昨日の長崎新聞です。
社会面トップです。
こんなに大きい扱いになるとは…正直予想していませんでした。
これを見た多くの県民の皆さんは、
ふむふむ、工程表が見直されたのか。
ダム本体の工事を始めるのが1年遅れるんだね。
でも、全てが終わるのはほんの1〜2ヶ月の違いのようだけど…
それが、そんなに大問題なの???
と不思議に思われたかもしれませんね。
そうなんですよ。
これが実は大問題なのです。
何故かと言えば・・・
1.着工は1年遅れなのに、完成時期はほぼ変わらないということは…
工事そのものをどこかで手抜きする突貫工事になりやすい
or 試験たんすいを甘く見過ぎている。
試験湛水とは、 建設したダムの安全性や貯水機能を確認するための試験で、
実際に水を貯めてみて、水圧にダムが耐えられるか、漏水などがないかを調べるもの。
たいへん重要な最終工程で、ここで躓き、完成しないダムもあります。
事例1.
奈良県の大滝ダムでは、試験湛水中に斜面や家屋に亀裂が入り、試験たんすいを中断。
以後も亀裂は大きくなり、家に住めなくなった。急きょ仮設住宅を造って移転させたり、
地滑り対策にも巨額の費用がかかり、ダムの当初予算は230億円だったが、
今では事業費は3640億円にもふくらんでいる。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E6%BB%9D%E3%83%80%E3%83%A0
事例2.
埼玉県の滝沢ダムは2005年9月にダム本体が完成し、その10月から試験湛水を
開始しましたが、やはり、亀裂や地滑りでたんすい中断、未だに運用できない状態。
http://yambasaitama.blog38.fc2.com/blog-entry-11.html
2.もっと大きな問題は、この工程表の変更を県はずっと公表しませんでした。
7月27日、県が国へ出した報告書には見直し後の工程が示されているのに、
県民には見直したことは何も知らせず、
国へは、報告書4.1.1総事業費と工期のところで、
「工期についても…略…、当初計画からの変更はない」と記しています。
つまり、県民には隠し、国には誤魔化していたのです。
3.なぜ、県は隠したり誤魔化したりしたのでしょうか?
半年や1年ずれても、それがどうしたの?
このダム計画は半世紀も前にもちあがったこと、今さら1年や2年どうってことないのに…
と不思議に思いますよね。
しかし、ではなぜ遅れが出ているのか?ということを国から訊かれたら、
地元の強固な反対にあって・・・と言わねばなりません。
それは、県は絶対認めたくないんですね。
なぜかと言うと、国が示した再検証の項目に実現性というのがあって、
実現性の低い事業計画は考え直しなさいと言われているのに、
県は「実現性の面でもダム案が優位だった」なんてウソの報告をしているからです。
どうしてお役人って、現実を直視できないんでしょう?
どうして一度決めたことは変更や中止が難しいのでしょう?
本来、頭のいい方々のはず、もし一般企業にいたら、社会の潮流や情報を敏感に取り入れて、
いいお仕事をなさっているでしょうに…残念です。