収用委員会、場所を変えて強行

今日は7回目となる収用委員会の日。

会場は長崎振興局の2階会議室。

会議室前には朝から地権者や支援者たちが集まっていました。

下で待機する収用委員たち。

一度だけ会長たち数名が階段の途中までやってきて、

「委員会を開催させてください」「補償に関する意見を聞かせてください」と懇願。

もちろん通すはずもなく、数分で諦めて下りて行きました。

そして、10時過ぎ、委員の入場を妨害され審理が開けないとして、

「午前の会議は中止します」「午後は予定通り」と言い残し去って行きました。

 

そして2時間半後、再び現れた県職員を見下ろしていたら・・・

 

一人にこやかな表情の職員が・・・。そして何人もの地権者が声をかけます。

「あんたには苦しめられたけんねー、黙って行ったらいかんよ。一緒に飲もうでー」

「もうすぐ桜も咲くけんで」

「いやー、静かに行かせてくださいよ」

地権者と軽口をたたき合っているのは、石木ダム建設事務所長の古川氏。

6年間も所長を務め、この春定年退職する彼を温かく追い出そうとする地権者の皆さん。

 

心の中がほんわかしてきたところへ、

収用委員会から突然、会場変更の通告。

2〜3人の職員以外は、古川所長も含め皆、引き揚げていきました。

なるほどね〜

そういう手があったんですね〜

どうしたら会場に入れるか?

ここでと言っておいて、離れた場所に急きょ変更する。

反対派が駆けつけても、その時すでに遅し。委員は会場入りしてしまってる。

とこういうシナリオだったんですね〜

怒って詰め寄る地権者たち。

妨害される以上仕方がないと説明する職員。

 

確かにそうですよ。

妨害していますよ。収用委員会が開かれないように。

でも、それは当然でしょ?

「審理」の開催は家屋の収用につながるのですから。

審理は収用が前提で、その補償額と明渡し時期を決めるためのものですから。

地権者が協力できるわけないじゃありませんか。

 

私たちは職員の方々に恨みはないのです。

でも、協力はできないのです。

必要のないダムのために土地を奪うような行政の横暴は許せないからです。

 

地権者の女性たちが2人の職員を取り囲んで訴えていました。

うったちはね、安心して暮らしたかと。

お金は何も要らんと。

少ない年金でゆっくり暮らしたいだけ。

あんたは何年生まれね?昭和46年?

あんたの人生以上の長い間、うったちはこがん闘いば続けとっとよ。

自分たちの生活を守るために。

そうやって闘いを続けながら、何人死んでいったか知らんやろ?

 

一職員に言ったところで何がどうなるものでもないのはわかっている。

わかっているけれど、言わずにはおれない想いが、彼に伝わったでしょうか?

無表情だったけれど、たぶん心に刺さったはず・・と思いたい。

この地権者の思いを少しでも理解して、何らかの形で知事に伝えてほしい。

直接伝えてほしい。

 

地権者の妨害をどうかわすか、防ぐか、なんてことを考える前に、

なぜ地権者がここまで妨害を続けるのか、

その意味をまず考えるべき!

 

結局今日は、地権者欠席のまま審理は開かれ、県側は、2世帯の家屋の明渡補償額を提示。

裁決から180日以内に家屋を明け渡すよう求めたそうです。

 

 

収用委員会 第6回目も開けず 

昨年10月以降、今日で6回目の収用委員会。

今日は、午前と午後、2回の審理が予定されていました。

第1回目、午前の攻防。

いつものように、収用委員会側の「審理を開かせてください」というお願いと、

地権者側の「公平中立でない収用委員会は認められない」という応酬が続きました。

そのうちに・・・

 

地権者側:必要ないダムのために土地を収用する委員会を開かせるわけにはいかない!

委員会側:ダムの必要性に関しては私たちが判断することではありません。
     私たちは補償に関して判断するのが任務なのです。
     補償に関する皆さんの意見を聞かせてください。

地権者:補償は要らん!

