『話し合い』をめぐる4つの文書

5月下旬から約1ヶ月、知事と住民との『話し合い』に注目が集まりました。

数年前から、どちらも相手と「話し合いたい」と言い続けているのに、何故か実現しない、不思議な膠着状態に陥っていました。ところが、ここにきて、ようやく県の方から正式な申し入れがあり、いよいよか?とマスコミの記者さん達は取材に大忙し。新聞・テレビのニュースで度々報道されました。

が、ひと月経っても、まだ『話し合い』の目途はたっていません。
それは何故か?
県と住民の間で交わされた4つの文書をよく読めば、その理由は見えてきます。

1つ目の文書がこちら。5月21日付、「長崎県土木部」から「川原地区にお住いの13世帯の皆様」へ宛てたものです。

これは、知事と住民との話し合いを実現させるための事前協議の申し入れですが、
書かれていることを要点整理すると、

①皆様に心労をおかけしていて心苦しい
②石木ダムは喫緊に必要不可欠の事業である
➂事業推進、生活再建、工事の進め方について話を聞いてほしい
➃6月上旬、川棚町中央公民館で行いたい
⑤互いに5名程度集まってやりたい
⑥6月4日までに石木ダム建設事務所長まで連絡してほしい

ということです。
「心苦しい」と言いながら、自分達の主張を聴いてほしい。
そのための話し合いだと言う。あまりにも一方的な内容ですね。
話し合いというのは、双方に、相手の話にも耳を傾ける気持ちがなければ成り立ちません。自分たちの言いたいことだけ聞いてくれと言われて、誰が応じるでしょう?

そこで、2つ目の文書です。6月4日付、「石木ダム建設絶対反対同盟」(13世帯)から「長崎県知事」に宛てたもの。

こちらも要点整理すると、

①私たちは工事を中断すれば、いつでも話し合いに応じる
②そのことは土木部長にも河川課長にも伝えていたが工事は強行されてきた
➂今回の事前協議を求める文書提出後も、新たな工事が強行された
➃知事が本当に話し合いを望むなら、工事を即時中断し、話し合いのできる環境を作ってほしい

ということでした。
土木部からきた文書への返事を、土木部にではなく知事に郵送したことに住民の意思が現れています。

話し合い実現のための事前協議をしましょうと言いながら、新たな工事を強行した土木部。工事中断が話し合いの条件だと分かっていながら、中断しないどころか、新たな工事を始めた土木部。それは、「どうぞ事前協議は断ってください」という意思表示以外のなにものでもない。

そんな言行不一致の土木部とは交渉などできない。ということで、知事に直接返信されたのです。

さて、知事からどんな返事が来るか・・・私たちも期待していましたが、届いた文書の差出人は、またもや土木部!

その3つ目の文書がこちらです。

今回の要点は、

①工事中断等の条件整備の考え方などについて聞きたい
②6月19日午後2時~川棚町中央公民館講堂にて
➂6月16日までに石木ダム建設事務所長まで連絡してほしい

やっと住民の意向を聞きたいとの言葉が出てきましたが、工事中断の意思があるのか無いのか何も書かれてはいません。そこで、住民の方は16日、現場にやって来た石木ダム建設事務所長に確認をしたところ、事前協議に指定した日時にも工事は続けるとのことでした。

そこで、4つ目の文書(6月17日付)が、再び知事宛に送られました。

ここに書かれてあることは、まさに直訴そのものです。

①知事の本当の考えが知りたい
②知事と穏やかな環境の中で話し合いたい
➂話し合い実現のため工事を即時中断してほしい

この文書を受け取っても知事が動かないとしたら、知事の「13世帯と話し合いたい」という言葉は建前?それとも嘘?本心ではないということでしょう。

本気で話し合いたいのなら、土木部を介さず、ご自身でアプローチすればいいのです。
昔から賢明なお殿様は、自ら城を出てお忍びで領地を周り、自分の目で領民の暮らしを確かめていたようです。

