石木ダム建設事務所長、佐世保市議会で近況報告

7月4日、佐世保市議会石木ダム建設促進特別委員会において、石木ダム事業に関する近況報告がおこなわれました。

まずはじめに水道局より「裁判の動向について」の説明があり、たいへんわかりやすくまとめられた資料も配布されました。



 

続いて、石木ダム建設事務所の有吉所長より、付替え県道工事についての詳しい説明がありました。
内容は大きく分けて2つ。工事の進捗状況現場の状況です。

<工事の進捗状況>

・6月20日に第2詰め所を設置した。その目的は工事現場に入りやすくするためと、将来、橋梁の工事をするための橋台をここに設置しなければならないので、その場所を確保するため。

・現在おこなっているのは切土と盛土の工事で、これが完成しないと次のステップに進めない。その進捗状況は1割にも満たない。

・橋梁工事は県道の付替えが終わらないとできないし、橋台を造るには川幅を狭めねばならないので梅雨の時期は難しい。今のところ、いつ発注できるかわからない。まずは盛土の工事を済ませたい。

<現場の状況>

そのように工事が遅れているのは現地での「妨害行為」が続いているからとして、何枚もの写真をスクリーンに映し出しながら、その行為の詳細をかなり丁寧に説明。

その後の委員からの質問も、それに関連するものばかり。

Q: 警察が入っても妨害を止められないのか?
A:警察は説得はするが排除はしない。踏み込んで説得する場合もあるし、そうでない場合もある。警察の立場もあるので、県としても警察と協議しながら対応している。警察による説得で、工事現場へ入って工事の邪魔をするなどの妨害はなくなったが、 入り口での立ちふさがりは、侵入罪とか暴行罪とか威力業務妨害とか、そういうものに当たるか曖昧で、なかなか止めることができないようだ。

Q: 職員さんへの安全対策は?                   A:自分の身を守ることと同時に相手に怪我をさせないよう指導している。
職員よりも心配なのは、慣れていない下請けの作業員で、業者の責任者と指導しながらやっている。
Q:進入禁止のセキュリティ対策は十分になされているのか?
A:ソーラーで稼働する防犯カメラや照明灯などを相当数設置しており、状況は事務所でもしっかり監視できている。
                                   聞いていて居たたまれない思いに…。
この場にいる方々は石木ダムの起業者と推進者ばかりなので、全くお気づきでないようだが、なぜ「妨害行為」(私たちは「抗議行動」だと思っていますが)がおきているのか、その原因を作っているのは、あなた方ですよ。
ダム建設の必要性を説明しない(説明できない?)あなた方が、今の状況を作り出しているのですよ。
 東京都議選前日、秋葉原で街頭応援演説していた安倍総理に辞めろコールが起きると、 聴衆を指差しながら「演説を邪魔するような行為を自民党は絶対にしない」「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と叫びましたが、それとよく似ていませんか?
国民の意思表示(森友学園や加計学園問題に関する説明責任を放棄し、共謀罪を強行採決してしまった総理への精一杯の抗議)を「演説妨害行為」と決めつけ、悪いのは「こんな人たち」であり許せない!と、自分を正当化し続ける安倍さん。
 あなた方も同じです。石木ダムの必要性についての説明責任を放棄し、工事を強行している。説明を求め続ける私たちの願いは無視して、決まったことだから住民が納得しなくても強行してもいいのだと。安倍さんと同じ権力者の驕りです。
 少なくとも、議員の皆さんにはそのことに気付いてほしい!と願うのは、佐世保市議会では叶わぬ夢なのでしょうか…
 

 

 

 

パタゴニア日本支社長、佐世保市議会で陳述 

今日、佐世保市議会石木ダム建設促進特別委員会での請願趣旨説明を傍聴しました。

石木ダムについて公開で議論する場を求める請願。

県議会で不採択となったあの請願。

佐世保市にも提出されていました。

そして今回は、WTK実行委員の一人である辻井隆行さんが趣旨説明をされました。

そう。あのパタゴニア日本支社長の辻井隆行氏。

自然保護を社是とするアウトドア衣料メーカー「パタゴニア」の辻井さんです。

佐世保ではかなり有名になっているかもしれません。ダム反対者として。

でも、それは少し誤解があるようです。

その誤解を解くためにも、あえて佐世保市議会で陳述しようと思われたのでしょうか。

 

その発言の全てをここでお伝えできないのが残念です。

議会傍聴者には録音録画が禁じられていますから。

私の読み辛いメモとおぼろげな記憶を駆使して、そのエッセンスをご紹介します。

 

*私たちはダムに反対しに来たのではありません。

*私はグローバル企業の一員として、世界や日本で、一度決められた事業が、多角的な議論によって方向を転換した結果、市民も、行政も幸せになり、より持続可能な地域発展に繋がった事例を学んできました。そのような経験から立場を超えたオープンで透明性のある議論が行われることを切に願っているのです。

*長崎県や佐世保市が説明を重ねてきたのは知っています。しかし、現実として石木ダムのことをよく知らない、わからないと思っている若い方々が多いのも事実です。

そして、同じような例として昨年の安保法案に関する話をされました。

*首相も与党議員も十分説明を尽くした。国民の理解も進んだ。と言っていましたが、新聞各社の世論調査では、大多数が議論は不十分と答えました。
朝日新聞74%、毎日新聞78%、読売新聞82%、日経新聞78%、共同通信81.6%

そうなんですよね。
当局は説明したと思っても、市民国民に伝わっていないことはよくある話!

*もし、佐世保市民に対する世論調査が実施され、8割、9割の方々が「説明は十分」「議論はしつくした」と答えられ、その上で「ダムが必要」と言うのであれば、それは佐世保市民が本当に望んでいることになるのだろうと思います。現時点ではどうでしょうか?

*事業者が「十分な説明をした」と認識されている一方で、「不十分だ」と感じている方が多いのはなぜか?その理由の1つは、お互いの話に耳を傾ける「対話」が行われてこなかったからだと思います。

そうですよね!
私自身の反省も含めて、私たちは互いに主張し合うばかりでした。
相手の話に耳を傾け、対話すること無しに合意形成は絶対に生まれません。

*石木ダムが作られるのか、作られないかに関わらず、今回の請願書が国民・県民・市民の願いとして正当に扱われ、賛成、中立、反対の立場を超えたオープンで公正な議論が深まる、そうした公開議論の場が実現することを切に願っております。

 

委員の皆さんは、ある種の緊張感を持って、時に頷き、時に真剣な眼差しで聴いていました。しかし、質疑はそれほど活発ではありませんでした。出された質問は2つだけ。

橋之口委員:請願事項で「公開の場で議論する」とありますが、これは佐世保市が設置して市民に呼びかけることを求めているのですか?

辻井さん:市がそういう場を設けて頂くのを願っていますが、民間もしくは市民サイドがそういう場を設定して、市の関係者もそこに参加して議論するという形でも良いと思います。

林委員:様々な立場の人が公開の場で議論をと求められたが、事業認定を含めこれまで様々な公開の場での説明議論等があり、その時の対象者は限られた人々ではなかったはずですが。今までの場ではそれが十分ではなかったということですか?