支援者:あなたたちは事業認定の判断が正しかったかどうか検討する権限を持っているはず。
    その権限を放棄している。

委員:そんな権限は持っていません。しっかり勉強してから言ってください

 

この一言が火を付けました。

「今何て言った!」「誰が言うた?」と大騒ぎ。

会長は何度も冷静になって下さいと言ったけれど、皆の怒りはおさまりません。

結局、委員たちは退散。午前の審理は中止となりました。

 

確かに収用委員会の任務は、補償額や明渡し時期を決めることが主な任務であって、

事業の必要性を判断するのは事業認定庁の役目。

土地収用法第63条の3にも、このように書かれています。

起業者、土地所有者及び関係人は、事業の認定に対する不服に関する事項その他の事項であつて、収用委員会の審理と関係がないものを前二項の規定による意見書に記載し、又は収用委員会の審理と関係がない事項について口頭で意見を述べることができない。

つまり、「事業の認定に対する不服」は「収用委員会の審理と関係がないもの」と位置付けられています。

だから、委員側の認識が間違っているわけではありません。

間違っていたのは認定庁であり、悪いのは土地収用法という制度です。

収用委員にその矛先を向けるのは気の毒な気もします。

しかし、言い方というものがあります。

その法律に関して自分たちの認識が正しいからと言って、見下したような言い方は如何なものか?

同第52条の3には、このように書かれています。

委員及び予備委員は、法律、経済又は行政に関してすぐれた経験と知識を有し、公共の福祉に関し公正な判断をすることができる者のうちから、都道府県の議会の同意を得て、都道府県知事が任命する。

つまり、委員は「公共の福祉に関し公正な判断をすることができる者」でなければならないと。

委員の皆さんが本当に公共の福祉に関し公正な判断ができる方なら、石木ダムが公益性の高いものだとは言えないことがおわかりのはず。

わかっていて、所有者の土地を取り上げる裁決を下すなら、人として正しいとは思えません。

わかっていないなら、「公共の福祉に関し公正な判断をすることができる者」ではないのか、

石木ダムについて不勉強なのか、そのどちらかでしょう。

つまり、委員の皆さんも私たちを見下すような資格はないと思います。

 

ともあれ、9時半には午前の審理が中止となり、午後までの空き時間を使って、

県庁へ抗議に行くことになりました。

手に手にプラカードや横断幕を持っての行進です。

曇りの予報に反して、いい天気!

阻止もできたし、皆さん笑顔です。

県庁の入り口にはランタン祭りの大きなオブジェがお出迎え。

横断幕がよく似あいますね〜

玄関前で1時間ほど座り込み。

石木ダム反対、強制収用反対の意思表示をして、再び出島会館へ戻りました。

 

12時半前、再び委員たちがやってきて押し問答。

公正な判断をしようとするなら事業認定書など、必要な書類をきちんと準備して臨むべき、

というような話の流れの中で・・・

支援者:事業認定書も持って来てないじゃないか。

委員:まずは開けて頂かないと、書類を持ってくるもクソもないわけですよ。

地権者側:クソ?! それが県民に言う言葉か! 

再び怒りに包まれ、委員たちは、またもや早々に引き揚げ・・・

職員が、いつもの張り紙をペタリ。

これにて今日は落着です。

それにしても、会長以外の委員の方々の発言には首を傾げます。

有識者としての品格が欠けているのか、

それともあえて地権者側を怒らせたいのか?とさえ思ってしまいます。

 

さて、今日で6回目となった収用委員会について、少し整理をしてみたいと思います。

これまでの審理の対象となっているのは「27長収第1号〜7号」と称される事件で、

その内容は、石木ダム建設工事とこれに伴う県道、町道、及び農業用道路付替工事に伴う

約3万㎡の土地や家屋です。

その裁決を申請したのは長崎県と佐世保市で、これまでの経過はこうです。

 

