石木ダム問題の今

HOME>石木川まもり隊ブログ

水道管の老朽化、対策と財源確保計画、迅速に

佐世保市民有志は、佐世保市議会3月定例会に、以下のの請願書を提出しました。

これに対する委員会審査が、今日、都市整備委員会にておこなわれました。

請願文書の補足説明として、次のような資料を提出しました。

 

  ★佐世保地区の1月の貯水率と配水量

表下に記しているように、1週間の断水の間も佐世保市のダムの貯水率は91%を超えていた!

という事実を委員の皆さんに伝えたかったからです。

これを見れば、

どんなに水源確保ができていても、それを運ぶ管が破損していたら断水に繋がる

ということが一目瞭然。

そして、そのような水道管の破損は寒波による凍結だけではない。

常日頃から慢性的に市内のあちこちで漏水している。

それを示す資料として、次のものを提出しました。

 

これは、佐世保市と長崎市の漏水量を比較したものです。

漏水量そのものは測れませんので、

総給水量から有効に使われた「有効水量」を引いた「無効水量」が漏水量と見做されています。

佐世保市のデータは、3月14日の都市整備委員会で審議された28年度水道事業会計予算の委員会資料から得たもので、

長崎市のデータは、長崎市上下水道局のサイトから入手しました。

それを表にして比較してみると、びっくり!でした。

上の表では見にくいので、一部を拡大して貼付すると、

 

こういう事実が明らかになりました。

人口も給水量も長崎市の60%台の佐世保市が、漏水量だけは120%台  

昨夜資料を作りながら、見間違い?計算間違い?と、何度も疑ってやり直しました。

佐世保市の漏水対策が長崎市と同じレベルだったら、無効水量も同じ60%台になってるはずです。

仮に給水量と同じ66%だとしたら、7850✕0.66=5181となり、

佐世保市の漏水量は、5,181㎥/日に抑えられるはずです。

実際には、9748㎥/日なので、9割増しの漏水ということになります。

 

佐世保市で漏水が多いのは、地勢的な要因によるものだと、市長も水道局長も説明してきました。

しかし、同じように斜面地の多い長崎市(坂の勾配は佐世保以上だと言われています)で、

これだけ漏水を押さえているということは、やはりやる気の問題です。

地形のせいにしないでください。

もちろん、それも要因だけど、地形は変えられないのですから、

じゃあどうしたらいいのかと、対策に頭を使うべきです。

お金を使うべきです。

人も使うべきです。

その努力を怠って、「お願いします!石木ダム」などと言わないでください。

 

3/14の委員会で頂いた資料によると、

平成25年度の佐世保地区水道管の経年化率(法定耐用年数40年を超えた管の割合)は、19.2%でした。

平成19年度時点では9.3%だったので、わずか6年で10%も増えています。

このままではますます老朽管が増え、水道管破裂の危険性が高まり、断水の可能性も増えるでしょう。

水道局長はいつも言います。

「安心安全な水を提供し続けるのが私たちの使命」と。

いつ破裂するかわからない水道管をかかえたまま、安心して暮らせますか?

(水道局職員の方も、本当に気の休まる時がないのではないかと、お察しします)

職員も市民も安心して暮らせるよう、取り組むべき課題の優先順位を考えるべきです。

 

しかし、委員の皆さんの反応は冷ややかでした。

*今回の断水は水道局の水道管ではない。個人所有の給水管で、ほとんどは給湯器の配管破裂。

*寒波による断水と老朽化を無理やりこじつけているように感じる

*水道局も老朽化対策はある程度やっている

*水道局も情報は提供している。市民の無関心が問題

*なんでも行政を頼るのではなく、個人の給水管は個人の責任で守るべき

あ〜あ

あの、すんごい漏水量の資料を目の当たりにしても、問題意識を感じない方々のようです。

*情報提供してる?どんな?慢性的水不足なら聞き飽きるほど聞いてますが。

 佐世保市は漏水がこんなに多いです。

 あなたの家のそばの道路の地下に埋まってる配水管はもう耐用年数を超えています。

 鉛管は漏水しやすいし、体にもよくないので早く替えた方がいいです。

 なんて、教えて頂いてます?

*ある程度の対応しかやってないから漏水が減らないんでしょ?

 議員さんたちはそれでいいとお思いなんですか?

*なんでも行政に頼ろうなんて思っていません!

 私たちが出したお金=税金や水道料金=を必要なところに使って頂きたいだけです。

 個人の給水管は個人が整備するのは当然だけど、その余裕がない家だってあるでしょ?

 シングルマザーの3人に2人が貧困だという現実ご存じないのでしょうか?