辻井さん:これまでそのような場を持たれてきたことは私も理解していますが、当時十代だった方が20代になり社会を担う立場になっています。知らなかった、知りたいという若い方々と私はこの2年間でたくさん出会いました。禍根が残らないよう、より多くの方が納得した形で物事が進められることが大事ではないかと考えています。

 

そして、30分の休憩後、委員会再開。討論の後採決となり、今回もと言うべきか…全会一致で請願は否決されました。反対の理由はこうでした。

 

市民クラブ:
これまで長い間、県と市は地権者や市民に対し説明や意見交換を重ね、その中で事業認定がなされた。地権者の理解が得られていないのは残念だが、県としても必要性は十分説明されてきたし、今後も県自らが?なされると思う。よって賛同できない。

緑政クラブ:
これまで長い時間をかけて様々な立場から議論されてきた。すでに議論は尽くされているので、あらためてやる必要は無い。

市政クラブ:
市民の何故に真摯に答えるのは事業者として当然のことだと思う。今後も真摯な対応をするよう市に申し添えたいと思う。ただ、市は県と共同で事業を進めるという立場なので、市が主体として呼びかけの場を設けるというのは適当ではない。信頼関係が無い中で市当局が主体となって話し合いの場を作っていくということはなかなか理解が得られないだろう。

自民党:
県は推進する立場で討論を進めてきた。いま老若男女で議論するのは望ましくない。県も度々説明の場をもってきた。県の立場を重視したい。平成6年渇水の時のような思いは絶対に後世にさせてはいけない。

公明党:
長い歳月をかけて議論されてきた経過があるし、今は法廷の場にも及んでいる。時間軸の中で安易に時を重ねることはできない。議論は大いに結構だが、公開の場に差し戻すというのは、これまでの経緯や法的手続きを軽視することになるので、不採択。

林(緑政クラブ補足):
緑成会としては請願が出されて以後、会派で議論を重ねてきた。また、辻井さんの説明を会派に持ち帰り、さらに議論した。その結果は永安委員の報告の通りだが、少し補足したい。賛成・中立・反対の立場での公開議論の場は当然必要。しかし、一定の時期を経て、この時期にあらためて公開の場での議論というのは、時期的に遅い状況になっている。

草津(自民党・個人的な意見):
時間軸を後ろに戻すわけにはいかないというのはわかるが、市当局が市民に対して情報発信を少し怠けていたということは認めざるを得ない。しかしこの委員会は石木ダム建設促進委員会。何回討論を重ねていけば新たな結論が導き出されるのか私には理解できない。

 

まとめてみると、反対理由はこういうことのようです。

①公開の場での議論は何度も重ねてきた。議論は尽くした。

②佐世保市は共同事業者であり、市が主体となって議論の場を呼びかけるのは適当ではない。

③信頼関係が無い中で市当局が主体となってやるのは難しい。

④今は法廷の場に及んでいる。議論を差し戻すのは、法的手続きを軽視することになる。

 

いずれも言い訳にしか聞こえません。やらなくていい言い訳探し。 

①については重々理解した上で、でも現実がそうではない、そう思っていない若い世代がたくさんいる、だから、もう一度やりませんか?禍根を残さないために。と辻井さんは言ってるのに、全然わかっていない。それともわからないふり?

②はヘンです。市民と市の水問題について話し合うのに、どうして県に遠慮するのでしょう?

③も言い訳になりません。市が主体でなくてもいいと辻井さんはおっしゃっていましたよ。民間とか市民団体が主催してもいいって。

④言い訳の常套句。隠れ蓑。逃げないでください。

 

結果はいつもと同じ、全会一致の不採択でしたが、特筆すべき嬉しいことがありました。
会派の意見とは別に個人的な見解を述べた委員が2人もいたこと。
特に草津委員の発言には驚きました。

市当局が市民に対して情報発信を少し怠けていたということは認めざるを得ない。

この委員会は石木ダム建設促進委員会。
 何回討論を重ねていけば新たな結論が導き出されるのか私には理解できない。

 

議員としての良心&苦悩?

辻井氏の真意が、きっと少しだけ届いたのでしょう。 

 

 

なぜ反対なの?「公開の場で議論」

石木ダム問題で県議会への請願はたぶん初めてのこと。

その請願の内容は「石木ダムについて公開の場で議論すること」。

賛成・中立・反対、様々な立場の人、様々な世代の人が議論する場を設けてください、というもの。

この請願には209筆の署名が添えられました。

石木ダム建設予定地「こうばる」で開催された音楽イベント『WTK』に参加した人たちが署名した請願です。

その『WTK』を企画制作したプロデューサーの谷川氏は、209名の思いを代弁するために、ご多忙ななか時間をやりくりして駆けつけてくださいました。

谷川氏の趣旨説明をお聴きください。 じゃなくて、お読みください。

 

石木ダムについて、賛成、中立、反対の立場での公開議論を求めます。
その理由について説明いたします。

一言でいうと、ダム建設の必要性がわからないでいる市民、県民が多くいらっしゃるようだ。ということです。そして色々な立場・お考えを持った方々のお話、それぞれの主張を聞いてもっともっとよく知りたいと考える方々が急速に増えています。私もその一人です。 

とりわけダム建設費用を負担していくことになる若者世代ほど理解が不十分である、それどころか建設の是非を考えたこともないというのが実情だと感じたため、あらゆる立場の方々が等しく参加した形で、透明性のある議論が開かれることが今まさに必要だと考えます。そういった活発な議論が生まれるきっかけになればと、気持ちを同じくしたミュージシャンやその他多くの有志の方々と共に、去る10/30 WTKというイベントをダム建設予定地にて開催するに至りました。 

申し遅れましたが、私は8才から13才まで佐世保市民でした。そして20歳までは長崎県民でした。現在も本籍は長崎です。ですが、この石木ダム問題に関心を寄せている理由は、長崎県民だったからというだけではありません。

大分県湯布院にて自ら営んでいた小売店を今年4月に発生した熊本地震により失いました。突如として大切な場所を奪われた自身の体験と、かけがえのない故郷を失われるかもしれない状況にあるこうばるの方々の思いとが重なって感じられたからです。 

私が体験した被災は、地震という形である時突然に起こりました。言うまでもなく抗いようもありません。ですが、こうばるの方々が奪われようとしているものは、佐世保市民や長崎県民の皆さんの判断如何によっては失われずに済むかもしれません。こうばるに流れる時間、人と自然が共生するそこにある営みは、日本の原風景と言っても過言ではありません。そんな貴重な原風景とも言える場所をダムの底に沈めてしまって本当に良いのか、その理解と議論が不十分であると感じた方々からの請願をここにお持ちいたしました。