申請された日:平成27年7月8日

受理された日:生成27年7月14日

審理:第1回 27年10月7日 1号・2号事件 川棚中央公民館にて 阻止

   第2回 27年10月9日 3号・4号事件 川棚中央公民館にて 阻止

   第3回 27年11月18日 5号・6号事件 出島交流会館にて 起業者のみ実施

   第4回 27年12月14日 7号事件   出島交流会館にて  阻止

   第5回 28年1月14日  5号・6号事件  長崎振興局にて  阻止

   第6回 28年2月17日 1・2・3・4・7号事件 出島交流会館にて 阻止

 

つまり、7つの各事件について、委員会としては2回ずつ審理を予定した。

が、いずれも地権者側の阻止を受け、審理ができなかった。

さあ、これからどうなるのでしょう?

知事はどうするのでしょう?

工事も進まない。

収用委員会も進まない。

公務執行妨害で逮捕する?

それはできないでしょう。

なぜなら、大義はこちらにあるからです。

地権者の人権を踏みにじっても良いほどの大義が石木ダムには無いから。

 

最善の解決策は、一日も早く中止すること。

そうしたら、土建屋行政との悪名高い長崎県がイメージチェンジできるでしょう。

中村知事は勇気ある知事として、その名が長崎県史に残るでしょう。

そして、私たちはお金を出し合って、知事の銅像を建てるかも?・・・           

 

 

収用委員会、中止!

あれれ・・?

がら〜ん!  今回は受付会場の準備が何もできていません。

前回は、

こんなでしたよね。椅子やテーブルでバリケードまで作って・・・

今回は受付のテーブルさえ用意されていない。。。

12時半を過ぎた頃でしょうか(時間の確認はできていませんが)、

ようやく収用委員ご一行が事務局(県職員)と共にやってきました。

道を開けてください、通してください、邪魔をしないでくださいと職員が声をかけても、

みんな背中を向けて応じません。

委員の一人が、そんな地権者たちの写真を撮ろうとしました。

支援者の一人が条例違反だと制すると、「そっちも撮っているじゃないか。それにそっちは公務を邪魔している。公務執行妨害だぞ」と脅すような口調でした。

しかし、委員も事務局も、ものの5分ほどで諦め、引き揚げていきました。

そして、これまたすぐに職員がやってきて「本日の審理は中止となりました」の紙を貼っていきました。

 

会場の外で記者団に囲まれた戸田会長は、質問に対し、

「今日の結果は残念だ。今後の対応はまた委員の皆さんと話し合って検討する」と答えていました。

他の委員の皆さんからは、「阻止行動は違法だ!」「なぜこんなことが許されるのだ?」「我々は公務をおこなわねばならない」など怒りに満ちた発言も聞こえてきました。

 

委員が立ち去った後、記者団は、その答えを求めるように、今度は地権者にマイクを向けました。

地権者のSさんは、こう答えました。

 

既に田畑の一部がが収用された

強制収用が現実のものとなってしまった

この委員会は公平公正ではなかった

審理が進めば新たな土地も家も奪われてしまう

それを止めるには、収用委員会を開かせないこと

我々は地権者として、その意思表示をしていくしかない

我々は土地を守り、地域を守る

それは我々の権利であり、それを収用委員にもわかってほしい

しかし、委員は聞く耳を持たない

だから背中を向けた

無言の抗議だ

それが我々の主張だ

 

この言葉を、収用委員会委員の皆様に届けたい。

少しは地権者の思いを理解して頂けるはず。

と思うのは甘いかな〜  

 

 

 

公開が原則の収用委員会にバリケード?