長崎県政にも、空港建設のため箕島へ日参して、島民と語り合った久保知事の例もあります。

中村知事、そろそろ貴方の本気を見せてください。
工事を中断するくらい、貴方の一声で可能なのですから。
貴方が本当に話し合いを望むのなら。

右手で握手、左手にナイフ

5月24日の記者会見で知事が語った石木ダム事前協議について、注目が集まっています。

5月25日の長崎新聞の記事によると、


https://this.kiji.is/769761664957038592

県は、反対住民との対話に向けた事前協議の場を設けたいとして、6月上旬の協議開催を提案する文書を今月21日付で住民に送付した。それに対して住民は「住民間で話し合って協議に応じるかどうか回答したい」と述べつつも、


https://this.kiji.is/769736767273385984

「これまでの県の姿勢はとても対話を望んでいるように見えない。文書は単なるポーズではないか」「知事は対話を望んでいるそうだが、現場では嫌がらせのようなことばかりする。話し合うつもりはなく、さらに事業を進めるためのアリバイ作りでは」「こちらの条件はすでに提示している。工事を進めておきながら、条件を話し合おうというのはおかしい」などの本音も語られている。

実際、今週になって、現場ではどんどん工事が強行されています。


26日、石木川には新たな橋ができていました。


土嚢で円管を固定し、その上を土で固めただけ?

橋の向こうの青い屋根は、簡易テント。あそこで男性陣が監視を続けています。

その向こうの白い建物がダム小屋です。長い間監視小屋として使われ、近年はおばあちゃんたちのサロンとして使われていました。つい最近サカエさんが亡くなってマツさん一人になってしまったけれど、それでも時々マツさんは一人でここにやってきて一人で座っています。こうばるを守るために。

それはそうと、この橋は何のために造られたのでしょう?

ある人が県の河川課に電話で問い合わせたら、「ダム堤敷(ダムの基礎岩盤部分に接している所)の地質調査(ボーリング調査)のための機材等を渡すため」と答えたそうです。

しかし、その話を伝えても、
・ボーリング調査なんてこの近くではやらないだろう。
・これは転流工に繋がるのでは?そうなると一気に本体工事に向かうかもしれない。
などなど様々な意見や憶測が飛び交います。

それは、県が住民の皆さんに、これから始める工事内容について、きちんと説明しないからです。なぜ県は住民の方にきちんと説明しないのでしょう。たぶん、工事内容を事前に説明すると工事を阻止される・・と恐れてのことでしょう。

しかし、仮にそうであっても、県は説明すべきです。それが事業者としての義務です。説明もせずに、いきなり始めるから、闇討ちにあったようで、よけいに反発が大きくなるのです。

振り返れば、今の石木ダム建設事務所長の前の前の所長(古川所長)も、住民の方との攻防は幾度となく繰り返してきましたが、それでも責任者として伝えるべきことは伝え、やるべきことはやり、耳を傾けるべき時は傾け・・・だから、住民の皆さんは、県とは対立しながらも、古川所長の言動を疑うことはありませんでした。

しかし、それ以降の所長のやり方は違います。夜討ち朝駆けで、住民の方を疲弊させ、拡幅のための道路工事と説明しながら、いきなり道路わきに工事用詰め所を作ったり、夜中に土手を壊して工事用車両を通す道を作ったり・・・その手法は、隠す、騙す、欺くことが当たり前のようになってきました。

それは所長自身の方針なのか、上司(河川課長・土木部長・知事)の方針が変わったのか定かではありませんが。

これでは住民の不信感は増すばかりです。いくら話し合いをしましょうと右手を差し出しても、後ろの左手にはナイフを隠しているのではないかと疑われてもしかたありません。

知事が本当に話し合いたいのならば、なぜ今、石木川に工事用の橋を作ったのか?

なぜ今、抗議行動の場所に土砂を入れ、前後から押し寄せることをするのか?


