佐世保市の水道用水として知事が認めるだけで済む。費用は全くかからない。資料5.佐々川の水利権などについて資料に基づき説明し、最後に大石知事に訴えました。

「半世紀前のダム計画の呪縛を断ち切って、どうか50年後100年後の長崎の未来を見据え、県政の方向転換をしていただけますようお願いします」と。

その後、会場からも2人の方からの発言がありました。

石木ダム建設費だけでなく、その後ずっと維持管理費もかかってくる。また、新たに浄水場も造ろうとしているが、他の古い浄水場は切り捨てて2つだけにするようで、浄水量は今よりも減少するだろう。本当に今後水需要が増えると思っているのなら、そんなことはできないはず。

1972年の覚書が守られないまま工事が強行されている。昨年、福岡高裁は判決文の中で覚書に触れ、地元の理解を得る努力をするよう県に求めた。いま大石知事はその努力をしていると思う。が、その対応を佐世保市長や市議会は批判していて、いかがなものかと思う。大石知事は住民の方との話し合いを続けてほしい。

なんだか知事へのエールのような雰囲気になったところで、終了の時間となりました。

松本:お忙しい中このような機会をつくっていただき、ありがとうございました。今日はお話をさせていただくだけで知事への質問はできませんでした。今日で終わりではなく、今日を出発点として、また、このような機会を設けて頂きたい、そして次は知事のお考えをお聞きしたいと願っています。

知事:短い時間でしたが、皆さんのお話が聞けて、本当に私も嬉しかったです。先ほどの方のお話を聞いて思ったのですが、佐世保市民も私にとっては長崎県民です。知事の私が皆さんのお話を聞くことは何ら不思議なことではありません。それを踏まえた上で、皆様のお考えを佐世保市に届けることも重要なことだと思います。私が口出しすることではありませんが、しっかり届けていただければ、しっかりお答えされると思いますので、よろしくお願いいたします。

最後は互いに感謝の言葉を交わして会場を後にしましたが・・・

この日の夕方のテレビニュースで早速「知事、反対派と面会」と報じていましたが、「いろんな意見があると感じたが、(ダムが必要という)認識は変わらない」という知事のコメントを見て、がっかり!

発言者の目を見て聴き入ったり、熱心にメモを取ったり…真摯な姿勢はやはりパフォーマンスだったのでしょうか?


インタビュー映像で確認できた知事の言葉を拾ってみると、

「市民の方々の中には、(ダムを)求めていない方もいらっしゃるんだと」
「水が足りないんだということでこの事業は進めている」
「いろんな立場からの話を聞いて、しっかりと判断をしなければならないので、そのうちの1つの声を聞かせていただいた。これによって(事業継続についての)認識が変わるということはない」

冷静に聞いてみると当然のコメントですね。

これまでずっと部下である河川課職員からのレクチャーを受け、佐世保市長や県議会、市議会、促進派団体から「一日も早く石木ダムを!」との要望を受けてきた知事の頭の中は、必要論で鮨詰め状態。新たな情報が入る隙間は中々無さそうだし、たかが1時間、市民の話を聞いたくらいで理解できるものではないでしょう。

今日のところは、「市民の方々の中には、(ダムを)求めていない方もいらっしゃるんだと」いうことを知っていただいただけで十分です。

「水が足りないんだということでこの事業は進めている」のですから、「水が足りている」ということになれば、事業は見直すべきだと知事も感じておられるのでは?

そして、毎日新聞が大事なことを伝えてくれています。

私たちが指摘した佐々川からの取水実績について、知事は「事実を確認したい」とおっしゃったようです。

ぜひ確認してほしい。そして確認した結果を公にしてほしい。遊休水利権と認めるのか否か。認めるなら、それを転用するのかしないのか、その理由は?