今日は先月に続き3回目の収用委員会の日です。

が、事務局の県は、会場をこれまでの川棚町から長崎市に移しました。

そして審理についても傍聴を認めない非公開とする(マスコミには公開)とのことで、

地権者をはじめ私たち支援者も抗議にやってきました。

委員会は13:30からです。

私たちは11:30から、3ヶ所の出入り口前で抗議の意思表示をしていましたが、

いつまでたっても職員も委員も現れないので、会場前に行ってみると・・・

入口には鍵がかかっていて、張り紙が。

傍聴人を報道関係者のみに制限しています。その他の方は傍聴することができません」と。

そして、中を覗いてみると・・・

えー!正面の入口は塞ぎ、テーブルでバリケード?

左手の受付部分もテーブルとイスとホワイトボードなどを全部紐で縛って固定して、

人が1人ずつ入れる程度の隙間を作っています。

こんな準備をするために、県職員は私たちよりも先に来ていたんですね〜

1時になり、今日の審理の対象となっている土地所有者やマスコミの入場の受付が開始されると、

みんな一斉に中に入り、抗議しました。

・委員はあくまでも公正中立であるべき。

・起業者寄りの委員による審理は許されない。

・非公正な収用委員会は認められない。

・新たに真っ当な委員を選び直して、それから審理をするべき。今日は中止せよ。

と口々に訴えましたが、担当職員はそれには答えず、

「〇〇さん、いらっしゃいますかー」と、対象地権者の名前を呼んだり、マスコミの入室を促したり、

「関係者以外は退室してください」と繰り返し、ますます地権者の怒りを買うばかり。

中には「収用委員会は中立公正です」と開き直る職員もいました。

「本当に中立だと思うんですか?心からそう思うんですか?」と問うと、黙ってしまいましたが。

 

また、そんなやりとりを傍で聞いている職員の中には、

   

ずっと下を向いている人もいました。

県民のために尽くしたいと公務員になったのに、県民から激しい抗議を受け、

辛い思いをなさっていたのかな・・と、勝手に想像してしまいました。

 

結局、13:30、地権者が欠席のまま予定通り収用委員会は開かれました。

(いつのまに委員は入室できたのでしょう?この会場には秘密の通路でもあるのか?それとも委員も朝から既に入っていたとか…?)

 

夕方のTVニュースによると、

県側は、強制収用の申請に至った経緯を説明し、委員からは土地の現状以外に質問もなかったとのこと。

そして、来年もう1度今回の土地についての委員会を開き、地権者の意見を聞くことになったようです。

 

委員たちが退室した後も、会長と話したい、会長の見解を聞きたいと私たちは待ち続け、

会長が出てくると、地権者のSさんが詰め寄り、マスコミも一斉に二人を取り囲みました。

公正中立な審理をする責任と権限が委員長にはあるはず」とSさん。

「私にはそんなに権限はないが、審理は中立にやっている。地権者の方の話も聞きたいと思っている」

 と、戸田会長。そして、

個人的には、このまま進めていいのかなという思いもある」と、辛そうな表情で語っていました。

 

その言葉に嘘は無い(でも、立場上進めるしかないと苦悩している?)ように私は感じたのですが、

「委員長はうまいなあ。ああやってあの場をおさめて、地権者を納得させるんだから」

と言う人もいて・・・その本音は会長と神のみぞ知る?

 

でも、このように権力にものを言わせた理不尽なやり方をトップが強行すれば、

下で働く職員や、選ばれた委員の、心ある皆さんは、本当に辛いものがあるでしょうね〜

 

いかん、いかん。

最近はどうも相手への同情心が湧いてきて困るなぁ。

 

 

18日の収用委員会は報道関係者以外は傍聴お断り

11月18日には、長崎県収用委員会が開催され、2件の土地の収用について審理される予定ですが、

それに関して同委員会の事務局からこのようなお知らせが長崎県のサイトにアップされました。
(赤字は私の編集によるもの)

11月9日付
http://www.pref.nagasaki.jp/object/kenkaranooshirase/oshirase/217104.html

長崎県収用委員会の審理の傍聴に関する規則第3条の規定に基づき、長崎県収用委員会は、次の事件に関する審理について、審理の傍聴人を報道関係者のみに制限しますのでお知らせします。

