「条例改正」は石木ダム実現のため?

昨日(6/25)午後、佐世保市議会都市整備委員会で【佐世保市上下水道事業経営検討委員会条例】の改正案、いえ、改悪案が提出されました。

●どこが改悪なのか?

第2条の所掌事務の中に「国土交通省所管公共事業の事業評価」を明記したことです。

●何故それが問題なのか?

国土交通省は長引く大型公共事業について、5年に1度の「事業再評価」を義務づけています。かつては必要だった事業でも、時の経過と共に社会情勢の変化により必要性が失われていないか?無駄な事業となっていないか?あるいは技術革新により新たな代替案が生まれていないか?見直し、場合によっては休止や中止の判断をするためです。

しかし、その判断は事業者自身ではなかなか決断が難しいので、その実施要領の中で

「再評価に当たって事業評価監視委員会を設置し、意見を聴き、その意見を尊重するものとする」と義務づけています。

ところが、佐世保市は前々回の再評価からは再評価監視委員会を設置せず、佐世保市上下水道事業経営検討委員会(略称=経営検討委員会)に諮問してきました。

この経営検討委員会は水道ビジョンの策定に大きく関わっていますが、そのビジョンには石木ダムの建設が不可欠で早期完成を目指すことが明記されているのです。

つまり、同委員会に諮問しても、結論は石木ダム事業「継続」しかあり得ない。「休止」や「中止」という選択肢はあり得ない。そんな委員会に諮問することはどう考えてもおかしいし、時間とお金の無駄だと思われます。

そこで私たち市民は、再評価制度の趣旨や目的に沿った評価監視委員会の設置を議会に請願したり、水道局に要請したりしてきました。

結果はいつも拒否でしたが、それでも公開の場で声を届け、行政の手法の間違いを指摘することはできました。

ところが、このように「公共事業の評価は経営検討委員会で審議する」と条例で制定すれば、それが錦の御旗となり、質そうとしても門前払いされます。

こうやって行政は自分たちの都合のいいように事を運んでいくものなんですね。

しかも、残念なことに、この条例案が提示されても、議員の中から異論は出ず、淡々と通過していきました。

佐世保市民として本当に情けなくなりました。

ところで、その経営検討委員会の6/9の議事要旨が水道局のHPに掲載されています。

https://www.city.sasebo.lg.jp/suidokyoku/suisou/documents/gijiyousi.pdf

とんでもない提案です。

どういうことかというと…

水道料金値上げについて水道局は、値上げ幅を2つ提示し、

①58%の値上げ=経営が安定するが市民の負担が大きい。

②28%の値上げ=市民の負担を小さくするため企業債の残高比率を今以上に増やし、上限を収入の600%とまでとする。

と説明しました。

つまり②案は今以上に借金に依存し、将来世代にツケを残そうとするやり方です。今でさえ500%を超えていて、同規模自治体の中では最悪レベルなのに…。

ちなみに長崎市の企業債残高比率はR5年度実績で約103%です。

もちろん、かと言って、58%値上げ案を支持しているわけではありません。無駄な事業費を削って支出を抑えるべきだと言いたいのです。

今回の値上げは、今後10年間に必要となる石木ダム関連事業費321億円を捻出するためでもあるのですから。

財政の健全化を目指すのが経営検討委員会の役目ではないかと思うのですが、このような委員に委ねていては佐世保市水道の未来は不安がいっぱい…

そして、このような委員会に石木ダム事業の再評価を委ねることは、どう考えても許されません!

石木ダムの疑問に答える公開説明会!

ようやく県による公開説明会が実現しました!

県が行なった石木ダム再評価では検証されていない15のポイントがあるとして、それに対する説明を求めたのです。

しかし、なかなか返事はいただけず… 11月に2回目の説明要請。そして、議会でも「市民委員会にきちんと対応すべき」との声が上がり、徐々に交渉が始まり、途中いろんな紆余曲折がありましたが、4月20日、ようやく8ヶ月ぶりに実現したのです。

県側、市民委員会側、双方関係者の実現したいという強い思いと、粘り強い交渉の賜物であり、それを認めた知事や土木部長にも敬意を表します。もちろん、県が県民の疑問に答えるのは、事業者としても行政としても当然のことなのですが…。

当日は報道席も全て埋まりました。

新聞、テレビニュースの見出しの共通点は「11年ぶりに説明会」というフレーズでした。

例えば、

「石木ダム11年ぶりに地元説明会 県は治水の正当性強調」(長崎新聞)

「石木ダム事業で11年ぶり説明会 反対派住民ら参加」(朝日新聞)

「石木ダムの建設巡り 長崎県が11年ぶり地元説明会」(NHK)

「予定地住民は反論『石木ダム建設事業』県が11年ぶりに地元説明会」(NIB)

というように。

メディアも、このような公開説明会を心待ちしていた証でしょうか?
あるいは、県の地元への説明が足りないと感じていた証でしょうか?

NBCだけは少し違っていて、

「石木ダム防災機能に関する地元説明会 計画反対の住民も参加」

というタイトルで、内容も議論の中身にフォーカスして伝えていました。

このニュース映像に写る傍聴者の真剣な表情を見ただけでも、この説明会の意義の大きさが伝わってくるようです。

主催者である県によって議事録or速記録などが公開されることを願いつつ、3時間近くに及んだやりとりの要点をまとめてみます。

<はじめの挨拶>

中尾土木部長:本日はお忙しい中、会場まで足をお運びいただきましてありがとうございます。今日は、「市民による石木ダム再評価監視委員会」からご指摘いただいております技術的疑問点等について、県の方から説明させていただきます。できる限り丁寧な説明に努めてまいりますので、宜しくお願いいたします。

西島市民委員会委員長:本日こうやって対話の場をつくっていただき、ご尽力いただいたお一人お一人の皆様に感謝申し上げます。また、今日は本当に多くの方々にお集まりいただき、ありがとうございます。 石木ダムは50年前の計画ですが、この間にはいろんな社会の変化がありました。技術発展により解決してきた問題もありますが、逆に50年前にはなかった新しい問題というのも起こってきています。それは、水害対策の問題でもあり、まちづくりの問題でもあり、さまざまな人の意見をどのように意思決定に反映させていくかというような民主主義の問題でもあると思っております。今日は技術的問題、難しい問題ではありますが、なるべく分かりやすく、皆さんが置いてけぼりにならないように進行に努めていきたいと思っておりますので、ぜひ宜しくお願いいたします。

<治水について>

その後しばらくやり取りがあり、進行役の西島委員長から「計算できるのであればしていただきたい」として持ち帰りとなりました。

                                                   

● 川棚川水系の計画雨量を算定するのになぜ佐世保の雨量計を使い続けるのか?

● 雨量から流量を算出する「流出計算モデル」の検証は適切になされたのか?

● 山道橋地点と石木ダム地点の洪水ピーク時刻が同一なのはなぜ?

● 計画雨量を算定する際に、昭和42年7月に佐世保で観測された降雨パターンを川棚川水系の全ての地点で一様に当てはめるのは、おかしいのではないか?

