委員会方式を求め、水道局へ申し入れ

年末も押し詰まってきた12月26日、私たち(水問題を考える市民の会+石木川まもり隊)は、水道局へ、石木ダム事業の再評価について、公開が原則の委員会方式を取るよう申し入れをしました。
 
隊員のM・Mさんによるまとめと感想をご紹介します。
 
 
『水道施設建設の費用が10億円を超え、かつ10年以上を経過しても建設に取り掛かれず継続となっている事業については、国からの補助金を貰うために5年ごとに事業の再評価を行わなければならない。』
これが、国庫補助の用件である。

石木ダムは、その計画からすでに50年が経過している事業である。

機動隊を導入しての強制測量からでも、もう30年が経過している。

慢性的な水不足といわれる佐世保市だが、この間大きな渇水は平成6年だけだ。

それも佐世保市だけが水不足になったわけではない。北部九州一帯に雨が降らず、福岡市でも、長崎市でも大変な水不足に陥ったのだ。

あのときの水不足には、「石木ダムがあっても役に立たなかった」と言ったのは、水道局のお偉方だった。

それに、少子高齢化で人口は減り、水需要はどんどん減少して、水道局が安定的に取水できると言っている水源水からは、おつりが来るほどなのだ。


そして今年、平成24年度は5年ごとに事業を見直す「厚労省の再評価」の年なのだ。

これまでの再評価は、平成11年、16年、19年と3回行われているが、その全てが有識者で構成される委員会方式だった。

それが今年度は、まだ再評価がなされていない。


今回の再評価には、19年以降のデータも入るのだ。過大な水需要と乖離した実績値のデータもその審査対象としてもらわなければならない。

しかし、水道局は再評価はするといいながら、市民に公開された委員会形式でするかどうか、まだ検討中だとしか言わない。

そこで、私たち「水問題を考える市民の会」と「石木川まもり隊」とで、再評価は市民に公開された「委員会方式」で行うようにと申し入れをしたのだ。

水道局の答えは、「このような申し入れがあったと上に伝えます。」「まだ、委員会形式かどうか決まってはいません。」というものだった。

きちんとしたデータで、委員会形式のきちんとした再評価を行えば、石木ダムの必要性の根拠が揺らいでしまう…。

そのことは専門家である水道局自身がよくわかっているのに違いない。
だからこそ、再評価を何とかクリアできないかと画策しているのではないか?

そう疑わざるを得ない今日の水道局の答弁だった。

よーし! 来年も、申し入れだって何だってやるぞ!

膨大な税金を使う不必要な公共事業を止めなければ。
 
 
 
形式について、まだ委員会かヒアリングか決まってないそうです。
しかも、いつ決まるのか(いつ公表するのか)さえも未定だそうです。
 
それって、委員会を開く気はないってことと同義語ではないでしょうか?
呆れ果ててしまいます。
 
いつも誠実で親切な水道局職員の方々ですが、
個人的なお人柄がそうであっても、これは許されない不誠実な状況です。
私たちは、これからもしっかり問い続けていきたいと思います。
 
また、この申し入れについては、長崎新聞と読売新聞が翌日報道しています。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/nagasaki/news/20121226-OYT8T01366.htm
 

川原出身者の訴え

昨日、石木ダム建設に反対する5団体は、県に抗議の申し入れをおこないました。

何に対する抗議かと言うと、石木ダム事業認定に関する県からの回答に対する抗議です。 

 

抗議の理由

1.私たちは知事の回答を求めたのに、河川課長からの返事だった

2.回答が出されたのも期限を大幅に過ぎていたし、

  それに対する反論書を送り、会って申し入れしたいと頼んでも、忙しいからと先延ばしにされ、

  やっと実現したのが12月19日。公開質問書を提出してから70日ほど経過している。

  地権者の理解が得たいと本当に思うなら、なぜ、このような不誠実な対応をするのか?

3.地権者は決して話し合いを拒んではいない。事業認定を取り下げたらいつでも応じる。 

  それは何度も伝えているのに、なぜ取り下げないのか? 

 

昨日も、知事どころか、土木部長も河川課長も来ず、企画官が対応。

私たちの扱いは、その程度のものなのです。いつものように。

そして、河川課の回答もいつものように版で押したような決まり文句ばかり。 

 

得られた回答は、

1.この文書は知事に必ず渡すが、知事名で返事を出すか、いつ出すかは確認しないと何とも言えない。

2.地権者の理解は得たいと思っている。是非、直接会って話す機会がほしい。

3.しかし、事業認定申請を取り下げるつもりはない。その手続きの中で話はできる。

 

こうして、昨日も虚しさだけを残して終わろうとしたとき、一人の男性がツカツカと進み出て、

県の職員に向かって叫びにも似た声で、訴え始めました。

子ども時代を川原で暮らしていた男性の言葉には、深く心打つモノがありました。

ここに、そのメモをまとめて、ご紹介します。

 

岩屋、川原、木場は、これまで山津波も水害もほとんど会うてない

 

俺は15歳まで川原におった

 

だからこそ、このふるさとに住みたいという住民の願いがわかる

 

今まで50年、住民は行政から苦しめられてきたんだ

 

あんたらはあそこの歴史を知っとるか?