 三度の食事が満足に食べられない子どもたちがいます。

 そんな家で、給水管が古くなったからといって、すぐに更新できますか?

 そういうところは放っておくのですか?

 その結果破裂して断水を余儀なくされても自己責任。

 そういう家が数件あったために他の家庭まで断水の巻き添えを食ったら、

 貧困家庭を恨めとでも?

そんな反論が頭の中を駆け巡っていました。

そして、こんな質問を受けました。

 老朽化対策を急げと言うなら費用はどうするのですか?

 大村市のように水道料金を値上げする?それとも他からもってくる?

正直に言いました。

 私自身は他からもってくればいいと思っています。

 (石木ダムの予算を使えばいいでしょ!)

 でも、いろんな考え方があると思うから、それは一人ひとり考えることです。

 そのために、市民に現状を知らせ、対策を実行するための予算額を伝え、

 それをどう工面するか皆で考えることが必要だと思い、この請願を提出したのです。

 

帰宅したら、神奈川在住の方から、こんな情報がメールで寄せられていました。

 東京都では、漏水防止対策の推進により、

 60年前には30%以上あった漏水率を、2009年には3%に低減させた。

 この対策の結果、年間約3億3千万m3(人口250万人規模の都市の水道
 使用量に相当)の
漏水防止を実現。

 また、温室効果ガスである二酸化炭素排出量を年間約6万5千トン削減する
 効果も生み出している。

 このように漏水防止対策は、貴重な水資源の有効利用のみならず、
 地球温暖化防止にも有効な対策でもある。

 

収用委員会、場所を変えて強行

今日は7回目となる収用委員会の日。

会場は長崎振興局の2階会議室。

会議室前には朝から地権者や支援者たちが集まっていました。

下で待機する収用委員たち。

一度だけ会長たち数名が階段の途中までやってきて、

「委員会を開催させてください」「補償に関する意見を聞かせてください」と懇願。

もちろん通すはずもなく、数分で諦めて下りて行きました。

そして、10時過ぎ、委員の入場を妨害され審理が開けないとして、

「午前の会議は中止します」「午後は予定通り」と言い残し去って行きました。

 

そして2時間半後、再び現れた県職員を見下ろしていたら・・・

 

一人にこやかな表情の職員が・・・。そして何人もの地権者が声をかけます。

「あんたには苦しめられたけんねー、黙って行ったらいかんよ。一緒に飲もうでー」

「もうすぐ桜も咲くけんで」

「いやー、静かに行かせてくださいよ」

地権者と軽口をたたき合っているのは、石木ダム建設事務所長の古川氏。

6年間も所長を務め、この春定年退職する彼を温かく追い出そうとする地権者の皆さん。

 

心の中がほんわかしてきたところへ、

収用委員会から突然、会場変更の通告。

2〜3人の職員以外は、古川所長も含め皆、引き揚げていきました。

なるほどね〜

そういう手があったんですね〜

どうしたら会場に入れるか?

ここでと言っておいて、離れた場所に急きょ変更する。

反対派が駆けつけても、その時すでに遅し。委員は会場入りしてしまってる。

とこういうシナリオだったんですね〜

怒って詰め寄る地権者たち。

妨害される以上仕方がないと説明する職員。

 

確かにそうですよ。

妨害していますよ。収用委員会が開かれないように。

でも、それは当然でしょ?

「審理」の開催は家屋の収用につながるのですから。

審理は収用が前提で、その補償額と明渡し時期を決めるためのものですから。

地権者が協力できるわけないじゃありませんか。

 

私たちは職員の方々に恨みはないのです。

でも、協力はできないのです。

必要のないダムのために土地を奪うような行政の横暴は許せないからです。

 

地権者の女性たちが2人の職員を取り囲んで訴えていました。

うったちはね、安心して暮らしたかと。

お金は何も要らんと。

少ない年金でゆっくり暮らしたいだけ。

あんたは何年生まれね?昭和46年?

あんたの人生以上の長い間、うったちはこがん闘いば続けとっとよ。

自分たちの生活を守るために。

そうやって闘いを続けながら、何人死んでいったか知らんやろ?

 

一職員に言ったところで何がどうなるものでもないのはわかっている。

わかっているけれど、言わずにはおれない想いが、彼に伝わったでしょうか?

無表情だったけれど、たぶん心に刺さったはず・・と思いたい。

この地権者の思いを少しでも理解して、何らかの形で知事に伝えてほしい。

直接伝えてほしい。

 

地権者の妨害をどうかわすか、防ぐか、なんてことを考える前に、

なぜ地権者がここまで妨害を続けるのか、

その意味をまず考えるべき!