イベントの準備、開催をする中で、石木ダム建設をよく知らなかった2つの異なる立場からの特に注目すべき声をご紹介します。

<今回のイベントに参加した、あるいは関心を寄せた佐世保市民・特に若い世代の声>

これまでダム建設は当たり前のことと捉えてきて特に問題とも感じでいなかったが、巨額のダム建設費を、今後自分たち若い世代の佐世保市民が負担していく以上、ダム建設の必要性を詳しく知りたい。仮にダム建設による「利水」「治水」の効果が期待できないとするならば、不要である望まないダム建設によって、誰かの大切な故郷を奪いたくなんてない。最も多かった声です。

<イベントに関心を寄せた長崎県外/国民視点の声>

こうばる地区という場所は長崎県だけのものではなく、日本の宝といっても過言ではない原風景のように思えます。だからこそ、そこが失われるかもしれないという問題は、長崎県の事業とはいえ、日本国民にも知る権利はあるはずだし、何より納得のいく建設根拠が、そこを故郷とする地権者や奪う側になるかもしれない佐世保市民にしっかりと示されることを望む。という声です。

こういった声の背景には、東日本大震災、熊本地震をはじめ、列島で起こった様々な大災害により、暮らしの根幹を突如として奪われた方々が、全国各地に数多くいらっしゃるということ。つまり、いま日本は「失われる」ということに大変敏感な時代に入っていることが挙げられると思います。日本のどこかで局地的に起こった痛みに対して、それを自分ごとと捉え、日本全体で寄り添い支援しようというこの素晴らしい波が、石木ダム建設にも注目をし始めています。

失うという体験は、それが愛する人の命であれ、かけがえのない故郷であれ、なんでもない日々の営みであれ、置き換えのきかない物事を失うという体験は、哀しみ、苦しみそのものであり、その後、生きていく希望を根こそぎ奪われるまさに失望であります。

石木ダム建設によって希望が生まれるのか、あるいは失望を生んでしまうのか。ダム建設の必要性がわからないでいる佐世保市民、知りたいと思っている長崎県民そして全国の方々に分かりやすく示していただきたいと思います。 

以上の理由から、石木ダム建設について、賛成、中立、反対の立場での公開議論を求めます。

WTK実行委員会
谷川 義行

 

この至極真っ当な請願に対して、委員たちは全会一致で否決。

不採択となりました。

なぜ?

主な理由
・石木ダムについては利水治水両面から既に議論が尽くされている。
・県も十分説明してきたし、国も賛成反対両方の意見を聞いた上で事業認定をした。
・さらに事業認定取り消し訴訟が進行中でもあり、司法の場で議論されている。
 
しかし、
・現実問題として、多くの市民県民が納得していない。疑問を持っている。
・だから、国も公共事業評価監視委員会も、県に説明努力を求めたはず。
・しかし、県はその付帯意見を忘れてしまった?or無視?
 
そんな県に対し、事業者としての説明責任を思い起こさせ、説明や議論の場を促すのが議会の役目だと思うのですが、長崎県議会は真逆でした。
 
委員Aは、
・佐世保市は度々水不足に陥っている。そういう事情を知って請願しているのか?
と請願者の無知を問い詰めるような口調。
(実情を知らなかったのは委員の方なのに…)
 
そこで、もう一人の請願者B(佐世保市民)は、
・佐世保市が水不足で苦しんでいたのは20年も前の事。
・平成6〜7年の大渇水から20年以上、断水は一度も起きていない。
・今夏の猛暑続きの時も佐世保市のダムの平均貯水率は80%を超えていた。
・ここ20年、佐世保市の一日最大給水量は2万トンも減っている。
・これからも人口減少でさらに水の使用量が減るだろう。
と佐世保市の実情を伝えたのですが、
 
それを無視して、委員Aは新たな質問を土木部に向けました。
河川課企画監には、利水面での必要性を語らせ、
河川課長には、これまでに説明を尽くしたということを具体的に語らせ、
土木部次長には、事業認定取り消し訴訟を口実に今は議論できないと語らせた。
 
こんなふうに行政と議会のシナリオに沿って審査は進み、
副委員長による反対討論の後、全会一致で不採択となったのです。

その結果は予想通りでしたが…県議会の有りようそのものには本当に驚きました。県議会では請願者の趣旨説明は議事録に載りません。
形としては休憩時間にするのだそうです。

委員長:請願者の趣旨説明を認めますか?
委員:異議無し
委員長:では休憩に入ります。請願者どうぞ。
請願者:発言
委員長:委員会を再開します。質疑に入ります。
委員:質問
委員長:休憩に入ります。請願者どうぞ。
請願者:発言(質問への回答)
委員長:委員会を再開します。

といった具合。
請願者の発言の度に「休憩に入ります」と宣言。
委員の発言の前に「再開します」と言わねばなりません。
こんな面倒なことをしてまで、請願者の発言を議事録から消したいのでしょうか?
それはなぜ?

また、もう1つ、こんなことがありました。
紹介議員のY県議が発言を求めたとき、委員長はいったん発言を許可したのに、すぐに「却下します」と訂正しました。
自民党のベテラン議員が首を横に振ったからです。
唖然としました。

11人の委員会の中に委員長の権限を無視した力関係があるように、
議会全体も、県庁全体も、ルールや正義よりも力関係が大事で、
それによって物事が決まっていくのでしょうか?

だとすれば、石木ダムも、誰かの大きな力が全てを決めている?
必要性だの住民の思いだのどうでもいい?

それが長崎県政の実態なのでしょうか。

調査が終われば効力は無い?

少し前の記事ですが、とても驚いたので書き留めておきます。

川棚町で2年ぶりに開かれた日曜議会。

その日の一般質問の中で、議員と町長との間でこんなやりとりが交わされていました。

 

この町長の答弁にはちょっとびっくりです。

ここの出て来た覚書とはこちらのこと。

昭和47年に交わされた、確かに古いものですが、

時の県知事と、川棚町の3つの郷の総代が署名押印した正式文書で、

立会人として当時の川棚町長も署名押印しています。

 

で、ここに書かれているのは、以下の4条で、特に第4条が大事なので赤い四角で囲んでみました。

 

「乙(長崎県)が調査の結果、建設の必要が生じたときは、改めて甲(3つの郷)と協議の上、書面による同意を受けた後着手するものとする」と書かれています。

つまり、これは、

まだ建設するって決めたわけじゃないんだよ。

建設する必要があるかどうか判断するために調査するんだよ。

で、調査した結果、建設すべきとなった場合は、ちゃんと皆さんと話し合って、

合意ができたら文書を作成して、きちんと手続きをふむよ。

それをしないで勝手に工事を始めるなんてことはしないから安心してね。

という意味でしょう?

だから、それなら調査してもいいですよ、ということで覚書を交わしたわけですよね?

 

なのに、この約束を反故にして、県は勝手にダム事業に着手した。

それを、この約束の場に立ち会った川棚町長も認めてしまった。

これじゃあ、何のための覚書だったの?

と、第三者でも納得できません。

 

しかし、現町長さんの答えは、

「調査をするために結んだもので、(調査を終えた)現時点で効力はないと考えている」でした。

 

えー!

それじゃあ詐欺同然、だまし討ち同然じゃないですか?