 

うちの本家は石木小学校の発祥の地、郷土史にそう書いてある

 

岩屋や木場から川原に集まって、寺子屋みたいなのを造って、

そこでみんなが勉強していた

 

何百年の歴史のある、よか棚田もあるとやけん、

地主たちは初めみんな反対だった

 

それをあんたたちが家庭訪問して、どがんことば言うて切り崩したか、

知っとうね?

 

どういう形で切り崩したか?

 

 

割が崩れたからあんたたちも出て行け?

 

それはね、強盗の論理!行政の強盗!

 

 

あんたたちはあそこを実際に見て、知っとろうが

 

もったいなかと思わんとか、あいば水に沈めて

 

基本的なことはそこぞ

 

 

佐世保の水が足らんて、病人が出た?死人が出た?

 

佐世保が水不足になったからって、なんで川原が責任とらんといかんか!

 

なんで川原の民衆に責任がある?

 

 

30年、40年、あんたたちは理屈ばっかり言ってきた

 

もう理屈は超えとっと

 

住民の気持ちになったことがあっとか?

 

初めはみんな反対やったとよ


町長が崩れ、議会が崩れ、

そして最初に崩れたのはボロい家に住んどる人たち

 

そういう人たちがコロコロ転んでいった

よか家ば造ってやるよと言われて

 

 

この際ね、住民の気持ちに百分の一でもなってみんかい!

 

300年間、百姓しながらあれだけのふるさとを築き上げとっとぞ!

 

出直してこい!

 

未だに決められない再評価の形

今日の佐世保市議会本会議において、石木ダム事業の再評価の見通しについて、山下市議が質問。

水道局長の答弁の中から、注目すべき内容を抜粋すると・・・

 

<進捗状況について>

再評価に関する資料作成などを行うための業務委託の入札を先月末行い、12月5日に契約を締結。

これから作業内容や実施方針の詳細については厚労省と調整しながら委託業者を交えて詰めていく。

今年度中に作業を完了させることを目指してとりくんでいきたい。


<年度内に終わるかどうかの見通しについて>

委託期限が3月末になっているが、コンサルに委託したものは随時厚労省とその都度協議を諮っていくので再評価の間に合わないということはない。

第三者の聞き取りも1回ではなく何回もわけてやるので年度内に可能。

え?

コンサルと水道局が共同で作成した資料を基に再評価委員会で審議・検討し、

そこで出された意見を踏まえて、水道局として再評価の結論を国へ提出するのではなく、

資料作成の時点からずっと厚労省と打ち合わせながらやる?

だから、資料作成の最終期限(3月末)には、第三者の聞き取りも終わることが可能?

それって、談合みたいなもの、結果有りきの再評価じゃないですか!



<もしも再評価が年度をまたがった場合>

補助金がどうなるのかは国と協議する。

再評価の着手が遅れたのは、国のダム事業の検証や水道設計指針の改訂が主な要因である。

全国的な事例では、再評価が終わるまで内示を一時保留しているケースもあり、


その場合、仮に年度をまたいでも再評価が終われば保留が解除され、補助金がもらえるはず。

 

<学識経験者等第三者の意見聴取について>

その形式についてはまだ検討中で、委員会形式になるかヒアリング形式になるか未定。

 

この期に及んでもまだ未定?

もう12月ですよ。もうすぐ今年は終わりですよ。

委員会を開く気が多少なりともあるならば、とっくに委員の選定などしてなければならないでしょう。

もしや、委員のなり手がなかったとか・・?

いずれにしても、やる気がないのに、「未定」「検討中」を繰り返すのはなぜでしょう?


<代替案について>

水道施設の水源として可能性があるのは、10年に一度の渇水がきても安定して取水ができることが最大の要件で、安定水利権許可証の添付が必要。

四条橋などの不安定水源はその資格がない。

 

その資格のない水源から何十年も取水してきましたよね?

今日も取水しているでしょう?

安定水利権はなくても、慣行水利権でずっとやってきたし、

19年度の渇水の時も、不安定水源の水をたくさん使用しましたよね。

なぜ安定水利権にこだわるのですか?

安定とお墨付きを与えても、大きな渇水の時はダム湖の水も干上がるし、大きな川も流量が減る。

人間の予測の範囲を超えることは必ずおきる。それが自然界ではないでしょうか。

 

机上の計算で、まるで成績表をつけるように、水源に優劣を付け、

この水源は不安定だから排除してダムを造ろう、なんて考え方をいつまで続けるのでしょう?