●石木川合流地点より上流は1/30、下流では1/100と計画規模が異なるので、1/100の降雨があると上流で氾濫するが、そのことが計画流量に反映されていない。計画流量は過大ではないか?

<地質について>

● 地質の透水性が心配されるが、対策工事に膨大な費用がかかるのではないか?

● 貯水池周辺からの漏水が懸念されるが、大丈夫か?

<費用対効果について>

● ダム完成後の便益は、現在の河川状況を基に算定すべきではないか?

ということで、残った質問事項は次回に持ち越しとなりました。
環境のことや現地こうばるの方からのご質問、そして持ち帰り事項などなど、聴きたいこと、聴くべきこと満載です。
次回も、両者の率直で真摯な議論が聴けますよう、期待しています。
次回日程はこちらです。

    日時=6月1日(日)13:00~16:00
    会場=川棚町中央公民館講堂

時間帯も会場も前回と同じです。

最後になりましたが、この日の主な出席者をご紹介します。

県=中尾土木部長、飯塚土木次長、小川河川課長、岩永企画監、
  森河川課ダム班、村川石木ダム事務所長他数名。
市民委員会=西島委員長(弁護士)、宮本副委員長(元建設省防災課長)、
  今本博健(京都大学名誉教授:河川工学=オンライン参加)、
  公募委員2名、事務局6名

質問者=宮本委員
説明者=岩永企画監
司会進行=森(県側)、西島(市民側)

石木ダム計画の疑問に県が答えます!

県の主催と聞くと、一方的な事業者目線の説明会をイメージする方も多いと思いますが、今回はそうではありません。

「市民による石木ダム再評価委員会」が昨年8月に提出した様々な疑問に、県河川課が8ヶ月も経ちましたが、ようやく真摯に答えようとしています。

市民委員会の専門家が、石木ダムに関する技術的な疑問、ここはどうなっているのか?と具体的に挙げたポイントごとに、丁寧に答える(はず)説明会です。

これまで県は、司法の判断が出ているからもはや議論の段階では無いとか、13世帯には説明を尽くすが、その他の県民にはその必要は無いとして背を向けてきました。それがようやく事業者として、説明責任を果たそうという姿勢を見せてくれました。

民主主義政治としては当たり前のことですが、それがなかなか通用しない今の世の中、県にとっては大きな決断だったと思います。特に石木ダムに関しては事業者よりも推進派議員の圧力が強く、苦労されたのではないかと想像します。

河川課長、土木部長、知事の決断に敬意を表します。

ぜひ市民委員会の質問に説明が尽くされますよう。それは住民・県民への理解に繋がるはずです。

関心とお時間のある県民の方は、ぜひ会場に足をお運びください。誰でも傍聴できます。

日時=4月20日(日)13時~16時
会場=川棚町中央公民館講堂

やる気と覚悟

2月21日午後、市役所4階の会議室では、佐世保市上下水道経営検討委員会委員長が石木ダム再評価に関する答申書を読み上げていましたが、隣室のモニター画面で、その様子を見守りながら、私の中にはモヤモヤとした違和感のようなものが広がっていました。

答申書を読み上げる委員長の声は、時に大きく、時にゆっくり、

想いが溢れる朗読でした。

委員長ご自身が

とおっしゃっていましたが、再評価の答申として、まずそこに違和感を感じます。
答申書:r6tousin.pdf

再評価の趣旨は、長引く公共事業について、かつては必要だったが今はどうなのか?今後の見通しはどうなのか?客観的に事業を検証し対応を判断するためのものです。

その役目を担った委員会なのに、「事業継続」との結論を述べた後に、延々と事業の遅れや、それによる不利益を述べ、やる気がない!と行政を叱咤し、もしもの場合は県に責任を取らせることも示唆する内容でした。

それはまるで石木ダム促進派議員による演説のようでした。

3年ほど前、当時の朝長市長は市議団を率いて何度も県庁を訪ね知事に「政治決断」を迫っていましたし、2年ほど前からは佐世保市選出の県議たちが知事に「団結小屋の行政代執行」を求めたりしていますが、そのシーンを思い出してしまいました。

50年経っても実現しない事業をさらに延長するなんて、その上事業費を5割増とするなんて…一般企業ではあり得ないことが、なぜ公共事業だとあり得るのでしょう?

それは税金や水道料金などの公金で賄われているからですよね。納税者であり水道使用者である私たち市民が石木ダムの利水事業費を支払っている。だから佐世保市民は石木ダム再評価の審議を見守る権利と義務があるはず。なのに、佐世保市はそんな市民を蚊帳の外に追い出して審議を実施しました。

国土交通省の再評価実施要領には「審議方法は、各事業評価監視委員会が決定する」と書かれているので、別室での傍聴を決めたのは委員会自身だと市は言うかもしれませんが、そのような委員を選出したのは市水道局です。いったい誰のための公共事業なのでしょう?

過去の再評価実施状況を見てみると、

このように、以前は再評価の度に評価監視委員会を設置していましたが、

第4回から佐世保市上下水道経営検討委員会に諮問するようになり、傍聴者への公開のあり方が大きく変わってきたのです。

再評価実施要領に、「再評価にあたっては事業評価監視委員会を設置し、その意見を聴き、それを尊重する」とあるのは、長引く公共事業について、このまま事業を続けていくことが妥当かどうかを判断するには、事業者本人や事業者の関係者では客観的な評価ができないからです。行政は一度やると決めたら、なかなか方向転換できない体質?を持っています。だからこそ、第三者機関にしっかり検証検討させ、その判断を尊重させようと決められたのだと思います。

そのことについて私たちは、昨年から議会に請願したり、市長に要請書を提出したりして、まともな第三者委員会の設置を求めてきましたが、全て却下されました。経営検討委員会に諮問するのは全く問題ないとの回答でした。

でも、そうではなかった。やはり、問題だらけだということが、この答申書で明らかになりました。

佐世保市は、水道局に付属する経営検討委員会に諮問するのは今回が最後にすべきです。

同市民委員会からは、経営検討委員会の答申書が提出される前に、経営検討委員会にも佐世保市にも意見書が提出されましたが、それが活かされることは残念ながらありませんでした。

経営検討委員会への意見書  

佐世保市長&水道局長への意見書 



異常だと批判しながら「事業継続」?

佐世保市による石木ダム再評価2回目の委員会審議が2月14日に行なわれました。


今回の注目点は「代替案」と「費用対効果」でしたが、どちらも5年前の再評価と同様に、「石木ダムに代わる代替案は無い」「B/C(費用対便益比)=5.5」として、その結果、石木ダム事業継続という市の対応方針案を妥当と結論づけました。

多くの委員が50年経ってもできない石木ダム、10回も工期延長してきた石木ダム、それを「異常な公共事業」だと指摘しながら、それでも継続するという。その論理が理解できません。

まとめ役の委員長(横山均:県立大教授)は、「茶番」とか「やること自体が無駄」とか「川棚町民がかわいそう」とか・・ところどころ聞こえてくるのですが、声が小さくて全体としては意味不明でした。

内容について少し記しておきます。
資料は、水道局のHPにアップされています。
saihyouka214.pdf

まず、代替案について、市は今回も「石木ダム以外のダム建設、地下水取水、海水淡水化など14項目について検討したが、結果はいずれも不適」という結果。その理由は法的に無理、地形的に無理、コスト的に無理等々。ですが、本当にそうでしょうか?