理解できません。

やはり、皆さんが言うようにポーズだけ?アリバイ作り?知事は話し合いを求め事前協議の提案もしたけれど、住民はそれも蹴ってしまった。仕方ないので、土地収用法に沿って次の段階へ進むしかなかった・・と自分や県民を納得させるため?

そんなにしてまで石木ダムを造りたいのはなぜでしょう?
住民への手紙には、


話し合いの目的は、「知事の事業推進にかける想い、生活再建の在り方、工事の進め方などについて話を聞いてほしい」と書かれています。

結局造ることが前提の話し合い。自分たちの言い分だけを伝えたい、聞いてほしいと言っている。それは話し合いじゃない。説明会ですよね。話し合いは意見交換することなのに。

あなた方のお考えも伺いますので、私たちの話も聞いて下さい、という想いがここには全くない。絶対造ります。それ以外の選択肢はありませんという本音が透けて見えます。

石木ダムという呪縛から逃れられない知事。

コロナの感染拡大が続いても、五輪という呪縛から逃れられず突き進んでいる菅総理と、どこか似ている・・・

話し合いたいと言いながら・・・


長崎県内では昨日のTVニュースでも報道していましたが、こうばる住民の方などが抗議行動をしている場所へ降りていく道に、新たなゲートが2つ設置されていました。

TVカメラが入った頃は既に門は開かれていましたが、石木川まもり隊報道部が到着した早朝には、このように、県の職員により、しっかり門は閉じられていました。


このゲートを過ぎて降りていくと、下にもう1つのゲートが・・・


ここにも職員が数名待機して、住民や県民を通さないよう見張っていました。


しかし、現場を熟知している住民の皆さんは、鉄の門を通らずとも横の崖から山に入り、遠回りして・・・


あっさり現場に近づくと、そこにはネットと県職員が・・・「おはようございまーす!」と挨拶しながら、


ネットの下からスルリと中へ。

毎日座り込みをしている場所には大型重機が・・・


重機に近づき作業員に声をかけます。


作業を止めてください。


県職員にもお願いします。


座り込んでいる住民のすぐ後ろでは、ダンプカーが土砂を降ろしています。


こちらの重機の傍でも住民が作業員に何か訴えています。その様子をカメラで撮る県職員・・・


こちらでも、


あちらでも、


向こうでも、


そして、ダム事務所所長の後方の少し離れたところからビデオカメラを回す職員も・・・住民の行動を監視?まるで公安警察のような仕事を何人の職員にやらせているのでしょうか?県の土木部はそんなに暇なのでしょうか?


このとき、住民がダム事務所長に詰め寄っていたのは、なんで、このように新たなゲートや柵を造ったのか?ということ。

所長:危ないからです。

住民:危ないことはしなければいいじゃないか。

所長:工事はしなければなりません。

住民:工事を中断して話し合いをするんじゃないのか?知事はそう言ってたはずだが。

所長:話し合いについては今、調整中ですが、工事は工事で、できるところから、危なくない状況でやらせて頂きます。

それが、県の本音なのですね。先日の県議会でも本音ははぐらかしていました。

堀江県議:工事を中断して話し合う考えはありませんか?

中村知事:こちらからも幾度となく話し合いを求めていますが、工事中止と白紙撤回が話し合いの条件だと聞いていたので…しかし、最近の報道で、そうではないというような発言があったとのことなので、まず真意を確かめたいと思います。

堀江県議:では真意を確かめて頂いて、その上で「工事を中断して」と言われたら、その考えはあるのか?