27長収第1号乃至第7号
二級河川川棚川水系石木ダム建設工事並びにこれに伴う県道、町道及び農業用道路付替工事に係る土地収用事件

 

えっ!報道関係者だけしか傍聴できない?収用委員会は公開が原則のはずなのに・・・

と思っていたら、翌日、このような発表がありました。

11月10日付 報道機関向けのお知らせ
http://www.pref.nagasaki.jp/press-contents/217103/

なお、今回の審理については、公正かつ円滑な審理指揮を確保するため、傍聴人は報道関係者のみに限らせて頂くほか、下記2のとおり対応させて頂くことにしております。
取材に際しましては、下記3の事項にご留意下さるようお願いします。

と書かれており、下記3とはこのようなものでした。

3.留意事項

(1)審理の傍聴は報道関係者のみに制限させて頂いています。

(2)報道関係者には記者席を用意しておりますが、会場の関係上、数が限られますので、各社最小限の人数でお願いします。

(3)審理会場には報道関係者用の受付を準備しております。係員に腕章又は社員証を提示の上、受付名簿に記名(記名に代えて名刺の提出でも可)頂き、審理会場内にお進み下さい。

(4)審理会場内の撮影は、27長収第5号事件の審理開始前2分間に限り冒頭撮影を認めています。審理指揮者の指示に従って、撮影を開始し、又は終了して下さい。(27長収第6号事件は審理開始前の冒頭撮影はありません。)

  なお、冒頭撮影に際しては、出席者のプライバシーについて十分ご配慮して下さい。

(5)上記(4)の冒頭撮影を除くほか、審理等の会場では、録音、録画、撮影及び放送は禁止されています。

(6)収用委員会は合議制の行政委員会でありますので、収用委員個人への取材はご遠慮願います

つまり、収用委員をガードしつつ、報道人はしっかりチェックし、録音録画も禁止された、極めて非公開に近いやり方です。

なぜそのように神経質になるのかというと、「公正かつ円滑な審理指揮を確保するため」だそうです。

「公正な審理」は誰もが望むところです。私たちも同じです。

しかし、今の委員会メンバーではそれは望めません。

この記事は記憶に新しいところですが、

「事務局と一丸となってスクラム組んでやっていく」と言った新委員が更迭されたという話は聞きません。

このような非中立な、起業者に偏った委員による審理など認めるわけにはいきません。

委員を選任し直して、本当に公正中立なメンバーのもとで会議を開くべきです。

また、ブルドーザーか機動隊を導入してでも強制収用しろと言った前委員のもとで決められた収用裁決は無効であり、

前回の審理も、新メンバーのもとでやり直してほしいと私たちは思っています。

 

そのような当然の要望も聞き入れてもらえない今の長崎県政に、正義や民主主義はあるのでしょうか?

このまま事務局が描いた通りの委員会が開かれれば、「非公正かつ起業者の意に添った審理」に終わることでしょう。

 

そうすれば、強制収用すべき土地は増えて行き、行き着く先は行政代執行しかないのに・・

それを県は本気でやろうというのでしょうか? 

 

追い詰められているのはどっち?

確認しに来ました。通してください。お願いします。

古川所長とダム事務所職員は何を確認に来たのでしょう?