 

結局今日は、地権者欠席のまま審理は開かれ、県側は、2世帯の家屋の明渡補償額を提示。

裁決から180日以内に家屋を明け渡すよう求めたそうです。

 

 

第37回 3.14団結大会

川原公民館の前に全員集合!

今日は第37回3.14団結大会の日。

3.14とは3月14日ということ。

今から36年前の1980年3月14日、石木ダム建設絶対反対同盟が再結成され堅い団結を誓いました。

以後、毎年その日を記念して同盟員だけでなく支援者も集まり、

石木ダム計画が白紙撤回されるまで頑張ろう!との思いを新たにしてきました。

そして、37回目の3.14を前に、今日団結大会が開かれたというわけです。

 

大会は1時からで、その直前に、同盟の皆さんが集まって記念撮影。

言いだしたのはカメラマンの村山さん。

写真集「石木川のほとりにて」を出された、あの村山さんです。

だから、ほら、みんな笑顔!

 

午後からの団結大会に先立って、午前中、男性たちは石木川の大掃除。

高く伸びたヨシを刈り取って、河原で燃やしたり、

堰などに引っかかっているヨシやゴミを取り除いたり、

こちらは、薄くぼやけた文字を上書きして・・・くっきり!

「環境保全地域」「ネコヤナギ盗伐禁止」「ほたるの里」などなど、

勝手に命名、勝手に設置。

誰かのお墨付きを得るのではなく、自分たちで決め、自分たちで守る。

誇り高い人々です。

掃除が終わって公民館にやってくると、公民館では、まだ団結大会の準備中。

中では、女性たちが大会後の交流会のご馳走作りに大わらわ。

 

いよいよ大会が始まり、

例年通り、同盟を代表して岩下さんの挨拶、石丸さんによるこの1年の振り返りがありました。

そして来賓挨拶トップバッターは、石木ダム対策弁護団の高橋弁護士。

まずはじめに、今取り組んでいる事業認定取消訴訟(行政訴訟)と、工事差止仮処分申し立て(民事訴訟)の概要について、たいへんわかりやすい説明がありました。

そして、強調したい3つの事実とそのポイントが語られました。

① 13世帯がこれだけ反対している=13世帯の生活を強制収用によって破壊した例はかつてない

② 13世帯以外がこれだけ反対している=石木ダムの建設によって損害を受ける人がこんなにいる

③ 50年間造られていない=要らないということ

しかし、他人=裁判官や弁護団=をあてにしてはいけない。

皆さんの意思で皆さんが頑張ることが裁判官を動かし、知事を動かすことになる。

 

次に登壇されたのは、真島省三衆議院議員。

2月25日の衆議院予算委員会第8分科会で石木ダム問題を取り上げ、事業認定の不当性を追及した、その大要が語られました。

思わず笑ってしまったのは、治水安全度と流量予測値の怪。

真島議員:長崎県は石木ダム合流地点より上流は30年に一度の治水安全度で、合流地点より下流は100年に一度の安全度に設定している。100年に一度の大雨が降った時の流量計算はおかしいのではないか?その時は上流部にも100年に一度の大雨が降るはずで、しかし上流部はその対策ができてないので、越水して周辺に流れ出てしまうのではないか?

国土保全局長:ご指摘の点につきましては、現在裁判で係争中でございまして、訴訟の場において国の考えを述べ、対応したい。

裁判を理由に質問に答えようとしない官僚に頭に来た真島議員は委員会終了後、答弁者を呼んで、もう一度尋ねたら、上流の越水は認めたそうです。

しかし、県の計画流量はそれほど間違っているとも言えないと思うとのこと。

え!?なぜ?

「一度溢れた水が、また石木川に戻ってくるかもしれないから」

この答えには、聞いてる私たちも思わず吹き出してしまいました。

 

続いての登場は、パタゴニア日本支社長辻井隆行さん。

石木ダム問題に出会って、

「人権や環境の問題がこれほど極端に蔑ろにされていることに、個人的に憤りを感じた」

「僕たちパタゴニアにできることは分厚いカーテンを開けること」

と辻井さんは言う。

カーテンを開けた時に見えてくる景色。それを伝えたいと。

その景色とは、きっと石木ダムに繋がる人権、税金、環境等々の現実なのでしょう。

そういう問題を知って、それでも石木ダムが必要と佐世保市民は思うのか?