覚書の法的効力など知らない素人の私にはそう思えてしまうのですが、

違います?

 

まあ、私たち日本国民は約束事にはルーズな国民性ですからね〜

「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と憲法で謳っておきながら、

自衛隊の軍事力は世界で常にベストテン入りしています。

(調査機関によって9位とか4位とか評価が分かれているようですが)

一番憲法を守らなきゃいけない大臣や国会議員が平気で憲法を汚し傷つけているし…

 

そんな体質は認識した上で、それでも、やはり納得できない。

まるで、騙される方がバカなんだよ〜と言われてるみたい。

これでは、県民は知事を信用できない。

町民は町長を信用できない。

信頼の無いところに、未来はない。

だから、石木ダム問題も、いつまでたっても解決しないし、

溝は深まるばかりです…     

 

  

 

6回目の請願も全会一致で不採択

先月11日、県は未買収地の残り全て約9万㎡を裁決申請し、

県収用委員会は今月10日それを受理しました。

これで、ダム建設予定地に住んでいる川原13世帯の家々が全て強制収用の対象となりました。

 

1回目の裁決申請は4世帯の農地だけでしたが、

その時と同じように手続きは粛々と進められ、裁決が出て明け渡しを命じられるでしょう。

でも、農地の時と同じように、地権者の皆さんは誰一人として、それには応じないでしょう。

すると、どうなる?

行政代執行ですか?

柱にしがみついて抵抗する住民を引きはがして、ブルドーザーで家を潰してしまうのでしょうか。

それとも、先にコンクリートの堤防を築いて、徐々に水を溜めていき、

まるで生き埋めのように、全てが水の底に沈むのを待つのでしょうか。

そのような前代未聞の蛮行がこの長崎県で行われるのでしょうか?

佐世保市議会は、それを許すのでしょうか?

私たち佐世保市民は、私たちの水源確保のために川棚町民を犠牲にするなんて耐えられません。

この思いを議会に伝えるために、6月10日、請願を提出しました。

そして今日、その請願が委員会審議にかけられ、私たちは思いを込めて趣旨説明をおこないました。

 

請願文書を見て頂ければわかるように、今回は4団体による提出です。

4団体で訴えたことは、

・何が何でもダムを造らなければならないという根拠がわからないし、緊急性も感じない

・ダムよりも漏水対策にお金をかけるべき

・基本的人権と公共の福祉を天秤にかけた時、石木ダムによる公共の福祉が大きいとは思えない

・明け渡し裁決が出ても地権者はそこに住み続け、出ていく人は誰もいない

・石木ダムに関する新聞への投稿記事は、ほぼ100%反対の声ばかり

・議会は行政の代弁者ではなく市民の代弁者であるべき。市民県民の声に耳を傾けてほしい

・新聞の社説も、必要性の説明が不十分な状態で、強制収用という手法を取るのは許されないと断じている

などなど。

 

私たちの陳述が終わり、質疑の時間になりましたが、委員は誰一人手が上がりません。

仕方なく?(予定通り?)委員長は「暫時休憩し、11時から再開し結論を出す」と告げました。

 

そして再開。

各会派から反対討論が述べられ、予想通り、またも全会一致で不採択となりました。

 

これまでの反対理由はこうでした。

2012年(事業認定される前)〜事業認定申請したのは地権者との話し合いが目的である。現段階で強制収用について論ずべきではない。

2013年(事業認定されると)〜認定はされたが、県が裁決申請するかどうかはまだわからない。仮定の話には応じられない。

2014年(裁決申請に踏み切ると)〜事業認定は法に則って公正に行われたものであり、認定された以上手続きを前に進めるしかない。しかし話し合いの余地は十分残されている。

 

さて今回はどんな理由で私たちの請願に反対したのでしょう?

各会派から出された意見をまとめると、こういうものでした。

〇裁決後も任意交渉は続いている。これまでも任意交渉の中で合意を得てきたので、今後もそれに期待する。

断腸の思いで移転された54世帯の方々のことも考えなければならない。

〇県は生活再建や集団移転の斡旋など最大限の措置を予定しており、地権者の相談に応じると言っているので、地権者の方が路頭に迷うことはない。

石木ダムに代わる抜本的な水源対策がない中では、手続きを進めることはやむを得ない。

〇ダムの必要性に関する当局の説明は十分合理的である。

などというものでした。

 

やっぱり…委員の皆さんは行政の代弁者ですね。

任意交渉で合意できる人たちは既に土地を売って出て行かれました。残っているのはどうしても合意できない、今後も絶対に応じない人たち。だから期待してもダメ。

◎決断の際に苦渋の思いをされた方はふる里を愛していたから。そのふる里が残るなら、それは嬉しいはず。もしも可能なら、今の家を売ってまた戻ってくればいい。川原の皆さんはきっと歓迎してくれますよ!

◎県が話し合いたいのはいつもそれ。補償金や生活再建や移転先の話。その前に話すべきことがあるでしょ?なぜここにダムを造らなければならないかという原点の話。それを抜きにして補償金の話などしようとするから地権者との溝が深まるばかりってこと、わからないかな〜

◎石木ダムに代わる抜本的な水源対策など要りません。水は足りているのだから。もっと欲しいと思う人もいるかもしれないけど、欲を出せばキリがない。足るを知る生き方がこれからは大事なんじゃないかな〜

◎ダムの必要性に関する当局の説明は十分合理的である?!へぇー!!あの水需要予測が合理的だと思えるなんて、ずいぶん奇特な方もいるのですね〜失礼!当委員会の皆様は奇特な方々ばかりでしたよね。私たちのような凡人には理解できませんが・・・

 

そんなことを思いながら拝聴させて頂きました。

 

傍聴に来て下さった市民の皆様、佐世保市外からも駆けつけて下さった皆様、

お疲れ様でした。そして、

 

これからも諦めず、しつこく、しぶとく、請願を続けます。

一緒に頑張っていきましょう〜 

 

 

追記:翌日の新聞記事を添付しておきます。(長崎・朝日・西日本)

 

賛成少数、でも、勇気凛凛

今日は佐世保市議会3月定例会最終日。

本会議において、様々な議案について委員会報告があり、その後裁決がおこなわれました。

私たちが提出した請願についても、結果はわかっていましたが、

どのような質疑討論があるか、興味を持って傍聴に出かけました。

 

まず久野都市整備委員長より審査報告がありました。

①市民への情報提供を求めるという趣旨には賛同するが、

水道局は水道管の老朽化に対し既に計画的に整備を行う考え方を示しており、

財政的な観点からも引き続き長期的計画的に行うことが適切である。

②また個人所有の水道管に対し費用の助成を行うよう水道局に求めることは困難である。

よってこの請願には賛同できないなどとの意見があり、採決の結果賛成少数で不採択としました。


続いて質疑に入り、山下議員から、次のような質問が出されました。

請願者は老朽化の実態を把握してもらいたい、

そして具体的な更新計画を示してもらいたい、

そしてそのためにはいくら費用がかかるのか、その財源確保計画を示してもらいたい、

そう言っている、これが請願項目であります。

この請願項目に対して、老朽化の実態は明らかになったのでしょうか?