横断幕で遮られ、背伸びして道の向こうを見ています。

 

明渡し期限は過ぎました。

基本的には更地にしてもらわなければなりません。

まだ収穫物が残っていたら速やかに収穫してください。

これから新たに何かを植え付けるようなことはやめてもらいたい。

お願いします。

 

地権者の皆さんからは何の言葉も返ってこず、

所長たちは早々に引き上げていきました。

 

NBC記者さんの取材に答えて、

手続の流れの中で今の状況があるのだから、

我々としては、更地にして明け渡してほしいと何回もお願いに来るしかない、と語る所長。

(仕事とはいえ、イヤな役目ですね〜)

 

地権者を追いつめているのは県だけど、

県こそが追い詰められている感じ・・・。

自分たちが敷いた線路の先には堅固な壁が立ちはだかっているのが、やっと見えてきて、

進めば進むほどその壁が大きく迫って来る。

そんな不安な眼差しを連想させます。

ブレーキを踏めばいいのに、踏む勇気がない。

そんな勇気の無い者が運転している列車の乗務員も可哀想。

 

一方、座り込みの現場では、こんなメッセージが・・・

ダムより花を・・・・いいなあ〜誰が考えたんだろう?

言葉もいいし、行為がまたいい。

 

花を愛でる心の余裕、中村知事にはきっとないだろう。

 

明渡しにには応じない!

今年8月に強制収用された3世帯の田んぼが、10月30日、明渡し期限を迎えました。

しかし、誰も明渡しには応じていません。

「これからも米を作り続ける」と、口をそろえます。

 

地権者の1人、川原さんの言葉に胸が痛みます。

「権力っていうのはこんなにも一方的なのかね」

「死んでしまえと言われているのと一緒」

無農薬で丹精込めたお米は豊作で、収穫の喜びも一入だったことでしょう。

だからこそ、納得のいく説明もしてもらえず出て行けと言われることが、どんなに悔しいか・・

でも、川原さんは悔しがるだけではない。悲しむだけではない。

 

明け渡すどころか、つい最近、高菜を植えました。

「県への抵抗」の意思表示です。

そして、年内には来年の田植えに備えて稲わらのすき込み作業もおこなう予定。

本当にあっぱれ!ですね。

ぶれない。逃げない。怖気づかない。

 

事業認定を錦の御旗に、土地収用法という最強の武器を手に、県がどんなに攻めてきても、

「こうばる」という城は落とせない。

追い詰めれば追い詰めるほど団結するのです。

 

沖縄県民のように。

 

収用委員会の「公正中立」が揺らいでいる

この記事に誰もがびっくり!

 

同様の記事が、毎日新聞にも読売新聞にも出ていました。

 

石木ダム:県収用委員が不適切発言 建設反対行動に「阻止ならブルドーザー」 /長崎
毎日新聞 2015年10月21日 地方版
http://mainichi.jp/area/nagasaki/news/20151021ddlk42010316000c.html

 県収用委員会の林田悧(さとし)委員(80)が、19日に県庁であった感謝状贈呈式で、石木ダム建設に反対する地元住民らの抗議行動について「阻止されたらブルドーザーを突っ込んで、業者を入れさせないと」などと発言していたことが、県などへの取材で分かった。住民側は「人権を無視した発言だ」と批判している。

 県用地課によると、発言は24日に3年間の任期を終える林田氏に感謝状が贈られた後の懇談であり、林田氏は「機動隊を入れるかどちらか」とも話したという。式には中村法道知事も出席しており、「けが人が出るのはよろしくない」などと応じたという。

 県収用委は知事が任命した弁護士ら7人の委員で構成され、林田氏は元県議。7、9日、ダム用地の強制収用に向けた県の裁決申請を受け、現地調査などを実施しようとしたが住民に阻止され断念した。

 林田氏は毎日新聞の取材に「審理を阻止されたことで少し感情的になってしまった。言い過ぎだった」と話した。一方、地権者の石丸勇さん(66)は「県収用委は公平中立の第三者組織と言うが、事実は全く違う。ついに化けの皮がはがれた」と憤った。【小畑英介、梅田啓祐】

 

公正中立であるべき第三者組織の委員が、中立ではなく、起業者の応援団的人物だったようです。

しかも「ブルドーザーを突っ込んで」やるか「機動隊を入れるか」などとけしかけるなんて…

林田委員とは何者?と思っていたら、調べてくださった方がいて・・

自民党元県議で、現役の土建屋さんとのこと。

「道理でブルドーザーを使いたがる。退任したので堂々と受注するつもりでしょうか」

と、その方は書かれていました。

 