事実を伝えることが大事だと思う。

そういうことを「個人的にライフワークとしてもやっていきたい」と。

 

来賓の後は、県内支援団体からの挨拶やメッセージを伝え、

地権者の決意表明、決議文の採択、そして、団結ガンバローで閉会となりました。

 

閉会後はすぐにご馳走がいっぱい並んだテーブルが運ばれてきて、乾杯の後は、

写真を撮るのも忘れて、食べて、しゃべって、笑って・・・。

しばらくして、左隣の初対面の方とお話してみると、83歳の佐世保市民の方で、

子どもの頃こうばるに住んでいたとのこと。

 

昔、ここは公民館ではなく太子堂だったんですよ。

聞いています。あそこに今も祀られているんですよね。

と、聖徳太子像が安置された扉を指すと、

そう。その上に書かれた文字が読めますか?

と言われ、

そう言えば、汚れなのか模様なのか、読み取れない字があり、

何と書かれているのか前からずっと気になっていたのでした。

教えてほしいと頼むと、

あれは漢文読みするんですよ。

行者道を譲り、耕者畔を譲る。

 

なるほど〜

行き交う人は道を譲り合い、田を耕す人は畔を譲り合いなさいってことなんですね。

そうか・・・。

そうやって、譲り合いの精神で田畑を耕し、ふる里を守ってきた人々にとって、

道も畔も奪われるなんて言語道断、許されることではないでしょう。

 

この額は、佐世保市長の市長室にこそ飾りたい・・・ 

 

 

 

佐世保でダムネーション試写会

2月27日夜、久しぶりに映画『ダムネーション』を観ました。

実は4回目です。

山梨県の清里、福岡、佐世保、そして今回も佐世保で。

観るたびに静かな感動と共感が沸き上がる不思議なドキュメンタリーです。

 

佐世保では2回目。

1回目は昨年1月アルカスのホールで、主催者の1人として会場の片隅で時々観る程度でしたが、

今回は縁あって、上映会を予定している方々の仲間内の試写会に参加する機会ができましたので、

観客としてじっくり観ることができました。

 

会場は『雑類書店』という珍しい素敵な本屋さん。

http://d.hatena.ne.jp/zoruibooks/about

 

そして主催者は獣医でDJでもある不思議なMさん。

 上映後、Mさんは私たち来場者に語り掛けました。

 

この映画の中で、サケの人工孵化のシーンがありました。

人間が造ったダムによってサケが遡上できなくなって、漁獲量が激減すると、

今度はサケを増やすために、

生きているサケを殺して卵を取り出し、人工孵化で育てる・・・。

 

人間は、確かに傲慢だと思います。

僕は獣医ですが、犬猫、特に犬は、この頃、

自力で、交尾やお産や子育てができなくなっています。

 

僕の好きな都築響一さん(写真家で編集者)は言っていました。

「モチベーションは怒りと焦りだ」と。

 

僕もそうです。

最近、何か怒りとか焦りのようなものを感じています。

 

今の佐世保はあんまりおもしろくない町だし、

でも、漫然と見ているのはどうかと思うし、

何かアクションを起こせたらいいな、と。

 

そのとっかかりとして、今日『ダムネーション』を皆さんと一緒に観れて、

とてもよかったです。

 

同感です。

会場には若い人がたくさん来ていました。

生後7ヶ月の赤ちゃんもいました。

大きなお腹を抱えたお母さんもいました。

 

その全ての人の瞳が釘付けになったシーンがありました。

ダムが撤去されて、自然の川が戻ったとたん、サケが波のように押し寄せてくる光景です。

光を浴びて、踊るように、歌うように泳ぐサケ。

生命の讃歌そのものでした。

 

声にならない歓声が会場に満ちているのを感じました。

 

きっとまたどこかの会場で、同じ感動が伝えられることでしょう。

まだご覧になっていない方は是非、次の機会をお見逃しなく! 

 

 

収用委員会 第6回目も開けず 

昨年10月以降、今日で6回目の収用委員会。

今日は、午前と午後、2回の審理が予定されていました。

第1回目、午前の攻防。

いつものように、収用委員会側の「審理を開かせてください」というお願いと、

地権者側の「公平中立でない収用委員会は認められない」という応酬が続きました。

そのうちに・・・

 

地権者側:必要ないダムのために土地を収用する委員会を開かせるわけにはいかない!

委員会側:ダムの必要性に関しては私たちが判断することではありません。
     私たちは補償に関して判断するのが任務なのです。
     補償に関する皆さんの意見を聞かせてください。

地権者:補償は要らん!