具体的な更新計画は示されたのでしょうか?

いくらお金がかかるのかその財源確保計画は示されたのでしょうか?

お答えいただきたい。

 

委員長の回答は、

  委員会では山下議員から出されたような質議はありませんでした。

と、それだけ。

つまり肝心な質問は何もなかったということ。

委員たちはそのようなことを知ろうともしなかったし、関心も無かったのか?

 

その後討論に入り、早稲田議員から力強い賛成討論がありました。

漏水対策に関して国は、計画的な施設更新による有効率の向上を目指せと言っている。

給水人口10万人以上の事業体に置いては、有効率の目標値は98%以上と示されています。

本市の実態はどうか?

平成25年度の有効率は89.4%、無効になった水量は一日に9,762トン。

また26年度の実績は89.8パーセントで一日の無効水量は9,193トン。

こんなに水を無駄にしています。

これまでも佐世保市水道局は漏水調査と更新に取り組んでこられましたが、

いまだに10パーセントの漏水があるという事は、これまでの漏水対策に課題ありという事。

水資源が少ないと言われている佐世保市にとって、漏水対策こそが喫緊の課題。

請願者は、1月の断水を貴重な経験として、これ以上水を無駄にしてはいけない!

との切羽詰まった思いで、そういう市民を代表して請願に踏み切られたんだろうと、

私はそう推測しています。

水道局は早急に対応すべきです!

 

続いて山下議員も賛成の弁を述べられました。

1月の断水被害はひどいものでした。

どんなに水瓶に水があっても水道管が破損していては水が届かない。

水というライフラインの大切さを改めて教えてくれることになりました。

だから老朽化の実態を把握して、具体的に整備計画を詰めてもらいたい。

いくらお金がかかるのか、財源確保計画をちゃんと示してもらいたい。

これが請願の大事な中身になっている。

じゃぁどれほど漏水をしているのか。

先ほど早稲田議員からも数字が示されましたが、私は別の角度から示してみたい。

(私たちが趣旨説明の際提出した長崎市との比較の数字を全議員に公表)

今や為すべき事は老朽化対策!

せっかくそこに有る水を大切に使用していく。

そのために行政がきちんと責任を果たしていく。このことが喫緊の課題であります。

 

その後裁決に入り、予想通り社民・共産の4議員以外は全て反対、よって不採択となりましたが、

お二人の賛成討論は、きっと他の議員の心にも届いたに違いない・・

少なくとも、私たち請願者は、そう思いたい。

 

これからもメゲズに訴え続けていきましょう〜というメールがたくさん届いています。

水道管の老朽化対策を求める請願、不採択!

昨日、佐世保市議会都市整備委員会において、市民有志16名が提出した請願21号の審査結果が出されました。

委員長を除く7名中、賛成派1名(社民党)のみで、他の6人(自民・公明・市政クラブ・緑政クラブ)の委員は反対、よって不採択となりました。

私たちにとっては予想通りの結果でしたが、マスコミの方は驚いていました。

何で反対なんですかね?

請願の内容は、ごく当たり前のことが書かれているような気がしますけどね、と。

ですよね〜

私たちが請願した事項は次の3つです。

 

1.全ての水道管を点検し、老朽化の実態を早急に把握し、具体的な更新計画を市民に示してください。

2.また、その更新計画を遂行するための費用を算出し、着実に遂行できるよう財源確保計画を市民に示してください。

3.個人所有の水道管の破裂や漏水を未然に防げるよう、老朽化対策について市民への情報提供に努めて下さい。

上記のことを佐世保市水道局に求めてください。

 

これの何が問題なのでしょう?

各会派から
その理由が述べられましたが、内容はだいたい同じようなものでした。
 
それを
まとめると次の4つです。
 
反対理由
 
今回の断水は個人宅の水道管の問題で水道局の施設ではない。
 
 情報提供は大事だが、それを受けて管理するのは個人の責任である。
 
老朽化対策は大事だが、水道局は現在アセットマネジメント構築に向けて計画的にやっている。
 
 先送りしているわけではない。
 
対策をもっと早くということだが、財政的なことを考えると急にはできない。
 
 市民への負担が大きくなるので、やはり長期計画で進めていくしかない。
 
④個人所有
の水道管更新への助成は適当ではない
 
 
 
 
聞いていて、勘違い・すれ違いを多々感じました。(もしかしたらわざとすれ違ってる?)

その1:私たちが問題にしていたのは、水道局の水道管の老朽化についてです。

個人所有の水道管対策ではありません。

(付け足しで述べたことを逆にメインにして反対の理由とされてしまいました)

その2:水道局が何もやっていないとは言っていません。

「水道ビジョン」だとか「アセットマネジメント」だとか、市民にとっては意味不明の、厚労省の指導に沿った取り組みがなされているのは知っています。

しかし、机上でいかに立派な計画書を作っても、老朽管の更新を急がなければ漏水はなくならず、むしろ水道管破裂による断水の可能性は大きくなるばかりです。

その3:財政的なことを考えると、更新を急ぐことは難しく長期計画でいくしかない?

その発想を変えてほしくて請願をしたのです。

結論ありきでは現状打開はできません。まず何よりも重要なのは情報提示。

厚労省が策定した新水道ビジョンの理念は「地域とともに、信頼を未来につなぐ日本の水道」です。

そして重点的な実現方策の1つが「住民との連携(コミュニケーション)の促進」です。

市民に積極的な情報開示をせずにどうして連携がとれるでしょう?

老朽化した全ての水道管の更新には莫大な費用がかかると聞きますが、それがいったいどのくらいのものなのか、私たち市民は皆目見当がつきません。

だから示してほしいと言っているのです。

それがわかってから、では、その費用はどうしよう?

水道料金を値上げする?

いやいや、一般会計から補てんする?

いやいや、今有る無駄を取り除き、その予算をまわす?

など市民自身も熟慮して、必要な財源確保を目指すことが大事!なはずですが・・・

 

なぜか議員の皆さんは、そうは思わないようで・・・不思議です。

いや、不思議でもないかな?

佐世保市議会は石木ダム建設促進決議をあげてますからね。

毎年、市が県や国へ要望する最重要課題として石木ダム建設促進を掲げるのを認めてますから。

石木ダムの予算を老朽化対策に回してほしい〜なんて市民の声が盛り上がっては困るのでしょう。

だから、市民には何も考えないでもらいたい。

難しいことは市や議会が考えるので、市民は黙って従ってほしい。

本音はそんなところでしょうか?

 

昨日の委員会の結果を知り合いの佐世保市民20人ほどにメールで伝えたら、

こんな返信をいただきました。

 

請願内容のポイントは個人の水道管でなく、佐世保市の「水道本管の老朽化対策」でしょう?

不採択の意味が私には理解できませんね。

漏水が1日に4トントラックで1750台分程度ありますから、まずこれを減らすことですよね。

そのためには「水道本管の老朽化対策」と思いますよ。

 

え?1750台?