私たちは、新たなダムを造って自然や住民の暮らしを破壊するのではなく、老朽化した水道管を更新して漏水を減らし、雨水や再生水を有効活用して水を循環させる、そんな持続可能な水道行政を望んでいます。

気候変動による自然災害はますます甚大化しています。これ以上新たなダムを造り続けることは逆効果です。これからは自然との共生による治水や利水の時代です。

大石知事にお願いします。半世紀前のダム計画の呪縛を断ち切って、どうか50年後100年後の長崎の未来を見据え、県政の方向転換をしていただけますよう、心からお願いいたします。

 

以下マスコミ各社の記事です。

NCC長崎文化放送
https://www.ncctv.co.jp/news/109137.html
石木ダム反対派団体が知事と初めて面会

NIB長崎国際テレビhttps://www.nib.jp/nnn/news106lzb1ecx3go3qp657.html
石木ダム建設 知事と反対派市民団体初面談

KTNテレビ長崎
https://www.ktn.co.jp/news/detail.php?id=20221124008
水需要予測に疑問投げかけ…石木ダム建設反対の市民団体が知事と初面会

NBC長崎放送
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/nbc/213482?display=1
石木ダム巡り建設反対の市民団体と大石知事が初めて面会

毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20221125/ddl/k42/040/341000c
石木ダム反対4団体 26人が知事と面談 データ説明に「確認したい」

長崎新聞
https://nordot.app/968701158038994944
大石知事、石木ダム反対団体と初の面会 座り込み現場も訪問

朝日新聞https://digital.asahi.com/articles/ASQCS6X02QCSTLZU008.html
「建設進める認識は変わらない」 知事、石木ダム建設反対派と面会

西日本新聞
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1019240/
長崎県知事、石木ダム建設反対派と意見交換

 

 

佐世保市民による大石知事との面談要請 3度目の正直なるか

9月22日、私たち4団体(石木川まもり隊、水問題を考える市民の会、佐世保の水と石木ダムを考える市民の会、#ダムより花を)は、大石知事に面談を求める要請書を提出しました。7月28日、8月23日に続く3回目の要請です。

すっかり遅くなりましたが、記録として残しておきます。

7:50~8:50 県庁前でチラシ配りとスタンディング。

2022.9.22県庁前配布チラシ1

 

9:20~9:30 各団体から申し入れと要請書提出。


2022.9.22 知事への要請書

議会中を理由に土木部長も河川課長も姿を見せず、3人の河川課職員が対応。

9:30~10:00 記者会見。

NBCニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/39643409ed3356f41a245efcc3968d17b12a62d8

私たちの願いはただ一つ、石木ダムに対する佐世保市民の想いを知事に直接伝えたい、それだけです。

既に市民の声は聴いていると知事は言われるかもしれませんが、それは推進派の声だけです。7月13日と9月11日の2回とも、知事の前で発言していた佐世保市民とは、いずれも『石木ダム建設促進佐世保市民の会』のメンバーです。運営資金は100%市の助成金で賄われ、事務局は市役所の中にある、「市民の会」とは名ばかりの官製団体です。

利水受益者と言われている佐世保市民の全てが石木ダムを望んでいるわけではない。むしろ少数派です。アンケートをすると、「要らない」とか「わからない」とか答える人の方が多いのです。

それは何故なのか、その理由や根拠を、知事と面会して直接お話したい。県民との対話を重視する大石知事なら応えてくださるはず!との想いで要請書を提出してきたのですが、過去2回はいずれも拒否されました。

その理由は「石木ダムに関する訴訟が継続中なので会うことはできない」というもの。もちろん、それは口実に過ぎません。法的根拠がないことは河川課の職員もはっきりと認めました。

提出予定日の前々日(9月20日)、石木ダム工事差止訴訟に関する最高裁の決定が届きました。結果は上告棄却という残念なものでしたが、しかし、これで知事が私たちとの面会を拒む理由は無くなりました。

知事は以前、「どちらか一方の話だけではなく、両方の話を聞きながらしっかりと理解を深めていきたい」とおっしゃっていました。その言葉を思い出してください。ほんの3ヶ月前のことです。

推進派以外の市民の声には耳を塞ぎ、事業を強行するなら、これまでの長崎県政と何ら変わりはありません。
賛成にしろ反対にしろ、受益者の声には等しく耳を傾け、その上で判断すべきです。

合意形成の努力を惜しんだ公共事業は、将来に必ず禍根を残します。

私たち県民は、民主的な開かれた県政の実現を心から願っています。

 

回答期限は明日、10月6日です。

知事の本心による回答を待っています。