支援者:あなたたちは事業認定の判断が正しかったかどうか検討する権限を持っているはず。
    その権限を放棄している。

委員:そんな権限は持っていません。しっかり勉強してから言ってください

 

この一言が火を付けました。

「今何て言った!」「誰が言うた?」と大騒ぎ。

会長は何度も冷静になって下さいと言ったけれど、皆の怒りはおさまりません。

結局、委員たちは退散。午前の審理は中止となりました。

 

確かに収用委員会の任務は、補償額や明渡し時期を決めることが主な任務であって、

事業の必要性を判断するのは事業認定庁の役目。

土地収用法第63条の3にも、このように書かれています。

起業者、土地所有者及び関係人は、事業の認定に対する不服に関する事項その他の事項であつて、収用委員会の審理と関係がないものを前二項の規定による意見書に記載し、又は収用委員会の審理と関係がない事項について口頭で意見を述べることができない。

つまり、「事業の認定に対する不服」は「収用委員会の審理と関係がないもの」と位置付けられています。

だから、委員側の認識が間違っているわけではありません。

間違っていたのは認定庁であり、悪いのは土地収用法という制度です。

収用委員にその矛先を向けるのは気の毒な気もします。

しかし、言い方というものがあります。

その法律に関して自分たちの認識が正しいからと言って、見下したような言い方は如何なものか?

同第52条の3には、このように書かれています。

委員及び予備委員は、法律、経済又は行政に関してすぐれた経験と知識を有し、公共の福祉に関し公正な判断をすることができる者のうちから、都道府県の議会の同意を得て、都道府県知事が任命する。

つまり、委員は「公共の福祉に関し公正な判断をすることができる者」でなければならないと。

委員の皆さんが本当に公共の福祉に関し公正な判断ができる方なら、石木ダムが公益性の高いものだとは言えないことがおわかりのはず。

わかっていて、所有者の土地を取り上げる裁決を下すなら、人として正しいとは思えません。

わかっていないなら、「公共の福祉に関し公正な判断をすることができる者」ではないのか、

石木ダムについて不勉強なのか、そのどちらかでしょう。

つまり、委員の皆さんも私たちを見下すような資格はないと思います。

 

ともあれ、9時半には午前の審理が中止となり、午後までの空き時間を使って、

県庁へ抗議に行くことになりました。

手に手にプラカードや横断幕を持っての行進です。

曇りの予報に反して、いい天気!

阻止もできたし、皆さん笑顔です。

県庁の入り口にはランタン祭りの大きなオブジェがお出迎え。

横断幕がよく似あいますね〜

玄関前で1時間ほど座り込み。

石木ダム反対、強制収用反対の意思表示をして、再び出島会館へ戻りました。

 

12時半前、再び委員たちがやってきて押し問答。

公正な判断をしようとするなら事業認定書など、必要な書類をきちんと準備して臨むべき、

というような話の流れの中で・・・

支援者:事業認定書も持って来てないじゃないか。

委員:まずは開けて頂かないと、書類を持ってくるもクソもないわけですよ。

地権者側:クソ?! それが県民に言う言葉か! 

再び怒りに包まれ、委員たちは、またもや早々に引き揚げ・・・

職員が、いつもの張り紙をペタリ。

これにて今日は落着です。

それにしても、会長以外の委員の方々の発言には首を傾げます。

有識者としての品格が欠けているのか、

それともあえて地権者側を怒らせたいのか?とさえ思ってしまいます。

 

さて、今日で6回目となった収用委員会について、少し整理をしてみたいと思います。

これまでの審理の対象となっているのは「27長収第1号〜7号」と称される事件で、

その内容は、石木ダム建設工事とこれに伴う県道、町道、及び農業用道路付替工事に伴う

約3万㎡の土地や家屋です。

その裁決を申請したのは長崎県と佐世保市で、これまでの経過はこうです。

 

申請された日:平成27年7月8日

受理された日:生成27年7月14日

審理:第1回 27年10月7日 1号・2号事件 川棚中央公民館にて 阻止

   第2回 27年10月9日 3号・4号事件 川棚中央公民館にて 阻止

   第3回 27年11月18日 5号・6号事件 出島交流会館にて 起業者のみ実施

   第4回 27年12月14日 7号事件   出島交流会館にて  阻止

   第5回 28年1月14日  5号・6号事件  長崎振興局にて  阻止

   第6回 28年2月17日 1・2・3・4・7号事件 出島交流会館にて 阻止

 

つまり、7つの各事件について、委員会としては2回ずつ審理を予定した。

が、いずれも地権者側の阻止を受け、審理ができなかった。

さあ、これからどうなるのでしょう?

知事はどうするのでしょう?

工事も進まない。

収用委員会も進まない。

公務執行妨害で逮捕する?