びっくりポン!です。

先日この方から佐世保地区の漏水量を聞かれたので平成26年度の実績値として、

7,035㎥/日と伝えました。

それを4トントラックでは何台分になるかと計算されたのですね。

とてもわかりやすいですね。

しかし、佐世保市全体で考えれば漏水はもっとあって、

26年度は、7.951㎥/日でしたから、

4トントラックでは1988台分です。

 

4トントラックの大きさがピンとこない方のために別のたとえを考えてみます。

佐世保市民の一人一日の水の使用量は平成26年度の場合188リットルだったので、

一日の漏水量は、42,293人分の水を無駄にしたことになり、

1人で使うとしたら、115年分の水量で、

一生かかっても使いきれない水の量を一日で無駄にしているということですね。

 

2003年6月、国連アナン事務総長が発信したメッセージには愕然としました。

世界の20億人が水不足で命の危険にさらされています。

6人に1人は、安全な飲料水をいつも利用できずに暮らしています。

水関連の病気は8秒に1人の子どもの命を奪っています。

 

現在はずいぶん改善されてきました。

昨年6月の、ユニセフ(国連児童基金)とWHO(世界保健機関)の共同発表によると、

1990年以降、26億人が安全な水にアクセスできるようになり、現在世界の人口の91%が安全な飲料水を利用しています。

15年前には、毎日2,000人の子どもが汚れた水や不衛生な環境に起因する下痢で亡くなっていましたが、現在その数は1,000人以下まで減っています。

とのことで、ユニセフ等の努力の成果は素晴らしいと思いますが、

それでもまだ一日に1,000人近い子どもがきれいな水が飲めなくて亡くなっているのです。

 

ドラえもんのどこでもドアがあれば、佐世保市の漏水を、この子たちに届けられるし、

汚れた水で亡くなる子は一挙にゼロになるのに・・・などとアホなことを夢想してしまいます。

 

話がすっかり横道に逸れましたが、とにかく、

佐世保市議会議員の皆さん、

もう少し、水問題を真剣に、石木ダムにとらわれず考えてくださいね〜

 

 

水道管の老朽化、対策と財源確保計画、迅速に

佐世保市民有志は、佐世保市議会3月定例会に、以下のの請願書を提出しました。

これに対する委員会審査が、今日、都市整備委員会にておこなわれました。

請願文書の補足説明として、次のような資料を提出しました。

 

  ★佐世保地区の1月の貯水率と配水量

表下に記しているように、1週間の断水の間も佐世保市のダムの貯水率は91%を超えていた!

という事実を委員の皆さんに伝えたかったからです。

これを見れば、

どんなに水源確保ができていても、それを運ぶ管が破損していたら断水に繋がる

ということが一目瞭然。

そして、そのような水道管の破損は寒波による凍結だけではない。

常日頃から慢性的に市内のあちこちで漏水している。

それを示す資料として、次のものを提出しました。

 

これは、佐世保市と長崎市の漏水量を比較したものです。

漏水量そのものは測れませんので、

総給水量から有効に使われた「有効水量」を引いた「無効水量」が漏水量と見做されています。

佐世保市のデータは、3月14日の都市整備委員会で審議された28年度水道事業会計予算の委員会資料から得たもので、

長崎市のデータは、長崎市上下水道局のサイトから入手しました。

それを表にして比較してみると、びっくり!でした。

上の表では見にくいので、一部を拡大して貼付すると、

 

こういう事実が明らかになりました。

人口も給水量も長崎市の60%台の佐世保市が、漏水量だけは120%台  

昨夜資料を作りながら、見間違い?計算間違い?と、何度も疑ってやり直しました。

佐世保市の漏水対策が長崎市と同じレベルだったら、無効水量も同じ60%台になってるはずです。

仮に給水量と同じ66%だとしたら、7850✕0.66=5181となり、

佐世保市の漏水量は、5,181㎥/日に抑えられるはずです。

実際には、9748㎥/日なので、9割増しの漏水ということになります。

 

佐世保市で漏水が多いのは、地勢的な要因によるものだと、市長も水道局長も説明してきました。

しかし、同じように斜面地の多い長崎市(坂の勾配は佐世保以上だと言われています)で、

これだけ漏水を押さえているということは、やはりやる気の問題です。

地形のせいにしないでください。

もちろん、それも要因だけど、地形は変えられないのですから、

じゃあどうしたらいいのかと、対策に頭を使うべきです。

お金を使うべきです。

人も使うべきです。

その努力を怠って、「お願いします!石木ダム」などと言わないでください。

 

3/14の委員会で頂いた資料によると、

平成25年度の佐世保地区水道管の経年化率(法定耐用年数40年を超えた管の割合)は、19.2%でした。

平成19年度時点では9.3%だったので、わずか6年で10%も増えています。

このままではますます老朽管が増え、水道管破裂の危険性が高まり、断水の可能性も増えるでしょう。

水道局長はいつも言います。

「安心安全な水を提供し続けるのが私たちの使命」と。

いつ破裂するかわからない水道管をかかえたまま、安心して暮らせますか?

(水道局職員の方も、本当に気の休まる時がないのではないかと、お察しします)

職員も市民も安心して暮らせるよう、取り組むべき課題の優先順位を考えるべきです。

 

しかし、委員の皆さんの反応は冷ややかでした。

*今回の断水は水道局の水道管ではない。個人所有の給水管で、ほとんどは給湯器の配管破裂。

*寒波による断水と老朽化を無理やりこじつけているように感じる

*水道局も老朽化対策はある程度やっている

*水道局も情報は提供している。市民の無関心が問題

*なんでも行政を頼るのではなく、個人の給水管は個人の責任で守るべき

あ〜あ

あの、すんごい漏水量の資料を目の当たりにしても、問題意識を感じない方々のようです。

*情報提供してる?どんな?慢性的水不足なら聞き飽きるほど聞いてますが。

 佐世保市は漏水がこんなに多いです。

 あなたの家のそばの道路の地下に埋まってる配水管はもう耐用年数を超えています。

 鉛管は漏水しやすいし、体にもよくないので早く替えた方がいいです。

 なんて、教えて頂いてます?

*ある程度の対応しかやってないから漏水が減らないんでしょ?

 議員さんたちはそれでいいとお思いなんですか?

*なんでも行政に頼ろうなんて思っていません!

 私たちが出したお金=税金や水道料金=を必要なところに使って頂きたいだけです。

 個人の給水管は個人が整備するのは当然だけど、その余裕がない家だってあるでしょ?

 シングルマザーの3人に2人が貧困だという現実ご存じないのでしょうか?

 三度の食事が満足に食べられない子どもたちがいます。

 そんな家で、給水管が古くなったからといって、すぐに更新できますか?

 そういうところは放っておくのですか?

 その結果破裂して断水を余儀なくされても自己責任。

 そういう家が数件あったために他の家庭まで断水の巻き添えを食ったら、

 貧困家庭を恨めとでも?