中村知事:まず、真意を確かめたいと思います。

と言い、「工事を中断する」とは言いませんでした。


工事を中断する気があるなら、今わざわざ、こんな長い柵やゲートを2つも設置したりはしませんよね?県の「真意」が見え見えです。

県議会での知事の答弁を聞いて、私たちは「工事を中断しての話し合い」が実現するかもしれない…と少しだけ期待しました。いつ住民の真意が確認されるのか…と。

確かに河川課長がすぐに駆けつけましたが、住民の皆さんは、「文書で真意を質してください。そしたら、こちらも文書で答えます」と言い、その場では答えませんでした。

当然です。今までの口頭でのやり取りで誤解が生じているので、文書で問うて文書で答えれば、共通理解が得られます。しかし、その後、未だ文書は届かず、その代わりに新たなゲートと柵が設置されたのです。工事を進めるために。工事を邪魔されないために。

それでは、工事を中断する気はない、話し合いをする気はない、と言ってるようなものではありませんか。せっかくのチャンスをまた県はふいにするのですか?


住民だけではありません。次々と支援者が集まり、新聞記者やテレビクルーも駆けつけ、工事は1時間半ほどで中断し、


その後は、いつものように穏やかな座り込みの光景が戻ってきました。

知事が本当に話し合いを望むのなら、あらためて住民の皆さんの「真意」を文書で確かめてください。その返信にどうしても呑めないような条件が書いてあるならば話し合いは実現しないでしょうが、それほど無理難題は要求されないはずです。

住民の皆さんの話し合いに対する要望を常々聞いていますが、至極もっともなことであり、誰もが納得できる条件だと思います。

県が工事を強行することにも理由があるならば・・・
例えば、どうしても代替墓地までの道路は完成させなければ、業者との契約不履行になるとか、代替墓地利用者(土地を売って出て行かれた元住民)の方との約束を果たせなくなるというような問題が生じるのであれば、
それをきちんと説明すればいいのです。

そして、「代替墓地までの工事が終わったら、必ず工事を中断する」と約束し、その段階で話し合いをしたいと要望すれば、道は開けるはず。

先日の小学生の感想文にもありました。「県の人の気持ちもわかりますが、強引にやることはないです」と。子どもでも感じています。強引な手法は良い結果を生まないと。封建時代ではないのですから。話し合いに基づく合意と、そのための努力なくして物事を決めるべきではありません。

議員連盟の申し入れ

2020年7月8日水曜日に、石木ダムの強制収用を許さない議員連盟の申し入れがありました。

いろんな団体さんも一緒に名を連ねております。

長崎新聞のニュースを代表して貼り付けておきたいと思います。


こちらの動画ニュースは削除されたら見れなくなるのでお早めに〜!

・NHKの報道
石木ダム 工事反対の抗議文|NHK 長崎県のニュース https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20200708/5030008275.html

・KTNの報道
KTNテレビ長崎 石木ダム工事をめぐり長崎県と反対住民の対立続く…本体工事の着工は? http://www.ktn.co.jp/news/20200708007/?fbclid=IwAR14bj4db_o6gJFacpPw8jwOULUENTj1q4cdZhLTRWkaRiSYJ_2UHhaUnjA; #ktn_tvnagasaki

石木ダムやIR促進?いま?

佐世保市長の朝長氏は、昨日(6月1日)中村知事に30項目の要望書を手渡したそうです。

その最重要項目が石木ダムとIRとは・・・
今に始まったことではありませんが。

コロナと世界中が闘っているとき、佐世保でも、いつ第二波、第三波がやってくるかわからない。その時に備えて今やるべきことはたくさんあるはず。その時に備えて確保しておかねばならない財政問題もあるはず。

なのに、IRですか?
コロナによる感染拡大で経営に大打撃を受けたカジノ大手のラスベガス・サンズが、日本進出からの撤退を表明したばかりですが・・・そんなの関係ない?

企業は現状把握と適切な予測に基づき柔軟に、計画を急いだり遅らせたり中止したりしますが、行政は・・・思考を停止して引かれたレールの上をただ走り続けるのみ・・・ですか?

要望する市長も市長ですが、それに対する知事の答えにもビックリです。

石木ダムについて、「できれば本年度中に本体工事に着工したい」と!