それはできないでしょう。

なぜなら、大義はこちらにあるからです。

地権者の人権を踏みにじっても良いほどの大義が石木ダムには無いから。

 

最善の解決策は、一日も早く中止すること。

そうしたら、土建屋行政との悪名高い長崎県がイメージチェンジできるでしょう。

中村知事は勇気ある知事として、その名が長崎県史に残るでしょう。

そして、私たちはお金を出し合って、知事の銅像を建てるかも?・・・           

 

 

メコンを破壊するダム建設が始まった

メコンは世界でもっとも生物多様性が高い。

そこに、それら多様な生物を死滅させ住民の生活を破壊するダムを建設するという。

 

メコンにすむ八百種の淡水魚の87%は回遊魚だそうです。

体長3m、重さ400kg、世界最大級の淡水魚メコンオオナマズさえも自由に行き来できる魚道。

それがフーサホンで、その世界一の「魚道」に計画されたドンサホンダム。

周辺国やNGOの反対を押し切って、1月8日、フーサホンの流れを止めダム建設が開始されました。

「その日。水のない川で村人たちは最後の魚を拾ったという」

 

世界一の魚道を捨てて、ラオスは何を得ようとしているのか?

しかし、かの国を私たちは笑えない。

私たちの国も同じことをしているから。

私たちの住む長崎県も同じことをしているから。

 

石木ダムを止めるまで、私たちに彼らを批判する資格はありませんね。

 

ダム建設工事用道路の工事に着手

今日は快晴。こうばる日和です。

凛と立つ菜の花の向こうはイノシシが耕した田んぼが広がり、

そのまた向こうに小さく見えるのは見張り小屋。

ダム建設用の迂回道路の工事にやってくる県の職員や業者をを見張るための拠点です。

今日は久々にそこに集合。

「挨拶」に来るという県のご一行をお出迎えするために。

 

9時半頃、県の職員と工事関係者およそ20人がやってきました。

ここは既に県の土地である。今日から迂回道路の工事に着手したいので、お願いしたい。

というわけです。

もちろん、地権者も私たちも「はい、どうぞ」と言うわけにはいきません。

いつものように横断幕を広げ、後ろ向きで行く手をさえぎりました。

詳細は、こちらのブログ「西風に吹かれて」をご覧ください。

http://blog.goo.ne.jp/bhdsy27/e/ba3f1cd4500e58b315f6d28f590d055e

 

ダム事務所長、河川課企画監、参事などが工事の目的や正当性を主張して、

工事をさせてほしいと口々に訴えました。

 

どんなに訴えても「じゃあ、どうぞ」とはならないことは百も承知のはず。

では、なぜ来るのか。

予算を取るため?確保するため?

工事をするために再三出向いて頭を下げてお願いしたが理解を得られなかった、

という証拠を残すため?

昨年から何ヶ月も不毛のやり取りが続いていますが今日も同様でした。

 

・ここの工事はあちこちから入れるが、この大きな道から正々堂々とやってきました

・理解をと言っても難しいと思いますが、ぜひ工事をさせてください。

・直接会ってお願いしようとやってきました。ここを通してください。

・皆さんも言い分があるのはわかりますが、この工事に関しては是非進めさせてください。

 

こんな説得力のかけらもないような台詞を並べなければならない職員の方の辛さ、

知事はわからないのでしょうか?

地権者の一人の方が見るに見かねたように言いました。

 

我々はねー、久保知事(現知事の前の前の前の知事)と約束しとっと。

地元の同意無しには工事に着工しないと、はっきり約束しとっとよ。

それをあんたたちが約束破ってやろうとしとるとよ。絶対認められんよ。

はよ帰んなさい。

 

そうして、みんなで横断幕を盾にじりじり前進。

押し出しの勝!

となりました。

 

その後、見張り小屋では、いつものように、

手作りのストーブの上でスルメを焼いたり、お芋を焼いたり、団欒のひとときが…。

 

そして、散歩途中のなっちゃんに会いました。

大人たちの攻防は知る由もなく、スヤスヤと夢の中。

いつか大きくなった時、きっと誰かが言うでしょう。

なっちゃんが生まれたころはね、ここ「こうばる」は大変だったんだよ。

なっちゃんのおじいちゃんやおばあちゃんはね、ふる里こうばるを守るために、

毎日、権力と闘っていたんだよ。最後まで諦めずに。

だから、こうばるが残ったの。

水の底に沈まなかったの。

だから今もこうして石木川で遊べるんだよ〜

 

 

断水が長引いたわけ

平成6-7年の大渇水以来、21年ぶりの断水は全面復旧までに1週間を要しました。

県内で最も遅い回復でした。

何故か。

その理由を長崎新聞が検証しています。

つまり、こういうこと?

1.原因は地形にあり=山あり谷あり凸凹の地形

2.高地にある家まで水を送るには、いくつもの配水池を経由しなければならない

3.その配水池の中の1つでも水位が回復していないと、水圧不足で次の配水池に送れない

4.結果、高地にある家々では全ての施設の水量が回復するまで断水が続いた

 

悪いのは地形であって、水道局に責任は無いと水道局は言いたい?