2022年12月5日の県議会議事録には、奥田土木部長が答弁でこう述べています。

次に、費用対効果=費用対便益=B/Cについてですが、今回も現実を無視した机上の計算により、便益=渇水被害額がめちゃくちゃ大きく算定されています。

信じられます? 確か昨年度の佐世保市水道事業の事業収入は約61億円でしたが、その倍近い被害が発生するなんて?!

その計算式も根拠となるデータも示されていないのに、委員の方々はそれをスルーしてしまわれました。

なぜ、このように被害額が大きくなるのか?

今回の算出根拠となるデータは公開されていないので、過去のデータで見てみましょう。前回のB/C=5.4で、今回とほぼ同じなので参考になるはずです。その資料

https://www.city.sasebo.lg.jp/suidokyoku/suikik/documents/siryouhenn_151-200.pdf

こちらの31p「表-5.10被害額の集計」を見ると、

その根拠は、21pの「表-5.1生活用水の被害額」に示されています。つまり市は、

これではホテルも美容院も銭湯も営業できず被害額が膨れ上がるのは当然ですね。

このようなあり得ない虚構の給水制限率を設定することが大間違いであり、オオボラフキもいいとこですが、なぜそんなことになるのか?

それは、①水需要予測が過大②保有水源は過小に見積もっているからです。

前回再評価時における予測では、

と算定しているので、これでは給水制限が度々発生することになります。

なので、実際には何も渇水被害は起きていません。

石木ダム利水の再評価 第1回

1月21日、佐世保市の最重要課題である石木ダム建設について、再評価審議が行なわれました。

今回は1回目で、水需要予測についての審議でしたが、予想通り、結果はこれまでと変わらず「4万㌧の水源不足」であり、その結果に辿り着くために、随所で水増し手法が駆使されていました。

その本題に入る前に、まず述べておきたいことがあります。
それは、この委員会の公開のあり方でです。

国が定める再評価実施要領には「審議過程の透明性を確保」するよう明記されていますが、佐世保市は別室での傍聴しか認めませんでした。それは何故なのでしょう?県の再評価審議は毎回、同室で傍聴できますし、佐世保も過去はそうでした。前回からこのような異例の形となったのです。

私たち6団体(佐世保市内5団体+公正な再評価を求める市民の会)は、事前に同室での傍聴を求める要請書を提出し、それが叶えられない場合には理由を示してほしいと書いていましたが、回答書には理由についての説明はなく、

とだけ書かれていました。

しかも、審議が行なわれる隣室に通じる廊下には衝立で通行を遮断し、


廊下に通じる傍聴室のドア(左奥)も使えないようテーブルでバリケードという物々しさでした。

なぜ、これほど市民を遠ざけるのでしょう?新聞報道によると、水道局は「委員に自由闊達に意見を出してもらうため」と説明したそうですが、市民がいると自由闊達に意見が言えないと委員がおっしゃっているのでしょうか?

石木ダムの事業費の多くは市民が支払っている水道料金から出ています。その市民に、なぜ水需要が増えるのか、水道局には説明責任があるし、委員の皆さんも、その予測に自信を持って賛同するなら、1人でも多くの市民に聞いてほしいと思われるのではないでしょうか?

私たちは他にも4つほど要請しましたが、その中の1つ「録音録画を認めてほしい」については、「県の再評価に準じて控えさせていただきたい」との回答でした。

県に準じるのなら、傍聴も同室にすべきだし、議事録も公開すべきです。県は再評価の度に議事録を公開してるし、国の実施要領にもそうするよう書かれています。しかし、佐世保市が公開するのは議事要旨だけ。

さて、本題の水需要予測について、まず、資料を掲載しておきます。

これは佐世保市のホームページにもアップされています。

・資料1 isikisaihyouka-1.pdf

・資料2 isikisaihyouka-2.pdf

・議事要旨 gijiyousi.pdf

3時間超に及ぶ委員会で、かなり丁寧な説明が水道局職員からなされ、委員からも多くの質問が出され、そういう意味では県の再評価審議よりも「自由闊達」だったかもしれません。しかし、その結果は、市民感覚とは大きくかけ離れた水増し予測にお墨付きを与えるものとなりました。

例えば、佐世保地区の20年後の1日の有収水量の予測は、

こんな予測がどうして信用できるでしょう?

佐世保の人口はどんどん減り続け、日本経済全体も停滞しているのに、佐世保だけが経済が活性化し、それに伴い水需要が増えるなんて・・まさに絵に描いた餅です。

他にも疑問はたくさんあります。一度には書き切れないので、後日、続きをアップする予定です。また、「市民による石木ダム再評価監視委員会」(市民委員会)には利水の専門家も2人いらっしゃるので、来月開催予定の市民委員会の場で、しっかり分析評価していただけるでしょう。乞う、ご期待!

それにしても、委員の皆さんは、佐世保市水道局の予測が過大だという認識は全くなく、逆にもっと増やすべきだという意見も出ていました。不思議に思っていましたが、前回の経営検討委員会の資料を見れば、納得です。

この発想にも強い違和感を覚えます。私たち市民は特別な節水などしていません。今後ますます人口は減るのに、水需要を無理に増やそうというのが理解できない。右肩上がりの昭和の時代の考え方であり、21世紀の今は、限りある資源を大切に使い、持続可能な社会を目指そうという時代。SDGsの理念に逆行する考え方です。

とはいえ、このような考え方(今が底で、これからは、やり方次第で水需要は増えていくだろう)は佐世保だけではないようです。同様の発想でたくさんのダムが造られましたが、中には、水需要が伸びず、巨額の投資をしたのに、ダムの水を1滴も取水していない自治体がたくさんあります。

2022年8月の朝日新聞によると、国のダム計画に参画した71の水道事業者(自治体)のうち11の自治体(15%!)が完成後1滴も取水していなかったそうです。

例えば、広島市。温井ダムの建設費として365億円も負担したのに、完成して19年、1滴も取水していないそうです。維持費として毎年1億円以上払い続けているなんて・・

また、これは国営ダムだけに関するデータなので、それ以外の県営ダムなどを含めるともっとたくさんあります。

日本一の大きさを誇る徳山ダム(水資源機構ダム)も同様。徳山ダムは、名古屋市・愛知県がダムの水を使うことを前提に、総事業費3500億円をかけて建設されましたが、2008年完成以来、その建設費負担をしている名古屋市・愛知県は一滴もその水を使っていないそうです。

需要予測がいかに杜撰だったか・・・そのツケを支払うのは、いつも市民県民、そして、未来の人たちです。

そのような杜撰な予測を見抜き、見直しや中止をさせるために、この再評価制度が生まれたはずですが、全く機能していません。なぜでしょう?