そんな反論が頭の中を駆け巡っていました。

そして、こんな質問を受けました。

 老朽化対策を急げと言うなら費用はどうするのですか?

 大村市のように水道料金を値上げする?それとも他からもってくる?

正直に言いました。

 私自身は他からもってくればいいと思っています。

 (石木ダムの予算を使えばいいでしょ!)

 でも、いろんな考え方があると思うから、それは一人ひとり考えることです。

 そのために、市民に現状を知らせ、対策を実行するための予算額を伝え、

 それをどう工面するか皆で考えることが必要だと思い、この請願を提出したのです。

 

帰宅したら、神奈川在住の方から、こんな情報がメールで寄せられていました。

 東京都では、漏水防止対策の推進により、

 60年前には30%以上あった漏水率を、2009年には3%に低減させた。

 この対策の結果、年間約3億3千万m3(人口250万人規模の都市の水道
 使用量に相当)の
漏水防止を実現。

 また、温室効果ガスである二酸化炭素排出量を年間約6万5千トン削減する
 効果も生み出している。

 このように漏水防止対策は、貴重な水資源の有効利用のみならず、
 地球温暖化防止にも有効な対策でもある。

 

石木ダム再評価 市議会も逃げる!

今日午前、佐世保市議会石木ダム建設促進特別委員会で、私たち2団体(石木川まもり隊、水問題を考える市民の会)が提出した請願についての審査がおこなわれました。

請願文書の中身は次の通りです。

(請願の趣旨)

 私たちは9月議会に同じ題名の請願文書を提出しましたが、不採択となりました。その理由は「現時点では県公共事業評価監視委員会から県に対し答申がなされておらず、工期延長に関する県の判断が確定していない中で、市が独自に判断をすることは適当ではない」というものでした。

 しかし、今やその判断は示されています。県公共事業評価監視委員会はさる10月14日、6年の工期延長を含む石木ダム建設事業の継続を認め、それを受けて県は11月17日、工期延長を正式に決定しました。もう県の方針は確定したのです。佐世保市はそれを認めるのか、早急に対応を検討しなければなりません。また、その検討に際しては、再評価委員会を開き真剣に議論することが求められます。

 なぜなら、公共事業評価監視委員会が県に提出した意見書には、治水だけでなく利水や地域経済、環境保全などにより総合的に判断することが重要であると書かれていましたが、利水について判断するのは県の仕事ではなく佐世保市の問題だからです。共同事業者として石木ダムに参画している以上、再評価を通じて県民に説明する責任があります。

そして、6年もの工期延長を受け入れるなら、平成24年度再評価による水需要予測では、水供給不足をきたすことになります。その間の水の不足分をどうやって確保するのか、市民への説明責任も果たさねばなりません。

石木ダム建設を喫緊の課題としてきた佐世保市議会としても、工期延長に関しては不安や懸念を持たれているはずです。佐世保市はどのように対応するのか、しっかり検討するよう当局に強く要望することを願います。

 (請願事項)

1.     県が決定した石木ダムの工期延長を市は受け入れるのかどうか、再評価委員会を開き、しっかり議論検討するよう、議会は市当局に求めること。

 以上、請願いたします。

 

まず、この文書をSさんが読み上げた後、私からも補足説明をしました。

その内容は、      

・県は石木ダムの工期6年延長方針を決定し、12月8日の県議会環境生活委員会において報告した。まもなく共同事業者である佐世保市への報告と協議に入り、その後国へ報告の予定と聞いている。一刻も早く石木ダム事業の再評価に取り組む準備を始めるよう、市に促して頂きたい。

・私たちが再評価を議会に請願するのには3つの理由がある。

・1つは、前回の再評価で示された水需要予測がどうしても理解できないから。地権者の皆さんもそのことを訴え続けておられる。必要性のないダムのためにふる里を追われるのは承服できないと。ダムの必要性を検証する場ともなる再評価を避けるなら、地権者の理解はとうてい得られないだろう。

・2つ目は財政の問題。日本全国水道施設の老朽化が深刻な問題となっており、その財源確保にどこの水道局も頭を抱えている。施設の更新が追い付かないから漏水や水道管破裂事故などが頻発。先月も長崎市で水道管が破裂して道路は大渋滞、断水世帯は1500世帯にもおよんだ。もちろんそれは他人ごとではなく佐世保ではもっと頻発している。昨年は26件もおきていて、4月の破裂事故では2500世帯が断水した。耐用年数を超えた老朽管は19%を超え、順次取り換えているが、財源の問題もあってなかなか追いつかないという。その上、ダム事業費が重くのしかかれば、水道料金の値上げや一般会計からの補てんに繋がるのは目に見えている。298億円という莫大なお金が市民の財布から出ていくのだから、再評価という公開の場で情報をしっかり開示して、市民の納得を得るべき。

・3つ目は議会への期待。再評価をやらずに工期延長を認めるなら、それは市がもはや石木ダム事業の必要性を説明できない状況に立ち至ってしまったのだとみなされるだろう。そうでないなら、そのような誤解を払拭するためにも、また、工期を6年延長した場合の水源確保対策案を示すためにも、再評価は不可欠である。それを当局に要求できるのは議会であり、当委員会。公開の場での再評価もせずに、結論だけが市議会にもたらされるようなことがあれば、それは佐世保の水源問題だけではなく、佐世保の民主主義が問われることになるだろう。

などと説明しました。

 

その後、質疑に入り、

萩原委員:昨今の異常気象が心配。皆さんはダム以外にどうやって水を確保しようと思っているのか?

私:中水道を普及させ、再生水や雨水を活用すべき。また、佐々川からの取水もできる。

Sさん:大渇水の時はダムの水も干上がってしまう。異常気象を心配するなら海水淡水化も考えられる。

萩原委員:佐々川も大渇水の時は心配。中水道にしても海水淡水化にしてもお金がかかる。新たな水利権を得るのも難しい。今まで取り組んできたダム建設を進めるべき。

私:平成6年の大渇水の時にも佐々川からは一日平均1万トンの水を送って頂いた。川棚川よりも水量が豊富。またすでに佐々川には佐世保市の取水施設があり新たなコストはかからない。

Sさん:水利権の交渉が難しいと言われたが石木ダムはどうなのか?建設予定地の住人との交渉は難しくないのか?居住権を取り上げることこそ難しいのではないか。

山下議員(員外発言):佐々川には東部かんぱいや相浦発電所などの遊休水利権がある。遊休水利権の転用は厚労省も奨励している。佐々川の水利権を管轄するのは県。まずは流量調査をするべきだ。

永安委員:前回の再評価では平成36年までの見通しが出されている。前回の評価について特別に大きく変わった事があるのか?そのようなことがあるなら再評価しなければいけないかなと私も思うが。

私:例えば工場用水の問題がある。平成24年度再評価の際には平成27年度に急激に増えると予測された。直近実績値の3倍以上という異常な予測。これはSSKが当時発表した経営方針変換(修繕船の受注を増やす)から導き出された架空予測。その後SSKは名村造船の子会社となり今は造船のほうに力を入れてる。同社の水需要は全く増えていないので工場用水全体も変わっていない。