いやいや・・・

この地形は近年生まれたわけじゃなし、水道事業者としてずーっとつきあってきた地形。

いったん断水したら復旧に時間がかかるのはわかっていたはず。

ならば、断水しないよう、つまり水道管が凍結・破裂しないよう、

市民への注意や、情報伝達に真剣に取り組むべきだったのでは?

 

「水道の仕組みを急に変えることは難しく、各家庭や職場で給水管を守ってもらうしかない」

とおっしゃっているようですが、

その守り方がわからない人も多いのではないでしょうか?

水道管の保護の仕方や、気温がどのくらいになったら保護すべきなのかなど、

日頃からしっかり伝えていたら、市民も備えることができたはず。

個人宅の給水管だから自己責任だ、と言うなら、水道事業者としてはあまりにも無責任。

危機管理、リスク回避に努めているとは思えません。

 

日頃の指導不足を自覚していたら、

天気予報で最低気温がマイナスになることがわかった時点で、

「水道管に保温材を巻き付けましょう」とか

「寝る前に元栓を閉めて水抜きをしましょう」とか

防災無線を使ってやることもできたはず。

 

もちろん私たち市民も今回のことを教訓にして、水道管の凍結防止に努めるべきです。

でも、そのためには水道のプロである水道局の情報提供や指導が必要です。

両者の協力無しには佐世保の漏水は止められません。

 

「石木ダム建設は市民の願い」などというメッセージよりも、

「水道管の凍結破裂に要注意」なんてメッセージの方が必要だと思うんですけどね〜

水道局の建物に掲げられているあの大きな看板、そろそろとり変えませんか?

 

工事差止仮処分申し立てを報じる今日の新聞

 

 

昨夜のTVニュースのネット版も貼付しておきます。

 

石木ダム工事差し止めの仮処分
 
(NHK 2016年02月02日 18時59分)http://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/5035444031.html?t=1454410646191
 
 
水道水の確保や洪水対策を名目に川棚町に計画されている石木ダムについて、反対する地権者やその支援者など500人あまりが2日、事業主体である県と佐世保市を相手取り、工事の差し止めを求める仮処分の申し立てを長崎地方裁判所佐世保支部に行いました。
 
工事差し止めを求める仮処分の申し立てを行ったのは、川棚町の石木ダム建設予定地に住んでいたり、土地を所有したりしている地権者やその支援者らあわせて505人です。
 
地権者たちは2日、弁護団とともに長崎地方裁判所佐世保支部を訪れ、訴状を提出しました。
 
それによりますと、県と佐世保市が進める石木ダムの建設は、将来の水需要予測を過大に見積もるなど建設の必要性がないと指摘した上、反対する地権者の生活基盤を破壊して生存権をおびやかす違法な事業であるとしています。
 
地権者たちは、仮処分を申し立てたあと、佐世保市内で集会を開き、今回の訴えは、民事訴訟のため誰でも原告になれると述べた上で、「1000人、2000人と原告を募り、ダム建設ストップの声を大きくしたい」と訴えました。
 
石木ダムの建設をめぐっては去年8月、県が反対派の地権者が所有するおよそ5500平方メートルの農地を強制的に収用するなどの手続きを進めていますが、地権者たちの反対で工事は進んでいません。
 
しかし、地権者たちは事業を中止に追い込むため、去年11月、国を相手取ってダム建設の公共性を認めた事業認定の取り消しを求める行政訴訟も起こしています。
 
 
 
 
石木ダム 工事差し止めの仮処分申し立て
 
(テレビ長崎 2016年2月2日 18:48) http://www.ktn.co.jp/news/2016020253996/
 
 
東彼杵郡川棚町の石木ダムの建設に反対する住民や支援者、およそ500人が関連工事の差し止めを求める仮処分を裁判所に申し立てました。
 
石木ダム建設絶対反対同盟の岩下和雄さんは「石木ダムはいらない。強制収用までしてつくる必要はない。工事差し止め命令をしてほしい」と訴えました。
 
長崎地裁佐世保支部に集まったのは、石木ダム建設予定地の住民や支援者などです。
 
県や佐世保市は石木ダムの建設に向けて用地の取得や関連する道路工事の準備を進めています。
 
今回の申し立てでは住民を含む505人が、豊かな自然やふるさとでの生活が奪われようとしているなどとして工事の禁止を求めています。
 
長崎から申し立てに参加した人は「自然を守ることと不要な工事だと思うから、それだけのお金は別のところに使わないといけない。漏水対策の水道管工事もそう」と話します。
 
住民は寒波で断水を引き起こした「水漏れ」こそ、まず取り組むべき課題と指摘します。
 
地権者の石丸キム子さん「右肩上がりの経済でもない。漏水対策を差し置いてダムをつくっても、ざるに水を入れるようなもの」と指摘します。
 
弁護団では申立人を募集していて、今後も申立人を増やしたい考えです。
 
この問題で建設予定地の住民などが法廷の場に訴えたのは、国の事業認定の取り消しを求める裁判や事業認定の執行停止を求める仮処分に続いて3件目となります。
 
 
 

工事差止仮処分申し立て、505名!