ほんの10日前。
知事は、県内7団体から、不要不急の石木ダム工事の中断と、石木ダム事業費をコロナ対策費に回してほしいとの要望書(20200522 知事への工事中断要請 7団体より)を受け取ったはずですが、

それに対する返事も出さぬまま、「本年度中に本体工事を着工したい」とは・・・。
いつものように県民の声は無視ですか。。

コロナは多くの命を奪い、仕事を奪い、人々を家に閉じ込め、経済的に困窮させ、世界中に不安や恐怖や誹謗中傷をまき散らしました。

でも、少し落ち着きを取り戻すと、在宅勤務が可能になったり、満員電車が緩和されたり、学校に行く楽しさを感じたり、仕事する喜びを感じたり、子どもたちとゆっくり過ごす時間を手に入れたり・・・忘れていた小さな幸せを思い出すこともあったでしょう。

また、自分にとって本当に大切なのものは何だったのか、あらためて気づかされた、という人も少なくないようです。

今年は、こうばるのホタルに感動したという声が例年以上に、あちこちから聞こえてきます。

こうばるまで足を運べない方のために、鴨川英二さんによる映像詩「石木のホタル」をご紹介します。

https://www.facebook.com/eiji.kamogawa

上をクリックすると、鴨川さんのFacebookページに飛びますので、
5月29日のところをご覧ください。

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どの言葉よりも美しい世界がそこにはありました
映像なんかよりも何百倍も美しい世界
「失ってはいけない風景」
命を削りこの場所で子孫を残そうとする
こうばるのホタルです

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その言葉と映像に圧倒されながら、私には
ホタルの輝きと、こうばるの人々の笑顔が重なります。

県、石木ダム完成3年延期、決定

石木ダム完成 県が3年延期決定

川棚町に建設が進められている石木ダムについて、長崎県は県から諮問を受けた「県公共事業評価監視委員会」の意見書を踏まえ、ダムの完成時期を3年延期し、令和7年度に見直す方針を正式に決定しました。

長崎県と佐世保市が川棚町で建設を進めている石木ダムをめぐっては、建設に反対する住民らによる座り込みの影響などで、ダムに水没する県道の付け替え工事に遅れが出ています。

このため、県はダムの完成時期を3年延期し、令和7年度に見直す方針を有識者らによる「県公共事業評価監視委員会」で説明し、治水の面から事業の再評価を行った結果、「継続すべき」とした対応方針案を示しました。

これに対し、委員会は今月13日、この方針案を認める意見書を中村知事に手渡しています。

そして、県は27日、この意見書の内容を踏まえてダムの完成時期を3年延期し、令和7年度に見直す方針を正式に決定しました。

これについて、県河川課は「近年、災害が甚大化している。事業推進を目指すためにも、地元住民の理解を得る努力を続けたい」と話しています。

石木ダムをめぐっては、県の収用委員会がダム建設に必要なすべての用地を強制的に収用できるようにする裁決を下し、すでに明け渡し期限を過ぎていて、県は、強制的な家屋の撤去などを伴う行政代執行の手続きに入れるようになっています。

工期延長のための再評価

今日は長崎県公共事業評価監視委員会を傍聴してきました。
テーマは石木ダム事業の再評価です。

今回の再評価は通常(5年ごと)のものではなく、「工期延長」がテーマの再評価です。

工期変更の理由は、付替道路工事の遅れで、それが本体工事の遅れに繋がり、令和4年=2022年の完成は難しい、令和7年=2025年に延期したいとのこと。
それ以外の説明、ダムの目的や概要、代替案についての説明は、ほぼ前回と同じでした。

そうなのです。反対意見は出ませんでした。
質問は出たのですが、それに対する答えの後が続きません。

例えば、

Q:100年に1回の降雨量はどのように計算するのですか?
A:過去〇〇年間の資料を基に算出したら、3時間雨量が〇〇mm、24時間雨量が〇〇mmになり…

と結果の説明だけで終わり、それについての再質問はありません。

また、複数の委員が、想定外の雨が降った場合のことを質問しましたが…

Q:100年に1回の雨よりもひどい豪雨が起きた場合大丈夫なのか?
Q:昨年の豪雨で愛媛の肱川ではダムからの放流で大きな被害があった。愛媛のダムと石木ダムはどう違うのか?