最近、中居正広さん問題で、フジテレビの対応が注目されています。最初の会見で社長は第三者委員会を設置すると発表しましたが、それが「日弁連のガイドラインに基づく第三者委員会」ではないと分った時点から批判が殺到し、「日弁連のガイドラインに基づく第三者委員会」に変更されました。

日弁連(日本弁護士連合会)が示す第三者委員会とは、「企業等から独立した委員のみをもって構成される」ものであることが大原則です。そうでなければ、企業に忖度した調査になりかねないからです。

今回の佐世保の再評価を担った経営検討委員会は、第三者どころか、水道局に付属した委員会です。どうして、独立した判断、評価ができるでしょう?

そこを私たちは昨年6月から問い続け、市議会に請願したり、市長宛に要請書を提出したり、記者会見も開いてきましたが、力不足で、何も変えることはできませんでした。

このような再評価のあり方を許していては、制度の意義は果たされません。

どうしたらまともな再評価が実施されるか、アイデアをお持ちの方がいたら教えていただきたい・・と切に思います。

7団体が、石木ダム再評価について要請

2024年度は石木ダム事業再評価の年であり、治水面での再評価は既に終了し、10月には長崎県から国土交通省に結果(事業継続)が報告されましたが、利水面での再評価は、これから佐世保市において始まります。

県の再評価は、あまりにもお座なりなものでした。

長崎県公共事業評価監視委員会(県委員会)は、県から示された対応方針(工期を7年延長し、事業費を1.5倍に増額し事業継続する)を、わずか2時間15分の審議時間(県による説明時間1時間21分+実質審議時間54分)で承認してしまったのです。

公金投入を135億円も増やし、工期延長も10回目という驚くべき方針が提示されたにもかかわらず、ほとんど議論らしい議論はありませんでした。つまり、結果有りき、県にお墨付きを与えるために開かれた委員会だったと言ったら、言い過ぎでしょうか?

佐世保で行なわれる再評価は、このようなものであってはいけない。
佐世保が負担する事業費の多くが水道事業会計から支出されています。これ以上の負担は水道会計を圧迫し、水道料金の値上げか、水道管の更新や施設の維持管理等やるべき対策費が削られる可能性が大であります。
これからの佐世保市にとって石木ダムが本当に必要なのか、あらゆるデータや資料と睨めっこして、じっくり審議してもらいたい。そして、そのデータ等の分析解釈は専門家でなければ難しいでしょう。ぜひ水道事業やダム事業の専門家の意見にも耳を傾けてほしい。形だけでなく、真剣で真摯な議論をしてほしい。

そのような思いから、1月9日、石木川まもり隊など合計7つの団体が、佐世保市や佐世保市上下水道経営検討委員会に対して要請書を提出しました。

要請書は全部で4つあり、宛先も提出団体もいろいろなので、整理しますと・・

A:6つの市民団体から佐世保市長と水道局長へ。要請書

B:6つの市民団体から「佐世保市上下水道経営検討委員会」へ。要請書

C:「市民による石木ダム再評価監視委員会」から「佐世保市上下水道経営検討委員会」へ。要請書

D:「石木ダム勉強会」から「佐世保市上下水道経営検討委員会」へ。要請書

AとBの要請事項は全く同じもので、再評価の審議を完全公開することや、専門家を招いて意見を聴いてほしいといった内容です。なぜ市と委員会と両方に送ったのか。それは・・

水道局長は12月議会で、再評価の審議にあたって専門家の意見を聴く必要は無いと答弁しましたが、審議のあり方を決めるのは委員自身であり、行政の意向で運営されるべきものではありません。それは国が定めた「再評価実施要領」に明記されていますし、また「佐世保市上下水道経営検討委員会条例」の第7条にも「必要に応じ委員以外の者に、会議への出席を求め、その意見若しくは説明を聴き、又は資料の提出を求めることができる」と書かれています。

過去の再評価委員会では委員から「行政側の資料に疑問を感じても、専門家ではない自分には反論が難しい」との意見も出されていました。このような声を参考に、委員会の委員自身がその必要性を感じていただきたいと思い、委員宛に送りました。

一方、委員会が専門家の招聘を求めたとき、実際に段取りをするのは水道局なので、やはり市側にも要請しておくべきだと考え、両方に提出しました。

Cは昨年7月に発足した委員会です。私たちは県に対し、専門家を招いてほしいと再三要請しましたが全く受け入れてもらえず、それならば…と、専門家の皆さんに呼びかけたところ、7名の方々の賛同をいただき、2名の公募委員と合わせて9名からなる委員会です。(プロフィール

県に対しては、意見書を提出したり、説明を求めたりしていますが、今回、佐世保の再評価審議が始まる前に、経営検討委員会に対して要請書を送ることになりました。内容は水需要予測や保有水源、費用対効果の算出方法について、適切な情報公開と審議を求めています。

Dは、石木ダム勉強会が独自に経営検討委員会に送ったもので、ここには非常に重要な新たな情報が提供されています。(これについては、次回また詳しく報告します)

市長宛の要請書を秘書課長に手渡した後、記者会見を行い、各団体から要請書についての説明等行ないました。市民委員会からは副委員長の宮本博司さんがオンラインで参加してくださいました。

共同通信、長崎新聞、西日本新聞、毎日新聞、NHK、NBC、KTNの7社が参加し、4社が報道。NHKはNEWS WEBでも配信。

石木ダム建設の再評価を 市民団体が佐世保市長らに要望書提出|NHK 長崎県のニュース

記者の皆さんが多数集まってくださったのは良かったのですが、ただ1つ残念なことがありました。記者からの質問の中で、市民委員会の委員について「反対派ですよね」と確認する場面がありました。

それに対し宮本副委員長は「賛成反対以前に、事業の進め方がおかしい、事業計画に疑問点が多い。だから、それについてまずきちんと議論してもらいたい、ということです。反対派という立場で参加しているわけではありません」と明確に回答されました。

全くその通りだと思います。賛成派、反対派とレッテル貼りすることは、分断を生み、話し合いや歩み寄りを妨げることになります。

少なくとも再評価においては、記者の皆さんも先入観を捨て、資料や意見の中見に注目していただくよう、願っています。

第2回 市民による石木ダム再評価監視委員会

長崎県公共事業評価監視委員会(県委員会)の翌日、「市民による石木ダム再評価監視委員会」(市民委員会)は、早速2回目の委員会を開催しました。第2回市民による石木ダム再評価監視委員会の議事次第・資料

参加者の多くは前日の県委員会を傍聴していた人々でしたが、そうでない人々も一様に、県委員会の判断(事業費1.5倍増+工期7年延長で事業継続という県の方針をあっさり承認)に、予想通りとは言え、落胆の表情が滲み出ているように感じました。

まずはじめに、西島委員長から、

 

 

 

昨日の県委員会に提出された県河川課による説明資料と説明内容に関する概要解説があり、その上で率直な感想を述べられました。(動画はこちら→ 第2回市民による石木ダム再評価監視委員会・委員長の発言 – YouTube )

西島委員長:閉会後に大嶺副委員長から「この事業については様々な意見があるから、県はきちんと市民の意見も聞いて、技術的な説明をしてほしい。ただし、この委員会ではなくて別の場で」という発言がありましたが、これは非常に残念な発言でした。県の説明を受け審議する場としてこの委員会があるのに、そこでやらないというのは、再評価制度の意義も意味も理解されていないなと感じました。