また、長崎県収用委員会では、7人の委員のうち県議OBと県職OBがいるのは問題だと指摘。

東京都や沖縄県の収用委員会には、公務員OBはいません。

http://www.shuyou.metro.tokyo.jp/TOP/30meibo.html

http://www.pref.okinawa.jp/site/doboku/yochi/26869.html

林田委員の後任は、村山一正という方で、この方も元県議会議長です。

 

県は、なぜ公務員繋がりのお仲間を委員にするのでしょう?

お仲間の力で、自分たちの望み通りの裁決をしてもらうため?

それとも、お仲間に仕事を与えてあげるため?

どちらにしても私たち県民にとって大きな不利益です。

 

ま、元公務員でなくても、お仲間ばかりのようですが・・

再任された弁護士が「事務局と一丸となってスクラム組んでやっていく」と言ったというのだから、

お先真っ暗。弁護士にあるまじき発言だし、どうしようもない委員会ですね〜

 

収用委員会またも中止

昨日の収用委員会も中止となりました。

 

 

戸田会長のコメントの全文は長崎県のホームページで見られます。

http://www.pref.nagasaki.jp/press-contents/213886/ 

以下転載。(下線は当方で入れました)

 

石木ダム建設事業に伴う土地収用事件に関する本日の収用委員会の審理が、去る7日に続き、石木ダム建設反対を訴える集団の心無い妨害により、開催できなかったことは、誠に遺憾である。

収用委員会は、土地収用法に基づき、公正、中立な立場で、土地収用に伴う損失補償額等を判断する執行機関で、憲法第29条第3項の正当な補償を実現する機関である。そして、収用委員会は、公共の利益の増進と私有財産の調整を図ることを責務として土地収用法に基づき事務執行しているが、その活動の中でも起業者及び土地所有者等双方に参集頂いて意見聴取を行う審理は土地所有者等の補償等に関する意見陳述の機会を与えるもので、土地所有者等の利益を守る重要な手続きの一つである。

収用委員会の審理開催を妨害する行為は、公共の利益の増進に反するばかりでなく、土地所有者等の意見陳述の機会を奪うことになり、ひいては土地所有者の権利を害するものである

石木ダム事業を巡っては、さまざまな意見があり、根強い反対運動が行われていることは認識しているが、反対運動は社会的に容認される範囲において行われるべきであり、収用委員会の審理の開催を力づくで妨害するような行為は、断じて許されるものではない

今後は、このようなことが二度と生じないよう、節度ある対応を望むものである。

 

平成27年10月9日

長崎県収用委員会会長 戸田 久嗣

 

収用委員会会長のお立場としては正当なコメントだと思いますが、地権者の立場では納得できないでしょう。

下線部分について反論したいと思います。

 

1.「収用委員会は公正、中立な立場」という部分にまず疑問を感じます。

  起業者である県が選んだ委員、そして事務局は県の土木課。

  土地収用法の手続き全てがそう。

  行政の行政による行政のための手続き。

  どこが中立なのでしょう?

 

2.「収用委員会の審理開催を妨害する行為は、公共の利益の増進に反する」というのは、事業認定した側の論理です。

  この事業を認定したことが間違いだったと思う人々にとっては、手続が進むことは公共の不利益になると考えます。

  「土地所有者等の意見陳述の機会を奪うことになり、ひいては土地所有者の権利を害する」?