 

結局、国交省も厚労省も、

真面目に検証・評価して、無駄な公共事業を減らそうなんてことは考えていないんですね。

国のお役人と地方が一体となって大きな公共事業を造り続ける、

そうすると誰か得をする人がいるのでしょうが、

そういうことは上の方でもう決まっていて、

水道局の職員さんたちは、その決まった方向に沿ってアリバイ作りをさせられているだけかも…。

 

笹子トンネル事故のように、老朽化したトンネルや橋や道路、そしてダムが山積の日本。

これからの公共事業費は補修整備だけで目一杯になるはず。

新たにダムを造る余裕なんてないはずなのに・・・

 

佐世保市のため池 問題山積

昨日の佐世保市議会本会議で、林議員が農業用ため池について質問しました。

利水対策案の1つとして、ため池の活用を考えている私たちは、興味津々で傍聴。

たいへん参考になりました。

 

林市議は、一昨年3月と今年の7月、相次いで起こった溜池の漏水事故を、

決して軽んじてはならない重大な問題と受け止め、

原因究明と、十分な調査、そして対策を講ずべきであると指摘しました。

その質問と回答を簡単にまとめると、

 

Q.事故が起きた2つのため池と同じ形式の溜池は十分な検証が必要。
  三度の事故があってはならない。どういう対策を考えているのか。

A.民有ため池の管理者に管理の方法を周知すべく点検マニュアルを配布した。
  12月には県と市、災害ボランティアと共に重要な溜池を点検する予定。
  さらに今後溜池台帳を精査し、下流域に民家、公共施設が有る民有溜池において
  木栓が設置してある場合、金属製の栓に変えるよう啓発したい。
  (2つの事故は共に、溜池の底樋の木栓が老朽化し破損したことが原因だった)

Q.市有はもちろん民有も含めた老朽溜池の長期的な整備計画の必要性があるのでは?

A.長期整備計画の必要性は認識している。
  そのため市内のため池2670ヶ所について現況調査を行い、
  下流に民家や公共施設のあるものを特に重要視している。
    市有10箇所の溜池について平成22年度から整備しており現在6ヶ所を終了、
  民有の溜池の改修については、助成事業として毎年配分をしている。

Q.全国的に耕作放棄地が増えている。
  耕作者の激減に伴い、「遊休ため池」が問題となってきている。
  有害鳥獣の住処となるなど周囲の環境への悪影響や、転落事故など防災上の問題も。
  今後増加が予想されるこのような機能不能溜池の管理について、どのように考えているか。

A.農業用に利用されなくなった遊休ため池は、防災面の事が一番重要な問題。
  水が溜らないよう土手の部分をカットする方法を取りたい、
  そういう方向で所有者と話をしたいと考えている。

 

えー!せっかくの水源を無くしてしまおうってわけ?

水不足、水不足、と騒いでおきながら、今ある水源を活用しないなんて…

そんなやり方で、隣町の地権者の方々の理解が得られると市長は本気で考えているのでしょうか?

 

Q.旧合併町には国有林野の中に存在する農業用溜池がある。
  これらはたんに農業用だけでなく、緑のダムとしての機能もある。
  その整備に関する負担は農業者だけでなく、行政側の支援も必要と考えるがいかが。

A.中長期の対策として重要と認識している。

 

え?答えはたったそれだけ?

と思ったら、議員さんたちの間でも失笑が広がりました。

あまりにもそっけないというか、答えとも言えない答えに、誰もが笑うことしかできなかったのでしょう。

 

いつも冷静な林議員は、穏やかにこう言って、質問を終わりました。

ため池は農地の根幹。 

ため池保全の健全化に向けて、総合的な対策に是非、取り組んで欲しい。

再評価の行方

昨日、突然の情報が舞い込んできた。

  「再評価のための業務委託先が決まりました。HPに出ています」
 
 
すぐにネットで入札情報を確認。
 
 
「佐世保市第九期拡張事業基本計画策定業務委託」
11月29日入札完了

落札者:日本上下水道設計㈱長崎出張所

落札金額:14,030,000円

予定価格:18,682,800円

最低制限価格:14,012,100円
 
委託期間:平成25年3月29日(金)まで
 
 
 
いよいよ、再評価に着手!?
 
正式契約はまだのようですが、
 
今日、水道局職員に確認したところ、
 
落札した会社に委託したのは、水需要予測や費用対効果の評価などで、
 
その会社に丸投げするのではなく、水道局と共に再評価のための予測などをまとめていく。
 
つまり、水道局が様々なデータを提出し、そのデータを使って、
 
どのような手法で、どのような数式で、それを解析し、予測し、評価していくか、
 
助言、示唆しながら共に作り上げていく、ということのようです。
 
 
その結果は、いつ頃までにまとめあげる予定なのか…
 
その時期によっては、第三者委員会が開催されない恐れも多分にあります。
 
その見通しについては、12日の本会議一般質問で、山下市議がしっかり追及して下さることでしょう。
 
注目したいと思います。
 
 
それにしても・・・
 
コンサル料金の高さにはビックリ!ですね。
 
正味三ヶ月ほどのコンサルで、¥14,000,000
 
その費用は、佐世保市が支払うのか、水道局が支払うのか知りませんが、
 
どちらにしても、税金か水道料金か、つまり私たち市民のお財布から出たもの。
 
決して、手抜きなどはせず、
 
しっかり分析し予測してもらいたいものです。