 

 

 

 

続いて、宮本副委員長から、開口一番「疲れました!」そして「我々が提示した15のチェックポイントについて、県からの説明はなく、県委員からもほとんど触れず残念だった」との感想が述べられ、どのような審議が繰り広げられたか解説されました。( 第2回市民による石木ダム再評価監視委員会・副委員長の発言 – YouTube )

主な質疑応答を拾い出すと、

・中村委員の「100年に1回の24時間雨量は400mmとなっているが、最近の雨量データで検証したんですか?」との質問に、県の方が「やりました」と答えたら「はい、わかりました」で終わった。

・大嶺副委員長の「最近は温暖化や線状降水帯の発生で国交省の考え方も変わってきているようだが、県はどういうふうに対応するんですか?」との質問には「今までのところ大きな雨は降ってないので、見直さない」と回答し「ああ、そうですか」で終わった。

・中村委員の「環境調査をずっとやっておられますが変化はありませんか」との質問に対しても「ありません」と答え、すっと終わった。

・狩野委員の「漏水対策として18億円追加されているが、それで足りますか」との質問には「これが積算した結果です」と答えて終わった。

など、ほとんどが、一問一答で終わっていて、再質問がありません。

宮本副委員長:ここで、次の2つの問題について解説します。

一つ目は地下水位の問題です。

ダムの高さよりも低い場合は、地下水位の高さまで基礎処理工、いわゆる漏水対策をしなければならないんですが、

石木ダムの場合、この赤い線が地下水位で、こんなに低い。県の今の漏水対策では不十分で、おそらく、追加でまた貯水池周辺の漏水対策が必要となり、金額がかなり上がるのではないかと思います。

もう一つは、なぜ便益が増えたのかという問題。狩野委員の「費用便益について、令和元年のときには便益が358億円だったのが今回519億円に増えている。これはどうしてか?」というもっともな質問に対して県は「流水の正常な機能の維持に対する便益が増えたから」だと説明しましたが、その意味わかります?

流水の機能というのは、水をたくさん流したら水質が綺麗になるとか、動植物の生息環境が良くなるとか、景観が良くなるとかであるが、その便益はなかなか数字では表せない。そこで、どうやって算定してるかというと、

このダム容量の中から、N(流水の正常な機能の維持のための容量)の部分だけを取り出して、Nだけのダム(身代わりダム=仮想ダム)を建設した場合の費用をNの便益としている。

つまり、この本体のダム事業費が1.5倍になったら、この身代わりダムの事業費も1.5倍になる=流水の正常な機能の便益も1.5倍になるという仕組みになっている。

これは長崎県独自の算出方法ではなく、国交省のやり方です。これに対し会計検査院はそんなやり方はおかしいと指摘しているが、国交省は「今は他に数値化できる方法がないので、とりあえずこれでやります、これからも他のより良い方法について検討します」と言って、その後何十年もこのままできています。

(そういう話は全く知らなかった!なーるほど!さすがお役人は頭がいいですねーそうやって便益を増やす方法を用意していれば、少々費用が増えても、B/Cが1を超えるような仕組みになっているのでしょうね~)

私もダムをやった人間だからわかりますが、本当に県民のため地元住民のために役立つ仕事であれば自分たちにも誇りがあるので、こんなにいい計画なんです!聞いてください!と説明したくなるんですよ。ところが我々が出した項目について全く答えようとしない。行政マン、技術者の風上にもおけないなと感じました。

 

その後、事務局や地元住民の方、会場参加者からの発言が続きました。( 第2回市民による石木ダム再評価監視委員会・県の委員会を傍聴した関係者の発言 – YouTube )

 

 

 

事務局M:県資料19ページには、工期7年延長の理由が「反対住民等の座り込み行動によって6年延長+働き方改革で1年延長」と書かれているが、本当にそうでしょうか?

22ページを見ると、
事業費135億円増の要因の最も大きいのが地質対策関連(67
億円)であり、基礎処理工事が増えるということはその工事期間も延びるということで、当然工期延長の理由にも入れなければならないと思います。

24ページの図を見ると、基礎処理工の範囲がこれまでの数倍に広がっているので工事期間も同様に延びるはず。また、説明のところに「施工時には最大限の範囲となることが想定されますが」と書かれているので、工事費も工事期間もさらに延びる可能性があると思います。

(漏水ダムで有名な大蘇ダムの場合、2005年に完成したが、その後水漏れが発覚して、その後貯水池の3分の2をコンクリートで覆う工事をやって100億円の増になっている。それでもまだ漏水は続いており、調査費や対策工事費が加算され、現在では当初予算の5.5倍の事業費となっている)

 

 

 

 

地元住民Iさん:昨日の委員会の結果は予想通りでした。これまでもずっと同じようなことでしたから。工期を7年延ばすということは、私たちが病気をしたり、亡くなったり、座り込みができなくなるのを待っているのかなと思います。

 

 

 

 

今本委員:いまは要らないのに当初必要だったからとどうしても造るという、この論理はどうしても理解できないですね。それから流水の正常な機能の維持、このためにダムを造ることはないですよ。これは便乗的にやってるだけで、論理性があるとは到底思えません。本当に長崎県がやっていることを見ると無力感に陥りますね。もっと論理的にやってほしい、つくづくそう思いました。

西島委員長:論理性がないと今本先生もおっしゃいましたが、説明なしに進めるというのは、論理でもなくて科学でもなくて、力のごり押しですね。それはもう民主主義とはかけ離れているというふうに感じます。

 

 

 

 

伊藤委員:ダム問題というのは、議論の前に、説明の中に嘘があるということ。ダム賛成とか反対とか関係なく嘘を前提に計画が立てられている。この問題も含めて過去30年ぐらいダム問題に関わってきたんですけど、国も県も同じ状況で、もう民主主義っていうのは、もしかしたら日本にはないんだろうかと思いながら、ため息をつきながら聞かせていただきました。

 

 

 

 

富樫委員:いま全国的に水道料金が上がっている。(石木ダム事業費の佐世保市負担分の多くは水道事業会計から支出しており、その多くは公営企業債権で賄っている)佐世保市水道事業が償還していく時に金利がでてくるが、これから金利も上がってくる。直接の事業費で終わらずに、将来的な財政負担とか水道料金への跳ね返りとか、そこまで見ないといけない。水道料金が上がるというのは高齢化の中で年金生活をしている者にとってすごく大変になる。そのようなことも考えて議論ができることを期待している。

 

 

 

 

つる委員:日本ではなんでこんなに環境の価値が小さいのか!石木ダムの再評価でも議論されてないに等しい。例えば2008年の環境アセスで魚種のうち1種だけが重要な種として認められていたんですが、その対策は必要はないということで対策が取られていない。その結果、その1種「カネヒラ」は、2020年の長崎県のレッドリストでは絶滅したと報告されています。

それから、石木の環境がどうして大事かというと、在来種の存在です。例えば田んぼの雑草にしても在来の雑草です。日本の中ではもう絶滅した在来の雑草なんです。みんな外来の雑草が蔓延っているけど、石木は在来の雑草が蔓延ってるんです。

猛禽類にしても6種類いますが、いろんな猛禽類はほとんど水田があるところとセットで暮らしてるんです。しかし長崎県は水田や平地の価値を全く認めず議論もされてない。

また、これは環境とは関係ないんですけれど、2022年にお隣の佐賀県では有田川の猿川ダムっていうのが中止になっています。これは利水と治水のダムなんですが、20年ぐらい前に計画されて、もう当時の需要予測も価値がなくなったと判断されて、治水計画は他の代替案でやっていきますということで中止になったんです。

 

 

 

 

谷委員:再評価で中止になったダムについてつるさんが紹介されましたが、他にもそういう事例はあるのでしょうか?