  現在残っている地権者は皆さん、ダム建設に反対しています。

  自分たちの権利を守るために昨日の行為に及んだのです。

 

3.「収用委員会の審理の開催を力づくで妨害するような行為は、断じて許されるものではない」

  確かに力づくの行為は許されないものでしょう。

  しかし、権力という見えない力で、地権者の権利を奪い続けてきたのは県です。

  話し合いの求めにも応じず、県庁に出向いても会わずに逃げ回る知事。

  真に公正な機関が間に立って、起業者と地権者双方の意見をしっかり述べ合う場を設定してくれたら、

  地権者は喜んでその場に行くでしょう。

  そして、堂々と起業者と議論するでしょう。

  そのプロセスの中で、真に有効な治水・利水対策が生まれ、

  県民に喜ばれる公共事業の姿が見えてくるでしょう。

  

  誰が好き好んで妨害行為などやるでしょう?!  

 

 

収用委員会阻止 その心は

今日は川棚町公民館で、石木ダム収用委員会が開かれ、審理が行われる予定でした。

しかし、地権者や支援者は審理を拒否し、開会を阻止しました。

なぜ地権者は阻止したいと思ったのか。

なぜ支援者はそれを応援したのか。

それをお伝えしたいと思います。

 

昨年9月の第1次収用裁決申請を受けて、

昨年12月と今年2月、2回にわたり審理がおこなわれました。

その時は地権者も弁護団も出席して意見を述べました。

しかし、今年6月に出された結論は、起業者(県)の意向通りの裁決でした。

NBCニュースでも解説していたように、この裁決によって、

すでに今年8月、4世帯の農地が強制収用されてしまったのです。

 

そして、地権者の皆さんは悟ったのです。

収用委員に期待した私たちが甘かったと。

真実を伝え、正義を訴えれば、この事業に公益性のないことがわかってもらえるかも…

公益性の無い事業のために強制収用する補償額など決められず、

裁決申請の却下という選択も有り得るのではないか・・・と。

 

そんな期待を嘲笑うかのように、第2次裁決申請が今年7月に出されました。

今回は4世帯の家屋が含まれているのです。

今そこに家族そろって暮らしているのです。

その家を奪おうとする収用委員会を、どうして見過ごすことができるでしょう?

委員会の審理を止め、裁決を阻みたいと思うのは、地権者として当然の願いです。

このように訴える地権者に対し、収用委員会の事務局である用地課の担当者は、

と述べました。

収用委員会とはダムの必要性を論じる場ではないんですよ、

補償金の額などを判断する場なんですよ、と。

収用委員会の戸田会長も同じことを言われました。

おっしゃる通りです。

土地収用法の手続きの中ではそのように定められています。

この法律に則って皆さんはその任務を果たされているわけで、委員の方を責めるつもりはないのです。

 

しかし、では、なぜ県は必要性について説明責任を果たそうとしないのか?

どうして話し合いに応じないのか?

地権者はどこに話し合いの場を求めればいいのか?

この理不尽さ、不誠実さ、無責任さに地権者は怒っているのです。

それをわかってもらうために、委員会審理を阻止せざるを得なかったのです。

 

今日、この部屋は、結局無用となりました。

次回、10月9日に予定されている収用委員会はどうなるのか・・・

また無用になるとわかっていても帳面消しのため、準備するのでしょうか?

委員の皆さんも県職員の皆さんも貴重な時間を浪費させられて、お気の毒です。

 

もっとも、長崎県には浪費という概念は無いのかも・・・

石木ダムのような無駄な事業に莫大な税金を投入しても平気なのですから。

そして、その無駄な事業のために貴重な自然を壊しても平気。

そのために住民の家とふる里を犠牲にしても平気。

 

あまりにも鈍感になっている。

県も議会も県民も。

その鈍感さが地権者の皆さんを追いつめているのです。

もう少し、私たちは、想像力を働かせて考えてみることが必要です。

私がもし地権者だったら、

無駄なダム建設予定地に住む地権者だったら、私に何ができるだろう?

どうすれば、家や田畑を守れるのだろう?と。

 

そうしたら、きっと、

地権者の怒りが、少しだけ伝わってくるのではないでしょうか。