それに対する答えは、

A:石木ダムは野村ダムと違ってゲートがついていない。計画以上の雨が降っても、溢れるのは降った雨の量だけ。流入量以上の水は流さないので大丈夫。
A:また、ダムから溢れそうな場合は、分かった時点ですぐ町に連絡し、サイレンその他で周知するので、避難の時間が確保でき、被害が軽減できる。

など楽観的なお話ばかり。

しかし、それらの回答に反論するには、やはりダムの構造や防災に詳しい方でないと難しいでしょう。弁護士さんや保育士さん、環境化学の専門家の方々では・・・。

委員の中には経済の専門家もいて、費用対効果について、こんな質問がありました。

Q:「流水の正常な機能の維持に対する便益」とは?どうやって算出するのか?

(お!いいところ突いてくださった!と思ったのですが)

A:国が出しているマニュアルに沿って算出している。そこには、これまでに「流水の正常な機能の維持」のために投資した金額を便益として出すように書かれているから、それに従って計算した。

との答えを聞いて、それで終わってしまいました。
その投資について、いつ、どんなことをしたのか知りたいとは思われなかったのでしょうか・・・

そんなこんなで、わずか1時間半ほどで審議終了。
対応方針は原案通り「事業継続」となりました。
あ~あ。出るのはため息ばかり・・・ではありません!

1つだけ、嬉しい、重要なやり取りがありました!

委員長:利水についての再評価は、事業主体の佐世保市でやるんですよね?いつ頃予定されているんですか?

河川課:いつ頃されるか我々の方では把握していません。

委員長:やることはやるんですよね?

河川課:当然、適切に、今後実施されると思います。

さあ、いよいよ舞台は佐世保市に移ります。佐世保市は前回(2015年)の工期延長の際、あれこれ言い訳を並べて再評価を拒み、実施しませんでした。今回はもうその手は使えません。

今度こそ、正々堂々と再評価を行ってください。私たち市民の前で。

 

工期延長、知事は知っていた?

石木ダムの工期延長を県が検討していることが明らかになった。

それはそうでしょう。まだ本体工事には1mmも手を付けていない状況で、2022年度に完成するはずがない。いずれは延期を持ち出してくるだろう…とは誰もが予想していたことです。

でも、なぜ今?しかも急に?

その工期延長を諮問する公共事業評価監視委員会は9月30日に開かれるそうで、その委員会の日程が公表されたのは、9月20日でした。http://www.pref.nagasaki.jp/press-contents/406313/

つまり、地権者と面会をした翌日です。面会直後に知事はなんと言っていたか。もう一度思い出してみましょう。

そう。「3年後の完成予定を先延ばしせず」と言っています。なぜ、知事はそのように発言したのでしょう?

考えられることは3つ。
①工期延長することは知っていたけど、あえて否定した。
②工期延長することを忘れていた。
③工期延長することを知らなかった。

①ならば、中村知事は県民に嘘をついたってこと?

②ならば、そんな重要なことを忘れる?なんて県民としては知事の体調が心配です。

19日の記者会見での知事の発言には、確かにだれもが驚きました。
下の画面右上のテロップにあるように、

小学生からお年寄りまで、みんなが「石木ダムの建設中止」を求め、「こうばるに住み続けたい」と訴え、

この思いをどうか受け止めてくださいと、少女は涙ながらに語り、

最後は住民全員が「知事!お願いします!」と深々と頭を下げたのに、

直後の記者会見で、知事は、

こう語った。

このテレビを見て、数人の方からお電話を頂きました。「中村知事は鬼だ!」と言う方もいましたが、「知事はもう思考停止だね」「これじゃあ、馬の耳に念仏だ」「体調、大丈夫なの?」の声まで聞こえてきました。