西島委員長:中部ダムもそうです。平成10年でしたか、当時の片山善博鳥取県知事が諮問した再評価委員会では、専門家の判断を仰ぎたいということで専門家による部会を設け、約1年かけて調査・議論した結果、ダムよりも河川改修の方が安いということになり、その報告を受けて再評価委員会が中止の判断をしました。

宮本副委員長:私が印象に残ってるのは、大阪府の槇尾川ダムですね。本体のコンクリート打設工事の発注までしていましたが、おかしいんじゃないかという話が出てきまして、当時の知事が必死になって勉強されて、私も委員でしたが、その委員会に知事は毎回出てきました。そして、一緒に現地に行って、確認して、やっぱりこのダムは造ってはいけないということになりました。本体発注後のダムで中止になったのは、おそらく日本ではそこだけだと思います。

ですから、本当は、ああいう再評価委員会のときに、知事に出てほしいんですよ。知事が動かないと、その下の職員は動かないんですよ。大石知事には悔いのない判断するためにも、ああいう議論に出て、一緒にまた現地に行って、我々専門家の意見を真摯に聞くということをやってほしいなと思います。

 

 

 

 

渕委員:西海市西海町の虚空蔵山の麓で牛を飼っています。繁殖農家です。大村湾を隔てて川棚の虚空蔵山を見ながら仕事をしていますが、その虚空蔵山を見るたびに少し気持ちが落ち込みます。この猛烈な暑さの中、こうばるの皆さんや支援者の皆さんが必死になって座り込みをやっておられるということを考えたときに、自分は応援に行けないので、心苦しい気持ちになります。

私が石木ダム問題に関心を持ったのは、13年前に佐世保で開催された集会に参加したのがきっかけですが、その後、現地に行ってみたり、県に質問状を送ったり、自分なりに本当に石木ダムが必要なんだろうかと考えてきたんですけども、やはり必要ないと思います。石木ダムは必要だから造るのではなく、建設そのものが目的になっていると感じています。

行政代執行について、県の委員の皆さんはどう考えているのか?県は反対の座り込みをしている人たちの安全を考慮しながら工事を進めていくと言ってるんですが、それでは行政代執行を安全にできるのか?強制的に引きずり出したり、流血の事態になったてもやるのか?きっとできないと思います。できるわけがない。

知事は行政代執行も選択肢の一つと言ってますけど、選択肢から外してほしいです。ホントにダムが必要なら死ぬ気で説得しろと言いたい。公共事業評価監視委員会の話を聞いていると、監視委員会ではなく推進委員会のようだと思いました。

 

 

 

 

会場参加者Mさん:石木ダム反対の根拠は、もう十分出尽くしていて、あとはどういうふうに中止させるかという戦術の問題に入ってきていると思います。例えばこの市民による石木ダム評価監視委員会というのは戦術としていいと思いますが…

知事選でトップを替えるとか、有名人や発信力のある方の力を借りて全国的に発信してもらうとか、海外の研究者だとか環境団体を招いて、特にオランダは水問題の研究が進んでいるし、長崎とも関係が深いし…そういうことも考えてみるべきだと思います。

 

 

 

 

市民の会共同代表Mさん:私が非常に憤りを覚えたのは、県が御用学者のダム工学会の会長の言葉を紹介したことです。角哲也という元国交省の方ですが、県の資料を見て「県の言う通り、石木ダムは優位性がある」と述べたそうです。私達が求めた専門家の意見を聞くということを、自分たちに都合のいいやり方でやったわけです。こんなズルイやり方は許せない。私は角さんに公開質問状を送ってもいいと思います。

宮本副委員長:この市民委員会に角先生にも来てもらったらいいんです。あなたは石木ダムは必要なダムだと言ったけども、我々は疑問を持っております。我々の委員会に来て議論してください、と呼びかけるべきじゃないかなと思います。来るかどうかわからないですけどね。

 

 

 

 

堀江県議:今回の評価監視委員会で石木ダム事業費が大きく増額され、工期も7年も延長されました。そのことを県議会がどうチェックするか、評価監視委員会が承認しても、県議会が賛成をしなければ、予算についても工期についても認めることはできません。そういう意味では、県会議員が行政をチェックするというその役割を果たすかどうか、そのことが問われていると思っています。しかし、長崎県議会は、46名のうち35名が自民党で、一般質問でも石木ダム早く造れ、何故すぐやらないのかという状況であり、だからこそ、世論を作るのが大事だと私は思います。

 

最後に、西島委員長から、まとめとして今後の取り組みについての提案がありました。

1.我々が示した15のポイントについて県はゼロ回答だった。ということは、もう石木ダムは説明ができない事業だということであり、そうであるならば、これからは中止を求めていくことになるだろう。

2.とはいえ、説明してもらいたいことはたくさんあるので、この市民委員会にぜひ県の職員の方に来ていただいて説明をしていただきたい。

3.今回の県の委員会でどういう説明がされたか、されなかったか、その評価を意見書のような形にまとめて、公表したい。

以上3つの提案については、参加者全員の拍手で採択されました。

 

つまり、市民による石木ダム再評価監視委員会の活動はまだまだ続きます。県の再評価もこれで終りとならないよう、働きかけていきます。

利水についての再評価はこれからですし…

 

公共事業評価監視委員会を、県民みんなで監視していきましょう~

石木ダム事業継続 公共事業評価監視委員会が承認

石木ダムの事業継続 県の公共事業評価監視委員会が承認|NHK 長崎県のニュース

石木ダムの事業継続 県の公共事業評価監視委員会が承認

長崎県と佐世保市が川棚町で進めている石木ダムの建設事業が2日、県の公共事業評価監視委員会に諮られ、県側から事業費を420億円に増やすとした対応方針案が示されましたが、委員会は事業の継続を承認しました。