Sさん:もう一つの大きな変化は工程表の6年延長。その間4万トンの水が得られなくなるのだから、これは大きな変化だ。その間の水源確保をどうするかということをぜひ検討しなければいけない。

林委員:24年度から今日までに変わってきたものは色々ある。小佐々の工業団地や自衛隊などもそうだ。検討することは必要だと思うが、それが今なのか?6年の工期延長に至った理由を考えると、受け入れざるを得ない。民主主義は守るべきだし、再評価についても今後考えていきたい。

Sさん:工期延長を受け入れるなと言っているのではない。受け入れるなら、不足分の4万トンはどうするのか示してもらいたいということ。

小野原委員:工業団地に工場を誘致してもらいたいし、そのためにも水が必要。また不安定水源の水は渇水の時に使えない。ダムの老朽化による貯水量の減少もある。市民が安心して水を使えるよう石木ダムを何とかお願いしたいと思っている。

Sさん:確かに潤沢に水を使えたら良いだろう。しかし我々が潤沢に水を使うために、川原の13世帯の暮らしを犠牲にしていいのか、そこを考えてほしい。

 

などなど請願にしては珍しく、1時間以上のやりとりが続きました。

そのことは大変嬉しかったのですが、

休憩後の結論は・・・


緑政クラブ:前回の再評価から今日までの間にいくらかの社会経済情勢の変化などもあっているが総合的に判断することが必要。今再評価しなければいけないかと言うと、そうではないと思う。

自民党:佐世保市は厚生労働省の指導に従って再評価をやっている。次の再評価は石木ダムが完成したときにやることになるだろう。6年の工期延長は確かに辛いものがあるが、市民の理解を得ながら乗り切っていきたいと思う。

市政クラブ:再評価は補助金をもらうための手続きで事業の是非を問う手続きではない。なので再評価については反対だが、市民の方の疑問について丁寧に説明することは必要で、それを水道局に求めることは私としては大切なことだと思う。

民主党:再評価は補助金をもうための手続きで事業の是非を問う手続きではない。工期が6年延長になっても直ちに再評価を必要とするものでは無い。

公明党:工期延長については断腸の思いだが、受け入れざるを得ない。再評価については他会派と同じで、補助金をもらうための手続きなので国から求められない限りやる必要は無い。佐世保は常時渇水の危機にさらされている。抜本的な解決は石木ダムしかない。

等の理由で、いつものように不採択!

議会も行政と同じで結論有りきなのですね〜

わずか10分ほどの休憩時間で、会派内での議論などできるはずもありませんからね。

いくら委員会の場で、私たちが趣旨を説明し、委員の疑問に答えても、

予め決めてあった「再評価は不要、求めない」という結論は決まっていたのですよね。

 

それにしても、議会は何故そんなに再評価を避けるのですか?

逃げるのですか?

「再評価は補助金を受けるための手続き」ではありますが、結論として事業を継続すべきか否かを出すわけですから、ダムの必要性を見極めることと同じです。

それを市当局(=起業者)が避けたい気持ちはわかりますが、

議会も同じですか?

何故ですか?

かつて推進と決めたことでも、社会状況や民意が変われば、議会なら見直すことはできるし、

そうすべきなのに・・

 

反対理由を述べる時、あきらかに水道局の答弁そのままの委員の方もいましたっけ。

やはり、議会に期待するのは甘かったのでしょうか。

 

「国が求めなければ再評価する必要はない」とか「再評価をするのは今ではない」とかおっしゃっていた皆さん、9月議会への請願時に皆さんにはこの資料をお渡ししたはずです。

 

「工期の大幅な延長」、これが再評価をやるべき理由です!

だからこそ県は治水面からの再評価を8月にやったのです。

なぜ利水面ではやる必要がないというのですか?

9月議会で説明済みだったので既にご理解なさっているとばかり思っていましたが、

これを理由に反対されるとは・・・

なぜ質疑のときに、このことを言われなかったのですか?

私たちが説明できない裁決の場面になって持ち出すのは卑怯です!

 

ただ、嬉しい言葉も聞けました。

橋之口委員の「市民の方の疑問について丁寧に説明することは必要で、それは大切なこと」

林委員の「民主主義は守るべきだし、再評価についても今後考えていきたい」

お二人が今後どのように実行に移して頂けるか、見つめていきたい。。

 

 

県議会まで逃げるのか!

7日の長崎新聞の記事をご覧ください。

県議会は6日で9月定例会を終えましたが、石木ダム工期延長について、「議論は全くなかった」そうです。

何故でしょう?

初の強制収用が実施されたばかりで、さらに家屋を含む収用手続きに入っているこの重大な時期に、議会が無関心とは・・・。

 

9月には公共事業評価監視委員会の意見書が提出され、それを受けて県議会に報告、承認を得て工期延長が決定と言われていました。

しかし、何故か、まだ意見書が出ていない。(誰かが何かの目的で遅らせているのか?)

出ていないから県議会に報告できない。(誰かが何かの目的で報告せずに済むようしたのか?)

報告がないから、県議会として議論しないということのようですが、

これでは議会のチェック機能が働かなかったと言わざるを得ない」(緒方記者)

全くです。何のための議会でしょう?

チェックどころか、行政がやりやすいように協力している感さえあります。

そして、知事と市長の連携に見習い、佐世保市議会と県議会も助け合ってるのでしょうか?

 

工期延長に伴う事業の再評価を佐世保市民が求めている。

佐世保市議会は「県議会にも説明されていないので、市に求めるのは難しい」として請願を退けたが、

県議会にかけられ、報告承認されれば、佐世保市議会もそうせざるを得なくなる。

市議会にかければ、県が再評価したのに市が再評価しないのを認めるのは難しい…

再評価すれば、石木ダムの必要性が立証できなくなる…

だから、市を困らせたくない市議会を困らせないよう、県議会も知らんふりを決め込んだというわけ?

それはあくまでも私の勝手な想像ですが(限りなく事実に近い想像だと思っていますが)、

だとしたら、今後、行政も議会も、どのように進めていくつもりなのでしょう。

 

県議に対し個別に方針を説明済み」って、どーゆーこと?

個別に説明して議員の承認は得た、それで6年延長決定とする?

知事に倣って、県議会も逃げるのですか?

その後、佐世保市議会議員にも個別に説明し承認を得て、市議会も認めたということにするわけ?

市議会も逃げようと?

いくらなんでも、そこまで陰でコソコソすることは許されないでしょう。

腐っても議会なのですから。

コソコソ策を弄するのは行政の得意技ですが、議会はそれを表に出し、正々堂々と議論するのが役目なのに・・

 

今定例会でその機会が失われたのは、残念でならない」と私も思いますが、

私たちは、公共事業評価監視委員会の意見書提出を待ちます。

それを受けて県がどう動くか、県議会がどう動くか、見つめています。

そして、それをメディアがどう報道するか。どんな記事が書かれるか、注視しています。

それが今後の議会の動向に少なからぬ影響を与えるはずですから…