そういった中で、今回の工期延長問題。

工期延長について知事が本当に忘れていたのだとすれば、記憶力というか認知機能というか体調面が心配されますねー

しかし、もう1つ、③のケースも考えられます。知事には内緒で土木部河川課内部で勝手に進めていたというケース。

まさかとは思いますが…

https://mainichi.jp/articles/20190920/ddl/k42/040/263000c
毎日新聞2019年9月20日地方版の記事<「私たちは住み続ける」5年ぶり知事と面会 >の最後に、このように書かれていました。

中村知事は面談終了後、記者団に対し、「(ダムの)事業認定を白紙に戻すことはできないが、将来について話し合いの場が設けられれば」と今後も住民と話し合いの場を持つ意向を示したが、県河川課は「次回以降の話し合いについては未定」としている。

知事と担当職員の間には微妙な違いがあるような無いような・・・(-.-)

知事の耳は不思議な耳

はあ?!

「石木ダム建設を進める必要があると改めて感じた」

え?こうばる住民の涙ながらの、あの訴え(ここにダムを造らないで!)を聞いた直後に、こんなことを言う?

もしや知事のお耳は私みたいに難聴気味?いやいや、記者の質問には違和感なく答えておられたので、そのような気配はありません。

19日の面談のどこでそんな誤解?が生まれたのか、振り返ってみましょう。

 

4歳から92歳まで川原地区に住む約50人が知事と向かい合い、それぞれの思いを心を込めて訴えました。

その一部始終は後日、YouTubeで公開されますし、このブログにおいても紹介いたしますが、今はTVニュースで報道された内容と写真をお借りして、再現してみます。


トップバッターの松本好央さん(44)は、自分が生まれた年に石木ダム事業が採択され、小学2年生の時に機動隊が押し寄せ強制測量が行われたときの恐怖が忘れられません。「自分の子どもたちにはそんな思いをさせたくない。自分たちは何も悪いことはしていない。ここに住み続けたいだけ。知事の英断を!」と訴えました。

その娘の晏奈(はるな)さんは、高校2年生。


「家族で田植えをしたり、ひいばあちゃんと畑で野菜を作ったり、兄弟とホタルや魚を捕まえて遊んだり」と日常の暮らしを紹介し、「そんな暮らしや、帰る場所がなくなるなんて考えたくもありません」と涙を流し、語り終えると、そのメッセージが綴られた手紙を、知事に手渡しました。

続いて、その晏奈さんのひいおばあちゃんもマイクを握りました。


今もダム小屋に通っている松本マツさん(92)は、「小屋の窓からは、山が崩れ、ブルドーザーが動き回るのが見えて、悲しい。この年になってどこへ行けと言わるっとですかねぇ。 私は殺されてもいいので、一日も早くダム建設をやめて下さい」と嘆願しました。


小学3年生の炭谷沙桜(さお)ちゃんは、自分で書いたメッセージを読み上げるけれど、泣き声になってしまい、なかなか聞き取れない。それでも、お父さんに励まされ、家族に見守られながら、最後まで読み終えました。


沙桜ちゃんのお父さんである炭谷潤一さん(38)は、「強制的に土地を奪おうというのはおかしい。これは人道上の問題だ。私は家族と川原の人たち、こうばるというコミュニティーを全力で守ります!絶対に手を触れさせません」と断言しました。


石丸勇さんは覚書(今回は調査だけ。地元の同意が得られなければダム建設はしない、と当時の知事が住民に約束した文書)について触れ、「約束を守るのは当たり前のこと。それを無視して工事を強行している。最初から私たちを騙そうとしていたのか?」と不信感を率直に伝えました。


岩下和雄さん(72)は、利水・治水の両面から石木ダムの必要性が失われていることを具体的なデータを示して指摘。特に佐世保の水需要について真実を知った上でダムが必要と言っているのかと質しました。