石木ダムは長崎県と佐世保市が川棚町で建設を進めているもので、地元住民の反対もあり、事業の採択から半世紀近くたつ今も完成していません。

この事業が2日、有識者などで作る県の公共事業評価監視委員会に諮られ審議が行われました。

この中で、県側は資材価格が高騰していることや、追加の地質調査が必要になったなどとして、事業費を今の285億円から420億円に増やすとした対応方針案を示しました。

また、完成時期についても、これまでに予定していた来年度末から令和14年度末へと7年延長することを説明しました。

これについて、委員会は質疑を行ったうえで、事業の継続を承認することを確認しました。

2日の委員会には石木ダムの建設に反対する住民たちも傍聴に訪れていて、事業の継続が承認されると抗議の声を上げていました。

石木ダム7年延長の2032年完成、事業費135億円増やす考え示す 住民「私たちの声聞いて」【長崎】|ニュース|KTNテレビ長崎

石木ダム7年延長の2032年完成、事業費135億円増やす考え示す 住民「私たちの声聞いて」【長崎】

2024年08月02日 19:15

長崎県東彼杵郡川棚町の石木ダム建設事業をめぐり、県は事業費を現在より135億円増やし完成時期を7年延長した2032年とする考えを示しました。

長崎県の担当者
「石木ダムは川棚川の抜本的な治水対策のため必要不可欠な事業であり早期に完成させる必要があるため、事業継続をお願いしたい」

石木ダムは当初1979年の完成を目指していましたが、地権者などの反対でこれまで完成時期が9回変更されていました。

長崎県の公共事業について再評価する委員会で、長崎県はダム事業の継続と完成時期を現在の2025年度から7年伸ばした2032年度とすること、事業費を現在の285億円から1.5倍の420億円とする方針を示しました。

増額について長崎県は追加調査や建設業の働き方改革、資材の高騰などを理由に挙げています。

委員から異論などは挙がらず長崎県の方針を承認しました。

住民の岩下すみ子さん「私たちが求めているのは本当にこのダムが必要かを検証してほしいとういこと。もっと現地を見て、私たちの声を聞いて、そんなこともしないで何百億円の予算がついたらどんなことになるか」と話し、岩本宏之さんは「長崎県知事が話し合いによる早期完成を目指すのであれば、7年も伸ばさず代執行を早くしてくださいと。そこまで覚悟して戦っている」と述べています。

委員会は長崎県に対し「地元住民への説明や意見の聞き取りが足りない」として、対話の場を設けるよう求めました。

 

石木ダム完成年度7年延長 事業費も135億円増額 | 長崎ニュース | NCC長崎文化放送 (ncctv.co.jp)

石木ダム完成年度7年延長 事業費も135億円増額

県と佐世保市が東彼・川棚町に建設を進める石木ダムについて、県の公共事業を再評価する委員会は2025年度としていた完成年度を7年延期する方針を決めました。
石木ダム建設事業の工期の延長は国が1975年に事業を採択して以降10回目です。

県土木部河川課:
「石木ダムは川棚川の抜本的な治水対策のため必要不可欠な事業であり、早期に完成させる必要があるため、『事業継続』でお願いしたいと思っております」

2日に開かれた県公共事業評価監視委員会で、5年前(2019年)に2025年度としていた完成時期を7年延期し、2032年度にする方針が承認されました。県は延期の要因について、建設工事が反対住民の座り込みなどの妨害の影響で遅れたことや建設業の働き方改革の対応のためとしています。

また前回(2019年)の事業再評価以降、消費税率が変わったことや、資材価格や人件費の高騰、今後の物価上昇や予見できない事業費の変動に備えるため、総事業費は現行の285億円から135億円増額し、420億円となる見込みです。

石木ダム建設予定地の川原地区では、2019年に土地の明け渡し期限が過ぎた後も、建設に反対する13世帯が暮らしています。

石木ダム反対住民・岩下すみ子さん:
「まだ私たちは住んでるんですよね。そういう住んでる地権者の声は今までも全然反映されない。怒り心頭ですよ。もう震えます」

委員会は県に住民との対話を進めてほしいと述べました。

石木ダム建設「7年延期」完成時期2032年へ 総事業費「約1.5倍」420億円に増加《長崎》(長崎国際テレビ) – Yahoo!ニュース

石木ダム建設「7年延期」完成時期2032年へ 総事業費「約1.5倍」420億円に増加《長崎》

長崎国際テレビ

NIB長崎国際テレビ

NIB長崎国際テレビ

NIB長崎国際テレビ

NIB長崎国際テレビ

「石木ダム事業継続は妥当」長崎県公共事業評価監視委 (NBC長崎放送) –

Yahoo!ニュース

「石木ダム事業継続は妥当」長崎県公共事業評価監視委

配信

NBC長崎放送

 

石木ダムの事業継続を承認 総額420億円、完成7年遅れ 長崎県評価監視委 | 長崎新聞 (nordot.app)

石木ダムの事業継続を承認 総額420億円、完成7年遅れ 長崎県評価監視委

石木ダム建設事業の経過

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で県は2日、総事業費を現行の約1.5倍の420億円に増額し、完成時期を7年遅れの2032年度とする方針を県公共事業評価監視委員会(友広郁洋委員長)に諮問し、事業継続が承認された。事業費の見直しは07年度以来で、完成時期の延長は当初目標の1979年度から10回目の延期となる。
石木ダム建設事業は治水と利水を目的に県と佐世保市が共同で進めている。評価監視委は県が実施する公共事業について、一定期間ごとに再評価。2日は長崎市内で、治水面の費用対効果などを審議した。
県は増額の理由について、資材高騰など社会的要因が約37億円、工事が進んだ結果、地盤補強が必要な範囲が当初想定より広がるなど事業の進捗(しんちょく)に伴うものが約67億円と説明。このほか、工期延長やリスク対策費の追加を挙げた。
7年間の完成遅れについては、建設に反対している地元13世帯の住民らによる抗議活動の影響、建設業界における働き方改革への対応を理由に挙げた。
増額後の治水面の費用対効果について、県は管理を含む費用約468億円に対し、事業の便益は約519億円で「1.11」と試算。現行の「1.21」より下方修正するとしたものの効果は見込めるとした。評価監視委は今後、議論の内容を踏まえ大石賢吾知事に事業の継続を承認する意見書を提出する。
新たな工程表では付け替え道路工事を30年度、ダム本体工事を31年度までに完了させ、32年度に試験湛水(たんすい)を実施する。増額により、負担額(国の補助を除く)は県が約137億円、佐世保市が約82億円となる。
会場には反対住民や支援者ら45人が傍聴に詰めかけ、事業継続が承認されると不満の声が上がった。

 

石木ダム事業継続承認 反対派「声反映されず」 推進派は工期延長に不満 長崎 | 長崎新聞 (nordot.app)