道路を挟んで左右の歩道に人が溢れています。

長崎地裁佐世保支部前で門前集会が始まるところです。

 

馬奈木弁護団長の挨拶:不必要な全く意味の無い工事に大金を使うな!

無駄な事業のために市民・県民、とりわけ現地住民の生活が犠牲になろうとしている。

私たちの生活を守り抜くために、全国民の力を結集して闘い抜こう!

地権者の岩下さんの挨拶:予想をはるかに上回る505名の申立人が集まりました。

支援者の皆さんのおかげです。今日から新たな闘いが始まります。よろしくお願いします。

見守る地権者や支援者の表情も真剣そのもの。共に闘う決意が伝わってきます。

 

提訴終了後は、中部地区公民館に移動して、報告集会をおこないました。

馬奈木弁護団長からこの訴訟の意味が、平山弁護士からは申し立ての中身について説明がありました。

その後会場からたくさんの質問が出され、熱気あふれる集会となりました。

 

馬奈木団長:

差し止め裁判で勝つ条件は2つある。

1つは、行政が侵害しようとしている権利はたいへんな権利なんだということ。

この石木ダムはまさにそうである。

奪ってはならないものを奪おうとしている。

県が奪おうとしているものは土地・建物だけではない。

川原の地には何世紀にもわたって営々と築かれてきた人としての営みがあった。

その上に今の生活があり、それを未来に手渡したいと願う人々の暮らしがある。

受け継がれていく文化がある。

それを知事が奪おうとしている。破壊しようとしている。

破壊していいのか?いいわけがない。

このことをしっかり伝えよう。

もう1つの条件。それは実際に事業ができていないこと。進んでいないこと。

裁判所は皆さんの闘いをじっと見ている。

皆さんが権利を守るためにどれだけ本気で闘っているかを見ている。

皆さんが守ろうとしているものはそんなに大切なものなんだね、

と、裁判官が理解した時、共感が生まれた時、裁判所は止める気になる。

私たちは裁判所にお願いするのではない。

地権者をはじめ、佐世保市民、長崎県民、ひいては国民が、

こんな権力の横暴は許さないという決意を示すのだ。

50年経ってもできていない=必要のない無駄な事業のために失うものがいかに大きいか、

市民県民のために本当に役に立つ行政、お金の使い方を確立していこう。

私たちの税金は本当に役に立つところに使ってほしい、この思いを全国に広げよう。

そして、全国の皆さんと共に闘って行こう。

 

質疑応答

Q:今回申し立てに参加できなかった人からの問い合わせがきてるのですが・・・

A:どんどん受け付けてください。次の申立がいつになるかは未定ですが。

Q:勝利したらどうなるのか?止まるのは工事だけか?手続きは止まらないのか?

A:たぶん工事だけ。収用手続きは進む。

  また、県側が不服として高裁に持ち込むだろう。

  工事差止では事業は止まらないが、大きな武器にはなるだろう。

Q:負けたら県はもっと強硬に推し進めてくるのではないか?

A:そのような心配をしても意味がない。我々は裁判だけで解決するとは思っていない。

  裁判で勝っても諫早湾の開門ができなかったように。

  裁判をテコにして世論を盛り上げることが大事。

Q:どのくらいで処分が決まるのか?

A:それは全くわからない。

Q:505名の内訳は?

A:地権者、共有地権者、川棚町民、佐世保市民、その他の長崎県民、県外、

  その6グループに分けて集計しているが、共有地権者の中には県外者もおおい。

  よって、住所で分けた場合、長崎県民は約400名で県外は100名ほど。

 

他にも様々な質問が出され、参加者の真剣度が伝わってきました。

その中には、不安な思いを覗かせる方もいましたが、それを察してか、

地権者としての感想を問われた時、岩下さんはきっぱりと、このように語りました。

 

この仮処分申立は1つの契機。

結果がどうなろうと、

私たちのダム反対の思いは変わりません。

 

最後に7団体による闘争宣言文を貼付します。

 

このページの先頭へ