それに対して知事は、「佐世保の水需要予測はルールに則って行われている。水不足は依然解消されていない」と答えました。

岩下さんは、「そのような嘘の報告を鵜呑みにしないで、真実を知ろうとしてください」と述べ、最後に、「知事、どうか、この事業を見直し、取り消しを行って頂くようお願いします。(それができるのは)知事だけしかありません」と呼びかけ、全員が起立し、「よろしくお願いします!」と大きな声で訴え、深々とお辞儀をしたそうです。

面会が終わってロビーに出てきた皆さんの表情はとても明るかったので、今日の面談の成功を信じつつ帰途についたのですが…

夕方のニュースを見て、びっくり。えっ‼ 嘘でしょ?


皆さんは、「一刻も早く中止して!」と言ったはずなのに…


どうしてそうなるの?わけがわかりません!

知事は激務のため、耳のどこかがおかしくなってしまったのでしょうか?あるいは耳から脳への回路がどこかショートしてるとか?

でないと、ダム建設の見直しをという訴えを聞いた直後に、「事業を進めていく必要があるということを改めて感じた」なんて、不思議過ぎます。

それとも、2時間半も、一生懸命聞いていた振りをしていただけ?

あるいは、聞いていたけど何も残らなかった?地権者の言葉は脳が着信拒否するように設定されてしまってるとか?

いずれにしても「こりゃダメだー!」
次期知事は耳の良い(県民の声をしっかり聞き取れる)方になってもらわなくては!ですね~ (*_*;

それとも、有能な耳のお医者さん、どなたかご存じありませんか? (^.^)

県予算案に石木ダム本体工事費計上!

昨日の長崎新聞一面トップ記事は長崎県の新年度予算案でした。

私としては、まず小見出しの「石木ダム本体工事費計上」に目が行き、なに?!と思ってしまったのですが、まずは冷静に、大見出し「人口減対策に230億円」から見ていきましょう。

人口減対策にお金をかけるのは、多くの県民の納得するところでしょう。
なにしろ総務省発表によると、人口移動調査で出ていく人の多いランキングで、都道府県で長崎県は第6位、市町村レベルでは長崎市はなんと第1位という結果だったのですから。

しかし、その230億円の中身がよく見えてきません。
雇用創出に繋がる事業拡充や創業、事業継承などの補助として2億2300万円を計上しているそうですが、他にどんな施策があるのかな?
それは、24面に分かりやすく書かれていました。

しかし、ここに挙げられた人口減少対策費を合計しても、1億8000万円にしかなりません。先ほどの雇用創出費と合わせても4億円ほど。
う~ん、よくわかりませんね~。

それに比べて公共事業費の多いこと!
石木ダムだけで19億円ですよ。
カジノ関連にも1億円以上。
ダムやカジノに力を入れようとする県に若者が住みたいと思うでしょうかね~
知事をはじめとする県政に関わるエライ方々の感覚がわかりませんね~

こちらに、その大型公共事業についての詳細記事がありました。

一面記事の小見出しにもあったように、2019年度に初めて石木ダム本体工事費を計上しようとしています。

その理由は、完成年度として2022年度を目指しているからとのことですが、現地権者の所有する用地取得の見通しは何もない!というのにです。
有効な対策が打ち出せなくても構わない、決めたことは強行するのみ!というお考えなのでしょうか?

つまり、いよいよ収用裁決→強制収用→行政代執行に向かうつもりでしょうか?
それは県民が許さないでしょう。
今でも県民の半数が石木ダムについて「わからない」と答え、反対が3割、賛成はわずか2割です。(2018年1月長崎新聞社による県民アンケート結果)

 

一面記事に書かれているように、この予算案を実施するには、歳入不足のため基金を156億円も取り崩さねばならない。そうすると、基金残高は17億円まで減少するそうです。

これほどの財政難の中、19億円も石木ダム事業に投入してもいいのでしょうか?
長崎県民の皆さん、石木ダム事業のこと、そろそろ本気で考えてみませんか?