石木ダム事業継続承認 反対派「声反映されず」 推進派は工期延長に不満 長崎

石木ダム建設事業の継続承認に不満そうな表情を浮かべる反対住民ら=長崎市元船町、平安閣サンプリエール

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、県公共事業評価監視委員会は2日、事業の継続を承認した。反対する市民団体が求めていた専門家からの意見聴取や現地視察の機会は設けられず、傍聴席からは抗議の声が上がった。一方、完成目標を7年遅らせる工期延長も決まり、水害や渇水の不安を訴える建設推進派からは不満も漏れた。
「なんで認める結論になるのか」「おかしいじゃないか」。同委員会が事業を継続する県の方針を承認すると、傍聴席からは怒号が飛び交った。市民団体「石木ダム事業の公正な再評価を求める市民の会」のメンバーが立ち上がり、「委員会は県の御用機関ではない。事業を厳しくチェックする本来の職責を十分果たしてほしい」と訴える抗議声明を読み上げた。
この日は、水没予定地の川原地区から十数名の住民が建設反対の座り込みを止めて傍聴に訪れた。同地区に嫁いで約50年になる岩下すみ子さん(75)は「(反対する)住民の声は反映されず、人権無視のやり方。委員は現地も訪れない。本当に悔しい」と語気を強めた。反対する住民の岩永正さん(72)も「(県が委員会から)お墨付きをもらうための会だった」と落胆した。
一方、佐世保市では渇水への不安を訴える住民がいる。「石木ダム建設促進佐世保市民の会」の寺山燎二会長は「一日も早い完成を求め続けてきた。完成目標がまた延び、残念の極みだ」と話した。
事業継続の承認について、県と佐世保市は「現時点での(知事と市長の)コメントは控える」。川棚町の波戸勇則町長は推進する立場から「水源地域住民の理解なくして進展はない。大石賢吾知事には(反対住民と)早期に話し合いの場をつくってほしい」と要望するコメントを出した。
委員会終了後、友広郁洋委員長は「審議は尽くされた」と強調。反対派からの抗議を踏まえ「住民の理解が最優先。(その点は)県に意見書を出す中でまとめたい」と述べた。

 

県委員会が承認 石木ダム工期7年延長 事業費1.5倍!

8月2日、長崎県公共事業評価監視委員会(県委員会)は、石木ダム事業の工期7年延長(2032年度完成)と、事業費を1.5倍とする(285億円→420億円)県の方針案について審議し、どちらもすんなり受け入れ、事業継続を承認しました。

委員会の正味の時間は、2時間15分。うち事業者である長崎県(土木部河川課)からの説明時間は1時間21分で、委員による審議時間は54分でした。

135億円もの事業費の増額が県民や、取り分け佐世保市民にどれだけ大きな負担をもたらすか、また、事業継続による取り返しのつかない人権侵害や環境破壊についての認識があれば、これほど短時間の審議で結論が出せるはずはありません。

やはり今回の再評価も、「開会前から結論は決まっている」との噂通り、県にお墨付きを与えるための委員会だったのでしょうか。

「市民による石木ダム再評価監視委員会」(市民委員会)が事前に提出していた評価のポイントは、県にも委員会にも全く無視されてしまいました。

県はそれらのポイントについて説明資料を出すこともなく、また、委員会はそれらについて質問することもなく…

県の説明資料はこちらです。20240802 長崎県公共事業評価監視委員会資料

遠方(関東や関西)から傍聴に来ていた市民委員会の専門家は「こんな委員会なら傍聴に来る必要は無かった」「どっと疲れが出てしまった」と本音を漏らしておられました。

ただ、県も県委員会も、市民委員会からの要請事項の一部には応えていました。

その要請事項とは、県知事宛には以下の3点で、
1.十分で正確な資料の公表と説明
2.ダム/ダム問題の専門家の活用
3.石木ダム事業の特殊性の重視

県は、その中の「2.専門家の活用」に着目し、京都大学防災研究所水資源環境研究センターの角哲也(すみてつや)特定教授からご意見をいただいたとして紹介しました。

しかし、それはただ「石木ダム事業の優位性を認める」とか「県の検討結果は概ね妥当」とするもので、具体的な根拠は何もありません。

意見書が添付されているわけでもなく、河川課職員がただ口頭で紹介しただけ。正にアリバイ作りのコメントに過ぎません。

県は、角さんの肩書きを黄門様の印籠のように差し出せば、県委員会の皆さんだけでなく、市民委員会も納得するとでも思ったのでしょうか?知る人ぞ知る典型的な○○学者の角さんがお墨付きを与えても、専門家には通用しないのに…。

また、県委員会は、提言書の「3.地元住民からのヒアリング」を意識してでしょうか、委員会の終了直後に、副委員長が声を上げ、「いろんな意見が出ているので、県の方は、技術的な問題についてもう少し説明が必要ではないか。この委員会ではなく、別の場で、もっと住民との対話も進めてほしい」とコメントしました。

一部から拍手も起きましたが、それには「ハテ?」と思ってしまいました。

「いろんな意見が出ているので、技術的な問題について県に説明を求める」のが公共事業評価監視委員会の役目であり、それらの「いろんな意見」と県の説明とどちらが正しいのか判断するのが再評価の場のはずですが…。

知事と住民の対話が中断されているのは、知事が「石木ダムの必要性については司法の判断も出ているのでもう話し合う必要はない。これからは生活再建の話をしよう」という姿勢だからです。

住民の皆さんが座り込みを休んで県委員会を傍聴に来たのは、「私たちに代わって石木ダムの必要性について、しっかり議論してくれるのではないだろうか」という期待があったからです。それを「別の場で…」なんて、とんでもない話です。

私たち「石木ダム事業の公正な再評価を求める市民の会」も同じ思いです。このような結果をある程度予測して、準備していた抗議声明を共同代表(深澤 奨)が直後に読み上げました。

「委員会は県の御用機関ではない。事業を厳しくチェックする本来の職責を十分果たしてほしい」と。

委員6人(7人中1人欠席)の方の心に届いたと思いたいのですが…

委員だけでなく、多くの方に伝えたいので、その全文をここに記載します。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

緊急抗議声明

 私たち「石木ダム事業の公正な再評価を求める市民の会」は、本日8月2日、県公共事業評価監視委員会が、県の求めるままに事業費増額と工期延長を承認したことに、深い憂慮を覚え、抗議するとともに、行政代執行という最悪の事態に立ち至らないよう、ここに強く要請をします。

 私たちはこの度の事業再評価に当たって、ダムに関する専門家の意見を聴いて審議に反映させることと、委員による視察で現地の状況と住民の声を確認することを、絶対に欠かせない判断材料であるとして、その実現を求めてきましたが、聞き入れられませんでした。また、専門家を交えた「市民による石木ダム評価監視委員会」が提言した審議の重要なポイントについても取り上げられませんでした。県の説明も、自らに都合のよい御用学者の言葉だけを紹介する不誠実極まりないもので、結果、県の資料と説明を鵜呑みにした委員会の審議は、とても公正とは言い難いものでした。

 このままでは、県は「委員会からお墨付きを得た」として、現に居住する13世帯もの住民を強制排除する行政代執行へ突き進む可能性が高まります。それは県政史上はもちろん、現憲法下では全国でも例を見ない重大な事態であり、委員会のお一人お一人がその道を開いたことになるのだということをしっかり胸に刻み、その責任をわきまえていただきたいと思います。

 私たちは、委員の皆様の良心を信じて、以下の要請をします。委員会は石木ダム事業の抱えている問題の特殊性と重大性に鑑みて、本日取り上げられなかった問題点を専門家とともに改めて審議する場を一日も早く実現するように努めてください。その際は、現地視察と住民の声聴き取りの機会をぜひ設けてください。

 公共事業評価監視委員会は県の御用機関ではありません。県民の負託に応え、事業を厳しくチェックする本来の職責を十分に果たされるよう心から要請します。

 

2024年8月2日

石木ダム事業の公正な再評価を求める市民の会